(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136317
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】引張試験方法、引張試験装置及び試験片
(51)【国際特許分類】
G01N 3/04 20060101AFI20230922BHJP
G01N 3/08 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01N3/04 P
G01N3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041858
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由悟
(72)【発明者】
【氏名】川端 洋介
(72)【発明者】
【氏名】深井 義広
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AB01
2G061CB01
2G061CB20
2G061CC11
2G061CC17
(57)【要約】
【課題】引張試験の安全性を向上させることが可能となり、作業効率を向上させることが可能となる引張試験方法を提供する。
【解決手段】実施形態における引張試験方法は、引張試験装置100のチャック部101により試験片1を挟持し、試験片1に引張力を付与する引張試験方法であって、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成された試験片1の突出部3を保持する保持工程と、試験片本体部2をチャック部101により挟持する挟持工程と、試験片本体部2に引張力を付与する引張工程と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引張試験装置のチャック部により試験片を挟持し、前記試験片に引張力を付与する引張試験方法であって、
試験片本体部の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部が形成された試験片の前記突出部を保持する保持工程と、
前記試験片本体部をチャック部により挟持する挟持工程と、
前記試験片本体部に引張力を付与する引張工程と、を備えること
を特徴とする引張試験方法。
【請求項2】
前記突出部は、前記試験片本体部に繋がる軸部と、前記軸部よりも拡幅された拡幅部と、を有すること
を特徴とする請求項1記載の引張試験方法。
【請求項3】
前記突出部は、前記試験片本体部を挟んで両側に複数形成され、
前記保持工程は、複数の前記突出部の少なくとも何れかを保持すること
を特徴とする請求項1又は2記載の引張試験方法。
【請求項4】
前記突出部は、前記引張方向に離間して複数形成され、
前記保持工程は、複数の前記突出部の少なくとも何れかを保持すること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の引張試験方法。
【請求項5】
前記保持工程は、複数の前記突出部を繋ぐ繋ぎ部を保持すること
を特徴とする請求項4記載の引張試験方法。
【請求項6】
前記保持工程は、前記突出部を上方から吊下げるための吊下げ部により前記突出部を保持すること
を特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の引張試験方法。
【請求項7】
前記保持工程は、前記突出部を下方から支持するための支持部により前記突出部を保持すること
を特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の引張試験方法。
【請求項8】
前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、
前記突出部形成工程は、1枚の板材から前記試験片本体部と前記突出部と切り出して形成すること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項記載の引張試験方法。
【請求項9】
前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、
前記突出部形成工程は、前記試験片本体部に前記突出部を溶接により取り付けること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項記載の引張試験方法。
【請求項10】
前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、
前記突出部形成工程は、前記試験片本体部にねじ切りされた孔を形成し、前記孔に前記突出部を螺合して取り付けること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項記載の引張試験方法。
【請求項11】
前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、
前記突出部形成工程は、前記試験片本体部に前記突出部を接着剤又はセメント系材料により取り付けること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項記載の引張試験方法。
【請求項12】
試験片を挟持するチャック部を備え、前記試験片に引張力を付与する引張試験装置であって、
試験片本体部の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部が形成された試験片の前記突出部を保持する保持手段を備えること
を特徴とする引張試験装置。
【請求項13】
引張試験装置のチャック部により挟持される引張試験用の試験片であって、
試験片本体部と、前記試験片本体部の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部が形成されること
を特徴とする試験片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張試験方法、引張試験装置及び試験片に関する。
【背景技術】
【0002】
引張試験の安全性を向上させる技術として、特許文献1が開示されている。特許文献1の引張試験機のマグネットチャックは、試験片を挟圧するチャック刃の裏面に磁化コイルを埋設し、該磁化コイルの通電を制御する制御器を設け、試験片取り付け時に前記磁化コイルに通電するように構成される。しかしながら、特許文献1の開示技術では、磁化コイルを用いることから、金属の試験片にしか適用できない、という事情がある。
【0003】
従来、引張試験では、試験片が片手で持てる重量の場合は、一方の手で試験片を所定の位置に保持しながら、他方の手で作動スイッチを操作する。その際に、引張加力時に試験片がズレない程の大きな力で両端がチャック刃に挟まれて完全に固定されるまで、試験片を保持する必要がある。
【0004】
しかし、この従来の方法では試験片をチャック刃で挟む際に、試験片を保持している指先等をチャック刃で挟む危険性がある。特に試験片が短尺の場合や、試験片形状が特殊で持ちにくい場合は作業の安全性を確保することが難しい、という事情がある。
【0005】
また、試験片が重く両手で試験片を所定の場所に保持する場合、試験片を保持している作業員と別の作業員がチャックの作動スイッチを操作することになり、試験片を挟み込むタイミングの意思疎通にミスが生じる可能性もあり、作業の危険性が増す。
【0006】
また、特許文献2には、ロボットアームが水平駆動装置によって水平方向に駆動され、試験機に装着された試験片に向かって、つかみ機構が進退させられる破断試験片回収装置が開示されている。さらに、特許文献2の破断試験片回収装置は、ロボットアームが基台内の上下移動駆動機に沿って移動される。このため、特許文献2の開示技術は、大型装置の導入コストが掛かる点や、試験前後に試験片保持装置を設置・撤去する工程が増えて作業効率の低下するおそれがある。
【0007】
引張試験の一般的な試験片の設置手順は、(1)上側と下側のチャックを開いた状態で試験片全長よりも長い距離にする。(2)試験片を所定の位置に手又は試験片保持装置で保持する。(3)試験片の試験対象部よりも断面大きいもしくは強度が高く引張時に降伏および破断しない上側のつかみ部を上側のチャックで挟みこみ、試験片が固定されたら試験片を保持していた手又は試験片保持装置を外す。(4)下側のチャックをひらいたまま上側に移動させ、試験片の試験対象部よりも断面大きいもしくは強度が高く引張時に降伏および破断しない下側のつかみ部を下側のチャックで挟み込み、試験片を完全固定する。
【0008】
この設置手順の場合、試験片が左右もしくは上下が非対称であったり試験片の反りが大きくて試験片全体の幅が大きいと試験片は、上側と下側の両方のチャックが開いた状態であると試験体全体の幅がチャック上下の左右の幅に納まるが,前記(2)の試験片を上側のみ先にチャックで挟み込んだ状態において、前記(4)の手順の際に下側のチャックの左右の幅に収まらない場合がある。
【0009】
試験片9は、
図14(a)及び
図14(a)(b)に示すように試験片9が引張方向に湾曲していたり、
図14(c)及び
図14(d)に示すように試験片9が波形状であったり、
図14(e)及び
図14(f)に示すように試験片9が引張方向において非対称である場合がある。
【0010】
この場合、前記(1)~(4)の手順ではなく、まず(1’)
図14(a)、
図14(c)及び
図14(e)に示すように、上側のチャック98と下側のチャック99を開いた状態で、試験片9の上側つかみ部91を上側のチャック99の左右の間に、下側つかみ部92を下側のチャック99の左右の間となるように試験片9を保持する。(2’)上側のチャック98で上側のつかみ部91を挟み込む。(3’)下側のチャック99で下側のつかみ部92を挟み込む。
【0011】
しかしながら、上記(2’)の手順において、
図14(b)、
図14(d)及び
図14(f)に示すように、上側のチャック98により上側のつかみ部91をチャックしたとき、試験片9全体が試験引張方向と垂直方向(チャック間幅方向)に移動することがある。当該水平方向への移動が大きいと下側のチャック99の片側に下側のつかみ部92が接触することがある。当該水平方向への移動を抑えるために手で試験片9を保持している場合は、(2’)の手順時に指等を下側のつかみ部92と下側のチャック99で挟む危険性も増えることが問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実公昭54-138690号公報
【特許文献2】実公昭54-40854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、引張試験の安全性を向上させることが可能となり、作業効率を向上させることが可能となる引張試験方法、引張試験装置及び試験片を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明に係る引張試験方法は、引張試験装置のチャック部により試験片を挟持し、前記試験片に引張力を付与する引張試験方法であって、試験片本体部の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部が形成された試験片の前記突出部を保持する保持工程と、前記試験片本体部をチャック部により挟持する挟持工程と、前記試験片本体部に引張力を付与する引張工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る引張試験方法は、第1発明において、前記突出部は、前記試験片本体部に繋がる軸部と、前記軸部よりも拡幅された拡幅部と、を有することを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る引張試験方法は、第1発明又は第2発明において、前記突出部は、前記試験片本体部を挟んで両側に複数形成され、前記保持工程は、複数の前記突出部の少なくとも何れかを保持することを特徴とする。
【0017】
第4発明に係る引張試験方法は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記突出部は、前記引張方向に離間して複数形成され、前記保持工程は、複数の前記突出部の少なくとも何れかを保持することを特徴とする。
【0018】
第5発明に係る引張試験方法は、第4発明において、前記保持工程は、複数の前記突出部を繋ぐ繋ぎ部を保持することを特徴とする。
【0019】
第6発明に係る引張試験方法は、第1発明~第5発明の何れかにおいて、前記保持工程は、前記突出部を上方から吊下げるための吊下げ部により前記突出部を保持することを特徴とする。
【0020】
第7発明に係る引張試験方法は、第1発明~第5発明の何れかにおいて、前記保持工程は、前記突出部を下方から支持するための支持部により前記突出部を保持することを特徴とする。
【0021】
第8発明に係る引張試験方法は、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、前記突出部形成工程は、1枚の板材から前記試験片本体部と前記突出部と切り出して形成することを特徴とする。
【0022】
第9発明に係る引張試験方法は、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、前記突出部形成工程は、前記試験片本体部に前記突出部を溶接により取り付けることを特徴とする。
【0023】
第10発明に係る引張試験方法は、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、前記突出部形成工程は、前記試験片本体部にねじ切りされた孔を形成し、前記孔に前記突出部を螺合して取り付けることを特徴とする。
【0024】
第11発明に係る引張試験方法は、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記保持工程の前に、前記試験片本体部に前記突出部を形成する突出部形成工程を備え、前記突出部形成工程は、前記試験片本体部に前記突出部を接着剤又はセメント系材料により取り付けることを特徴とする。
【0025】
第12発明に係る引張試験装置は、試験片を挟持するチャック部を備え、前記試験片に引張力を付与する引張試験装置であって、試験片本体部の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部が形成された試験片の前記突出部を保持する保持手段を備えることを特徴とする。
【0026】
第13発明に係る試験片は、引張試験装置のチャック部により挟持される引張試験用の試験片であって、試験片本体部と、前記試験片本体部の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
第1発明~第10発明によれば、チャック部により試験片本体部を挟持する際に、作業者は、突出部を保持することができる。すなわち、チャック部により試験片本体部を挟持する際、作業者の手が挟まれるのを防止することができる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。また、大型な保持装置を用いることなく、引張試験の作業効率を向上させることが可能となる。
【0028】
特に、第2発明によれば、突出部は、試験片本体部に繋がる軸部と、軸部よりも拡幅された拡幅部と、を有する。例えば作業者の手で突出部を保持する際に、拡幅部により、作業者の手から脱落しにくくなる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。
【0029】
特に、第3発明によれば、保持工程は、試験片本体部を挟んで両側に形成される複数の突出部3の少なくとも何れかを保持する。これにより、作業者は、右手、左手及び両手の何れかにより、突出部を保持することができる。このため、試験片を安定して保持することが可能となる。
【0030】
特に、第4発明によれば、保持工程は、引張方向に離間して形成される複数の突出部の少なくとも何れかを保持する。これにより、作業者は、右手、左手及び両手の何れかにより、突出部を保持することができる。このため、試験片を安定して保持することが可能となる。
【0031】
特に、第5発明によれば、保持工程は、複数の突出部を繋ぐ繋ぎ部を保持する。これにより、例えば作業者の手で突出部を保持する際に、繋ぎ部を保持することができる。このため、試験片を安定して保持することが可能となる。
【0032】
特に、第6発明によれば、保持工程は、突出部を上方から吊り下げて保持するための吊下げ部により突出部を保持する。これにより、挟持工程においてチャック部によりつかみ部を挟持する際、作業者自身が試験片を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを更に防止することができる。このため、引張試験の更に安全性を向上させることが可能となる。
【0033】
特に、第7発明によれば、保持工程は、突出部を下方から支持するための支持部により突出部を保持する。これにより、挟持工程においてチャック部によりつかみ部を挟持する際、作業者自身が試験片を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを更に防止することができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0034】
特に、第8発明によれば、突出部形成工程は、1枚の板材から試験片本体部と突出部と切り出して形成する。これにより、工場等で予め試験片本体部と突出部とが一体化された試験片を形成できる。このため、突出部が試験片本体部から脱落するのを防止することが可能となる。
【0035】
特に、第9発明によれば、突出部形成工程は、試験片本体部に突出部を溶接により取り付ける。これにより、突出部を任意の位置に取り付けることができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0036】
特に、第10発明によれば、突出部形成工程は、試験片本体部にねじ切りされた孔を形成し、孔に突出部を螺合して取り付ける。これにより、突出部を任意の位置に取り付けることができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0037】
特に、第11発明によれば、突出部形成工程は、試験片本体部に突出部を接着剤又はセメント系材料により取り付ける。これにより、突出部を任意の位置に取り付けることができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0038】
第12発明によれば、引張試験装置は、突出部を保持するための保持部を有する。これにより、挟持工程においてチャック部によりつかみ部を挟持する際、作業者自身が試験片を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを防止することができる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。また、大型な保持装置を用いることなく、引張試験の作業効率を向上させることが可能となる。
【0039】
第13発明によれば、試験片は、試験片本体部と、試験片本体部の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部が形成される。これにより、チャック部により試験片本体部を挟持する際に、作業者は、突出部を保持することができる。すなわち、チャック部により試験片本体部を挟持する際、作業者の手が挟まれるのを防止することができる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。また、大型な保持装置を用いることなく、引張試験の作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る引張試験装置と試験片の一例を示す側面図である。
【
図2】
図2(a)は、第1実施形態に係る試験片の一例を示す正面図であり、
図2(b)は、第1実施形態に係る試験片の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、第1実施形態に係る引張試験方法の一例を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、第2実施形態に係る試験片の第1例を示す正面図であり、
図4(b)は、第2実施形態に係る試験片の第2例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態における試験片の一例を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、第4実施形態に係る引張試験装置と試験片の第1例を示す正面図であり、
図6(b)は、第4実施形態に係る引張試験装置と試験片の第1例を示す側面図である。
【
図7】
図7(a)は、第4実施形態に係る引張試験装置と試験片の第2例を示す正面図であり、
図7(b)は、第4実施形態に係る引張試験装置と試験片の第2例を示す側面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、第4実施形態に係る引張試験方法の一例を示す図である。
【
図9】
図9(a)は、第5実施形態に係る試験片の一例を示す正面図であり、
図9(b)は、第5実施形態に係る試験片の一例を示す側面図である。
【
図10】
図10(a)は、第6実施形態に係る試験片の一例を示す正面図であり、
図10(b)は、第6実施形態に係る試験片の一例を示す側面図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、第6実施形態に係る引張試験方法の一例を示す図である。
【
図12】
図12(a)は、第7実施形態に係る試験片の一例を示す正面図であり、
図12(b)は、第7実施形態に係る試験片の一例を示す側面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、第7実施形態に係る引張試験方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を適用した引張試験方法、引張試験装置及び試験片を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、引張方向Zとし、引張方向Zに交わる方向を第1方向Xとし、引張方向Zと第1方向Xに交わる方向を第2方向Yとする。
【0042】
(第1実施形態:引張試験装置100、試験片1)
図1は、第1実施形態に係る引張試験装置100と試験片1の一例を示す側面図である。
図2(a)は、第1実施形態に係る試験片1の一例を示す正面図であり、
図2(b)は、第1実施形態に係る試験片1の一例を示す側面図である。
【0043】
引張試験装置100は、引張試験に用いられ、試験片1に引張力を付与する。引張試験装置100は、チャック部101により試験片1を挟持する。引張試験装置100は、複数の支柱102を更に含む。
【0044】
チャック部101は、支柱102に保持され、上下方向に移動可能である。チャック部101は、上側のチャック部101aと、下側のチャック部101bとを有する。
【0045】
試験片1は、例えば金属製であるが、木製、コンクリート製、樹脂製であってもよい。試験片1は、試験片本体部2と、突出部3と、を有する。
【0046】
試験片1は、例えば平板状に形成される。試験片1は、例えば円柱状であってもよいし、湾曲して形成されてもよい。試験片1は、引張方向の中央を挟んで両側で非対称であってもよい。試験片1は、引張方向に交差する交差方向を挟んで両側で非対称であってもよい。
【0047】
試験片本体部2は、例えばダンベル型に形成される。試験片本体部2は、引張試験装置100により引張力が付与される試験対象部21と、試験対象部21を挟んで引張方向の両側に配置される一対のつかみ部22と、を有する。一方のつかみ部22は、上側のチャック部101aに挟持され、他方のつかみ部22は、上側のチャック部101aに挟持される。
【0048】
つかみ部22は、例えば板状に形成され、チャック部101に接触される一対のつかみ面22aと、一対のつかみ面22aを繋ぐ側面22bと、引張方向に形成される端面22cと、有する。
【0049】
突出部3は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出して形成される。突出部3は、例えば金属製の棒状部材が用いられ、例えば溶接によりつかみ部22に取り付けられる。突出部3は、試験片本体部2を挟んで両側に複数形成される。突出部3は、引張方向に離間して複数形成される。突出部3は、つかみ部22の側面22bに形成され、チャック部101の挟持面に平行に延びる。なお、突出部3は、つかみ部22のつかみ面22aに形成されてもよい。
【0050】
なお、突出部3は、つかみ部22に接着剤又はセメント系材料により取り付けられてもよい。接着剤としては、例えば溶剤系接着剤が用いられる。セメント系材料としては、例えば普通ポルトランドセメント等のセメントと水を混ぜ合わせたセメントペーストや、更に細骨材を含んだセメントモルタルが用いられる。
【0051】
(第1実施形態:引張試験方法)
次に、第1実施形態における引張試験方法の一例を説明する。引張試験方法は、引張試験装置100のチャック部101により試験片1を挟持し、試験片1に引張力を付与する。引張試験方法は、保持工程と、挟持工程と、引張工程と、を備える。引張試験方法は、例えば保持工程の前に、突出部形成工程と更に備えてもよい。
【0052】
突出部形成工程は、試験片本体部2に突出部3を形成する。突出部形成工程は、試験片本体部2に突出部3を溶接により取り付ける。
【0053】
次に、保持工程は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成された試験片1の突出部3を、上側のチャック部101aと下側のチャック部101bの間で、保持する。保持工程では、突出部3を作業者の手で試験片1を保持する。
【0054】
保持工程は、試験片本体部2を挟んで両側に形成される複数の突出部3の少なくとも何れかを保持する。これにより、作業者は、右手、左手及び両手の何れかにより、突出部3を保持することができる。
【0055】
保持工程は、引張方向に離間して形成される複数の突出部3の少なくとも何れかを保持する。これにより、作業者は、右手、左手及び両手の何れかにより、突出部3を保持することができる。
【0056】
次に、挟持工程は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、試験片本体部2をチャック部101により挟持する。挟持工程は、一方のつかみ部22を上側のチャック部101aにより挟持し、他方のつかみ部22を下側のチャック部101bにより挟持する。その後、挟持工程では、手で保持した突出部3を放し、保持を解除する。
【0057】
次に、引張工程は、引張試験装置100により試験片本体部2に引張力を付与する。以上により、引張試験方法の一例が完了する。
【0058】
本実施形態によれば、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成された試験片1の突出部3を保持する保持工程と、試験片本体部2をチャック部101により挟持する挟持工程と、試験片本体部2に引張力を付与する引張工程と、を備える。これにより、チャック部101により試験片本体部2を挟持する際に、作業者は、突出部3を保持することができる。すなわち、チャック部101により試験片本体部2を挟持する際、作業者の手が挟まれるのを防止することができる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。また、大型な保持装置を用いることなく、引張試験の作業効率を向上させることが可能となる。
【0059】
本実施形態によれば、保持工程は、試験片本体部2を挟んで両側に形成される複数の突出部3の少なくとも何れかを保持する。これにより、作業者は、右手、左手及び両手の何れかにより、突出部3を保持することができる。このため、試験片1を安定して保持することが可能となる。
【0060】
本実施形態によれば、保持工程は、引張方向Zに離間して形成される複数の突出部3の少なくとも何れかを保持する。これにより、作業者は、右手、左手及び両手の何れかにより、突出部3を保持することができる。このため、試験片1を安定して保持することが可能となる。
【0061】
本実施形態によれば、保持工程の前に、試験片本体部2に突出部3を形成する突出部形成工程を備え、試験片本体部2に突出部3を溶接により取り付ける。これにより、突出部3を任意の位置に取り付けることができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0062】
本実施形態によれば、保持工程の前に、試験片本体部2に突出部3を形成する突出部形成工程を備え、試験片本体部2に突出部3を接着剤又はセメント系材料により取り付ける。これにより、突出部3を任意の位置に取り付けることができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0063】
本実施形態によれば、試験片1は、試験片本体部2と、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成される。これにより、チャック部101により試験片本体部2を挟持する際に、作業者は、突出部3を保持することができる。すなわち、チャック部101により試験片本体部2を挟持する際、作業者の手が挟まれるのを防止することができる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。また、大型な保持装置を用いることなく、引張試験の作業効率を向上させることが可能となる。
【0064】
(第2実施形態:引張試験装置100、試験片1)
図4(a)は、第2実施形態に係る試験片1の第1例を示す正面図であり、
図4(b)は、第2実施形態に係る試験片1の第2例を示す正面図である。
【0065】
図4に示すように、突出部3は、軸部31と、拡幅部32と、を有する。軸部31は、棒状に形成され、試験片本体部2に繋がる基端部と、基端部とは反対側の先端部と、を有する。軸部31の先端部には、軸部31よりも拡幅された拡幅部32を有する。
図4(a)に示すように、突出部3は、試験片本体部2を挟んで両側に複数形成されてもよい。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、突出部3は、試験片本体部2の引張方向に離間して複数形成されてもよい。
【0066】
(第2実施形態:引張試験方法)
次に、第2実施形態における引張試験方法の一例を説明する。
【0067】
引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、突出部形成工程を行う。
【0068】
次に、保持工程は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成された試験片1の突出部3を保持する。突出部3の先端部には、拡幅部32が設けられる。これにより、作業者が突出部3を保持する際に、拡幅部32に引っかかり、試験片1が脱落しにくくなる。
【0069】
次に、引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、挟持工程と、引張工程と、を行う。以上により、引張試験方法の一例が完了する。
【0070】
本実施形態によれば、突出部3は、試験片本体部2に繋がる軸部31と、軸部31よりも拡幅された拡幅部32と、を有する。これにより、例えば作業者の手で突出部3を保持する際に、拡幅部32により、作業者の手から脱落しにくくなる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。
【0071】
(第3実施形態:引張試験装置100、試験片1)
図5は、第3実施形態における試験片1の一例を示す図である。
【0072】
突出部3は、引張方向Zに離間して複数形成される。軸部31は、棒状に形成され、試験片本体部2に繋がる基端部と、基端部とは反対側の先端部と、を有する。試験片1は、引張方向に離間した複数の突出部3を繋ぐ繋ぎ部33を有する。
【0073】
(第3実施形態:引張試験方法)
次に、第3実施形態における引張試験方法の一例を説明する。
【0074】
引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、突出部形成工程を行う。
【0075】
次に、保持工程は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成された試験片1の突出部3を保持する。保持工程では、突出部3を作業者の手で保持する。
【0076】
保持工程は、試験片本体部2を挟んで両側に形成される複数の突出部3の少なくとも何れかを保持する。保持工程では、複数の突出部3を繋ぐ繋ぎ部33を保持する。これにより、作業者は、右手、左手及び両手の何れかにより、試験片1を保持しやすくできる。
【0077】
次に、引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、挟持工程と、引張工程と、を行う。以上により、引張試験方法の一例が完了する。
【0078】
本実施形態によれば、保持工程は、複数の突出部3を繋ぐ繋ぎ部33を保持する。これにより、例えば作業者の手で突出部3を保持する際に、繋ぎ部33を保持することができる。このため、試験片1を安定して保持することが可能となる。
【0079】
(第4実施形態:引張試験装置100、試験片1)
図6(a)は、第4実施形態に係る引張試験装置100と試験片1の第1例を示す正面図であり、
図6(b)は、第4実施形態に係る引張試験装置100と試験片1の第1例を示す側面図である。
【0080】
引張試験装置100は、試験片1の突出部3を保持する保持部103を備える。保持部103は、例えば引張試験装置100に設置される。保持部103は、上側のチャック部101及び下側のチャック部101の少なくとも何れかに設置されてもよい。
【0081】
保持部103は、突出部3を下方から支持する支持部104を含む。これにより、突出部3を下方から支持することができる。保持部103は、チャック部101を挟んで両側に設置される。支持部104は、例えば床に設置されてもよい。支持部104は、例えば下側のつかみ部22に形成される突出部3を下方から支持する。
【0082】
支持部104は、突出部3が載置される平坦状の台部104aと、台部104aを支持する脚部104bと、を有する。台部104aは、板状に形成される。台部104aの上面に、突出部3が載置される。台部104aの上面は、平坦状に形成される。台部104aの平坦状の上面に、突出部3の平坦状に形成される下面が載置される。
【0083】
突出部3は、例えば拡幅部32の厚さt2が、つかみ部22における板厚t1よりも厚いことが好ましい。これにより、台部104aに接触される面積を増加させることができる。
【0084】
図7(a)は、第4実施形態に係る引張試験装置100と試験片1の第2例を示す正面図であり、
図7(b)は、第4実施形態に係る引張試験装置100と試験片1の第2例を示す側面図である。支持部104は、例えば上側のつかみ部22に形成される突出部3を下方から支持してもよい。
【0085】
(第4実施形態:引張試験方法)
次に、第4実施形態における引張試験方法の一例を説明する。
【0086】
引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、突出部形成工程を行う。
【0087】
次に、保持工程は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成された試験片1の突出部3を保持する。保持工程では、試験片1を挟んで両側に支持部104を設置する。保持工程は、下側のつかみ部22に形成される突出部3を下方から支持する支持部104により保持する。
【0088】
次に、挟持工程は、
図8(a)に示すように、試験片本体部2をチャック部101により挟持する。挟持工程は、一方のつかみ部22を上側のチャック部101aにより挟持し、他方のつかみ部22を下側のチャック部101bにより挟持する。その後、挟持工程では、
図8(b)に示すように、設置した支持部104を撤去し、保持を解除する。
【0089】
次に、引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、引張工程を行う。以上により、引張試験方法の一例が完了する。
【0090】
本実施形態によれば、保持工程は、突出部3を保持するための保持部103により突出部3を保持する。これにより、挟持工程においてチャック部101によりつかみ部22を挟持する際、作業者自身が試験片1を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを防止することができる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。
【0091】
本実施形態によれば、保持工程は、突出部3を下方から支持するための支持部104により突出部3を保持する。これにより、挟持工程においてチャック部101によりつかみ部22を挟持する際、作業者自身が試験片1を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを更に防止することができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0092】
本実施形態によれば、保持工程は、チャック部101を挟んで両側に支持部104を設置する。これにより、試験片1を挟んで両側の突出部3を、それぞれの支持部104により下方から支持することができる。このため、試験片1を更に安定して保持することが可能となる。
【0093】
本実施形態によれば、引張試験装置100は、突出部3を保持するための保持部103を有する。これにより、挟持工程においてチャック部101によりつかみ部22を挟持する際、作業者自身が試験片1を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを防止することができる。このため、引張試験の安全性を向上させることが可能となる。また、大型な保持装置を用いることなく、引張試験の作業効率を向上させることが可能となる。
【0094】
本実施形態によれば、引張試験装置100は、突出部3を下方から支持するための支持部104を有する。これにより、挟持工程においてチャック部101によりつかみ部22を挟持する際、作業者自身が試験片1を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを更に防止することができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0095】
本実施形態によれば、引張試験装置100は、突出部3を下方から支持するための支持部104を有し、支持部104は、突出部3が載置される平坦状の台部104aと、台部104aを支持する脚部104bと、を有し、突出部3の下面は、平坦状に形成される。これにより、平坦状の台部104aの上面に、突出部3の平坦状の下面を載置できる。このため、試験片1を更に安定して保持することが可能となる。
【0096】
(第5実施形態:引張試験装置100、試験片1)
図9(a)は、第5実施形態に係る試験片1の一例を示す正面図であり、
図9(b)は、第5実施形態に係る試験片1の一例を示す側面図である。
【0097】
引張試験装置100は、試験片1の突出部3を保持する保持部103を備える。保持部103は、例えば引張試験装置100に設置される。保持部103は、上側のチャック部101及び下側のチャック部101の何れかに設置されてもよい。
【0098】
保持部103は、突出部3を上方から吊下げるための吊下げ部105を含む。これにより、突出部3を上方から吊下げて保持することができる。吊下げ部105は、チャック部101を挟んで両側に設置される。吊下げ部105は、引張試験装置100のチャック部101及び支柱102の少なくとも何れかに吊り下げて設置してもよい。吊下げ部105は、例えば引張試験装置100の上方の天井に設置されてもよい。
【0099】
(第5実施形態:引張試験方法)
次に、第5実施形態における引張試験方法の一例を説明する。
【0100】
引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、突出部形成工程を行う。
【0101】
次に、保持工程は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出された突出部3が形成された試験片1の突出部3を保持する。保持工程では、試験片1を挟んで両側に保持部103を設置する。保持工程は、突出部3を上方から吊下げる吊下げ部105により保持する。
【0102】
次に、挟持工程は、試験片本体部2をチャック部101により挟持する。挟持工程は、一方のつかみ部22を上側のチャック部101aにより挟持し、他方のつかみ部22を下側のチャック部101aにより挟持する。その後、挟持工程では、設置した吊下げ部105を撤去し、保持を解除する。
【0103】
次に、引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、引張工程を行う。以上により、引張試験方法の一例が完了する。
【0104】
本実施形態によれば、保持工程は、突出部3を上方から吊り下げて保持するための吊下げ部105により突出部3を保持する。これにより、挟持工程においてチャック部101によりつかみ部22を挟持する際、作業者自身が試験片1を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを更に防止することができる。このため、引張試験の更に安全性を向上させることが可能となる。
【0105】
本実施形態によれば、保持工程は、チャック部101を挟んで両側に吊下げ部105を設置する。これにより、試験片1を挟んで両側の突出部3を、それぞれの吊下げ部105により吊下げて保持することができる。このため、試験片1を更に安定して保持することが可能となる。
【0106】
本実施形態によれば、引張試験装置100は、突出部3を上方から吊り下げて保持するための吊下げ部105を有する。これにより、挟持工程においてチャック部101によりつかみ部22を挟持する際、作業者自身が試験片1を保持する必要がなく、作業者の手が挟まれるのを更に防止することができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0107】
(第6実施形態:引張試験装置100、試験片1)
図10(a)は、第6実施形態に係る試験片1の一例を示す正面図であり、
図10(b)は、第6実施形態に係る試験片1の一例を示す側面図である。
【0108】
突出部3は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出して形成される。突出部3は、例えば金属製の棒状部材が用いられ、例えばつかみ部22の側面22bに形成された孔23に挿入して取り付けられる。孔23は、内周面がねじ切り形成される。突出部3は、例えばボルトが用いられ、孔23の螺合可能に形成される。突出部3は、ボルトの軸部31を孔23に螺合する。突出部3は、ボルトの頭部により拡幅部32が形成される。
【0109】
(第6実施形態:引張試験方法)
次に、第6実施形態における引張試験方法の一例を説明する。
【0110】
突出部形成工程は、試験片本体部2に突出部3を形成する。突出部形成工程は、
図11(a)に示すように、試験片本体部2のつかみ部22の側面22bにねじ切りされた孔23を形成する。突出部形成工程は、
図11(b)に示すように、孔23に突出部3を挿入して取り付ける。突出部形成工程は、ねじ切りされた孔23に突出部3を螺合して取り付ける。
【0111】
次に、引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、保持工程と、挟持工程と、引張工程と、を行う。以上により、引張試験方法の一例が完了する。
【0112】
本実施形態によれば、突出部形成工程は、試験片本体部2にねじ切りされた孔23を形成し、孔23に突出部3を螺合して取り付ける。これにより、突出部3を任意の位置に取り付けることができる。このため、引張試験の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0113】
(第7実施形態:引張試験装置100、試験片1)
図12(a)は、第7実施形態に係る試験片1の一例を示す正面図であり、
図12(b)は、第7実施形態に係る試験片1の一例を示す側面図である。
【0114】
突出部3は、試験片本体部2の引張方向と交わる交差方向に突出して形成される。突出部3は、例えば1枚の板材から試験片本体部2を切り出す際に切り出して形成される。突出部3は、拡幅部32も1枚の板材から切り出して形成してもよい。
【0115】
(第7実施形態:引張試験方法)
次に、第7実施形態における引張試験方法の一例を説明する。
【0116】
突出部形成工程は、試験片本体部2に突出部3を形成する。突出部形成工程は、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、1枚の板材10を準備し、試験片1を製作する工場等において、1枚の板材10から試験片本体部2と突出部3と切り出して形成する。保持工程は、板材10から突出部3を切り出す際に、拡幅部32を切り出して形成する。
【0117】
次に、引張試験方法では、例えば第1実施形態と同様に、保持工程と、挟持工程と、引張工程と、を行う。以上により、引張試験方法の一例が完了する。
【0118】
本実施形態によれば、突出部形成工程は、1枚の板材10から試験片本体部2と突出部3と切り出して形成する。これにより、工場等で予め試験片本体部2と突出部3とが一体化された試験片1を形成できる。このため、突出部3が試験片本体部2から脱落するのを防止することが可能となる。
【0119】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
100 :引張試験装置
101 :チャック部
102 :支柱
103 :保持部
104 :支持部
105 :吊下げ部
1 :試験片
2 :試験片本体部
21 :試験対象部
22 :つかみ部
22a :つかみ面
22b :側面
22c :端面
23 :孔
3 :突出部
31 :軸部
32 :拡幅部
33 :繋ぎ部
10 :板材
9 :試験片保持装置
X :第1方向
Y :第2方向
Z :引張方向