(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136260
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】貨幣処理装置および貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 13/00 20060101AFI20230922BHJP
G07D 11/22 20190101ALI20230922BHJP
G07D 11/28 20190101ALI20230922BHJP
【FI】
G07D13/00
G07D11/22
G07D11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041783
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 仁嗣
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA06
3E141CA05
3E141DA04
3E141FC03
3E141FC05
3E141FG11
(57)【要約】
【課題】貨幣の更新が行われた場合の作業負担が軽減された貨幣処理装置および貨幣処理方法を提供する。
【解決手段】貨幣処理装置は、貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送される貨幣のバージョンを識別する識別部と、前記識別部によって識別されたバージョンに基づいて、バージョンごとに設定されている搬送先に貨幣を搬送するように前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記識別部による最新バージョンの貨幣の識別の準備に連動して、バージョン毎の貨幣の搬送先に関する設定情報を自動的に設定するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される貨幣のバージョンを識別する識別部と、
前記識別部によって識別されたバージョンに基づいて、バージョンごとに設定されている搬送先に貨幣を搬送するように前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記識別部による最新バージョンの貨幣の識別の準備に連動して、バージョン毎の貨幣の搬送先に関する設定情報を自動的に設定するように構成されている、
貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記再設定において、前記最新バージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し可能な収納部に設定する、
請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記識別部が前記準備を実施し、かつ、前記準備の実施から第1期間が経過すると、2番目に新しいバージョンの貨幣の搬送先を自動的に設定する、
請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記識別部が前記準備を実施し、かつ、前記最新バージョンの貨幣の流通量を示す指標が所定の値に達すると、2番目に新しいバージョンの貨幣の搬送先を自動的に設定する、
請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記2番目に新しいバージョンの貨幣の搬送先を、前記繰り出し可能な収納部から繰り出し不能な収納部に自動的に設定する、
請求項3または4に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記準備の実施から第2期間が経過したバージョンの貨幣の搬送先を、リジェクト部に自動的に設定する、
請求項5に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記再設定において、新しい方から数えてN番目のバージョンおよび前記N番目よりも新しいバージョンの貨幣の搬送先を、前記繰り出し可能な収納部に自動的に設定する、
請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記再設定において、新しい方から数えて前記N番目よりも古くM番目よりも新しいバージョンおよび前記M番目のバージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し不能な収納部に自動的に設定する、
請求項7に記載の貨幣処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記再設定において、新しい方から数えて前記M番目よりも古いバージョンの貨幣の搬送先を、リジェクト部に自動的に設定する、
請求項8に記載の貨幣処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記再設定において、新しい方から数えてP番目よりも新しく、かつ、前記最新バージョンではないバージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し不能な収納部に自動的に設定する、
請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記再設定において、新しい方から数えて前記P番目よりも古いバージョンの貨幣の搬送先を、リジェクト部に自動的に設定する、
請求項10に記載の貨幣処理装置。
【請求項12】
貨幣処理装置によって実行される貨幣処理方法であって、
最新バージョンの貨幣を識別するための情報を取得し、
前記情報の取得と連動して貨幣の搬送先をバージョン毎に自動的に設定し、
処理対象貨幣のバージョンを識別し、
識別結果に基づいて前記処理対象貨幣を設定された搬送先に搬送する、
ことを含む貨幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣処理装置および貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各国において、貨幣の偽造防止のためのセキュリティ強化等の観点から、新しい貨幣の発行(紙幣の場合は改刷、硬貨の場合は改鋳と称することもある。)が行われることがある。例えば日本においては、2021年に新しい500円硬貨が発行されたのに引き続き、2024年に新しい一万円札、五千円札および千円札の発行が予定されている。また、欧州においては、2002年にユーロ紙幣の流通が開始されてから、数回の改刷が行われている。
【0003】
新しい貨幣の発行が行われる場合、通常、旧貨幣も引き続き市中に流通し、使用し続けることができる。つまり、新貨幣も旧貨幣も市中で使用できる。
【0004】
よって、新しい貨幣の発行が行われた場合、貨幣処理装置には、新貨幣と旧貨幣の両方を処理することが求められる。そのような新旧両貨幣を処理することができる貨幣処理装置の例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新しい貨幣が発行された場合、貨幣処理装置には、新貨幣を処理するための機能の追加が行われる。具体的には、貨幣処理装置内に設けられた記憶部に記憶されている貨幣を識別するための情報(テンプレートと称されることもある。)を更新して、貨幣処理装置が備える識別部によって識別される新貨幣をどのように取り扱うかという設定作業が行われる。また、識別された旧貨幣をどのように取り扱い、識別された新貨幣をどのように取り扱うか、という設定作業が行われる。つまり、識別部が新貨幣を識別することができるようにする作業と、識別結果に基づいて何をどのように取り扱うかを設定する作業が行われることによって、貨幣処理装置は、旧貨幣に加えて新貨幣も処理することができるようになる。
【0007】
このような作業を新しい貨幣の発行のたびに行うことは煩雑である。
【0008】
また、貨幣処理装置の新規導入時には、ユーザによる手作業での初期設定(新旧貨幣の取り扱いの設定)が必要である。その作業も新しい貨幣の発行のたびに行う設定作業と同様に煩雑である。
【0009】
本開示は、新しい貨幣の発行が行われた場合の作業負担が軽減された貨幣処理装置および貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示にかかる貨幣処理装置は、貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送される貨幣のバージョンを識別する識別部と、前記識別部によって識別されたバージョンに基づいて、バージョンごとに設定されている搬送先に貨幣を搬送するように前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記識別部による最新バージョンの貨幣の識別の準備に連動して、バージョン毎の貨幣の搬送先に関する設定情報を自動的に設定するように構成されている。前記制御部は、バージョン毎の貨幣の搬送先の再設定を自動的に完了させるように構成されていてもよい。
【0011】
本開示に係る貨幣処理装置は、貨幣のバージョンを識別する識別部と、貨幣を搬送する搬送部と、前記識別部によって識別されたバージョンに基づいて、バージョンごとに予め設定されている搬送先に貨幣を搬送するように前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記識別部による最新バージョンの貨幣の識別の準備に連動して、バージョン毎の貨幣の搬送先の再設定を自動的に完了させるように構成されていてもよい。
【0012】
制御部は、再設定において、最新バージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し可能な収納部に設定してもよい。
【0013】
制御部は、識別部が準備を実施し、かつ、準備の実施から第1期間が経過すると、2番目に新しいバージョンの貨幣の搬送先を自動的に設定してもよい。制御部は、識別部が準備を実施し、かつ、最新バージョンの貨幣が発行されてから第1期間が経過すると、2番目に新しいバージョンの貨幣の搬送先を自動的に設定してもよい。
【0014】
制御部は、識別部が準備を実施し、かつ、最新バージョンの貨幣の流通量を示す指標が所定の値に達すると、2番目に新しいバージョンの貨幣の搬送先を自動的に設定してもよい。
【0015】
制御部は、2番目に新しいバージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し可能な収納部から繰り出し不能な収納部に自動的に設定してもよい。
【0016】
制御部は、準備の実施(または発行)から第2期間が経過したバージョンの貨幣の搬送先を、リジェクト部に自動的に設定してもよい。
【0017】
制御部は、再設定において、新しい方から数えてN番目のバージョンおよびN番目よりも新しいバージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し可能な収納部に自動的に設定してもよい。
【0018】
制御部は、再設定において、新しい方から数えてN番目よりも古くMよりも新しいバージョンおよびM番目のバージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し不能な収納部に自動的に設定してもよい。
【0019】
制御部は、再設定において、新しい方から数えてM番目よりも古いバージョンの貨幣の搬送先を、リジェクト部に自動的に設定してもよい。
【0020】
制御部は、再設定において、新しい方から数えてP番目よりも新しく、かつ、最新バージョンではないバージョンの貨幣の搬送先を、繰り出し不能な収納部に自動的に設定してもよい。
【0021】
制御部は、再設定において、新しい方から数えてP番目よりも古いバージョンの貨幣の搬送先を、リジェクト部に自動的に設定してもよい。
【0022】
本開示に係る貨幣処理方法は、貨幣処理装置によって実行され、最新バージョンの貨幣を識別するための情報を取得し、前記情報の取得と連動して貨幣の搬送先をバージョン毎に自動的に設定し、処理対象貨幣のバージョンを識別し、識別結果に基づいて前記処理対象貨幣を設定された搬送先に搬送する、ことを含む。予め設定されている搬送先が再設定されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、貨幣の更新が行われた場合の作業負担が軽減された貨幣処理装置および貨幣処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一態様に係る貨幣処理装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
最初に、本明細書における用語の説明を行う。バージョンとは、貨幣が更新された場合に、新旧の貨幣を区別するための情報であり、例えば1ずつ繰り上がる数字で表現される。例えば、それまでに存在しなかった通貨または額面の貨幣が新たに発行された場合に、それらの貨幣のバージョンを「0」に設定し、その後、貨幣の更新が行われる度に、新たに発行された貨幣のバージョンを「1」、「2」と設定していってもよい。貨幣の新規発行および更新が行われた日は通常公になっている。よって、ある貨幣のバージョンがわかれば、その貨幣が発行された時期(いつからいつの間に発行されたか)がわかる。
【0026】
以下、本開示の一態様に係る実施形態について、図面を用いて説明する。本実施形態に係る貨幣処理装置は、貨幣の一例である紙幣を処理する紙幣処理装置1である。
【0027】
図1は、紙幣処理装置1の模式図である。紙幣処理装置1は、紙幣の入金および出金を行う紙幣入出金機である。紙幣処理装置1は、処理部10及び処理部10の下方に配置された収納庫20を備える。
【0028】
処理部10は上部筐体11を有する。上部筐体11には、入金口(開口)12a、出金口(開口)13a及びリジェクト口(開口)14aが設けられている。上部筐体11内には、搬送部15、識別部16、一時保留部17及び制御部18が配置されている。
【0029】
入金口12aの近傍には所定の周期で紙幣を1枚ずつ搬送部15に繰り出す紙幣繰り出し機構が配置されている。入金口12aと紙幣繰り出し機構によって入金部12が構成されている。
【0030】
出金口13aの近傍には、紙幣を積み重ねる集積機構が配置されている。出金口13aと集積機構によって出金部13が構成されている。
【0031】
リジェクト口14aの近傍には、紙幣を積み重ねる集積機構が配置されている。リジェクト口14aと集積機構によってリジェクト部14が構成されている。
【0032】
なお、処理部10の上部前方には、紙幣の入金及び出金の両方が行われる開口が設けられるとともに、この開口の周囲に紙幣繰り出し機構及び集積機構が配置されることによって、入出金部が設けられていてもよい。
【0033】
搬送部15は、紙幣を所定の搬送速度で搬送する。搬送部15は、紙幣を搬送するベルト機構やローラ機構によって構成されている。搬送部15は、紙幣を双方向に搬送可能とするループ状搬送路と、このループ状搬送路から分岐する複数の分岐路とから構成されている。各分岐路は、それぞれ、ループ状搬送路と入金部12、出金部13、リジェクト部14、並びに、後述する一時保留部17、第1収納部22、第2収納部23および回収部24とを接続する。
【0034】
識別部16は、搬送部15によって搬送される紙幣を識別する。識別部16は、画像センサ、光学センサ、磁気センサ等のセンサと、CPUとメモリを備えている。CPUがメモリに記憶されているソフトウェアを実行することにより識別部16は機能する。識別部16は、少なくとも紙幣のバージョンを識別する。識別部16は、真偽、金種、正損等を識別してもよい。
【0035】
一時保留部17は、紙幣を一時的に保留する。一時保留部17は、紙幣を1枚ずつ取り込んで収納し、収納している紙幣を1枚ずつ繰り出す。一時保留部17は、例えば、複数の紙葉類が回転体に巻き取られた状態で収納される巻き取り式の収納部で構成することができる。
【0036】
制御部18は、少なくともCPUとメモリを備えている。制御部18は、搬送部15を介して、所定の位置に紙幣が搬送されるように、紙幣処理装置1を構成する各部を制御することで、紙幣処理装置1を統括制御する。メモリには、紙幣処理装置1を統括制御するためにCPUによって実行されるプログラムが記憶されている。メモリには、少なくとも、識別部16による識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定し、決定された搬送先に紙幣を搬送するように搬送部15を作動させるソフトウェアが記憶されている。また、制御部18は、USBメモリ等の記憶媒体から、もしくは、通信可能に接続された外部のコンピュータから、各種情報を取得することができるように構成されている。取得される各種情報とは、例えば、各種ソフトウェアまたは紙幣を識別するための情報(テンプレートと称されることもある。)である。
【0037】
制御部18は識別部16と例えばLANケーブルまたはUSBケーブルで接続されており、互いに情報を送受信することができるように構成されている。制御部18は、新たに発行されたバージョンの紙幣を識別するための情報を取得した場合、この情報を識別部16に送信する。識別部16は、識別部16が備えるメモリにこの情報を記憶し、新たに発行されたバージョンの紙幣を識別するときに使用する。
【0038】
収納庫20は下部筐体21を有する。
【0039】
下部筐体21内の中には、第1収納部22が配置されている。第1収納部22は、複数の紙葉類が積層状態で収納される積層式の収納部である。第1収納部22は、搬送部15の分岐路と接続されている。第1収納部22は、収納している紙幣を繰り出すことが可能である。つまり、第1収納部22は、繰り出し可能な収納部であり、第1収納部22に収納された紙幣は、必要に応じて出金部13から出金される。
【0040】
下部筐体21の中には、8つの第2収納部23A~23Hが配置されている。これら8つの第2収納部を総称する場合、第2収納部23と記載する。第2収納部23は、複数の紙葉類が回転体に巻き取られた状態で収納される巻き取り式の収納部である。第2収納部23は、搬送部15の分岐路と接続されている。第2収納部23は、収納している紙幣を繰り出すことが可能である。つまり、第2収納部23は、繰り出し可能な収納部であり、第2収納部23に収納された紙幣は、必要に応じて出金部13から出金される。
【0041】
下部筐体21の中には、回収部24が配置されている。回収部24は、カセットまたはパウチ等の容器で構成されており、収納している紙幣を繰り出すことができない。つまり、回収部24は繰り出し不能な収納部であり、回収部24に収納された紙幣は、出金部13から出金されることはない。回収部24に収納された紙幣は、回収部24とともに下部筐体21から取り外され、回収される。その後、空の新しい回収部24が取り付けられる。
【0042】
続いて、以上のように構成された紙幣処理装置1によって実行される紙幣処理方法について説明する。
【0043】
図2は、紙幣を識別するときに識別部16が実行するソフトウェアが参照するテーブルの一例を示している。以下、このテーブルを識別用テーブル2と記載する。識別用テーブル2は識別部16が備えるメモリに記憶されている。
【0044】
識別用テーブル2は、紙幣としてドルを処理する場合のテーブルである。識別用テーブル2では、紙幣のバージョンと額面と特徴が対応づけられている。なお、以下の説明で用いられる紙幣の発行年は、説明の便宜のための架空のものである。
【0045】
識別用テーブル2を用いることで、識別部16は、次のように紙幣を識別することができる。すなわち、ある紙幣を識別したところ、識別部16が備える複数のセンサの1つであるセンサAの検出値がa以上b以下であったら、識別部16は、その紙幣をバージョン3(2010年発行)の10ドル紙幣と識別する。また、ある紙幣を識別したところ、センサAの検出値がc以上d以下であったら、識別部16は、その紙幣をバージョン2(2005年発行)の10ドル紙幣と識別する。また、ある紙幣を識別したところ、センサAの検出値がe以上f以下であったら、識別部16は、その紙幣をバージョン1(2000年発行)の10ドル紙幣と識別する。また、ある紙幣を識別したところ、センサAの検出値がg以上h以下であったら、識別部16は、その紙幣をバージョン0(1995年発行)の10ドル紙幣と識別する。また、ある紙幣を識別したところ、センサAの検出値がi以上j以下であり、かつ、識別部16が備える複数のセンサの1つであるセンサBの検出値がk以上m以下であったら、識別部16は、その紙幣をバージョン3(2010年発行)の20ドル紙幣と識別する。なお、識別用テーブル2には、処理対象の通貨の発行されている全ての額面の紙幣について、バージョンと額面と特徴とが対応づけられて格納されていてもよい。
【0046】
制御部18は、ソフトウェアを実行することで、所定のアルゴリズムによって搬送先設定パターンを生成し、メモリに記憶する。また、紙幣の更新が行われて新たなバージョンの紙幣が発行されたら、制御部18は、同じアルゴリズムによって配送先設定パターン再生成し、メモリに記憶されているパターンを更新する。制御部18は、設定された搬送先設定パターンにしたがって搬送部15を制御する。以下、いくつかの搬送先設定パターンについて説明する。
【0047】
(搬送先設定パターン1)
搬送先設定パターン1では、最新バージョンの紙幣は、発行直後は、最新バージョンの紙幣が発行されるまで最新バージョンであった2番目に新しいバージョンの紙幣と同じ搬送先に設定される。また、搬送先設定パターン1は、最新バージョンの紙幣が発行されて所定期間が経過した段階で、2番目に新しいバージョンの紙幣の搬送先が変更される。
【0048】
図3は、搬送部15を作動させるときに制御部18が実行するソフトウェアが参照するテーブルの一例を示している。以下、このテーブルを搬送用テーブル3と記載する。搬送用テーブル3は制御部18が備えるメモリに記憶されている。なお、
図3に示される搬送用テーブル3において、最新バージョンはバージョン3であり、2番目に新しいバージョンはバージョン2である。
図3はバージョン3が発行されてから所定期間が経過した状態を示しているため、バージョン3の紙幣とバージョン2の紙幣の搬送先は異なるものとなっている。
【0049】
搬送用テーブル3は、紙幣としてドルを処理する場合のテーブルである。搬送用テーブル3では、紙幣のバージョンと額面と搬送先が対応づけられている。
【0050】
図3に示される搬送用テーブル3を用いることで、制御部18は、次のように搬送部15を作動させる。すなわち、識別部16がある紙幣をバージョン3(2010年発行)の10ドル紙幣と識別したら、この紙幣を第2収納部23Aに搬送するように搬送部15を作動させる。また、識別部16がある紙幣をバージョン2(2005年発行)の10ドル紙幣と識別したら、この紙幣を回収部24に搬送するように搬送部15を作動させる。また、識別部16がある紙幣をバージョン1(2000年発行)の10ドル紙幣と識別したら、この紙幣をリジェクト部14に搬送するように搬送部15を作動させる。また、識別部16がある紙幣をバージョン0(1995年発行)の10ドル紙幣と識別したら、この紙幣をリジェクト部14に搬送するように搬送部15を作動させる。また、識別部16がある紙幣をバージョン3(2010年発行)の20ドル紙幣と識別したら、この紙幣を第2収納部23Bに搬送するように搬送部15を作動させる。なお、搬送用テーブル3には、処理対象の通貨の発行されている全ての額面の紙幣について、処理対象のバージョンと額面と搬送先とが対応づけられて格納されていてもよい。また、リジェクト部14に搬送される紙幣は、リジェクト部14に代えて、出金部13に搬送されてもよい。
【0051】
(搬送先設定パターン1の場合の再設定)
本実施形態に係る紙幣処理装置1は、新たに紙幣が発行された場合、新たに発行されて新たに処理されることになる最新バージョンの紙幣を含め、各バージョンの紙幣の搬送先を自動的に再設定することができるように構成されている。以下、この点について説明する。
【0052】
例えば、
図2に示される識別用テーブル2と、
図3に示される搬送用テーブル3とを用いて紙幣処理が行われている状況下で、2020年にバージョン4の紙幣が発行されたとする。
【0053】
この場合、紙幣処理装置1は、記憶媒体または外部のコンピュータから、最新バージョンであるバージョン4の紙幣を識別するための情報を取得する。具体的には、この情報を制御部18が取得する。すると、制御部18は、この情報を識別部16に送信する。
【0054】
識別部16は、バージョン4の紙幣を識別するための情報をメモリに記憶し、バージョン4の紙幣の識別の準備を完了させる。具体的には、
図4に示されるように識別用テーブル2を更新する。なお、更新によって更新前から変更された箇所は、理解を容易にするために太字で示されている。
【0055】
更新された識別用テーブル2を用いることで、識別部16は、さらに、次のように紙幣を識別することができるようになる。すなわち、ある紙幣を識別したところ、センサAの検出値がn以上p以下であり、センサBの検出値がq以上r以下であり、かつ、識別部16が備える複数のセンサの1つであるセンサCの検出値がs以上t以下であったら、識別部16は、その紙幣をバージョン4(2020年発行)の10ドル紙幣と識別する。また、ある紙幣を識別したところ、センサAの検出値がu以上v以下であり、かつ、センサBの検出値がw以上x以下であり、センサCの検出値がy以上z以下であったら、識別部16は、その紙幣をバージョン4(2020年発行)の20ドル紙幣と識別する。
【0056】
また、制御部18は、識別部16によるバージョン4の紙幣の識別の準備に連動して、バージョン毎の紙幣の搬送先の再設定を自動的に完了させる。具体的には、更新された識別用テーブル2が使用されるときまでに、制御部18が備えるメモリに記憶されているソフトウェアを実行することにより、搬送用テーブル3の更新を終える。つまり、識別部16が更新された識別用テーブル2を用いて識別を開始する時に、制御部18はバージョン毎の紙幣の搬送先の再設定を自動的に完了させた状態になっている。制御部18は、例えば、最新バージョンであるバージョン4の紙幣を識別するための情報を取得したとき、または、この情報を識別部16に送信したとき、または、識別部16が識別用テーブル2を更新したときに、搬送用テーブル3を自動的に更新する。よって、紙幣処理装置1に、最新バージョンの紙幣を識別するための情報(テンプレート)を導入する作業を行うだけで、最新バージョンの紙幣を含め処理対象の各バージョンの紙幣をどのように処理するかを自動的に設定することができる。従って、本実施形態に係る紙幣処理装置1によれば、紙幣の更新が行われた場合の作業負担を軽減することができる。
【0057】
続いて、バージョン毎の紙幣の搬送先の再設定の具体的な内容について説明する。
【0058】
図5は、搬送先設定パターン1に従った場合の自動更新後の搬送用テーブル3を示している。制御部18は、最新バージョンであるバージョン4の紙幣の搬送先を、繰り出し可能な収納部である第2収納部23Aまたは第2収納部23Bに設定している。これらの搬送先は、バージョン3の紙幣の搬送先と同じである。なお、再設定によって再設定前から変更された箇所は理解を容易にするために太字で示されている。
【0059】
このように再設定することによって、紙幣処理装置1は、紙幣の出金が必要になった場合、最新バージョンの紙幣を出金することができる。したがって、最新バージョンの紙幣が紙幣処理装置1の中から出てこなくなって、最新バージョンの紙幣の市中における流通促進が阻害されることを防止することができる。
【0060】
制御部18は、識別部16が最新バージョンの紙幣の識別の準備を実施し、かつ、準備の実施から第1期間が経過すると、2番目に新しいバージョンの紙幣の搬送先を自動的に設定する。このとき、第1期間の経過の起点を、準備の実施に代えて最新バージョンの紙幣の発行としてもよい。制御部18が時計機能(現在日時を知る機能)を有し、かつ、最新バージョンの紙幣を識別するための情報(テンプレート)に、最新バージョンの紙幣の発行日が含まれている場合、制御部は、最新バージョンの紙幣の発行からの経過時間を得ることができる。
【0061】
例えば、制御部18は、最新バージョンであるバージョン4の紙幣が発行されてから2年が経過すると、2番目に新しいバージョンであるバージョン3の紙幣の搬送先を自動的に回収部24に設定する。この場合、搬送用テーブル3は
図6に示されるように自動的に更新される。つまり、
図6に示される搬送用テーブル3は、2022年(バージョン4が発行された2020年から2年経過)の時点における状態を示している。
【0062】
最新バージョンの紙幣が発行されてからしばらくの間は、最新バージョンの紙幣の流通量は少なく、市中で流通している紙幣に占める割合は小さい。そのため、仮に、最新バージョンの紙幣が発行されると同時に、それまで最新バージョンであったバージョン(つまり、2番目に新しいバージョン)の紙幣を繰り出し可能な収納部以外の場所に搬送するようにしてしまうと、紙幣処理装置1の中に出金可能な紙幣が足りなくなってしまう可能性がある。しかしながら、最新バージョンの紙幣が発行されてから第1期間が経過するまでの間は、2番目に新しいバージョンの紙幣も繰り出し可能な収納部に搬送することにより、出金可能な紙幣が足りなくなることを防止することができる。
【0063】
しかも、最新バージョンの紙幣が発行されてから第1期間が経過すると、最新バージョンの紙幣の流通量も十分多くなり、市中で流通している紙幣に占める割合も大きくなっている。よって、この段階で2番目に新しいバージョンの紙幣の搬送先を繰り出し可能な収納部以外の場所にすることで、最新バージョンの紙幣のみを出金し、市中に流通する最新バージョンの紙幣の割合をさらに大きくすることができる。また、2番目に新しいバージョンの紙幣の搬送先をリジェクト部14ではなく回収部24に設定することで、2番目に新しいバージョンの紙幣を以前と同様に紙幣処理装置1が受け入れることができる。
【0064】
また、制御部18は、第1期間が経過することに代えて、最新バージョンの紙幣の流通量を示す指標が所定の値に達したことを条件として、2番目に新しいバージョンの紙幣の搬送先を自動的に設定してもよい。
【0065】
このように設定することにより、出金可能な紙幣が足りなくなることを防止することができ、かつ、市中に流通する最新バージョンの紙幣の割合をさらに大きくすることを、適切なタイミングで行うことができる。
【0066】
なお、最新バージョンの紙幣の流通量を示す指標は、例えば、市中で流通する紙幣に占める最新バージョンの紙幣の割合であってもよいし、紙幣処理装置1が処理した紙幣に占める最新バージョンの紙幣の割合であってもよい。また、この指標は、紙幣処理装置1が処理した最新バージョンの紙幣の積算数であってもよい。なお、市中で流通する紙幣に占める最新バージョンの紙幣の割合は、ネットワーク等を介して、紙幣処理装置1が外部のコンピュータから取得することができる。
【0067】
なお、第1期間は、2年でなくてもよいことは言うまでもない。また、制御部18は、最新バージョンの紙幣が発行されてから第1期間が経過しても、2番目に新しいバージョンの紙幣の搬送先を自動的に設定しなくてもよい。例えば、2番目に新しいバージョンの紙幣の搬送先の設定は、最新バージョンの紙幣の発行タイミングとは関係なく、任意のタイミングで、作業員によって手動で行われてもよい。
【0068】
また、制御部18は、発行から第2期間が経過した紙幣の搬送先をリジェクト部14に自動的に設定してもよい。例えば、第2期間が20年の場合、バージョン2の紙幣が発行された2005年の20年後である2025年に、搬送用テーブル3は、
図7に示されるように自動的に更新されてもよい。また、リジェクト部14に搬送される紙幣は、リジェクト部14に代えて、出金部13に搬送されるように設定されてもよい。
【0069】
発行からある程度長い期間が経過した紙幣、つまり古いバージョンの紙幣は、一般的に、発行されてから経過した時間が短い紙幣、つまり新しいバージョンの紙幣と比較すると、耐偽造性能に劣る。すなわち、古いバージョンの紙幣の偽券は、一般的に、新しいバージョンの紙幣の偽券よりも相対的に製造が容易である。発行から第2期間が経過した紙幣の搬送先をリジェクト部14に自動的に再設定することにより、古いバージョンの紙幣の偽券を正券として処理してしまうことを根本的に防止することができる。
【0070】
なお、搬送先が繰り出し可能な収納部またはリジェクト部14に設定された紙幣以外の紙幣の搬送先は、繰り出し不能な収納部である回収部24に自動的に設定されてもよい。
【0071】
以上のように搬送先が自動的に再設定される紙幣処理装置1においては、次のように紙幣が処理される。すなわち、紙幣処理装置1は、最新バージョンの紙幣を識別するための情報を取得し、情報の取得と連動して紙幣の搬送先をバージョン毎に自動的に再設定し、処理対象紙幣のバージョンを識別し、識別結果に基づいて処理対象紙幣を設定された搬送先に搬送する。
【0072】
(搬送先設定パターン2)
続いて、制御部18が生成するパターンの他の例である搬送先設定パターン2について説明する。なお、搬送先設定パターン1と共通する内容の説明は省略する。
【0073】
搬送先設定パターン2では、再設定が行われる時点において新しい方から数えてN番目のバージョンおよびこのN番目のバージョンよりも新しいバージョンの紙幣の搬送先が、繰り出し可能な収納部に自動的に設定される。例えば、Nが「1」である場合は、最新バージョンの紙幣のみが繰り出し可能な収納部例えば第2収納部23に搬送される。また、Nが「2」である場合は、最新バージョンの紙幣および2番目に新しいバージョンの紙幣のみが繰り出し可能な収納部に搬送される。Nが「1」の場合、搬送用テーブル3は例えば
図3に示されるものとなる。また、Nが「2」の場合、搬送用テーブル3は例えば
図8に示されるものとなる。以下、Nが「2」の場合を例に挙げて説明する。なお、Nは1以上の自然数である。
【0074】
図8に示されるように、Nが「2」である場合、その時点で最新バージョンであるバージョン3と2番目に新しいバージョンであるバージョン2の紙幣が、繰り出し可能な収納部である第2収納部23Aまたは第2収納部23Bに搬送されるように設定される。
【0075】
(搬送先設定パターン2の場合の再設定)
この状態で、バージョン4の紙幣が2020年に発行された場合、搬送用テーブル3は
図9に示されるように更新される。すなわち、バージョン4の紙幣が発行された段階で最新のバージョンであるバージョン4の紙幣と、2番目に新しいバージョンであるバージョン3の紙幣が、第2収納部23Aまたは第2収納部23Bに搬送されるように、搬送先の再設定が行われる。
【0076】
このように再設定することによって、常に比較的新しいバージョンの紙幣を出金することができる。しかも、2番目に新しいバージョンの紙幣も出金対象になるため、紙幣処理装置1の中で出金用の紙幣が足りなくなることも未然に防止することができる。
【0077】
また、搬送先設定パターン2においては、再設定において、新しい方から数えてN番目よりも古くM番目よりも新しいバージョンおよびM番目のバージョンの紙幣の搬送先を、繰り出し不能な収納部に自動的に設定してもよい。例えば、Nを「2」とし、Mを「3」とした場合、3番目に新しいバージョンの紙幣が、繰り出し不能な収納部、例えば回収部24に搬送されるように、搬送先の再設定が行われる。
図8に示される搬送用テーブル3においては、3番目に新しいバージョン1の紙幣の搬送先が回収部24に設定されており、
図9に示される搬送用テーブル3においては、3番目に新しいバージョン2の紙幣の搬送先が回収部24に設定されている。なお、Mは1以上の自然数である。
【0078】
このように再設定することによって、新しくはないものの偽券の製造が懸念されるほど古くはないバージョンの紙幣を、以前と同様に紙幣処理装置1が受け入れることができる。よって、紙幣処理装置1の利便性を向上させることができる。
【0079】
また、搬送先設定パターン2においては、再設定において、新しい方から数えてM番目よりも古いバージョンの紙幣の搬送先を、リジェクト部14に自動的に設定してもよい。例えば、Mを「3」とした場合、3番目に新しいバージョンの紙幣よりも古いバージョンの紙幣が、リジェクト部14に搬送されるように、搬送先の再設定が行われる。
図8に示される搬送用テーブル3においては、4番目に新しいバージョン0の紙幣の搬送先がリジェクト部14に設定されている。また、
図9に示される搬送用テーブル3においては、4番目に新しいバージョン1の紙幣の搬送先と5番目に新しいバージョン0の紙幣の搬送先がリジェクト部14に設定されている。また、リジェクト部14に搬送される紙幣は、リジェクト部14に代えて、出金部13に搬送されるように設定されてもよい。
【0080】
このように再設定することによって、偽券の製造が比較的容易である古いバージョンの紙幣の偽券を正券として処理してしまうことを根本的に防止することができる。
【0081】
(搬送先設定パターン3)
続いて、制御部18が生成するパターンの他の例である搬送先設定パターン3について説明する。なお、搬送先設定パターン1と共通する内容の説明は省略する。
【0082】
搬送先設定パターン3では、再設定が行われる時点において新しい方から数えてP番目よりも新しく、かつ、最新バージョンでないバージョンの紙幣の搬送先が、繰り出し不能な収納部、例えば回収部24に設定される。また、搬送先設定パターン3では、最新バージョンの紙幣の搬送先が、繰り出し可能な収納部、例えば第2収納部23に設定される。Pが「3」の場合、搬送用テーブル3は例えば
図3に示されるものとなる。また、Pが「4」の場合、搬送用テーブル3は例えば
図10に示されるものとなる。以下、Pが4の場合を例に挙げて説明する。なお、Pは1以上の自然数である。
【0083】
図10に示されるように、Pが「4」である場合、その時点で最新バージョンであるバージョン3の紙幣が、繰り出し可能な収納部である第2収納部23Aまたは第2収納部23Bに搬送されるように設定されている。また、その時点で新しい方から数えて4番目よりも新しく、最新ではないバージョン、つまり、バージョン2およびバージョン1の紙幣が、繰り出し不能な収納部である回収部24に搬送されるように設定されている。
【0084】
(搬送先設定パターン3の場合の再設定)
この状態で、バージョン4の紙幣が2020年に発行された場合、搬送用テーブル3は
図11に示されるように更新される。すなわち、バージョン4の紙幣が発行された段階で最新のバージョンであるバージョン4の紙幣が、第2収納部23Aまたは第2収納部23Bに搬送されるように、搬送先の再設定が行われる。また、バージョン4の紙幣が発行された段階で新しい方から数えて4番目よりもよりも新しく、最新ではないバージョン、つまり、バージョン3およびバージョン2の紙幣が、回収部24に搬送されるように、搬送先の再設定が行われる。
【0085】
このように再設定すると、紙幣処理装置1から出金される紙幣が最新バージョンの紙幣に限定される。よって、新たなバージョンの紙幣が発行されたときに、市中に流通する紙幣に占める最新バージョンの紙幣の比率を、より迅速に大きくすることができる。また、比較的新しいバージョンの紙幣を、以前と同様に紙幣処理装置1が受け入れることができる。したがって、紙幣処理装置1の利便性を損なうこと無く、最新バージョンの紙幣の流通比率を迅速に大きくすることができる。
【0086】
また、パターン3においては、再設定において、新しい方から数えてP番目よりも古いバージョンの紙幣の搬送先を、リジェクト部に自動的に設定してもよい。
【0087】
このように再設定することによって、偽券の製造が比較的容易である古いバージョンの紙幣の偽券を正券として処理してしまうことを根本的に防止することができる。
【0088】
本開示に係る貨幣処理装置は、これまでに詳細に説明された実施形態には限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えたものも本開示に係る貨幣処理装置に包含される。例えば、複数のバージョンの紙幣を第2収納部23に収納する場合、バージョンごとに異なる第2収納部23に収納してもよい。例えば、
図5に示される搬送用テーブル3において、バージョン4の10ドルの搬送先は第2収納部23Cであり、バージョン4の20ドルの搬送先は23Dであってもよい。また、繰り出し可能な収納部として、第2収納部23に代えて第1収納部22が使用されてもよい。また、貨幣処理装置は、貨幣として硬貨を処理する硬貨処理装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示は、流通、金融等、貨幣を取り扱う各種産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 紙幣処理装置
2 識別用テーブル
3 搬送用テーブル
10 処理部
11 上部筐体
12 入金部
12a 入金口
13 出金部
13a 出金口
14 リジェクト部
14a リジェクト口
15 搬送部
16 識別部
17 一時保留部
18 制御部
20 収納庫
21 下部筐体
22 第1収納部
23 第2収納部
24 回収部