(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136178
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】モータ及びファン装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/40 20160101AFI20230922BHJP
H02K 5/04 20060101ALI20230922BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H02K11/40
H02K5/04
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041653
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大兼 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】武田 賢
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 光和
(72)【発明者】
【氏名】永元 里司
(72)【発明者】
【氏名】細井 啓一
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605AA07
5H605BB05
5H605BB14
5H605BB19
5H605CC02
5H605CC10
5H605DD09
5H605DD11
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607BB17
5H607BB25
5H607CC05
5H607FF04
5H611AA03
5H611BB01
5H611BB07
5H611TT01
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】ドライバ回路を一体化した機電一体型のモータにおいて、シャフトが基板に接触しても過電流が流れるのを防止する技術を提供する。
【解決手段】モータは、モータブラケットと、モータブラケットの表面側に固定された導電性のシャフトと、シャフトに回転自在に支持されたロータと、ロータの内側でモータブラケットの表面側に固定されて、ロータを回転させるための磁界を発生する複数のコイルが巻装されたステータと、コイルによる磁界の発生を制御するドライバ回路が表面に実装された基板と、モータブラケットの裏面側に固定されて、モータブラケットとの間に基板を収容する収容空間を形成するドライバケースとを備え、ドライバ回路のプラス配線は、モータをシャフト(21)の軸方向から見たときに、基板(13)上のシャフト(21)に重なる領域(132)の外側に実装されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータブラケットと、
前記モータブラケットの表面側に固定された導電性のシャフトと、
前記シャフトに回転自在に支持されたロータと、
前記ロータの内側で前記モータブラケットの表面側に固定されて、前記ロータを回転させるための磁界を発生する複数のコイルが巻装されたステータと、
前記コイルによる磁界の発生を制御するドライバ回路が表面に実装された基板と、
前記モータブラケットの裏面側に固定されて、前記モータブラケットとの間に前記基板を収容する収容空間を形成するドライバケースとを備えるモータにおいて、
前記ドライバ回路のプラス配線は、前記モータを前記シャフトの軸方向から見たときに、前記基板上の前記シャフトに重なる領域の外側に実装されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記モータを前記シャフトの軸方向から見たときに、前記基板上の前記シャフトに重なる領域には、前記ドライバ回路のGND配線が実装されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータにおいて、
前記ドライバ回路のうちの前記コイルに電流を供給するパワー系部品は、前記モータを前記シャフトの軸方向から見たときに、前記基板上の前記ステータに重なる領域の外側に実装されていることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項3に記載のモータにおいて、
前記パワー系部品は、接着剤を介して金属製の前記モータブラケットに接触していることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のモータと、
前記モータにより回転駆動されて、冷却風を生成するファンとを備えることを特徴とするファン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、及びモータを搭載したファン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、持続可能な開発のための2030アジェンダ、平成27(2015)年9月25日国連サミット採択、以下「SDGs」という)の推進に向けた取り組みが行われている。それに伴い、持続可能な生産消費形態の確保などのため、廃棄物や不良品の削減などを目指す技術が知られている。
【0003】
モータを駆動させるためのドライバ回路を一体化した、所謂「機電一体型」のモータが知られている。機電一体型のモータは、例えば、シャフト、ロータ、及びステータがモータブラケットの表面側に配置され、ドライバ回路を実装した基板がモータブラケットの裏面側に配置されているのが一般的である。また、このようなモータは、例えば、ラジエータに冷却風を供給する冷却ファンを駆動するモータとして、車両のエンジンルームに搭載される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような機電一体型のモータにおいて、車両が衝突事故を起こした場合などに、モータブラケットを突き破ったシャフトが基板に接触すると、ドライバ回路が短絡して過電流が流れるという課題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ドライバ回路を一体化した機電一体型のモータにおいて、シャフトが基板に接触しても過電流が流れるのを防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、モータブラケットと、前記モータブラケットの表面側に固定された導電性のシャフトと、前記シャフトに回転自在に支持されたロータと、前記ロータの内側で前記モータブラケットの表面側に固定されて、前記ロータを回転させるための磁界を発生する複数のコイルが巻装されたステータと、前記コイルによる磁界の発生を制御するドライバ回路が表面に実装された基板と、前記モータブラケットの裏面側に固定されて、前記モータブラケットとの間に前記基板を収容する収容空間を形成するドライバケースとを備えるモータにおいて、前記ドライバ回路のプラス配線は、前記モータを前記シャフトの軸方向から見たときに、前記基板上の前記シャフトに重なる領域の外側に実装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライバ回路を一体化した機電一体型のモータにおいて、シャフトが基板に接触しても過電流が流れるのを防止することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るファン装置の一構成例を示す外観斜視図である。
【
図3】ブラシレスモータ、基板、及びドライバケースの分解斜視図である。
【
図4】ロータヨークを除いた状態のモータの構成を示す表面側の斜視図である。
【
図6】ドライバ回路に含まれるパワー系回路の概略回路図である。
【
図7】ドライバ回路が実装された基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るファン装置の一態様として、例えば自動車などの車両に搭載され、ラジエータ内を流れるエンジンの冷却水などを冷却するファン装置について説明する。
【0011】
(ファン装置1の全体構成)
まず、
図1および
図2を参照して、ファン装置1の全体構成を説明する。
図1は、実施形態に係るファン装置1の一構成例を示す外観斜視図である。
図2は、モータ2及びファン3の分解斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、ファン装置1は、駆動源であるモータ2と、モータ2により回転駆動されて冷却風を生成するファン3とを備える。ファン装置1は、例えば、モータ2が後方側(エンジンに対面する側)で、ファン3が前方側(ラジエータに対面する側)に配置されるように、エンジンルーム内に設置される。
【0013】
ファン3は、複数のネジ10によってモータ2に締結される。ネジは、ファン3の表側(モータ2と対向する側とは反対側)から、ファン3の中心部となるボス部31に形成されたネジ孔を通って、モータ2のロータヨーク232に締結される。なお、ファン3をモータ2に締結する締結部材として必ずしもネジ10を用いる必要はなく、ファン3がモータ2に締結可能であれば、ネジの数や締結部材の種類については特に制限はない。
【0014】
ファン3は、シャフト21の軸心上を回転中心としてロータ23と一体に回転するボス部31と、ボス部31の外周から放射状に張り出された複数(本実施形態では7枚)の羽根32と、隣り合う羽根32同士を先端側で連結する複数(本実施形態では7つ)の連結部材33とを有する。
【0015】
ボス部31は、円盤形状の円盤部311と、円盤部311の外縁からモータ2に向けて突出すると共に、複数の羽根32が取り付けられた円筒形状の周壁部312とを含む。ファン3がモータ2に取り付けられると、円盤部311はロータヨーク232の連結壁232Cに対面し、周壁部312はロータヨーク232の外周壁232Aを囲む。
【0016】
(モータ2の構成)
次に、
図3~
図5を参照して、モータ2の構成を説明する。
図3は、ブラシレスモータ11、基板13、及びドライバケース15の分解斜視図である。
図4は、ロータヨーク232を除いた状態のモータ2の構成を示す表面側の斜視図である。
図5は、モータ2の縦断面図である。
【0017】
図3~
図5に示すように、モータ2は、アウターロータ型のブラシレスモータ11と、ドライバ回路12が実装された基板13とを備える、所謂「機電一体型」の電動モータである。
【0018】
ブラシレスモータ11は、モータブラケット14に支持されている。ブラシレスモータ11は、モータブラケット14の厚み方向の一方側(表面側)に配置されている。モータブラケット14の厚み方向の他方側(裏面側)には、複数のネジによって、ドライバケース15が締結されている。これにより、モータブラケット14の裏面とドライバケース15との間には、基板13を収容する収容空間が形成される。
【0019】
すなわち、基板13は、モータブラケット14を挟んでブラシレスモータ11の構成部品21~24と反対側(モータブラケット14の裏面側)に配置されている。なお、モータブラケット14及びドライバケース15は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などの金属)で形成される。また、吸熱率を高めるために、モータブラケット14及びドライバケース15を黒色にしてもよい。
【0020】
また、モータブラケット14の端部には、外部ハーネスが接続される2つのコネクタが一体になったコネクタユニット16が取り付けられている。ブラシレスモータ11、ドライバ回路12、及びコネクタユニット16は、電気的に接続されている。
【0021】
図3~
図5に示すように、ブラシレスモータ11は、シャフト21と、シャフト21の外周に設けられた複数のベアリング22と、シャフト21の軸心周りにベアリング22を介して回転自在に支持されたロータ23と、ロータ23と径方向に所定の間隔を隔てて固定された環状のステータ24とを有する。
【0022】
シャフト21は、モータブラケット14の表面側に固定された固定軸である。以下、モータ2の構成要素に関する説明において、シャフト21の軸方向を単に「軸方向」とし、シャフト21の軸心を中心とした径方向を単に「径方向」とし、シャフト21の軸心を中心とした周方向を単に「周方向」とする。
【0023】
ロータ23は、ステータ24の外周を囲むように周方向に等間隔に並んで配置された複数の永久磁石231と、複数の永久磁石231を支持すると共に、シャフト21に回転自在に支持されたロータヨーク232とを有する。
【0024】
ロータヨーク232は、シャフト21の軸心と同心になるようにモータブラケット14の表面側に配置されている。また、ロータヨーク232は、複数のベアリング22を介してシャフト21に回転自在に支持されている。さらに、ロータヨーク232は、外周壁232Aと、内周壁232Bと、連結壁232Cとを備える。
【0025】
外周壁232Aは、円筒形状の外形を呈する。また、外周壁232Aは、ステータ24より径方向の外側に配置される。さらに、外周壁232Aは、複数の永久磁石231を内周面で支持している。換言すれば、複数の永久磁石231は、周方向に所定の間隔を隔てて外周壁232Aの内周面に固定されている。
【0026】
内周壁232Bは、円筒形状の外形を呈する。また、内周壁232Bは、ステータ24より径方向の内側に配置される。さらに、内周壁232Bは、複数のベアリング22を介してシャフト21に回転自在に支持される。
【0027】
連結壁232Cは、円盤形状の外形を呈する。また、連結壁232Cは、外周壁232A及び内周壁232Bの軸方向の一端同士を接続する。さらに、連結壁232Cは、ステータ24を挟んでモータブラケット14と反対側に配置される。そして、連結壁232Cは、軸方向に所定の間隔を隔ててステータ24に対向配置される。
【0028】
ステータ24は、外周壁232A、内周壁232B、連結壁232C、及びモータブラケット14の表面で囲まれた空間に収容されている。また、ステータ24は、複数の永久磁石231より径方向の内側において、モータブラケット14の表面側に固定されている。さらに、ステータ24は、径方向に所定の隙間を隔てて複数の永久磁石231に対面している。
【0029】
ステータ24は、円筒形状のステータコア241と、ステータコア241の径方向の外側に突出した複数のティースに対して軸方向の両側に装着された絶縁性のインシュレータ242と、インシュレータ242上に巻回された導電性のコイル243とを有する。
【0030】
ステータ24は、コイル243に電流が流れることにより磁界を発生する。そして、コイル243で発生した磁界と、複数の永久磁石231との間に生じる引力及び斥力によって、ロータヨーク232がシャフト21の軸心を中心として回転する。
【0031】
そして、モータ2は、シャフト21を車両の進行方向に向けて、エンジンルーム内に配置される。また、モータ2は、ブラシレスモータ11を前方に向け、ドライバケース15を後方に向けて、エンジンルーム内に配置される。
【0032】
(ドライバ回路12の構成)
図6は、ドライバ回路12に含まれるパワー系回路120の概略回路図である。
図7は、ドライバ回路12が実装された基板13の平面図である。ドライバ回路12は、複数のコイル243による磁界の発生を制御する。ドライバ回路12は、モータブラケット14に対面する基板13の表面に面実装された複数の電子部品(例えば、トランジスタ、ダイオード、抵抗器など)で構成される。基板13は、例えば、アルミニウム合金で形成された板状の外形を呈する。
【0033】
図6に示すように、パワー系回路120は、電源121からブラシレスモータ11のコイル243に電流を供給するために、3つのプラス側トランジスタ122U、122V、122Wと、3つのマイナス側トランジスタ123U、123V、123Wと、モータ制御IC124と、ヒューズ125(以下、これらを総称して、「パワー系部品121~125」と表記することがある。)とを主に備える。なお、コイル243に電流を供給する電子部品は、前述のパワー系部品121~125に限定されない。
【0034】
プラス側トランジスタ122U、122V、122Wのソースは、電源121の+極に並列に接続されている。また、プラス側トランジスタ122U、122V、122Wのドレインは、U相、V相、W相それぞれのコイル243に接続されている。さらに、プラス側トランジスタ122U、122V、122Wのゲートは、モータ制御IC124に接続されている。
【0035】
マイナス側トランジスタ123U、123V、123Wのソースは、U相、V相、W相それぞれのコイル243に接続されている。また、マイナス側トランジスタ123U、123V、123Wのドレインは、電源121の-極に並列に接続されている。さらに、マイナス側トランジスタ123U、123V、123Wのゲートは、モータ制御IC124に接続されている。
【0036】
すなわち、電源121の+極からプラス側トランジスタ122U、122V、122Wを経由してコイル243に至る配線は、プラス電位となるプラス配線である。また、コイル243からマイナス側トランジスタ123U、123V、123Wを経由して電源121の+極に至る配線は、グランド電位となるGND配線である。
【0037】
モータ制御IC124は、各トランジスタ122U、122V、122W、123U、123V、123Wのゲートへの電圧の印加を制御することによって、トランジスタ122U、122V、122W、123U、123V、123WのON及びOFF(コイル243への電流の供給及び遮断)を制御する。ヒューズ125は、電源121の+極とプラス側トランジスタ122U、122V、122Wとの間に配置されて、パワー系回路120に過電流が流れたときに配線を遮断する。
【0038】
図7に示すように、基板13の表面は、領域131、132を含む。そして、ドライバ回路12を構成する配線のうち、プラス配線及びパワー系部品121~125は領域131に配置され、GND配線は領域132に配置される。なお、ここで説明したプラス配線及びGND配線は、
図6で説明したパワー系回路120の配線のみならず、制御系(例えば、速度制御器、速度変換機、電圧制御器など)の配線も含む。
【0039】
また、
図7に示す●印は、モータ2をシャフト21の軸方向から見たときに、基板13上のシャフト21に重なる位置(換言すれば、シャフト21を軸方向に延長した位置)である。
図7に示すように、シャフト21の延長線上は、領域132に重なる。すなわち、モータ2をシャフト21の軸方向から見たときに、基板13上のシャフト21に重なる領域132には、ドライバ回路12のGND配線が実装されている。換言すれば、ドライバ回路12のプラス配線及び電子部品は、モータ2をシャフト21の軸方向から見たときに、基板13上のシャフト21に重なる領域の外側に実装されている。
【0040】
また、
図7の破線は、モータ2をシャフト21の軸方向から見たときに、ステータ24の外周に重なる位置を示している。そして、パワー系部品121~125は、基板13上のステータ24に重なる領域の外側に実装される。
【0041】
さらに、
図5に示すように、パワー系部品121~125は、接着剤17を介して、金属製のモータブラケット14に接触している。なお、接着剤17は、熱伝導性の高いものが望ましい。
【0042】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0043】
上記の実施形態によれば、モータ2をシャフト21の軸方向から見たときに、基板13上のシャフト21に重なる領域に、ドライバ回路12のGND配線を実装した。これにより、仮にシャフト21がモータブラケット14を突き抜けて基板13に接触したとしても、同電位のシャフト21とGND配線とが接触するだけなので、ドライバ回路12に過電流が流れることがなくなる。その結果、ヒューズ125が切れるのを防止できる。
【0044】
なお、ドライバ回路12に過電流が流れるのを防止するためには、モータブラケット14を突き抜けたシャフト21がドライバ回路12のプラス電位となる部分に接触するのを回避すればよい。すなわち、モータ2をシャフト21の軸方向からみたときに、ドライバ回路12のプラス電位となる部分(典型的には、プラス配線)が、基板13上のシャフト21に重なる領域の外側に実装されていればよい。ここで、モータ2をシャフト21の軸方向から見たときに、基板13上のシャフト21に重なる領域には、何も実装されていなくてもよいが、残銅率を向上させる観点からはGND配線が実装されているのが望ましい。
【0045】
また、上記の実施形態によれば、モータ2をシャフト21の軸方向から見たときに、基板13上のステータ24に重なる領域の外側にパワー系部品121~125を実装した。このように、自己発熱するパワー系部品121~125をコイル243から遠ざけることによって、コイル243への熱影響を低減することができる。また、パワー系部品121~125をシャフト21から遠ざけることができるので、シャフト21からパワー系部品121~125への受熱影響を低減することができる。これにより、モータ2の寿命が延伸されて、廃棄物の削減に寄与する。
【0046】
さらに、上記の実施形態によれば、接着剤17を介してパワー系部品121~125を金属製のモータブラケット14に接触させるので、放熱効果が向上する。特に、モータ2でファン3を駆動する場合、ファン3によって生起された冷却風でモータブラケット14が冷却されるので、さらに放熱効果が向上する。これにより、モータ2の寿命が延伸されて、廃棄物の削減に寄与する。
【0047】
なお、上記の実施形態では、エンジンで駆動される車両にファン装置1を搭載した例を説明したが、ファン装置1は、モータ、蓄電池、または燃料電池などで駆動される車両に搭載されてもよい。また、ファン装置1の用途として、ラジエータに冷却風を供給する例を説明したが、ファン装置1の用途はこれに限定されない。さらに、上記の実施形態では、モータ2の用途として、ファン3を回転駆動するファンモータの例を説明したが、モータ2の用途はこれに限定されない。また、アルミニウム合金で形成された基板を適用した例を説明したが、基板13はガラスエポキシ樹脂などの樹脂で形成された基板を適用してもよい。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 :ファン装置
2 :モータ
3 :ファン
10 :ネジ
11 :ブラシレスモータ
12 :ドライバ回路
13 :基板
14 :モータブラケット
15 :ドライバケース
16 :コネクタユニット
17 :接着剤
21 :シャフト
22 :ベアリング
23 :ロータ
24 :ステータ
31 :ボス部
32 :羽根
33 :連結部材
120 :パワー系回路
121 :電源
122U,122V,122W :プラス側トランジスタ
123U,123V,123W :マイナス側トランジスタ
124 :モータ制御IC
125 :ヒューズ
131 :領域
132 :領域
231 :永久磁石
232 :ロータヨーク
232A :外周壁
232B :内周壁
232C :連結壁
241 :ステータコア
242 :インシュレータ
243 :コイル
311 :円盤部
312 :周壁部