(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136457
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】横断歩道用表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230922BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042136
(22)【出願日】2022-03-17
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】596125295
【氏名又は名称】株式会社大蔵製作所
(71)【出願人】
【識別番号】518452700
【氏名又は名称】株式会社アステイ
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】星 俊明
(72)【発明者】
【氏名】久保田 淳
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC02
5H181CC04
5H181LL08
5H181LL15
5H181MB12
(57)【要約】
【課題】本発明は、省電力であって人物を検知するセンサーの精度を向上をし、運転者に人物の存在を遠方からでも早く報知することが可能な横断歩道用表示装置を提供することにある。
【解決手段】横断歩道の近傍に設置され、人物を検出すると運転者に報知する横断歩道用表示装置であって、横断者の存在を検出する人物検出センサー(50)と、人物検出センサーの検出によって運転者に人物の存在を報知する表示装置(20)と、を備え、人物検出センサーは、人物を赤外線によって検出する赤外線センサー(S)と、車道側に検出範囲が広がることを防ぐために赤外線センサーを覆い、赤外線センサーによって検出する検出範囲を絞る縦長の長孔であるスリット(72)を備えた被覆部(73)と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断歩道の近傍に設置され、人物を検出すると運転者に報知する横断歩道用表示装置であって、
横断者の存在を検出する人物検出センサーと、
前記人物検出センサーの検出によって運転者に人物の存在を報知する表示装置と、を備え
前記人物検出センサーは、
人物を赤外線によって検出する赤外線センサーと、
車道側に検出範囲が広がることを防ぐために前記赤外線センサーを覆い、前記赤外線センサーによって検出する検出範囲を絞る縦長の長孔であるスリットを備えた前記被覆部と、を備えたことを特徴とする横断歩道用表示装置。
【請求項2】
前記赤外線センサーの幅方向の検出角度を8度から20度とし、縦方向の検出角度を40度から60度に検出範囲を絞る前記スリットであることを特徴とする請求項1記載の横断歩道用表示装置。
【請求項3】
前記赤外線センサーを人物より高い上方の位置にあって且つ傾斜して設置し、
前記スリットの中心と、前記赤外線センサーの中心とを偏心して設け、上方により長い長孔としたことを特徴とする請求項1及び請求項2の何れか一項に記載の横断歩道用表示装置。
【請求項4】
横断歩道の近傍に設置され、人物を検出すると運転者に報知する横断歩道用表示装置であって、
横断者の存在を検出する人物検出センサーと、
前記人物検出センサーの検出によって運転者に人物の存在を報知する表示装置と、を備え
前記人物検出センサーは、
人物を赤外線によって検出する赤外線センサーと、
前記赤外線センサーは、人物より高い上方に設置し、幅方向の検出角度を8度から20度とし、縦方向の検出角度を40度から60度の検出範囲であることを特徴とする横断歩道用表示装置。
【請求項5】
前記人物検出センサーは、
人物をカメラによる映像から認識して人物の検出をする映像認識手段と、
人物を赤外線によって検出する赤外線センサーと、を備え、
前記映像認識手段又は前記赤外線センサーによる人物の検出が困難な状況にあっては、前記映像認識手段又は前記赤外線センサーのどちらかに切り替えて検出を行うことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の横断歩道用表示装置。
【請求項6】
前記表示装置は、
正面から第1の光源によって人物の存在を運転者に直接報知する正面報知手段と、
前記表示装置と同じ支柱に固定する安全標識を照らして反射塗料を反射させて間接的に運転者に報知する第2の光源を備えた間接照明報知手段と、を備え、
前記第1光源及び前記第2の光源を同一の筐体内に配置し、前記第1光源及び前記第2の光源を同一の制御装置によって駆動することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の横断歩道用表示装置。
【請求項7】
前記第1光源及び前記第2の光源を異なる色によって駆動することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の横断歩道用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横断歩道の近傍に横断歩道用表示装置を設置し、横断歩道用表示装置は、横断する人物をセンサー等により検出し、運転者に横断歩道を横断する人物の存在を知らせるための表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横断歩道の存在を運転者に知らせるように、照明を伴った標識を設置して横断歩道の存在を知らせている。また、最近においては太陽電池及び貯蓄電池の普及により、公共の電源が供給できない箇所にあっても、横断歩道の存在や横断歩道を渡ろうとする人物を検知して運転者に警告を表示する装置が提案されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1では、夜間に横断歩道を横断しようとする歩行者や自転車等の存在を検知センサーで検知し、その検知信号に基づいて、横断歩道に向かって走行してくるドライバーに向けて警告灯を発光させる。横断歩道を横断しようとする歩行者や自転車等が存在している時のみドライバーに向けて警告灯が発光されるため、この警告灯の発光により、ドライバーは歩行者等の存在を意識すると共に注意を喚起され、効果的に横断歩道での事故防止を図ることができる発明が提供されている。
【0004】
また、特許文献2では、横断歩道を照らす照明灯と、歩行者を検知するセンサーと、このセンサーが歩行者を検知したときに照明灯を点灯させる制御部とを備え、制御部を箱状の本体部に内装させ、この本体部の外側面に照明灯とセンサーとを取り付ける。本体部を横断歩道の近傍に設置させることで、センサーを横断歩道を横断する歩行者の有無を検知可能な位置に配置させると共に、照明灯を横断歩道を照射可能な位置に配置させることができる発明が提供されている。
【0005】
また、特許文献3では、信号機が設置されていない横断歩道の手前に立止まった歩行者が押しボタン式スイッチを手押しすることで起動する押しボタン式スイッチ装置と、起動することにより赤色点滅灯及び警告音を発生し二輪車を含む自動車に対して停止するよう促す警報装置と、歩行者と自動車とのひき逃げ事故を録画する機能を有する監視カメラ装置と、起電した電気を蓄電池装置に供給するソーラーパネルと、ソーラーパネルから供給された電気を充電する蓄電池装置とを有する考案が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-60832号公報
【特許文献2】特開2014-145223号公報
【特許文献3】実用新案登録第3222894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これら装置では横断しようとする人物を検知する際に、環境による影響を考慮し、精度良く人物を検出することが必要であり、センサーの誤動作により、運転者の交通の妨げとなる場合もある。そのため、センサーの精度を向上させることが重要である。
また、夜間等は、人物の存在が確認しがたいため、運転者に人物の存在をいち早く報知し、また遠方からでも横断者がいることを知らせる必要がある。
【0008】
更に、できる限りの安価で且つ省電力によって稼働する必要があるが、交流電源等の電源が敷設できない箇所においては、尚更、太陽電池、風力発電等の自然エネルギーを使用し、本装置を稼働する必要があるため、蓄電池を搭載しての稼働を想定すると省電力である装置を提供しなければならない。
【0009】
本発明は、上記の課題の内何れかを解決するために、安価で且つ省電力であって、人物を検知するセンサーの精度を向上をし、運転者に人物の存在を遠方からでも早く報知することが可能な横断歩道用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
横断歩道の近傍に設置され、人物を検出すると運転者に報知する横断歩道用表示装置であって、
横断者の存在を検出する人物検出センサーと、
前記人物検出センサーの検出によって運転者に人物の存在を報知する表示装置と、を備え
前記人物検出センサーは、
人物を赤外線によって検出する赤外線センサーと、
車道側に検出範囲が広がることを防ぐために前記赤外線センサーを覆い、前記赤外線センサーによって検出する検出範囲を絞る縦長の長孔であるスリットを備えた前記被覆部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上の特徴によって、本発明は、横断歩道の近傍において自動車等を間違って検出することが少なく、人の検出において安価な検出装置として使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の横断歩道用表示装置を横断歩道の近傍に設置している状態を示す概要図である。
【
図2】実施形態の横断歩道用表示装置を正面から視た図である。
【
図3】実施形態の横断歩道用表示装置を側面から視た図である。
【
図4】実施形態の横断歩道用表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態の横断歩道用表示装置のセンサー部を側面から視た図である。
【
図6】実施形態の横断歩道用表示装置の赤外線センサー部の斜視図である。
【
図7】実施形態の横断歩道用表示装置の表示部を示す全体図である。
【
図8】実施形態の横断歩道用表示装置の表示部の内部構造を示す側面から視た概要
【
図9】実施形態の横断歩道用表示装置の赤外線センサー部の動作原理を示す図である。
【
図10】実施形態の横断歩道用表示装置の赤外線センサー部の動作原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる横断歩道用表示装置の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0014】
図1は、実施形態の横断歩道用表示装置10を車道4に付設される横断歩道5の近傍に設置している状態を示す概要図である。
横断歩道用表示装置10は、歩行者が横断する横断歩道5の手前にある停止線3の近傍の歩道2側に一対設けられている。横断歩道用表示装置10は、車道4から30cmから50cm離れて設置し、横断歩道5の延長線上から30cmから50cm離れて設置する。
【0015】
図2から
図4を参照して、実施形態の横断歩道用表示装置10を説明する。
図2は、実施形態の横断歩道用表示装置10を正面から視た図である。
図3は、実施形態の横断歩道用表示装置10を側面から視た図である。
図4は、実施形態の横断歩道用表示装置10の構成を示すブロック図である。
【0016】
横断歩道用表示装置10は、車道4から一段高さを設けた歩道2に設置されている。横断歩道用表示装置10は、横断歩道を示す安全標識13が設置されるポール11に各部品が付設されている。
【0017】
図2又は
図3に示すように、横断歩道用表示装置10は、ポール11の最上部に昼間に電力を得るソーラー発電部30を備えている。また、横断歩道用表示装置10は、そのソーラー発電部30の下方に横断歩道用表示装置10を制御する制御ボックス40を設けている。制御ボックス40の最上部に互いに無線通信をするためのアンテナ部45を設けている。
【0018】
また、横断歩道用表示装置10は、その制御ボックス40の下方にセンサー部50を設けている。また、横断歩道用表示装置10は、その制御ボックス40の下方に横断者等が反射塗料によって描かれた安全標識13を備えている。安全標識13は、下方にある後述する表示部20からLEDの照明によって反射塗料が塗られた箇所が照らされ、遠方からでも運転者は素早く視認することが可能である。
【0019】
図4は、横断歩道用表示装置10の構成を示すブロック図である。ソーラー発電部30によって昼間に発電した電力は、制御ボックス40内に収納される蓄電池41に蓄えられる。蓄電池41は、各構成部品に電力を供給している。
【0020】
制御ボックス40内の制御コントロールユニット43は、マイクロコンピュータ等を搭載し、ソーラー発電部30の過充電及び過放電の防止を行う制御や無線ユニット42による他方の制御コントロールユニット43からの通信やセンサー部50にあるカメラユニット60及び赤外線センサー部70からの信号の入力処理や表示部20の点灯制御を行っている。
【0021】
どちらかのセンサー部50が横断しようとする人物を検知すると無線通信によって、検出した制御コントロールユニット43から他方の制御コントロールユニット43へ信号を送信し、両方の制御コントロールユニット43は、表示部20を駆動し5から20秒の間の点滅制御を行う。その際、表示部20を一度駆動した後はインターバルを設け、車両の通行をスムースにするための期間を設けている。また蓄電池41の容量の減少を抑えることも可能である。これらの駆動時間及びインターバル時間は、制御コントロールユニット43に設けられるトグルスイッチやディップスイチによって自由に時間の調整が可能である。
【0022】
また、センサー部50にあるカメラユニット60は、昼間に人物を認識し制御コントロールユニット43に信号を送っている。また、センサー部50にある赤外線センサー部70は、カメラユニット60に代わって夜間には遠赤外線による人物の検出を行っている。
これら夜間の切替は、カメラユニット60による照度の検出や別に設けた照度センサーによる照度の検出によって夜間における検出方法の切替を行っても良い。
以上の構成によって、センサー部50は、昼間は特に夏場の赤外線センサー部70の誤作動を防止でき、夜間での暗闇でのカメラユニット60の不検出の補完を行うことが可能であり、昼夜問わず精度良く人物を捉えることが可能となる。
【0023】
次に、
図5を参照し、センサー部50について以下に詳細な説明をする。センサー部50は、ポール11にクランプ部52を介してボルト57で締結し地上から約3000mmの高さにおいて固定する。そのクランプ部52に、更にポール11から延長するための延長クランプ53をボルト57で締結し固定する。また、延長クランプ53から角度を付けた傾斜クランプ55により、45度の傾斜を設け横断歩道を渡ろうとする人物を検出するように、上方の横断歩道の手前から人物に向けてセンサー部50を設置する。
【0024】
センサー50部は、箱状のセンサー筐体51の内部に、カメラユニット60を内蔵し、カメラユニット60のレンズが覗く位置にセンサー筐体51の表面に孔が設けられている。
センサー50部は、箱状のセンサー筐体51の下方に角度調整部54によってボックス状の赤外線センサー部70を角度調整可能なように固定している。
【0025】
次に、
図6を参照し、赤外線センサー部70について以下に詳細な説明をする。赤外線センサー部70は、遠赤外線センサーを内蔵する箱状の赤外線センサー筐体部73と、その遠赤外線センサーが人物を検知する側に遠赤外線センサーを覆う箱状のカバー筐体71を設けている。また、カバー筐体71は、遠赤外センサーが人物を検知できる領域を絞るための長孔となるスリット部72を設けている。
【0026】
次に、
図7又は
図8を参照し、表示部20について説明する。
図7(A)は、表示部20の平面図であり、
図7(B)は、表示部20の正面図であり、
図7(C)は、表示部20の側面図である。
【0027】
表示部20は、箱状の表示部筐体22を表示部クランプ28を介してポール11に固定している。表示部筐体22は、運転者に向けて内蔵する照明によって「横断あり」と表示する表示面21と、運転者に向けて遠くからでも視認できるレンズを搭載した黄色のLEDを点滅表示する9個のLED前方表示部25とを設けている。アクリル固定部27により固定される表示面21は、内照式のLEDによって点滅表示を行う。
【0028】
また、表示部筐体22の上方に、表示面21を見易くするように、前方に突出した庇となる庇部24を備えている。また、表示部筐体22は、安全標識13に向かって表示部筐体22を5度から15度に傾斜を伴ったLED照射部26を9個設けている。LED照射部26は、安全標識13を点滅して照らすようにレンズを搭載した白色のLEDで構成している。
安全標識13を照らすLED照射部26は、特に上方に設けられた安全標識13を照らす必要はなく、安全標識13が下方にあれば表示部20の下方に傾斜して設ければ良い。
【0029】
図2及び
図3に示すように安全標識13は、下方にある後述する表示部20からLEDの照明によって反射塗料が塗られた箇所が照らされ、遠方からでも運転者は素早く視認することが可能である。反射塗料が塗られた箇所は、人物を検出すれば、車のヘッドランプ等によって照らされるよりも早く安全標識13を照らすので、運転者にいち早く横断者がいることを知らせることが可能である。
【0030】
次に、
図9及び
図10を参照し、赤外線センサー部70が人物を検知する領域について説明する。
図10に示すように、赤外線センサー部70は、遠赤外線センサーを内蔵する箱状の赤外線センサー筐体部73と、その遠赤外線センサーSが人物を検知する側に遠赤外線センサーSを覆う箱状のカバー筐体71を設けている。また、カバー筐体71は、遠赤外線センサーSが人物を検知できる領域を絞るための長孔となるスリット部72を設けている。
【0031】
スリット部72は、遠赤外線センサーSの幅方向の中心に位置し、最適な幅のスリットは6mm(
図10(A)のl)であって、高さ方向は32mm(
図10(A)のh)のスリットである。遠赤外線センサーSは、直径24mmのドーム状であるが、遠赤外線センサーSに対して幅方向はスリットにより検出範囲が1/4から1/3程度の絞りが設けられている。
【0032】
また、遠赤外線センサーSは、全長よりも1/4から1/3程度余分にスリット部72が長く形成されており、最適長さは8mmである。
また、スリット部72の中心は、遠赤外線センサーSの中心よりも高さ方向に遠赤外線センサーSに対して1/8から1/6の長さ分上方へ位置しており、4mm(
図10(C)のd)程中心を上方へずらすのが最適である。
【0033】
また、遠赤外線センサーSの検出範囲は、108度(
図10(B、C)のα)であるが、幅方向にスリット部72によって10度から20度に絞る方が良いが、最も良いのは12.6度(
図10(B)のβ)に絞ることである。
【0034】
また、遠赤外線センサーSの幅方向の検出範囲は、108度(
図10(B、C)のα)であるが、幅方向にスリット部72によって8度から20度に絞る方が良いが、最も良いのは12.6度(
図10(B)のβ)に絞ることである。
また、遠赤外線センサーSの高さ方向の検出範囲は、108度(
図10(B、C)のα)であるが、高さ方向にスリット部72によって40度から80度に絞る方が良いが、最も良いのは60度(
図10(C)のγ)に絞ることである。
【0035】
図9(A)は、横断歩道5付近を上方から視た図である。
図9(B)は、横断歩道5付近を側方から視た図である。
上述の赤外線センサー部70は、
図9に示すように、遠赤外線センサーSは、検出範囲が8mであって、検出角度は一点鎖線で示す108度(
図9のα)の検出範囲を持っている。(
図9のI・J・E・Fで囲われた領域、K・N・O・Q・Lで囲われた領域)
【0036】
スリット部72(
図10)による絞り(検出角度β)を設けることによって、全検出領域は、上方から眺めるとI・J・E・Fで囲われた領域と、側方から眺めるとK・N・O・Q・Lで囲われた領域の検出が可能である。
また、歩道2側にある車道4に付設される横断歩道5の手間において、上方から眺めるとG・H・E・Fで囲まれた領域と、側方から眺めるとK・M・P・Q・Lで囲まれた領域を検出することができる。
【0037】
そして、横断歩道5の端での検出範囲は、G-H間の幅方向が約1m、M-P間の高さ方向が約2.3mである。
このように、遠赤外線センサーSの検出範囲を絞ることによって、車両を間違って検出することなく、精度良く人物のみを検出することが可能である。
【0038】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に内に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0039】
<第1の特徴点>
横断歩道の近傍に設置され、人物を検出すると運転者に報知する横断歩道用表示装置であって、
横断者の存在を検出する人物検出センサー(例えば主に、センサー部50)と、
前記人物検出センサーの検出によって運転者に人物の存在を報知する表示装置(例えば主に、表示部20)と、を備え
前記人物検出センサーは、
人物を赤外線によって検出する赤外線センサー(例えば主に、遠赤外線センサーS)と、
車道側に検出範囲が広がることを防ぐために前記赤外線センサーを覆い、前記赤外線センサーによって検出する検出範囲を絞る縦長の長孔であるスリット(例えば主に、
図10(A)、スリット部72)を備えた前記被覆部(例えば主に、赤外線センサー筐体部73)と、を備えたことを特徴とする。
【0040】
以上の特徴によって、本発明は、横断歩道の近傍において自動車等を間違って検出することが少なく、人の検出において安価な検出装置として使用することが可能である。
【0041】
<第2の特徴点>
前記赤外線センサーの幅方向の検出角度を8度から20度とし(例えば、主に
図10(B)のβ)、縦方向の検出角度を40度から60度(例えば、主に
図10(C)のγ)に検出範囲を絞る前記スリットであることを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、横断歩道の近傍において自動車等を間違って検出することが少なく、人の検出において安価な検出装置として使用することが可能である。
【0042】
<第3の特徴点>
前記赤外線センサーを人物より高い上方の位置にあって且つ傾斜して設置し、
前記スリットの中心と、前記赤外線センサーの中心とを偏心して設け、上方により長い長孔(例えば、主に
図10(C)のd)としたことを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、横断歩道の近傍において自動車等を間違って検出することが少なく、人の検出において安価な検出装置として使用することが可能である。
【0043】
<第4の特徴点>
横断歩道の近傍に設置され、人物を検出すると運転者に報知する横断歩道用表示装置であって、
横断者の存在を検出する人物検出センサー(例えば主に、センサー部50)と、
前記人物検出センサーの検出によって運転者に人物の存在を報知する表示装置(例えば主に、表示部20)と、を備え
前記人物検出センサーは、
人物を赤外線によって検出する赤外線センサー(例えば主に、遠赤外線センサーS)と、
前記赤外線センサーは、人物より高い上方に設置し、幅方向の検出角度を8度から20度とし、縦方向の検出角度を40度から60度の検出範囲であることを特徴とする。
【0044】
以上の特徴によって、本発明は、横断歩道の近傍において自動車等を間違って検出することが少なく、人の検出において安価な検出装置として使用することが可能である。
【0045】
<第5の特徴点>
前記人物検出センサーは、
人物をカメラによる映像から認識して人物の検出をする映像認識手段(例えば主に、カメラユニット60)と、
人物を赤外線によって検出する赤外線センサー(例えば主に、遠赤外線センサーS)と、を備え、
前記映像認識手段又は前記赤外線センサーによる人物の検出が困難な状況にあっては、前記映像認識手段又は前記赤外線センサーのどちらかに切り替えて検出を行うことを特徴とする。
【0046】
以上の特徴によって、本発明は、横断歩道の近傍において自動車等を間違って検出することが少なく、人の検出において安価な検出装置として使用することが可能である。
また、映像認識手段の故障や夜間の暗闇において映像認識手段の認識が困難である場合に赤外線センサーによって切り替わる補完することができるので、昼夜問わず検出が可能である。また、気温が高い日中等は赤外線センサーに代わって映像認識手段が検出することができるので、人物の検出を精度良く行うことが可能である。
【0047】
<第6の特徴点>
前記表示装置は、
正面から第1の光源によって人物の存在を運転者に直接報知する正面報知手段(例えば主に、表示面21、LED前方表示部25)と、
前記表示装置と同じ支柱に固定する安全標識を照らして反射塗料を反射させて間接的に運転者に報知する第2の光源を備えた間接照明報知手段(例えば主に、LED照射部26)と、を備え、
前記第1光源及び前記第2の光源を同一の筐体(例えば主に、表示部筐体22)内に配置し、前記第1光源及び前記第2の光源を同一の制御装置(例えば主に、制御ボックス40)によって駆動することを特徴とする。
【0048】
以上の特徴によって、本発明は、間接的な安全標識の認識と照明報知手段による直接的な報知との両方の報知によって遠くからでも運転者に横断する人物がいることを認識させることが可能である。
【0049】
<7の特徴点>
前記第1光源及び前記第2の光源を異なる色によって駆動することを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、運転者に色の違いにより横断する人物がいることをハッキリと認識させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
特に横断歩道の近傍に限らず、飛び出し注意等の人の存在による危険を運転者等の知らせるための装置として使用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
2…歩道、4…車道、5…横断歩道、10…横断歩道用表示装置、11…ポール、
20…表示部、21…表示面、22…表示部筐体、25…LED前方表示部、
26…LED照射部、30…ソーラー発電部、40…制御ボックス、
50…センサー部、60…カメラユニット、70…赤外線センサー部、72…スリット部、73…赤外線センサー筐体部、S…遠赤外線センサー。