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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136360
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20230922BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041944
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 隆延
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA13
2H199DA14
2H199DA15
2H199DA19
2H199DA23
2H199DA30
2H199DA42
2H199DA43
2H199DA48
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】外光による画像照射部の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能な画像投影装置を提供する。
【解決手段】虚像を表示するための表示部に対して投影画像を投影する画像投影装置(100)であって、画像光を照射する画像照射部(11)と、表示部を介して画像光を投影画像として視点方向に照射する照射光学部(20)と、を備え、照射光学部(20)は、画像光の所定の偏光方向の光を透過する偏光部(16)を備え、照射光学部(20)から照射される画像光は、表示部に対するP偏光を含んでいる画像投影装置(100)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚像を表示するための表示部に対して投影画像を投影する画像投影装置であって、
画像光を照射する画像照射部と、
前記表示部に対して前記画像光を前記投影画像として照射する照射光学部と、を備え、
前記照射光学部は、前記画像光の所定の偏光方向の光を透過する偏光部を備え、
前記照射光学部から照射される前記画像光は、前記表示部に対するP偏光を含んでいることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記照射光学部は、前記画像光の光路上に位相差板を備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像投影装置であって、
前記位相差板は、前記偏光部よりも前記表示部側に配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像投影装置であって、
前記偏光部は、前記位相差板よりも前記表示部側に配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項5】
請求項2から4の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記位相差板は、四分の一波長板であることを特徴とする画像投影装置。
【請求項6】
請求項2から4の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記画像照射部は、前記表示部に対するS偏光を含んだ前記画像光を照射し、
前記位相差板は、二分の一波長板であることを特徴とする画像投影装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記画像照射部は、前記表示部に対するP偏光を含んで前記画像光を照射し、
前記偏光部は、前記P偏光を透過することを特徴とする画像投影装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記照射光学部は、前記画像照射部から照射された前記画像光を反射する反射部を備え、
前記偏光部は、前記反射部と前記表示部の間に配置されていることを特徴とする画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関し、特に画像照射部からの照射光を反射して視点に到達させる画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内に各種情報を表示する装置として、アイコンを点灯表示する計器盤が用いられている。また、表示する情報量の増加とともに、計器盤に画像表示装置を埋め込むことや、計器盤全体を画像表示装置で構成することも提案されている。
【0003】
しかし、計器盤は車両のフロントガラス(ウィンドシールド)より下方に位置しているため、計器盤に表示された情報を運転者が視認するには、運転中に視線を下方に移動させる必要があり好ましくない。そこで、フロントガラスに画像を投影して、運転者が車両の前方を視認したときに情報を読み取れるようにするヘッドアップディスプレイ(以下HUD:Head Up Display)のような画像投影装置が提案されている。
【0004】
図7は、従来の画像投影装置の構成を示す模式図である。図7に示したように従来の画像投影装置は、画像照射部1と、自由曲面ミラー2,3とを備えている。このような画像投影装置では、画像照射部1が画像を含んだ照射光L1を照射し、自由曲面ミラー2,3で照射光L1を反射させて、ウィンドシールド4を介して空間中に画像が結像するように運転者等の視点5の位置に到達させる。これにより、運転者等は視点5に入射した照射光L1によって、奥行き方向における結像位置に画像が表示されているように認識することができる。
【0005】
しかし図7に示した画像投影装置では、外部から太陽光などが外光LOとして入射してきた場合に、外光LOが自由曲面ミラー2,3によって画像照射部1の表面上に集光されてしまい、画像照射部1の温度が上昇して劣化する可能性があった。そこで、複数の自由曲面ミラー2,3の間で照射光L1を中間結像させて、中間結像位置の近傍に遮蔽部を配置し、外部から画像照射部に到達する外光LOの影響を低減するものも提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/195740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された遮光部を用いる構造では、照射光の光路を確保するための空間から外光が画像照射部まで到達することは避けられず、外光の入射を制限するには限界があった。
【0008】
また、ウィンドシールド4での光の反射では、P偏光の成分の反射率が低く、S偏光の成分の反射率が高いという傾向がある。このため、画像照射部1から照射される照射光L1の偏光方向は、ウィンドシールド4に対するS偏光となるように設定される。これにより、視点5の位置に到達する照射光L1は、P偏光を含まないS偏光のみの光となる。
【0009】
しかし、外光LOが強い環境や雪道での走行時には、搭乗者が偏光サングラスを装着してウィンドシールド4から外部を視認する場合がある。このとき、車外の物体によって反射された光もS偏光であるため、偏光サングラスはS偏光をカットしてP偏光を透過するように設定されている。したがって、偏光サングラスを装着した搭乗者には、ウィンドシールド4で反射された照射光L1のS偏光が偏光サングラスでカットされてしまい、照射光L1によって結像された画像の視認が困難になるという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、外光による画像照射部の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の画像投影装置は、虚像を表示するための表示部に対して投影画像を投影する画像投影装置であって、画像光を照射する画像照射部と、前記表示部に対して前記画像光を前記投影画像として照射する照射光学部と、を備え、前記照射光学部は、前記画像光の所定の偏光方向の光を透過する偏光部を備え、前記照射光学部から照射される前記画像光は、前記表示部に対するP偏光を含んでいることを特徴とする。
【0012】
このような本発明の画像投影装置では、照射光学部が偏光部を備えて、表示部に対してP偏光を含んだ画像光を照射するため、外光の一部を偏光部でカットして画像照射部の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能となる。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記照射光学部は、前記画像光の光路上に位相差板を備える。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記位相差板は、前記偏光部よりも前記表示部側に配置されている。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記偏光部は、前記位相差板よりも前記表示部側に配置されている。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記位相差板は、四分の一波長板である。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記画像照射部は、前記表示部に対するS偏光を含んだ前記画像光を照射し、前記位相差板は、二分の一波長板である。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記画像照射部は、前記表示部に対するP偏光を含んで前記画像光を照射し、前記偏光部は、前記P偏光を透過する。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記照射光学部は、前記画像照射部から照射された前記画像光を反射する反射部を備え、前記偏光部は、前記反射部と前記表示部の間に配置されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、外光による画像照射部の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る画像投影装置100の構成を示す模式図である。
図2】偏光反射調整部15でのP偏光とS偏光の反射特性の一例を模式的に示すグラフである。
図3】第2実施形態に係る画像投影装置110の構成を示す模式図である。
図4】第3実施形態に係る画像投影装置120の構成を示す模式図である。
図5】第3実施形態の変形例に係る画像投影装置120の構成を示す模式図である。
図6】第4実施形態に係る画像投影装置130の構成を示す模式図である。
図7】従来の画像投影装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態に係る画像投影装置100の構成を示す模式図である。
【0023】
図1に示すように画像投影装置100は、画像照射部11と、自由曲面ミラー12,13と、偏光部16を備えている。自由曲面ミラー12,13および偏光部16は、本発明における照射光学部20を構成している。図1中では、画像照射部11から照射された照射光L1の代表的な光路を模式的に実線矢印で示し、太陽光などの外光LOの代表的な光路を破線矢印で示している。また、画像投影装置100の外部には車両のウィンドシールド14および偏光反射調整部15が設けられており、運転者等は視点5の位置から偏光反射調整部15を介して照射光L1による画像を視認する。
【0024】
画像照射部11は、情報処理部(図示省略)から画像情報を含んだ信号が供給されることで画像情報を含んだ照射光(画像光)L1を照射する装置である。画像照射部11から照射された照射光L1は自由曲面ミラー12に入射する。画像照射部11としては、液晶表示装置、有機EL表示装置、マイクロLED表示装置、DMD(Degital Micro-mirror Device)、レーザ光源を用いたプロジェクター装置等が挙げられる。画像照射部11から照射される照射光L1は、図中に両矢印で示したように、ウィンドシールド14に対してP偏光となる光を含むように構成されている。画像照射部11からの照射光L1が特定方向の偏光である場合には、その偏光面がウィンドシールド14に対してP偏光となるように画像照射部11の表示面の向きを設定する。特定の偏光の照射光L1を照射する画像照射部11としては、液晶表示装置、レーザ光源を用いたプロジェクター装置、反射型液晶プロジェクター装置等が挙げられる。
【0025】
自由曲面ミラー12は、画像照射部11から照射された照射光L1が入射し、自由曲面ミラー13方向に反射する鏡である。自由曲面ミラー12の反射面形状は、曲率が一定ではなく二次元的に変化する自由曲面で構成されている。図1では自由曲面ミラー12の形状として凸面鏡を示しているが、凹面鏡を用いるとしてもよく、平面鏡を用いるとしてもよい。
【0026】
自由曲面ミラー13は、自由曲面ミラー12で反射された照射光L1が入射し、偏光部16を介してウィンドシールド14方向に反射する凹面鏡である。自由曲面ミラー13の反射面形状は、曲率が一定ではなく二次元的に変化する自由曲面で構成されている。図1では自由曲面ミラー13の形状として凹面鏡を示しているが、凸面鏡を用いるとしてもよく、平面鏡を用いるとしてもよい。自由曲面ミラー12,13は本発明における反射部に相当している。
【0027】
偏光部16は、透過軸方向の偏光を透過し、透過軸方向に直交する偏光を遮断する光学特性を有する光学部材であり、公知の偏光板または偏光フィルムを用いることができる。また偏光部16は、自由曲面ミラー13とウィンドシールド14の間に配置されている。図1では偏光部16を自由曲面ミラー13とウィンドシールド14の間に配置した例を示したが、偏光部16の位置は、偏光反射調整部15からウィンドシールド14までの照射光L1の光路上であれば限定されない。また、偏光部16の透過軸は、ウィンドシールド14に対するP偏光を透過するように配置されている。
【0028】
ウィンドシールド14は、車両の運転席前方に設けられており、車両の外部からの光を視点5の方向に対して透過する。また、ウィンドシールド14は車両の外部からの光のうち少なくとも可視光を透過するため、太陽光などの外光LOが上方から車内に入射した場合にも、図1中に破線矢印で示したように、外光LOは偏光部16および自由曲面ミラー13にまで到達する。また、ウィンドシールド14の内側面には偏光反射調整部15が設けられている。
【0029】
偏光反射調整部15は、ウィンドシールド14の内側面に設けられた光学部材であり、入射した光のS偏光成分とP偏光成分を同程度に反射する光学特性を有している。また、偏光反射調整部15は、入射面に垂直方向からの傾斜である入射角度に応じて反射率が変化する光学特性を有している。また、偏光反射調整部15の彩度は20以下であることが好ましい。彩度がこの条件を満たすことで、照射光L1の色彩を悪化させず、投影される虚像の品質劣化を抑制することができる。図1に示した例では、偏光反射調整部15は略平板状のフィルム形状として構成されており、ウィンドシールド14の内側面における曲率に沿って貼り付けられている。図1では偏光反射調整部15をウィンドシールド14の一部に設けた例を示したが、ウィンドシールド14の前面に貼り付けるとしてもよい。
【0030】
図2は、偏光反射調整部15でのP偏光とS偏光の反射特性の一例を模式的に示すグラフである。グラフの横軸は偏光反射調整部15の表面に垂直な方向を0度とし、0度から傾斜した角度を入射角度として示している。またグラフの縦軸は、偏光反射調整部15の0度方向と光の入射方向を含む面内方向での偏光(P偏光)の反射率と、P偏光に垂直なS偏光の反射率を示している。図2に示すように偏光反射調整部15は、入射角度が小さく垂直方向に近く入射した光に対しては反射率が小さく(透過率が大きく)、入射角度が増加するにしたがって反射率が増加し(透過率が低下し)、所定の入射角度以上では反射率が大きくなる光学特性を有している。また、図2に示したように偏光反射調整部15は、入射角度が20~40度の範囲においてP偏光とS偏光の反射率が同程度となっている。
【0031】
図2に示したような光学特性を有する偏光反射調整部15としては、東レ株式会社製の積層フィルム(商品名「PICASUS(登録商標) VT」)や、特開2021-54061号公報等に記載された積層フィルムを用いることができる。図2に示した例では入射角度が40度近辺で反射率が最大値に近くなる例を示しているが、最大値の反射率と最大値に到達する入射角度はこれに限定されない。
【0032】
また、図1では表示部としてウィンドシールド14に偏光反射調整部15を貼り付けた例を示したが、ウィンドシールド14とは別に表示部としてコンバイナーを用意し、コンバイナーの内側面に偏光反射調整部15を貼り付け、自由曲面ミラー13からの光を視点方向に反射するとしてもよい。また、表示部は車両の前方に位置するものに限定されず、搭乗者の視点5に対して画像を投影するものであれば側方や後方に配置するとしてもよい。視点5は、車両の運転者または搭乗者の目(アイボックス)であり、照射光L1がアイボックスに入射して網膜に光が到達することで、運転者または搭乗者は結像された虚像を視認する。
【0033】
虚像は、偏光反射調整部15で反射された照射光L1が運転者等の視点(アイボックス)5に到達した際に、空間中に結像されたように表示される。虚像が結像される位置は、画像照射部11から照射された光が、自由曲面ミラー12,13および偏光反射調整部15で反射された後に視点方向に進行する際の拡がり角度によって決まる。このとき運転者または搭乗者は、ウィンドシールド14よりも遠方の結像位置に虚像が存在するように認識する。ここで、虚像の結像位置は、主として自由曲面ミラー12および自由曲面ミラー13の合成焦点距離に依存する。ウィンドシールド14が平坦面ではなく曲面形状であったとしても、曲率半径が自由曲面ミラー12および自由曲面ミラー13と比較して大きいため、ウィンドシールド14による光学的パワーの影響は無視できる程度である。
【0034】
図1に示したように、画像照射部11からの照射光L1はウィンドシールド14に対するP偏光を含んでおり、自由曲面ミラー12,13で反射された照射光L1もP偏光を含んでいる。また、偏光部16はウィンドシールド14に対するP偏光を透過するように配置されているため、照射光L1は偏光部16を透過して偏光反射調整部15にまで到達する。偏光反射調整部15は図2に示したようにS偏光とP偏光の反射率が同程度とされているため、照射光L1のP偏光成分も良好に反射されて視点5に到達する。したがって、虚像はP偏光によって投影されるものとなり、搭乗者が偏光サングラスを装着している場合であっても良好に視認することが可能となる。ここで、図2に示したように偏光反射調整部15は入射角度が20~40度の範囲でS偏光とP偏光の反射率差が小さいため、偏光反射調整部15に対する照射光L1の入射角度を20~40度に設定しておくことが好ましい。
【0035】
また図1に示したように、太陽光などの外光LOはウィンドシールド14の上方から入射し、その一部が偏光反射調整部15および偏光部16を透過して、自由曲面ミラー13と自由曲面ミラー12で反射されて画像照射部11にまで到達する。ここで、車両の外部から入射する外光LOはあらゆる偏光方向の成分が含まれた無偏光であるが、ウィンドシールド14に対してP偏光の成分のみが偏光部16を透過できる。したがって、外光LOのうちS偏光成分は偏光部16でカットされ、画像照射部11に到達する光量を抑制することができる。これにより、外光LOが画像照射部11に到達することによる温度上昇を抑制して劣化を防止することができる。
【0036】
上述したように、本実施形態の画像投影装置100では、照射光学部20が偏光部16を備えて、表示部に対してP偏光を含んだ照射光L1を投影するため、外光LOの一部を偏光部16でカットして画像照射部11の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図3は、本実施形態に係る画像投影装置110の構成を示す模式図である。図3に示すように画像投影装置110は、画像照射部11と、自由曲面ミラー12,13と、偏光部16と、四分の一波長板17を備えている。自由曲面ミラー12,13、偏光部16および四分の一波長板17は、本発明における照射光学部20を構成している。
【0038】
四分の一波長板17は、照射光(画像光)L1の光路上に配置され、互いに直交するファスト軸とスロー軸において、四分の一波長だけ位相差を生じさせる光学部材であり、本発明における位相差板に相当している。四分の一波長板17は、偏光部16よりも表示部側に配置されていることが好ましく、図3に示した例では偏光部16と偏光反射調整部15の間に配置されている。また、四分の一波長板17のファスト軸は、照射光L1のS偏光成分およびP偏光成分とそれぞれ45度異なるように配置されている。
【0039】
図3に示したように、本実施形態の画像投影装置110では、画像照射部11からの照射光L1はウィンドシールド14に対するS偏光を含んでおり、自由曲面ミラー12,13で反射された照射光L1もS偏光を含んでいる。また、偏光部16はウィンドシールド14に対するS偏光を透過するように配置されているため、照射光L1は偏光部16を透過して、四分の一波長板17を透過した後に偏光反射調整部15にまで到達する。四分の一波長板17では、S偏光の偏光方向とファスト軸が45度異なっているため、四分の一波長板17を透過した照射光L1は円偏光Cとなる。円偏光Cは、P偏光成分とS偏光成分が四分の一波長ずれた光であり、P偏光を含んでいる。
【0040】
偏光反射調整部15は図2に示したようにS偏光とP偏光の反射率が同程度とされているため、円偏光Cの照射光L1はP偏光成分もS偏光成分も良好に反射されて視点5に到達する。したがって、虚像は円偏光Cによって投影されるものとなる。このとき、照射光L1はS偏光で照射され偏光部16はS偏光を透過するため、照射光L1は偏光部16および四分の一波長板17を透過しても特定の偏光成分がカットされることはない。ここで偏光サングラスは円偏光Cを透過するため、搭乗者が偏光サングラスを装着している場合であっても虚像を良好に視認することが可能となる。
【0041】
また図3に示したように、太陽光などの外光LOはウィンドシールド14の上方から入射し、その一部が偏光反射調整部15、四分の一波長板17および偏光部16を透過して、自由曲面ミラー13と自由曲面ミラー12で反射されて画像照射部11にまで到達する。ここで、車両の外部から入射する外光LOはあらゆる偏光方向の成分が含まれた無偏光であり、四分の一波長板17を透過しても無偏光となる。また偏光部16では、ウィンドシールド14に対してS偏光の成分のみが透過できる。したがって、外光LOのうちP偏光成分は偏光部16でカットされ、画像照射部11に到達する光量を抑制することができる。これにより、外光LOが画像照射部11に到達することによる温度上昇を抑制して劣化を防止することができる。
【0042】
図3では、画像照射部11からS偏光の照射光L1が照射され、偏光部16でS偏光を透過する例を示したが、照射光L1の偏光を四分の一波長板17で円偏光Cに変換することができれば偏光方向は限定されない。一例としては、画像照射部11からP偏光の照射光L1が照射され、偏光部16でP偏光を透過するとしても、照射光L1は四分の一波長板17を透過して円偏光Cとなり、偏光サングラスを介しても虚像を良好に視認できる。
【0043】
上述したように、本実施形態の画像投影装置110では、照射光学部20が偏光部16と四分の一波長板17を備えて、表示部に対してP偏光を含んだ円偏光Cとして照射光L1を投影する。これにより、外光LOの一部を偏光部16でカットして画像照射部11の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能となる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図4は、本実施形態に係る画像投影装置120の構成を示す模式図である。図4に示すように画像投影装置120は、画像照射部11と、自由曲面ミラー12,13と、偏光部16と、二分の一波長板18を備えている。自由曲面ミラー12,13、偏光部16および二分の一波長板18は、本発明における照射光学部20を構成している。
【0045】
二分の一波長板18は、照射光(画像光)L1の光路上に配置され、互いに直交するファスト軸とスロー軸において、二分の一波長だけ位相差を生じさせる光学部材であり、本発明における位相差板に相当している。二分の一波長板18は、偏光部16よりも表示部側に配置されていることが好ましく、図4に示した例では偏光部16と偏光反射調整部15の間に配置されている。また、二分の一波長板18のファスト軸は、照射光L1のS偏光成分およびP偏光成分とそれぞれ45度異なるように配置されている。
【0046】
図4に示したように、本実施形態の画像投影装置120では、画像照射部11からの照射光L1はウィンドシールド14に対するS偏光を含んでおり、自由曲面ミラー12,13で反射された照射光L1もS偏光を含んでいる。また、偏光部16はウィンドシールド14に対するS偏光を透過するように配置されているため、照射光L1は偏光部16を透過して、二分の一波長板18を透過した後に偏光反射調整部15にまで到達する。二分の一波長板18では、S偏光の偏光方向とファスト軸が45度異なっているため、二分の一波長板18を透過した照射光L1はP偏光となる。
【0047】
偏光反射調整部15は図2に示したようにS偏光とP偏光の反射率が同程度とされているため、照射光L1のP偏光成分は良好に反射されて視点5に到達する。したがって、虚像はP偏光によって投影されるものとなる。ここで偏光サングラスはP偏光を透過するため、搭乗者が偏光サングラスを装着している場合であっても虚像を良好に視認することが可能となる。
【0048】
また図4に示したように、太陽光などの外光LOはウィンドシールド14の上方から入射し、その一部が偏光反射調整部15、二分の一波長板18および偏光部16を透過して、自由曲面ミラー13と自由曲面ミラー12で反射されて画像照射部11にまで到達する。ここで、車両の外部から入射する外光LOはあらゆる偏光方向の成分が含まれた無偏光であり、二分の一波長板18を透過しても無偏光となる。また偏光部16では、ウィンドシールド14に対してS偏光の成分のみが透過できる。したがって、外光LOのうちP偏光成分は偏光部16でカットされ、画像照射部11に到達する光量を抑制することができる。これにより、外光LOが画像照射部11に到達することによる温度上昇を抑制して劣化を防止することができる。
【0049】
上述したように、本実施形態の画像投影装置120では、照射光学部20が偏光部16と二分の一波長板18を備えて、表示部に対してP偏光の照射光L1を投影する。これにより、外光LOの一部を偏光部16でカットして画像照射部11の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能となる。
【0050】
(第3実施形態の変形例)
次に、本発明の第3実施形態の変形例について図5を用いて説明する。図5は、本変形例に係る画像投影装置120の構成を示す模式図である。本変形例では二分の一波長板18が、偏光部16と自由曲面ミラー13の間に配置され、偏光部16はウィンドシールド14に対するP偏光を透過するように配置されている点が、第3実施形態と異なっている。
【0051】
図5に示したように、本実施形態の画像投影装置120では、画像照射部11からの照射光L1はウィンドシールド14に対するS偏光を含んでおり、自由曲面ミラー12,13で反射された照射光L1もS偏光を含んでいる。二分の一波長板18では、S偏光の偏光方向とファスト軸が45度異なっているため、二分の一波長板18を透過した照射光L1はP偏光となる。偏光部16はウィンドシールド14に対するP偏光を透過するように配置されているため、照射光L1は偏光部16を透過した後に偏光反射調整部15にまで到達する。
【0052】
偏光反射調整部15は図2に示したようにS偏光とP偏光の反射率が同程度とされているため、照射光L1のP偏光成分は良好に反射されて視点5に到達する。したがって、虚像はP偏光によって投影されるものとなる。ここで偏光サングラスはP偏光を透過するため、搭乗者が偏光サングラスを装着している場合であっても虚像を良好に視認することが可能となる。
【0053】
また図5に示したように、太陽光などの外光LOはウィンドシールド14の上方から入射し、その一部が偏光反射調整部15、偏光部16および二分の一波長板18を透過して、自由曲面ミラー13と自由曲面ミラー12で反射されて画像照射部11にまで到達する。ここで偏光部16では、ウィンドシールド14に対してP偏光の成分のみが透過できる。したがって、外光LOのうちS偏光成分は偏光部16でカットされ、画像照射部11に到達する光量を抑制することができる。ここで、偏光部16を透過したP偏光は、二分の一波長板18を透過してS偏光に変換されるが、光量は大きく変化しない。これにより、外光LOが画像照射部11に到達することによる温度上昇を抑制して劣化を防止することができる。
【0054】
上述したように、本変形例の画像投影装置120でも、照射光学部20が二分の一波長板18と偏光部16を備えて、表示部に対してP偏光の照射光L1を投影する。これにより、外光LOの一部を偏光部16でカットして画像照射部11の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能となる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図6は、本実施形態に係る画像投影装置130の構成を示す模式図である。図6に示すように画像投影装置130は、画像照射部11と、自由曲面ミラー12,13と、偏光部16と、位相差板19を備えている。自由曲面ミラー12,13、偏光部16および位相差板19は、本発明における照射光学部20を構成している。
【0056】
位相差板19は、照射光(画像光)L1の光路上に配置され、互いに直交するファスト軸とスロー軸において位相差を生じさせる光学部材である。位相差板19は、偏光部16よりも表示部側に配置されていることが好ましく、図6に示した例では偏光部16と偏光反射調整部15の間に配置されている。また、位相差板19のファスト軸は、照射光L1のS偏光成分およびP偏光成分とそれぞれ45度異なるように配置されていることが好ましいが、角度は限定されない。
【0057】
図6に示したように、本実施形態の画像投影装置130では、画像照射部11からの照射光L1はウィンドシールド14に対するS偏光を含んでおり、自由曲面ミラー12,13で反射された照射光L1もS偏光を含んでいる。また、偏光部16はウィンドシールド14に対するS偏光を透過するように配置されているため、照射光L1は偏光部16を透過して、位相差板19を透過した後に偏光反射調整部15にまで到達する。位相差板19では、S偏光の偏光方向とファスト軸が異なっているため、位相差板19を透過した照射光L1は楕円偏光Eとなる。楕円偏光Eは、P偏光成分とS偏光成分の位相がずれた光であり、P偏光を含んでいる。
【0058】
偏光反射調整部15は図2に示したようにS偏光とP偏光の反射率が同程度とされているため、楕円偏光Eの照射光L1はP偏光成分もS偏光成分も良好に反射されて視点5に到達する。したがって、虚像は楕円偏光Eによって投影されるものとなる。ここで偏光サングラスは楕円偏光Eを透過するため、搭乗者が偏光サングラスを装着している場合であっても虚像を良好に視認することが可能となる。
【0059】
また図6に示したように、太陽光などの外光LOはウィンドシールド14の上方から入射し、その一部が偏光反射調整部15、位相差板19および偏光部16を透過して、自由曲面ミラー13と自由曲面ミラー12で反射されて画像照射部11にまで到達する。ここで、車両の外部から入射する外光LOはあらゆる偏光方向の成分が含まれた無偏光であり、位相差板19を透過しても無偏光となる。また偏光部16では、ウィンドシールド14に対してS偏光の成分のみが透過できる。したがって、外光LOのうちP偏光成分は偏光部16でカットされ、画像照射部11に到達する光量を抑制することができる。これにより、外光LOが画像照射部11に到達することによる温度上昇を抑制して劣化を防止することができる。
【0060】
図6では、画像照射部11からS偏光の照射光L1が照射され、偏光部16でS偏光を透過する例を示したが、照射光L1の偏光を位相差板19で楕円偏光Eに変換することができれば偏光方向は限定されない。一例としては、画像照射部11からP偏光の照射光L1が照射され、偏光部16でP偏光を透過するとしても、照射光L1は位相差板19を透過して楕円偏光Eとなり、偏光サングラスを介しても虚像を良好に視認できる。
【0061】
上述したように、本実施形態の画像投影装置130では、照射光学部20が偏光部16と位相差板19を備えて、表示部に対してP偏光を含んだ楕円偏光Eとして照射光L1を投影する。これにより、外光LOの一部を偏光部16でカットして画像照射部11の温度上昇を効果的に抑制するとともに、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能となる。
【0062】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第1実施形態から第4実施形態では、偏光反射調整部15の光学特性として、入射した光のS偏光成分とP偏光成分を同程度に反射するものを用いた。しかし、S偏光成分よりもP偏光成分を高い反射率で反射する光学特性を有する偏光反射調整部15を用いてもよい。
【0063】
図1図4および図5に示した例では、画像投影装置からウィンドシールド14に対して照射される照射光はP偏光とされている。また、図6に示した例では、照射光として楕円偏光を用いており、P偏光成分がS偏光成分よりも大きくなるような楕円偏光にすることができる。したがって、P偏光成分をS偏光成分よりも高い反射率で反射する偏光反射調整部15を用いても、反射率の高いP偏光成分での画像投影を行うことができ、偏光サングラス等を使用した場合にも視認性を確保することが可能となる。
【0064】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
100、110,120,130…画像投影装置
11…画像照射部
12,13…自由曲面ミラー
14…ウィンドシールド
15…偏光反射調整部
16…偏光部
17…四分の一波長板
18…二分の一波長板
19…位相差板
20…照射光学部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7