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  • 特開-加工油の塗布方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013647
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】加工油の塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/02 20060101AFI20230119BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230119BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230119BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230119BHJP
   B05D 7/06 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B05D1/02 Z
B05D3/00 D
B05D7/00 B
B05D7/24 301Q
B05D7/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117982
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】岩城 義浩
(72)【発明者】
【氏名】西原 治
【テーマコード(参考)】
4D075
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA76
4D075AA81
4D075BB06Z
4D075CA37
4D075CA38
4D075DA06
4D075DB21
4D075EA05
4D075EA37
(57)【要約】
【課題】トランスファープレス加工装置に供給されるブランク材への加工油の塗布方法において、使用する加工油を削減できる加工油の塗布方法を提案する。
【解決手段】トランスファープレス加工装置2の稼働状態の情報に基づいて、該トランスファープレス加工装置2に供給されるために搬送中のブランク材3の表面に対し、負に帯電させた細粒加工油を間歇的に噴霧する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスファープレス加工装置の稼働状態の情報に基づいて、該トランスファープレス加工装置に供給されるために搬送中のブランク材の表面に対し、負に帯電させた細粒加工油を間歇的に噴霧することを特徴とする加工油の塗布方法。
【請求項2】
トランスファープレス加工装置の稼働状態の情報に基づき、ブランク材をトランスファープレス加工装置に供給する搬送装置内を、ブランク材が、前記細粒加工油を噴霧する塗油部により、ブランク材に対し噴霧可能な特定位置を通過するタイミングと通過時間を算出して、前記塗油部より前記細粒加工油を噴霧するようにしたことを特徴とする請求項1記載の加工油の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工油の塗布方法、より詳しくはトランスファープレス加工装置に供給されるブランク材への加工油の塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランスファープレス加工における製品の割れ、かじり等の不具合を防止するために、ブランク材に加工油を塗布した後に、ブランク材をトランスファープレス加工装置に供給して、トランスファープレス加工を行うことが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭58-40985号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、トランスファープレス加工装置においては、加工速度(SPM)が変化するため、その変化に伴い、トランスファープレス加工装置に供給されるブランク材の供給速度も変化する。
【0005】
また、加工油が不足するとトランスファープレス加工における加工性に影響を及ぼすとともに、ブランク材の供給速度の変化に対応することが困難であるため、トランスファープレス加工装置の動作中は、最大加工速度(SPM)を考慮して、ブランク材に対し加工油を連続で塗布しており、加工油が大量に必要となるという問題がある。また、ブランク材以外の望まない部分への塗布等が生じるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を解決した加工油の塗布方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明は、トランスファープレス加工装置の稼働状態の情報に基づいて、該トランスファープレス加工装置に供給されるために搬送中のブランク材の表面に対し、負に帯電させた細粒加工油を間歇的に噴霧することを特徴とするものである。
【0008】
また、トランスファープレス加工装置の稼働状態の情報に基づき、ブランク材をトランスファープレス加工装置に供給する搬送装置内を、ブランク材が、前記細粒加工油を噴霧する塗油部により、ブランク材に対し噴霧可能な特定位置を通過するタイミングと通過時間を算出して、前記塗油部より前記細粒加工油を噴霧するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、トランスファープレス加工装置の稼働状態の情報に基づいて、該トランスファープレス加工装置に供給されるために搬送中のブランク材の表面に対し、負に帯電させた細粒加工油を間歇的に噴霧するようにしたことにより、上記従来技術のものと比較して、使用する加工油を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の加工油の塗布方法を用いた搬送装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0012】
[実施例1]
図1は、本発明の加工油の塗布方法を用いた搬送装置1の概略図を示し、搬送装置1は、トランスファープレス加工装置2にブランク材3を供給するものである。
【0013】
ブランク材3は、上下方向に複数枚重ね合せて、供給台4上に載置されている。供給台4において、最も上に位置する1枚のブランク材3は、取り出し部5で取り出された後、図1の右方向に搬送される。搬送装置1内におけるブランク材3の位置、ブランク材3をトランスファープレス加工装置2に供給するタイミングは、トランスファープレス加工装置2の稼働状態の情報、例えば、成形型の位置情報や、プレス型を上下させるのに用いられるカムの回動位置の位置情報等に基づいて行われる。本実施例では、プレス型を上下させるのに用いられるカムの回動位置の位置情報に基づいて、搬送装置1内におけるブランク材3の位置、ブランク材3をトランスファープレス加工装置2に供給するタイミング等の制御を行っている。
【0014】
ブランク材3は、取り出し部5から図1の右方向に搬送される間に、静電塗油装置からなる下側塗油部10により、ブランク材3の表面である下面に対して負に帯電されるとともに細粒化された細粒加工油を噴霧して、ブランク材3の下面全体が加工油により塗布される。次に、静電塗油装置からなる上側塗油部11により、ブランク材3の表面である上面に対して負に帯電されるとともに細粒加工油を噴霧して、ブランク材3の上面全体が加工油により塗布される。
【0015】
本実施例では、ブランク材3の下面に加工油を塗布した後に、上面に加工油を塗布するようにしたが、上面に塗布した後に下面に塗布するようにしてもよいし、上面と下面を同時に塗布するようにしてもよい。
【0016】
トランスファープレス加工装置2の稼働状態の情報、例えば、成形型の位置情報や、プレス型を上下させるのに用いられるカムの回動位置の位置情報等に基づいて、高電圧発生装置により、噴霧ノズルに一定の高電圧を印加させるとともに、電磁弁を開き、噴霧ノズルより、ブランク材3に対し負に帯電した細粒加工油を噴霧するようになっている。
【0017】
より具体的には、トランスファープレス加工装置2の稼働状態の情報に基づき、トランスファープレス加工装置2の加工型の上下動に合わせて、所定の送りピッチで間歇搬送されるブランク材3が、最適のタイミングでトランスファープレス加工装置2に投入されるようにするとともに、トランスファープレス加工装置2の稼働状態の情報に基づき、ブランク材3が、搬送装置1内の塗油部10,11により噴霧可能な特定位置を通過するタイミングと通過時間を算出し、ブランク材3に対し塗油部10,11より細粒加工油を噴霧するようになっている。
【0018】
このように、トランスファープレス加工装置2の稼働状態の情報に基づいて、塗油部10,11を作動させ、ブランク材3に対し細粒加工油を噴霧するようになっている。本実施例では、下側塗油部10と上側塗油部11の電磁弁を開き、細粒加工油を噴霧するタイミングは、プレス型を上下させるのに用いられるカムの回動位置の位置情報に基づいて行われる。
【0019】
なお、本実施例では、下側塗油部10と上側塗油部11として、電磁弁と、高電圧発生装置と、噴霧ノズルを備えた静電塗油装置を用いたが、負に帯電させた細粒加工油を特定のタイミングで間歇的に噴霧することができれば、下側塗油部10と上側塗油部11として任意の噴霧装置を用いることができる。
【0020】
本発明によれば、上記のように、静電塗油装置からなる下側塗油部10と上側塗油部11により、ブランク材3に対し、負に帯電されるとともに細粒化された細粒加工油を噴霧して加工油の塗布を行ったことにより、加工油を、ブランク材3の表面全体に確実に塗布できるとともに、ブランク材3以外への加工油の塗布等をかなり低く抑えることができる。
【0021】
また、トランスファープレス加工装置2の稼働状態の情報に基づいて、ブランク材3に対し、下側塗油部10と上側塗油部11の図示しない電磁弁を開き、加工油を噴霧することにより、上記従来技術のものと比較して、使用する加工油を大幅に削減することができる。
【0022】
また、ブランク材3の表面に対し、下側塗油部10と上側塗油部11により、負に帯電させた加工油を噴霧するようにしたことにより、加工油の周囲への飛散を抑制し、環境面への影響を抑制できる。
【符号の説明】
【0023】
2 トランスファープレス加工装置
3 ブランク材
10,11 塗油部
図1