(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136338
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】知育教材、知育システム及び知育プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 1/32 20060101AFI20230922BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20230922BHJP
A63F 13/80 20140101ALI20230922BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20230922BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230922BHJP
【FI】
G09B1/32
G09B5/02
A63F13/80 E
B42D15/00 301N
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041908
(22)【出願日】2022-03-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】512198741
【氏名又は名称】有限会社パスカル
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守安 大樹
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028BA01
2C028BB04
2C028BC01
2C028BD01
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】簡単な準備と方法で脳力トレーニングと合わせて学習効果を図ることができる知育教材、知育システム及び知育プログラムを提供する。
【解決手段】問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目8が表示された問題兼解答部5と、問題兼解答部5に解答するための補助教材3とを備えており、マス目8の一部に、解答を導くための表示7があり、補助教材3は、それぞれ1種類のキャラクターが表示され、マス目8の1つ分に収まる大きさのキャラクター片3a~3cのセットであり、キャラクターの種類は、N種類以上であり、解答者がキャラクター片3a~3cを用いて、問題兼解答部5のマス目8の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶというキャラクター片3a~3cの正解の配置ができるようにしている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳力トレーニングをするための知育教材であって、
問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目が表示された問題兼解答部と、
前記問題兼解答部に解答するための補助教材とを備えており、
前記マス目の一部に、解答を導くための表示があり、
前記補助教材は、それぞれ1種類のキャラクターが表示され、前記マス目の1つ分に収まる大きさのキャラクター片のセットであり、
前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、
解答者が前記キャラクター片を用いて、前記問題兼解答部のマス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという前記キャラクター片の正解の配置ができるようにし、
前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする知育教材。
【請求項2】
脳力トレーニングをするための知育システムであって、
情報処理を行う演算手段と、
トレーニング用データを格納する記憶手段と、
前記トレーニング用データの内容を表示する出力手段と、
入力手段とを備えており、
前記トレーニング用データは、
問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目を表示するための問題兼解答部データと、
前記出力手段に表示された前記マス目にキャラクターを表示するための補助データとを含んでおり、
前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、
前記マス目が表示されたときに、前記マス目の一部に解答を導くための表示があわせて表示され、
解答者が前記入力手段を操作して、前記マス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという正解の配置ができるようにし、
前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする知育システム。
【請求項3】
コンピュータに、脳力トレーニングを実行させるための知育プログラムであって、
トレーニング用データを記憶手段に格納する格納ステップと、
前記トレーニング用データの内容を出力手段に表示させる出力ステップと、
前記トレーニング用データに基づき表示された問題の解答を入力する入力ステップとを前記コンピュータに実行させ、
前記トレーニング用データは、
問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目を表示するための問題兼解答部データと、
前記出力手段に表示された前記マス目に解答するための補助データとを含んでおり、
前記補助データは、前記マス目にキャラクターを表示するためのデータであり、
前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、
前記マス目を表示させたときに、前記マス目の一部に解答を導くための表示をあわせて表示させ、
解答者が前記入力ステップの実行中に、前記解答領域のマス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという正解の配置ができるようし、
前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする知育プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳力トレーニングをするための知育教材、知育システム及び知育プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マス目を用いた学習用教材が知られている。特許文献1に記載の算数学習教具は、掛け算を学習するための算数学習用教材に関するものであり、マス目の一部に数字が表示されたベースカードを用い、被乗数nから5又は10を減算した値を用いて、小さなnの値についての理解に基づいて大きなnの値についての掛け算を学習することができ、掛け算の学習効果を上げることができるというものである。
【0003】
特許文献2に記載の算数学習教具は、数や数字の学習に使用する算数学習教具に関するものであり、マス目内に個数の標記が付された数図カードを用い、数の感覚を育て易く、また数の合成と分解の理解が容易となり、さらに数のかたまりとして足し算、引き算を可能にするというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6719675号公報
【特許文献2】特開2019-128459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の算数学習教具は、掛け算の学習効果を上げることができるという限定的な効果が得られるに留まっており、特許文献2に記載の算数学習教具についても、数や数字に関する限定的な効果が得られるに留まっていた。このため、これらの算数学習教具は、幅広い脳力トレーニングを意識したものではないことに加え、数量認識ができない幼少期の子供には不向きであった。
【0006】
本発明は、前記のような従来の学習用教材の実情に鑑み、幅広い脳力トレーニングを、簡単な準備と方法で作業を通じて体験的に行うことができる知育教材、知育システム及び知育プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の知育教材は、脳力トレーニングをするための知育教材であって、問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目が表示された問題兼解答部と、前記問題兼解答部に解答するための補助教材とを備えており、前記マス目の一部に、解答を導くための表示があり、前記補助教材は、それぞれ1種類のキャラクターが表示され、前記マス目の1つ分に収まる大きさのキャラクター片のセットであり、前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、解答者が前記キャラクター片を用いて、前記問題兼解答部のマス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという前記キャラクター片の正解の配置ができるようにし、前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明の知育システムは、脳力トレーニングをするための知育システムであって、情報処理を行う演算手段と、トレーニング用データを格納する記憶手段と、前記トレーニング用データの内容を表示する出力手段と、入力手段とを備えており、前記トレーニング用データは、問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目を表示するための問題兼解答部データと、前記出力手段に表示された前記マス目にキャラクターを表示するための補助データとを含んでおり、前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、前記マス目が表示されたときに、前記マス目の一部に解答を導くための表示があわせて表示され、解答者が前記入力手段を操作して、前記マス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという正解の配置ができるようにし、前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の知育プログラムは、コンピュータに、脳力トレーニングを実行させるための知育プログラムであって、トレーニング用データを記憶手段に格納する格納ステップと、前記トレーニング用データの内容を出力手段に表示させる出力ステップと、前記トレーニング用データに基づき表示された問題の解答を入力する入力ステップとを前記コンピュータに実行させ、前記トレーニング用データは、問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目を表示するための問題兼解答部データと、前記出力手段に表示された前記マス目に解答するための補助データとを含んでおり、前記補助データは、前記マス目にキャラクターを表示するためのデータであり、前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、前記マス目を表示させたときに、前記マス目の一部に解答を導くための表示をあわせて表示させ、解答者が前記入力ステップの実行中に、前記解答領域のマス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという正解の配置ができるようし、前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の知育教材の効果は下記のとおりであり、本発明の知育システム及び知育プログラムによれば、本発明の知育教材の効果をコンピュータを用いて実現できる。本発明の知育教材によれば、正解の配置に到達しようとする試みにより、重複を避ける意識や、置く場所が一意に決まる論理性などを学習するという脳力トレーニングを行うことができる。問題及び解答に用いるキャラクターは、図形、文字、数字、色(文字ではなく色そのもの)などの様々な形態とすることができる。このため、解答者の年齢に合わせたキャラクターを採用したり、論理性に関する脳力トレーニングと合わせて知識習得等のための学習が可能なキャラクターを採用することもでき、幅広い脳力トレーニングが可能になる。したがって、本発明の知育教材によれば、幅広い脳力トレーニングを、簡単な準備と方法で作業を通じて体験的に行うことができる。
【0011】
例えば、キャラクターとして図形を用いれば、数量認識ができない幼少期の子ども扱うことができる。キャラクターとして色に関する文字や色そのものを用いれば、色を混ぜてできる彩色の学習も可能になり、キャラクターとして、漢字の部首と旁に関する文字を用いれば、漢字の部首と旁に関する学習が可能になる。キャラクターとして数字を用いれば、算数や数学に関する学習効果も得られる。
【0012】
また、マス目の一部に解答を導くための表示があるので、解答が多数になることを防ぎ、適切な解答時間にすることができる。これに加えて、当該表示として解答に用いるキャラクターではない文字や枠線等の表示を用いることにより、解答の条件を加重して新たな学習効果を得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る知育教材の平面図。
【
図2】
図1に表示された問題についての正解表示シートの平面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る知育教材を用いた脳力トレーニングの流れを示すフローチャート。
【
図4】本発明の実施形態の第2の例に係る知育教材の平面図。
【
図5】
図4に表示された問題についての正解表示シートの平面図。
【
図6】本発明の実施形態の第3の例に係る知育教材の平面図。
【
図7】
図6に表示された問題についての正解表示シートの平面図。
【
図8】本発明の実施形態の第4の例に係る知育教材の平面図。
【
図9】
図8に表示された問題についての正解表示シートの平面図。
【
図10】本発明の実施形態の第5の例に係る知育教材の平面図。
【
図11】
図10に表示された問題についての正解表示シートの平面図。
【
図12】本発明の実施形態の第6の例に係る知育教材の平面図。
【
図13】
図12に表示された問題についての正解表示シートの平面図。
【
図14】本発明の一実施形態に係る知育システムの平面図。
【
図15】
図14の表示状態から画面が切り換った状態を示した平面図。
【
図16】
図14に示した知育システムの情報処理のための構成図。
【
図17】
図15の表示状態から画面が正解表示画面に切り換った状態を示した平面図。
【
図18】本発明の別の実施形態に係る知育システムについての情報処理のための構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る知育教材1の平面図を示している。詳細は後に説明するが、本発明に係る知育教材は、正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたものである。
【0015】
図1において、知育教材1は、表示シート2と補助教材3を含んでいる。表示シート2は、シート面がルール表示部4と問題兼解答部5とで占められている。ルール表示部4には、問題に解答するためのルールが表示されている。ルールはN行N列(Nは2以上の整数)のマス目6に対するキャラクター7の配置に関するものである。
図1の例では、マス目6は3行3列である。
図1の例ではキャラクター7の種類は、アメ、リンゴ、バナナの3種類あるが、これらを総称してキャラクター7という。
【0016】
問題兼解答部5は、問題を表示するとともに、この問題の解答を作成する解答の作成部でもあり、ルール表示部4に表示されているマス目6と同じ行数・列数のマス目8が表示されている。マス目8の一部には解答を導くための表示としてのキャラクター7が予め表示されている。ルール表示部4に表示されているルールと、問題兼解答部5に表示されている問題文との厳格な区別はなく、ルールも含めて問題文と解してもよい。この場合は、ルール表示部4と問題兼解答部5とを合わせた領域が問題兼解答部となる。
【0017】
補助教材3は、キャラクター片のセットであり、
図1において符号を付したキャラクター片3a~3cには、それぞれ1種類のキャラクターが表示されている。
図1の例ではキャラクターの種類は、リンゴが表示されたキャラクター片3a、アメが表示されたキャラクター片3b、バナナが表示されたキャラクター片3cの3種類である。キャラクター片3aと同じキャラクター片が合計3枚用意されており、キャラクター片3b、3cについても同様にそれぞれ合計3枚用意されている。
【0018】
図2は、正解表示シート10を示している。問題兼解答部5に表示されたマス目8と同じ行数・列数のマス目11が、キャラクター7で埋め尽くされている。正解表示シート10は、表示シート2とは別のシートでもよく、表示シート2の裏面に表示したものであってもよい。
【0019】
図3は、知育教材1を用いた脳力トレーニングの流れを示すフローチャートを示している。以下、
図1に示した知育教材1を用いた学習の流れについて説明する。
図1は、表示シート2の1枚分を示しているが、問題の異なる複数毎の表示シート2を用意しておくのが通常である。この場合、複数毎の表示シート2を一綴りとした冊子としてもよい。また、表示シート2に代えて、表示プレートとしてもよい。本事例では、解答者は、複数の表示シート2に表示された問題から、
図1に示した表示シート2の問題を選択する(
図3のステップ100)。
【0020】
図1の表示シート2を選択した解答者は、ルール表示部4に表示されたルールを確認する(
図3のステップ101)。ルール表示部4のマス目6は、キャラクター7で埋め尽くされており、解答として適切な例と不適切な例が示されている。ルールを確認した解答者は、同じ行(横方向)のマス目には、それぞれ異なるキャラクターを配置し、かつ同じ列(縦方向)のマス目にも、それぞれ異なるキャラクターを配置すれば正解に達することを理解する、
【0021】
ルールを確認した解答者は、問題兼解答部5に表示されている問題を確認する(
図3のステップ102)。問題兼解答部5に表示されている問題文は、ルール表示部4に表示されたルールと整合するので、解答者はルールに従って、補助教材3に含まれるキャラクター片3a~3cの配置に取りかかる(
図3のステップ103)。
【0022】
問題兼解答部5に表示されているマス目8のうち、3つ分のマス目には、予めキャラクター7で埋まっているので、解答者は残り6つ分のマス目に、キャラクター片3a~3cを配置することになる。予め埋めているキャラクター7は、解答を導くための表示であり、解答が多数になることを防ぎ、適切な解答時間にするためのものである。
【0023】
キャラクター片3a~3cは、粘着材が塗布されていることにより、これらを表示シート2(又は表示プレート)に貼り付け可能な構成としてもよい。また、キャラクター片3a~3cを磁力により、表示シート2(又は表示プレート)に貼り付け可能な構成としてもよい。これらの構成によれば、キャラクター片3a~3cの配置が容易になる。また、キャラクター片3a~3cのセットは、未使用時には、専用のシートやプレートに貼り付けるようにしておけばよい。
【0024】
キャラクター片3a~3cの配置を終えた解答者は、配置したキャラクター片3a~3cとルールとの整合性を確認する(
図3のステップ104)。この確認により、修正が生じれば、キャラクター片3a~3cの配置を修正し、解答が完成する(
図3のステップ105)。解答完成後は、
図2に示した正解表示シート10に照らして答え合わせを行って(
図3のステップ106)、問題一つ分の演習が完了する。
【0025】
図1の表示シート2に表示された問題は、アメ、リンゴ及びバナナの図形キャラクターを用いたものであり、数量認識ができない幼少期の子ども扱うことができ、重複を避ける意識や、置く場所が一意に決まる論理性などを学習することができる。
【0026】
以下、
図4~
図13を参照しながら、
図1の表示シート2とは異なる問題が記載された表示シートについて説明する。
図4以下の各図において、同一構成のものには同一番号を付して、その説明は省略する。
図4に示した表示シート2は、
図1に示した表示シート2に比べ、問題兼解答部5のマス目8に予め表示されているキャラクター7の配置が異なっている。このとにより、正解は1つに留まらず、
図5に示したように、正解1と正解2の2つとなる。
【0027】
図6に示した表示シート2は、
図1に示した表示シート2に比べ、マス目の行数・列数が増えており、キャラクター7の種類も増えている。
図1に示した表示シート2のマス目6、8は、3行3列であるのに対して、
図6に示した表示シート2のマス目6、8は、4行4列である。また、キャラクター7はキャラクター7d(お茶)が追加されて3種類から4種類になっている。これに合わせて、キャラクター片3についても、キャラクター片3d(お茶)が追加されている。
図2に示した表示シート2の正解は、
図7に示したように1つとなる。
【0028】
図6に示した表示シート2のように、マス目6、8の行数・列数を増やすと、正解に至る難易度が高くなる。マス目6、8の行数・列数をさらに増やして4行4列以上としてもよく、行数・列数を減らして2行2列としてもよい。行数・列数が増えるほど難易度が高まるので、表示シート2のセットに、マス目6、7の行数・列数の異なる表示シート2を含ませて、難易度順に演習を行って、徐々に学習効果を高めるようにしてもよい。
【0029】
図8に示した表示シート2は、
図1に示した表示シート2に比べ、キャラクター7の形態が異なっている。
図1に示した表示シート2のキャラクター7は、アメ、リンゴ及びバナナの図形キャラクターであるのに対して、
図8に示した表示シート2のキャラクター7は、青、黄及び赤の色に関する文字キャラクターである。文字に加えて、地色を文字と同じ色にしてもよい。また、文字を省いた色キャラクターでもよく、この場合、キャラクター片3a~3cは、それぞれ地色が青、黄、赤の色付きカードのようになる。
【0030】
また、
図1に示した表示シート2の問題兼解答部5のマス目8の1部には、解答を導くための表示としてキャラクター7が表示されているのに対して、
図8に示した表示シート2の問題兼解答部5のマス目8の1部には、文字12及び枠線13が表示されている。文字12としてみどりが表示されている枠線13内の2つのマス目内には、2色を混ぜ合わせて緑となる色が表示されたキャラクター片3を配置する。文字12としてむらさきが表示されている枠線13内の2つのマス目内には、2色を混ぜ合わせて紫となる色が表示されたキャラクター片3を配置する。これらの条件が、同じ列及び同じ行のマス目には、それぞれ異なるキャラクター片3を配置するという条件に加重されることになる。
【0031】
図9に
図8に示した表示シート2の問題の正解を示している。文字12としてみどりが表示されている枠線13内の2つのマス目内には、2色を混ぜ合わせて緑となる青及び黄が表示されている。文字12としてむらさきが表示されている枠線15内の2つのマス目内には、2色を混ぜ合わせて紫となる赤及び青が表示されている。さらに、
図9の正解の配置は、同じ列及び同じ行のマス目には、それぞれ異なるキャラクター片3を配置するという条件を満たしている。
【0032】
図8に示した表示シート2によれば、
図2に示した表示シート2と同様に、重複を避ける意識や、置く場所が一意に決まる論理性などを学習することができることに加えて、色を混ぜてできる色作りの学習も可能になる。すなわち、解答を導くための表示としての文字12及び枠線13は、解答の条件を加重して新たな学習効果を得られるようにするためのものである。
【0033】
図10に示した表示シート2は、
図8に示した表示シート2と同様に、キャラクター7は文字キャラクターであるが、
図8に示した表示シート2のキャラクター7は色に関する文字キャラクターであるのに対して、
図10に示した表示シート2のキャラクター7は木、魚及び春といった漢字の部首と旁(つくり)に関する文字キャラクターである。
【0034】
図8に示した表示シート2と同様に、
図10に示した表示シート2の問題兼解答部5のマス目8の1部には、文字12及び枠線13が表示されている。文字12として「つばき」が表示されている枠線13内の2つのマス目内には、2文字を組合わせると「椿」となる文字が表示されたキャラクター片3を配置する。文字12として「さわら」が表示されている枠線13内の2つのマス目内には、2文字を組合わせると「鰆」となる文字が表示されたキャラクター片3を配置する。これらの条件が、同じ列及び同じ行のマス目には、それぞれ異なるキャラクター片3を配置するという条件に加重されることになる。
【0035】
図11に
図10に示した表示シート2の問題の正解を示している。文字12として「つばき」が表示されている枠線13内の2つのマス目内には、2文字を組合わせて「椿」となる「春」及び「木」が表示されている。文字12として「さわら」が表示されている枠線13内の2つのマス目内には、2文字を組合わせて「鰆」となる「魚」及び「春」が表示されている。さらに、
図10の正解の配置は、同じ列及び同じ行のマス目には、それぞれ異なるキャラクター片3を配置するという条件を満たしている。
【0036】
図10に示した表示シート2によれば、
図1に示した表示シート2と同様に、重複を避ける意識や、置く場所が一意に決まる論理性などを学習することができることに加えて、漢字の部首と旁(つくり)に関する学習が可能になる。すなわち、
図10に示した表示シート2においても、解答を導くための表示としての文字12及び枠線13は、解答の条件を加重して新たな学習効果を得られるようにするためのものである。
【0037】
図12に示した表示シート2は、
図10に示した表示シート2に比べ、マス目の行数・列数が増えており、キャラクター7の種類も増えている。
図10に示した表示シート2のマス目6、8は、3行3列であるのに対して、
図12に示した表示シート2のマス目6、8は、4行4列である。また、キャラクター7はキャラクター7d(白)が追加されて3種類から4種類になっている。これに合わせて、キャラクター片3についても、キャラクター片3d(白)が追加されている。解答要領は、
図10に示した表示シート2と同様であり、
図12に示した表示シート2の正解は、
図13に示したように1つとなる。
【0038】
図12に示した表示シート2のように、マス目6、8の行数・列数を増やすと、正解に至る難易度が高くなる。マス目6、8の行数・列数をさらに増やして4行4列以上としてもよく、行数・列数を減らして2行2列としてもよい。行数・列数が増えるほど難易度が高まるので、表示シート2のセットに、マス目6、7の行数・列数の異なる表示シート2を含ませて、難易度順に演習を行って、徐々に学習効果を高めるようにしてもよい。
【0039】
以上、知育教材1について6つの例を説明したが、本発明の知育教材1によれば、正解の配置に到達しようとする試みにより、重複を避ける意識や、置く場所が一意に決まる論理性などを学習するという脳力トレーニングを行うことができる。問題及び解答に用いるキャラクターは、図形、文字、数字、色(文字ではなく色そのもの)などの様々な形態とすることができる。このため、解答者の年齢に合わせたキャラクターを採用したり、論理性に関する脳力トレーニングと合わせて知識習得等のための学習が可能なキャラクターを採用することもでき、幅広い脳力トレーニングが可能になる。したがって、本発明の知育教材1によれば、幅広い脳力トレーニングを、簡単な準備と方法で作業を通じて体験的に行うことができる。
【0040】
例えば、キャラクターとして図形を用いれば、数量認識ができない幼少期の子ども扱うことができる。キャラクターとして色に関する文字や色そのものを用いれば、色を混ぜてできる彩色の学習も可能になり、キャラクターとして、漢字の部首と旁に関する文字を用いれば、漢字の部首と旁に関する学習が可能になる。キャラクターとして数字を用いれば、算数や数学に関する学習効果も得られる。
【0041】
数字のキャラクターに関しては、例えば「3・5・7」の素数の組、「2・4・8」のような指数の組を用いることにより、素因数分解や指数法則などを学習することもできる。これに加えて、和や積を指定することで、単純に計算としてだけでなく「たし算」「かけ算」を考えながらのパズルとしての学習効果も期待できる。この場合、「0」や「-3」といった負の数を用いると、さらに学習効果が高まる。
【0042】
前記実施形態は表示シート2を用いた脳力トレーニングであり、解答に至るまでのプロセスには、コンピュータが不要であったが、コンピュータを用いて同様の脳力トレーニングができるようにしてもよい。この場合は、画面に表示シート2に相当する情報を表示させ、補助教材3に含まれるキャラクター片3aの配置は、キーボードやマウス、タッチパネルで行うことになる。
【0043】
対象とするコンピュータに特に限定はなく、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンが挙げられる。
図14は、コンピュータを用いた知育システムの一例を示している。
図14に示した知育システム20は、スマートフォンの例を示しており、スマートフォンに知育プログラムをインストールしたものである。出力手段22(ディスプレイ)に表示されているルール表示30の表示内容は、
図1に示した表示シート2のルール表示部4の表示内容と同様である。
【0044】
図15は
図14のルール表示30が表示された状態から画面が切り換り、問題兼解答部表示31が表示された状態を示している。問題兼解答部表示31の表示内容は、
図1に示した表示シート2の問題兼解答部5の表示内容と同様である。
図1に示した表示シート2では、解答者はルールに従って、補助教材3に含まれるキャラクター片3a~3cをマス目7に配置するというものであった。
図15に示した問題兼解答部表示31においては、空欄のマス目8の1つ分(例えばマス目8a)をタッチすることにより、キャラクター7が表示され、続いてタッチすることにより、順次表示が切り換るキャラクター7を選択することになる。
【0045】
図16は、
図14に示した知育システム20の情報処理のための構成図を示している。演算手段23(CPU:中央演算処理装置)により各種情報処理が行われる。入力手段21(タッチパネル)により、各種操作及び
図15に示したマス目8に表示させるキャラクター7の選択を行う。出力手段22(ディスプレイ)に各種表示が出力される。
【0046】
記憶出段24には、トレーニング用データ25が格納される。トレーニング用データ25は、問題兼解答部データ26、補助データ27及び正解データ28を含んでいる。問題兼解答部データ26は、問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目を表示するためデータである。補助データ27は、出力手段22に表示されたマス目8(
図15)のうち空欄のマス目8の1つ分(例えばマス目8a)にキャラクター7を表示するためのデータである。正解データ28は、
図15の問題兼解答部データ26の問題の正解表示32(
図17)を表示させるためのデータである。
【0047】
図3に示したフローチャートは、
図14に示した知育システム20を用いた脳力トレーニングの流れを示すフローチャートでもある。知育システム20は、知育プログラムを実行させて使用される。したがって、知育システム20を用いた脳力トレーニングの流れは、知育プログラムをコンピュータに実行させながら進行させる流れでもある。
図16において、知育プログラムは、トレーニング用データ25を記憶手段24に格納する格納ステップと、トレーニング用データ25の内容を出力手段22に表示させる出力ステップと、トレーニング用データ25に基づき表示された問題の解答を入力手段21で入力する入力ステップとを演算手段23に実行させることになる。
【0048】
知育システム20を用いた脳力トレーニング方法は、
図1に示した知育教材1を用いた脳力トレーニング方法と同様であり、その効果も同様であるので、重複内容は適宜省略する。図示はしていないが、知育システム20を起動させると、問題の一覧が表示される。
図3において、最初に解答者は、表示画面のタッチ操作により問題を選択する(
図3のステップ100)。このことにより、
図14に示したように、ルール表示30が表示され、解答者は表示されたルールを確認する(
図3のステップ101)。
【0049】
ルールを確認した解答者は、画面を切り換えて、
図15に示したように、問題兼解答部表示31を表示させ、問題を確認する(
図3のステップ102)。続いて、解答者はルールに従って、マス目8の空欄をタッチすることにより、空欄にキャラクター7を配置していき、マス目8をキャラクター7で埋め尽くす(
図3のステップ103)。
【0050】
キャラクター7の配置を終えた解答者は、配置したキャラクター7とルールとの整合性を確認する(
図3のステップ104)。この確認により、修正が生じれば、キャラクター7の配置を修正し、解答が完成する(
図3のステップ105)。解答完成後は、操作より
図17に示したように画面に正解表示を表示させて答え合わせを行って(
図3のステップ106)、問題一つ分の演習が完了する。答え合わせは、演算手段23(
図16)により自動判定させるようにすればよい。この場合、正解、不正解の判定結果を表示させるようにすればよい。
【0051】
前記の知育システム20は、インターネットを介在させることなく、使用できるものであったが、インターネットを介在させて、
図16に示したトレーニング用データ25を外部システムから取り入れてもよい。
図18は、知育システム20の別の例についての情報処理のための構成図を示している。
図16に示した知育システム20を用いた脳力トレーニングの流れは
図3と同じであり、
図18の基本構成は
図16と同じである。
【0052】
図16の知育システム20では、トレーニング用データ25は知育システム10内の記憶手段24に予め記憶されているが、
図18に示した知育システム20では、これらのデータは、使用者が入力手段21により送信手段45を操作し、インターネット43を介して、外部システム40から受信手段44で受信し、記憶出段24に格納される。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明におけるマス目はN行N列(Nは2以上の整数)であり、前記実施形態では補助教材におけるキャラクターの種類は、N種類であったが、N種類以上であってもよい。すなわち、少なくとも解答に必要なキャラクターの種類が用意されていればよく、解答に不要なキャラクターが含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 知育教材
2 表示シート
3 補助教材
4 ルール表示部
5 問題兼解答部
6,8,11 マス目
7 キャラクター
12 文字(解答を導くための表示)
13 枠線(解答を導くための表示)
20 知育システム
21 入力手段
22 出力手段
23 演算手段
24 記憶出段
25 トレーニング用データ
26 問題兼解答部データ
27 補助データ
28 正解データ
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳力トレーニングをするための知育教材であって、
問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目が表示された問題兼解答部と、
前記問題兼解答部に解答するための補助教材とを備えており、
前記マス目の一部に、解答を導くための表示として、文字及び2以上の前記マス目を含む枠線があり、
前記文字は前記枠線内に表示され、前記文字及び前記枠線が表示されたマス目は解答に用いるマス目であり、
前記補助教材は、それぞれ1種類のキャラクターが表示され、前記マス目の1つ分に収まる大きさのキャラクター片のセットであり、
前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、
解答者が前記キャラクター片を用いて、前記問題兼解答部のマス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという条件に、前記枠線が表示されたマス目内には、前記文字の内容を満たす前記キャラクター片を配置するという条件が加重された前記キャラクター片の正解の配置ができるようにし、
前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする知育教材。
【請求項2】
脳力トレーニングをするための知育システムであって、
前記知育システムは、知育プログラムがコンピュータを実行させるものであり、
情報処理を行う演算手段を備えており、
前記演算手段は前記コンピュータに含まれるものであり、
前記演算手段の情報処理により、トレーニング用データを格納する記憶手段と、
前記演算手段の情報処理により、前記トレーニング用データの内容を表示する出力手段と、
入力手段とをさらに備えており、
前記トレーニング用データは、
問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目を表示するための問題兼解答部データと、
前記出力手段に表示された前記マス目にキャラクターを表示するための補助データとを含んでおり、
前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、
前記マス目が表示されたときに、前記マス目の一部に解答を導くための表示として、文字及び2以上の前記マス目を含む枠線があわせて表示され、
前記文字は前記枠線内に表示され、前記文字及び前記枠線が表示されたマス目は解答に用いるマス目であり、
解答者が前記入力手段を操作して、前記マス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという条件に、前記枠線が表示されたマス目内には、前記文字の内容を満たすキャラクターを配置するという条件が加重された正解の配置ができるようにし、
前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする知育システム。
【請求項3】
コンピュータに、脳力トレーニングを実行させるための知育プログラムであって、
トレーニング用データを記憶手段に格納する格納ステップと、
前記トレーニング用データの内容を出力手段に表示させる出力ステップと、
前記トレーニング用データに基づき表示された問題の解答を入力する入力ステップとを前記コンピュータに実行させ、
前記トレーニング用データは、
問題であり解答作成部でもあるN行N列(Nは2以上の整数)のマス目を表示するための問題兼解答部データと、
前記出力手段に表示された前記マス目に解答するための補助データとを含んでおり、
前記補助データは、前記マス目にキャラクターを表示するためのデータであり、
前記キャラクターの種類は、N種類以上であり、
前記マス目を表示させたときに、前記マス目の一部に解答を導くための表示として、文字及び2以上の前記マス目を含む枠線をあわせて表示させ、
前記文字は前記枠線内に表示させ、前記文字及び前記枠線が表示されたマス目は解答に用いるマス目であり、
解答者が前記入力ステップの実行中に、前記マス目の各行及び各列のいずれにおいても、N種類のキャラクターが1つずつ並ぶという条件に、前記枠線が表示されたマス目内には、前記文字の内容を満たすキャラクターを配置するという条件が加重された正解の配置ができるようにし、
前記正解の配置に到達しようとする試みにより、脳力トレーニングをすることができるようにしたことを特徴とする知育プログラム。