(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136255
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】表示装置、表示システム、表示装置の制御方法、及び、表示システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/027 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B60R16/027 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041775
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤木 孝司
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ステアリングホイールに配設される2つの表示部をそれぞれ照光可能な2つの表示装置において、誤点灯や回路異常を検出する。
【解決手段】表示装置は、ステアリングホイールに配置される第1表示装置及び第2表示装置のうちの第1表示装置として用いられる表示装置であって、第1表示部を照光する第1発光ダイオードと、第1発光ダイオードへの電力供給を制御する第1電力制御部と、第1発光ダイオードの点灯制御を行う第1点灯制御部と、第1発光ダイオードの第1点灯状態を監視する第1監視回路と、第1監視回路の出力に基づいて、第1点灯状態の異常を判定する第1異常判定部と、第1異常判定部の判定結果に基づいて、第2表示装置として用いられる表示装置の第2発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御する第1許可制御部とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに配置される第1表示装置及び第2表示装置のうちの前記第1表示装置として用いられる表示装置であって、
第1表示部を照光する第1発光ダイオードと、
前記第1発光ダイオードへの電力供給を制御する第1電力制御部と、
前記第1発光ダイオードの点灯制御を行う第1点灯制御部と、
前記第1発光ダイオードの第1点灯状態を監視する第1監視回路と、
前記第1監視回路の出力に基づいて、前記第1点灯状態の異常を判定する第1異常判定部と、
前記第1異常判定部の判定結果に基づいて、前記第2表示装置として用いられる表示装置の第2発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御する第1許可制御部と
を含む、表示装置。
【請求項2】
前記第1許可制御部は、前記第1異常判定部の判定結果が前記第1点灯状態の異常を表す場合には、前記第2表示装置として用いられる表示装置の前記第2発光ダイオードへの電力供給を不許可にする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1電力制御部は、前記第1発光ダイオードに電流を供給する第1電流供給路において、前記第1発光ダイオードへの電力供給を制御する第1電力制御素子を有する、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1点灯制御部は、
前記第1発光ダイオードに電流を供給する第1電流供給路において、前記第1発光ダイオードに直列に接続される第1点灯スイッチング素子と、
前記第1点灯スイッチング素子を駆動することで前記第1発光ダイオードの点灯制御を行う第1駆動制御部と
を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1駆動制御部は、前記第1点灯スイッチング素子をパルス幅変調で駆動する際のデューティ比を調整可能である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2表示装置として用いられる表示装置と同一の構成を有する、請求項1乃至5のいずれか1項の表示装置。
【請求項7】
ステアリングホイールに配置される第1表示装置及び第2表示装置を含む表示システムであって、
前記第1表示装置は、
第1表示部を照光する第1発光ダイオードと、
前記第1発光ダイオードへの電力供給を制御する第1電力制御部と、
前記第1発光ダイオードの点灯制御を行う第1点灯制御部と、
前記第1発光ダイオードの第1点灯状態を監視する第1監視回路と、
前記第1監視回路の出力に基づいて、前記第1点灯状態の異常を判定する第1異常判定部と、
前記第1異常判定部の判定結果に基づいて、前記第2表示装置の第2発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御する第1許可制御部と
を有し、
前記第2表示装置は、
第2表示部を照光する第2発光ダイオードと、
前記第2発光ダイオードへの電力供給を制御する第2電力制御部と、
前記第2発光ダイオードの点灯制御を行う第2点灯制御部と、
前記第2発光ダイオードの第2点灯状態を監視する第2監視回路と、
前記第2監視回路の出力に基づいて、前記第2点灯状態の異常を判定する第2異常判定部と、
前記第2異常判定部の判定結果に基づいて、前記第1表示装置の第1発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御する第2許可制御部と
を有する、表示システム。
【請求項8】
前記第1許可制御部は、前記第1異常判定部の判定結果が前記第1点灯状態の異常を表す場合には、前記第2表示装置の前記第2発光ダイオードへの電力供給を不許可にし、
前記第2許可制御部は、前記第2異常判定部の判定結果が前記第2点灯状態の異常を表す場合には、前記第1表示装置の前記第1発光ダイオードへの電力供給を不許可にする、請求項7に記載の表示システム。
【請求項9】
ステアリングホイールに配置される第1表示装置及び第2表示装置のうちの前記第1表示装置として用いられる表示装置の制御方法であって、
前記表示装置は、
第1表示部を照光する第1発光ダイオードと、
前記第1発光ダイオードへの電力供給を制御する第1電力制御部と、
前記第1発光ダイオードの点灯制御を行う第1点灯制御部と、
前記第1発光ダイオードの第1点灯状態を監視する第1監視回路と
を含み、
前記第1監視回路の出力に基づいて、前記第1点灯状態の異常を判定し、
前記第1点灯状態の異常の判定結果に基づいて、前記第2表示装置として用いられる表示装置の第2発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御する、
表示装置の制御方法。
【請求項10】
ステアリングホイールに配置される第1表示装置及び第2表示装置を含む表示システムの制御方法であって、
前記第1表示装置は、
第1表示部を照光する第1発光ダイオードと、
前記第1発光ダイオードへの電力供給を制御する第1電力制御部と、
前記第1発光ダイオードの点灯制御を行う第1点灯制御部と、
前記第1発光ダイオードの第1点灯状態を監視する第1監視回路と
を有し、
前記第2表示装置は、
第2表示部を照光する第2発光ダイオードと、
前記第2発光ダイオードへの電力供給を制御する第2電力制御部と、
前記第2発光ダイオードの点灯制御を行う第2点灯制御部と、
前記第2発光ダイオードの第2点灯状態を監視する第2監視回路と、
を有し、
前記第1監視回路の出力に基づいて、前記第1点灯状態の異常を判定し、
前記第1点灯状態の異常の判定結果に基づいて、前記第2表示装置の第2発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御し、
前記第2監視回路の出力に基づいて、前記第2点灯状態の異常を判定し、
前記第2点灯状態の異常の判定結果に基づいて、前記第1表示装置の第1発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御する、
表示システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、表示システム、表示装置の制御方法、及び、表示システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LED点灯監視制御システムとして、LEDの点灯状態、点灯異常、回路異常を監視し、その監視信号を外部の上位装置に出力するとともに、上位装置からの外部信号により灯火の点灯制御を可能とするシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2つの表示装置において、相互にLEDの点灯を許可し合う制御を行うことで、誤点灯や回路異常時を検知し、LEDを強制的に消灯することは開示されていない。
【0005】
そこで、ステアリングホイールに配設される2つの表示部をそれぞれ照光可能な2つの表示装置において、表示部を照光する発光ダイオードの点灯または消灯を互いに制御し合うことで、間接的に相互監視を行い、誤点灯や回路異常を検出した場合、発光ダイオードを強制的に消灯する表示装置、表示システム、表示装置の制御方法、及び、表示システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の表示装置は、ステアリングホイールに配置される第1表示装置及び第2表示装置のうちの前記第1表示装置として用いられる表示装置であって、第1表示部を照光する第1発光ダイオードと、前記第1発光ダイオードへの電力供給を制御する第1電力制御部と、前記第1発光ダイオードの点灯制御を行う第1点灯制御部と、前記第1発光ダイオードの第1点灯状態を監視する第1監視回路と、前記第1監視回路の出力に基づいて、前記第1点灯状態の異常を判定する第1異常判定部と、前記第1異常判定部の判定結果に基づいて、前記第2表示装置として用いられる表示装置の第2発光ダイオードへの電力供給の許可または不許可を制御する第1許可制御部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
ステアリングホイールに配設される2つの表示部をそれぞれ照光可能な2つの表示装置において、相互に許可制御することで、誤作動防止用の多重化構造を持つことなく誤点灯を抑制可能な表示装置、表示システム、表示装置の制御方法、及び、表示システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の表示システム100Sを実装したステアリングホイール10を示す図である。
【
図2】車載システム200の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】表示装置100L及び100Rの回路構成の一例を示す図である。
【
図4】表示システム100Sの表示装置100L及び100Rが実行する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の表示装置、表示システム、表示装置の制御方法、及び、表示システムの制御方法を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の表示システム100Sを実装したステアリングホイール10を運転席側から見た図である。表示システム100Sは、表示装置100L及び100Rを含む。
図1に示すように、ステアリングホイール10は、一例として車両に搭載され、左右のスポーク11の内部に表示装置100L及び100Rがそれぞれ実装されている。表示装置100L及び100Rは、表示部101L及び101Rをそれぞれ有し、表示部101L及び101Rは、左右のスポーク11の表面にそれぞれ露出している。なお、左右の方向は、
図1の紙面に向かって右側、左側を意味する。
【0011】
左側のスポーク11に設けられる表示装置100Lは、第1表示装置の一例であり、右側のスポーク11に設けられる表示装置100Rは、第2表示装置の一例である。
【0012】
表示部101Lは第1表示部の一例であり、表示部101Rは第2表示部の一例である。なお、表示装置100L及び100Rは同一の構成を有するため、表示装置100Rが第1表示装置の一例であるとともに表示部101Rが第1表示部の一例であって、表示装置100Lが第2表示装置の一例であるとともに表示部101Lが第2表示部の一例であってもよい。
【0013】
表示装置100L及び100Rは、LED(light emitting diode)を有する。LEDは、表示部101L及び101Rの裏側にそれぞれ位置する。表示部101L及び101Rの裏側とは、
図1の紙面を垂直に貫く方向において奥側であり、表示部101L及び101Rの運転席側とは反対側のスポーク11の内部側である。
【0014】
表示部101L及び101Rは、車両に搭載される装置の動作状態等を表すシンボルやインジケータの形状を表す透光部を有し、裏側のLEDによって照光されると、透過光によって運転席側からシンボルやインジケータが点灯して見えるように構成されている。なお、シンボルとは、車両に搭載される装置の動作状態等を表す文字や記号である。ここでは、表示部101L及び101Rのシンボルが同一である形態について説明するが、表示部101L及び101Rのシンボルは異なっていてもよい。インジケータとは、車両の各部の状態等を表示する文字や記号である。
【0015】
<表示装置100L及び100Rを含む車載システム200の構成>
図2は、車載システム200の構成の一例を示すブロック図である。車載システム200は、表示装置100L及び100Rとマスタ装置210を含む。マスタ装置210は、例えば、車両に搭載されるECU(electronic control unit)であり、表示装置100L及び100Rに、LED110L及び110Rの点灯または消灯の制御等を行う。表示装置100L及び100Rとマスタ装置210との間は、一例としてLIN(local interconnect network)で通信可能に接続されている。
【0016】
表示装置100L及び100R(表示システム100S)は、LED110L及び110Rをともに点灯させる(オンにする)ことを基本的な点灯状態とする装置である。マスタ装置210からの指示に基づく輝度によるLED110Lの点灯状態は第1点灯状態の一例であり、マスタ装置210からの指示に基づく輝度によるLED110Rの点灯状態は第2状態の一例である。
【0017】
マスタ装置210からの指示に基づく第1点灯状態または第2点灯状態ではないLED110L及び110Rの点灯は、異常点灯状態の一例である。
【0018】
<表示装置100Lの構成>
表示装置100L及び100Rは、同一の構成を有する。表示装置100Lは、LED110L、電力制御回路120L、点灯制御回路130L、監視回路140L、MCU(micro controller unit)150L、及びイネーブル信号出力部(EN信号出力部)155Lを含む。同様に、表示装置100Rは、LED110R、電力制御回路120R、点灯制御回路130R、監視回路140R、MCU150R、及びイネーブル信号出力部(EN信号出力部)155Rを含む。
【0019】
LED110Lは第1発光ダイオードの一例であり、電力制御回路120Lは第1電力制御部の一例であり、点灯制御回路130LのMOSFET131LとMCU150Lの駆動制御部151Lとは、第1点灯制御部の一例である。監視回路140Lは第1監視回路の一例である。LED110Rは第2発光ダイオードの一例であり、電力制御回路120Rは第2電力制御部の一例であり、点灯制御回路130RのMOSFET131RとMCU150Rの駆動制御部151Rとは、第2点灯制御部の一例である。監視回路140Rは第2監視回路の一例である。なお、表示装置100Rが第1表示装置の一例であるとともに表示部101Rが第1表示部の一例であってもよく、その場合には、各構成要素の第1と第2を入れ替えればよい。
【0020】
ここで、
図2に加えて
図3を用いて説明する。
図3は、表示装置100L及び100Rの回路構成の一例を示す図である。表示装置100L及び100Rの回路構成は同一であるため、ここでは表示装置100Lについて説明する。
図3には、電源端子20を示す。電源端子20は、車両のバッテリ等の電源に接続されていて、一例として12Vの直流電力が供給される端子である。
【0021】
表示装置100L及び100Rは同一の構成を有し、表示装置100Lの端子125Lは、表示装置100Rの端子126Rに接続され、イネーブル信号出力部155Rから出力されるイネーブル信号が入力される。また、表示装置100Rの端子125Rは、表示装置100Lの端子126Lに接続され、イネーブル信号出力部155Lから出力されるイネーブル信号が入力される。
【0022】
LED110Lは、電源端子20と、基準電位点の一例であるグランドとの間に接続されている。LED110Lが接続される電源端子20とグランドとの間の線路は、LED110Lに電流を供給する電流供給路であり、第1電流供給路の一例である。
【0023】
電力制御回路120Lは、PNP型のトランジスタ121Lを有する。トランジスタ121Lは、第1電力制御素子の一例である。トランジスタ121Lは、電源端子20に接続されるエミッタと、LED110Lのアノードに接続されるコレクタと、端子125Lに接続されるベースとを有する。端子125Lは、端子126Rを介して表示装置100Rのイネーブル信号出力部155Rに接続されている。トランジスタ121Lのエミッタとベースの間にはトランジスタ121Lが適切に動作するように抵抗器R62が接続され、コレクタとLED110Lのアノードとの間にはLED110Lに適切な電流が流れるように抵抗器R14が接続され、ベースと端子125Lとの間にはトランジスタ121Lのベース電流が適切に制限されるように抵抗器R63が接続されている。
【0024】
電力制御回路120Lは、トランジスタ121Lが表示装置100Rのイネーブル信号出力部155Rから端子126Rを経由して端子125Lに出力されるイネーブル信号によってオンにされると、電源端子20からLED110Lに電力を供給可能にし、表示装置100Rのイネーブル信号出力部155Rから端子126Rを経由して端子125Lに出力されるイネーブル信号によってオフにされると、電源端子20からLED110Lに電力を供給不能にする。このようにして、電力制御回路120Lは、LED110Lへの電力供給を制御する。
【0025】
点灯制御回路130Lは、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)131Lを有する。MOSFET131Lは、LED110Lに直列に接続される第1点灯スイッチング素子の一例である。MOSFET131Lは、LED110Lのカソードに接続されるドレインと、グランドに接続されるソースと、MCU150Lに接続されるゲートとを有する。MOSFET131Lが適切に動作するようにゲートとソースの間には抵抗器R51が接続され、ゲートとMCU150Lの間には抵抗器R50が接続されている。
【0026】
点灯制御回路130Lは、電力制御回路120Lによって電源端子20からLED110Lに電力が供給可能な状態において、MOSFET131LがMCU150Lの駆動制御部151LによってPWM(パルス幅変調)駆動されることによって、LED110Lの点灯制御を行う。PWM駆動による点灯制御は、点灯または消灯の制御の他、デューティ比を変更することで、LED110Lの輝度を調整可能である。
【0027】
監視回路140Lは、LED110LのアノードとMCU150Lとの間に接続され、LED110Lに印加される電圧を監視することで、LED110Lの点灯状態を監視する。監視回路140Lは、LED110Lのアノードに流れる電流を電圧に変換して、点灯状態を表す点灯状態信号としてMCU150Lに入力する。点灯状態信号は、LED110Lの点灯状態の異常を監視するために利用される。
【0028】
MCU150Lは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現されるマイクロコントローラである。MCU150Lは、駆動制御部151L、異常判定部152L、及び許可制御部153Lを有する。
【0029】
MCU150Lの駆動制御部151L、異常判定部152L、及び許可制御部153Lは、それぞれ、第1駆動制御部、第1異常判定部、及び第1許可制御部の一例である。駆動制御部151L、異常判定部152L、及び許可制御部153Lは、MCU150Lが実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。
【0030】
駆動制御部151Lは、マスタ装置210から伝送される点灯制御信号に基づいて、PWMのデューティ比を設定し、LED110LのPWM駆動を行う。
【0031】
異常判定部152Lは、監視回路140Lから入力される点灯状態信号に基づいて、LED110Lの点灯状態の異常を判定する。異常判定部152Lは、異常が発生していない状態においても常時監視を行う。異常判定部152Lは、電力制御回路120Lによって電源端子20からLED110Lに電力が供給されており、駆動制御部151LによってLED110LのPWM駆動が行われ、かつ、LED110Lが予め定められた輝度で点灯している場合には、LED110Lの点灯状態が正常である(異常ではない)と判定する。
【0032】
また、異常判定部152Lは、例えば、電力制御回路120Lによって電源端子20からLED110Lに電力が供給されているが、駆動部制御部151LによってLED110LのPWM駆動を行っていないのにも関わらずLED110Lが点灯している場合には、LED110Lの点灯状態が異常であると判定する。また、異常判定部152Lは、電力制御回路120Lによって電源端子20からLED110Lに電力が供給されていないにも関わらずLED110Lが点灯している場合や、電力制御回路120Lによって電源端子20からLED110Lに電力が供給されており、駆動制御部151LによってLED110LのPWM駆動を行っているときにLED110Lが点灯していない場合にも、LED110Lの点灯状態が異常であると判定する。
【0033】
許可制御部153Lは、異常判定部152Lの判定結果に基づいて、表示装置100RのLED110Rへの電力供給の許可または不許可を制御する。許可制御部153Lは、車両のイグニッションをオンにした直後の表示装置100Lのイニシャライズ時、および、異常判定部152LによってLED110Lの点灯状態が異常であると判定された時以外では、表示装置100RのLED110Rへの電力供給を許可するために、イネーブル信号出力部155Lにイネーブル信号を出力させる。イネーブル信号は、端子126Lを経由して表示装置100Rの端子125Rに出力され、電力制御回路120RのPNP型のトランジスタ121Rのベースに入力され、トランジスタ121Rを制御する信号である。この結果、イネーブル信号によって、表示装置100Rの電力制御回路120Rのトランジスタ121Rがオンにされ、電源端子20からLED110Rに電力供給が可能な状態になる。
【0034】
一方、許可制御部153Lは、異常判定部152LによってLED110Lの点灯状態が異常であると判定されると、表示装置100RのLED110Rへの電力供給を不許可にするために、イネーブル信号出力部155Lにイネーブル信号を出力させないようにする。この結果、イネーブル信号によって、表示装置100Rの電力制御回路120Rのトランジスタ121Rがオフにされ、電源端子20からLED110Rに電力供給が不能な状態になり、LED110Rが強制的に消灯される。
【0035】
これにより、表示装置100RのMCU150Rは、監視回路140Rからの点灯状態信号を通して、点灯状態が正常と認識しているにも関わらず、LED110Rが消灯状態であるため、異常判定部152Rが異常であると判定し、許可制御部153Rはイネーブル信号出力部155Rにイネーブル信号を出力させないようにする。この結果、表示装置100LのLED110Lへの電力供給が不能な状態になり、LED110Lも強制的に消灯される。
【0036】
イネーブル信号出力部155Lは、MCU150Lと端子126Lとの間に接続されており、NPN型のトランジスタ156Lを有する。トランジスタ156Lは、端子126Lに接続されるコレクタと、グランドに接続されるエミッタと、MCU150Lに接続されるベースとを有する。ベースの電圧は、許可制御部153Lによって制御される。
【0037】
イネーブル信号出力部155Lは、許可制御部153Lによってトランジスタ156Lがオンにされると、端子126Lを経由して表示装置100Rの端子125Rに出力されるイネーブル信号を電力制御回路120Rに出力する。一方、イネーブル信号出力部155Lは、許可制御部153Lによってトランジスタ156Lがオフにされると、イネーブル信号の出力を停止する。イネーブル信号の出力が停止されると、電力制御回路120Rのトランジスタ121Rはオフになる。
【0038】
ここでは、
図2及び
図3を用いて、表示装置100Lについて説明したが、表示装置100L及び100Rは同一の構成を有し、端子125Lと端子126Rとが接続されるとともに、端子126Lと端子125Rとが接続されることによって、対称的に接続されている。このため、表示装置100Rは、表示装置100Lについての上述の説明と同様に動作する。
【0039】
なお、表示装置100Rにおいては、電力制御回路120Rは、PNP型のトランジスタ121Rを有する。トランジスタ121Rは、第2電力制御素子の一例である。点灯制御回路130Rは、MOSFET131Rを有する。MOSFET131Rは、LED110Rに直列に接続される第2点灯スイッチング素子の一例である。
【0040】
また、MCU150Rは、駆動制御部151R、異常判定部152R、及び許可制御部153Rを有する。駆動制御部151R、異常判定部152R、及び許可制御部153Rは、それぞれ、第2駆動制御部、第2異常判定部、及び第2許可制御部の一例である。MOSFET131R及び駆動制御部151Rは、第2点灯制御部の一例である。また、イネーブル信号出力部155Rは、MCU150Rと端子126Rとの間に接続されており、NPN型のトランジスタ156Rを有する。
【0041】
表示装置100L及び100Rは、LED110L及び110Rをともに点灯させることを基本的な点灯状態とし、LED110L及び110Rのいずれか一方のみが点灯することがないようにする装置である。
【0042】
これを実現するために、表示装置100L及び100Rは、相手側のLED110R及び110Lの点灯の許可または不許可を切り替えるため、お互いにイネーブル信号の出力を許可または不許可とする制御をし合い、それぞれの監視回路140Lおよび140RにてLEDの点灯状態を監視している。このため、異常時にはマスタ装置210の制御を必要とすることなく、LED110L及び110Rの強制消灯を実現することができる。
【0043】
<フローチャート>
図4は、表示システム100Sの表示装置100L及び100Rが実行する処理を表すフローチャートである。
図4では、全体の流れを分かり易くするために、MCU150L及び150Rが実行する処理以外の動作等を加えて説明する。また、ここでは、表示装置100Lを主体として説明するが、表示装置100Rを主体としても同様である。
【0044】
車両のイグニッションをオンにした直後、表示装置100L及び100Rは、イニシャライズされ、表示装置100Lは、マスタ装置210から点灯制御信号の受信待ち状態にある(ステップS0)。
【0045】
イニシャライズでは、表示装置100L及び100R、表示システム100Sの初期化を行い、表示装置100L及び100R、表示システム100Sに異常のないことを確認する。異常がない場合、表示装置100LのMCU150Lおよび表示装置100RのMCU150Rは、LED110RおよびLED110Lへの電力供給を許可するため、互いにイネーブル信号を出力する。
【0046】
表示装置100LのMCU150Lは、マスタ装置210から信号を受信したかどうかを判定する(ステップS1)。
【0047】
MCU150Lは、受信した信号が点灯制御信号であるかどうかを判定する(ステップS2)。
【0048】
MCU150Lが受信した信号が点灯制御信号である(S2:Yes)と判定すると、MCU150Lは更に、受信した点灯制御信号がLED110Lの点灯を指示するものかを判定する(ステップS2A)。
【0049】
MCU150Lが受信した信号が点灯制御信号であって、かつ、点灯を指示するもの(S2A:Yes)と判定すると、表示装置100Lの許可制御部153Lは、イネーブル信号出力部155Lにイネーブル信号を出力させる(ステップS3A)。既にイネーブル信号を出力させている場合は、継続的にイネーブル信号を出力させる。なお、このときには、異常判定部152LによってLED100Lの点灯状態は異常ではないと判定されている。
【0050】
駆動制御部151Lは、マスタ装置210から受信する点灯制御信号に基づいて、PWMのデューティ比を設定し、PWM駆動に基づいてLED110Lの点灯を行う(ステップS4A)。既にLED110LのPWM駆動が行われている場合には、継続的にPWM駆動を行う。
【0051】
異常判定部152Lは、監視回路140Lから点灯状態信号を取得する(ステップS5)。
【0052】
異常判定部152Lは、点灯状態信号に基づいて、LED110Lの点灯状態に異常がないかどうかを判定する(ステップS6)。
【0053】
異常判定部152Lが、LED110Lの点灯状態は正常である(S6:Yes)と判定すると、マスタ装置210からの点灯制御信号の受信待ち状態(ステップS0)に戻る。一方、異常判定部152Lが異常である(S6:No)と判定すると、表示装置100Lの許可制御部153Lは、イネーブル信号出力部155Lにイネーブル信号を出力させない(ステップS7)。
【0054】
なお、ステップS2において、MCU150Lが受信した信号が点灯制御信号ではない(S2:No)と判定すると、表示装置100L及び100Rの表示部101L及び101Rの点灯又は消灯とは異なる別の機能を処理する。別の機能の処理とは、車両の制御に関する機能の処理であれば、どのような処理であってもよい。
【0055】
また、ステップS2Aにおいて、MCU150Lが受信した信号が点灯制御信号であって、かつ、消灯を指示するもの(S2A:No)と判定すると、表示装置100Lの許可制御部153Lは、イネーブル信号出力部155Lにイネーブル信号を出力させない(ステップS3B)。既にイネーブル信号を出力させていない場合は、継続的にイネーブル信号を出力させないこととする。なお、このときには、異常判定部152LによってLED100Lの点灯状態は異常ではないと判定されている。
【0056】
ステップS3BおよびステップS7において、表示装置100Lのイネーブル信号出力部155Lからイネーブル信号が出力されないため、表示装置100Rの電力制御回路120RからLED110Rに対して電力供給がされなくなり、LED110Rを強制的に消灯する(ステップS11)。
【0057】
ステップS11において、表示装置100RのLED110Rが強制的に消灯されることで、表示装置100RのMCU150Rは、点灯状態が正常と認識しているにも関わらず、LED110Rが消灯状態であるため、異常判定部152Rが異常を検知する(ステップS12)。
【0058】
表示装置100Rは、LED110Rの点灯状態が異常であることを表示装置100Lに伝える。具体的には、許可制御部153Rが、イネーブル信号出力部155Rのトランジスタ156Rをオフにすることで、イネーブル信号出力部155Rは、イネーブル信号を出力させない(ステップS13)。
【0059】
ステップS13において、表示装置100Rのイネーブル信号出力部155Rからイネーブル信号が出力されないため、表示装置100Lの電力制御回路120LからLED110Lに対して電力供給がされなくなり、LED110Lを強制的に消灯する(ステップS21)。以上で一連の処理が終了する。
【0060】
なお、LED110L及び110Rが強制的に消灯された場合、例えば、車両のイグニッションを一度オフにしてから再びオンにされて、表示装置および表示をイニシャライズし、LED110L及び110Rへの電力供給を可能にするために、許可制御部153L及び153Rがイネーブル信号出力部155L及び155Rにイネーブル信号を出力させ、マスタ装置210から点灯制御信号の受信待ち状態(ステップS0)にさせればよい。また、例えば、所定時間(例えば10秒)経過後に異常が生じていなければ、LED110L及び110Rへの電力供給を可能にするために、許可制御部153L及び153Rがイネーブル信号出力部155L及び155Rにイネーブル信号を出力させてもよい。
【0061】
<効果>
以上のように、表示装置100Lは、LED110Lへの電力供給を制御する電力制御回路120Lと、LED110Lの点灯制御を行う点灯制御部(点灯制御回路130L及び駆動制御部151L)と、LED110Lの点灯状態を監視する監視回路140Lと、監視回路140Lの出力に基づいて、LED110Lの点灯状態の異常を判定する異常判定部152Lと、異常判定部152Lの判定結果に基づいて、表示装置100RのLED110Rへの電力供給の許可または不許可を制御する許可制御部153Lとを含む。このため、LED110Lの点灯状態の異常についての判定結果に基づいて、LED110Rへの電力供給の許可または不許可を制御することができる。また、表示装置100Rについても同様である。
【0062】
したがって、ステアリングホイール10に配設される2つの表示部101L及び101Rをそれぞれ照光可能な2つの表示装置100L及び100Rにおいて、相互に表示部を照光する発光ダイオードの点灯の許可または不許可を制御することで、誤点灯を抑制可能な表示装置100L及び100R、表示システム100S、表示装置100L及び100Rの制御方法、及び、表示システム100Sの制御方法を提供することができる。
【0063】
また、許可制御部153Lは、異常判定部152Lの判定結果がLED110L(自己側)の点灯状態の異常を表す場合には、LED110Rへの電力供給を不許可にするので、表示装置100R側(相手側)のLED110Rを強制的に消灯させることができる。これは、表示装置100Rにおいても同様である。このため、異常時のLED110L及び110Rの強制消灯をマスタ装置210の制御を利用せずに迅速に実現することができる。
【0064】
また、電力制御回路120Lは、LED110Lに電流を供給する電流供給路において、LED110Lへの電力供給を制御するトランジスタ121Lを有し、表示装置100Rからの電力供給の許可または不許可に従って、トランジスタ121Lのオンとオフを切り替えることができ、確実に電力供給を制御することができる。これは、電力制御回路120Rにおいても同様である。このため、相互に点灯許可を制御し合い、LED110L及び110Rへの電力供給を確実に制御することができる。
【0065】
また、表示装置100Lの点灯制御部は、LED110Lに電流を供給する電流供給路において、LED110Lに直列に接続されるMOSFET131Lと、MOSFET131Lを駆動することでLED110Lの点灯制御を行う駆動制御部151Lとを有する。これは、表示装置100Rにおいても同様である。このため、LED110L及び110Rへの電力供給があるときに、MOSFET131L及び131Rで確実にLED110L及び110Rの点灯制御を行うことができる。
【0066】
また、駆動制御部151Lは、LED110LをPWM駆動する際のデューティ比を調整可能である。これは、駆動制御部151Rにおいても同様である。このため、LED110L及び110Rの輝度、点灯、消灯を制御可能な表示装置100L及び100Rを提供することができる。
【0067】
また、表示装置100Lは、表示装置100Rと同一の構成を有するので、相互の点灯許可制御を行うことにより間接的な相互監視ができ、マスタ装置を介さないことで誤点灯をより高精度に抑制可能で、かつ、迅速に発光ダイオードを強制的に消灯する表示装置100L及び100R、表示システム100S、表示装置100L及び100Rの制御方法、及び、表示システム100Sの制御方法を提供することができる。
【0068】
以上、本開示の例示的な実施形態の表示装置、表示システム、表示装置の制御方法、及び、表示システムの制御方法について説明したが、本開示は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 ステアリングホイール
100L 表示装置(第1表示装置の一例)
100R 表示装置(第2表示装置の一例)
101L 表示部(第1表示部の一例)
101R 表示部(第2表示部の一例)
110L LED(第1発光ダイオードの一例)
110R LED(第2発光ダイオードの一例)
120L 電力制御回路(第1電力制御部の一例)
120R 電力制御回路(第2電力制御部の一例)
121L トランジスタ(第1電力制御素子の一例)
121R トランジスタ(第2電力制御素子の一例)
130L、130R 点灯制御回路
131L MOSFET(第1点灯スイッチング素子の一例)
131R MOSFET(第2点灯スイッチング素子の一例)
140L 監視回路(第1監視回路の一例)
140R 監視回路(第2監視回路の一例)
150L、150R MCU
151L 駆動制御部(第1駆動制御部の一例)
151R 駆動制御部(第2駆動制御部の一例)
152L 異常判定部(第1異常判定部の一例)
152R 異常判定部(第2異常判定部の一例)
153L 許可制御部(第1許可制御部の一例)
153R 許可制御部(第2許可制御部の一例)
155L、155R イネーブル信号出力部
200 車載システム
210 マスタ装置