(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136170
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230922BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K3/46 U
H05K1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041644
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 武信
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316BB20
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC34
5E316DD25
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE01
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5E316FF03
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5E316GG15
5E316GG17
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5E316GG28
5E316HH17
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB05
5E338BB13
5E338CC08
5E338CD23
5E338EE02
(57)【要約】
【課題】放熱を効率的に行う配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板は、第1面100F及び第2面100Sを備え、内層のコア導体層、及び、放熱部材HBBを有するコア基板100と、第1導体パッド12pを含む第1導体層12を備える第1積層部10と、第2導体パッド22pを含む第2導体層22を備える第2積層部20と、第1積層部10に形成され、第1導体パッド12pに接続される第1ビア導体13と、第2積層部20に形成され、第2導体パッド22pに接続される第2ビア導体23と、を有している。第1導体パッド12pは、部品搭載領域を構成する部品搭載パッドであり、放熱部材HBBは第1導体パッド12pと接続されると共に第2導体パッド22pと接続されており、放熱部材HBBは、部品搭載領域と重なる領域に配置され、放熱部材HBBは部品搭載領域の外側の領域まで延在する内層のコア導体層に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を備え、交互に積層される複数の絶縁層及び導体層を有するコア基板と、
前記第1面上に形成され、最外面に第1導体パッドを含む第1導体層を備える第1積層部と、
前記第2面上に形成され、最外面に第2導体パッドを含む第2導体層を備える第2積層部と、
前記第1積層部に形成され、前記第1導体パッドに接続される第1ビア導体と、
前記第2積層部に形成され、前記第2導体パッドに接続される第2ビア導体と、
を有する配線基板であって、
前記コア基板は、内層のコア導体層、収容部、及び前記収容部内に配置されている放熱部材を有し、
前記第1導体パッドは、部品搭載領域を構成する部品搭載パッドであり、
前記放熱部材は前記第1ビア導体を介して前記第1導体パッドと接続されると共に、前記第2ビア導体を介して前記第2導体パッドと接続されており、
前記放熱部材は、平面視において前記部品搭載領域と重なる領域に配置され、
前記放熱部材は、前記内層のコア導体層に接続され、
前記放熱部材に接続する前記内層のコア導体層は、平面視において、前記放熱部材との接続点から前記部品搭載領域の外側の領域まで延在している。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記放熱部材に接続する前記内層のコア導体層は前記放熱部材を介さずに前記第2導体層と接続する伝熱経路を有している。
【請求項3】
請求項2記載の配線基板であって、前記放熱部材に接続する前記内層のコア導体層は前記放熱部材を介さずに前記第1導体層と接続する伝熱経路を有している。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記コア基板は、4層以上の絶縁層および5層以上の導体層を有している。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記放熱部材は銅ブロックである。
【請求項6】
請求項5記載の配線基板であって、前記放熱部材に接続する前記内層のコア導体層は銅めっき層、または、銅箔を含んでいる。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記放熱部材の側面が前記内層のコア導体層と接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方の面がICチップに接続され、他方の面がマザーボードに接続されているプリント配線板が開示されている。プリント配線板は、放熱ブロックが収容される貫通孔を備えるコア基板を有している。ICチップに接続される導体層(導体パッド)、及び、マザーボードに接続される導体層(導体パッド)は、それぞれビア導体を介して放熱ブロックに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているプリント配線板では、プリント配線板の一方の面に搭載されているICチップから放熱ブロックに伝わる熱は、主にマザーボード側のビア導体を介して他方の面へと伝導する。放熱ブロックからの導体を介した熱伝導の経路がビア導体に限られており、プリント配線板内に熱が留まりやすい場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を備え、交互に積層される複数の絶縁層及び導体層を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、最外面に第1導体パッドを含む第1導体層を備える第1積層部と、前記第2面上に形成され、最外面に第2導体パッドを含む第2導体層を備える第2積層部と、前記第1積層部に形成され、前記第1導体パッドに接続される第1ビア導体と、前記第2積層部に形成され、前記第2導体パッドに接続される第2ビア導体と、を有している。前記コア基板は、内層のコア導体層、収容部、及び前記収容部内に配置されている放熱部材を有し、前記第1導体パッドは、部品搭載領域を構成する部品搭載パッドであり、前記放熱部材は前記第1ビア導体を介して前記第1導体パッドと接続されると共に、前記第2ビア導体を介して前記第2導体パッドと接続されており、前記放熱部材は、平面視において前記部品搭載領域と重なる領域に配置され、前記放熱部材は、前記内層のコア導体層に接続され、前記放熱部材に接続する前記内層のコア導体層は、平面視において、前記放熱部材との接続点から前記部品搭載領域の外側の領域まで延在している。
【0006】
本発明の実施形態によれば、第1導体パッドと第2導体パッドとの接続を介在する放熱部材は、内層のコア導体層と接続されている。一方の導体パッドから放熱部材に伝わる熱は、内層のコア導体層を介して配線基板の平面方向に拡散され得る。熱が放熱部材の近傍に局所的に留まることが抑制され得ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を示す断面図。
【
図3A】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3B】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3C】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3D】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3E】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3F】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の一実施形態である配線基板の一例が図面を参照しながら説明される。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、本発明の特徴が理解され易いように描かれている。
【0009】
図1には、配線基板1の断面図が示されている。配線基板1は、その厚さ方向に対して直交する方向(平面方向)に延在する2つの主面(最外面)として、F面FSとF面FSに対して反対側のS面SSとを備えている。配線基板1はコア基板100を有している。コア基板100は、平面方向に延在する内層のコア導体層100Mを備えている。図示される例においては、内層のコア導体層100Mはコア基板100の厚さ方向における中心部に配置されている。
【0010】
コア基板100は、第1面100F、及び第1面100Fに対して反対側の面である第2面100Sを備えている。図示の例では、コア基板100は、コア基板100に形成される開口130内に収容され、第1面100F及び第2面100Sに露出する放熱部材HBBを備えている。コア基板100の第1面100F上には、絶縁層(第1絶縁層)11及び第1絶縁層11上に形成される導体層(第1導体層)12を含む第1積層部10が形成されている。第2面100S上には、絶縁層(第2絶縁層)21及び第2絶縁層21上に形成される導体層(第2導体層)22を含む、第2積層部20が形成されている。第1積層部10の最も外側の表面は配線基板1の一方の最外面であるF面FSを構成し、第2積層部20の最も外側の表面は配線基板1の他方の最外面であるS面SSを構成している。
【0011】
第1積層部10が有する第1導体層12は、その導体パターンとして複数の導体パッド12pを有している。第1導体層12に含まれる導体パッド12pは第1導体パッド12pとも称される。第1導体パッド12pはF面FSに露出し、配線基板1の使用において外部の電子部品D1の接続パッドD1pと、適切な導電性を有する例えば半田などの接続部材BD1を介して電気的に接続される部品搭載パッドであり得る。すなわち、F面FSは、配線基板1の使用において、外部の電子部品が実装される部品実装面であり得る。部品搭載パッドであり得る第1導体パッド12pは、部品実装面であるF面FSの部品搭載領域DAを構成している。
【0012】
図示される例では、第1積層体10は、第1導体層12及び第1導体層12の導体パターンから露出する第1絶縁層11を被覆する被覆層(第1被覆層)14を有している。第1被覆層14は、例えばソルダーレジスト層であり、第1導体パッド12pを露出させる開口14oを有している。
【0013】
第2積層部20が有する第2導体層22は、その導体パターンとして複数の導体パッド22pを有している。第2導体層22に含まれる導体パッド22pは第2導体パッド22pとも称される。第2導体パッド22pはS面SSに露出し、配線基板1の使用において、外部の例えばマザーボードなどの配線構造体WBの接続パッドWBpと、適切な導電性を有する例えば半田などの接続部材BD2を介して電気的に接続され得る。すなわち、S面SSは、配線基板1の使用において、電子機器のマザーボードや積層構造を有する半導体装置のパッケージ基板等の配線構造体との接続面であり得る。
【0014】
図示される例では、第2積層体20は、第2導体層22及び第2導体層22の導体パターンから露出する第2絶縁層21を被覆する、例えばソルダーレジスト層であり得る被覆層(第2被覆層)24を有している。第2被覆層24は、第2導体パッド22pを露出させる開口24oを有している。
【0015】
なお、配線基板の説明では、配線基板1の厚さ方向においてコア基板100に含まれる内層のコア導体層100Mから遠い側は「上側」、「上方」もしくは「外側」、又は単に「上」、「外」とも称され、内層のコア導体層100Mに近い側は「下側」、「下方」もしくは「内側」、又は単に「下」、「内」とも称される。さらに、配線基板を構成する各要素の説明において、内層のコア導体層100Mと反対側を向く表面は「上面」とも称され、内層のコア導体層100M側を向く表面は「下面」とも称される。従って、例えば第1積層部10及び第2積層部20の説明では、コア基板100から遠い側が「上側」、「上方」、「上層側」又は単に「上」とも称され、コア基板100に近い側が「下側」、「下方」、「下層側」又は単に「下」とも称される。
【0016】
第1積層部10は、第1絶縁層11を貫通するビア導体(第1ビア導体)13を有している。第1ビア導体13は、第1導体層12とコア基板100の第1面100Fを構成する導体層115並びに放熱部材HBBとを接続している。第2積層部20は、第2絶縁層21を貫通するビア導体(第2ビア導体)23を有している。第2ビア導体23は、第2導体層22とコア基板100の第2面100Sを構成する導体層125並びに放熱部材HBBとを接続している。
【0017】
配線基板1の使用において、F面FSに搭載され得る電子部品D1が発する熱は、電子部品D1内に留まると電子部品の誤動作の原因となり得るので、配線基板1を介してS面SSの外側へと放熱されることが望ましい。従って、導体パッド12pを介して配線基板1に吸収される電子部品D1が発する熱は、効率的にS面SSの外側へと放熱されることが望まれる。電子部品D1が発する熱は、配線基板1自体の反りなどの不良を抑制する観点からも、S面SSの外側へと効率的に放熱されることが望まれる。
【0018】
外部の電子部品が実装される部品実装面であり得るF面FSは、配線基板1の使用において、電子部品D1から発生する熱を、第1導体層12及び第1ビア導体13を介してコア基板100側へと伝えるべく受熱する吸熱面として機能し得る。また、外部の配線構造体WBとの接続面であり得るS面SSは、配線基板1の使用において、電子部品D1から発せられコア基板100へと伝導した熱を、第2ビア導体23及び第2導体層22を介してS面SSの外側へと放熱させる放熱面として機能し得る。
【0019】
図示の例では、コア基板100は、内層のコア導体層100M、内層のコア導体層100Mの両面に積層される絶縁層111、121、絶縁層111上に形成される導体層112、及び、絶縁層121上に形成される導体層122を備える、コア部101を有している。導体層112の上側には、絶縁層114が形成され、絶縁層114の上側には導体層115が形成される。導体層115の表面、及び、導体層115の導体パターンから露出する絶縁層114の上面によってコア基板100の第1面100Fが構成される。導体層122の上側には、絶縁層124が形成され、絶縁層124の上側には導体層125が形成される。導体層125の表面、及び、導体層125の導体パターンから露出する絶縁層124の上面によってコア基板100の第2面100Sが構成される。すなわち、コア基板100は4層の絶縁層及び5層の導体層を有しているが、コア基板100が有する絶縁層及び導体層の層数はこれに限定されず、4層以上の絶縁層及び5層以上の導体層を有し得る。なお、コア基板100を構成する導体層112、122、115、125、及び、内層のコア導体層100Mは、単にコア導体層とも称される。
【0020】
図示されるように、コア基板100を構成するコア部101には、開口130が形成されている。収容部130はコア部101(具体的には、絶縁層111、内層のコア導体層100M、及び、絶縁層121)を厚さ方向に貫通しており、その内壁面に沿って内層のコア導体層100Mが露出している。開口130は、その内側に放熱部材HBBが収容される収容部として機能する。従って、開口130は、収容部130とも称される。
【0021】
収容部130の内部には単一の放熱部材HBBが収容され、放熱部材HBBの側面(コア部101の厚さ方向に延在する面)の一部が、収容部130の内壁面に沿って露出するコア導体層(図示の例では、内層のコア導体層100M)の側面と接続している。これにより、放熱部材HBBから平面方向への効果的な熱の伝導が実現され得る。
【0022】
放熱部材HBBは、平面視において、部品搭載領域DAの領域内に配置される。すなわち、放熱部材HBBは、配線基板1の使用において、部品搭載領域DAに搭載され得る電子部品D1の直下の領域内に配置される。なお、「平面視」は、対象物を配線基板1の厚さ方向と平行な視線で見ることを意味している。
【0023】
詳しくは後述されるように、配線基板1は、第1導体パッド12pから第2導体パッド22pへの放熱部材HBBを介する導体の経路を有しており、この経路により、F面FSで吸収される電子部品D1から発せられる熱は、S面SSから配線基板1の外部へと効率的に放熱され得る。放熱部材HBBが平面視における部品搭載領域DAの領域内に配置されることで、第1導体パッド12pから放熱部材HBBへの効率的な熱の吸収が実現され得る。
【0024】
図示の例では、放熱部材HBBを収容する開口(収容部)130は、絶縁層11、21を構成する樹脂成分によって充填され、これにより放熱部材HBBは開口130内に封止される。
【0025】
コア基板100を構成する絶縁層111、121、114、124には、各絶縁層111、121、114、124を厚さ方向に貫通するビア導体113、123、116、126が形成されている。絶縁層111は、絶縁層111を貫通し導体層112と内層のコア導体層100Mとを接続するビア導体113を含んでいる。絶縁層121は、絶縁層121を貫通し導体層122と内層のコア導体層100Mとを接続するビア導体123を含んでいる。
【0026】
絶縁層114は、絶縁層114を貫通しコア基板100の最も外側の導体層115と、導体層112とを接続するビア導体116を含んでいる。絶縁層124は、絶縁層124を貫通しコア基板100の最も外側の導体層125と、導体層122とを接続するビア導体126を含んでいる。
【0027】
第1積層部10には、第1積層部10を構成する絶縁層11を貫通して絶縁層11に接する導体層12、115を電気的に接続する第1ビア導体13が形成されている。第1導体層12に含まれる第1導体パッド12pは、第1ビア導体13を介して放熱部材HBBに接続される。これにより、第1導体パッド12pから放熱部材HBBへのビア導体13を介した伝熱経路が形成される。
【0028】
第2積層部20には、第2積層部20を構成する絶縁層21を貫通して絶縁層21に接する導体層22、125を電気的に接続する第2ビア導体23が形成されている。第2導体層22に含まれる第2導体パッド22pは、第2ビア導体23を介して放熱部材HBBに接続される。これにより、放熱部材HBBから第2導体パッド22pへのビア導体23を介した伝熱経路が形成される。
【0029】
すなわち、配線基板1のF面FSを構成する第1導体パッド12pと、S面SSを構成する第2導体パッド22pとの間に、第1ビア導体13、放熱部材HBB、及び第2ビア導体23を介した伝熱経路が構成されている。
【0030】
なお、本明細書において「伝熱経路」とは、放熱部材HBB、内層のコア導体層100M、導体層112、115、12、22、122、125、ビア導体113、123、116、126、13、23、のうちのいずれかを任意に組合せた接続構造で構成されている経路を意味し得る。具体的には、配線基板1を構成する構成要素のうち、300W/mK以上の熱伝導率を有する材料を含む構成要素を接続することで形成されている経路を意味している。
【0031】
特に、放熱部材HBBが、平面方向に延在する内層のコア導体層100Mと接続されていることにより、配線基板1内において、放熱部材HBBから平面方向への熱の伝導が促進され、放熱部材HBB近傍で局所的に熱が留まることが抑制され得る。内層のコア導体層100Mは、平面視において部品搭載領域DAから外側の領域にまで延在しており、内層のコア導体層100Mを介して伝わる熱は、配線基板1の平面方向に比較的広く拡散され得る。従って、熱が局所的に留まることによる不良(例えば、配線基板1を構成する構成要素間の剥離や配線基板1の反り等)が抑制される場合があると考えられる。
【0032】
内層のコア導体層100Mは、放熱部材HBBを介さず第2導体層22に接続する伝熱経路と接続され得る。具体的には、図示の例においては、内層のコア導体層100Mは、ビア導体123、導体層122、ビア導体126、導体層125、及びビア導体23を介して、第2導体パッド22pに接続されている。放熱部材HBBから内層のコア導体層100Mを介して平面方向に伝導する熱は、このビア導体123、導体層122、ビア導体126、導体層125、及びビア導体23で構成される伝熱経路を介して第2導体層22へと伝導される。F面FS(具体的には、第1導体パッド12p)から吸収され、放熱部材HBBを介して内層のコア導体層100Mへ伝導する熱が、S面SS(具体的には、第2導体パッド22p)へ効率的に放熱され得ると考えられる。
【0033】
また、内層のコア導体層100Mは、放熱部材HBBを介さず第1導体層12に接続する伝熱経路と接続され得る。具体的には、図示の例においては、内層のコア導体層100Mは、ビア導体113、導体層112、ビア導体116、導体層115、及びビア導体13を介して、第1導体パッド12Pに接続されている。F面FSに搭載される電子部品D1から第1導体パッド12pに吸収される熱は、放熱部材HBBを介した伝熱経路に加えて、放熱部材HBBを介さない伝熱経路によっても内層のコア導体層100Mに伝導され得る。F面FSから内層のコア導体層100Mへの効率的な熱の吸収が実現され得ると考えられる。
【0034】
コア基板100に含まれる絶縁層111、121、114、124、第1積層部10に含まれる絶縁層11、及び、第2積層部20に含まれる絶縁層21は、例えばエポキシ樹脂、BT樹脂、フェノール樹脂等の任意の絶縁性樹脂を用いて形成される。
図1に示される例では、絶縁層111、121、114、124は、ガラス繊維やアラミド繊維で形成され得る芯材(補強材)を含んでいる。他の絶縁層11、21は芯材を含んでいないが、ガラス繊維やアラミド繊維等の芯材を含んでいてもよい。被覆層14、24は、例えば、感光性のポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を用いて形成され得る。
図1には示されていないが、絶縁層111、121、114、124、11、21、被覆層14、24のうち、任意の層が無機フィラーを含み得る。各層に含まれ得る無機フィラーとしては、シリカ(SiO
2)、アルミナ、又はムライトなどからなる微粒子が例示される。
【0035】
配線基板1に含まれる各導体層112、122、115、125、12、22、は、銅やニッケル等の、適切な導電性を備えている任意の材料を用いて形成される。好ましくは、銅箔、電解銅めっき膜、もしくは無電解銅めっき膜、又はこれらの組み合わせによって形成されている。
図1に示される例では、単層構造で示されているが、導体層112及び導体層122は、金属箔(好ましくは銅箔)、金属膜(好ましくは無電解銅めっき膜)、及び電解めっき膜(好ましくは電解銅めっき膜)を含む3層構造を有し得る。また、導体層12、22、115、125、ビア導体13、23、116、126、113、123は、例えば、金属膜及び電解めっき膜を含む2層構造を有し得る。ビア導体13、23、116、126、113、123を構成する金属膜及び電解めっき膜は、ビア導体13、23、116、126、113、123のそれぞれが直接接続する外側の導体層を構成している金属膜及び電解めっき膜と一体的に形成され得る。
【0036】
内層のコア導体層100Mは、例えば、アルミニウム又は銅などの比較的熱伝導率が高い金属によって形成され得る、銅箔などの金属箔であり得る。放熱部材HBBは、例えば、アルミニウム又は銅などの比較的熱伝導率が高い金属によって形成される、銅ブロックなどの金属ブロックであり得る。内層のコア導体層100M、及び、放熱部材HBBは、好ましくは、常温において熱伝導率が300W/mK以上の値を有する銅で形成され得る。
【0037】
なお、
図1には、放熱部材HBBが内層のコア導体層100Mと接続されている例が示されているが、放熱部材HBBとコア導体層との接続の構成はこれに限定されない。実施形態の配線基板においては、放熱部材HBBは、コア導体層(導体層112、122、115、125、及び内層のコア導体層100M)の何れかと接続していればよい。放熱部材HBBは収容部130内に露出する導体層112、122、115、125の何れかと接続される構成を有し得る。導体層112、122、115、125の何れかが放熱部材HBBと接続されている場合、放熱部材HBBと接続されている導体層は、平面視において、放熱部材HBBとの接続点から部品搭載領域DAの外側の領域にまで延在する。また、放熱部材HBBと接続されている導体層は、放熱部材HBBを介さずに第2導体層22と接続される伝熱経路をも有し得る。放熱部材HBBと接続されている導体層は、さらには放熱部材HBBを介さずに第1導体層12と接続される伝熱経路をも有し得る。
【0038】
次に、
図2を参照して配線基板の他の例が説明される。
図2には、配線基板の他の例である配線基板2の断面図が示されている。図示されるように、配線基板2は、
図1を参照して前述された配線基板1と比較して、収容部、及び、放熱部材の構成が異なる以外は、配線基板1と同様の構成を有している。
【0039】
具体的には、配線基板2は、
図1を参照して説明された、単一の放熱部材を有する配線基板1と比して、複数の放熱部材HB1、HB2を有している。開口(収容部)110は絶縁層111を貫通し、内層のコア導体層100Mの一方の面をその底部に露出させる。開口(収容部)120は絶縁層121を貫通し、内層のコア導体層100Mの他方の面をその底部に露出させる。開口110、120は、その内側に放熱部材HB1、HB2が収容される収容部として機能する。
【0040】
図示の例では、露出する内層のコア導体層100Mによって区切られる複数の収容部110、120の内部にそれぞれに配置される放熱部材HB1、HB2は、略同等の寸法を有している。また、収容部110と収容部120とは、平面視において重複する位置に形成されており、収容部110内に配置される放熱部材HB1と収容部120内に配置される放熱部材HB2とは、平面視において重複する位置に配置されている。放熱部材HB1と放熱部材HB2とが平面視において重複する位置に配置されていることにより、放熱部材HB1と放熱部材HB2との間で熱は効率的に伝導し得る。配線基板2においても、配線基板1と同様に、放熱部材HB1、HB2は内層のコア導体層100Mと接続しており、これにより、放熱部材HB1、HB2から平面方向への効果的な熱の伝導が実現され得る。
【0041】
次に、配線基板の製造方法が、
図1に示される配線基板1の製造を例にして、
図3A~
図3Fを参照して説明される。先ず、
図3Aに示されるように、コア基板100が形成される。コア基板100の形成では、先ず、所定の厚さの例えば銅又はアルミニウムなどの金属からなる金属板が裁断され、所定の位置に必要な穴をあけた内層のコア導体層100Mが用意される。具体的には、内層のコア導体層100Mには、収容部103(
図1参照)が形成されるべき位置に対応する穴100Mpが形成される。
【0042】
続いて、内層のコア導体層100Mの両面に、例えばエポキシ樹脂等を含浸させた芯材を有するプリプレグと銅箔が内層のコア導体層100Mの両面に近い方から順に積層され、加熱プレスによって一体化される。この一体化によって、内層のコア導体層100Mはプリプレグが硬化した絶縁層111及び絶縁層121によって挟まれた状態となり、内層のコア導体層100Mに形成された穴には絶縁層111及び絶縁層121を構成する樹脂が充填される。
【0043】
続いて、絶縁層111、121の、ビア導体113、123が形成されるべき位置に、炭酸ガスレーザー等のレーザー加工により貫通孔が形成される。貫通孔の形成にはドリル加工等の機械的加工が用いられてもよい。貫通孔にデスミア等の必要な処理が施された後に、無電解銅めっき等によって金属膜が銅箔上及び貫通孔の内面に形成され、さらにこの金属膜をシード層としてめっきレジスト用いるパターンめっき法を用いて、銅等からなる電解めっき膜が形成される。
【0044】
その後、パターンめっきに用いられためっきレジストが除去され、その除去により露出する金属膜及び金属箔が除去される。その結果、所望の導体パターンを含む導体層112及び導体層122が形成される。また、ビア導体113、123が、導体層112、122と一体的に形成され、内層のコア導体層100Mを有するコア部101が完成する。
【0045】
続いて、絶縁層111、121、及び、導体層112、122の形成と同様の方法によって、導体層112上に絶縁層114が積層され、絶縁層114を貫通するビア導体116及び絶縁層114上の導体層115が形成される。導体層122上には、絶縁層124が積層され、絶縁層124を貫通するビア導体126及び絶縁層124上の導体層125が形成される。
図3Aに示される状態のコア基板100の形成が完了する。
【0046】
次いで、
図3Bに示されるように、例えば炭酸ガスレーザーを用いるレーザー加工により、絶縁層114,111、121、124を貫通し、内面に内層のコア導体層100Mを露出させる開口(収容部)130が形成される。具体的には、内層のコア導体層100Mの、収容部103が形成されるべき位置に対応する穴100Mpの縁部が露出するように、レーザー加工により絶縁層114,111、121、124の開口130の形成位置に対応する部分が除去される。レーザー加工による開口130の形成後、開口130の内面に残存する樹脂残渣(スミア)が、例えば、過マンガン酸塩などを含む薬液を用いた処理によって除去(デスミア処理)される。これにより、開口130内に露出する内層のコア導体層100Mにおける穴100Mpの縁部は、開口130の内側に向けて先細る形状に形成され得る。
【0047】
次いで、
図3Cに示されるように、例えばマウンターを使用して、放熱部材HBBが収容部130内に配置される。収容部130内への放熱部材HBBの配置に際しては、収容部130の一方の開口を閉塞する樹脂テープTPが配置され、他方の開口から樹脂テープTPの収容部130内側を向く面に放熱部材HBBが載置され得る。
【0048】
次いで、
図3Dに示されるように、放熱部材HBBが絶縁層11、21に含まれる樹脂によって収容部130内に封止される。
図3Cを参照して上述された、樹脂テープTPの表面に放熱部材HBBが載置されている状態で、第1面100Fを被覆する絶縁層11がフィルム状の樹脂を熱圧着されることで形成され、同時に、収容部130内が絶縁層11を構成する樹脂によって充填される。続いて、樹脂テープTPが除去された後に、第2面100Sを被覆する絶縁層21がフィルム状の樹脂を熱圧着されることで形成され、同時に、収容部130内が絶縁層21を構成する樹脂によって充填される。
【0049】
次いで、
図3Eに示されるように、第1面100F側において、第1導体層12、及び、第1導体層12とコア基板100の最外の導体層である導体層115とを接続する第1ビア導体13が形成される。第1導体層12は、第1導体パッド12pを含むパターンに形成される。第1ビア導体13は、第1導体パッド12pが第1ビア導体13を介して放熱部材HBBと接続されるように形成される。また、第1導体パッド12pが、第1ビア導体13、導体層115、ビア導体116、導体層112、及びビア導体113を介して内層のコア導体層100Mに接続されるように形成される。
【0050】
第2面100S側においては、第2導体層22、及び第2導体層22とコア基板100の最外の導体層である導体層125とを接続する第2ビア導体23が形成される。第2導体層22は、第2導体パッド22pを含むパターンに形成される。第2ビア導体23は、第2導体パッド22pが第2ビア導体23を介して放熱部材HBBと接続されるように形成される。また、第2導体パッド22pが、第2ビア導体23、導体層125、ビア導体126、導体層122、及びビア導体123を介して内層のコア導体層100Mに接続されるように形成される。
【0051】
次いで、
図3Fに示されるように、導体層12、22上に、例えばソルダーレジスト層である被覆層14、24が形成される。コア基板100の第1面100F上への第1積層部10の形成、及び、第2面100S上への第2積層部20の形成が完了する。被覆層14、24は、例えば感光性エポキシ樹脂等の塗布ならびに露光及び現像によって、導体パッド12p、22pを露出させる開口14o、24oを有するように形成される。配線基板1の製造が完了する。
【0052】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。
図1及び
図2を参照して説明された配線基板1及び配線基板2においては、コア基板は4層の絶縁層及び4層の導体層を有しており、第1積層部及び第2積層部はそれぞれ1層の絶縁層及び1層の導体層を有している。しかしながら、配線基板のコア基板、第1積層部、第2積層部が有する絶縁層及び導体層の層数はこれに限定されず、所望の層数に増減され得る。また、
図1及び
図2には示されていないが、配線基板の最外の導体層に含まれる導体パッド(第1及び第2導体パッド)の露出面には、例えば、Ni/Au、Ni/Pd/Au、又はSn等の複数又は単一の金属めっき膜、また、OSP膜であり得る保護膜が形成されてもよい。また、配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されず、その条件や順序等は適宜変更されてよい。現に製造される配線基板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1、2 配線基板
10 第1積層部
20 第2積層部
11 絶縁層(第1絶縁層)
12 導体層(第1導体層)
12p 導体パッド(第1導体パッド)
13 ビア導体(第1ビア導体)
14 被覆層(第1被覆層)
21 絶縁層(第2絶縁層)
22 導体層(第2導体層)
22p 導体パッド(第2導体パッド)
23 ビア導体(第2ビア導体)
24 被覆層(第2被覆層)
100 コア基板
100M 内層のコア導体層
111、121、114、124 絶縁層
112、122、115、125 導体層
D1 電子部品
WB 配線構造体
HB1、HB2、HBB 放熱部材