(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136446
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】部品モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20230922BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K1/18 U
H05K3/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042119
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】篠田 浩司
【テーマコード(参考)】
5E319
5E336
【Fターム(参考)】
5E319AA07
5E319CC11
5E319CC22
5E319GG15
5E336AA09
5E336AA13
5E336AA16
5E336BB01
5E336BB12
5E336BC01
5E336BC15
5E336CC06
5E336DD04
5E336DD16
5E336DD19
5E336EE01
5E336EE05
5E336EE08
5E336EE14
5E336GG14
5E336GG30
(57)【要約】
【課題】簡便な工程で、基板に形成された回路パターンと機構部品とを接続することが可能な部品モジュールを提供する。
【解決手段】部品モジュール1は、回路パターン11が形成された基板10と、基板10に積層され、導電材料を用いて板状に形成された端子部材20と、基板10に対して外装可能であって、接続端子31を有する機構部品30と、を備え、回路パターン11と接続端子31とが、端子部材20を介して電気的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンが形成された基板と、
前記基板に積層され、導電材料を用いて板状に形成された端子部材と、
前記基板に対して外装可能であって、接続端子を有する機構部品と、を備え、
前記回路パターンと前記接続端子とが、前記端子部材を介して電気的に接続される部品モジュール。
【請求項2】
前記端子部材は、はんだ付け、圧接、溶接、導電接着剤、異方性導電接着剤、及び接続ピンのうち、少なくともいずれか一つにより前記回路パターンと電気的に接続されている請求項1に記載の部品モジュール。
【請求項3】
前記端子部材は、はんだ付け、圧接、溶接、導電接着剤、異方性導電接着剤、及び接続ピンのうち、少なくともいずれか一つにより前記接続端子と電気的に接続されている請求項1又は2に記載の部品モジュール。
【請求項4】
前記基板は、前記機構部品が装着される筐体の表面に設けられ、
前記機構部品は、前記筐体に固定部材により固定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の部品モジュール。
【請求項5】
前記基板は、前記機構部品が装着される筐体に、少なくとも一部が埋め込まれた状態で設けられ、
前記端子部材は、少なくとも前記接続端子と接続される接続領域が前記筐体から露出するように設けられ、
前記機構部品は、前記筐体に固定部材により固定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の部品モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と機構部品とを備えた部品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば外部から電力供給が行われたり、外部と信号の送受信を行ったりする装置が利用されている。このような電力供給や信号の送受信には、装置に設けられた機構部品に基板を接続して行うことが考えられる。しかしながら、このような機構部品と基板とを接続するにあたり、配線の断線や短絡に注意する必要がある。そこで、機構部品と基板とを接続する技術が検討されてきた(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、入力装置について記載されている。この入力装置はタッチパネルを有し、当該タッチパネルは、入力側に配置された、フィルムからなる第1基体と、反入力側に配置された、ガラスや透明樹脂材料からなる第2基体とにより構成されている。また、第2基体には、タッチパネルの電極に接続されたフレキシブル配線基板が、厚さ方向に沿って通過可能な貫通孔が形成されている。これにより、フレキシブル配線基板を、筐体の側壁と第2基体の先端縁との間に挟み込むことなく、第1基体側から筐体の外部に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2つの基板を互いに電気的に接続する際に、フレキシブル配線基板が利用されることがある。この2つの基板の一方が耐熱性を有しない(低い)フィルムからなる第1基板であって、他方が第1基板よりも耐熱性が優れた第2基板である場合には、例えば第1基板とフレキシブル配線基板とを半田溶着により電気的に接続し、第2基板とフレキシブル配線基板とを嵌合型のコネクタを使って電気的に接続することが考えられる。この場合、第1基板が耐熱性を有しないことから、例えば第1基板とフレキシブル配線基板との電気的接続を先に行うと、その後のフレキシブル配線基板における第2基板との接続に用いるコネクタの実装(リフローによる実装)が制限される。このため、第1基板とフレキシブル配線基板とを電気的に接続する前に、フレキシブル配線基板に第2基板との接続に用いるコネクタを実装しておく必要がある。しかしながら、コネクタが実装されたフレキシブル配線基板と第1基板とを電気的に接続しようとすると、フレキシブル配線基板に実装されるコネクタのサイズや高さによっては、コネクタが邪魔になり、適切に接続できない可能性がある。
また、上述した例とは異なり、耐熱性を有しない(低い)フィルムからなる基板を、例えば両面テープで筐体に貼り付ける場合には、ローラー等の冶具を用いて均一に基板を転圧する必要がある。この場合においても、基板を筐体に貼り付ける前に高さが高い部品(例えばコネクタ)が基板に実装されていると、貼り付ける際にローラーが部品と干渉して適切に基板を転圧できない可能性がある。
特許文献1に記載の技術は、このようなことまで想定されておらず、改善の余地がある。
【0006】
そこで、簡便な工程で、基板に形成された回路パターンと機構部品とを接続することが可能な部品モジュールが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部品モジュールの特徴構成は、
回路パターンが形成された基板と、
前記基板に積層され、導電材料を用いて板状に形成された端子部材と、
前記基板に対して外装可能であって、接続端子を有する機構部品と、を備え、
前記回路パターンと前記接続端子とが、前記端子部材を介して電気的に接続される点にある。
【0008】
例えば基板と機構部品とを電気的に接続した後に、これらを筐体に固定する工程(以下「固定工程」とする)がある場合、既に高さが高い他の部品が基板に実装されていたり、筐体における固定する領域に高さ制限があったりすると、干渉によって適切に固定することができない可能性がある。また、仮に固定することができる場合であっても、固定時に制約が生じる可能性もある。しかしながら、上述した本特徴構成によれば、例えば予め板状に形成された端子部材を基板に積層することにより、基板を容易に筐体に固定することが可能となる。したがって、固定工程が複雑化することなく、簡素な工程とすることができる。また、上記のように、基板を筐体に固定する場合であっても、端子部材と機構部品の接続端子とを電気的に接続するだけでよいため、組み立てを容易に行うことができる。更には、回路パターンと機構部品の接続端子との電気的な接続を、端子部材を介して行っているので、回路パターンや機構部品の接続端子に生じる応力を低減することができる。したがって、本部品モジュールによれば、備品点数や製造工数を増大させることなく、基板上に形成した回路パターンと機構部品との接続に関する信頼性の低下を防止することが可能となる。
【0009】
また、前記端子部材は、はんだ付け、圧接、溶接、導電接着剤、異方性導電接着剤、及び接続ピンのうち、少なくともいずれか一つにより前記回路パターンと電気的に接続されていると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、端子部材と回路パターンとの電気的接続を、簡便な工程で行うことが可能となる。また、例えば端子部材を機構部品の接続端子と電気的に接続する前に、回路パターンと電気的に接続することで、回路パターンや基板に実装された部品等に対する熱的衝撃や機械衝撃を防止できる。
【0011】
また、前記端子部材は、はんだ付け、圧接、溶接、導電接着剤、異方性導電接着剤、及び接続ピンのうち、少なくともいずれか一つにより前記接続端子と電気的に接続されていると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、端子部材と接続端子との電気的接続を、簡便な工程で行うことが可能となる。したがって、仮に機構部品が樹脂等によって形成されている場合であっても、端子部材を接続端子に接続する際に機構部品に対する熱衝撃を防止できる。
【0013】
また、前記基板は、前記機構部品が装着される筐体の表面に設けられ、前記機構部品は、前記筐体に固定部材により固定されていると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、部品モジュールを筐体に固定することが可能となる。また、仮に筐体が揺動し、基板と機構部品とに間における揺動量が互いに等しくない場合であっても、基板及び当該基板に形成された回路パターンと、機構部品との間に端子部材が設けられているので、基板及び当該基板に形成された回路パターンと、機構部品との一方から他方に対する機械衝撃を低減することが可能となる。
【0015】
また、前記基板は、前記機構部品が装着される筐体に、少なくとも一部が埋め込まれた状態で設けられ、前記端子部材は、少なくとも前記接続端子と接続される接続領域が前記筐体から露出するように設けられ、前記機構部品は、前記筐体に固定部材により固定されていると好適である。
【0016】
このような構成であっても、部品モジュールを筐体に固定することが可能となる。また、仮に筐体が揺動し、基板と機構部品とに間における揺動量が互いに等しくない場合であっても、基板及び当該基板に形成された回路パターンと、機構部品との間に端子部材が設けられているので、基板及び当該基板に形成された回路パターンと、機構部品との一方から他方に対する機械衝撃を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る部品モジュールの分解斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る部品モジュールの側方断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る部品モジュールの正面図である。
【
図4】第2の実施形態に係る部品モジュールの分解斜視図である。
【
図5】第2の実施形態に係る部品モジュールの側方断面図である。
【
図6】第2の実施形態に係る部品モジュールの平面図である。
【
図7】その他の実施形態に係る部品モジュールの側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.第1の実施形態
本発明に係る部品モジュールは、簡便な工程で基板と機構部品とを接続することができるように構成される。以下、本実施形態の部品モジュール1について説明する。
【0019】
図1は部品モジュール1の分解斜視図であり、
図2は部品モジュール1の側方断面図である。また、
図3は部品モジュール1の正面図である。
図1-
図3に示されるように、部品モジュール1は、基板10、端子部材20、機構部品30、接続ピン40、圧接用端子50を備えて構成される。ここで、
図1に示されるように、本実施形態では、平行な矩形板状の2つの端子部材20が隣接する隣接方向を第1方向Xとし、第1方向Xに直交する方向で端子部材20が延出する方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとする。
【0020】
基板10には、回路パターン11が形成される。本実施形態では、基板10は、柔軟性を有するフレキシブルプリント基板が利用される。また、本実施形態では、基板10は、XY平面上に設けられる。回路パターン11は、電気回路や電子回路を構成する配線であって、導体(例えば銅箔やITO(Indium Tin Oxide)膜等の導電材料)をエッチング加工によりパターンニングして形成される。本実施形態では、基板10における一方の面である第1面10Aに回路パターン11が形成される。なお、
図2及び
図3の例では、理解を容易にするために、回路パターン11の厚さを誇張して示しているが、実際には電力供給や電気信号の伝達に利用できるだけの厚さでよい。また、基板10には電子部品を実装してあってもよい。この場合には、回路パターン11により当該電子部品を接続するように構成してもよい。なお、理解を容易にするために、回路パターン11が、回路パターン11A及び回路パターン11Bで構成されているとする。
【0021】
端子部材20は、導電材料を用いて板状に形成される。導電材料とは電流の流れを妨げない(電気抵抗が所定値以下である)材料であって、例えば銅やアルミニウム等の金属が相当する。もちろん、このような導電材料を含有するように形成した樹脂であってもよい。端子部材20は、このような導電材料を板状に延ばした平板で形成される。この平板の厚さは特に限定されるものではないが、回路パターン11と同様に、電力供給や電気信号の伝達に利用できるだけの厚さでよい。もちろん、例えば製造工程において作業者が扱い易いように、基板10と同様の厚さであってもよいし、それ以上の厚さであってもよい。本実施形態では、端子部材20は長尺状に形成されるが特に限定されるものではない。また、端子部材20は、後述する機構部品30が有する接続端子31の数と同じ数だけ設けられる。本実施形態では、2つの端子部材20が設けられる。以下では、2つの端子部材20の夫々を区別する場合には、夫々端子部材20A、端子部材20Bとして説明する。
【0022】
端子部材20は、基板10に積層される。すなわち、端子部材20は、基板10とは別体で設けられ、基板10に載置される。端子部材20は上述したように長尺状に構成されているが、本実施形態では、端子部材20は長尺状の短手方向が第1方向Xに沿い、長尺状の長手方向が第2方向Yに沿うように基板10に積層される。本実施形態では、端子部材20は、基板10における他方の面である第2面10Bに載置される。
【0023】
本実施形態では、端子部材20は接続ピン40により回路パターン11と電気的に接続される。本実施形態では、
図2及び
図3に示されるように、端子部材20は、基板10を介在した状態で回路パターン11と対向するように配置される。この状態では、端子部材20は回路パターン11と絶縁されている。そこで、回路パターン11が形成された基板10と端子部材20とが積層された状態で、基板10の厚さ方向、すなわち
図2及び
図3に示される第3方向Zに沿って、回路パターン11、基板10、及び端子部材20を貫通するように、回路パターン11、基板10、及び端子部材20に亘って貫通孔41が形成され、この貫通孔41を挿通するように接続ピン40が設けられる。以下では、端子部材20A、基板10、及び回路パターン11Aに亘って形成される貫通孔41を貫通孔41Aとし、端子部材20B、基板10、及び回路パターン11Bに亘って形成される貫通孔41を貫通孔41Bとする。
【0024】
接続ピン40は、端子部材20側から貫通孔41に挿入される第1部分45を、基板10の回路パターン11側から貫通孔41に挿入される第2部分46に圧入して構成されている。第1部分45は、貫通孔41に挿入される円柱形状の軸体部42と、軸体部42の端部に形成され、貫通孔41からの抜けを防止する鍔部43Aを有する。第2部分46は、貫通孔41に挿入され、軸体部42が圧入される円筒形状の筒状部44と、筒状部44の端部に形成され、貫通孔41からの抜けを防止する鍔部43Bを有する。第1部分45の軸体部42と鍔部43Aとが一体成形され、第2部分46の筒状部44と鍔部43Bとが一体成形される。貫通孔41に挿通された後、軸体部42に鍔部43A及び鍔部43Bの他方を圧入するように構成することが可能である。もちろん、軸体部42と鍔部43Aとを一体成形すると共に、軸体部42と鍔部43Bとを一体成形し、互いに対向するように貫通孔41に挿通させて互いの軸体部42同士で圧入するように構成してもよい。更には、所謂リベットピンを用いて構成してもよい。
【0025】
また、このとき、鍔部43Bが回路パターン11と電気的に接続するように回路パターン11における接続ピン40が挿通される領域に導電材料で形成した電極が露出するように形成するとよい。また、鍔部43Aも、端子部材20と電気的に接続するようにするとよい。これらの電気的接続は、回路パターン11及び端子部材20の夫々の表面において行ってもよいし、回路パターン11及び端子部材20における貫通孔41の内周面において行ってもよい。本実施形態では、貫通孔41Aに接続ピン40Aが挿通され、貫通孔41Bに接続ピン40Bが挿通される。
【0026】
機構部品30は、基板10に対して外装可能であって、接続端子31を有する。基板10に対して外装可能とは、基板10に当初から装着されているのではなく、後付けが可能であることを意味する。本実施形態では、基板10に対して上述した接続ピン40を用いて端子部材20が設けられた後、装着することが可能であることを意味する。このような後付けは、部品モジュール1を組み立てる際に自動機により行ってもよいし、作業者が手作業で行ってもよい。接続端子31は導電材料で形成され、本実施形態では機構部品30に2つの接続端子31が設けられる。これらを区別する場合には、夫々接続端子31A及び接続端子31Bとして説明する。
【0027】
本実施形態では、機構部品30は回路パターン11と電気的に接続された端子部材20を、不図示のコネクタと電気的に接続する端子ボックスが相当する。本実施形態では、機構部品30は、上述した接続端子31と本体部32と電極36と延出部37とを有して構成される。上述したように接続端子31は、導電材料を用いて形成された接続端子31A及び接続端子31Bからなる。本体部32は、機構部品30の筐体に相当し、絶縁材料を用いて形成される。本実施形態では、本体部32は、平面視が四角形状の底部33と当該底部33から立設する4つの壁部34とで囲まれた有底筒状の四角柱で形成される。電極36は、導電材料で形成され、底部33と4つの壁部34とで囲まれた収容部35において、底部33から立設する状態で設けられる。本実施形態では、2つの電極36が設けられ、必要に応じて夫々、電極36A及び電極36Bとして説明する。電極36Aは接続端子31Aと電気的に接続されており、電極36Bは接続端子31Bと電気的に接続されている。樹脂を用いて本体部32を構成する場合には、このような電極36及び接続端子31が一体化されたL字状の導体を2つ用意し、本体部32の成形時に所定の位置に配置してインサート成形するように構成するとよい。延出部37は、接続端子31が延出する第2方向Y及び電極36が延出する第3方向Zの双方に直交する第1方向Xに沿って、本体部32の外側方向に向かって延出する。したがって、延出部37は2つ設けられ、夫々、延出部37A及び延出部37Bとする。延出部37は、樹脂を用いて構成してもよいし、金属を用いて構成してもよいが、いずれにしても本体部32の樹脂成形時に本体部32と延出部37とを一体的に形成するとよい。
【0028】
本実施形態では、端子部材20は、圧接により接続端子31と電気的に接続される。本実施形態では、端子部材20Aと接続端子31Aとが互いに厚さ方向(第3方向Z)に沿って一部が重複する状態で圧接され、端子部材20Bと接続端子31Bとが互いに厚さ方向(第3方向Z)に沿って一部が重複する状態で圧接される。このような圧接には、例えば圧接用端子50を用いるとよい。圧接用端子50は、例えば平面視が四角形状の金属製の平板を、互いに対向する1組の外縁部51A、51B同士が近接するように折り曲げて形成される。このとき、折り曲げて形成された空間に互いに異なる方向から、端子部材20と接続端子31とが挿入される。したがって、当該空間における、近接した状態の1組の外縁部51A、51Bの間隔方向に平行な方向(第1方向X)の長さが端子部材20及び接続端子31の夫々の幅に応じて構成するとよい。好ましくは、空間における、近接した状態の1組の外縁部51A、51Bの間隔方向に平行な方向(第1方向X)の長さが端子部材20及び接続端子31の夫々の幅よりも若干短くなるように構成するとよい。また、当該空間における、近接した状態の1組の外縁部51A、51Bの間隔方向に交差する方向(第3方向Z)の長さが端子部材20と接続端子31とを互いに重複した状態の厚さ(合計の厚さ)に合わせて構成するとよい。好ましくは、空間における、近接した状態の1組の外縁部51A、51Bの間隔方向に交差する方向(第3方向Z)の長さが端子部材20と接続端子31とを互いに重複した状態の厚さよりも若干長くなるように構成するとよい。これにより、端子部材20Aと接続端子31Aとが互いに圧接用端子50に挿入されやすくなる。そして、端子部材20Aと接続端子31Aとは、その状態で厚さ方向(第3方向Z)に沿って不図示の工具により圧接され、電気的に接続されると共に、抜けることを防止できる。本例では、圧接用端子50は2つ設けられ、夫々を区別する場合には、圧接用端子50A、及び圧接用端子50Bとして説明する。
【0029】
なお、圧接用端子50は、上述したように金属製の平板を用いて構成してもよいし、樹脂材料を用いて構成してもよい。また、圧接用端子50は、基板10に対して固定してもよいし、固定しなくてもよい。
【0030】
以上のように構成することで、回路パターン11と接続端子31とを、端子部材20を介して電気的に接続することが可能となる。すなわち、回路パターン11Aが接続ピン40Aを介して端子部材20Aと電気的に接続され、更に端子部材20Aが圧接用端子50Aを介して接続端子31Aと接続されることにより、回路パターン11Aと接続端子31Aとが電気的に接続される。また、回路パターン11Bが接続ピン40Bを介して端子部材20Bと電気的に接続され、更に端子部材20Bが圧接用端子50Bを介して接続端子31Bと接続されることにより、回路パターン11Bと接続端子31Bとが電気的に接続される。
【0031】
図2及び
図3に示されるように、部品モジュール1は、機構部品30が装着される筐体2の表面2Aに基板10が設けられる。部品モジュール1は、後述するように、機構部品30を介して、部品モジュール1とは異なる他の装置やデバイスに固定される。このような他の装置やデバイスは、回路パターン11と電極36を介して電気的に接続されるものであってもよいし、回路パターン11と電極36を介して電気的に接続されないものであってもよい。本実施形態では、筐体2には、機構部品30が取り付けられる取付部61が設けられるが、筐体2における、取付部61が設けられていない平坦な面に基板10が設けられる。なお、基板10には回路パターン11が設けられるが、本実施形態では、
図2及び
図3に示されるように、接続ピン40の鍔部43Bが筐体2の表面2Aに擦れて表面2Aに傷がつかないように、接続ピン40が表面2Aと離間する状態で基板10が設けられる。したがって、基板10は回路パターン11と筐体2の表面2Aとに間に隙間を有するように設けられる。この隙間には、接着剤を設けてもよい。
【0032】
筐体2には、部品モジュール1が取り付け可能な取付部61が設けられる。本実施形態では、取付部61は、機構部品30の延出部37に応じて構成される。延出部37に応じて構成されるとは、延出部37の形状や、本体部32における延出部37の位置に応じて構成されることを意味する。
【0033】
具体的には、筐体2には、本体部32を載置することが可能な載置台62が設けられる。本実施形態では、載置台62は、第1方向Xに沿う長さが、少なくとも本体部32における第1方向Xに沿う長さよりも長く設定され、第2方向Yに沿う長さが、少なくとも本体部32における第1方向Xに沿う長さよりも短く設定される。また、載置台62は、筐体2の表面2Aから、第3方向Zに沿って所定の高さで立設するように設けられる。この高さは、上述したように、接続ピン40の鍔部43Bが筐体2の表面2Aに擦れて表面2Aに傷がつかないように、接続ピン40が表面2Aと離間する状態で基板10を設けることができる高さとするとよい。
【0034】
取付部61は、載置台62における第1方向Xに沿う両側に、筐体2の表面2Aから立設した状態で設けられる。したがって、取付部61は2つ設けられる。以下ではこの2つの取付部61を区別する場合には、取付部61A及び取付部61Bとして説明する。取付部61Aは、載置台62に本体部32が載置された機構部品30の延出部37Aの位置及び高さに応じて構成され、取付部61Bは、載置台62に本体部32が載置された機構部品30の延出部37Bの位置及び高さに応じて構成される。したがって、機構部品30は、載置台62に本体部32が載置され、且つ、延出部37A及び延出部37Bが夫々、取付部61A及び取付部61Bに載置される。
【0035】
延出部37A及び延出部37Bは、夫々、第3方向Zに沿って貫通する貫通孔38A及び貫通孔38Bを有する。なお、貫通孔38A及び貫通孔38Bを総称して、貫通孔38と示すこともある。取付部61Aは、頂部から第3方向Zに沿って形成されたネジ孔63Aを有し、取付部61Bは、頂部から第3方向Zに沿って形成されたネジ孔63Bを有する。なお、ネジ孔63A及びネジ孔63Bを総称して、ネジ孔63と示すこともある。載置台62に本体部32が載置され、且つ、延出部37A及び延出部37Bが夫々、取付部61A及び取付部61Bに載置された場合に、貫通孔38Aとネジ孔63Aとが同軸心上に位置すると共に、貫通孔38Bとネジ孔63Bとが同軸心上に位置するように構成される。貫通孔38Aとネジ孔63Aとに亘ってネジ部材(「固定部材」に相当)64Aが締結され、貫通孔38Bとネジ孔63Bとに亘ってネジ部材(「固定部材」に相当)64Bが締結される。なお、ネジ部材64A及びネジ部材64Bを総称してネジ部材64と称することもある。以上のように構成することで、機構部品30を、筐体2にネジ部材64により固定することが可能となる。
【0036】
なお、載置台62と取付部61とは、筐体2と一体で構成してもよいし、筐体2と別体で構成されていてもよい。また、載置台62と取付部61とは、一体で構成してもよいし、別体で構成してもよい。以上のように構成することで、基板10に形成された回路パターン11と機構部品30とを容易に接続することが可能な部品モジュール1を形成することが可能となる。
【0037】
例えば基板10を樹脂製の筐体2等に固定した後、機構部品30の接続端子31に対してはんだ付けや溶接等を行うと、筐体2に対してダメージを与える可能性がある。しかしながら、本実施形態の部品モジュール1によれば、端子部材20を、予め回路パターン11と電気的に接続しておき、その後、端子部材20と接続端子31とを圧接により電気的に接続することで、筐体2に対してダメージを与えることを防止できる。
【0038】
2.第2の実施形態
次に、部品モジュール1の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、回路パターン11が基板10における端子部材20が積層される側の第2面10Bに構成され、端子部材20と接続端子31との接続に圧接用端子50を用いない点で上記の第1の実施形態と異なる。以下では、主に第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。
【0039】
図4は第2の実施形態に係る部品モジュール1の分解斜視図であり、
図5は第2の実施形態に係る部品モジュール1の側方断面図である。また、
図6は第2の実施形態に係る部品モジュール1の平面図である。
図4-
図6に示されるように、部品モジュール1は、基板10、端子部材20、機構部品30を備えて構成される。また、本実施形態においても、
図4に示されるように、本実施形態では、平行な矩形板状の2つの端子部材20が隣接する隣接方向を第1方向Xとし、第1方向Xに直交する方向で端子部材20が延出する方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとする。
【0040】
基板10の第2面10Bには、回路パターン11が形成される。本実施形態では、この回路パターン11は、導体が露出した状態で構成される。回路パターン11Aには端子部材20Aが載置できるように形成され、回路パターン11Bには端子部材20Bが載置できるように形成される。したがって、回路パターン11Aの第1方向Xに沿う長さは、端子部材20Aの第1方向Xに沿う長さ以上の長さで設定され、回路パターン11Aの第2方向Yに沿う長さは、端子部材20Aの第2方向Yに沿う長さ以上の長さで設定される。また、回路パターン11Bの第1方向Xに沿う長さは、端子部材20Bの第1方向Xに沿う長さ以上の長さで設定され、回路パターン11Bの第2方向Yに沿う長さは、端子部材20Bの第2方向Yに沿う長さ以上の長さで設定される。
【0041】
端子部材20は、端子部材20A及び端子部材20Bから構成され、第2方向Yに沿って延出する板状に形成される。本実施形態では、端子部材20Aは導電接着剤により回路パターン11Aと電気的に接続され、端子部材20Bは導電接着剤により回路パターン11Bと電気的に接続される。導電接着剤とは、導電材料を含有する接着剤であって、互いに異なる複数の部材(部品)のインピーダンスが低い状態で電気気に接続することが可能な接着剤である。
【0042】
本実施形態では、機構部品30が有する接続端子31が、例えば面実装タイプの半導体パッケージが有するリードの形状と同様に、所謂ガルウイング状に形成される。本実施形態では、接続端子31Aは導電接着剤により端子部材20Aと電気的に接続され、接続端子31Bは導電接着剤により端子部材20Bと電気的に接続される。したがって、回路パターン11Aは、端子部材20Aを介して接続端子31Aと電気的に接続され、回路パターン11Bは、端子部材20Bを介して接続端子31Bと電気的に接続される。
【0043】
図5及び
図6に示されるように、部品モジュール1は、機構部品30が装着される筐体2に、少なくとも一部が埋め込まれた状態で設けられる。
図5及び
図6の例では、部品モジュール1は、機構部品30と端子部材20Aの一部及び端子部材20Bの一部とを除いて筐体2に埋め込まれている。これは、例えば基板10の回路パターン11Aに導電接着剤により端子部材20Aを貼り付けると共に、基板10の回路パターン11Bに導電接着剤により端子部材20Bを貼り付けたものを、樹脂成形で筐体2と一体で形成するとよい。このとき、端子部材20Aの一部と端子部材20Bの一部とが筐体2から露出するように、開口部分90を設けるとよい。これにより、筐体2に部品モジュール1の一部が埋め込まれた状態とし、且つ、端子部材20A及び端子部材20Bが、少なくとも接続端子31A及び接続端子31Bと接続される接続領域80A及び接続領域80Bが筐体2から露出するように設けることが可能となる。なお、接続領域80A及び接続領域80Bを総称して接続領域80と称することもある。
【0044】
本実施形態では、機構部品30は、筐体2の表面2Aに載置される。また、この際、延出部37Aが取付部61Aに載置され、延出部37Bが取付部61Bに載置された状態で、開口部分90から露出している接続領域80A及び接続領域80Bの夫々に、導電接着剤により接続端子31A及び接続端子31Bが固着するように、取付部61A及び取付部61Bが設けられる。この状態で、ネジ部材64A及びネジ部材64Bにより、機構部品30が筐体2に固定される。
【0045】
このように構成した場合であっても、上述した第1の実施形態と同様に、基板10に形成された回路パターン11と機構部品30とを容易に接続することが可能な部品モジュール1を形成することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、上述したように、機構部品30が有する接続端子31が、所謂ガルウイング状に形成されている。これにより、接続端子31にバネ性を持たせることができるので、接続端子31と端子部材20とをはんだ付けした後、機構部品30がこじられた場合であっても、接続端子31のバネ性によりはんだにクラック等が入って接続不良となることを防止できる。このように本実施形態によれば、こじり耐性を向上することが可能となる。
【0047】
更に、本実施形態のように、筐体2に部品モジュール1の一部が埋設されているように構成する場合であっても、埋設工程(例えば、樹脂成形による工程)の後、機構部品30を後付けできるので、埋設工程における熱が機構部品30に作用することを防止できる。また、機構部品30の耐熱性を向上させる必要もないので、コストアップを抑制できる。更には、機構部品30により成形樹脂の流動性が妨げられることがないので、埋設工程の制限を防止できる。
【0048】
3.その他の実施形態
上記実施形態では、回路パターン11は導体(例えば銅箔やITO膜等の導電材料)をエッチング加工によりパターンニングして形成されるとして説明した。しかしながら、回路パターン11は、導電ペーストを印刷して形成してもよいし、導電ワイヤーを基板10に埋設して形成してもよい。
【0049】
上記第1の実施形態では、端子部材20が、接続ピン40により回路パターン11と電気的に接続されているとして説明したが、端子部材20は、はんだ付け、圧接、溶接、導電接着剤、及び異方性導電接着剤のうち、少なくともいずれか一つにより回路パターン11と電気的に接続するように構成してもよい。
【0050】
上記第2の実施形態では、端子部材20が、導電接着剤により回路パターン11と電気的に接続されているとして説明したが、端子部材20は、はんだ付け、圧接、溶接、異方性導電接着剤、及び接続ピンのうち、少なくともいずれか一つにより回路パターン11と電気的に接続するように構成してもよい。
【0051】
上記第1の実施形態では、端子部材20は、圧接により接続端子31と電気的に接続されているとして説明したが、端子部材20は、はんだ付け、溶接、導電接着剤、異方性導電接着剤、及び接続ピンのうち、少なくともいずれか一つにより接続端子31と電気的に接続するように構成してもよい。
【0052】
上記第2の実施形態では、端子部材20は、導電接着剤により接続端子31と電気的に接続されているとして説明したが、端子部材20は、はんだ付け、圧接、溶接、異方性導電接着剤、及び接続ピンのうち、少なくともいずれか一つにより接続端子31と電気的に接続するように構成してもよい。
【0053】
上記第1の実施形態では、基板10が、機構部品30が装着される筐体2の表面2Aに設けられるとして説明したが、基板10は、機構部品30が装着される筐体2に、少なくとも一部が埋め込まれた状態で設けられてもよい。
【0054】
上記第2の実施形態では、基板10は、機構部品30が装着される筐体2に、少なくとも一部が埋め込まれた状態で設けられるとして説明したが、基板10が、機構部品30が装着される筐体2の表面2Aに設けられていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、機構部品30が、ネジ部材64により筐体2に固定されているとして説明したが、機構部品30は、例えばラッチ機構等の部品の嵌め込み(嵌合)によって筐体2に固定することも可能である。
【0056】
上記第2の実施形態では、第3方向Z視において、筐体2の開口部分90と機構部品30の本体部32とが互いに重複しておらず、開口部分90が露出している場合の例を挙げて説明した。例えば、
図7に示されるように、開口部分90上に、本体部32が位置するように構成することも可能である。この場合、接続端子31の側面視がJ字状に構成するとよい。これにより、バネ性を確保しつつ、本体部32の下方において端子部材20と電気的に接続することが可能となる。また、端子部材20と接続端子31との接続部分を本体部32で覆うことができるので、端子部材20と接続端子31との接続部分を外乱から保護することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、基板と機構部品とを備えた部品モジュールに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:部品モジュール
2:筐体
2A:表面
10:基板
11:回路パターン
20:端子部材
30:機構部品
31:接続端子
40:接続ピン
64:ネジ部材(固定部材)
80:接続領域