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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136372
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】仮想体験シートシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20230922BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20230922BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20230922BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20230922BHJP
   A63F 13/428 20140101ALI20230922BHJP
   A63F 13/5255 20140101ALI20230922BHJP
   A63F 13/218 20140101ALI20230922BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20230922BHJP
   A63G 31/16 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A47C7/62 Z
B60N2/06
G06F3/0484
A63F13/428
A63F13/5255
A63F13/218
A63F13/54
A63G31/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041960
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】和久 道信
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
5E555
【Fターム(参考)】
3B084JA05
3B087AA02
3B087BA02
5E555AA11
5E555AA64
5E555BA02
5E555BA04
5E555BA23
5E555BB02
5E555BB04
5E555BB23
5E555BC04
5E555BD06
5E555BE08
5E555BE17
5E555CA05
5E555CA17
5E555CA21
5E555CA41
5E555CA42
5E555CB20
5E555CB58
5E555CB59
5E555DA21
5E555DA33
5E555DB32
5E555DB57
5E555DC02
5E555DC09
5E555DC11
5E555DC13
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】体力がない人や高齢者であっても、臨場感のある風景映像を楽しみながら軽度な運動を行うことができる仮想体験シートシステムの提供。
【解決手段】仮想体験シートシステム1000は、着座者の動作を検出する動作検出部である圧力センサPS1~PS6が設けられたシートクッション部11と、予め定められた歩行コース上の歩行者の視点から見た風景の映像が表示される表示装置20と、圧力センサPS1~PS6の検出結果に基づいて視点を移動させ、該視点に基づく映像を表示装置20に表示させる制御装置30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の動作を検出する動作検出部が設けられた着座部と、
予め定められた歩行コース上の歩行者の視点から見た風景の映像が表示される表示部と、
前記動作検出部の検出結果に基づいて前記視点を移動させ、該視点に基づく前記映像を前記表示部に表示させる制御部と、を備える仮想体験シートシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の仮想体験シートシステムにおいて、
前記動作検出部は、前記着座部に加わる押圧力を検出するセンサであって、
前記制御部は、前記センサによって検出される押圧力の変化に基づいて前記着座者の足踏み動作の回数を推定し、推定された前記回数に応じて前記視点を移動させる、仮想体験シートシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の仮想体験シートシステムにおいて、
スピーカをさらに備え、
前記制御部は、前記表示部に表示される前記映像に同期して、該映像に応じた自然環境音を前記スピーカにより発生させる、仮想体験シートシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の仮想体験シートシステムにおいて、
他の仮想体験シートシステムとの間で情報の授受を行う通信部を備え、
前記情報は前記歩行コースにおける前記視点の位置情報であり、
前記制御部は、前記他の仮想体験シートシステムから受けた前記位置情報に基づいて、前記表示部に表示される前記映像に、前記他の仮想体験シートシステムのユーザを表す画像を重畳表示させる、仮想体験シートシステム。
【請求項5】
請求項2に記載の仮想体験シートシステムにおいて、
前記着座部は、電動スライド機構により車室内の前後方向に移動可能な車両用シートの着座部であって、
前記制御部は、推定された前記回数に応じて、前記車両用シートを前記電動スライド機構により車室内前方に移動させる、仮想体験シートシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の仮想体験シートシステムにおいて、
前記着座部は、シートの座面上に載置可能なクッションである、仮想体験シートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想体験シートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランニングマシンと映像が連動する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、ランニングマシンの動作速度に応じて映像の速度も変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-74211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、体力のない人にとっては、ランニングマシンは運動強度が強すぎ、気軽に映像を楽しめないという問題がある。また、ランニングマシンは寸法が大きく、設置場所に不自由がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による仮想体験シートシステムは、着座者の動作を検出する動作検出部が設けられた着座部と、予め定められた歩行コース上の歩行者の視点から見た風景の映像が表示される表示部と、前記動作検出部の検出結果に基づいて前記視点を移動させ、該視点に基づく前記映像を前記表示部に表示させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、体力がない人や高齢者であっても、臨場感のある風景映像を楽しみながら軽度な運動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、仮想体験シートシステムの一例を示す外観斜視図である。
図2図2は、仮想体験シートシステムの機能ブロック図である。
図3図3は、コース平面図を示す表示画像の一例を示す図である。
図4図4は、スタート地点の風景映像の表示画像を示す図である。
図5図5は、足踏み動作時に表示される風景映像の変化を示す図である。
図6図6は、着座者が体を左右に傾けた場合の風景映像の変化を説明する図である。
図7図7は、着座者が体を左右に傾けた場合の表示画像の変化を示す図である。
図8図8は、変形例1を説明する図である。
図9図9は、変形例1における表示画像を示す図である。
図10図10は、車両に設けられたシートの配列を示す図である。
図11図11は、仮想体験ゲームを行う場合のシート配置を示す図である。
図12図12は、変形例2における仮想空間シートシステムの構成を示すブロック図である。
図13図13は、変形例3における仮想体験シートシステムの外観を示す図である。
図14図14は、変形例3における仮想体験シートシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。また、以下の説明では、同一または類似の要素および処理には同一の符号を付し、重複説明を省略する場合がある。なお、以下に記載する内容はあくまでも本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、他の種々の形態でも実施をすることが可能である。
【0009】
図1は、本実施の形態の仮想体験シートシステムの一例を示す外観斜視図である。仮想体験シートシステム1000は、ユーザが着座するシート10、表示装置20、制御装置30およびリモコン15を備えている。表示装置20は支持具STによって支持され、シート10の前方に配置されている。表示装置20は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPC等により実現される。仮想体験シートシステム1000は、シート10に着座したユーザが、国内外の景勝地や観光地の散歩を仮想的に体験できるものである。シート10に着座しているユーザは、リモコン15を操作することで体験コースの選択等を行う。図1では、シート10に着座するユーザを基準にして、図示のように前後方向、左右方向を定義する。
【0010】
シート10は、シートクッション部11と、シートバック部12と、ヘッドレスト部13と、アームレスト部14とを有する。制御装置30はシートクッション部11の下部に配置されている。シートクッション部11の着座面11aの内側には、シート10に着座するユーザの身体からシートクッション部11に及ぼされる圧力を検出する圧力センサPS1~PS6が設けられている。また、左右のアームレスト部14の上面側にも圧力センサPS7,PS8が設けられている。また、ヘッドレスト部13にはスピーカ130が設けられている。上述した各圧力センサPS1~PS8およびスピーカ130と制御装置30とは、不図示のハーネスによって接続されている。
【0011】
図1に示すように、シートクッション部11に設けられている圧力センサPS1~PS3と圧力センサPS4~PS6とは、シートクッション部11の座面上に左右対称な位置に配置されている。圧力センサPS1,PS2,PS4,PS5は、シートクッション部11における着座者の臀部に対応する位置に配置される。圧力センサPS1,PS4は、着座者の坐骨の最下部に対応する位置に設けられている。この位置では、着座者の荷重が最も大きくかかる。
【0012】
圧力センサPS3,PS6は、着座者の大腿の下に位置し、着座者の大腿からの圧力を検出するものである。また、アームレスト部14に設けられた圧力センサPS7,PS8は、着座者がアームレスト部14の上面前部を叩く動作を検出するために設けられたものである。圧力センサPS1~PS8で検出された圧力検出値は、制御装置30に入力される。圧力検出値は、圧力センサPS1~PS8に加わる圧力値の大小に応じて変化する。例えば、圧力値が大きくなるほど圧力検出値も大きくなる。
【0013】
図2は、仮想体験シートシステム1000の機能ブロック図である。上述したように、仮想体験シートシステム1000は、制御装置30、圧力センサPS1~PS8、スピーカ130および表示装置20を備えている。制御装置30は電子制御ユニットにより構成され、CPU301と、ROM,RAMなどの記憶部302と、無線通信部303と、その他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。CPU301は、記憶部302に記憶された制御ソフトウェアおよび制御データ、圧力センサPS1~PS8からの圧力検出値およびリモコン15からの指令信号等に基づいて、表示装置20およびスピーカ130の制御を行う。表示装置20は、無線通信部201を介して制御装置30から映像情報を受信する。無線通信には、例えば、Wi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信が用いられる。なお、図2に示す例では、映像情報を無線通信により送信したが、有線通信であっても良い。
【0014】
制御装置30の記憶部302には、仮想体験ゲームソフトウェアおよび関連するデータが格納されている。リモコン15には制御装置30の電源をオン・オフする電源スイッチ151と、仮想体験ゲームを行う際の入力操作を行うための操作ボタン等が設けられている。例えば、表示装置20の画面上に表示されたカーソルを移動させるためのトラックボール152や、設定を確定する確定ボタン153などが設けられている。
【0015】
(動作説明)
図1のシート10に着座したユーザが、リモコン15の電源スイッチ151をオン操作すると制御装置30がオン状態となる。制御装置30がオンされると、表示装置20がオン状態になると共に仮想体験ゲームソフトウェアが起動され、表示装置20に起動画面が表示される。起動画面は例えばコース選択用の表示画面であり、ユーザは、リモコン15の操作ボタン等を操作して複数のコースから所望のコースを選択する。コースが選択されると、制御装置30は選択されたコースの平面図を表示装置20に表示させる。複数のコースに関する全てのデータは、記憶部302に記憶されている。
【0016】
図3は、コース平面図を示す表示画像200Aの一例を示す図である。図3に示すコースではA,B,Cがコースの端点であるが、ユーザは、端点A,B,Cに限らずコース上の任意の地点をスタート地点およびゴール地点として選択することができる。トラックボール152を使用して地点選択用のカーソル201をコース上の所望の位置に移動させ、確定ボタン153を操作して確定すると、カーソル201の位置(端点A)がスタート地点となる(イ)。ゴール地点(端点C)の設定操作についても同様である(ロ)。図3では端点Aをスタート地点、端点Cをゴール地点に設定した場合を示す。なお、設定変更する場合には、カーソル201を「戻る」のアイコン203に重ねて確定ボタン153を操作することでひとつ前の画面に戻ることができる。
【0017】
スタート地点とゴール地点とを設定した後に、カーソル201を「開始」のアイコン202に重ねて確定ボタン153で確定すると(ハ)、選択したコースのスタート地点における風景映像が表示装置20に表示される。図4に示す表示画像200Bは、スタート地点の風景映像の一例を示す図である。表示画像200Bには、風景映像に足跡マーク204、歩数205、歩行距離206、残距離207が重畳表示される。
【0018】
足跡マーク204は、着座者の足踏み動作の状態を示す図である。着座者の大腿からの圧力を圧力センサPS3,PS6(図1参照)が検出すると足跡マーク204が表示され、大腿が持ち上げられて圧力検出値が所定閾値を下回ると足跡マーク204が非表示状態となる。着座者が足踏み動作をすると、圧力センサPS3,PS6の圧力検出値に応じて左右の足跡マーク204が交互に表示されると共に、歩数205がカウントされる。歩行距離206はカウントした歩数205に所定の歩幅を乗算することで算出される。残距離207は、設定されたスタート地点からゴール地点までの距離から歩行距離206を除算することで算出される。
【0019】
図4の表示画像200Bに示す風景映像は、スタート地点に位置する歩行者の視点から見た進行方向の風景映像である。着座者が足踏み動作を開始すると、その歩行距離だけ視点が移動するとみなす。表示装置20には、足踏み動作による視点移動に応じて変化する風景映像が表示される。図5は、足踏み動作により視点が移動した場合の、表示装置20に表示される風景映像の変化を示す図である。図5(a)はスタート地点での風景映像を示す表示画像200Bであり、図4に示す表示画像200Bと同一のものである。図5(b)は、スタート地点から進行方向に視点が移動した場合の風景映像を示す表示画像200Cである。
【0020】
このように、足踏み動作をすることで、着座者は、あたかもコース上を実際に歩いているような風景を堪能することができる。また、ヘッドレスト13に設けられたスピーカ130からは、コース上の各地点における環境音(例えば、鳥のさえずり、風に揺れる木々の葉音、川のせせらぎ等)が発生され、臨場感の増大が図られる。
【0021】
制御装置30の記憶部302に記憶されている各コースの映像データは、コース上の各地点における風景映像、すなわち、コース上を歩行したときに得られる風景映像の動画データとして記憶されている。また、コースを順方向に歩行した場合の映像データと、逆方向に歩行した場合の映像データの両方が記憶されている。さらに、進行方向に視線を向けたときの映像だけでなく、頭を左右に回転させて視線を左右に振った場合の映像も表示可能なように、例えば、水平方向180°の映像データが記憶されている。逆に歩行する場合の映像を考えると、水平方向360°の映像データが記憶されていることになる。
【0022】
このような映像データを記憶部302に格納しておくことで、例えば、視線をゆっくりと左側に振った場合の、すなわちカメラをゆっくり左に振った場合の風景映像と同様の映像を表示装置20に表示させるような構成とすることができる。シート10に着座した着座者は、体を左に傾けて重心を左にずらすことで視線を左に振る操作をする。制御装置30は、圧力センサPS1~PS6の圧力検出値から重心の左へのずれを推定する。逆に、着座者が体を右に傾けると、視線をゆっくりと右側に振った場合の風景映像と同様の映像が表示装置20に表示される。
【0023】
図6,7は、着座者が体を左右に傾けた場合の、表示装置20に表示される風景映像の変化を説明する図である。図6において、符号Dで示す風景映像は、記憶部302に記憶されている映像データで生成可能な映像であり、水平方向180°風景の一部を示している。視線が進行方向を向いている場合には、フレームF1内の映像が、図7(a)に示す表示画像200Cとして表示装置20に表示される。
【0024】
着座者が体を左に傾けると、風景を見る視線が左側に振れて、フレームF2内の映像が、図7(b)に示す表示画像200Dとして表示装置20に表示される。逆に、着座者が体を右に傾けると視線が右側に振れて、フレームF3内の映像が、図7(c)に示す表示画像200Eとして表示装置20に表示される。なお図6では、分かりやすいように、フレームF1~F3を互いに上下にずらして表示した。
【0025】
なお、着座者の重心移動の検知に代えて、着座者がアームレスト14の圧力センサ部分を叩く動作により、上述のような風景映像を表示させるようにしても良い。その場合、着座者が左側のアームレスト14の圧力センサPS7の部分を1回叩くと、コース上のその地点でカメラを所定角度Δθだけ左側に振ったときに得られる映像(動画映像)と同様の風景映像が、表示装置20に表示される。また、n回叩けば、角度n×Δθだけカメラを左側に振った場合と同様の風景映像が表示される。逆に、右側のアームレスト14の圧力センサPS8の部分を叩いた場合には、視線を右側に振った場合の風景映像を表示装置20に表示させる。
【0026】
上述したように、本実施の形態の仮想体験シートシステム1000では、体力のない人でも、視点の移動に伴って風景が変化するという臨場感のある風景映像を楽しみながら、軽度な運動を行うことができる。そのため、臨場感のある風景映像を楽しみたいという欲求により、シート10上で単に足踏み動作を行うという単純な動作であっても、飽きることなく長時間続けることができる。例えば、膝に故障があって実際の歩行は辛いが、大腿の上下動作であれば可能であるという高齢者においては、本実施形態の仮想体験シートシステム1000を利用して風景映像を楽しみながら足踏みを行うことで、足腰の衰えを防止するという効果を奏する。なお、脚の不自由な人に対しては、例えば、アームレスト14の圧力センサPS7,PS8を叩く動作で、歩行動作を行うような設定に変更しても良い。
【0027】
上述した本実施の形態では、制御装置30に仮想体験ゲームソフトウェア本体が格納されていて、スタンドアローンで仮想体験ゲームを楽しむことができる構成とした。しかし、オンラインゲームのように、ネットワーク上のゲームサーバに接続して仮想体験ゲームを行うような構成であっても良い。また、センサとして圧力センサを例示したが、センサは、他の種類のセンサ、例えば、静電容量センサなどであってもよい。また、圧力を測定する場合、圧力分布センサを採用することもできる。
【0028】
(変形例1)
上述した実施の形態では、制御装置30に仮想体験ゲームソフトウェア本体が格納されていて、スタンドアローンで仮想体験ゲームを楽しむことができる構成とした。変形例1においては、基本的には仮想体験ゲームそのものはスタンドアローンで動作し、さらに、システム間での位置情報の交換、および、マイク、スピーカを用いた音声データの交換ができる構成となっている。なお、オンラインゲームのように、ネットワーク上のゲームサーバに接続して仮想体験ゲームを行うような構成であっても良い。
【0029】
図8は、変形例1を説明するためのブロック図である。インターネット40のネットワーク上には、仮想体験シートシステムのメーカが管理するサーバ50が設けられている。インターネット40には、仮想体験シートシステム1000A,1000Bが接続されている。なお、図8では、説明の都合上、2台の仮想体験シートシステム1000A,1000Bがインターネット40に接続されているが、接続されている台数は2台に限定されない。仮想体験シートシステム1000A,1000Bは、図2に示した構成要素に加えてシート10に着座した着座者が使用するマイク16を備えている。
【0030】
各仮想体験シートシステム1000A,1000Bは、仮想体験ゲームソフトウェアを立ち上げると、インターネット40を介してサーバ50に接続される。サーバ50のデータベース51には、販売された各仮想体験システム1000A,1000Bの情報が登録されている。例えば、各仮想体験システム1000A,1000Bを利用する複数のユーザの情報が登録されている。また、仮想体験システム1000A,1000Bを利用しているときには、コース上のリアルタイムな歩行位置情報(以下では、位置情報と呼ぶことにする)が仮想体験システム1000A,1000Bからサーバ50に送信され、サーバ50のデータベース51に記憶される。
【0031】
例えば、仮想体験システム1000Aを使用しているAさんと、仮想体験システム1000Bを使用しているBさんとが知人であって、AさんとBさんとの情報共有を許可する設定がされている場合を考える。その場合には、サーバ50を介して、仮想体験システム1000Aと仮想体験システム1000Bとの間で位置情報の交換が可能となる。すなわち、情報共有を許可した仮想体験システム同士で、位置情報の交換ができる仕組みになっている。
【0032】
図9は、仮想体験システム1000Aの表示装置20に表示されている表示画像200Bを示したものである。基本的には、図4に示した表示画像200Bと同様であるが、アイコン208が表示されている点が異なる。変形例1では、位置情報を交換しているBさんが、Aさんと同じコースを散歩していて視認可能な位置まで近づくと、図9に示すように、Bさんを表すアイコン208が風景映像の上に重畳表示される。同様に、仮想体験システム1000Bの表示装置20にも、Aさんを表すアイコンが表示される。なお、仮想体験システム1000A,1000Bに着座者を撮影するカメラをさらに備え、カメラで撮影したBさんの映像をアイコン208の顔の部分に表示するようにしても良い。このように、変形例1では、単に一人で仮想上の散歩を楽しむだけではなく、インターネット40を介して繋がった知人とコミュニケーションをとりながら一緒に散歩を楽しむことができる。
【0033】
なお、圧力センサなどのハードウェアやゲームソフト等に不具合が生じた場合には、インターネット40を介してサーバ50に不具合情報を送信するようにしても良い。不具合によりゲーム中断が生じた場合には、その時の位置情報等を制御装置30の記憶部302に記憶させておき、再開時に、中断時の位置からゲームを再開するようにしても良い。
【0034】
変形例1では、仮想体験システム1000Aの表示装置20に、インターネット40を介して接続された仮想体験システム1000Bのユーザのアイコン208を風景映像の上に重畳表示した。このように実際の風景に無い画像を表する他の例としては、企業の広告などが考えられる。例えば、企業名入りの看板など、風景の中に自然な形で企業広告を表示することで宣伝効果をあげることができる。さらに、企業広告を表示することで、サーバ50を管理する仮想体験システムのメーカは、企業広告表示によるロイヤリティを得ることができる。
【0035】
また、仮想体験ゲームの仕組みとして、ユーザの通算の歩行距離を記憶部302に記憶させるようにし、通算歩行距離に応じてポイントが貯まるような内容としても良い。その場合、貯まったポイントに応じて何らかの報酬がメーカから得られるようにすることで、システムの利用促進を図ることができる。例えば、10km歩行するごとに1ポイントが獲得され、ポイント数が100ポイントに達したら、新規の散歩コースが得られる仕組みとする。
【0036】
(変形例2)
変形例2では、上述した仮想空間シートシステムを車両のシートに適用した場合について説明する。図10は、車両600に設けられたシートの配列を示す図である。図10に示すように、車両600の車室床面上には、フロントシート61、セカンドシート62およびサードシート63が、車室内前後方向に所定間隔をもって配置されている。変形例2では、サードシート63に上述したシート10と同様の構成が適用される。すなわち、後述する図12に示すように、サードシート63には、圧力センサPS1~PS6およびスピーカ130が設けられている。
【0037】
車室床面上には、セカンドシート62およびサードシート63のスライド機構61として、左右一対のロアレール640が車室前後方向に延在するように固定配置されている。スライド機構61は、ロアレール640、第1アッパーレール641および第2アッパーレール642を備えている。左右一対のロアレール640上に、セカンドシート62の下面に固定される第1アッパーレール641と、サードシート63の下面に固定される第2アッパーレール642とが取り付けられている。アッパーレール641,642には電動モータMが設けれ、アッパーレール641,642は電動で前後方向にスライド移動する。
【0038】
セカンドシート62は、前後に二分割された前側シートクッション621と後側シートクッション622と、後側シートクッション622の後端部に起倒可能に連結されたシートバック623とで構成される。後述する図11に示すように、前側シートクッション621は、その後端部を中心に上下方向に傾動可能に構成されている。サードシート63についても、セカンドシート62と同様に、前後に二分割された前側シートクッション631および後側シートクッション632と、後側シートクッション632の後端部に起倒可能に連結されたシートバック633とで構成される。前側シートクッション621の場合と同様に、前側シートクッション631は、その後端部を中心に上下方向に傾動可能に構成されている。
【0039】
図11は、サードシート63を利用して上述した仮想体験ゲームを行う場合のシート配置を示す図である。仮想体験ゲームを行う場合には、図11に示すように、セカンドシート62を前進端位置までロアレール640上を移動させて、かつ、前側シートクッション621を上下方向に傾動させて折りたたんだ状態にする。さらに、セカンドシート62のシートバック623の背面側に表示装置20を装着する。仮想体験ゲームに使用するサードシート63は、図10に示す通常使用時と同様の配置とされる。
【0040】
図12は、変形例2における仮想空間シートシステムの構成を示すブロック図である。変形例2の仮想体験シートシステム1000Dは、サードシート63、リモコン15、表示装置20および制御装置30により構成される。リモコン15、表示装置20および制御装置30の構成は、図2に示すリモコン15、表示装置20および制御装置30と同様である。サードシート63には、圧力センサPS1~PS6およびスピーカ130が設けられている。圧力センサPS1~PS6は、図1に示したシート10の場合と同様の配置で、前側シートクッション631に設けられている。
【0041】
制御装置30、サードシート63が固定される第2アッパーレール642に配設される。制御装置30は車両側に設けられた車両制御装置60と接続される。車両制御装置60は、スライド機構61に設けられたモータMを駆動して、サードシート63の前後方向へのスライド移動を制御する。
【0042】
変形例2における仮想体験ゲームソフトウェアの動作は図3~7で説明した動作と同様であるが、着座者の足踏み動作に連動してサードシート63がスライド移動する動作がさらに加えられている。例えば、足踏み動作1回につき、すなわち1歩に対して1cmだけスライドさせる場合には、制御装置30は、1歩ごとに1cm前方に移動させる指令信号を車両制御装置60に出力する、車両制御装置60はスライド移動の指令信号を受信すると、スライド機構61を制御してサードシート63が固定されている第2アッパーレール642を1cm前方に移動させる。そして、移動動作により第2アッパーレール642が破線で示す前進端まで達した場合には、第2アッパーレール642を図11に示す後退端まで戻してから、再び歩数に応じて前方に移動させる。表示装置20に表示される風景映像に関しては、上述した実施の形態の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0043】
(変形例3)
図13は、変形例3における仮想体験シートシステム1000Eの外観を示す図である。仮想体験シートシステム1000Eは、クッション80、制御装置30、表示装置20およびリモコン15を備えている。クッション80には圧力センサPS1~PS6が設けられており、図13に示す例では、椅子70の座面700の上に載置される。クッション80内の圧力センサPS1~PS6は、ハーネス800によって制御装置3に接続されている。
【0044】
なお、変形例3においては、椅子70は仮想体験シートシステム1000Eには含まれず、クッション80が図1に示すシート10に対応している。仮想体験ゲームを行う際には、クッション80を図13のように椅子の上に敷いたり、ベンチ、ソファや車両のシート等の上に敷いたりして使用する。
【0045】
図14は、仮想体験シートシステム1000Eのブロック図である。制御装置30および表示装置20の構成は、図1,2に示した仮想体験シートシステム1000の場合と同様である。上述した図1,2に示す例では、シート10にスピーカ130が設けられていたが、変形例3ではスピーカ130は省略されている。また、シート10のアームレスト14に設けられていた圧力センサPS7,PS8も省略されている。そのため、環境音を楽しんだり、圧力センサPS7,PS8を手で叩くことで風景映像における視線を左右に振る動作をしたりすることはできない。視線を左右に振る動作をさせる場合には、上述した実施の形態でも説明したが、クッション80に着座するユーザの重心位置が左側か右側かを圧力センサPS1~PS6の圧力検出値から推定する。重心位置が左側である場合には視線を左側に振り、逆に、重心位置が右側である場合には視線を右側に振る。その他の仮想体験ゲーム動作については、図1~7で説明した場合と同様であり、説明を省略する。
【0046】
変形例3の仮想体験シートシステム1000Eでは、図1のシート10に代えてクッション80を用いるようにしたので、コスト低減を図ることができる。さらに、仮想体験シートシステム1000Eでは、システム全体の重量が軽減され携帯も容易である。そのため、電源さえあれば、仮想体験ゲームを楽しむための場所を選ばず好きなところで仮想体験ゲームをすることができる。
【0047】
以上説明した本発明の実施の形態および変形例によれば、以下の作用効果を奏する。
【0048】
(C1)図1,2等に示すように、仮想体験シートシステム1000は、着座者の動作を検出する動作検出部である圧力センサPS1~PS6が設けられたシートクッション部11と、予め定められた歩行コース上の歩行者の視点から見た風景の映像が表示される表示装置20と、圧力センサPS1~PS6の検出結果に基づいて視点を移動させ、該視点に基づく映像を表示装置20に表示させる制御装置30と、を備える。シートクッション部11に着座した着座者は、着座したままで動作することにより、表示装置20に表示される風景映像を楽しむことができる。歩行コースを歩く歩行者の視点からの風景が、風景映像として表示装置20に表示されるので、あたかも実際に散歩しているような臨場感を得ることができる。
【0049】
(C2)上記(C1)において、図1,2等に示すように、圧力センサPS1~PS6は、シートクッション部11に加わる押圧力を検出するセンサであって、制御装置30は、圧力センサPS1~PS6によって検出される押圧力の変化に基づいて着座者の足踏み動作の回数を推定し、推定された回数に応じて視点を移動させる。着座者の足踏み動作の回数によって映像における視点を移動させるようにしているので、単純動作である足踏み動作を、動作によって情景が変化する風景映像を楽しむことによって、飽きることなくより長く続けることが可能となる。その結果、着座者の運動効果の向上を図ることができる。
【0050】
(C3)上記(C1)または(C2)において、図1,2等に示すように、スピーカ130をさらに備え、制御装置30は、表示装置20に表示される映像に同期して、該映像に応じた自然環境音をスピーカ130により発生させる。自然環境音をスピーカ130に発生させることで、着座者は、より臨場感のある風景映像を楽しむことができる。
【0051】
(C4)上記(C1)において、図8,9等に示すように、仮想体験シートシステム1000Aは、他の仮想体験シートシステム1000Bとの間で情報の授受を行う通信部31を備え、授受される情報は歩行コースにおける視点の位置情報であり、制御装置30は、他の仮想体験シートシステム1000Bから受けた位置情報に基づいて、表示装置20に表示される映像(図9の表示画像200B)に、他の仮想体験シートシステム1000Bのユーザのアイコン208を重畳表示させる。その結果、単に一人で仮想上の散歩を楽しむだけではなく、インターネット40を介して繋がった知人とコミュニケーションをとりながら一緒に散歩を楽しむことが可能となる。
【0052】
(C5)上記(C2)において、図10~12等に示すように、着座部は、電動のスライド機構61により車室内の前後方向に移動可能な車両600のサードシート63の前側シートクッション631であって、制御装置30は、推定された足踏み動作の回数に応じて、サードシート63をスライド機構61により車室内前方に移動させる。このような構成とすることで、車室内においても着座した状態で足踏み動作を行うことで、臨場感のある風景映像を楽しむことができる。特に、足踏み動作に伴って着座しているサード氏と63が前方に移動するので、臨場感がより増す。
【0053】
(C6)上記(C1)において、図13,14等に示すように、仮想体験シートシステム1000Eの着座部は、椅子70等のシートの座面上に載置可能なクッション80である。このように、圧力センサPS1~PS6を有する着座部を、図13に示すようなクッション80とすることで、コスト低減を図ることができるとともに、小型軽量で携帯性に優れた構成とすることができる。そのため、電源さえあれば、仮想体験ゲームを楽しむための場所を選ばず好きなところで仮想体験ゲームをすることができる。
【0054】
なお、脚が不自由で、椅子70の座面700に敷いたクッション80や上述のシート10に着座して足踏みを動作ができないユーザであっても、クッション80やシートクッション部11の座面11aの左右を交互に叩くことで、視点の移動を行わせて風景映像を堪能することができる。
【0055】
以上説明した各種の実施の形態や変形例はあくまでも一例であり、発明の特徴を損なわない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10…シート、11…シートクッション部、12…シートバック部、13…ヘッドレスト部、14…アームレスト部、15…リモコン、16…マイク、20…表示装置、30…制御装置、40…インターネット、50…サーバ、61…スライド機構、63…サードシート、80…クッション、130…スピーカ、600…車両、640…ロアレール、641,642…アッパーレール、1000,1000A,1000B,1000D,1000E…仮想体験シートシステム、M…電動モータ
図1
図2
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図14