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特開2023-136407着席位置決定装置および着席位置決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136407
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】着席位置決定装置および着席位置決定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230922BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/123 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042063
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 将哲
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA05
2F129CC16
2F129CC17
2F129DD15
2F129DD34
2F129DD58
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF11
2F129GG17
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH22
5H181AA01
5H181AA03
5H181AA06
5H181BB04
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF17
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】複数の乗客を乗せる車両において、乗客の着席位置を適切に決定することができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な本発明の着席位置決定装置は、車両に乗車する複数の乗客の着席位置を決定する着席位置決定装置であって、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を取得する処理部を備える。前記処理部は、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定し、前記走行ルートと、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置とに基づき、所定条件を満たすように前記着席位置を決定し、前記着席位置の決定後に、前記複数の乗客の少なくとも一部の乗降順序を変更する乗降順変更処理により前記所定条件を満たす前記着席位置が成立するか否かを判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に乗車する複数の乗客の着席位置を決定する着席位置決定装置であって、
前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を取得する処理部を備え、
前記処理部は、
前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定し、
前記走行ルートと、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置とに基づき、所定条件を満たすように前記着席位置を決定し、
前記着席位置の決定後に、前記複数の乗客の少なくとも一部の乗降順序を変更する乗降順変更処理により前記所定条件を満たす前記着席位置が成立するか否かを判定する、着席位置決定装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記乗降順変更処理により前記所定条件を満たす前記着席位置が成立すると判定した場合、前記走行ルートを変更する、請求項1に記載の着席位置決定装置。
【請求項3】
前記処理部は、決定された前記着席位置が前記所定条件を満たしていないと判定された場合に、前記乗降順変更処理により前記所定条件を満たす前記着席位置が成立するか否かを判定する、請求項1又は2に記載の着席位置決定装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記着席位置の決定後に、前記所定条件を満たす前記着席位置の成立に影響を与える事態が生じた場合に、前記乗降順変更処理により前記所定条件を満たす前記着席位置が成立するか否かを判定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の着席位置決定装置。
【請求項5】
前記所定条件を満たす前記着席位置の成立に影響を与える事態は、前記複数の乗客のうちのいずれかが指定された座席と異なる座席に着席した場合に生じる、請求項4に記載の着席位置決定装置。
【請求項6】
前記所定条件を満たす前記着席位置の成立に影響を与える事態は、前記着席位置の決定後に、前記着席位置の決定の対象となる新たな乗客が発生した場合に生じる、請求項4又は5に記載の着席位置決定装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記複数の乗客の属性情報を取得し、
前記処理部は、前記着席位置の決定に際して前記属性情報を用いる、請求項1から6のいずれか1項に記載の着席位置決定装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記乗降順序の変更を、順序を入れ替える停車予定位置同士が所定範囲内に存在すると判定される場合に許容する、請求項1から7のいずれか1項に記載の着席位置決定装置。
【請求項9】
前記所定条件には、乗り降りを行う乗客が、他の乗客の前を通らずに乗降車することと、他の乗客を移動させずに乗降車することとの少なくとも一方が含まれる、請求項1から8のいずれか1項に記載の着席位置決定装置。
【請求項10】
車両に乗車する複数の乗客の着席位置を決定する着席位置決定装置における着席位置決定方法であって、
前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定するステップと、
前記走行ルートと、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置とに基づき、所定条件を満たすように前記着席位置を決定するステップと、
前記着席位置の決定後に、前記複数の乗客の少なくとも一部の乗降順序を変更する乗降順変更処理により前記所定条件を満たす前記着席位置が成立するか否かを判定するステップと、
を備える、着席位置決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に複数の乗客を乗せる場合に着席位置を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗車中の複数のユーザ(乗客)の何れかが降車する際に、そのユーザが容易に降車できるようにする着席位置決定装置が知られる(例えば特許文献1参照)。特許文献1においては、着席位置決定部は、複数のユーザの何れかが車両から降車する際に複数のユーザのうちの他のユーザの着席位置を横切らないように、降車順序に応じて複数のユーザのそれぞれの着席位置を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-86942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、各乗客の乗車予定位置および降車予定位置を最短で経由するように走行ルートを決定した後に各乗客の着席位置を決定する場合に、全ての乗客が他の乗客の前を通らずに乗り降りを行うという条件を満たして着席位置を決定することができないことがある。所望の条件を完全に満たすことが出来ない場合であっても、できる限り所望の条件を満たすことが好ましいと考えられる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、複数の乗客を乗せる車両において、乗客の着席位置を適切に決定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な本発明の着席位置決定装置は、車両に乗車する複数の乗客の着席位置を決定する着席位置決定装置であって、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を取得する処理部を備える。前記処理部は、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定し、前記走行ルートと、前記複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置とに基づき、所定条件を満たすように前記着席位置を決定し、前記着席位置の決定後に、前記複数の乗客の少なくとも一部の乗降順序を変更する乗降順変更処理により前記所定条件を満たす前記着席位置が成立するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、複数の乗客を乗せる車両において、乗客の着席位置を適切に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】配車管理システムの概略構成を示すブロック図
図2】着席位置決定装置の構成を示すブロック図
図3】着席位置決定装置における着席位置決定方法の流れを例示するフローチャート
図4】着席位置の決定の仕方を説明するにあたって想定した車両の構成を示す図
図5】車両に乗車予定の複数の乗客の第1乗降パターンを示す図
図6】車両に乗車予定の複数の乗客の第2乗降パターンを示す図
図7】乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立する場合を例示する模式図
図8】変形例に係る着席位置決定装置が備える処理部の機能構成を示すブロック図
図9】変形例に係る着席位置決定装置によって実行される再設定に関わる処理の流れを例示するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<1.配車管理システム>
図1は、本発明の実施形態に係る配車管理システム100の概略構成を示すブロック図である。配車管理システム100は、オンデマンド交通サービスに好適である。配車管理システム100は、特に、予約状況に応じて自由に経路を設計できるオンデマンド交通サービスに好適である。配車管理システム100は、本発明の着席位置決定装置を含む配車管理システムの実施形態である。
【0011】
図1に示すように、配車管理システム100は、着席位置決定装置1と、車両用装置2と、予約端末装置3とを備える。着席位置決定装置1と車両用装置2とは、インターネット等の通信ネットワーク4を介して互いに通信可能に設けられる。着席位置決定装置1と予約端末装置3とは、通信ネットワーク4を介して互いに通信可能に設けられる。
【0012】
なお、図1に示す例では、通信ネットワーク4に接続される車両用装置2の数は1つであるが、通信ネットワーク4に接続される車両用装置2の数は複数であってもよい。また、図1に示す例では、通信ネットワーク4に接続される予約端末装置3の数は1つであるが、通信ネットワーク4に接続される予約端末装置3の数は複数であってもよい。
【0013】
オンデマンド交通サービスを利用する利用者(乗客)は、例えば、予約端末装置3を用いて、サービスを利用したい日時、乗車を行いたい場所である乗車予定位置、および、降車を行いたい場所である降車予定位置を含む利用情報を着席位置決定装置1へ送信する。着席位置決定装置1は、複数の利用者から利用情報を受け付け、各利用者が利用する車両の割り振り、および、各車両に割り振られた利用者の着席位置の決定を行う。すなわち、着席位置決定装置1は、車両に乗車する複数の乗客(利用者)の着席位置を決定する。着席位置決定装置1は、着席位置が確定した対象車両に対して、車両用装置2を利用して配車指示を行う。着席位置決定装置1は、配車要求に対する予約が完了したことを、配車要求を行った利用者に対して適宜通知する。当該通知は、例えば予約端末装置3を利用して行われる。
【0014】
なお、予約端末装置3は、例えば、パーソナルコンピュータ、共用コンピュータ、スマートフォン、又は、タブレット端末である。また、本実施形態では、利用者は、ウェブ予約を利用してオンデマンド交通サービスを受けられる構成となっている。ただし、利用者は、ウェブ予約に代えて、或いは、ウェブ予約に加えて、電話予約を利用してオンデマンド交通サービスを受けられる構成としてもよい。すなわち、配車管理システム100は、ウェブ予約用の予約端末装置3を備えない構成であってもよい。
【0015】
また、車両用装置2は、オンデマンド交通サービス等に利用される車両であって複数の乗客を乗せる車両に配置される。車両用装置2は、複数の乗客を乗せる車両ごとに配置される。なお、車両用装置2が配置される車両は、例えば、ミニバン、ワンボックスカー、セダン、バス車両等であってよい。車両用装置2は、車両に常時搭載される車載装置であっても、車両から持ち運ぶことができる可搬型の装置であってもよい。車両用装置2は、例えば、タブレット端末等であってよい。車両用装置2は、モニタを含んで構成されてもよい。
【0016】
また、本実施形態では、着席位置決定装置1は、配車センター等に配置されるサーバ、或いは、クラウドサーバである。ただし、着席位置決定装置は、車両用装置に含まれる構成であってもよい。すなわち、車両用装置2が、複数の乗客の着席位置を決定する機能を有する構成としてもよい。
【0017】
<2.着席位置決定装置>
図2は、本発明の実施形態に係る着席位置決定装置1の構成を示すブロック図である。なお、図2においては、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素を示しており、一般的な構成要素についての記載は省略されている。図2に示すように、着席位置決定装置1は処理部11を備える。着席位置決定装置1は、メモリ部12および通信部13をさらに備える。着席位置決定装置1は、いわゆるコンピュータ装置であってよい。なお、着席位置決定装置1は、キーボード等の入力装置や、ディスプレイ等の出力装置を備えていてもよい。
【0018】
処理部11は、演算処理等を行うプロセッサを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成されてよい。処理部11は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、複数のプロセッサで構成されてもよい。複数のプロセッサで構成される場合には、それらのプロセッサは互いに通信可能に接続されればよい。
【0019】
メモリ部12は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含んで構成される。揮発性メモリには、例えばRAM(Random Access Memory)が含まれてよい。不揮発性メモリには、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、又は、ハードディスドライブが含まれてよい。不揮発性メモリには、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータが格納される。
【0020】
通信部13は、通信ネットワーク4に接続するためのインターフェース回路を有する通信インターフェースとして構成される。
【0021】
図2に示すように、処理部11は、その機能として、情報取得部111と、走行ルート決定部112と、乗降順序判定部113と、着席位置決定部114と、配車指示部115とを備える。本実施形態においては、処理部11の機能は、メモリ部12に記憶されるプログラムにしたがった演算処理をプロセッサが実行することによって実現される。
【0022】
なお、本実施形態の範囲には、着席位置決定装置1の少なくとも一部の機能をプロセッサ(コンピュータ)に実現させるコンピュータプログラムが含まれてよい。また、本実施形態の範囲には、そのようなコンピュータプログラムを記録するコンピュータ読取り可能な不揮発性記録媒体が含まれてよい。不揮発性記録媒体には、例えば、上述の不揮発性メモリの他、光記録媒体(例えば光ディスク)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、USBメモリ、SDカード等が含まれてよい。
【0023】
また、各機能部111~115は、1つのプログラムにより実現されてもよいが、例えば、機能部ごとに別々のプログラムにより実現される構成としてもよい。また、各機能部111~115が別々のサーバとして実現されてもよい。また、各機能部111~115は、上述のように、プロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてよいが、他の手法により実現されてもよい。各機能部111~115は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現されてもよい。すなわち、各機能部111~115は、専用のIC等を用いてハードウェアにより実現されてもよい。また、各機能部111~115は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現されてもよい。また、各機能部111~115は、概念的な構成要素である。1つの構成要素が実行する機能が、複数の構成要素に分散されてよい。また、複数の構成要素が有する機能が1つの構成要素に統合されてもよい。
【0024】
情報取得部111は、例えば、メモリ部12や、装置1の外部から情報を取得する。装置1の外部からの情報は、例えば通信ネットワーク4および通信部13を介して取得される。また、装置1の外部からの情報は、着席位置決定装置1と接続される入力装置を介して取得されてもよい。
【0025】
情報取得部111が取得する情報には、例えば、地図情報、乗客(利用者)の乗降予定位置情報(乗車予定位置および降車予定位置の情報)、および、車両に関わる情報が含まれる。地図情報は、例えばメモリ部12から取得される。乗客の乗降予定位置情報は、例えば予約端末装置3から通信ネットワーク4および通信部13を介して取得される。車両に関わる情報は、例えば車両用装置2から通信ネットワーク4および通信部13を介して取得される。車両に関わる情報には、例えば、車両の現在位置の情報、車両が備える座席の配置に関する情報、または、車両が備えるドアに関する情報等が含まれてよい。
【0026】
言い換えると、処理部11は、複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を取得する。また、処理部11は、地図情報、および、車両に関わる情報を取得する。
【0027】
走行ルート決定部112は、配車要求に応じて利用することが決まった車両について、車両の走行ルートを決定する。走行ルート決定部112は、車両に乗る予定の複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定する。上述のように、走行ルート決定部112は、処理部11の機能である。すなわち、処理部11は、複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定する。
【0028】
なお、走行ルート決定部112は、公知の経路探索手法を利用して走行ルートを決定してよい。走行ルート決定部112は、各乗客の乗車予定位置および降車予定位置を経由し、かつ、全ての乗客が降車するまでの経路を最短化するように、走行ルートを決定してよい。また、走行ルート決定部112は、経路を最短化する代わりに、所要時間を最短化するように、走行ルートを決定してもよい。
【0029】
また、走行ルート決定部112は、予約端末装置3によって指定された乗車予定位置や降車予定位置を変更して走行ルートを決定してよい。例えば、走行ルート決定部112は、乗客の属性や道路の形状等に応じて、乗客が指定した乗車予定位置や降車予定位置を変更して走行ルートを決定してもよい。乗客の属性情報は、例えば乗客が配車予約を行う際に予約端末装置3に入力する情報から取得されてよい。また、道路の形状情報は、例えば地図情報から取得されてよい。乗り降りの位置の指定された場所からの変更は、乗客が指定した位置から近い(例えば100メートル以内等)場所に変更に適した場所がある場合に行われることが好ましい。
【0030】
走行ルート決定部112は、例えば、乗客が属性情報から高齢者であると判定された場合に、車両に対する乗り降りを安全に行える場所に乗車予定位置や降車予定位置を変更して、走行ルートを決定してよい。また、走行ルート決定部112は、例えば、道路の形状情報から狭い道路を通過しなければならないと判定された場合に、幹線道路沿いにある場所に乗車予定位置や降車予定位置を変更して、走行ルートを決定してよい。なお、乗車予定位置や降車予定位置を変更した場合には、当該変更について、配車予約を行った者に通知することが好ましい。
【0031】
乗降順序判定部113は、走行ルートが決定された車両に乗車予定の乗客の乗車順序および降車順序を、決定された走行ルートおよび各乗客の乗降予定位置情報に基づいて判定する。例えば、乗客の乗車順序は、走行ルートの開始点から当該走行ルートに沿って乗車予定位置が近いほど乗車順序が先となるように、順序付けが行われる。乗車順序を表す情報は、例えば、乗客の識別情報が乗車順に並べられたリストであってよい。また、乗客の降車順序は、走行ルートの開始点から当該走行ルートに沿って降車予定位置が近いほど降車順序が先となるように、順序付けが行われる。降車順序を表す情報は、例えば、乗客の識別情報が降車順に並べられたリストであってよい。
【0032】
着席位置決定部114は、乗車予定の乗客の乗車順序および降車順序に基づき、車両における着席位置を決定する。詳細には、着席位置決定部114は、所定条件を満たすことを目的として着席位置を決定する。上述のように、乗降順序判定部113および着席位置決定部114は、処理部11の機能である。すなわち、処理部11は、走行ルートと、複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置とに基づき、所定条件を満たすように着席位置を決定する。「所定条件を満たすように」とは、「所定条件の充足率が最大に近づくように」とも言い換えられる。決定された着席位置は、所定条件を満たさないこともあり得る。
【0033】
所定条件には、乗り降りを行う乗客が、他の乗客の前を通らずに乗降車することと、他の乗客を移動させずに乗降車することとの少なくとも一方が含まれることが好ましい。他の乗客の前を通らないとは、着席する他の乗客の着席位置を横切らないことを含む。他の乗客を移動させないとは、或る乗客が乗り降りする際に、着席中の他の乗客が立ち上がって場所を移動することを生じさせないことや、他の乗客が着席する座席を移動することを生じさせないことを含む。乗客が着席する座席の移動には、座席のスライドや、座席を倒すこと等が含まれる。乗り降りのための座席の移動は、例えば、運転席の後方に2つの座席の列が前後に並ぶミニバン等において生じる。上述の所定条件を満たす構成とすると、複数の乗客の乗合が行われる車両において、乗客が乗り降りを快適に行うことができる。また、車両の乗り降りに要する時間を短くして、乗合車両の運行効率を向上することができる。
【0034】
着席位置決定部114は、所定条件を満たすように着席位置を決定するに際して、乗降順序(乗車順序および降車順序)の他に、車両のドアの情報および座席の構成の情報を考慮して着席位置を決定する。
【0035】
車両のドアの情報は、詳細には、乗客が乗り降りに利用することができるドアの情報である。ドアの情報には、ドアの数や位置が含まれる。ドアの情報は、例えば、車両の識別情報と共にメモリ部12に記憶される構成としてもよい。また、乗客が乗り降りに利用することができるドアであるか否かは、乗り降りを行う場所の周囲の環境を加味して決定されてよい。例えば、乗り降りを行う場所が対面通行道路である場合、車両が左右の両側に乗り降りのためのドアを有していても、車両が走行する車線と隣接する車線が無い側のドアのみが、乗客が乗り降りに利用することができるドアと判断される構成としてよい。このような判断に際して、地図情報が利用されてよい。
【0036】
座席の構成の情報は、乗客が座ることができる座席に関する情報である。座席の構成の情報は、例えば、車両の識別情報と共にメモリ部12に記憶される構成としてもよい。座席の構成の情報には、座席の配列方向、座席の向き、座席の数、座席間に設けられる通路の情報、座席が移動可能であるか否か等の情報が含まれてよい。座席は、車両の進行方向に複数配列される構成や、車両の進行方向と直交する方向に複数配列される構成であってよい。なお、座席の列の数は1つであってもよい。座席の向きは、前方に向く構成、後方に向く構成、左右方向に向く構成等であってよい。
【0037】
着席位置決定部114は、上述の所定条件(乗客の前を通らない等)を満たすべく、例えば次のように着席位置を決定する。例えば、乗客が乗り降りに利用することができるドアの数が複数である場合、着席位置決定部114は、各乗客が互いに異なるドアを利用できるように、着席位置を決定する。また、例えば、乗客が乗り降りに利用することができるドアの数が単数であって、乗降順序により後から乗車する乗客が先に降車することが示される場合には、着席位置決定部114は、先に乗車する乗客の着席位置をドアから遠い位置に決定する。また、例えば、乗客が乗り降りに利用することができるドアの数が単数であって、乗降順序により先に乗車する乗客が先に降車することが示される場合には、着席位置決定部114は、ドアから着席位置までの経路が乗客ごとに異なるように、乗客の着席位置を決定する。
【0038】
着席位置決定部114は、先に決定した走行ルートと、乗客の乗降順序の情報とに基づいて、上述の所定条件を満たす着席位置を得られないことがある。このために、本実施形態では、着席位置決定部114は、着席位置の決定後に、複数の乗客の少なくとも一部の乗降順序を変更する乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する。換言すると、処理部11は、着席位置の決定後に、複数の乗客の少なくとも一部の乗降順序を変更する乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する。詳細には、処理部11は、決定された着席位置が所定条件を満たしていないと判定された場合に、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する。なお、乗降順序変更処理は、車両に乗車予定の乗客の乗車順序と、車両に乗車中の乗客の降車順序との少なくとも一方の順序を変更する処理である。
【0039】
このような構成とすると、所定条件を満たす着席位置を決定できる可能性を高めることができる。例えば、他の乗客の前を通らずに乗り降りすることができる着席位置を得られる可能性を高めることができる。すなわち、乗客が乗合車両を快適に利用できる可能性を高めることができる。また、乗客の乗り降りをスムーズに行うことができる可能性を高められるために、運行効率が向上することを期待できる。
【0040】
特に、着席位置決定部114(処理部11)は、乗降順序の変更を、順序を入れ替える停車予定位置同士が所定範囲内に存在すると判定される場合に許容することが好ましい。ここで、停車予定位置は、乗車予定位置と降車予定位置との少なくともいずれか一方である。また、所定範囲は、距離的な範囲であっても、時間的な範囲であってもよい。所定範囲内に存在する場所は、乗客にとって近いと感じられる場所であることが好ましい。例えば、所定範囲内に存在する場所は、車両により10分以内で行ける場所であり、より好ましくは、5分以内で行ける場所である。このような構成とすることにより、乗降順序の変更が、順序の入れ替えを行う停車予定位置同士が近い場合に限って行われる構成とでき、上述した運行効率の向上をより期待することができる。
【0041】
着席位置の決定後に、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する構成を備える着席位置決定装置1は、配車予約が有った場合に即座に着席位置を決定する構成の配車管理システムに好適である。なお、配車予約が有った場合に即座に着席位置を決定する構成とは、予約の先着順に着席位置を決定していく構成であってよい。このような構成では、先着順に仮決定される着席位置を適宜更新しながら、所定条件を満たす着席位置を得ることができる。着席位置の変更があった場合、変更に関わる通知を、予約端末装置3等を介して乗客に行う構成としてよい。
【0042】
着席位置決定部114(処理部11)は、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立すると判定した場合、走行ルートを変更する。詳細には、着席位置決定部114は、先に決定した走行ルートの変更のみを行う場合と、走行ルートの変更に加えて先に決定した着席位置の変更を行う場合とがあってよい。走行ルートの変更により、乗客にとってより快適に感じられる着席位置を提供することができる。
【0043】
なお、着席位置決定部114は、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立しないと判定することがある。このような場合、着席位置決定部114は、乗り降りを行う乗客が、他の乗客の前を通って乗降車する頻度や、他の乗客を移動させて乗降車する頻度が最も小さくなるように着席位置を決定することが好ましい。
【0044】
また、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する機能は、着席位置決定装置1を含む配車管理システム100を利用する業者(車両用装置2を有する業者)の希望に応じて、その利用の要否を選択できる構成としてもよい。当該選択を行うためのインターフェースは、例えば車両用装置2に設けられてよい。このように構成することで、例えば、所定条件を満たすことよりも最短走行ルートでの車両の運行を望むユーザは、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する機能を利用しないことを選択できる。
【0045】
配車指示部115は、決定した走行ルート、各乗客の乗車予定位置、各乗客の降車予定位置、および、各乗客の着席位置を含む配車指示情報を生成する。配車指示部115は、生成した配車指示情報を、通信部13および通信ネットワーク4を介して車両用装置2に送信する。車両が運転者によって運転される有人車両である場合、運転者は車両用装置2のモニタ等を介して配車指示を把握する。車両が運転者の居ない無人車両である場合、当該無人車両は、配車指示に応じて自動運転を実行する。
【0046】
なお、配車指示部115は、配車指示情報に含まれる一部の情報を予約端末装置3に送信してもよい。例えば、配車指示部115は、各乗客の着席位置情報を、予約端末装置3を介して配車の予約を行った乗客に通知してよい。これにより、乗客は、車両のいずれの座席に座れば良いかを、乗車前に知ることができる。また、上述のように、着席位置決定装置1は、車両用装置2に含まれてもよく、このような構成の場合には、車両に配車指示を行う配車指示部115は含まれなくてもよい。
【0047】
<3.着席位置決定方法>
図3は、本発明の実施形態に係る着席位置決定装置1における着席位置決定方法の流れを例示するフローチャートである。図3に示す例では、着席位置決定装置1は、複数の乗客からの配車要求を取得していることを前提とする。配車要求は、例えば予約端末装置3によって行われる。配車要求には、乗車予定位置および降車予定位置が含まれる。
【0048】
なお、着席位置決定装置1は、乗客が配車要求を行うごとに着席位置を決定する構成であってもよい。また、本実施形態の着席位置決定方法をコンピュータ装置に実現させるコンピュータプログラムは、本実施形態の範囲に含まれる。また、そのようなコンピュータプログラムを記録するコンピュータ読取り可能な不揮発性記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。
【0049】
ステップS1では、走行ルート決定部112が複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定する。すなわち、着席位置決定方法は、複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置を通る走行ルートを決定するステップを備える。走行ルートが決定されると、次のステップS2に処理が進められる。
【0050】
ステップS2では、乗降順序判定部113が、決定された走行ルートと、各乗客の乗降車予定位置の情報とに基づいて、車両に乗車予定の複数の乗客の乗車順序および降車順序を判定する。乗車順序および降車順序が判定されると、次のステップS3に処理が進められる。
【0051】
ステップS3では、着席位置決定部114が、判定された乗降順序と、メモリ部12等から取得される車両のドア情報および座席情報と、に基づいて、所定条件を満たすように着席位置を決定する。すなわち、着席位置決定方法は、走行ルートと、複数の乗客のそれぞれの乗車予定位置および降車予定位置とに基づき、所定条件を満たすように着席位置を決定するステップを備える。着席位置が決定すると、次のステップ4に処理が進められる。
【0052】
ステップS4の処理について説明する前に、図4図5、および、図6に示す場合を例として、着席位置の決定の仕方について説明する。なお、図4は、着席位置の決定の仕方を説明するにあたって想定した車両5の構成を示す図である。図5は、車両5に乗車予定の複数の乗客の第1乗降パターンを示す図である。図6は、車両5に乗車予定の複数の乗客の第2乗降パターンを示す図である。
【0053】
図4に示す車両5は、乗客を乗せる座席51の列が前後に2つ並ぶ。各列の座席51の数は2つである。詳細には、車両5は、2つの前座席51Fと、2つの後座席51Rとを備える。また、車両5は、乗客が乗り降り可能なドア52を左側面に1つのみ有する。後座席51Rに座りたい乗客は、前座席51Fのうち、少なくとも左側の座席を前方にスライドするか、或いは、倒すことによって、ドア52を利用して乗車することができる。後座席51Rに座っている乗客は、前座席51Fのうち、少なくとも左側の座席を前方にスライドするか、或いは、倒すことによって、ドア52を利用して降車することができる。このような車両5において、上述の所定条件は、乗り降りを行う乗客が他の乗客を移動させずに乗降車する場合に満たされる。
【0054】
図5および図6に示す図において、「S」で示す部分は、走行ルートの開始点を示す。走行ルートの開始点Sは、例えば、配車指示部115により配車指示を行われる車両5の現在位置である。また、走行ルートの開始点Sは、例えば、配車指示部115により配車指示を行われる車両5の保管場所である。
【0055】
図5に示す第1乗降パターンにおいて、車両5の走行ルートは、開始点Sから順に、第1乗車予定位置BP1、第2乗車予定位置BP2、第1降車予定位置DP1、第2降車予定位置DP2を通過するルートに、走行ルート決定部112によって決定されている。また、図5に示す第1乗降パターンでは、第1乗車予定位置BP1で二人の乗客H1、H2が乗車し、第2乗車予定位置BP2で二人の乗客H3、H4が乗車する。後から乗車した二人の乗客H3、H4は、第1降車予定位置DP1で降車する。先に乗車した二人の乗客H1、H2は、車両5の最終到達位置である第2降車予定位置DP2で降車する。
【0056】
図5に示す第1乗降パターンの場合、着席位置決定部114は、乗り降りを行う乗客が他の乗客を移動させずに乗降車するように(所定条件を満たすように)、次のように着席位置を決定する。着席位置決定部114は、先に乗車する二人の乗客H1、H2の着席位置を左右の後座席51Rとし、後から乗車する二人の乗客H3、H4の着席位置を左右の前座席51Fとする。
【0057】
このようにすれば、先に乗車する二人の乗客H1、H2は、前座席51Fに誰も座っていないタイミングで乗車するために、他の乗客を移動させることなく乗車することができる。また、後から乗車する二人の乗客H3、H4は、前座席51Fに座ればよいために、乗車の際に後座席51Rに座る二人を移動させる必要がなく、他の乗客を移動させることなく乗車することができる。また、後から乗車して前座席51Fに座る二人の乗客H3、H4は、先に乗車した二人の乗客H1、H2よりも先に降車するために、降車の際に後座席51Rに座る二人の乗客H1、H2を移動させる必要がなく、他の乗客を移動させることなく降車することができる。また、先に乗車して後座席51Rに座る二人の乗客H1、H2は、降車のタイミングで他の乗客が居ないために、他の乗客を移動させることなく降車することができる。
【0058】
図6に示す第2乗降パターンでも、車両5の走行ルートは、開始点Sから順に、第1乗車予定位置BP1、第2乗車予定位置BP2、第1降車予定位置DP1、第2降車予定位置DP2を通過するルートに、走行ルート決定部112によって決定されている。また、図6に示す第2乗降パターンでは、第1乗車予定位置BP1で二人の乗客H1、H2が乗車し、第2乗車予定位置BP2で二人の乗客H3、H4が乗車する。先に乗車した二人の乗客H1、H2は、第1降車予定位置DP1で降車する。後から乗車した二人の乗客H3、H4は、車両5の最終到達位置である第2降車予定位置DP2で降車する。
【0059】
図6に示す第2乗降パターンの場合、着席位置決定部114は、乗り降りを行う乗客が他の乗客を移動させずに乗降車することを目標に着席位置を決定しようとするが、当該目標を満たすことができない。この際、好ましい形態として、乗り降りを行う乗客が他の乗客を移動させる頻度がなるべく少なくなるように着席位置が決定される。このため、例えば、先に乗車する二人の乗客H1、H2の着席位置が左右の後座席51Rとされ、後から乗車する二人の乗客H3、H4の着席位置が左右の前座席51Fとされる。
【0060】
この場合、先に乗車する二人の乗客H1、H2は、前座席51Fに誰も座っていないタイミングで乗車するために、他の乗客を移動させることなく乗車することができる。また、後から乗車する二人の乗客H3、H4は、前座席51Fに座ればよいために、乗車の際に後座席51Rに座る二人の乗客H1、H2を移動させる必要がなく、他の乗客を移動させることなく乗車することができる。ただし、先に乗車して後座席51Rに座る二人の乗客H1、H2は、後から乗車した二人の乗客H3、H4よりも先に降車するために、降車の際に前座席51Fに座る二人の乗客H3、H4を移動させて降車する必要がある。後から乗車して前座席51Fに座る二人の乗客H3、H4は、降車のタイミングで他の乗客が居ないために、他の乗客を移動させることなく降車することができる。
【0061】
なお、第2乗車パターンの場合には、着席位置決定部114は、先に乗車する二人の乗客H1、H2の着席位置を、右側の前座席51Fと後座席51Rとし、後から乗車する二人の乗客H3、H4の着席位置を、左側の前座席51Fと後座席51Rとしてもよい。
【0062】
図3に戻って、ステップS4では、着席位置決定部114は、決定された着席位置が所定条件を満たすか否かを判定する。所定条件を満たす場合(ステップS4でYes)、次のステップS5に処理が進められる。所定条件を満たさない場合(ステップS4でNo)、ステップS6に処理が進められる。
【0063】
図4図6に示す例では、着席位置決定部114は、決定した着席位置が、乗り降りを行う乗客が他の乗客を移動させずに乗降車するという条件を満たしているか否かを判定する。図5に示す第1乗降パターンでは、着席位置決定部114は、決定した着席位置が、乗り降りを行う乗客が他の乗客を移動させずに乗降車するという条件を満たしていると判定する。このために、図5に示す例では、ステップS5に処理が進められる。一方、図6に示す第2乗降パターンでは、着席位置決定部114は、決定した着席位置が、乗り降りを行う乗客が他の乗客を移動させずに乗降車するという条件を満たしていないと判定する。このために、図6に示す例では、ステップS6に処理が進められる。
【0064】
ステップS5では、配車指示部115が、決定した走行ルート、各乗客の乗車予定位置、各乗客の降車予定位置、および、各乗客の着席位置を含む配車指示情報を生成する。生成された配車指示情報は、車両用装置2に送信される。これにより、着席位置決定装置1における着席位置決定方法が完了する。
【0065】
なお、着席位置の情報は、予約端末装置3等を介して乗客に通知されてよい。また、着席位置の乗客への事前通知は行わず、乗客が車両に乗車する際に座席位置を案内してもよい。座席の案内には、画面表示、音声、ライトの点灯等の手段が利用されてよい。
【0066】
ステップS6では、着席位置決定部114が、乗降順変更処理によって所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する。すなわち、着席位置決定方法は、着席位置の決定後に、複数の乗客の少なくとも一部の乗降順序を変更する乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定するステップを備える。所定条件を満たす着席位置が成立する場合(ステップS6でYes)、次のステップS7に処理が進められる。所定条件を満たす着席位置が成立しない場合(ステップS6でNo)、ステップS5に処理が進められる。この場合、先のステップS1およびステップS3で決定された走行ルートおよび着席位置が配車指示情報に含まれることになる。
【0067】
なお、図7は、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立する場合を例示する模式図である。上述のように図6に示す例においては、ステップS6に処理が進めらる。この場合、図7に示すように、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立する。詳細には、第1降車予定位置DP1、第2降車予定位置DP2の順に車両5が進む走行ルートを、第2降車予定位置DP2、第1降車予定位置DP1の順に車両5が進む走行ルートに変更すると所定条件を満たす着席位置が成立する。
【0068】
図7に示すように変更すると、先に乗車する二人の乗客H1、H2は、前座席51Fに誰も座っていないタイミングで乗車するために、他の乗客を移動させることなく後座席51Rに乗車することができる。また、後から乗車する二人の乗客H3、H4は、前座席51Fに座ればよいために、乗車の際に後座席51Rに座る二人の乗客H1、H2を移動させる必要がなく、他の乗客を移動させることなく乗車することができる。また、後から乗車して前座席51Fに座る二人の乗客H3、H4は、先に乗車した二人の乗客H1、H2よりも先に降車するために、降車の際に後座席51Rに座る二人の乗客H1、H2を移動させる必要がなく、他の乗客を移動させることなく降車することができる。また、先に乗車して後座席51Rに座る二人の乗客H1、H2は、降車のタイミングで他の乗客が居ないために、他の乗客を移動させることなく降車することができる。
【0069】
ステップS7では、着席位置決定部114が、着席位置が所定条件を満たすように走行ルートを変更する。この際、走行ルートの変更に加えて、先に決定した着席位置の変更が行われてもよい。また、走行ルートの変更にあたっては、乗降順序の変更により順序が入れ替えられる停車予定位置(乗降予定位置)同士が所定範囲内に存在するという要件を満たすことが追加されることが好ましい。走行ルートの変更が行われると、ステップS5に処理が進められる。この場合、変更された走行ルートが配車指示情報に含まれることになる。また、ステップS3で決定された着席位置が変更された場合には、変更された着席位置が配車指示情報に含まれることになる。
【0070】
なお、図6に示す例においては、図6に示す走行ルートから図7に示す走行ルートに走行ルートが変更され、当該変更された走行ルートが配車指示情報に含まれる。また、走行ルートを変更するに際しては、第1降車予定位置DP1と第2降車予定位置DP2とが所定範囲内に存在するという条件を満たすことが好ましい。例えば、第1降車予定位置DP1と第2降車予定位置DP2とが、車両5で5分以内の近い距離にあるといった条件を満たす場合に、第1降車予定位置DP1と第2降車予定位置DP2との順序の入れ替えが許容されることが好ましい。
【0071】
以上に説明した着席位置決定方法によれば、複数の乗客の乗合が行われる車両において、乗客が乗り降りする際に、例えば、他の乗客の前を通らず乗り降りできる可能性を向上することができる。また、乗客が乗り降りする際に、例えば、他の乗客を移動させることなく乗り降りできる可能性を向上することができる。
【0072】
<4.変形例>
[4-1.第1変形例]
処理部11は、複数の乗客の属性を取得する構成としてよい。そして、処理部11は、着席位置の決定に際して属性情報を用いてよい。
【0073】
詳細には、乗客の属性の取得は、情報取得部111により行われてよい。乗客の属性には、例えば、年齢、荷物の量、障害の有無、車椅子利用、白杖利用等が含まれてよい。情報取得部111は、例えば、予約端末装置3から乗客の属性を取得する構成であってよい。換言すると、乗客の属性は、配車の予約時に予約端末装置3を利用して着席位置決定装置1に送信される構成としてよい。また、例えば乗客が配車管理システム100を頻繁に利用する顧客である場合には、メモリ部12に登録されている顧客情報から乗客の属性が取得されてもよい。
【0074】
乗客の属性を用いた着席位置の決定は、着席位置決定部114により行われてよい。例えば、上述した図3のフローチャートにおけるステップS3において、着席位置決定部114は、乗客の属性を用いて着席位置の決定を行ってよい。具体的には、着席位置決定部114は、乗客の属性から乗り降りに時間がかかると予想される乗客に対して、車両のドアに近い座席を割り当てるように着席位置の決定を行ってよい。乗り降りに時間がかかると予想される乗客は、例えば、高齢者、白杖を有する者、荷物が多い者等である。なお、当該例においては、乗合に利用される車両は、乗客が乗り降りに利用できるドアを複数有する車両であることが好ましい。
【0075】
本変形例の構成によれば、乗客の属性を考慮して着席位置が決定されるために、乗客の車両への乗り降りをスムーズに行うことができ、乗り降りに要する時間の短縮を図ることができる。また、乗客の乗合車両の利用時における満足度を向上することができる。
【0076】
[4-2.第2変形例]
図8は、第2変形例に係る着席位置決定装置1Aが備える処理部11Aの機能構成を示すブロック図である。処理部11Aの構成は、概ね上述した実施形態の着席位置決定装置1が備える処理部11の構成と同様である。このために、上述した実施形態の処理部11と異なる部分を中心に説明する。
【0077】
図8に示すように、本変形例の処理部11Aは、その機能として、乗車座席検知部116と乗車座席正誤判定部117とを備える。乗車座席検知部116と乗車座席正誤判定部117とは、例えば、メモリ部12に記憶されるプログラムにしたがった演算処理をプロセッサが実行することによって実現される。ただし、乗車座席検知部116と乗車座席正誤判定部117との少なくとも一方は、専用のIC等を用いてハードウェアにより実現されてもよい。
【0078】
乗車座席検知部116は、車両に配置されるセンサからの情報に基づいて、新たに車両に乗車した乗客が車両のいずれの座席に着席したかを検知する。車両に配置されるセンサは、例えば、着座センサ又はカメラである。着座センサは、例えば、座席の着座面に設けられる圧力センサや、座席または座席の近傍の適所に配置されるフォトインタラプタ等の光学式センサである。車両に配置されるセンサで取得した情報は、情報取得部111によって取得される。
【0079】
乗車座席正誤判定部117は、新たに座席に着座した乗客の座席が、予め指定された正しい座席であるか否かを判定する。或る乗車予定位置から乗車する乗客が、どの座席に着席するかは予め決まっており、このような情報はメモリ部12等に記憶されている。このために、乗車座席正誤判定部117は、メモリ部12等から得られる乗客が座るべき座席の位置と、乗車座席検知部116で検知された乗客が実際に着座した座席の位置とを比べて、乗客が着座した座席の正誤を判定することができる。
【0080】
なお、乗車座席検知部116および乗車座席正誤判定部117は、車両用装置2が備える処理部の機能であってもよい。この場合には、乗車座席正誤判定部117によって乗客が指定の座席に着席しなかった場合に、そのことが着席位置決定部に通知される構成としてよい。
【0081】
本変形例では、着席位置決定部114は、乗車座席正誤判定部117で、乗客が指定の座席に着座しなかった場合に、着席位置の再設定処理を行う。当該再設定処理について、図9を参照して説明する。
【0082】
図9は、第2変形例に係る着席位置決定装置1Aによって実行される再設定に関わる処理の流れを例示するフローチャートである。図9に示す再設定に関わる処理は、配車予約にしたがって車両が運行を開始した後に開始される。換言すると、再設定に関わる処理は、配車予約に応じた着席位置の確定後に開始される。なお、図9の処理の開始時において、着席位置は、上述の所定条件(他の乗客の前を通らずに乗降する等)を満たしていても、満たしていなくてもよい。
【0083】
ステップS11では、乗車座席検知部116が乗客の着席を監視する。乗客の座席への着席を検知すると(ステップS11でYes)と、次のステップS12に処理が進められる。
【0084】
ステップS12では、乗車座席正誤判定部117が、乗客が予め指定された座席に正しく着席したか否かを判定する。指定された座席に正しく着席した場合には(ステップS12でYes)、ステップS11に処理が戻される。指定された座席に正しく着席しなかった場合には(ステップS12でNo)、次のステップS13に処理が進められる。
【0085】
ステップS13では、着席位置決定部114が、着席位置の再設定を行う。当該再設定処理においては、既に決定されている走行ルートは維持される。着席位置決定部114は、走行ルートと、以後に乗り降りを行う各乗客の乗降予定位置とに基づき、所定条件を満たすように、次の乗車予定位置以降に乗車する乗客の着席位置の決定を行う。本例でも、所定条件は、乗り降りを行う乗客が、他の乗客の前を通らずに乗降車することと、他の乗客を移動させずに乗降車することとの少なくとも一方が含まれる構成であってよい。着席位置の再設定が完了すると、次のステップS14に処理が進められる。
【0086】
ステップS14では、着席位置決定部114が、再設定した着席位置が所定条件を満たすか否かを判定する。所定条件を満たす場合(ステップS14でYes)、次のステップS15に処理が進められる。所定条件を満たさない場合(ステップS14でNo)、ステップS16に処理が進められる。
【0087】
ステップS15では、着席位置決定部114が、車両が配車指示により指示された予定ルートの走行を完了したか否かを判定する。予定ルートの走行が完了していない場合(ステップS15でNo)、ステップS11に処理が戻され、ステップS11以降の処理が繰り返される。予定ルートの走行が完了している場合(ステップS15でYes)、図9に示すフローが終了される。
【0088】
ステップS16では、着席位置決定部114が、乗降順変更処理によって所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する。所定条件を満たす着席位置が成立する場合(ステップS16でYes)、次のステップS17に処理が進められる。所定条件を満たす着席位置が成立しない場合(ステップS16でNo)、ステップS15に処理が進められる。
【0089】
ステップS17では、着席位置決定部114が、着席位置が所定条件を満たすように走行ルートを変更する。この際、走行ルートの変更に加えて、先に決定した着席位置の変更が行われてもよいが、このような変更が行われないように走行ルートの変更が行われることが好ましい。また、走行ルートの変更にあたっては、乗降順序の変更により順序が入れ替えられる停車予定位置(乗降予定位置)同士が所定範囲内に存在するという要件を満たすことが追加されることが好ましい。走行ルートの変更が行われると、ステップS15に処理が進められる。なお、この場合においては、ステップS15の予定ルートは、ルート変更後の予定ルートである。
【0090】
以上からわかるように、本変形例では、処理部11Aは、着席位置の決定後に、所定条件を満たす着席位置の成立に影響を与える事態が生じた場合に、乗降順変更処理により所定条件を満たす着席位置が成立するか否かを判定する。所定条件を満たす着席位置の成立に影響を与える事態は、複数の乗客のうちのいずれかが指定された座席と異なる座席に着席した場合に生じる。なお、所定条件を満たす着席位置の成立に影響を与える事態は、当該事態が生じる前に、既に所定条件が成立しているか否かは問わない。
【0091】
本変形例によれば、乗客が指定された座席に着席しなかった場合でも、乗客が快適に車両に乗れるように着席位置の再設定が行われるために、乗客の満足度を向上することができる。例えば、高齢者や荷物の多い乗客は、車両への乗り降りが困難なことがあり、指定された座席に到達できないことがある。本変形例の構成によれば、このようなケースにも柔軟に対応することができる。
【0092】
なお、乗客が指定された座席に着席しなかった場合に、乗客に対して指定された位置に着席するように通知する構成としてもよい。当該通知は、例えば、音声案内や、乗客が有する携帯端末への通信を用いた通知であってよい。当該通知によっても乗客が指定された位置に着席しない場合に、上記の再設定処理が行われる構成としてよい。
【0093】
[4-3.第3変形例]
上述した第2変形例においては、所定条件を満たす着席位置の成立に影響を与える事態は、複数の乗客のうちのいずれかが指定された座席と異なる座席に着席した場合に生じる構成とした。これに関して、所定条件を満たす着席位置の成立に影響を与える事態は、着席位置の決定後に、着席位置の決定の対象となる新たな乗客が発生した場合に生じる構成としてもよい。新たな乗客は、例えば、車両が配車要求にしたがった運行を開始した後に、乗降のために停車する停車位置で乗車を急に要求する者であってよい。停車位置は、病院等に設けられる既存の乗降位置であってよい。
【0094】
第3変形例の構成では、着席位置決定部114は、新たな乗客の発生通知を受けて、第2変形例と同様の再設定処理を行う。新たな乗客の発生通知は、例えば、車両を運転する運転者が車両用装置2に入力することにより、車両用装置2から着席位置決定装置に対して行われる構成としてよい。
【0095】
本変形例によれば、新たな乗客を急遽乗せることになった場合でも、乗客が快適に車両に乗れるように着席位置の再設定が行われるために、乗客の満足度を向上することができる。本変形例によれば、急な乗車要求が生じた場合にも柔軟に対応することができるために便利である。
【0096】
<5.留意事項等>
本明細書の、発明を実施するための形態に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書の、発明を実施するための形態に開示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0097】
1、1A・・・着席位置決定装置
5・・・車両
11、11A・・・処理部
BP1・・・第1乗車予定位置
BP2・・・第2乗車予定位置
DP1・・・第1降車予定位置
DP2・・・第2降車予定位置
H1、H2、H3、H4・・・乗客
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9