(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136354
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】カーシェアリング管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20230922BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20230922BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20230922BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
G08G1/14 A
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041933
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 利幸
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】久保 美穂
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181KK06
5H181MA44
5H181MA45
5L049AA03
5L049BB68
5L049CC13
(57)【要約】
【課題】 月極契約用の駐車車室を転貸して一時的なカーシェア車両用車室とすることでカーシェアリングのサービスを拡大する技術を提供する。
【解決手段】 会員ユーザに貸し出す車両であるシェアカーに関する管理データを格納するシェアカー管理DBと、シェアカー車室および月極車室を含むカーシェアステーションの車室に関する管理データを格納する車室管理DBと、プール地におけるバッファ車両に関する管理データを格納するプール車両管理DBと、を備える。シェアカー車室のシェアカーでは対応できない予約が入った場合に、月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを検証し、バッファ車両を回送する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシェアリング利用に関して予め会員登録を済ませて会員IDを得た会員ユーザに係る通信端末とのデータ通信、および月極車室契約者に係る通信端末とのデータ通信を実行するカーシェアリング管理サーバであって、
会員ユーザに貸し出す車両であるシェアカーに関する管理データを格納するシェアカー管理データベースと、
前記のシェアカーを貸し出すシェアカー車室および前記の月極車室契約者に係る月極車室を含むカーシェアステーションの車室に関する管理データを格納する車室管理データベースと、
前記のシェアカーのバッファ車両をプールしているプール地におけるバッファ車両に関する管理データを格納するプール車両管理データベースと、
前記の会員ID、利用したい車両の日時データ、および利用を開始する出庫地を含んだ予約希望データを受信する予約データ受信手段と、
その予約データ受信手段が受信した前記の予約希望データに含まれる日時データが貸し出し可能であるか否かを前記のシェアカー管理データベースを用いて判断する予約可否第一判断手段と、
その予約可否第一判断手段にて貸し出し不能である場合に車両の調達およびその車両の駐車が可能であるか否かを判断して前記の貸し出し希望データによる貸し出しが可能であるか否かを前記の車室管理データベースおよびプール車両管理データベースを用いて判断する予約可否第二判断手段と、
その予約可否第二判断手段による判断結果または前記の予約可否第一判断手段による判断結果を前記の会員ユーザに係る通信端末へ送信した結果としての予約確定の返信を受信する予約確定受信手段と、
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手段と、
その貸し出しデータ受信手段が受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記のシェアカー管理データベースおよび前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手段と、
を備えるカーシェアリング管理サーバ。
【請求項2】
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手段と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手段と、
を備え、
前記の変更可否判断手段による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信するとともに、変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新することとした
請求項1に記載のカーシェアリング管理サーバ。
【請求項3】
月極契約者の連絡先等を蓄積した契約者データベースと、
前記のシェアカー管理データベースに基づいて貸し出し可能なシェアカーに関するデータを会員ユーザの閲覧に供するカーシェアデータ公開手段と、
前記のカーシェアデータ公開手段の検索ログを蓄積する検索ログデータベースと、
前記のシェアカー管理データベースまたは前記の車室管理データベースから月極契約者からの転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手段と、
前記の検索ログデータベースおよび前記の転貸実績データからシェアカーが不足していると予想される時間帯および地域を抽出するシェアカー不足時間帯抽出手段と、
そのシェアカー不足時間帯抽出手段が抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手段と、
を備え、
前記の不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信することとすることとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載のカーシェアリング管理サーバ。
【請求項4】
会員ユーザに貸し出す車両であるシェアカーに関する管理データを格納するシェアカー管理データベースと、
前記のシェアカーを貸し出すシェアカー車室および前記の月極車室契約者に係る月極車室を含むカーシェアステーションの車室に関する管理データを格納する車室管理データベースと、
前記のシェアカーのバッファ車両をプールしているプール地におけるバッファ車両に関する管理データを格納するプール車両管理データベースと、を備えたカーシェアリング管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
前記の会員ID、利用したい車両の日時データ、および利用を開始する出庫地を含んだ予約希望データを受信する予約データ受信手順と、
その予約データ受信手順にて受信した前記の予約希望データに含まれる日時データが貸し出し可能であるか否かを前記のシェアカー管理データベースを用いて判断する予約可否第一判断手順と、
その予約可否第一判断手順にて貸し出し不能である場合に車両の調達およびその車両の駐車が可能であるか否かを判断して前記の貸し出し希望データによる貸し出しが可能であるか否かを前記の車室管理データベースおよびプール車両管理データベースを用いて判断する予約可否第二判断手順と、
その予約可否第二判断手順による判断結果または前記の予約可否第一判断手段による判断結果を前記の会員ユーザに係る通信端末へ送信した結果としての予約確定の返信を受信する予約確定受信手順と、
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手順と、
その貸し出しデータ受信手順にて受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記のシェアカー管理データベースおよび前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手順と
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項5】
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手順と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手順にて受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手順と、
その変更可否判断手順による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信する変更可否データ送信手順と、
変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新する貸し出し可能日時更新手順と、
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとした
請求項4に記載のコンピュータプログラム
【請求項6】
前記のシェアカー管理データベースに基づいて貸し出し可能なシェアカーに関するデータを会員ユーザの閲覧に供するカーシェアデータ公開手順と、
そのカーシェアデータ公開手順にて閲覧に供された検索ログを蓄積する検索ログデータ蓄積手順と、
前記のシェアカー管理データベースまたは前記の車室管理データベースから月極契約者からの転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手順と、
前記の検索ログデータ蓄積手順における検索ログおよび前記の転貸実績データからシェアカーが不足していると予想される時間帯および地域を抽出するシェアカー不足時間帯抽出手順と、
そのシェアカー不足時間帯抽出手順にて抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手順と、
その不足時間帯・場所マッチング手順に抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信する不足時間帯データ送信手順と、
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとした
請求項4または請求項5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
カーシェアリング管理サーバとの間で情報通信する月極車室契約者の通信端末において稼働するコンピュータプログラムであって、
貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを駐車車室管理サーバへ送信する貸し出しデータ送信手順と、
その貸し出しデータ送信手順にて送信した貸し出し可能日時データの変更内容である貸し出し可能日時変更データを送信する貸し出し日時変更希望送信手順と、
前記の貸し出し可能日時変更データが変更可能であるか否かを前記の駐車車室管理サーバが判断した結果を受信する変更可否受信手順と、
前記の駐車車室管理サーバにおいて抽出されたシェアカーが不足する不足地域&時間帯データについて該当する地域である場合の不足時間帯データを受信する不足時間帯データ受信手順と、
を前記の通信端末に実行させることとしたコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる月極契約をした駐車車室について、駐車していない時間帯の転貸を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者に対して車両を駐車する駐車スペースを提供し、運転者から提供の対価を受け取るという駐車場ビジネスは、古くから存在する。
提供の対価(料金)は、一台分の占有スペースについて、他のスペースとの区別を付けるための区域を予め表示しておき、その一区域(以下、駐車車室、または単に「車室」と記す)を一単位として貸し出す。その車室を占有していた時間(例えば、10分、15分)を単位とするのが「時間貸し」と称し、一ヶ月単位で賃貸契約をするのが「月極」と称することが一般的である。
【0003】
(
図1)
月極の契約にて駐車車室を使いたい者と、駐車車室を含む土地オーナーとの間には、土地オーナーから土地の管理委託を受けた仲介業者が仲介していることが一般的である。
情報通信に関する技術の普及発達により、仲介業者は、仲介システムを構築し、駐車車室の物件に関する情報を閲覧できるようにしている。
図1を用いて、更に詳しく説明する。
【0004】
土地オーナーから土地の管理委託を受けた仲介業者は、自らが管理運営する月極仲介システムにおいて、管理を委託された土地に関するデータを、土地オーナーの属性情報とともに土地オーナーデータベースに蓄積する。土地のデータとしては、たとえば、「品川区五反田西31-2」であり、その土地には、「月極契約が3車室(A,B,C)」および「時間貸し車室が4車室(D,E,F,G)」であるとする。
【0005】
車室管理データベースには、月極データベースと時間貸しデータベースとを備えており、月極契約用の車室AおよびCが契約済み、Bが未契約であるとして登録する。また、時間貸しデータベースには、車室D,E,F,Gについて、予約状況などを登録したり、最新情報へのデータ更新を実行したりする。
【0006】
月極の駐車車室を探している者(希望者)は、自らの通信端末を用いて、月極データベースにアクセスし、閲覧したり、検索したりする。そして、希望する月極車室が見つかった場合には、申し込みデータを送信する。申し込みデータには、たとえば、申込者の氏名(待夢太郎)と、申し込み車室を特定するデータ(品川区五反田西31-2の月極B車室)を含む。
申し込みデータは、月極仲介システムにおける申し込み受信手段が受信し、その後、契約が成立すれば、契約者データベースに必要なデータを蓄積する。
【0007】
特許情報プラットフォームにおいて、本願に関わりそうな先行特許を検索したところ、以下の特許文献を抽出したので、それを検証した。
【0008】
特許文献1には、車両共有サービスに用いるサービス対象車両のために確保されている車室を、駐車場として有効活用するための技術が開示されている。すなわち、レンタカーや事業用カーシェアリングの車両が使われている時間帯に、時間貸し駐車場として活用できるようにするための技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図2および
図3を用いて、現状の問題点(転貸へのニーズ)を検証する。
7台の車室がある駐車場で、3台分を時間貸し車室、1台をカーシェリングに用いる車両(以下、「カーシェア車両」と略記)を入出庫させるためのカーシェア用車室、3台を月極契約の車室としている駐車場があったとする。
カーシェア用車室には、カーシェア車両が停めてあり、その車室の前には、カーシェア表示板(円錐形などのコーン)が配置されている。
【0011】
月極車室を契約している契約者の中には、カーシェアリングのニーズが高まる時間帯においては車両を使っており(契約している車室からは出庫させており)、契約している車室が空いている、という状況がある。
一方、カーシェアリング会員にとっては、ニーズが高まる時間帯は予約が取りづらい時間帯となる。
図3におけるユーザ乙を想定し、より具体的に説明する。
【0012】
ユーザ甲に係る予約希望データと比較して利用時間帯が重複した予約希望データを、ユーザ甲における予約確定データの送信後にユーザ乙が送信したとしても、予約希望に合う車両を、カーシェアリング事業者が提供できない。ユーザ甲の予約を含め、この江東区第二ステーションにおいてユーザ乙が希望する時間帯の予約が埋まっているからである(ユーザ甲が出庫させる以外の車両は、「別の予約済み」として図示)。したがって、管理サーバからユーザ乙の情報端末に対しては、「該当なし(予約不可)」という返信がなされる(
図3の下側に図示)。
【0013】
カーシェアリング事業においては、一車室に一車両を対応させた車両管理の単純化が前提となっていた。この前提の下では、重複する時間帯の予約は早い者勝ちである。前述した事例に当てはめれば、ユーザ乙は、「予約ができなかった」という事実を受け取るだけである(ユーザ乙が「該当なし」の結果を受信する旨を図示)。そして、予約が取れる別の利用ステーションを探す、利用したい車種を変更する、など、予約が可能であるように予約希望データを変更するほか、予約そのものを諦める場合もある。
ユーザ乙が予約可能な予約希望データに変更してくれる場合は良いが、予約そのものを諦めてしまった場合には、カーシェアリングサービスの事業者としては、ユーザ乙のニーズを満たすことができず、機会損失を発生させてしまったこととなる。
【0014】
図4を用いて、現状の合理性(ニーズのある転貸を契約で禁止している理由)を検証する。その
図4には、月極車室の契約者、土地オーナー、カーシェアリングサービスの事業者(「カーシェア事業者」と略記)のそれぞれの立場を図示している。
土地オーナーとしては、月極の契約者は、仲介業者がビジネスとして(責任を持って)仲介しているので信用できるが、月極の契約者が転貸をした場合に、誰が自分の土地である車室を使うか分からない、という不安がある。その不安に応えるため、転貸を禁止している契約となっている。
【0015】
仮に、自分が出庫させている時間帯を転貸して収益を上げられるとすれば、月極車室の契約者としては月極契約の賃料が実質的に値下げされることとなる。
カーシェア事業者としては、月極車室が空いている時間帯を予め把握できていれば、その車室にカーシェア車両を回送するなどしてカーシェア用車室を一時的に増やすことができることとなる。
【0016】
上述したような課題を解決するため、月極契約用の駐車車室を転貸可能とすることでその駐車車室をカーシェア車両の一時的な車室とする技術について検討を重ねた。
本発明が解決しようとする課題は、月極契約用の駐車車室をカーシェア用車室としての転貸を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した課題を解決するため、月極契約用の駐車車室が一時的に空いている時間帯に、カーシェア事業者がカーシェア車両を回送して駐車させ、そのカーシェア車両に対してカーシェアリング会員の予約を受け付ける、というシステムを提供する(
図5参照)。
【0018】
本願では、カーシェアリング管理サーバに係る第一の発明、第一に係るカーシェアリング管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明、および第一の発明に係るカーシェアリング管理サーバと通信する通信端末上で実行されるコンピュータプログラムに係る第三の発明を提供する。
【0019】
(第一の発明)
第一の発明は、カーシェアリング利用に関して予め会員登録を済ませて会員IDを得た会員ユーザに係る通信端末とのデータ通信、および月極車室契約者に係る通信端末とのデータ通信を実行するカーシェアリング管理サーバに係る(
図7参照)。
そのカーシェアリング管理サーバは、会員ユーザに貸し出す車両であるシェアカーに関する管理データを格納するシェアカー管理データベースと、
前記のシェアカーを貸し出すシェアカー車室および前記の月極車室契約者に係る月極車室を含むカーシェアステーションの車室に関する管理データを格納する車室管理データベースと、
前記のシェアカーのバッファ車両をプールしているプール地におけるバッファ車両に関する管理データを格納するプール車両管理データベースと、
前記の会員ID、利用したい車両の日時データ、および利用を開始する出庫地を含んだ予約希望データを受信する予約データ受信手段と、
その予約データ受信手段が受信した前記の予約希望データに含まれる日時データが貸し出し可能であるか否かを前記のシェアカー管理データベースを用いて判断する予約可否第一判断手段と、
その予約可否第一判断手段にて貸し出し不能である場合に車両の調達およびその車両の駐車が可能であるか否かを判断して前記の貸し出し希望データによる貸し出しが可能であるか否かを前記の車室管理データベースおよびプール車両管理データベースを用いて判断する予約可否第二判断手段と、
その予約可否第二判断手段による判断結果または前記の予約可否第一判断手段による判断結果を前記の会員ユーザに係る通信端末へ送信した結果としての予約確定の返信を受信する予約確定受信手段と、
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手段と、
その貸し出しデータ受信手段が受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記のシェアカー管理データベースおよび前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手段と、
を備える(
図7,18参照)。
【0020】
(用語説明)
本願の「カーシェアリング」には、事業サービスとしての「レンタカー」も含む。事業サービスとしての垣根が曖昧となっているからである。
「月極車室」には、契約をして車室の賃料を毎月支払っている車室のほか、年間契約などの長期契約とその契約期間の賃料を一括払いしているような車室も含む。
「貸し出し可能日時データ」については、主に管理者の都合(ハードウェア設備や運用というソフト面)で異なる。たとえば、時間単位のほか、半日単位、一日単位での貸し出し可能日時を設定することとしても良い。
【0021】
(作用)
会員ユーザに貸し出す車両であるシェアカーに関する管理データを、シェアカー管理データベースが格納する。 シェアカーを貸し出すシェアカー車室および前記の月極車室契約者に係る月極車室を含むカーシェアステーションの車室に関する管理データを、車室管理データベースが格納する。 前記のシェアカーのバッファ車両をプールしているプール地におけるバッファ車両に関する管理データを、プール車両管理データベースが格納する。
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを、貸し出しデータ受信手段が受信する。その貸し出しデータ受信手段が受信した貸し出し可能日時データを用いて、シェアカー管理データベースおよび車室管理データベースをデータ更新手段が更新する。
【0022】
会員ID、利用したい車両の日時データ、および利用を開始する出庫地を含んだ予約希望データを、予約データ受信手段が受信する。 その予約データ受信手段が受信した予約希望データに含まれる日時データが貸し出し可能であるか否かを、シェアカー管理データベースを用いて予約可否第一判断手段が判断する。予約可否第一判断手段にて貸し出し不能である場合に、車両の調達およびその車両の駐車が可能であるか否かを判断して貸し出し希望データによる貸し出しが可能であるか否かを車室管理データベースおよびプール車両管理データベースを用いて予約可否第二判断手段が判断する。
その予約可否第二判断手段による判断結果または予約可否第一判断手段による判断結果を会員ユーザに係る通信端末へ送信した結果としての予約確定の返信を、予約確定受信手段が受信する。
【0023】
上記のカーシェアリング管理サーバの作用を要約すると、以下のようなこととなる。
すなわち、月極車室契約者が自らに係る通信端末を用いて、管理サーバへ貸し出し可能な日時に関するデータを提供し、その貸し出し可能な日時に、予め用意されていたシェアカー用車室とその車室に対応したシェアカーでは対応できない予約が入ったとする。その場合に、プール車両を月極車室契約者に係る車室へ別のシェアカーを回送し、その車室を一時的なカーシェア車両用の車室とすることで予約に対応するのである。
【0024】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成することができる(
図11参照)。
すなわち、月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手段と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手段が受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手段と、
を備え、
前記の変更可否判断手段による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信するとともに、変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新することとする。
【0025】
(作用)
月極車室契約者が貸し出し可能な日時を登録した後、貸し出し可能日時を変更(削除を含む)したい場合に対応することができる。換言すれば、貸し出し可能日時として一旦登録した場合、貸し出し可能日時を変更(削除を含む)できない場合もある。
【0026】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することができる(
図12、13参照)。
すなわち、月極契約者の連絡先等を蓄積した契約者データベースと、
前記のシェアカー管理データベースに基づいて貸し出し可能なシェアカーに関するデータを会員ユーザの閲覧に供するカーシェアデータ公開手段と、
前記のカーシェアデータ公開手段の検索ログを蓄積する検索ログデータベースと、
前記のシェアカー管理データベースまたは前記の車室管理データベースから月極契約者からの転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手段と、
前記の検索ログデータベースおよび前記の転貸実績データからシェアカーが不足していると予想される時間帯および地域を抽出するシェアカー不足時間帯抽出手段と、
そのシェアカー不足時間帯抽出手段が抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手段と、
を備え、
前記の不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信することとするのである。
【0027】
(用語説明)
「転貸実績データ」とは、月極契約者が提供した貸し出し日時にカーシェア車室として使われた記録としてのデータである。シェアカー管理データベースにも車室管理データベースにも記録が残るので、いずれかのデータベースから転貸実績データは取得できることとなる。
【0028】
(作用)
カーシェアデータ公開手段の検索ログを検索ログデータベースが蓄積する。シェアカー管理データベースまたは前記の車室管理データベースから転貸実績データを転貸実績データ抽出手段が抽出する。
検索ログデータベースおよび転貸実績データからシェアカーが不足していると予想される時間帯および地域を、シェアカー不足時間帯抽出手段が抽出する。抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて、不足時間帯・場所マッチング手段が抽出する。
そして、前記の不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信する。
【0029】
月極契約者からの貸し出し可能日時を待つのではなく、シェアカーが不足すると予想される時間帯および場所のデータを抽出し、その場所に契約者室のある月極契約者に、車室の提供を呼び掛けることができる。結果として、シェアカーが不足すると予想される時間帯および場所に対する一時的なカーシェア用車室の供給を高められる可能性を増大させることに寄与する。
【0030】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係るカーシェアリング管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る。
そのカーシェアリング管理サーバは、会員ユーザに貸し出す車両であるシェアカーに関する管理データを格納するシェアカー管理データベースと、
前記のシェアカーを貸し出すシェアカー車室および前記の月極車室契約者に係る月極車室を含むカーシェアステーションの車室に関する管理データを格納する車室管理データベースと、
前記のシェアカーのバッファ車両をプールしているプール地におけるバッファ車両に関する管理データを格納するプール車両管理データベースと、を備えている。
前記のコンピュータプログラムは、 前記の会員ID、利用したい車両の日時データ、および利用を開始する出庫地を含んだ予約希望データを受信する予約データ受信手順と、
その予約データ受信手順にて受信した前記の予約希望データに含まれる日時データが貸し出し可能であるか否かを前記のシェアカー管理データベースを用いて判断する予約可否第一判断手順と、
その予約可否第一判断手順にて貸し出し不能である場合に車両の調達およびその車両の駐車が可能であるか否かを判断して前記の貸し出し希望データによる貸し出しが可能であるか否かを前記の車室管理データベースおよびプール車両管理データベースを用いて判断する予約可否第二判断手順と、
その予約可否第二判断手順による判断結果または前記の予約可否第一判断手段による判断結果を前記の会員ユーザに係る通信端末へ送信した結果としての予約確定の返信を受信する予約確定受信手順と、
月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを受信する貸し出しデータ受信手順と、
その貸し出しデータ受信手順にて受信した貸し出し可能日時データを用いて、前記のシェアカー管理データベースおよび前記の車室管理データベースを更新するデータ更新手順と
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラムである(
図7,18参照)。
【0031】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、月極車室契約者に係る通信端末から貸し出し可能な日時の変更希望に関する貸し出し可能日時変更データを受信する貸し出しデータ可能日時データ受信手順と、
その貸し出しデータ可能日時データ受信手順にて受信した貸し出し可能日時変更データに含まれる日時変更データについて、既に貸し出し予約が入っているか否かを、前記の車室管理データベースに蓄積されたデータに基づいて確認し、変更の可否を判断する変更可否判断手順と、
その変更可否判断手順による変更可否のデータを前記の通信端末へ送信する変更可否データ送信手順と、
変更可能である場合には、前記の車室管理データベースを前記の貸し出し可能日時変更データへ更新する貸し出し可能日時更新手順と、
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとするのである。
【0032】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、前記のシェアカー管理データベースに基づいて貸し出し可能なシェアカーに関するデータを会員ユーザの閲覧に供するカーシェアデータ公開手順と、
そのカーシェアデータ公開手順にて閲覧に供された検索ログを蓄積する検索ログデータ蓄積手順と、
前記のシェアカー管理データベースまたは前記の車室管理データベースから月極契約者からの転貸実績データを抽出する転貸実績データ抽出手順と、
前記の検索ログデータ蓄積手順における検索ログおよび前記の転貸実績データからシェアカーが不足していると予想される時間帯および地域を抽出するシェアカー不足時間帯抽出手順と、
そのシェアカー不足時間帯抽出手順にて抽出した不足に係る時間帯および地域データ、および不足が予想される地域データに駐車場を月極契約している月極契約者を前記の契約者データベースを用いて抽出する不足時間帯・場所マッチング手順と、
その不足時間帯・場所マッチング手順に抽出した契約者に係る通信端末へ不足時間帯データを送信する不足時間帯データ送信手順と、
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとするのである。
【0033】
(第三の発明)
第三の発明は、月極車室契約者の通信端末において実行(ダウンロードして実行、またはウェブページを介して実行)するアプリケーションプログラムに係る(
図14の「転貸アプリ」参照)。
すなわち、カーシェアリング管理サーバとの間で情報通信する月極車室契約者の通信端末において稼働するコンピュータプログラムであって、
貸し出し可能な日時に関する貸し出し可能日時データを駐車車室管理サーバへ送信する貸し出しデータ送信手順と、
その貸し出しデータ送信手順にて送信した貸し出し可能日時データの変更内容である貸し出し可能日時変更データを送信する貸し出し日時変更希望送信手順と、
前記の貸し出し可能日時変更データが変更可能であるか否かを前記の駐車車室管理サーバが判断した結果を受信する変更可否受信手順と、
前記の駐車車室管理サーバにおいて抽出されたシェアカーが不足する不足地域&時間帯データについて該当する地域である場合の不足時間帯データを受信する不足時間帯データ受信手順と、
を前記の通信端末に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0034】
第三の発明は、後述するようにダウンロードしてインストールすることで使うアプリケーションプログラムとする場合の他、駐車場管理サーバが開設したウェブページ上で、通信端末のブラウザにて実行される場合もある。
【0035】
第二の発明または第三の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。なお、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータまたは駐車場構造の制御コンピュータから、通信回線を通じて駐車場構造の制御コンピュータへ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0036】
第一の発明によれば、月極契約用の駐車車室を転貸して一時的なカーシェア車両用車室とすることでカーシェアリングのサービスを拡大することに寄与するカーシェアリング管理サーバを提供することができる。
第二の発明によれば、月極契約用の駐車車室を転貸して一時的なカーシェア車両用車室とすることでカーシェアリングのサービスを拡大することに寄与するカーシェアリング管理サーバの制御用コンピュータプログラムを提供することができる。
第三の発明によれば、月極契約用の駐車車室を転貸して一時的なカーシェア車両用車室とすることでカーシェアリングのサービスを拡大することに寄与するカーシェアリング管理サーバとの通信をする通信端末の制御用コンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】月極車室を仲介する仲介サーバの概要を示すブロック図である。
【
図2】月極車室と時間貸し車室とカーシェ用車室とが混在する駐車場を示す概念図である。
【
図3】予約制カーシェアリングの課題を説明するためのブロック図である。
【
図4】月極車室が転貸を禁止する契約となっている合理性を示す概念図である。
【
図5】月極契約者が車室Cを空け、その空いた車室へカーシェアリング予約に係る車両をカーシェア事業者が回送するまでを示す概念図である。
【
図6】月極契約の車室を転貸可能とする契約を電子化した場合の概要を示すブロック図である。
【
図7】月極契約の車室を転貸可能な日時を送信し、カーシェアリング管理サーバにおいてカーシェア会員に対する貸し出しに応ずる様子を示すブロック図である。
【
図8】月極契約の車室をカーシェア車両の一時的な入出庫に用いたことによる収益分配を示すブロック図である。
【
図9】カーシェアリング会員が予約のための閲覧や検索をして、予約申し込みを確定させるまでを示すブロック図である。
【
図10】第一の実施形態に関して、月極車室契約者、カーシェアリング事業者、カーシェアリング会員、および土地オーナーのメリットを示す概念図である。転貸可能な日時の変更手続を示すブロック図である。
【
図11】月極車室の契約者が貸し出し可能日時を一旦提供し、その日時を変更を希望した場合を示すブロック図である。
【
図12】時間貸し車室が不足すると予測される日時について、転貸車室の提供者に対するプッシュ通知を実行する実施形態を示すブロック図である。
【
図13】時間貸し車室が不足すると予測される日時および場所を抽出する手順を示すブロック図である。
【
図14】月極契約の車室を転貸するのに便利なアプリケーションプログラム(転貸アプリ)の基本機能を示すブロック図である。
【
図15】転貸によって時間貸し駐車を利用した者から得た収益を、転貸をした月極車室契約者および土地オーナーに分配することを示す概念図である。
【
図16】転貸によって一時的にカーシェアリング用の車室となったことでカーシェアリングを利用した会員から得た収益を、転貸をした月極車室契約者、土地オーナーおよび土地活用仲介者に分配することを示す概念図である。
【
図17】月極車室をカーシェア用車室に転貸することで一車室多車両を実現するための予約手順を示すフローチャートである。
【
図18】月極車室をカーシェア用車室に転貸することで一車室多車両を実現するための予約システムについて、第一の実施形態(カーシェアリング管理サーバと駐車場サーバが統合された場合)を示すブロック図である。
【
図19】月極車室をカーシェア用車室に転貸することで一車室多車両を実現するための予約システムについて、第二の実施形態(カーシェアリング管理サーバと駐車場サーバが別々の場合)を示すブロック図である。
【
図20】一車室多車両を実現するために車両を回送したり、回収したりするイメージを示すための概念図である。
【
図21】返却用の車室が重複する場合に車両を回送させる手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図5から
図21)を参照して説明する。本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための形態である。
【0039】
(
図5)
図5では、月極契約者が車室Cを空け、その空いた車室へカーシェアリング予約に係る車両をカーシェア事業者が回送するまでを示す。吹き出しとその説明内のカッコ書き数字は、起きる順序を示している。
【0040】
ひとつしかないカーシェア用車室は、別の予約が入っており、カーシェア表示板が車室の入口に置かれている(0)。続いて、月極契約者が車室Cから自らに係る車両を出庫させる(1)。その結果、車室Cは空室となる(2)。なお、出庫させている時間帯については、この図では示していないが、転貸可能な時間帯としてカーシェリング管理サーバに届け出てある。
【0041】
空室となった車室Cに対しては、カーシェリング管理サーバからの連絡を受けた営業所Aから、カーシェアリング利用に関する予約された車両を回送する(3)。そして、回送した車両の前には、カーシェア表示板を設置する。
予約に係る車両は、普通車の他、小型モビリティや電動キックボードなどでもよい。
【0042】
(
図6)
図6は、土地オーナー、仲介業者、月極車室契約者の間において月極にて貸し出す契約とした契約内容について、月極車室契約者が仲介業者を介して転貸をすることを土地オーナーが許諾する旨の三者契約を、電子化して実行する場合の情報処理手順の一例を示している。仲介業者は、一般に、複数の土地オーナーとの関係を構築しており、また月極契約者とも複数の関係を構築しているが、図示の都合上、一名ずつとしている。
月極契約の更新時において、転貸を可能とする契約改定を実行する場合も同様である。
【0043】
仲介業者に係るサーバの転貸契約書送信手段から、転貸契約書フォーマットを土地オーナーに係る通信端末および月極契約車室契約者に係る通信端末へ送信する。
自らに係る通信端末にて転貸契約書フォーマットを受信した土地オーナーおよび月極契約車室契約者は、署名入力手段を用いて署名する。そして、署名入り契約書を署名入り契約書送信手段にて仲介業者に係るサーバへ送信する。
署名の方法に関しては、契約書フォーマットを印刷し、署名捺印した契約書をデジタルスキャンしたデータを送信するほか、各種の電子署名の方法に従って実行する。
【0044】
サーバにおいては、署名入り契約書受信手段が署名入り契約書を受信し、契約書データベースへ蓄積する。また、契約が成立した旨を知らせるため、土地オーナーおよび月極契約車室契約者に係る通信端末へ、署名入り契約書を受信した受信証明(たとえば、署名入り契約書に仲介業者の署名を加えた契約書)を送信する。
【0045】
(
図7)
図7は、月極車室の契約者が転貸可能な日時をカーシェアリング管理サーバ(図中では、「カーシェア管理サーバ」と略記)へ登録し、車室を時間借り希望する者へ提供する概略を示すブロック図である。
【0046】
月極車室の契約者は、自らの車室が空いていて転貸が可能な日および時間帯を特定したデータに契約者IDを加えた貸し出し可能日時データを、自らの通信端末にて、カーシェアリング管理サーバへ送信する。
たとえば、貸し出し可能な日および時間帯が2021年7月3日の9時から18時、契約者IDが「123-4567」であるとする。
【0047】
カーシェアリング管理サーバに送信された貸し出し可能日時データは、データ受信手段が受信し、契約者データベースに登録するとともに、車室管理データベースにも登録する。ここで、車室管理データベースには、月極車室に関する管理データを蓄積する月極データベースと、時間貸し車室に関する管理データを蓄積する時間貸しデータベースと、カーシェアリングサービスに係る車室のデータを蓄積するシェアカー車室データベースと、が含まれる。
【0048】
カーシェアリング管理サーバにおいては、データ更新手段(図示を省略)が車室管理データベースにおけるカーシェア管理データベースを更新する。すなわち、もともとカーシェア車室となっていた車室についての管理データは、カーシェア専用データベースに蓄積し、月極車室を転貸可能とした車室についての管理データは、カーシェア臨時データベースに蓄積する。
【0049】
前述した時間貸し専用データベースおよび時間貸し月極データベースのデータから、カーシェアリングの予約を受け付けられる車室が存在する駐車場および予約可能な日および時間帯について、会員登録を済ませることによって閲覧/検索の権限を持つカーシェア会員が閲覧可能であるように、カーシェアデータ公開手段にて公開する。
【0050】
会員登録を済ませたカーシェア会員は、自らに係る通信端末を介して時間貸しデータ公開手段にアクセスし、希望するカーシェアステーションと希望する日時とを特定した申し込みデータ(たとえば、カーシェアステーションを特定するデータとしての五反田西第一、および希望日時としての2021年7月3日10:30~14:00)を、カーシェアリング管理サーバへ送信する。カーシェアリング管理サーバにおいては、申し込みデータを申し込み受信手段が受信する。
【0051】
その後、予約が可能であるか否かを判断する手段(
図9にて図示)が予約可能と判断した場合には、申し込みデータを送信してきた通信端末へ予約完了データを送信し、予約完了データは、会員データベースに蓄積するとともに、時間貸しデータベースにも蓄積する。
【0052】
(
図8)
図8は、本発明の第一の実施形態を示すブロック図であり、月極車室を転貸した転貸車室(カーシェア用の一時的な車室)への入庫から出庫しての精算までを示す。
【0053】
まず、カーシェアリングを予約したカーシェア会員は、予約に係る駐車車室へ自らの車両を入庫させたら、入庫が完了した旨の入庫完了データを、自らの通信端末にてカーシェアリング管理サーバへ送信する。入庫完了データには、時間借り予約者の会員IDおよび予約日時が含まれる。カーシェアリング管理サーバにおいては、入庫データ受信手段が入庫完了データを受信する。
【0054】
入庫完了データが予め予約された内容の実行であるのか否かを確認するため、会員データベースおよび時間貸しデータベースによる確認をする。時間貸しデータベースには、予約遂行が開始された旨を登録する(図中では「データ更新」と「双方向矢印」にて図示)。
【0055】
カーシェアリングの予約者が、借りていた駐車車室から自らの車両を出庫させる際には、出庫完了データを、自らの通信端末にてカーシェアリング管理サーバへ送信する。出庫完了データには、時間借り予約者の会員IDおよび出庫日時が含まれる。カーシェアリング管理サーバにおいては、出庫データ受信手段が入庫完了データを受信する。
【0056】
出庫完了データが予め予約された内容の実行であるのか否かを確認するため、会員データベースおよび時間貸しデータベースによる確認をする。時間貸しデータベースには、予約遂行が終了した旨を登録する(図中では「データ更新」と「双方向矢印」にて図示)。
【0057】
入庫完了データおよび出庫完了データに基づいて、駐車車室を時間借り予約者がどのくらいの時間の利用がされたかが特定できるので、精算すべき精算料金を転貸料算出手段が算出する。算出した精算料金は、会員データベースに登録する。図示は省略するが、会員データベースには、精算料金を決済するためのデータ(たとえばクレジットカード番号など)が蓄積されているので、所定の手続きに従って精算処理を実行することとなる。
【0058】
転貸料算出手段が算出した精算料金に基づいて、土地オーナー、月極車室契約者、およびカーシェアリング管理サーバの運営者が、取り分を分配する。そして、精算データ送信手段が土地オーナーに係る通信端末、月極車室契約者に係る通信端末へ、精算データを送信する。図中では、時間借り予約者の支払額に応じて等分された100円が計上された旨、通知することとして示している。
【0059】
(
図9)
図9では、
図7に示した時間貸し車室の予約手順の部分を詳細に示している。時間借り希望者に係る通信端末と、カーシェアリング管理サーバとの間で、どのようなデータの授受がなされているか、を図示している。
【0060】
時間借り希望者は、まず、会員登録を済ませる。次に、時間貸し車室に関して時間貸しデータを閲覧し、自分が希望する場所および日時に見合う時間貸し車室を検索する。希望に沿った車室が見つかったら予約申し込みを実行し、予約を完了させる。
【0061】
通信端末からは、会員登録データ送信手段にて会員登録用データをカーシェアリング管理サーバへ送信する。この会員登録用データとは、氏名や決済方法などのデータである。
送信された会員登録用データは、カーシェアリング管理サーバの会員登録データ受信手段にて受信する。そして、決済方法などが適正であるか、といった審査を経て(図示を省略)、会員登録用データを会員データベースに登録する。
【0062】
カーシェアリング管理サーバにおいては、時間貸しデータベースに蓄積されたデータを、閲覧および検索用に加工し、時間貸しデータ公開手段にて閲覧に供する。この時間貸しデータ公開手段は、時間貸し月極データベースに蓄積されていたデータを、会員でなくても閲覧はできるが予約ができない、という設定とする。会員における優位性を示すことができるとともに、非会員の会員登録を促進する効果が期待できるからである。
なお、時間貸し月極データベースに蓄積されていたデータについては、会員登録を済ませた会員でなければ閲覧できないように設定することとしても良い。
【0063】
会員登録を済ませた時間借り希望者は、時間貸しデータ公開手段にアクセスし、時間貸しデータを閲覧し、自分が希望する場所および日時に見合う時間貸し車室を検索する。希望に沿った車室が見つかったら、申し込みデータ送信手段にて予約申し込みデータを送信する。この予約申し込みデータには、希望する車室のある駐車場またはその車室と、予約希望日時、会員IDなどが含まれる。
【0064】
時間借り希望者に係る通信端末から送信された予約申し込みデータは、カーシェアリング管理サーバにおける申し込み受信手段にて受信する。そして、他の申し込みと重なったりしていないか、など申し込みが可能か否かを、申し込み可否判断手段が判断し、可否について前記の通信端末へ返信する。申し込み可能である旨の送信であれば(図では、この場合のみを図示)、時間借り希望者による予約の意思の最終確認を返信すべき指示が含まれている。そこで、時間借り希望者は、予約確定送信手段にて最終確認を送信する。
【0065】
予約確定の最終確認は、カーシェアリング管理サーバの予約確定受信手段が受信する。そして、予約確定データとして、時間借り希望者に係る会員ID、予約者室を特定するためのデータおよび予約日時を、時間貸しデータベースおよび会員データベースに登録する。
【0066】
前述してきた手順は、カーシェアリング管理サーバが提供するウェブページにて実行するのが一般的である。しかし、カーシェアリング管理サーバが専用のアプリケーションを用意し、そのアプリケーションをダウンロードおよびインストールした通信端末にて、時間借り希望者が手続をすることとしても良い。
【0067】
(
図9)
図9では、転貸可能な日時の変更手続を示す。すなわち、貸し出し可能日時データ(1)を、後に、貸し出し可能日時データ(4)へ変更する場合の手順を示している。
【0068】
月極車室契約者に係る通信端末から送信され、カーシェアリング管理サーバにおいて登録される貸し出し可能日時データ(1)がカーシェアリング管理サーバにて受信され、データベースへの登録(2)、車室管理データベースの更新(3)が実行されるまでは、
図5に示したものと同じである。
【0069】
さて、月極車室契約者の事情変更で、貸し出し可能な日は変更がないものの時刻を2時間短縮したい、という事態となったとする。その場合、変更したい貸し出し可能日時データ(4)をカーシェアリング管理サーバへ送信し、貸し出し可能日時変更データ受信手段が受信する。そして、変更前の貸し出し可能日および時間帯に既に予約が入っていないかどうか、変更可否判断手段が確認し、入っていなければ変更を認める(時間貸しデータベースの貸し出し可能日時を変更する)。一方、入っている場合には変更を認めない、という判断を実行する(5)。そして、その判断結果である変更可否データ(7)を、月極車室契約者に係る通信端末へ送信する。
【0070】
変更を認めない場合、月極車室契約者は、最初に登録した貸し出し可能日時データの間は、自分の契約車室といえども、使うことはできない。また、その旨は、転貸の契約書に予め明記してあるものとする。時間借りをしたい会員の利益を確保するためである。
【0071】
(
図10)
図10は、
図7および
図8で示した第一の実施形態に関して、月極車室契約者、カーシェア事業者、カーシェア会員、および土地オーナーそれぞれのメリットを示している。
【0072】
月極車室契約者としては、転貸によって収益が上がることにより、土地オーナーに対して支払う契約料が実施的には値下げされたこととなる、という利点がある。
土地オーナーとしては、転貸することで車室を使う人が不特定多数とはならず、仲介業者に対する会員登録をした者に限られる、という安心感が得られる、という利点がある。
カーシェア会員としては予約できる可能性が高まる、という利点があり、カーシェア事業者としては機会損失を減らすことができる、という利点がある。
【0073】
(
図11)
図11では、転貸可能な日時の変更手続を示す。すなわち、貸し出し可能日時データ(1)を、後に、貸し出し可能日時データ(4)へ変更する場合の手順を示している。
【0074】
月極車室契約者に係る通信端末から送信され、カーシェアリング管理サーバにおいて登録される貸し出し可能日時データ(1)がカーシェアリング管理サーバにて受信され、データベースへの登録(2)、車室管理データベースの更新(3)が実行されるまでは、
図7に示したものと同じである。
【0075】
さて、月極車室契約者の事情変更で、貸し出し可能な日は変更がないものの時刻を2時間短縮したい、という事態となったとする。その場合、変更したい貸し出し可能日時データ(4)を転貸管理サーバへ送信し、貸し出し可能日時変更データ受信手段が受信する。そして、変更前の貸し出し可能日および時間帯に既に予約が入っていないかどうか、カーシェアリング管理データベースのデータにて変更可否判断手段が確認し、入っていなければ変更を認める(時間貸しデータベースの貸し出し可能日時を変更する)。一方、入っている場合には変更を認めない、という判断を実行する(5)。そして、その判断結果である変更可否データ(7)を、月極車室契約者に係る通信端末へ送信する。
【0076】
変更を認めない場合、月極車室契約者は、最初に登録した貸し出し可能日時データの間は、自分の契約車室といえども、使うことはできない。また、その旨は、転貸の契約書に予め明記してあるものとする。時間借りをしたい会員の利益を確保するためである。
【0077】
(
図12)
図12では、カーシェアリング管理サーバにおいて、時間貸し駐車車室が不足する地域および時間帯を予測し、その予測結果の地域にて転貸可能な契約をしている月極車室契約者に対し、転貸できる時間帯がないか、プッシュ通知をする手順の概略(詳細は
図13)を示している。
【0078】
カーシェアリング管理サーバにおいては、時間借り希望者による閲覧や検索のログを蓄積している検索ログデータベースと、車室管理データベースにおいて転貸の実績に関するデータを抽出する転貸実績データ抽出手段とを用いて、時間貸し不足時間帯抽出手段が、時間貸し駐車車室が不足する地域および時間帯を予測抽出する。
【0079】
時間貸し不足時間帯抽出手段によって抽出した時間貸し駐車車室が不足する地域および時間帯について、契約者データベースによる駐車車室の住所地データを参照し、不足時間帯・場所マッチング手段が、該当する月極契約者を抽出する。
不足時間帯・場所マッチング手段が抽出した月極契約者の通信端末には、プッシュ通知として、時間貸し車室が不足すると予測される日時についての告知と、転貸の手続へ導くURLなどを、不足時間帯データとして送信する。
【0080】
(
図13)
図13では、
図12に示した時間貸しが不足する地域および時間帯データの抽出がどのようになされているかを、より詳細に図示したものである。
【0081】
検索ログとして、検索された場所、日付、時間帯があり、転貸実績抽出手段が抽出する実績データとして、場所、曜日、時間帯などがある。検索ログおよび実績データを用いて時間貸し不足時間帯抽出手段は、時間貸し駐車車室が不足する不足地域および時間帯データを予測し、抽出する。
【0082】
抽出した不足地域および時間帯データと、転貸契約をしている契約者における車室の住所データ、契約者の連絡先(通信端末のアドレスなど)とを用いて、不足時間帯・場所マッチング手段が、プッシュ通知を出すべき契約者を抽出し、プッシュ通知を送信する。
【0083】
(
図14)
図14では、月極契約の車室を転貸するのに便利な専用アプリケーションプログラムの基本機能を、転貸管理サーバとのやり取りとともに示している。この専用アプリケーションプログラム(以下、「転貸アプリ」)は、カーシェアリング管理サーバあるいはそのカーシェアリング管理サーバが管理している別サーバから、月極車室契約者に係る通信端末へのダウンロードが可能となるように準備されている(図示は省略)。
【0084】
転貸アプリは、貸し出し可能日時データを送信するための貸し出しデータ送信手段がある。この貸し出しデータ送信手段は、貸し出し可能日時データとして必要な月極車室契約者のIDや月極車室の住所地などのデータは、一度入力すれば入力を省略できるようにしてある。したがって、月極車室契約者としては、貸し出し可能な日時のみを入力したら、確認等を経て送信すればよい。送信した貸し出し可能日時データは、転貸管理サーバのデータ受信手段が受信し、時間貸しデータベースに蓄積(登録)されることとなる。
【0085】
送信した貸し出し可能日時データは、貸し出しデータベースに登録される。そして、通信端末に内蔵されている時計機能と連動し、転貸の開始時刻の30分前といった設定時間に基づき、アラーム手段が月極車室契約者への注意喚起を促すこととしている。
【0086】
転貸アプリには、貸し出し日時変更希望送信手段も備えられている。前述の貸し出しデータ送信手段による送信実績がないと、起動することができない。また、貸し出し可能日時として登録した時間帯が過ぎてからは、起動することができない。
【0087】
貸し出し日時変更希望送信手段を起動させると、登録済みの貸し出し可能日時データが表示され、変更したい日、開始時刻、終了時刻について、再入力が可能な画面(変更内容を入力する画面)となる。また、貸し出し可能日時データを変更するのではなく、削除することができる削除ボタンも用意されている。
【0088】
貸し出し日時変更希望送信手段によって貸し出し可能日時変更データを送信すると、転貸管理サーバにおける貸し出し可能日時データ受信手段が受信し、時間貸しデータベースによる貸し出し予約データを参照して、変更が可能かどうか、変更可否判断手段が判断する。そして、変更の可否について返信する。変更可能である場合には、時間貸しデータベースに対して、変更後の貸し出し可能日時データを登録する。
【0089】
図13に示した転貸管理サーバの不足時間帯・場所マッチング手段が不足時間帯データを送信してきた場合には、転貸アプリが自動で起動し、不足時間帯データ受信手段が不足時間帯データを受信する。そして、不足時間帯データ出力手段による機能を介して、月極車室契約者の通信端末のトップ画面などに、不足時間帯データを出力する。
貸し出しデータ送信手段を起動させる、あるいは貸し出しデータ送信手段を起動させるか否かを尋ねる画面が出力されることとしてもよい(図中では、点線にて不足時間帯データ出力手段から貸し出しデータ送信手段へ向かう点線矢印として示している)。
【0090】
(
図15)
図15は、
図8において示した転貸料算出手段が、土地オーナーおよび月極車室契約者に対して、時間貸し利用者が支払うこととなる利用料金の分配額を算出し、お知らせする様子を示している。
【0091】
カーシェア会員は、月極車室契約者が一時的に提供した車室を利用してカーシェアリングサービスを利用した後、出庫データを送信する。管理サーバにおいては、時間貸し利用者に係る通信端末から出庫データを出庫データ受信手段が受信する。そして、その出庫データや予め登録した会員データに基づいて利用料金を精算されることとなる。
【0092】
カーシェア会員がカーシェアリングを利用した料金は、前記の利用に係る車室を提供した月極車室契約者と土地オーナーとの間で締結された契約者データベースに格納されている契約内容に基づいて、転貸料算出手段が分配額を算出する。そして、算出された分配額を月極車室契約者に係る通信端末、および土地オーナーに係る通信端末へ精算データ送信手段が送信する。もちろん、算出された分配額は、別途の手順にて送金する(図示を省略)。
【0093】
前記契約における分配割合の例としては、たとえば、
カーシェアリング事業者:土地オーナー:月極車室契約者=80:10:10
である。こうした分配割合は、契約締結の前提としての当事者間の交渉にて決定し、転貸の事例が発生する前に転貸料算出手段(より具体的には、算出用の計算式)に反映させておく。
【0094】
(
図16)
図10において、
図6から
図8に示したカーシェアリングサービスには、土地オーナー、月極車室契約者およびカーシェアリング事業者(間接的にカーシェア会員も)に対してメリットを提供できる。換言すれば、月極車室契約者による「転貸」という概念が普及しなければ、土地オーナー、月極車室契約者およびカーシェアリング事業者のいずれも、メリットを享受できない。
【0095】
そこで、「転貸」を活用したカーシェアリングシステムを運営するカーシェアリング事業者が、多くの土地オーナーから土地活用を委託されている土地活用仲介者に対して、「月極契約者による転貸」を紹介してもらうことが合理的である。すなわち、土地活用仲介者が土地オーナーから月極駐車場の仲介や管理を委託されている場合に、駐車場管理を兼用するカーシェアリング管理システムに月極駐車場の管理運用を再委託してもらうのである。
【0096】
この場合の再委託の件数を増大させるためには、土地活用仲介者に対するインセンティブを用意することが合理的である。
前述した土地活用仲介者に対するインセンティブを実現するためのシステムを概念的に示したのが、
図16である。
【0097】
前記契約における分配割合の例としては、たとえば、
カーシェアリング事業者:土地オーナー:月極車室契約者:土地活用仲介者=30:20:35:15
である。もちろん、分配割合は、契約締結の前提としての当事者間の交渉にて決定し、転貸の事例が発生する前に転貸料算出手段(より具体的には、算出用の計算式)に反映させておく。
【0098】
土地活用仲介者と転貸活用システムを運営する駐車場管理者との間で再委託の契約(転貸活用システムを運営する駐車場管理者にとっては委託契約)が締結された場合、その契約内容は、契約者データベースに格納される。
【0099】
図16に示した転貸料算出手段は、土地活用仲介者と転貸活用システムを運営する駐車場管理者との間で締結された契約内容をも加味して、分配額を算出する。そして、算出された分配額を土地活用仲介者に係る通信端末にも送信する。
【0100】
(
図17)
図17は、カーシェアリング予約システムのデータ処理の概要を示すフローチャートである。以下、カーシェアリング会員が予約検索データを送信するサーバ(カーシェアリング管理サーバ)の立場から、各ステップについて説明する。
【0101】
スタート(S0)については、ユーザによる予約検索データの入力が前提となる。その予約検索データは、車両を出庫させるステーション(出発ST)の指定から始まることが一般的である。そして、車両を使い始める時刻、使った車両を返却する時刻について、非稼動の(空いている)車両を探すこととなる。また、車両の種類については、(車番ではなく)クラス指定による。
出発ステーションは、車両の回送が可能なステーションと、車両の回送ができないステーションがある。
【0102】
カーシェア管理サーバは、ユーザに係る通信端末から予約検索データを受信する(S1)。そして、その予約検索データに基づく内容にて、予約が可能か否かを判断する(S2)。予約が可能であれば、予約可能である旨をユーザに係る通信端末へ返信する(S3)。その後、ユーザに係る通信端末から予約確定の連絡データを受信し(S8)、終了する。
ここまでの手順は、
図3におけるユーザ甲が予約を完了させるまでの手順と同様である。
【0103】
続いて、
図3におけるユーザ乙が予約を完了させるまでの手順を説明する。
カーシェア管理サーバは、ユーザ乙に係る通信端末から予約検索データを受信する(S1)。そして、その予約検索データに基づく内容にて、予約が可能か否かを判断する(S2)。この予約可能か否かの判断は、出発ステーション内での空き車両はない。ユーザ甲による予約と重複しているからである。よって、このS2では、「No」の判断となり、S4に進む。
【0104】
図3に示したユーザ乙は、予約検索データを受信した時刻が、ユーザ甲よりも遅いものの、予約検索データに係る出庫予定時刻が、出発ステーションへの車両回送が可能な時間を確保できる場合である。
【0105】
S4において、対応不能(No)であると判断された場合には、予約ができない旨をユーザに係る通信端末へ返信する(S5)。そして、終了となる。
なお、予約検索データの内容を変更することをユーザに依頼する、といった発展系については言及していない。ユーザへの依頼、ユーザによる変更した予約検索データの送信が行われた場合には、再びS1からのステップとなる。なお、ユーザへの予約検索データの内容を変更に対してはポイント還元などによって、変更手続きに対する手間に報いることとしている。
【0106】
S4において、対応可能(Yes)であると判断された場合には、S6において予約が可能であるか否か、を判断する。予約検索データに基づく内容で、回送すべき車両が確保できるか否か、という判断に加え、オプション要望がある場合にはその要望に対する対応が可能か否か、という判断をする。
【0107】
S6では、その出発ステーションへの車両回送による対応が可能である、と判断できる条件である場合には、対応可能と判断する。
S6において予約不可であれば、S5を経由して終了する。
予約可能であれば、予約可能である旨を、予約可能である旨をユーザに係る通信端末へ返信する(S7)。その後、ユーザに係る通信端末から予約確定の連絡データを受信し(S8)、終了する。
【0108】
(
図18)
図18は、
図17で示したフローチャートが実行されるハードウェア構成およびデータ処理手順を示すブロック図である。有線通信は実線矢印で、無線通信は二点破線で示している。ユーザに係る通信端末は「会員端末」として、予約検索データは「予約データ」、カーシェアリング管理サーバは「カーシェア管理サーバ」と略記している。また、カーシェア管理サーバに「S-1」と付記しているのは、
図19に示す図示例と区別するためである。
【0109】
カーシェアリング会員であるユーザは、会員端末を操作して予約データを入力し、予約データ送信手段としてカーシェア管理サーバに送信する。カーシェア管理サーバにおいては、その予約データを予約データ受信手段が受信する。そして、シェアカー稼動管理データベースのデータを用いて、その予約データに関する予約が可能か否か、予約可否第一判断手段が判断する(
図17におけるS2)。
【0110】
なお、カーシェア管理サーバが受信する予約データには、会員IDが含まれており、カーシェアリング管理サーバにおいては、その会員IDの検証をするための会員データベースが含まれているが、その図示は省略する。
【0111】
車両の回送を実行しなくても、その予約データの内容にて予約が可能である場合には、予約が可能である旨を会員端末へ送信する(
図17におけるS3)。会員端末においては、予約可否受信手段がその旨を受信する。
【0112】
予約可否第一判断手段において、車両の回送を実行しなければ予約を受け付けられない場合には、予約可否第二判断手段での判断となる(
図17におけるS4およびS6)。
カーシェア管理サーバにおいては、プール車両管理データベース、駐車車室管理データベースのデータを用いて、予約可否第二判断手段が予約可能か否かを判断する。
図18においては、「回送ありならOK」の場合として、予約可能である旨を図示している。
【0113】
予約可否第一判断手段または予約可否第二判断手段から予約可能である旨を受信した会員端末において、会員ユーザが予約を確定する意思表示として予約確定ボタンを押すと、予約確定送信手段として予約確定がカーシェア管理サーバへ送信される。
カーシェア管理サーバにおける予約確定受信手段は、会員ユーザによる意思表示を受信し、シェアカー稼動管理データベース、駐車車室管理データベース、およびプール車両管理データベースのデータを更新する。
【0114】
(
図19)
図19は、
図18に示したカーシェア管理サーバ(S-1)と異なり、予約可否第二判断手段、駐車車室管理データベースおよびプール車両管理データベースは、駐車場管理サーバ(S-3)に含まれている。
【0115】
換言すれば、
図19に示すカーシェア管理サーバ(S-2)は、
図18に示したカーシェア管理サーバ(S-1)から、駐車場管理サーバ(S-3)におけるサーバの機能を分けているのみである。会員ユーザからは、
図19および
図18の相違点の区別は認識できない。
【0116】
(
図20)
図20は、
図5などに示した「回送」と、ステーションに駐車している車両がオーバーフローしないように、車室のバッファを備えた営業所A等に引き上げる「回収」のイメージを示している。
【0117】
代表的な「回送」は、ステーション(図示例では、江東区第一、江東区第二、江東区第三、・・・)へ、営業所にあるバッファの車両を営業所Aのスタッフが運転していくことである。この場合、車両には自転車を搭載してステーションへ運転していく。そして、ステーションに到着して所定の車室へ車両を駐車させたら、搭載していた自転車または電動キックボードを降ろし、その自転車または電動キックボードに乗って営業所Aに戻る(図中の左上の吹き出しのイメージ)。
【0118】
「回送」は、ステーション間で実施されることもある。たとえば、江東区第一ステーションから、江東区第三ステーションへ回送する、といったことも、場合によっては発生する。
【0119】
「回収」は、営業所Aのスタッフが自転車に乗って営業所Aを出発し、回収すべき車両にその自転車を搭載し、車両を運転して営業所Aに戻る、というのが一般的である。
【0120】
なお、営業所Aにある車両では対応できない予約内容である場合には、営業所Aから所定の距離にある車両のプール場に停めてある車両にて対応する。営業所Aとプール場との間で車両をスタッフが行き来させる場合の他、プール場から直接ステーションへ回送したり、ステーションからプール場へ回収したりする場合もある。
【0121】
(
図21)
図21は、カーシェア車両が出発するステーションにて、回送を実行して予約対応をする場合の代表例をフローチャートにて示したものである。
【0122】
予約データを受信し(S11)、その予約データにオプション要望が含まれているか否かを判断する(S12)。予約データにオプション要望が含まれている場合には、(一部の例外はあり得るが)回送しての対応となる(S16)。
【0123】
予約データにオプション要望が含まれていない場合には、営業所またはプール場に停車させている車両で対応可能か否かを判断する(S13)。
対応できない場合には、返却された車両のあるステーション内の他の車両で対応(引当変更)可能か否かを判断する(S14)。
【0124】
返却された車室にある車両で対応可能である場合、および引当変更で対応可能である場合には、回送の必要はない(S15)。
引当変更で対応不能な場合には、回送しての対応となる(S16)。
【0125】
前述してきた実施形態によれば、月極契約用の駐車車室を転貸して一時的なカーシェア車両用車室とし、その一時的な車室へカーシェア車両を回送することでカーシェアリングのサービスを拡大することに寄与することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、土地の有効活用を促進する不動産業、駐車場の管理業、駐車場管理用データの通信機器の製造業、データ通信におけるデータ管理業、駐車場の制御ユニットや駐車場管理サーバにおけるアプリケーションソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。