(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136277
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20230922BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20230922BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20230922BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20230922BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20230922BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20230922BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/291
H01M50/213
H01M50/211
H01G11/12
H01G11/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041801
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】奥野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】小西 敦之
(72)【発明者】
【氏名】岩嶋 泰行
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB01
5E078DA02
5E078DA11
5E078EA16
5E078HA02
5E078HA05
5E078HA12
5E078HA13
5E078JA02
5E078JA07
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5H040AA06
5H040AS01
5H040AS04
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY05
5H040CC11
5H040CC32
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供すること。
【解決手段】蓄電装置1は、蓄電素子100と、蓄電素子100を保持するセルホルダ130と、蓄電素子100及びセルホルダ130を収容する外装体10と、を備える。蓄電素子100及びセルホルダ130はX軸方向に並んで配置されている。外装体10は、X軸方向と直交するZ軸方向に開口し、蓄電素子100及びセルホルダ130の挿入が可能な開口部12aと、X軸方向及びZ軸方向と直交するY軸方向においてセルホルダ130と対向する位置にある第一傾斜面15aとを有する。第一傾斜面15aは、開口部12aに近づくに従って蓄電素子100から離れる向きに傾けられた面である。セルホルダ130は、第一傾斜面15aと接触する第一接触部141を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、前記蓄電素子を保持するホルダと、前記蓄電素子及び前記ホルダを収容する外装体と、を備え、
前記蓄電素子及び前記ホルダは第一方向に並んで配置されており、
前記外装体は、
前記第一方向と直交する第二方向に開口し、前記蓄電素子及び前記ホルダの挿入が可能な開口部と、
前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向において前記ホルダと対向する位置にある第一傾斜面であって、前記開口部に近づくに従って前記蓄電素子から離れる向きに傾けられた面である第一傾斜面とを有し、
前記ホルダは、前記第一傾斜面と接触する第一接触部を有する、
蓄電装置。
【請求項2】
前記第一接触部は、前記第二方向に並ぶ複数の凸部を有し、前記複数の凸部それぞれの突出長さは、前記開口部に近づくほど長い、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第一接触部は、前記第一傾斜面に対応する傾きを有する接触面であって、前記第一傾斜面と面で接触する接触面を有する、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記ホルダは、前記蓄電素子の前記第一方向の側面に沿って配置される本体部を有し、前記第一接触部は、前記本体部から前記第一傾斜面に向けて突出して設けられている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記外装体はさらに、前記第三方向において前記第一傾斜面と対向する位置にある第二傾斜面であって、前記開口部に近づくに従って前記蓄電素子から離れる向きに傾けられた面である第二傾斜面を有し、
前記ホルダはさらに、前記第三方向において前記第二傾斜面と接触する第二接触部を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装体を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳型等の型を用いて、一方向に開口した箱形の外装体を製造する場合、成形品を型から取り出しやすくするために、当該型の内側面には傾斜が設けられており、その結果、外装体の側壁部には抜き勾配と呼ばれる勾配(傾斜)が生じる。例えば特許文献1には、一つ以上の蓄電素子を保持する第一の外装体と、第一の外装体が挿入される第二の外装体とを備える蓄電装置が開示されている。第一の外装体は、一つ以上の蓄電素子の外周を包囲する第一縦壁部を有し、第二の外装体は、第一の外装体の第一縦壁部を包囲する第二縦壁部を有する。第一縦壁部の外面は、第一の外装体の挿入方向の奥側ほど前記第二縦壁部から離間するように傾斜した傾斜面となっており、第一縦壁部の外面及び第二縦壁部の内面のいずれか一方は、いずれか他方に当接する突起部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の蓄電装置では、第一の外装体の第一側壁部は、抜き勾配(外向きの傾斜)を有しているが、例えば第一側壁部の外面に突起を配置することで、突起が、第一の外装体を収容する第二の外装体の第二縦壁部に当接し、これにより、第一の外装体のがたつきが抑制される。つまり、第一側壁部の外面が傾斜していることに起因する問題の解決が図られている。
【0005】
しかし、上記の第一側壁部のように、抜き勾配を有する側壁部を備える外装体では、側壁部の内面も傾斜しており、この傾斜した内面に起因する問題も発生し得る。具体的には、外装体の内部に配置される蓄電素子は、外装体に収容された状態において、外装体の底壁部に対して垂直な側面を有しており、当該側面に沿って配置された状態で蓄電素子を保持するホルダも、外装体の底壁部に対して垂直な側面を有している。従って、ホルダの側面と側壁部の内面との間には、当該内面が傾斜していることによる隙間が生じる。ホルダと側壁部との間に隙間が存在する場合、外装体の内部においてホルダ及びホルダに保持された蓄電素子が移動する可能性があり、このことは蓄電装置における不具合発生の要因となる。そこで、ホルダの位置ずれを抑制するためのフレーム等の部材を配置することが考えられるが、この場合は、蓄電装置の部品点数の増加等の問題が生じる。
【0006】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、前記蓄電素子を保持するホルダと、前記蓄電素子及び前記ホルダを収容する外装体と、を備え、前記蓄電素子及び前記ホルダは第一方向に並んで配置されており、前記外装体は、前記第一方向と直交する第二方向に開口し、前記蓄電素子及びホルダの挿入が可能な開口部と、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向において前記ホルダと対向する位置にある第一傾斜面であって、前記開口部に近づくに従って前記蓄電素子から離れる向きに傾けられた面である第一傾斜面を有し、前記ホルダは、前記第一傾斜面と接触する第一接触部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る蓄電素子ユニットの分解斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る2つのセルホルダの外観を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に係るセルホルダの構成を示す側面図である。
【
図7】実施の形態に係る外装体とセルホルダとの構造上の関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、前記蓄電素子を保持するホルダと、前記蓄電素子及び前記ホルダを収容する外装体と、を備え、前記蓄電素子及び前記ホルダは第一方向に並んで配置されており、前記外装体は、前記第一方向と直交する第二方向に開口し、前記蓄電素子及びホルダの挿入が可能な開口部と、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向において前記ホルダと対向する位置にある第一傾斜面であって、前記開口部に近づくに従って前記蓄電素子から離れる向きに傾けられた面である第一傾斜面を有し、前記ホルダは、前記第一傾斜面と接触する第一接触部を有する。
【0011】
この構成によれば、蓄電素子を保持するホルダの側方には、外装体が有する第一傾斜面が配置される。第一傾斜面は、外装体の開口部に近づくに従って蓄電素子から離れる向き(外向き)に傾けられた面である。このような構成を有する蓄電装置において、蓄電素子を保持するホルダは、ホルダが有する第一接触部によって第一傾斜面に接触できる。これにより、ホルダ及びホルダに保持された蓄電素子の外装体の内部における移動(位置ずれ)が抑制される。すなわち、側壁部の内側面に、いわゆる抜き勾配が形成された外装体を備える蓄電装置における、蓄電素子の位置の安定性が向上する。このように、本態様に係る蓄電装置は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【0012】
前記第一接触部は、前記第二方向に並ぶ複数の凸部を有し、前記複数の凸部それぞれの突出長さは、前記開口部に近づくほど長い、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、第一接触部が第二方向に並ぶ複数の凸部で構成される。そのため、例えば、第一傾斜面における傾斜角度と、複数の凸部の先端をつなぐ線の傾きとの間にずれが存在する場合であっても、少なくとも1つの凸部が圧縮されることで、複数の凸部が第一傾斜面に接触する蓋然性が高くなる。つまり、第一傾斜面の傾斜角度と、複数の凸部の先端を結ぶ線の傾斜角度とを厳密に一致させない場合であっても、ホルダの第一接触部を第二方向の複数箇所で第一傾斜面に接触させることができる。このことは、ホルダ及びホルダに保持された蓄電素子の位置の安定性の更なる向上に寄与する。
【0014】
前記第一接触部は、前記第一傾斜面に対応する傾きを有する接触面であって、前記第一傾斜面と面で接触する接触面を有する、としてもよい。
【0015】
この構成によれば、ホルダの第一接触部は、外装体の第一傾斜面と比較的に広い面積で接触できる。これにより、比較的に大きな摩擦力によって、ホルダの移動が規制される。これにより、蓄電素子の位置をより確実に安定させることができる。
【0016】
前記ホルダは、前記蓄電素子の前記第一方向の側面に沿って配置される本体部を有し、前記第一接触部は、前記本体部から前記第一傾斜面に向けて突出して設けられている、としてもよい。
【0017】
この構成によれば、例えば、ホルダの本体部を蓄電素子の第一方向の側面とほぼ同じ大きさの矩形状とすることで蓄電素子をバランスよく保持でき、かつ、第一接触部が第一傾斜面に接触することで蓄電素子の位置の安定化も実現できる。
【0018】
前記外装体はさらに、前記第三方向において前記第一傾斜面と対向する位置にある第二傾斜面であって、前記開口部に近づくに従って前記蓄電素子から離れる向きに傾けられた面である第二傾斜面を有し、前記ホルダはさらに、前記第三方向において前記第二傾斜面と接触する第二接触部を有する、としてもよい。
【0019】
この構成によれば、第三方向で対向する2つの傾斜面の間に、蓄電素子を保持するホルダが配置され、かつ、ホルダの第三方向の両側に接触部が設けられる。つまり、ホルダは第三方向で対向する2つの傾斜面の間において、当該2つの傾斜面に接触した状態で配置される。これにより、蓄電素子の位置をより確実に安定させることができる。
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0021】
以下の説明及び図面中において、蓄電素子の短側面の対向方向、または、蓄電素子の容器の蓋板の長手方向を、Y軸方向と定義する。複数の蓄電素子の並び方向、または、蓄電素子の長側面の対向方向を、X軸方向と定義する。蓄電装置の外装体の本体(外装体本体)と蓋体との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0022】
以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。単に「X軸方向」という場合は、X軸に平行な双方向またはいずれか一方の方向を意味する。Y軸及びZ軸に関する用語についても同様である。
【0023】
さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0024】
(実施の形態)
[1.蓄電装置の全般的な説明]
まず、実施の形態に係る蓄電装置1の概略構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置1の分解斜視図である。
図3は、実施の形態に係る蓄電素子ユニット20の分解斜視図である。外装体10の内部には、
図2以降の図に示される部材に加え、温度及び電圧計測用のセンサ、並び、センサに接続された電線等の他の部材も収容されているが、これらの部材の図示及び説明は省略する。
【0025】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。蓄電装置1は、例えば、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及び化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置1は、外装体10と、外装体10に収容された蓄電素子ユニット20とを備えている。蓄電素子ユニット20の上方には、蓄電素子100に接合されるバスバー60を保持するバスバーホルダ30が配置されている。
【0027】
外装体10は、蓄電装置1の筐体を構成する箱形の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、蓄電素子ユニット20及びバスバーホルダ30の外方に配置され、これらを所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。外装体10は、本実施の形態では、鉄、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属で形成されている。外装体10(外装体本体12及び蓋体11のそれぞれ)の大まかな形状は、鋳型を用いた鋳造によって形成されている。外装体10を形成する材料としては、金属の他に樹脂等も採用することができ、材質は限定されない。当該樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、または、ABS樹脂が例示される。
【0028】
外装体10は、Z軸方向の端部に設けられた、蓄電素子ユニット20の挿入が可能な開口部12aと、開口部12aに対向する位置に設けられた底壁部19とを有している。具体的には、外装体10は、外装体本体12と蓋体11とを備えており、開口部12a及び底壁部19は、外装体本体12に設けられている。外装体本体12は開口部12aが形成された有底矩形筒状のハウジングであり、蓄電素子ユニット20を収容する。外装体本体12は、Y軸方向で対向し、かつ、外装体10の内部と外部とを仕切る側壁部15及び17を有している。蓄電素子ユニット20は、Y軸方向において、外側壁部17と側壁部15との間に配置されている。外装体10は、外装体10の内部のガスを外部に排出するための排気管などの、
図1及び
図2に図示しない要素を備えてもよい。
【0029】
本実施の形態において、外装体本体12は、上述のように型を用いて成形されているため、底壁部19からZ軸プラス方向に延びる複数の側壁部のそれぞれには、抜き勾配(傾斜)を有する外面が形成されている。つまり、Y軸方向で蓄電素子ユニット20を挟む位置にある側壁部15及び側壁部17のそれぞれには傾斜面が設けられている。これら傾斜面と、蓄電素子ユニット20が有するセルホルダ130との構造上の関係については、
図4~
図7を用いて後述する。
【0030】
蓋体11は、外装体本体12の開口部12aを閉塞する矩形状の部材である。蓋体11は、複数のボルト41によって外装体本体12と接合され、これにより、蓋体11は外装体本体12に固定される。具体的には、蓋体11の周縁部にボルト41が貫通する貫通孔43が設けられており、外装体本体12の開口部12aの周縁部である開口周縁部12bに、固定穴部42が設けられている。ボルト41は、蓋体11の貫通孔43を貫通した状態で、外装体本体12の固定穴部42にねじ込まれる。これにより、蓋体11が外装体本体12の開口周縁部12bと接合される。ただし、蓋体11と外装体本体12との接合方法はこれに限定されず、適宜変更可能である。
【0031】
蓄電素子ユニット20は、複数の蓄電素子100と、複数の蓄電素子100のそれぞれに沿って配置されたセルホルダ130とを有する。蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、
図3に示すように、扁平な直方体形状(角形)の容器110と容器110に固定された一対の(正極及び負極の)電極端子120とを有している。容器110の内方には図示しない電極体、集電体及び電解液等が収容されている。蓄電素子100が有する電極体としては、正極板と負極板との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成された巻回型の電極体が例示される。その他、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体が蓄電素子100に備えられてもよい。
【0032】
蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。すなわち、電池の種類は特段限定されない。また、蓄電素子100の形状は、上記角形には限定されず、それ以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等任意の形状が選択可能である。
【0033】
本実施の形態では、容器110は、
図3に示すように、容器本体111と、容器本体111の開口を塞ぐ蓋板112とを有する。容器110は、電極体等を容器本体111の内部に収容後、容器本体111と蓋板112とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。容器110(容器本体111及び蓋板112)の材質は、特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0034】
容器本体111は、一対の長側面110aと、一対の短側面110bと、蓋板112に対向する位置に配置された底面110cを有する。蓋板112には、正極及び負極の電極端子120、並びに、ガス排出弁105が配置されている。ガス排出弁105は、容器110の内圧が過度に上昇した場合に、その内圧を受けて開放(開弁)し、これにより容器110の内部のガスを外部に排出する部位である。蓄電素子ユニット20において、複数の蓄電素子100それぞれは、長側面110aが並び方向(X軸方向)に向けられ、かつ、電極端子120がZ軸プラス方向に向けられた姿勢で並べられている。本実施の形態では、X軸方向は第一方向の一例であり、Z軸方向は、第一方向と直交する第二方向の一例であり、Y軸方向は、第一方向及び第二方向に直交する第三方向の一例である。
【0035】
蓄電素子ユニット20は、上記のように構成された蓄電素子100を12個有している。12個の蓄電素子100のそれぞれは、本実施の形態では、2つのセルホルダ130の間に配置されている。つまり、本実施の形態に係る蓄電素子ユニット20は、13個のセルホルダ130を有している。これらセルホルダ130のうち、X軸方向の両端に位置する一対のセルホルダ130を他とは区別する場合、セルホルダ131と表記する。これらセルホルダ130のうち、互いに隣り合う2つの蓄電素子100の間に位置するセルホルダ130を他とは区別する場合、セルホルダ132と表記する。以下の「セルホルダ130」についての説明は、特に断りのない限り、セルホルダ131及びセルホルダ132に共通して適用される。
【0036】
本実施の形態に係るセルホルダ130は、蓄電素子を保持するホルダの一例であり、蓄電素子100を保持することで蓄電素子100の位置を安定させる機能を有する。セルホルダ130はさらに、蓄電素子100の容器110と、当該蓄電素子100に隣り合う他の導電部材(他の蓄電素子100の容器110を含む)とを絶縁する機能を有してもよい。本実施の形態では、セルホルダ130は、上記の外装体10の材料として採用可能な材料のうちの、電気的絶縁性を有する樹脂材料のいずれかで形成されている。
【0037】
バスバーホルダ30は、蓄電素子100に対向して配置され、複数のバスバー60を保持する扁平な矩形状の絶縁部材である。バスバーホルダ30の材質は電気絶縁性を有すれば特に限定されないが、例えば、上記の外装体10の材料として採用可能な材料のうちの、樹脂材料等で形成されている。バスバーホルダ30に配置されたバスバー60は、接合相手である電極端子120に対して位置決めされ、その状態で、電極端子120と導通可能となるように、例えばレーザー溶接によって電極端子120に接合される。本実施の形態では、蓄電素子ユニット20が有する12個の蓄電素子100において、連続して並ぶ3つの蓄電素子100がバスバー60により並列接続される。これにより、並列接続された蓄電素子100の組が4組形成される。さらに、4組の蓄電素子100が3つのバスバー60によって直列に接続されている。
【0038】
つまり、直列に接続された4組の蓄電素子100における両端部の組の蓄電素子100の電極端子120が、蓄電素子ユニット20の正極(総プラス端子)及び負極(総マイナス端子)である。本実施の形態では、12個の蓄電素子100のうちの、X軸マイナス方向端部の1組(3個)の蓄電素子100の正極の電極端子120が、蓄電素子ユニット20の正極(総プラス端子)である。12個の蓄電素子100のうちの、X軸プラス方向端部の1組(3個)の蓄電素子100の負極の電極端子120が、蓄電素子ユニット20の負極(総マイナス端子)である。
【0039】
図には表されていないが、外装体10の側壁部15には、蓄電素子ユニット20の正極及び負極のそれぞれに接合されたバスバー60の端部が貫通する開口部が設けられている。これら2つのバスバー60それぞれの端部は、側壁部15に設けられた開口部を介して外装体10の外部に露出しており(
図1参照)、蓄電装置1の正極外部端子及び負極外部端子として機能する。
【0040】
外装体10の内部に、蓄電素子ユニット20が有する複数の蓄電素子100の充電状態を制御するための制御装置及びリレー等の電気機器が配置されてもよい。この場合、蓄電装置1は、例えば、蓋体11に固定された正極外部端子及び負極外部端子であって、電気機器及びバスバー60を介して蓄電素子ユニット20と電気的に接続された正極外部端子及び負極外部端子を備えてもよい。
【0041】
バスバー60による、12個の蓄電素子100の電気的な接続態様は上記の態様に限定されず、例えば、12個の蓄電素子100の全てが複数のバスバー60によって直列に接続されてもよい。また、蓄電素子ユニット20が備える蓄電素子100の数は12には限定されない。蓄電素子ユニット20が備える蓄電素子100の数は1以上であればよい。
【0042】
このように構成された蓄電装置1において、外装体10は、型を用いて成形されるため、継ぎ目のない構造の外装体を、効率よく製造することができる。しかし、外装体10が型を用いて成形された結果、外装体10が有する側壁部(例えば側壁部15)には、蓄電素子ユニット20にY軸方向で対向する位置に傾斜面が形成されている。従って、蓄電素子ユニット20が有するセルホルダ130と傾斜面との間に隙間が生じ、その結果、セルホルダ130は、少なくとも側壁部15に向けて移動が可能な状態、つまり、位置ずれ(姿勢の変化も含む、以下同じ)が可能な状態に置かれることが想定される。しかしながら、本実施の形態に係るセルホルダ130は、このような位置ずれを抑制できる構成を有している。以下、実施の形態に係る蓄電装置1について、セルホルダ130及び側壁部の傾斜面との構造上の関係を中心に、
図4~
図6を参照しながら説明する。
【0043】
[2.側壁部及びその周辺の構成について]
図4は、実施の形態に係る外装体10の断面図である。
図4では、外装体10の外装体本体12の、
図2のIV-IV線断面の一部が図示されており、蓋体11の図示は省略されている。
図5は、実施の形態に係る2つのセルホルダ130の外観を示す斜視図である。
図5では、蓄電素子ユニット20のX軸マイナス方向の端部に配置されるセルホルダ131及び2つの蓄電素子100の間に配置されるセルホルダ132が図示されている。
図6は、実施の形態に係るセルホルダ132の構成を示す、X軸プラス方向から見た場合の側面図である。
図7は、実施の形態に係る外装体10とセルホルダ132との構造上の関係を示す断面図である。
図7における断面の位置は、
図4の断面の位置と同じである。
図7では、セルホルダ132は、断面ではなく側面が図示されており、かつ、セルホルダ132から蓄電素子100が取り外された状態で図示されている。
【0044】
図4に示すように、本実施の形態では、外装体10が有する側壁部15は、Y軸方向において蓄電素子ユニット20(
図2、
図3参照)と対向する位置に第一傾斜面15aを有している。具体的には、側壁部15は、平板状の底壁部19からZ軸プラス方向に延びる壁部であり、外装体本体12の成形の際に、外装体本体12を型から抜き出しやすくするための抜き勾配(傾斜)を有する面(傾斜面)が形成されている。本実施の形態では、側壁部15の、蓄電素子ユニット20と対向する傾斜面が、第一傾斜面15aとして扱われる。第一傾斜面15aは、開口部12aに近づくに従って、蓄電素子ユニット20から離れる向き(外向き)に傾いている。
【0045】
外装体10において、Y軸方向で側壁部15と対向する位置にある側壁部17は、外装体10の内部と外部とを仕切る壁部であり、かつ、底壁部19のY軸プラス方向の端部からZ軸プラス方向に延びる壁部である。側壁部17は、外装体10の成形に用いられる型を抜きやすくするために、その全体が底壁部19の法線方向(Z軸方向)に対して傾いた姿勢で形成されている。つまり、側壁部17は傾斜面を有している。本実施の形態では、側壁部17の、蓄電素子ユニット20と対向する一方の傾斜面が、第二傾斜面17aとして扱われる。第二傾斜面17aは、開口部12aに近づくに従って、蓄電素子ユニット20から離れる向き(外向き)に傾いている。
【0046】
本実施の形態では、側壁部15の第一傾斜面15aの傾斜角度及び側壁部17の第二傾斜面17aの傾斜角度はほぼ同一である。傾斜面の傾斜角度を、傾斜面と、底壁部19の法線方向(Z軸方向)とのなす角と規定した場合、
図4に示すように、第一傾斜面15aの傾斜角度及び第二傾斜面17aの傾斜角度はともにθである。抜き勾配によって生じる傾斜角度θは一般的には1°~3°程度である。ただし、この傾斜角度θの値は一例にすぎず、上記範囲外でもよいし、側壁部15の第一傾斜面15aの傾斜角度及び側壁部17の第二傾斜面17aの傾斜角度が互いに異なっていてもよい。
【0047】
このように構成された外装体10(外装体本体12)の内部に収容される蓄電素子ユニット20は、
図5及び
図6に示す構成を有するセルホルダ130を有している。
図5及び
図6に示すように、本実施の形態に係るセルホルダ130は、ホルダ本体部134と、一対の側面カバー部135と、底面カバー部136と、上面カバー部137とを有する。ホルダ本体部134は、蓄電素子100の長側面110aに沿って配置される。一対の側面カバー部135は、ホルダ本体部134のY軸方向の両端部のそれぞれに接続されている。一対の側面カバー部135のそれぞれは、蓄電素子100の短側面110bの一部を覆う。底面カバー部136は、ホルダ本体部134のZ軸マイナス方向の端部に接続されており、蓄電素子100の底面110cの一部を覆う。底面カバー部136のY軸方向の両端部のそれぞれには側面カバー部135が接続されている。上面カバー部137は、ホルダ本体部134のZ軸プラス方向の端部に接続されており、蓄電素子100の蓋板112の上面の一部を覆う。これらの構成は、セルホルダ131及び132で共通する。ただし、セルホルダ130の構成は、上記構成に限らず、セルホルダ130が蓄電素子100を保持できる構成であればよい。例えば、側面カバー部135と底面カバー部136とは接続されていなくてもよい。この場合であっても、側面カバー部135及び底面カバー部136のそれぞれは、ホルダ本体部134に接続されていることで、ホルダ本体部134に支持される。また、底面カバー部136とホルダ本体部134とは接続されていなくてもよい。この場合であっても、底面カバー部136は、側面カバー部135に接続されていることで、側面カバー部135を介してホルダ本体部134に支持される。すなわち、一対の側面カバー部135、底面カバー部136、上面カバー部137のうちの1つまたは2つの部分が、ホルダ本体部134に接続されず、かつ、他の部分に接続されるとしても構わない。この場合であっても、当該他の部分がホルダ本体部134に接続されていれば、当該1つまたは2つの部分は、当該他の部分を介してホルダ本体部134に支持される。また、本実施の形態では、底面カバー部136及び上面カバー部137のそれぞれが、Z軸マイナス方向の端部及びZ軸プラス方向の端部にそれぞれ接続されている。ここでいう端部とは、Z軸方向における、蓄電素子100の長側面110aと対向する位置よりも、Z軸プラス側及びマイナス側の領域を指す。したがって、例えば、ホルダ本体部134が、蓄電素子100の底面110cの一部を覆う底面カバー部136よりも、Z軸マイナス側まで延びるような構成も考えられる。
【0048】
X軸方向に並ぶ2つの蓄電素子100の間に配置されるセルホルダ132では、
図5に示すように、一対の側面カバー部135、底面カバー部136及び上面カバー部137のそれぞれが、ホルダ本体部134からX軸方向の両側に突出している。これにより、ホルダ本体部134のX軸方向の両側に配置された2つの蓄電素子100は、Y軸方向及びZ軸方向において、一対の側面カバー部135、底面カバー部136及び上面カバー部137に囲まれた状態となる。
【0049】
蓄電素子ユニット20の端部に配置されるセルホルダ131では、
図5に示すように、一対の側面カバー部135、底面カバー部136及び上面カバー部137のそれぞれが、ホルダ本体部134からX軸方向の一方側に突出している。これにより、X軸方向の当該一方側に配置された1つの蓄電素子100は、Y軸方向及びZ軸方向において、一対の側面カバー部135、底面カバー部136及び上面カバー部137に囲まれた状態となる。なお、
図5では、蓄電素子ユニット20のX軸マイナス方向の端部に配置されるセルホルダ131が図示されており、当該セルホルダ131は、ホルダ本体部134のX軸プラス方向に配置される1つの蓄電素子100を保持する。蓄電素子ユニット20のX軸プラス方向の端部に配置されるセルホルダ131(
図3参照)は、
図5に示すセルホルダ131と同様の構成を有している。つまり、蓄電素子ユニット20のX軸プラス方向の端部に配置されるセルホルダ131は、ホルダ本体部134のX軸マイナス方向に配置される1つの蓄電素子100を、ホルダ本体部134、一対の側面カバー部135、底面カバー部136及び上面カバー部137で囲んだ状態で保持する。
【0050】
このように構成されたセルホルダ130に保持される蓄電素子100の容器110は、例えば
図3に示すように、X軸方向に扁平な直方体形状である。従って、容器110の底面110cが、外装体10の底壁部19に平行な姿勢である場合、容器110の短側面110bは、底壁部19に垂直な姿勢となる。そのため、短側面110bに沿って配置される板状の部分である、セルホルダ130の側面カバー部135は、セルホルダ130の底面カバー部136が、外装体10の底壁部19に平行な姿勢である場合、底壁部19に垂直な姿勢となる。つまり、セルホルダ130が外装体10に収容された場合、例えばホルダ本体部134のY軸マイナス方向の端部と第一傾斜面15aとの間に、外装体10の開口部12aに近づくに従ってY軸方向の幅が広くなる隙間が形成される。仮に、このような隙間が存在したままである場合、振動または衝撃に起因して、セルホルダ130が、当該隙間を埋める方向に位置ずれする可能性がある。セルホルダ130の位置ずれは、セルホルダ130に保持されている蓄電素子100の位置ずれの要因となり、その結果、例えば、セルホルダ130が損傷する可能性、または、蓄電素子100とバスバー60(
図2参照)との接合部分に不具合が生じる可能性がある。
【0051】
そこで、本実施の形態では、セルホルダ130は、
図5~
図7に示すように、第一傾斜面15aとの間の隙間を埋めるように配置された第一接触部141を有している。第一接触部141は、
図6及び
図7に示すように、ホルダ本体部134から第一傾斜面15aに向けて突出して設けられている。第一接触部141の配置位置については、より具体的には以下のように説明される。セルホルダ130において、ホルダ本体部134は、Y軸方向の両端部に設けられた一対の側面カバー部135を有すると考えることもできる。その場合には、これら一対の側面カバー部135のうちの第一傾斜面15aに対向する側面カバー部135に、第一接触部141が配置されている。つまり、ホルダ本体部134が、側面カバー部135を有するとした場合、第一接触部141は、ホルダ本体部134の一部である側面カバー部135から第一傾斜面15aに向けて突出して設けられている、と表現できる。または、セルホルダ130において、ホルダ本体部134は、側面カバー部135の厚みを含む、セルホルダ130のY軸方向の全域(第一接触部141及び第二接触部145を除く、
図6参照)を構成する、と説明できる。この場合も、第一接触部141は、ホルダ本体部134から第一傾斜面15aに向けて突出して設けられている、と表現できる。さらに、第一接触部141が、その基礎の部分を形成する側面カバー部135を含む、とした場合も同様に、第一接触部141は、ホルダ本体部134から第一傾斜面15aに向けて突出して設けられている、と表現できる。
【0052】
このように構成されたセルホルダ130が外装体10に収容された場合、
図7に示すように、セルホルダ130が有する第一接触部141は、側壁部15の第一傾斜面15aに接触する。つまり、セルホルダ130(ホルダ本体部134)と側壁部15との間に形成されたY軸方向の隙間における、Z軸方向の少なくとも一部は、第一接触部141によって埋められる。これにより、少なくとも、セルホルダ130の、側壁部15に近づく向き(Y軸マイナス方向)の移動及び姿勢の変化は抑制される。すなわち、本実施の形態に係る蓄電装置1では、蓄電素子100を保持したセルホルダ130を、外装体10(外装体本体12)の内部に収容する、という通常の作業で、セルホルダ130の位置ずれ抑制対策がなされる。この点からも、セルホルダ130が、第一傾斜面15aに接触する第一接触部141を有していることに優位性がある。
【0053】
本実施の形態では、第一接触部141は、ホルダ本体部134から、またはホルダ本体部134の一部である側面カバー部135から第一傾斜面15aに向けて突出して設けられているとしたが、他の構成であってもよい。例えば、第一接触部141がセルホルダ130とは別の部材(例えば樹脂製の部材)からなり、個々のセルホルダ130に接続される構成であってもよいし、複数のセルホルダ130にわたって、一連の第一接触部141が備えられるように、1つの別部材が当該複数のセルホルダ130に接続されてもよい。また、蓄電素子ユニット20を組み立てた後に、第一接触部141を備える別の部材がセルホルダ130に接続されてもよい。これら本実施の形態と異なる構成では以下のような作業に関するメリットが考えられる。本実施の形態である、セルホルダ130が第一接触部141を備える場合には、工程間で一時的にストックする際に、従来の容器または機械に適合せず、設備の準備または調整が必要になるなど不都合が生じうる。一方、第一接触部141がセルホルダ130とは別の部材であれば、セルホルダ130のストックに要する設備の変更が最小限に留まり、上述の不都合が軽減される可能性がある。その他、本実施の形態と異なる構成として、すべてのセルホルダ130のうちの1つのセルホルダ130のみに第一接触部141が設けられる構成も考えられる。この場合であっても、全てのセルホルダ130が第一接触部141を有していない構成と比較して効果を奏する。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子100と、蓄電素子100を保持するセルホルダ130と、蓄電素子100及びセルホルダ130を収容する外装体10と、を備える。蓄電素子100及びセルホルダ130はX軸方向に並んで配置されている。外装体10は、X軸方向と直交するZ軸方向に開口し、蓄電素子100及びセルホルダ130の挿入が可能な開口部12aと、X軸方向及びZ軸方向と直交するY軸方向においてセルホルダ130と対向する位置にある第一傾斜面15aとを有する。第一傾斜面15aは、開口部12aに近づくに従って蓄電素子100から離れる向きに傾けられた面である。セルホルダ130は、第一傾斜面15aと接触する第一接触部141を有する。
【0055】
この構成によれば、蓄電素子100を保持するセルホルダ130の側方には、外装体10が有する第一傾斜面15aが配置される。第一傾斜面15aは、外装体10の開口部12aに近づくに従って蓄電素子100から離れる向き(外向き)に傾けられた面である。このような構成を有する蓄電装置において、蓄電素子100を保持するセルホルダ130は、セルホルダ130が有する第一接触部141によって第一傾斜面15aに接触できる。これにより、セルホルダ130及びセルホルダ130に保持された蓄電素子100の、外装体10の内部における位置ずれが抑制される。すなわち、側壁部15の内側面に、いわゆる抜き勾配が形成された外装体10を備える蓄電装置1における、蓄電素子100の位置の安定性が向上する。このように、本態様に係る蓄電装置1は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【0056】
本実施の形態では、外装体10は鉄またはアルミニウム合金等の金属で形成されているのに対し、セルホルダ130はPCまたはPP等の樹脂製である。すなわち、セルホルダ130の材質は外装体10の材質よりも柔らかい。従って、例えば蓄電装置1が振動または衝撃を受けることで、セルホルダ130が外装体10の内面に対してずり動いた場合、または衝突した場合、セルホルダ130が損傷する可能性がある。この点に関し、本実施の形態に係る蓄電装置1では、上記のように、セルホルダ130は、セルホルダ130から離れる方向に傾く第一傾斜面15aに対して接触する第一接触部141を有している。従って、少なくとも、セルホルダ130の第一傾斜面15aに近づく方向の位置ずれは抑制される。その結果、第一接触部141が金属製の外装体10と干渉することによる損傷が発生することがあっても、セルホルダ130の、蓄電素子100を実際に保持する部分が、金属製の外装体10と干渉することによる損傷の発生は抑制される。すなわち、本実施の形態に係る蓄電装置1の構成は、外装体10の材料(本実施の形態では金属)が、外装体10の内部に配置されるセルホルダ130の材料(本実施の形態では樹脂)よりも硬い(硬度が高い)場合に、より有用である。ただし、外装体10及びセルホルダ130の硬さの関係が本実施の形態と逆転した場合、もしくは、外装体10及びセルホルダ130の硬さが同程度の場合であっても、一定の効果が見込める。
【0057】
本実施の形態では、セルホルダ130が有する第一接触部141が、第一傾斜面15aに接触することで、セルホルダ130の位置ずれを抑制している。これに対し、第一傾斜面15a自体、もしくは第一傾斜面15aに対して配置する部材に、セルホルダ130に接触する突出部を設けることでも、セルホルダ130の位置ずれを抑制することは可能である。しかしながら、本実施の形態のように、セルホルダ130を構成する材料よりも硬度の高い材料で外装体10が構成されている場合、例えば、外装体10の一部である突出部がセルホルダ130に接触した場合に、セルホルダ130の側面カバー部135等が損傷しやすくなることが想定される。この場合、セルホルダ130の形状、または、セルホルダ130に対する蓄電素子100の相対的な配置場所に工夫が必要となる。従って、例えば、セルホルダ130の機能(蓄電素子100の保持、及び絶縁等)を保護する、という観点からは、セルホルダ130が、第一傾斜面15aに接触する第一接触部141を有していることが有利である。また、外装体10に収容すべきセルホルダ130の数またはサイズに変更があった場合であっても、セルホルダ130が第一接触部141を有していれば、当該数またはサイズの変更は容易である。
【0058】
本実施の形態に係る第一接触部141は、より具体的には、
図5~
図7に示すように複数の凸部142で構成されており、これらの突出長さは互いに異なっている。より詳細には、第一接触部141は、Z軸方向に並ぶ複数の凸部142を有する。複数の凸部142それぞれの突出長さは、開口部12aに近づくほど長い。本実施の形態では、セルホルダ130のY軸マイナス方向の端部に、Z軸方向に並ぶ2つの凸部142が配置されている。これら2つの凸部142について、
図7に示すように、Z軸マイナス方向の凸部142を凸部142aと表し、Z軸プラス方向の凸部142を凸部142bと表した場合、凸部142bの突出長さは凸部142aの突出長さよりも長い。「凸部142の突出長さ」は、ホルダ本体部134からの突出長さであり、つまり、ホルダ本体部134のY軸マイナス方向の端縁(または、側面カバー部135)からの、Y軸方向の最大突出長さである。その他、「凸部142の突出長さ」は、ホルダ本体部134の、Y軸方向における、蓄電素子100の短側面110bに対応する位置からのY軸方向の最大突出長さともいえる。本実施の形態では、
図7に示すように、凸部142a及び142bはともに、Z軸プラス方向の端部が最も突出長さが大きくなっている。従って、凸部142aの突出長さは、凸部142aのZ軸プラス方向の端部の、ホルダ本体部134からの突出長さ(高さ)である。凸部142bの突出長さは、凸部142bのZ軸プラス方向の端部の、ホルダ本体部134からの突出長さ(高さ)さである。ただし、凸部142における最も突出長さが大きい部分が、Z軸プラス方向の端部でなくてもよい。上記の凸部142の突出長さについての説明は、後述する凸部146の突出長さにも適用される。
【0059】
このように、本実施の形態では、第一接触部141がZ軸方向に並ぶ複数の凸部142で構成される。そのため、例えば、第一傾斜面15aにおける傾斜角度と、複数の凸部142の先端をつなぐ線の傾きとの間にずれが存在する場合であっても、少なくとも1つの凸部142が圧縮されることで、複数の凸部142が第一傾斜面15aに接触する蓋然性が高くなる。これにより、第一傾斜面15aの傾斜角度と、複数の凸部142の先端を結ぶ線の傾斜角度とが厳密には一致していない場合であっても、第一接触部141をZ軸方向の複数箇所で第一傾斜面15aに接触させることができる。このことは、セルホルダ130及びセルホルダ130に保持された蓄電素子100の位置の安定性の更なる向上に寄与する。
【0060】
本実施の形態に係る第一接触部141は、第一傾斜面15aに対して面で接触するよう構成されている。具体的には、
図5~
図7に示すように、第一接触部141は、第一傾斜面15aに対応する傾きを有する接触面143であって、第一傾斜面15aと面で接触する接触面143を有する。より詳細には、第一接触部141が有する2つの凸部142のそれぞれに、接触面143が設けられている。
【0061】
この構成によれば、セルホルダ130の第一接触部141は、外装体10の第一傾斜面15aと比較的に広い面積で接触できる。これにより、例えば第一接触部141が面ではなく点に近い、第一傾斜面15aと小さい面積で接触する場合よりも、比較的に大きな摩擦力によって、セルホルダ130の移動が制限される。より具体的には、これにより、蓄電素子100の位置をより確実に安定させることができる。
【0062】
本実施の形態では、第一接触部141は、Z軸方向に並ぶ複数の凸部142のそれぞれに接触面143を有しているため、Z軸方向において第一傾斜面15aと複数箇所で面で接触する、と表現できる。さらに1つの接触面143に着目した場合、接触面143は、
図6及び
図7に示すように、第一傾斜面15aと平行になるように傾けられた平面である。セルホルダ130及び外装体10それぞれの寸法または角度等の公差が大きい場合でも、第一接触面143の少なくとも一部が第一傾斜面15aと接触すれば、両者が接触する領域はX軸方向または/及びZ軸方向に複数存在するか、もしくは、連続している可能性が高い。言い換えれば、両者が接触する領域は、少なくとも線状に連続している可能性が高い。その結果、セルホルダ130を安定して保持できる確率が高まる。一方、第一接触部141が第一接触面143を有さないと仮定した場合において、セルホルダ130と外装体10の公差が大きい場合、セルホルダ130と外装体10とが接触する可能性が、第一接触部141が第一接触面143を備える場合に比べて低い。さらに、両者が接触したとしても、第一接触部141の全体が積極的に潰れるなどしない限り、両者が接触する領域は、X軸方向でも第一傾斜面15aの傾斜方向でも小さい領域に限られる。すなわち、局所的な接触にしかならないことが想定され、セルホルダ130の安定性の観点において、第一接触面143を備える場合と比べて劣る。従って、本実施の形態に係る第一接触部141が第一接触面143を有することは、セルホルダ130の安定性の更なる向上の観点から有利である。
【0063】
YZ平面に平行な断面(
図7参照)において、個々の第一接触部141の、第一傾斜面15aに接触させることを目的として、第一傾斜面15aに対向して設けられた部分(接触面143)のZ軸方向に延びる長さ(対向長さ)が長いほど、セルホルダ130を安定的に保持できる。そのため、上記対向長さは、例えば第一傾斜面15aのZ軸方向の長さの10%以上であることが好ましい。第一接触部141と第一傾斜面15aとのZ軸方向における対向長さの合計値(複数の接触面143のZ軸方向の長さの合計値)は、第一傾斜面15aのZ軸方向の長さの50%以上の長さであることが好ましい。また、第一接触部141と第一傾斜面15aとが対向し、複数の対向箇所で接触している場合、複数の対向箇所のうちの、開口部12aに最も近い対向箇所と、開口部12aから最も遠い対向箇所との距離が第一傾斜面15aのZ軸方向に長い(例えば、50%以上)ことが好ましい。これにより、外部から衝撃等を受けてセルホルダ130がYZ平面上の方向(斜めも含む)に移動しようとした場合でも、Z軸プラス方向もしくはZ軸マイナス方向に位置する第一接触部141によって、衝撃の吸収や移動抑制が期待できる。例えば、本実施の形態では、
図7における凸部142bの接触面143の上端から、凸部142aの接触面143の下端までの長さは、第一傾斜面15aのZ軸方向の長さの50%以上である。「第一傾斜面15aのZ軸方向の長さ」という場合、第一傾斜面15aはZ軸方向に対して角度θ(
図4参照)だけ傾いているため、厳密には、第一傾斜面15aの、Z軸方向に平行な方向の長さではなく、Z軸方向に沿って延びる第一傾斜面15aの表面の長さを意味する。
【0064】
第一接触部141と第一傾斜面15aとは、YZ平面に平行な断面(
図7参照)において連続する線で接触していてもよく、断続的に配置された複数の点で接触していてもよい。つまり、本実施の形態では、1つの接触面143は、当該断面において、連続する線で第一傾斜面15aと接触する。しかし、第一接触部141は、例えば、第一傾斜面15aに沿ってZ軸方向に並ぶ複数の突起を有することで、当該断面において、Z軸方向に並ぶ複数の点で第一傾斜面15aと接触してもよい。
【0065】
本実施の形態では、セルホルダ130は、蓄電素子100のX軸方向の側面に沿って配置されるホルダ本体部134を有している。第一接触部141は、ホルダ本体部134から第一傾斜面15aに向けて突出して設けられている。
【0066】
このように、セルホルダ130は、蓄電素子100を保持する部分であるホルダ本体部134と、ホルダ本体部134から突出状に設けられた、セルホルダ130と第一傾斜面15aとの間の隙間を埋めるための部分である第一接触部141とを有している。これにより、蓄電素子100をバランスよく保持でき、かつ、第一接触部141が第一傾斜面15aに接触することで蓄電素子100の位置の安定化も実現できる。本実施の形態では、ホルダ本体部134を、蓄電素子100のX軸方向の側面とほぼ同じ大きさの矩形状としている。
【0067】
本実施の形態では、
図1、
図2及び
図4を用いて説明したように、複数の蓄電素子100及び複数のセルホルダ130を含む蓄電素子ユニット20は、外装体10の内部において、側壁部15と側壁部17との間に配置されている。この構成において、側壁部15は、蓄電素子ユニット20に対向する位置に第一傾斜面15aを有している。さらに、側壁部17にも、蓄電素子ユニット20に対向する位置に傾斜面(第二傾斜面17a)が形成されている。従って、個々のセルホルダ130に着目した場合、セルホルダ130と第二傾斜面17aとの間には隙間が存在し得る。そこで、本実施の形態では、セルホルダ130はさらに、第二傾斜面17aと接触する接触部(第二接触部145)を有している。
【0068】
すなわち、外装体10はさらに、Y軸方向において第一傾斜面15aと対向する位置にある第二傾斜面17aであって、開口部12aに近づくに従って蓄電素子100から離れる向きに傾けられた面である第二傾斜面17aを有する。セルホルダ130はさらに、Y軸方向において第二傾斜面17aと接触する第二接触部145を有する。
【0069】
この構成によれば、外装体10の内部においてY軸方向で対向する2つの傾斜面(第一傾斜面15a及び第二傾斜面17a)の間に、蓄電素子100を保持するセルホルダ130が配置され、かつ、セルホルダ130のY軸の両側に接触部(第一接触部141、第二接触部145)が設けられる。従って、セルホルダ130はY軸方向で対向する2つの傾斜面の間において、当該2つの傾斜面に接触した状態で配置される。つまり、セルホルダ130は側壁部15及び側壁部17によりY軸方向で挟まれた状態となる。これにより、蓄電素子100の位置をより確実に安定させることができる。
【0070】
本実施の形態では、第二接触部145は、
図6及び
図7に示すように、Z軸方向に並ぶ2つの凸部146を有している。2つの凸部146それぞれの突出長さは、開口部12aに近づくほど長い。
図7では、2つの凸部146のそれぞれを区別するために、2つの凸部146に互い異なる符号(146a、146b)を付している。
図7に示すように、Z軸方向において外装体10(外装体本体12)の開口部12aに近い凸部146bの突出長さは、開口部12aから遠い凸部146aの突出長さよりも長い。これにより、第一接触部141と同様に、第二傾斜面17aの傾斜角度と、複数の凸部146の先端を結ぶ線の傾斜角度とが厳密には一致していない場合であっても、第二接触部145をZ軸方向の複数箇所で第二傾斜面17aに接触させることができる。
【0071】
本実施の形態では、2つの凸部146のそれぞれは、第二傾斜面17aに接触する部分である接触片部147を有している。接触片部147は、凸部146の、接触片部147以外の部分より薄く、かつ、Y軸方向に湾曲する波板状に形成された部分である。接触片部147は、第二傾斜面17aに接触した場合、第二傾斜面17aに沿うように変形する。これにより、接触片部147は、第二傾斜面17aと複数箇所で接触できる可能性が高い。凸部146は、接触片部147を有することで、第一接触部141が有する凸部142よりも柔軟性が高い。これにより、セルホルダ130は、例えば、外装体10またはセルホルダ130の公差を吸収しながら第一傾斜面15a及び第二傾斜面17aに接触しやすくなる。なお、凸部146が接触片部147を有することは必須ではなく、凸部146は、凸部142と同様に、第二傾斜面17aに面で接触する平坦な接触面を有してもよい。
【0072】
[3.変形例]
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0073】
例えば、セルホルダ130が有する第一接触部141は、1つの凸部のみで構成されてもよい。つまり、第一接触部141は、セルホルダ130が外装体10の内部の所定の位置に配置された場合に、第一傾斜面15aに接触できるサイズ及び形状であればよく、これらは適宜設定される。また、第一接触部141は、複数に分離されていても、分離されていなくてもよい。第一接触部141が複数の凸部142を有する場合、凸部142の数は3以上であってもよい。
【0074】
第一接触部141は、第一傾斜面15aに接触した場合に、弾性変形してもよく、塑性変形してもよい。つまり、1つのセルホルダ130が、蓄電素子ユニット20の一部として外装体10の内部に収容された後に、外装体10の内部から取り出された場合、そのセルホルダ130の第一接触部141は、元の形状に戻ってもよく、第一傾斜面15aとの接触で一部または全部が変形したままの状態であってもよい。また、第一接触部141および第二接触部145の材質はセルホルダ130と同じでなくてもよい。第一接触部141および第二接触部145の材質が同じである場合、第一接触部141および第二接触部145にマクロおよびミクロスケールの加工によって、セルホルダ130の他の部分と硬さを変えてもよい。
【0075】
側壁部15の第一傾斜面15a、及び、側壁部17の第二傾斜面17aのそれぞれは、外装体本体12の成形の際に、外装体本体12を型から抜き出しやすくするために形成された傾斜面である必要はない。つまり、第一傾斜面15a及び第二傾斜面17aのそれぞれにおける傾斜は、いわゆる抜き勾配とは無関係であってもよい。例えば、外装体10の内部に蓄電素子ユニット20を挿入し易くするために、側壁部15及び側壁部17が外向きに傾けられてもよい。さらに、第一傾斜面15aの傾斜角度と、側壁部17の第二傾斜面17aの傾斜角度とは同一でなくてもよい。
【0076】
蓄電素子ユニット20が有する複数のセルホルダ130の全てが第一接触部141及び第二接触部145を有する必要はない。例えば、1つのセルホルダ130が第一接触部141を有することで、そのセルホルダ130の、第一傾斜面15aに近づく方向の位置ずれは抑制される。この場合、セルホルダ130は、X軸方向で隣り合う他のセルホルダ130とY軸方向で機械的にかかり合っていれば、他のセルホルダ130の第一傾斜面15aに近づく方向の位置ずれを抑制できる。
【0077】
セルホルダ130は、第一接触部141及び第二接触部145の両方を持つ必要はない。例えば、第二傾斜面17aの傾斜角度が、第一傾斜面15aの傾斜角度よりも小さい場合、セルホルダ130は、第一接触部141及び第二接触部145のうち第一接触部141のみを有してもよい。この場合であっても、少なくとも、セルホルダ130の第一傾斜面15aに近づく方向の位置ずれは抑制できる。さらに、セルホルダ130と第二傾斜面17aとの間の隙間は比較的に小さいため、セルホルダ130の第二傾斜面17aに近づく方向の位置ずれは生じ難い。セルホルダ130が、第二傾斜面17aに近づく方向への移動または姿勢の変化等をした場合であっても、移動量または変化量が小さいため、セルホルダ130の損傷等の問題が生じ難い。
【0078】
蓄電装置1が備えるセルホルダ130は、
図3及び
図5等に示す形状である必要はない。例えば、セルホルダ130の底面カバー部136は、蓄電素子100の底面110cに接触して蓄電素子100を支持できればよいため、例えば、Y軸方向に分離した複数の部分で構成されてもよい。セルホルダ130は、上面カバー部137を有しなくてもよい。蓄電素子100のZ軸プラス方向への移動(位置ずれ)の抑制は、例えばバスバーホルダ30に担わせてもよい。蓄電素子100の容器110と金属製の外装体10とをより確実に絶縁するという観点からは、1つの蓄電素子100のY軸方向の両側に位置するセルホルダ130は、その蓄電素子100の底面110c及び一対の短側面110bを覆う形状及びサイズであることが好ましい。
【0079】
セルホルダ130は、全体がPCまたはPP等の樹脂材料で形成されている必要はない、例えば、アルミニウム合金等の金属で形成された基材の表面に、PCまたはPP等の樹脂材料がコーティングされることで、セルホルダ130が形成されてもよい。この場合、第一接触部141及び第二接触部145のそれぞれについては、それぞれが対向する傾斜面(第一傾斜面15aまたは第二傾斜面17a)に接触した場合に変形しやすいように、全体が樹脂で形成されていてもよい。
【0080】
蓄電素子ユニット20を収容する外装体10は、蓄電装置1の最外殻をなす筐体でなくてもよい。例えば、蓄電装置1の最外殻をなす筐体の内部に配置されたケースであって、蓄電素子100を収容するケース本体と、ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体とを有するケースが、外装体10として採用されてもよい。また、外装体10は、排気管95(
図1参照)以外の部分において気密性を維持する構造であることは必須ではない。例えば、外装体10の内部と外部とを仕切る壁部に、放熱等のための開口部を1以上有するケースが外装体10として採用されてもよい。また、蓋体11及び外装体本体12のそれぞれは、複数の部材から構成されてもよい。
【0081】
蓄電装置1が備える複数の蓄電素子100において、隣り合う2つの蓄電素子100の間の全てに、セルホルダ130(セルホルダ132、
図3参照)が配置されている必要はない。例えば、隣り合う2つの蓄電素子100が電気的に並列に接続されている場合、当該2つの蓄電素子100の間にセルホルダ130が配置されていなくてもよい。この場合であっても、当該2つの蓄電素子100のそれぞれは1つのセルホルダ130に保持されているため、当該2つの蓄電素子100の、外装体10の内部における移動を制限することは可能である。つまり、1つの蓄電素子100は、少なくとも1つのセルホルダ130に保持され、かつ、そのセルホルダ130は、少なくとも第一接触部141を有することで外装体10の内部における位置ずれが抑制される。その結果、当該1つのセルホルダ130に保持されている少なくとも1つの蓄電素子100の位置ずれも抑制される。隣り合う2つの蓄電素子100の間にセルホルダ130が配置されていない場合、例えば、単なる平板状の絶縁部材(スペーサ)が、これら2つの蓄電素子100の容器110間を絶縁する部材として配置されてもよい。隣り合う2つの蓄電素子100の容器110間の絶縁は、例えば、これら2つの容器110のそれぞれに巻かれた絶縁シートに担わせてもよい。
【0082】
蓄電素子ユニット20は、複数の蓄電素子100及び複数のセルホルダ130だけでなく、複数の蓄電素子100の電極端子120に接合された複数のバスバー60及びバスバーホルダ30(
図2参照)を含んでもよい。つまり、実施の形態に係る蓄電素子ユニット20に、バスバーホルダ30及び複数のバスバー60を加えた構成を、「蓄電素子ユニット」と称することもできる。
【0083】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 蓄電装置
10 外装体
12a 開口部
15 側壁部
15a 第一傾斜面
17 側壁部
17a 第二傾斜面
19 底壁部
100 蓄電素子
110 容器
110a 長側面
110b 短側面
110c 底面
130、131、132 セルホルダ
134 ホルダ本体部
135 側面カバー部
136 底面カバー部
137 上面カバー部
141 第一接触部
142、142a、142b、146、146a、146b 凸部
143 接触面
145 第二接触部
147 接触片部