特開 2023-136453 水洗大便器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023136453

(43)【公開日】2023-09-29

(54)【発明の名称】水洗大便器

(51)【国際特許分類】

   E03D 11/08 20060101AFI20230922BHJP

   E03D 11/13 20060101ALI20230922BHJP

【ＦＩ】

E03D11/08

E03D11/13

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022042131

(22)【出願日】2022-03-17

(71)【出願人】

【識別番号】000010087

【氏名又は名称】ＴＯＴＯ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002147

【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】安達 善勝

(72)【発明者】

【氏名】中島 誠也

(72)【発明者】

【氏名】石見 亘

【テーマコード（参考）】

2D039

【Ｆターム（参考）】

2D039AA02

2D039AC02

2D039AC03

2D039AD00

2D039AD01

(57)【要約】

【課題】洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制すること。
【解決手段】実施形態に係る水洗大便器は、水洗大便器は、ボウル部と、リム部とを備える。ボウル部は、汚物を受ける。リム部は、ボウル部の上部に設けられ、ボウル部に旋回流を発生させる洗浄水が旋回するリム通水路が形成される。リム通水路は、側壁面と、上壁面とを備える。側壁面は、方向転換部を有する。上壁面は、少なくとも方向転換部の上端からボウル部の内側に向けて延びる。方向転換部は、リム通水路を旋回する洗浄水の流れ方向において曲率半径が小さくなるように変化する部分を含む。方向転換部の少なくとも一部における側壁面の下端から上壁面までの高さは、方向転換部よりも上流側における側壁面の下端から上壁面までの高さよりも低い。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

汚物を受けるボウル部と、
前記ボウル部の上部に設けられ、前記ボウル部に旋回流を発生させる洗浄水が旋回するリム通水路が形成されるリム部と
を備え、
前記リム通水路は、
方向転換部を有する側壁面と、
少なくとも前記方向転換部の上端から前記ボウル部の内側に向けて延びる上壁面とを有し、
前記方向転換部は、前記リム通水路を旋回する前記洗浄水の流れ方向において曲率半径が小さくなるように変化する部分を含み、
前記方向転換部の少なくとも一部における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さは、前記方向転換部よりも上流側における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さよりも低い、水洗大便器。

【請求項2】

前記方向転換部は、前記リム通水路を旋回する前記洗浄水が前記側壁面に衝突することで、前記洗浄水の一部を前記ボウル部に流入させる部分を含む、請求項１に記載の水洗大便器。

【請求項3】

前記方向転換部における前記上壁面の少なくとも一部は、前記方向転換部の上流側から下方に傾斜し、
前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さは、前記方向転換部において最も低い、請求項１または２に記載の水洗大便器。

【請求項4】

前記上壁面は、前記リム通水路に前記洗浄水を吐水する吐水口から前記方向転換部まで高さが低くなるように傾斜する、請求項１～３のいずれか１つに記載の水洗大便器。

【請求項5】

前記上壁面は、前記リム通水路に前記洗浄水を吐水する吐水口から前記方向転換部よりも下流側まで高さが低くなるように傾斜する、請求項１または２に記載の水洗大便器。

【請求項6】

前記方向転換部における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さは、前記方向転換部よりも上流側における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さよりも低い、請求項１～５のいずれか１つに記載の水洗大便器。

【請求項7】

前記方向転換部の少なくとも一部は、前記リム通水路に前記洗浄水を吐水する吐水口の開口を前記吐水口から前記洗浄水を吐水する方向に向けて投影した領域内に設けられる、請求項１～６のいずれか１つに記載の水洗大便器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

開示の実施形態は、水洗大便器に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、ボウル部において洗浄水を旋回させて汚物を排出する水大便器が知られている（例えば、特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１５－１６９００４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記する水洗大便器では、洗浄水が水洗大便器から飛び出しやすい箇所に、オーバーハング面が設けられている。

【0005】

しかし、上記する水洗大便器では、洗浄水が水洗大便器から飛び出すことに対して、改善の余地がある。

【0006】

実施形態の一態様は、洗浄水が飛び出すことを抑制する水洗大便器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

実施形態の一態様に係る水洗大便器は、汚物を受けるボウル部と、前記ボウル部の上部に設けられ、前記ボウル部に旋回流を発生させる洗浄水が旋回するリム通水路が形成されるリム部とを備える。前記リム通水路は、方向転換部を有する側壁面と、少なくとも前記方向転換部の上端から前記ボウル部の内側に向けて延びる上壁面とを有する。前記方向転換部は、前記リム通水路を旋回する前記洗浄水の流れ方向において曲率半径が小さくなるように変化する部分を含む。前記方向転換部における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さは、前記方向転換部よりも上流側における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さよりも低い。

【0008】

これにより、水洗大便器は、方向転換部において、洗浄水の流れを下側に向けることができる。そのため、水洗大便器は、リム通水路を流れる洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【0009】

また、前記方向転換部は、前記リム通水路を旋回する前記洗浄水が前記側壁面に衝突することで、前記洗浄水の一部を前記ボウル部に流入させる部分を含む。

【0010】

これにより、水洗大便器は、リム通水路を流れる洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【0011】

また、前記方向転換部における前記上壁面の少なくとも一部は、前記方向転換部の上流側から下方に傾斜する。前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さは、前記方向転換部において最も低い。

【0012】

これにより、水洗大便器は、方向転換部において、洗浄水の流れを確実に下側に向けることができ、洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【0013】

また、前記上壁面は、前記リム通水路に前記洗浄水を吐水する吐水口から前記方向転換部まで高さが低くなるように傾斜する。

【0014】

これにより、水洗大便器は、吐水口から吐水された直後の洗浄水の流れを下側に向けることができる。そのため、水洗大便器は、方向転換部において、洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【0015】

また、前記上壁面は、前記リム通水路に前記洗浄水を吐水する吐水口から前記方向転換部よりも下流側まで高さが低くなるように傾斜する。

【0016】

これにより、水洗大便器は、吐水口から吐水された直後の洗浄水の流れを、下側に向けることができる。そのため、水洗大便器は、洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【0017】

また、前記方向転換部における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さは、前記方向転換部よりも上流側における前記側壁面の下端から前記上壁面までの高さよりも低い。

【0018】

これにより、水洗大便器は、方向転換部の全範囲において、洗浄水の流れを下側に向けることができる。そのため、水洗大便器は、方向転換部において、洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【0019】

また、前記方向転換部の少なくとも一部は、前記リム通水路に前記洗浄水を吐水する吐水口の開口を前記吐水口から前記洗浄水を吐水する方向に向けて投影した領域内に設けられる。

【0020】

これにより、水洗大便器は、吐水口から吐水された洗浄水の流れ方向を変更しつつ、洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【発明の効果】

【0021】

実施形態の一態様によれば、洗浄水が水洗大便器から飛び出すことを抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【0022】

【図1】図１は、実施形態に係る水洗大便器の左側面図である。

【図2】図２は、図１のII-II線断面における便器本体の断面図である。

【図3】図３は、図２のIII-III断面に対応する水洗大便器の断面図の概略図である。

【図4】図４は、図２のＡ方向から見た場合のリム部の上端面の高さを示す概略図である。

【図5】図５は、変形例に係る水洗大便器のリム通水路の概略を示す図である。

【図6】図６は、変形例に係る水洗大便器のリム通水路の概略を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0023】

以下、添付図面を参照して、本願の開示する水洗大便器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。

【0024】

＜水洗大便器の全体構成＞
まず、図１を参照して実施形態に係る水洗大便器１の全体構成について説明する。図１は、実施形態に係る水洗大便器１の左側面図である。また、図１では、壁面８および床面９を断面で示している。

【0025】

また、図１には、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするＺ軸を含む３次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、他の図においても図示している場合がある。かかる直交座標系では、Ｙ軸の負方向を前方、Ｙ軸の正方向を後方、Ｘ軸の正方向を右方、Ｘ軸の負方向を左方と規定している。このため、以下の説明において、Ｘ軸方向を左右方向、Ｙ軸方向を前後方向、Ｚ軸方向を上下方向という場合がある。

【0026】

また、実施形態に係る水洗大便器１は、壁面８に取り付けられる、いわゆる壁掛け式の水洗大便器である。なお、水洗大便器１は、床面９に設置される、いわゆる床置き式の水洗大便器であってもよい。

【0027】

水洗大便器１は、便器本体２と、局部洗浄装置３とを備える。実施形態に係る水洗大便器１は、洗浄水源から供給される洗浄水により便器本体２を洗浄して汚物を排出する洗い落とし式大便器（ウォッシュダウン式便器）である。なお、水洗大便器１は、サイホン式大便器であってもよい。また、便器本体２は、例えば、陶器製である。便器本体２の詳細については、後述する。

【0028】

局部洗浄装置３は、洗浄ノズル、ノズル駆動用モータ、モータ制御装置（いずれも不図示）などを備える。局部洗浄装置３は、使用者の局部洗浄用として便器本体２の上部に設けられ、洗浄ノズルから噴出させた洗浄水によって使用者の局部を洗浄する。

【0029】

水洗大便器１では、貯水タンク４に接続された給水配管４ａを経て、便器本体２に洗浄水が供給される。また、水洗大便器１は、汚物を洗浄水と共に排水配管５へ排出する。なお、貯水タンク４は便器本体２の後方に載置され、貯水タンク４から便器本体２へ直接洗浄水を供給するものであってもよい。また、水洗大便器１は、貯水タンク４を設けずに、給水される洗浄水を加圧して便器本体２へ直接洗浄水を供給するものであってもよい。

【0030】

また、水洗大便器１は、局部洗浄装置３に局部洗浄用の洗浄水を供給する給水ホース６ａと、局部洗浄装置３に電力を供給する電源ケーブル６ｂとを備える。

【0031】

＜便器本体＞
次に、実施形態に係る便器本体２について図２を参照し説明する。図２は、図１のII-II線断面における便器本体２の断面図である。

【0032】

便器本体２は、ボウル部１０と、リム部１１と、吐水部１２と、溜水部１３と、排出部１４とを備える。便器本体２は、吐水部１２によって洗浄水を吐水し、汚物を排出部１４から排出する。

【0033】

ボウル部１０は、ボウル形状に形成され、汚物を受ける。リム部１１は、ボウル部１０の上部に設けられる。具体的には、リム部１１は、ボウル部１０の上縁部に設けられる。リム部１１の少なくとも一部は、洗浄水が水洗大便器１から飛び出さないように、内側にオーバーハングした形状に形成される。リム部１１についての説明は後述される。

【0034】

吐水部１２は、主導水部２０と、共通導水部２１と、下流側導水部２２とを備える。なお、上記した「下流」とは、洗浄水の流れ方向を意味する。すなわち、「上流」および「下流」は、給水配管４ａ（図１参照）からボウル部１０へ吐水される洗浄水の流れにおける「上流」および「下流」を意味する。

【0035】

主導水部２０は、給水配管４ａと接続され、給水配管４ａから洗浄水が供給される。共通導水部２１は、主導水部２０の下流側に配置され、主導水路２０ａから洗浄水が流入する。

【0036】

下流側導水部２２は、共通導水部２１の下流側に配置される。下流側導水部２２には、複数の下流側導水路３０と、複数の吐水口３１が形成される。例えば、下流側導水路３０は、第１導水路３０ａと、第２導水路３０ｂとを含む。また、吐水口３１は、第１吐水口３１ａと、第２吐水口３１ｂとを含む。

【0037】

第１導水路３０ａは、ボウル部１０の後方から左方へ向けてリム部１１に沿って形成される。第１導水路３０ａの下流側の端部には、第１吐水口３１ａが形成される。第１吐水口３１ａは、例えばリム部１１の左方の中央付近に位置される。

【0038】

したがって、主導水路２０ａから共通導水路２１ａを介して第１導水路３０ａへ流れた洗浄水は、上面視で反時計回りに流れ、その後第１吐水口３１ａからボウル部１０へ吐水される。

【0039】

第２導水路３０ｂは、ボウル部１０の後方にリム部１１に沿って形成される。また、第２導水路３０ｂは、流路の途中で洗浄水の流れ方向を屈曲させる屈曲部位３０ｂ１を備える。第２導水路３０ｂの下流側の端部には、第２吐水口３１ｂが形成される。かかる第２吐水口３１ｂは、例えばリム部１１の右後方に位置される。第２吐水口３１ｂは、溜水部１３よりも後方に設けられる。

【0040】

したがって、主導水路２０ａから共通導水路２１ａを介して第２導水路３０ｂへ流れた洗浄水は、上面視で時計回りに流れた後、屈曲部位３０ｂ１で流れ方向が反転されて反時計回りとなる。その後、洗浄水は、第２吐水口３１ｂからボウル部１０へ反時計回りに吐水される。

【0041】

このように、下流側導水路３０は、主導水路２０ａおよび共通導水路２１ａの下流側に設けられ、洗浄水を吐水口３１から吐出させる。なお、下流側導水路３０および吐水口３１の数は、上記に限定されるものではない。すなわち、例えば下流側導水路３０および吐水口３１は、１つあるいは３つ以上設けられてもよい。

【0042】

＜リム部＞
次に、実施形態に係るリム部１１について図２～図４を参照し説明する。図３は、図２のIII-III断面に対応する水洗大便器１の断面図の概略図である。図４は、図２のＡ方向から見た場合のリム部１１の上端面の高さを示す概略図である。

【0043】

リム部１１は、リム通水路４０を形成する。リム通水路４０は、ボウル部１０の上部に設けられる。リム通水路４０は、ボウル部１０に流入する洗浄水が旋回する。リム通水路４０は、ボウル部１０の内側、言い換えると、ボウル部１０の溜水部１３側が開口している。すなわち、リム部１１は、オープンリムである。

【0044】

吐水口３１から吐水された洗浄水は、リム通水路４０を旋回しつつ、ボウル部１０に流入する。ボウル部１０に流入する洗浄水は、ボウル部１０において旋回し、旋回流を発生させる。ボウル部１０において発生する洗浄水の旋回流によって、汚物が溜水部１３に流れ、排出部１４から排出される。

【0045】

リム通水路４０は、底面４１と、側壁面４２と、上壁面４３とを有する。底面４１は、ボウル部１０の上端に接続する。底面４１は、ボウル部１０の外側よりも、ボウル部１０の内側の高さが低くなるように設けられる。

【0046】

側壁面４２は、底面４１の外周端から上方に向けて延びるように形成される。側壁面４２は、方向転換部４４を有する。リム通水路４０の少なくとも一部は、底面４１を有さずに設けられてもよい。この場合、側壁面４２の下端がボウル部１０の上端に接続される。

【0047】

方向転換部４４は、リム通水路４０を旋回する洗浄水の流動が乱れる部分である。方向転換部４４は、リム通水路４０を旋回する洗浄水の流れ方向において曲率半径が小さくなるように変化する部分を含む。曲率半径は、上面視における曲線の曲率半径である。方向転換部４４は、例えば、上面視において、変曲点が発生する程度に曲率が変化する部分を含む。

【0048】

方向変換部は、リム通水路４０を旋回する洗浄水が側壁面４２に衝突することで、洗浄水の一部をボウル部１０に流入させる部分を含んでもよい。方向変換部は、洗浄水の一部をボウル部１０に下降させる流れを形成させる部分を含んでもよい。

【0049】

例えば、方向転換部４４は、リム通水路４０に３つ設けられる。３つの方向転換部４４について、区別して説明する場合には、各方向転換部４４に符号「４４ａ」、「４４ｂ」、および「４４ｃ」を付して説明する。リム通水路４０は、方向転換部４４を、図２における領域Ｄ１～Ｄ３に有する。方向転換部４４の数は、３つ以外であってもよい。方向転換部４４は、１つ、または２つであってもよい。方向転換部４４は、４つ以上であってもよい。

【0050】

領域Ｄ１における方向転換部４４ａでは、主に第２吐水口３１ｂから吐水された洗浄水の流動が乱れる。領域Ｄ１は、第２吐水口３１ｂの開口を、第２吐水口３１ｂから洗浄水を吐水する方向に向けて投影した領域を含む。例えば、領域Ｄ１は、第２吐水口３１ｂをＸ軸負方向側に向けて投影した領域を含む。すなわち、方向転換部４４の一部は、第２吐水口３１ｂの開口を、第２吐水口３１ｂから洗浄水を吐水する方向に向けて投影した領域に設けられる。

【0051】

領域Ｄ２における方向転換部４４ｂでは、主に第１吐水口３１ａから吐水された洗浄水の流動が乱れる。領域Ｄ２は、リム部１１の前端側の領域である。領域Ｄ２における方向転換部４４ｂでは、主に第１吐水口３１ａから吐水された洗浄水の流れ方向が前方側から後方側に変更される。

【0052】

領域Ｄ３における方向転換部４４ｃでは、領域Ｄ２の方向転換部４４ｂによって流れ方向が後方側となった洗浄水の流動が乱れる。領域Ｄ３は、リム部１１の後方側であり、かつ第２吐水口３１ｂよりも前方の領域である。

【0053】

上壁面４３は、少なくとも方向転換部４４の上端からボウル部１０の内側に向けて延びるように形成される。

【0054】

方向転換部４４の少なくとも一部（例えば、方向転換部４４ａ）における側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さＨ１は、方向転換部４４ａよりも上流側における側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さＨ２よりも低い。例えば、方向転換部４４ａにおける上壁面４３の少なくとも一部は、方向転換部４４ａの上流側から下方に傾斜する。側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さは、例えば、方向転換部４４ａにおいて最も低い（図４中、「Ｈ３」）。方向転換部４４ｂ、４４ｃにおいても、同様である。

【0055】

これにより、方向転換部４４において、リム通水路４０を流れる洗浄水の流れ方向は、下方側（ボウル部１０側）となる。

【0056】

例えば、溜水部１３よりも後方側に設けられる方向転換部４４ａに上壁面４３が設けられることによって、第２吐水口３１ｂから吐水された洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことが抑制される。そのため、例えば、便座に使用者が座った状態で洗浄水が流れる場合に、使用者の臀部近辺に洗浄水が当たることが抑制される。

【0057】

実施形態に係る水洗大便器１は、ボウル部１０と、リム部１１とを備える。ボウル部１０は、汚物を受ける。リム部１１は、ボウル部１０の上部に設けられ、ボウル部１０に旋回流を発生させる洗浄水が旋回するリム通水路４０が形成される。リム通水路４０は、側壁面４２と、上壁面４３とを備える。側壁面４２は、方向転換部４４を有する。上壁面４３は、少なくとも方向転換部４４の上端からボウル部１０の内側に向けて延びる。方向転換部４４は、リム通水路４０を旋回する洗浄水の流れ方向において曲率半径が小さくなるように変化する部分を含む。方向転換部４４の少なくとも一部における側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さは、方向転換部４４よりも上流側における側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さよりも低い。

【0058】

これにより、水洗大便器１は、方向転換部４４において、洗浄水の流れを下側に向けることができる。そのため、水洗大便器１は、リム通水路４０を流れる洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことを抑制することができる。

【0059】

方向転換部４４は、リム通水路４０を旋回する洗浄水が側壁面４２に衝突することで、洗浄水の一部をボウル部１０に流入させる部分を含む。

【0060】

これにより、水洗大便器１は、リム通水路４０を流れる洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことを抑制することができる。

【0061】

方向転換部４４における上壁面４３の少なくとも一部は、方向転換部４４の上流側から下方に傾斜する。側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さは、方向転換部４４において最も低い。

【0062】

これにより、水洗大便器１は、方向転換部４４において、洗浄水の流れを確実に下側に向けることができ、洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことを抑制することができる。

【0063】

方向転換部４４の少なくとも一部、例えば、方向転換部４４ａは、リム通水路４０に洗浄水を吐水する第２吐水口３１ｂの開口を第２吐水口３１ｂから洗浄水を吐水する方向に向けて投影した領域Ｄ１内に設けられる。

【0064】

これにより、水洗大便器１は、第２吐水口３１ｂから吐水された洗浄水の流れ方向を変更しつつ、洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことを抑制することができる。例えば、水洗大便器１は、便座に使用者が座った状態で洗浄水が流れる場合に、使用者の臀部近辺に洗浄水が当たることを抑制することができる。

【0065】

変形例に係る水洗大便器１において上壁面４３は、図５に示すように、例えば、第２吐水口３１ｂから方向転換部４４ａまで高さが低くなるように傾斜してもよい。図５は、変形例に係る水洗大便器１のリム通水路４０の概略を示す図である。図５は、実施形態に係る水洗大便器１の図４に対応する図である。なお、第１吐水口３１ａから領域Ｄ２の方向転換部４４ｂまでの上壁面４３は、同様の構成であってもよい。

【0066】

変形例に係る水洗大便器１は、第２吐水口３１ｂから吐水された直後から洗浄水の流れを、下側に向けることができる。これにより、変形例に係る水洗大便器１は、方向転換部４４において、洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことを抑制することができる。

【0067】

また、変形例に係る水洗大便器１において上壁面４３は、図６に示すように、例えば、第２吐水口３１ｂから方向転換部４４ａよりも下流側まで高さが低くなるように傾斜してもよい。図６は、変形例に係る水洗大便器１のリム通水路４０の概略を示す図である。図６は、実施形態に係る水洗大便器１の図４に対応する図である。なお、第１吐水口３１ａから領域Ｄ２の方向転換部４４までの上壁面４３は、同様の構成であってもよい。

【0068】

変形例に係る水洗大便器１は、第２吐水口３１ｂから吐水された直後から洗浄水の流れを、下側に向けることができる。これにより、変形例に係る水洗大便器１は、方向転換部４４において、洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことを抑制することができる。

【0069】

変形例に係る水洗大便器１において、方向転換部４４における側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さは、方向転換部４４よりも上流側における側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さよりも低くてもよい。すなわち、方向転換部４４の全範囲において、側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さが、方向転換部４４よりも上流側における側壁面４２の下端から上壁面４３までの高さよりも低くてもよい。

【0070】

これにより、変形例に係る水洗大便器１は、方向転換部４４の全範囲において、洗浄水の流れを下側に向けることができる。そのため、水洗大便器１は、方向転換部４４において、洗浄水が水洗大便器１から飛び出すことを抑制することができる。

【0071】

さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。

【符号の説明】

【0072】

１ 水洗大便器
２ 便器本体
１０ ボウル部
１１ リム部
１２ 吐水部
３１ 吐水口
３１ａ 第１吐水口
３１ｂ 第２吐水口
４０ リム通水路
４１ 底面
４２ 側壁面
４３ 上壁面
４４ 方向転換部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】