(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136409
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】貨物車両の荷台
(51)【国際特許分類】
B62D 33/02 20060101AFI20230922BHJP
B62D 33/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B62D33/02 S
B62D33/06 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042065
(22)【出願日】2022-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 直弘
(57)【要約】
【課題】荷台の前端がキャブの座席後方の拡張空間の下方に設けられる場合でも荷台に鳥居を設けられる構造を備えた、貨物車両の荷台の提供。
【解決手段】運転室であるキャブ8と、キャブ8の後方に設けられた箱型の荷台1を備え、キャブ8の背面9の荷台1より上方の上方背面9aが下方の下方背面9bよりも後方に設けられることで座席11と、荷台1より上方のキャブ8の上方背面9aとの間に拡張空間13が形成されているトラック100の荷台1であって、上面と前面が開放された箱型の荷台本体21と、上面が天板23eで塞がれて背面が開放され荷台本体21の前面に連結され、拡張空間13の下方に形成される下方空間15に配置される、荷台1の前端であるボックス部23と、ボックス部23の天板23eの後端から上方に立設され、荷台本体21に搭載された貨物からキャブ8を保護する門型の構造物である鳥居25と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席を備えた運転室であるキャブと、前記キャブの後方に設けられた箱型の荷台を備え、前記キャブの背面の前記荷台より上方の部分が下方の部分より後方に設けられ、前記座席と、前記荷台より上方の前記キャブの背面との間に拡張空間が形成される貨物車両の荷台であって、
上面と前面が開放された箱型の荷台本体と、
上面が天板で塞がれて背面が開放され前記荷台本体の前面に連結された箱型の形状で、前記拡張空間の下方に形成される空間に配置される、前記荷台の前端であるボックス部と、
前記ボックス部の前記天板の後端から上方に立設され、前記荷台本体に搭載された貨物から前記キャブを保護する門型の構造物である鳥居と、
を備えることを特徴とする貨物車両の荷台。
【請求項2】
前記天板と前記鳥居の間に設けられ、前記天板と前記鳥居を上下方向に連結して前記鳥居を支持する支持構造を備える、請求項1に記載の貨物車両の荷台。
【請求項3】
前記ボックス部の前記天板は、後端から上方に突設され、面方向が車幅方向及び鉛直方向を向く板状の天板側接続部を有し、
前記支持構造は、
車幅方向から見てL字型で車幅方向に延在するアングル材であり、L字を構成する一方の直線部が水平方向を向き、かつ前記一方の直線部の前端が前記ボックス部の前端を向いて、上面が前記鳥居と接続され、他方の直線部が鉛直方向を向いて前記一方の直線部の後端から下方に突設し、前記他方の直線部の下端が前記天板側接続部に接続される上側メンバと、
前記上側メンバのL字に屈曲した内側に配置され、前記上側メンバの前記一方の直線部と前記他方の直線部の内側同士を連結して補強することで前記鳥居の荷重を受け止める下側メンバを備える請求項2に記載の貨物車両の荷台。
【請求項4】
前記下側メンバは、側面視でデジタル数字の「2」の字形で車幅方向に延在する補強部と、前記補強部の「2」の字の右下端から下方に突設されて車幅方向に延在し、前記天板側接続部、及び前記上側メンバの下端と接続される下側メンバ接続部と、
を備える請求項3に記載の貨物車両の荷台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨物車両の荷台に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックのような貨物車両は運転室であるキャブ内の乗員の座席の内、最後尾の座席の後方にキャブの背面が設けられるが、キャブを後方に延ばして最後尾の座席とキャブの背面の間に拡張空間を設ける場合がある。拡張空間を設ける場合、車両の全長を変えない場合は拡張空間を設けない場合と比べてキャブ後方に設けられる荷台の全長が短くなり、貨物の積載量が減る。荷台の全長を変えない場合は車両の全長が長くなる。
【0003】
そこで、キャブ最後尾の座席後方に拡張空間を設ける場合でも貨物の積載量を極力減らさずに、かつ車両の全長を変えない構造として、拡張空間をキャブ内で荷台の上方にのみ設け、拡張空間の下方に生じた空間に荷台の前端を配置する構造がある(特許文献1)。
(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の貨物車両は、積載した貨物がキャブの背面に接触してキャブを損傷させないように、キャブ背面を保護する鳥居と呼ばれる門型の構造物が、荷台の前面を構成するヘッダーボードと呼ばれる板状部材の上端に立設されてキャブ背面を覆っている。
【0006】
しかしながら特許文献1の構造は荷台の前端が拡張空間の下方に設けられており、ヘッダーボードの上方が拡張空間なので、ヘッダーボードに鳥居を設けられないという問題があった。
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされたもので、荷台の前端がキャブの座席後方の拡張空間の下方に設けられる場合でも荷台に鳥居を設けられる構造を備えた、貨物車両の荷台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の一態様は、座席を備えた運転室であるキャブと、前記キャブの後方に設けられた箱型の荷台を備え、前記キャブの背面の前記荷台より上方の部分が下方の部分より後方に設けられ、前記座席と、前記荷台より上方の前記キャブの背面との間に拡張空間が形成される貨物車両の荷台であって、上面と前面が開放された箱型の荷台本体と、上面が天板で塞がれて背面が開放され前記荷台本体の前面に連結された箱型の形状で、前記拡張空間の下方に形成される空間に配置される、前記荷台の前端であるボックス部と、前記ボックス部の前記天板の後端から上方に立設され、前記荷台本体に搭載された貨物から前記キャブを保護する門型の構造物である鳥居と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、荷台の前端がキャブの座席後方の拡張空間の下方に設けられる場合でも荷台に鳥居を設けられる構造を備えた、貨物車両の荷台を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る荷台を備えた貨物車両の側面図である。
【
図2】(a)は
図1の荷台の斜視図であって、(b)は(a)のボックス部をA方向から見た斜視図である。
【
図3】
図2の連結構造付近の斜視図であって、ハッチングで示した部分は断面図である。
【
図4】(a)は
図2の連結構造の側面断面図であって、(b)は
図2の連結構造の側面図で、かつ分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示に好適な実施形態を詳細に説明する。ここでは貨物車両の荷台1として、トラック100に搭載された平ボディ型の荷台を例示している。また、以下の図ではX方向を車両の前後方向、Y方向を車幅方向、Z方向を鉛直方向として図示している。
【0012】
まず、
図1を参照してトラック100の構造の概要を説明する。
図1に示すトラック100はシャシ3、前輪5、後輪7、キャブ8、及び荷台1を備える。シャシ3はトラック100を構成する部材や装置を支持する構造体であり、ラダーフレーム等に内燃機関や駆動機構、操舵機構等を取り付けた構造を例示できる。前輪5及び後輪7は回転することで生じる路面との摩擦力でトラック100を移動させる円形の部品であり、一般的なトラック100では前輪5がシャシ3の操舵機構に取り付けられて操舵輪となり、後輪7が駆動機構に取り付けられて駆動輪となる。
【0013】
キャブ8はトラック100の運転室であり、運転手又は同乗者が着席する座席11を備える。
図1では座席11はキャブ8内に運転席、及び必要に応じて運転席の車幅方向の隣に設けた助手席の2つのみを備えた構造を例示している。そのため、座席11はキャブ8における最後方の座席であり、座席11の後方に後部座席はなく、キャブ8の背面9が設けられる。
【0014】
荷台1は貨物を搭載する箱型の台であり、ここでは平ボディ型の荷台1を例示している。平ボディ型とは、床面が平坦で、床面の周囲をアオリとも呼ばれる壁状の柵で囲んだ構造を意味する。
【0015】
なお、
図1に示すトラック100はキャブ8の背面9のうち、荷台1より上方の部分である上方背面9aが荷台1よりも下方の部分である下方背面9bよりも後方に設けられている。これにより、座席11と上方背面9aの間に拡張空間13とよばれる空間が形成されている。拡張空間13は、座席11の背もたれを、下端を中心に後方に傾動させる、所謂リクライニングさせる場合に傾動させる角度を大きくする目的や、運転手や同乗者の荷物置き場や就寝スペースを確保する目的で設けられる。
【0016】
このように拡張空間13を設けたキャブ8はスペースキャブとも呼ばれる。スペースキャブでは拡張空間13の下方がキャブ8の外側となる。このようにスペースキャブにおいて、下方背面9bよりも後方で、拡張空間13の下方のキャブ8外の空間を以下の説明では下方空間15と呼ぶ。以上がトラック100の構造の概要の説明である。
【0017】
次に
図1~
図4を参照してトラック100の荷台1の構造の詳細を説明する。
図2に示すように荷台1は荷台本体21、ボックス部23、及び鳥居25を備える。荷台1は支持構造31も備える。
【0018】
荷台本体21は荷台1の後端部分であり、外形は平ボディ型の荷台と同様に床板21aの周囲を壁状の柵である右側壁部21b、左側壁部21c、及び後方壁部21dで囲んだ構造を備える。
【0019】
床板21aはトラック100に搭載される貨物の設置面となる平面視で長方形の部材であり、前後方向及び車幅方向に延在する。床板21aの車幅方向の幅はキャブ8と同程度で、前後方向の幅は車両の全長からキャブ8の前後方向の長さを引いた長さ程度である。なお、ここでいうキャブ8の前後方向の長さとは、
図1に示すキャブ8の前端と上方背面9aの間の長さである。床板21aのZ方向の厚さは搭載した貨物の荷重で変形しない程度である。
【0020】
図2に示す右側壁部21b及び左側壁部21cは床板21aの右端及び左端から各々立設された側面視で長方形の柵である。床板21aの右端及び左端は車両の前後方向に沿っているので、右側壁部21b及び左側壁部21cの長方形の長手方向も車両の前後方向に沿っており、前後方向の長さは床板21aの前後方向の長さと同程度である。鉛直方向であるZ方向の長さは搭載する貨物の高さに応じて決まるが、一般には上端の高さがキャブ8の上端の高さ未満である。車幅方向であるY方向の厚さは貨物を搭載した際に貨物で押されても変形しない程度である。後方壁部21dは床板21aの後端から立設された背面視で長方形の柵である。床板21aの後端は車両の車幅方向に沿っているので、後方壁部21dも長手方向が車幅方向に沿っており、車幅方向の長さは床板21aの車幅方向の長さと同程度である。後方壁部21dのZ方向の長さは右側壁部21b及び左側壁部21cのZ方向の長さと同程度である。後方壁部21dの前後方向の厚さは貨物を搭載した際に貨物で押されても変形しない程度である。このように荷台本体21は床板21aの左右と後方を囲まれているが、上面と前面が開放されている。
【0021】
ボックス部23は荷台1の前端を構成する箱型の部分であり、上面が天板23eで塞がれて背面が開放され荷台本体21の前面に連結される。また、ボックス部23は
図1に示すように少なくとも一部が拡張空間13の下方に形成される下方空間15に配置される。
【0022】
より具体的なボックス部23の構造を説明すると、
図2に示すようにボックス部23はボックス部床板23a、ヘッダーボード23d、ボックス部右側板23b、ボックス部左側板23c、及び天板23eを備える。
【0023】
ボックス部床板23aは床板21aと同様に荷台1に搭載される貨物の設置面となる平面視で長方形の板状の部分であり、水平方向に延在する。ボックス部床板23aの後端は床板21aの前端に接続される。ボックス部床板23aの前後方向の長さは下方空間15の前後方向の長さよりも若干長い程度である。ボックス部床板23aの車幅方向の長さは床板21aの車幅方向の長さと同程度である。ボックス部床板23aのZ方向の厚さも床板21aのZ方向の厚さと同程度である。
【0024】
ヘッダーボード23dはボックス部23の前面を構成する正面視で長方形の板状部材であり、ボックス部床板23aの前端から立設される。ボックス部床板23aの前端は車幅方向に沿っているため、ヘッダーボード23dの長手方向も車幅方向に沿っている。ヘッダーボード23dの車幅方向の長さはボックス部床板23aの車幅方向の長さと同程度である。ヘッダーボード23dのZ方向の高さは、ヘッダーボード23dの上端が下方空間15の上面を構成するキャブ8の拡張空間13の下面に接触しない程度の高さである。ヘッダーボード23dの前後方向の厚さは貨物を搭載した際に貨物で押されても変形しない程度である。
【0025】
ボックス部右側板23b及びボックス部左側板23cはボックス部床板23aの右端及び左端から各々立設された側面視で矩形の壁体である。ボックス部右側板23b及びボックス部左側板23cは前端がヘッダーボード23dの右端及び左端に各々連結され、後端は鳥居25の外枠27に各々連結される。ボックス部右側板23b及びボックス部左側板23cの前後方向の長さはボックス部床板23aの前後方向の長さと同程度である。ボックス部右側板23b及びボックス部左側板23cの車幅方向の厚さは貨物を搭載した際に貨物で押されても変形しない程度である。ボックス部右側板23b及びボックス部左側板23cのZ方向の高さはヘッダーボード23dのZ方向の高さと同程度である。
【0026】
天板23eはボックス部23の上面を構成する平面視で長方形の天井であり、長手方向が車幅方向に沿っている。天板23eの車幅方向の長さはボックス部床板23aの車幅方向の長さと同程度であり、前後方向の長さはボックス部床板23aの前後方向の長さと同程度である。天板23eのZ方向の厚さは鳥居25を支持できる程度である。また、ボックス部23のうち、下方空間15に配置される部分は、天板23eの上面が下方空間15の上面を構成するキャブ8の拡張空間13の下面に接触しない程度の高さである必要がある。
【0027】
天板23eは前端がヘッダーボード23dの上端に連結される。天板23eの右端及び左端はボックス部右側板23b及びボックス部左側板23cの上端に連結される。このようにボックス部23は後方が開放された箱型の形状を有している。
【0028】
鳥居25は荷台本体21に搭載された貨物からキャブ8を保護する門型の構造物である。具体的には鳥居25は、荷台本体21に搭載された貨物がキャブ8に接触するのを塞ぐためにキャブ8の背面9を外側から覆う構造物であり、ボックス部23の天板23eの後端から上方に立設される。
【0029】
図2に示すように鳥居25は外枠27及び内側支柱29を備える。
【0030】
外枠27は鳥居25の外周部分となる枠体であり、正面視でU字を上下逆にした形状を有する。U字の両端はボックス部23の天板23eに支持される。
図2ではボックス部右側板23b、ボックス部左側板23c、ボックス部床板23a、及び荷台本体21の床板21aにも連結され支持されている。
【0031】
内側支柱29は荷台本体21に搭載された貨物が外枠27の内側からキャブ8の背面9に接触するのを防ぐために外枠27の内側を塞ぐとともに外枠27を補強する柱である。内側支柱29は天板23eの後端から上方に立設され、上端が外枠27の下面に連結される。内側支柱29は外枠27の内側に、車幅方向に所定の間隔で複数設けられる。内側支柱29の数は、隣接する内側支柱29同士の車幅方向の間隔、及び最右端と最左端の内側支柱29と外枠27の車幅方向の間隔が、荷台本体21に搭載される貨物の水平方向の最大幅より短くなる数が好ましい。隣接する内側支柱29の間から荷物がキャブ8の背面9に接触するのを防ぐためである。また外枠27を補強するのに必要な本数であるのが好ましい。
【0032】
このように荷台1はキャブ8の拡張空間13よりも下方の空間である下方空間15にボックス部23を設けて荷台1を延長することで、キャブ8に拡張空間13を設けてもトラック100の全長を長くせずに荷台1の平面上の貨物スペースが極力減らないようにする。さらにボックス部23の天板23eに鳥居25を支持させることで、鳥居25を支持する面を確保する。
【0033】
そのため、荷台1の前端がキャブ8の座席11の後方の拡張空間13の下方の空間である下方空間15に設けられる場合でも荷台1に鳥居25を設けられる。また、ボックス部23の上面に天板23eを設けることで、荷台1が平ボディ型であるにも関わらずボックス部23内は雨水が侵入し難いという利点もある。
【0034】
支持構造31はボックス部23の天板23eと、鳥居25の内側支柱29を上下方向に連結して内側支柱29を支持する部材であり、必要に応じて設けられる。
図3及び
図4に示すように支持構造31は上側メンバ35及び下側メンバ37を備える。
【0035】
上側メンバ35はボックス部23の天板23eと、鳥居25の内側支柱29を連結する部材であり、
図3では車幅方向から見てL字型で車幅方向に延在するアングル材を例示している。ここでいうアングル材とは、長板を長手方向に沿う線を折り目にしてL字型に折り曲げた外形を有する部材を意味する。
【0036】
図3及び
図4に示すように上側メンバ35はL字を構成する一方の直線部である上側メンバ水平部51が水平方向を向いている。また一方の直線部である上側メンバ水平部51の前端51aがボックス部23の前端にあるヘッダーボード23d側を向いている。上側メンバ水平部51の上面は鳥居25の内側支柱29の下端が溶接等の公知の接続手段で接続される。上側メンバ35はL字を構成する他方の直線部である上側メンバ鉛直部55が鉛直方向を向いて上側メンバ水平部51の後端から下方に突設されている。また、
図4に示すように上側メンバ鉛直部55の下端には上側メンバ貫通孔57が前後方向に貫通している。一方で、ボックス部23の天板23eは、後端から上方に突設され、面方向が車幅方向及び鉛直方向を向く板状の天板側接続部33を有する。
【0037】
この構成では上側メンバ貫通孔57及び天板側接続部33の図示しない貫通孔に頭付きのボルト41を挿通し、ボルト41にナット43を螺合してボルト頭とナット43で上側メンバ鉛直部55と天板側接続部33を挟み込む。これにより上側メンバ35の下端がボックス部23に接続され、上側メンバ35はボックス部23の天板23eと、鳥居25の内側支柱29を連結する。
【0038】
下側メンバ37は上側メンバ35のL字に屈曲した内側に配置され、上側メンバ35の一方の直線部である上側メンバ水平部51と他方の直線部である上側メンバ鉛直部55の内側同士を連結して補強することで鳥居25の荷重を受け止める部材である。L字に屈曲した内側とは、側面視でL字の屈曲部の2つの角度のうち、角度の小さい側を意味する。例えば
図4ではL字の屈曲部の角度は90°と270°であるが、内側とは角度が90°の側を意味する。
【0039】
具体的には下側メンバ37は、補強部61と下側メンバ接続部63を備える。補強部61は上側メンバ鉛直部55のL字の内側同士を連結して補強する部材であり、
図4に示すように側面視でデジタル数字の「2」の字形、又はS字を左右反転させた形状で車幅方向に延在する外形を有する。ここでいうデジタル数字とは、7セグメントディスプレイに表示されるアラビア数字を意味する。7セグメントディスプレイは日文字表示とも呼ばれる。
【0040】
具体的には、補強部61の最上面水平部61aは水平方向を向いて車幅方向に延在しており、上面が上側メンバ35の上側メンバ水平部51の下面と接することで上側メンバ水平部51を支持している。最上面水平部61aの後端から鉛直方向下方に突設された下側第1鉛直部61bは上側メンバ35の上側メンバ鉛直部55の前面と接しており、スポット溶接による接合部であるスポット溶接部67で接合されている。これにより最上面水平部61aと下側第1鉛直部61bが上側メンバ35の上側メンバ水平部51と上側メンバ鉛直部55の内側を連結して支持している。
【0041】
さらに補強部61は下側第1鉛直部61bの下端から水平方向前方に突設された下側第1水平部61c、下側第1水平部61cの前端から鉛直方向下端に突設された下側第2鉛直部61dを備える。また補強部61は、下側第2鉛直部61dの下端から水平方向後方に突設された下側第2水平部61eも備える。なお、下側第1鉛直部61b、下側第1水平部61c、下側第2鉛直部61d、下側第2水平部61eも車幅方向に延在している。
【0042】
下側メンバ接続部63は下側メンバ37を上側メンバ35及び天板側接続部33と接続する部材であり、補強部61の「2」の字、またはS字を左右反転させた形状の右下端、つまり下側第2水平部61eの後端から下方に突設されて車幅方向に延在した部材である。下側メンバ接続部63には下側メンバ貫通孔65が前後方向に貫通して形成されている。
【0043】
図4(a)に示すように下側メンバ接続部63は上側メンバ35の上側メンバ鉛直部55の内側と、天板側接続部33の背面に挟まれる。この状態で、上側メンバ貫通孔57、天板側接続部33の図示しない貫通孔、及び下側メンバ貫通孔65にボルト41が挿通される。さらに、ボルト41の先端にナット43が螺合され締結されることで、下側メンバ接続部63は上側メンバ35及び天板23eに固定される。よって、下側メンバ接続部63は下端が天板23eと上側メンバ鉛直部55に固定され、補強部61と下側メンバ接続部63が上側メンバ水平部51と上側メンバ鉛直部55の内側を連結して支持する。
【0044】
このように、荷台1はボックス部23の天板23eに支持構造31を介して鳥居25の内側支柱29を支持させる構成でもよい。この構成では、天板23eのように下方を支持されていない板の上面に鳥居25の内側支柱29を設ける場合でも天板23eが座屈せずに鳥居25の内側支柱29を支持できる。
【0045】
また、この構成では、支持構造31の上側メンバ35が天板23eと、鳥居25の内側支柱29を連結し、下側メンバ37が上側メンバ35を内側から補強して座屈を防ぐ。そのため、天板23eと、鳥居25の内側支柱29とを直結する場合や、上側メンバ35のみで天板23eと、鳥居25の内側支柱29とを連結する場合と比べて天板23eと、鳥居25の内側支柱29との接続部の強度を向上させられる。
【0046】
さらに、この構成では下側メンバ37の補強部61が側面視で平板をデジタル数字の「2」の字の形状、又はS字を左右反転させた形状に屈曲させた外形であり、鳥居25の内側支柱29の荷重を補強部61が受け止めることで座屈を防ぐ。
【0047】
この構成では下側メンバ37をヘッダーボード23dのような平板とする場合と比べて同程度の強度で軽くできる。そのため、天板23eのように、荷台1の床板21aやボックス部23のボックス部床板23aに直接支持されていない部材に鳥居25の内側支柱29を支持させる場合でも、支持構造31の重さで天板23eが座屈するのを防ぐことができる。
【0048】
このように荷台1は上面と前面が開放された荷台本体21と、上面が天板23eで塞がれて背面が開放され荷台本体21の前面に連結され下方空間15に配置されるボックス部23と、ボックス部23の天板23eの後端から上方に立設された鳥居25を備える。
【0049】
この構成では、荷台1はキャブ8の拡張空間13よりも下方の下方空間15にボックス部23を設けて荷台1を延長することで、キャブ8に拡張空間13を設けてもトラック100の全長を長くせずに荷台1の平面上の貨物スペースが極力減らないようにする。さらにボックス部23の天板23eに鳥居25を支持させることで、鳥居25を支持する面を確保する。
【0050】
そのため、荷台1の前端がキャブ8の座席11の後方の拡張空間13の下方の空間である下方空間15に設けられる場合でも荷台1に鳥居25を設けられる。
【0051】
以上、実施形態に基づき本開示を説明したが本開示は実施形態に限定されない。当業者であれば本開示の技術思想の範囲内において各種変形例及び改良例に想到するのは当然のことであり、これらも当然に本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 :荷台
3 :シャシ
5 :前輪
7 :後輪
8 :キャブ
9 :背面
9a :上方背面
9b :下方背面
11 :座席
13 :拡張空間
15 :下方空間
21 :荷台本体
21a :床板
21b :右側壁部
21c :左側壁部
21d :後方壁部
23 :ボックス部
23a :ボックス部床板
23b :ボックス部右側板
23c :ボックス部左側板
23d :ヘッダーボード
23e :天板
25 :鳥居
27 :外枠
29 :内側支柱
31 :支持構造
33 :天板側接続部
35 :上側メンバ
37 :下側メンバ
41 :ボルト
43 :ナット
51 :上側メンバ水平部
51a :前端
55 :上側メンバ鉛直部
57 :上側メンバ貫通孔
61 :補強部
61a :最上面水平部
61b :下側第1鉛直部
61c :下側第1水平部
61d :下側第2鉛直部
61e :下側第2水平部
63 :下側メンバ接続部
65 :下側メンバ貫通孔
67 :スポット溶接部
100 :トラック