(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136481
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20230922BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20230922BHJP
G08C 17/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A01K29/00 A
G08C15/00 D
G08C17/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042173
(22)【出願日】2022-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】栗本 優
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA03
2F073AA19
2F073AA31
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073BC04
2F073BC05
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC12
2F073CC15
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE13
2F073EF01
2F073EF09
2F073FF02
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG08
(57)【要約】
【課題】意図に反して動作状態が切り替わってしまうことを抑制可能な電気機器を提供する。
【解決手段】本開示の子機端末20は、磁気検出センサ30A,30Bを備えて、ハウジング73の外側の磁気を検出して、制御回路77の動作状態を、通常動作モードとスリープモードとに切り替え、さらに、スリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態の通常動作モードにも切り替え可能となっている。これにより、ロック状態の通常動作モードに切り替えることで、意図に反してスリープモードに切り替わってしまうことを抑制することができる。また、ロック状態の通常動作モードへ切り替えるときには、アンロック状態の通常動作モードへ切り替えるときよりも、磁気センサ30A,30Bへの磁気の入力時間が長く、容易には起こり難い入力形態となっているため、ロック状態の通常動作モードに意図に反して切り替わってしまうことも抑制できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から切替指令が非接触で入力される指令入力部(30A,30B)と、入力された前記切替指令に応じて電気機器(20)の電気回路(71)を通常動作モードとスリープモードとに切り替えるモード切替部(32)と、を備える電気機器(20)において、
前記通常動作モードは、前記スリープモードへの切り替わりが許容されたアンロック状態の前記通常動作モードと、前記スリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態の前記通常動作モードと、を有し、
前記切替指令には、
前記通常動作モードを前記スリープモードに切り替える第1の前記切替指令と、
前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記アンロック状態に保持する第2の前記切替指令と、
前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記ロック状態に保持する第3の切替指令と、が含まれ、
前記第3の切替指令は、前記第2の切替指令より前記指令入力部(30A,30B)への入力時間が長いか又は入力形態が煩雑である電気機器(20)。
【請求項2】
前記電気回路(71)が前記通常動作モードと前記スリープモードの何れのモードに切り替わったかを異なる点灯パターンで以て報知する点灯報知部(78A,78B)を備える請求項1に記載の電気機器(20)。
【請求項3】
前記切替指令は、磁気、光又は音波のうちの何れかをキャリアとし、
前記指令入力部(30A,30B)は、前記キャリアを検出するキャリア検出用センサ(30A,30B)を有する請求項1又は2に記載の電気機器(20)。
【請求項4】
前記キャリア検出用センサ(30A,30B)により前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の相違によって前記切替指令の指令内容が相違する請求項3に記載の電気機器(20)。
【請求項5】
前記検出長が、予め定められた基準長(T1)未満である前記切替指令は、前記第2の切替指令であり、前記基準長(T1)以上である前記切替指令は、前記第3の切替指令である請求項4に記載の電気機器(20)。
【請求項6】
前記キャリア検出用センサ(30A,30B)が複数備えられ、
何れの前記キャリア検出用センサ(30A,30B)に前記キャリアが検出されたかによって前記切替指令の指令内容が相違する請求項3から5の何れか1の請求項に記載の電気機器(20)。
【請求項7】
無線回路(76)と、
前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された前記切替指令に応じて、前記無線回路(76)による無線通信のチャンネル(CH1,CH2)を切り替えるチャンネル切替部(33)と、を備え、
前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサ(30A,30B)がどれであるかによってどのチャンネル(CH1,CH2)の使用の指示かが判別される請求項6に記載の電気機器(20)。
【請求項8】
無線回路(76)と、
前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された前記切替指令に応じて、前記無線回路(76)による無線通信のチャンネルを第1又は第2のチャンネル(CH1,CH2)に切り替えるチャンネル切替部(33)と、
前記キャリア検出用センサとして第1と第2のキャリア検出用センサ(30A,30B)と、を備え、
前記キャリア検出用センサにより前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の相違と、前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサが第1と第2の何れであるかの相違と、のうち一方の相違によって前記第2の切替指令であるか前記第3の切替指令であるかが判別され、他方の相違によって前記第1又は第2の何れのチャンネルを使用するかの指示が判別される請求項3又は4に記載の電気機器(20)。
【請求項9】
前記電気回路(71)を防水状態に収容するハウジング(73)と、
前記ハウジング(73)の外側の環境に関わる物理量を計測する監視用センサ(70)と、
前記監視用センサ(70)の計測結果を前記無線回路(76)に無線送信させる無線制御部(25)と、備える請求項8に記載の電気機器(20)。
【請求項10】
動物(10)の胃袋(10S)の内部に投入されて、前記監視用センサ(70)により前記胃袋(10S)の内部の環境に関わる物理量を計測する請求項9に記載の電気機器(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気回路の動作状態をスリープモードと通常動作モードとに切り替えることができる電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気機器として、動作状態の切り替えを、外部から非接触で行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-086411号公報(段落[0008]、[0014]及び
図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触で動作状態を切り替える場合、外乱の影響を受けて意図に反して動作状態が切り替わってしまうという問題があり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、外部から切替指令が非接触で入力される指令入力部(30A,30B)と、入力された前記切替指令に応じて電気機器(20)の電気回路(77)を通常動作モードとスリープモードとに切り替えるモード切替部(32)と、を備える電気機器(20)において、前記通常動作モードは、前記スリープモードへの切り替わりが許容されたアンロック状態の前記通常動作モードと、前記スリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態の前記通常動作モードと、を有し、前記切替指令には、前記通常動作モードを前記スリープモードに切り替える第1の前記切替指令と、前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記アンロック状態に保持する第2の前記切替指令と、前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記ロック状態に保持する第3の切替指令と、が含まれ、前記第3の切替指令は、前記第2の切替指令より前記指令入力部(30A,30B)への入力時間が長いか又は入力形態が煩雑である電気機器(20)である。
【0006】
請求項2の発明は、前記電気回路(77)が前記通常動作モードと前記スリープモードの何れのモードに切り替わったかを異なる点灯パターンで以て報知する点灯報知部(78A,78B)を備える請求項1に記載の電気機器(20)である。
【0007】
請求項3の発明は、前記切替指令は、磁気、光又は音波のうちの何れかをキャリアとし、前記指令入力部(30A,30B)は、前記キャリアを検出するキャリア検出用センサ(30A,30B)を有する請求項1又は2に記載の電気機器(20)である。
【0008】
請求項4の発明は、前記キャリア検出用センサ(30A,30B)により前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の相違によって前記切替指令の指令内容が相違する請求項3に記載の電気機器(20)である。
【0009】
請求項5の発明は、前記検出長が、予め定められた基準長(T1)未満である前記切替指令は、前記第2の切替指令であり、前記基準長(T1)以上である前記切替指令は、前記第3の切替指令である請求項4に記載の電気機器(20)である。
【0010】
請求項6の発明は、前記キャリア検出用センサ(30A,30B)が複数備えられ、何れの前記キャリア検出用センサ(30A,30B)に前記キャリアが検出されたかによって前記切替指令の指令内容が相違する請求項3から5の何れか1の請求項に記載の電気機器(20)である。
【0011】
請求項7の発明は、無線回路(76)と、前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された前記切替指令に応じて、前記無線回路(76)による無線通信のチャンネル(CH1,CH2)を切り替えるチャンネル切替部(33)と、を備え、前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサ(30A,30B)がどれであるかによってどのチャンネル(CH1,CH2)の使用の指示かが判別される請求項6に記載の電気機器(20)である。
【0012】
請求項8の発明は無線回路(76)と、前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された前記切替指令に応じて、前記無線回路(76)による無線通信のチャンネルを第1又は第2のチャンネル(CH1,CH2)に切り替えるチャンネル切替部(33)と、前記キャリア検出用センサとして第1と第2のキャリア検出用センサ(30A,30B)と、を備え、前記キャリア検出用センサにより前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の相違と、前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサが第1と第2の何れであるかの相違と、のうち一方の相違によって前記第2の切替指令であるか前記第3の切替指令であるかが判別され、他方の相違によって前記第1又は第2の何れのチャンネルを使用するかの指示が判別される請求項3又は4に記載の電気機器(20)である。
【0013】
請求項9の発明は、前記電気回路(77)を防水状態に収容するハウジング(73)と、前記ハウジング(73)の外側の環境に関わる物理量を計測する監視用センサ(70)と、前記監視用センサ(70)の計測結果を前記無線回路(76)に無線送信させる無線制御部(25)と、備える請求項8に記載の電気機器(20)である。
【0014】
請求項10の発明は、動物(10)の胃袋(10S)の内部に投入されて、前記監視用センサ(70)により前記胃袋(10S)の内部の環境に関わる物理量を計測する請求項9に記載の電気機器(20)である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に開示の電気機器(20)によれば、指令入力部(30A,30B)に非接触で入力された切替指令に応じて電気回路(77)の動作状態を通常動作モードとスリープモードとに切り替える電気機器(20)において、通常動作モードとして、スリープモードに切り替える第1の切替指令が入力されたときにスリープモードへの切り替わりが許容されたアンロック状態に保持される通常動作モードと、第1の切替指令が入力されてもスリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態に保持される通常動作モードと、が設定されている。これにより、ロック状態に保持される通常動作モードから、外乱の影響等により意図に反してスリープモードに切り替わってしまうことを抑制できる。
【0016】
また、本開示の電気機器(20)は、ロック状態に保持される通常動作モードへ切り替える第3の切替指令は、アンロック状態に保持される通常動作モードへ切り替える第2の切替指令よりも、切替指令の指令入力部への入力時間が長いか又は煩雑となっている。このように、ロック状態に保持される通常動作モードへの切り替えが、アンロック状態に保持される通常動作モードへの切り替えよりも、容易には起こり難い入力形態によって行われるため、スリープモードから、意図に反してロック状態に保持される通常動作モードに切り替わってしまうことも抑制できる。
【0017】
ここで、切替指令は、電波でもよいが、例えば、磁気、可視光線や赤外線を含む光、又は、超音波等の音波等をキャリアとし、指令入力部(30A,30B)に備えたキャリア検出用センサによりキャリアを検出させる構成とすれば(請求項3の発明)、消費電力が抑えられる。特に、磁気をキャリアとした場合、電気機器(20)への入力操作も容易となる。
【0018】
また、電気機器(20)をハウジング(73)に防水状態に収容して使用する場合(請求項9の発明)、製造時に電気回路(77)をスリープモードにしてハウジング(73)内に収容し、電気回路(77)を動作させるときに通常動作モードに切り替えてから使用すれば、電力消費の低減を図ることができる。そして、例えば、請求項10の発明のように、ハウジング(73)に収容した電気機器(20)を動物(10)の胃袋(10S)の内部に投入して使用する場合には、動物(10)の胃袋(10S)への投入時にロック状態に保持される通常動作モードに切り替えればよい。
【0019】
ここで、動物(10)の胃袋(10S)として、例えば、反芻動物の胃袋(10S)に投入する場合、飼料中に混入した金属異物(釘や針金等)を飼料と共に胃袋内に摂取して創傷性疾患を発症することがある。そのため、動物(10)の胃袋(10S)に予め金属異物除去用の磁石を投入して、摂取した金属異物を吸着させることがある。このとき、電気機器(20)の電気回路(77)の動作状態を切り替えるための切替指令が磁気をキャリアとしていた場合に、胃袋(10S)内で、電気機器(20)が金属異物除去用の磁石の磁気を検出し、電気回路(77)の動作状態が意図に反して切り替わってしまうことがある。これに対して、本開示の電気機器(20)は、ロック状態に保持される通常動作モードに切り替えることができるので、胃袋(10S)内部で金属異物除去用の磁石の磁気を検出してもスリープモードに切り替わることが抑制され、動物(10)の胃袋(10S)の内部で電気機器(20)を安定して動作させることができる。
【0020】
また、切替指令の指令内容は、請求項4の発明のように、キャリア検出用センサ(30A,30B)によりキャリアが検出され続ける時間である検出長の相違によって異ならせてもよいし、請求項6の発明のように、キャリア検出用センサを複数備えて、何れのキャリア検出用センサ(30A,30B)にキャリアが検出されたかによって異ならせてもよい。
【0021】
そして、検出長の相違によって切替指令の指令内容を異ならせる場合には、例えば、検出長が予め定められた基準長(T1)未満の切替指令を第2の切替指令とし、基準長(T1)以上の切替指令を第3の切替指令とすることができる(請求項5の発明)。このとき、第1の切替指令と第2の切替指令は同じであってもよいし、異ならせてもよい。さらに、検出長が第3の切替指令と同じかそれ以上である第4の切替指令を設けて、第4の切替指令が入力されたときにロック状態の通常動作モードをスリープモードに切り替えるようにしてもよい。
【0022】
また、請求項7の発明のように、無線回路(76)を備えて、無線通信に使用するチャンネル(CH1,CH2)の切り替えを、何れのキャリア検出用センサ(30A,30B)にキャリアが検出されたかによって判別してもよい。このとき、請求項8に開示の電気機器(20)のように、第1と第2のキャリア検出用センサ(30A,30B)を備えると共に、無線通信に使用するチャンネルとして第1と第2のチャンネル(CH1,CH2)を備え、検出長の相違と、キャリアを検出したキャリア検出用センサが第1と第2の何れであるかの相違と、のうち、一方の相違によって第2の切替指令と第3の切替指令とを判別し、他方の相違によって、第1と第2の何れのチャンネルを使用するかを判別するようにしてもよい。このように、複数のキャリア検出用センサを備えて、キャリア検出用センサの組み合わせと磁気を連続して検出する時間を変化させれば、電気回路の動作状態だけではなく、チャンネルの切り替えも同時に行うことができる。
【0023】
また、請求項2の発明のように、電気回路(77)の動作状態が、スリープモードと通常動作モードの何れの動作状態に切り替わったかを異なる点灯パターンで報知する点灯報知部(78A,78B)を備えれば、電気機器(20)の外側から電気回路(77)の動作状態の切り替わりを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一実施形態に係る監視システムの全体構成を示す概略図
【
図3】子機端末の(A)正面図、(B)側面図、(C)背面図
【
図4】子機端末の(A)
図3(B)をA方向から見た図、(B)
図3(B)をB方向から見た図、(C)
図3(A)におけるC-C断面図、(D)
図4(C)におけるD-D断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の監視システム100に係る一実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。
図1に示した本実施形態の監視システム100は、監視対象物である複数頭の牛10の胃袋10S(具体的には、第1胃又は第2胃)内に留置される複数の子機端末20と、親機端末40と、監視端末50と、を有している。これらは、無線基地局400,401を含んだ通信ネットワーク101を介して接続されていて、複数の子機端末20が牛10の胃袋10S内の状態に関するデータを取得して無線送信し、それらデータが親機端末40で受信されて監視端末50に集められる。なお、子機端末20が特許請求の範囲の「電気機器」に相当する。
【0026】
図2に示すように、子機端末20は、圧力センサ70、回路基板71及び電池72等を備え、それらは、胃袋10S内の胃酸等から保護するため、ハウジング73の内部に、防水状態に密閉収容されている。
【0027】
ハウジング73は、例えば、樹脂の成形品であって、
図3,4に示すように、一端から他端に向かうにつれて徐々に縮径された両端有底の円筒状をなし(
図3における左側が一端側)、軸方向で面対称な形状をなしている。また、
図3(A),(B)に示すように、ハウジング73の外周面には、軸方向に平坦にカットされてなる帯状の1対の平坦面73Hが形成されている。1対の平坦面73Hには、それぞれ、図示しないが、後述する第1検知領域79A、第2検知領域79Bが設けられている。なお、ハウジング73の外周面と、平坦面73Hとの間の段差部73A,73Bは、傾斜面となっている(
図4(B),(C)参照)。
【0028】
圧力センサ70は、
図2に示すように、その受圧面70Aがハウジング73の外部に露出していて、圧力センサ70と計測回路74とを含んでなる計測部21により、牛10の状態の1つである胃袋10S内の圧力を計測する。圧力センサ70が、特許請求の範囲の「監視用センサ」に相当する。
【0029】
回路基板71には、発振回路75、無線回路76及び制御回路77等が実装されている。発振回路75は、発振子を主要部として備え、無線のキャリアや時間計測の元となる周期信号を無線回路76及び制御回路77に付与する。無線回路76は、無線信号の送信と受信とを行い、例えば、回路基板71にプリントされたコイルアンテナであるアンテナ29を有する。本実施形態では、無線回路76が通信時に使用できるチャンネルが複数用意され、周辺の使用状況に応じて、一つを選択して使用するようになっている。本実施形態では、チャンネルCH1,CH2から一つを選択して使用する。
【0030】
また、回路基板71には、磁気センサ30A,30Bが実装されている。磁気センサ30A,30Bは、例えば、ホールIC等のホール素子で構成され、本実施形態では、S極又はN極の両方を検出する両極検出型のホール素子が用いられている。磁気センサ30A,30Bは、それぞれ、前述の第1検知領域79A、第2検知領域79Bに近接する位置に配置され、第1検出領域79A、第2検出領域79Bに、例えば、磁石等が近づけられたときにそれぞれ磁気を検出する。磁気センサ30A,30Bは、検出した磁気を、磁気検出信号として制御回路77に出力する。磁気センサ30A,30Bとしては、ホール素子の代わりに、例えば、リードスイッチ、コイル、磁気抵抗素子、超伝導粒子干渉素子等を用いてもよい。磁気センサ30A,30Bが、特許請求の範囲の「指令入力部」、「キャリア検出用センサ」に相当する。
【0031】
また、回路基板71には、LED素子78A,78Bも実装されている。LED素子78A,78Bは、後述するが、その点灯や点滅のパターンによって、後述する子機端末20の動作状態の切り替わりを外部に報知する。本実施形態では、LED素子78A,78Bは、それぞれ、赤色、青色の可視光を発する。ここで、ハウジング73は、少なくとも一部が透光性を有し、LED素子78A,78Bから発せられる光を透過するようになっている。なお、LED素子78A,78Bの代わりに、有機EL素子を実装してもよい。LED素子78A,78Bが、特許請求の範囲の「点灯報知部」に相当する。
【0032】
制御回路77は、
図2に示すように、CPU22Aとメモリ22Bを含んでなるマイコン22を主要部として備える。CPU22Aは、計測回路74、発振回路75、無線回路76、LED素子78A,78B等に接続されて、それらを制御して所定の送信処理プログラム等を実行する。また、CPU22Aの割り込み端子には、磁気センサ30A,30Bが接続されていて、磁気センサ30A,30Bが磁気を検出したときにその磁気検出が割り込み信号となり、CPU22Aが割り込み処理により後述するモード制御プログラムPG1を実行する。メモリ22Bには、各子機端末20毎に設定された識別番号や、送信処理プログラム及びモード制御プログラムPG1等が記憶されている。
【0033】
制御回路77は、電池72から受電して動作し、その動作状態は、CPU22Aが割り込み処理によりモード制御プログラムPG1を実行したときに、通常動作モードと、消費電力を抑えたスリープモードとに切り替えられるようになっている。制御回路77がスリープモードに切り替えられたときに、CPU22A、磁気センサ30A,30B、LED素子78A,78B以外への給電は停止される。そして、制御回路77が通常動作モードに切り替えられたときに、計測回路74、発振回路75、無線回路76等への給電が開始され、CPU22Aが送信処理プログラムを所定周期で繰り返して実行する。制御回路77が、特許請求の範囲の「電気回路」に相当する。
【0034】
図5には、子機端末20の制御上の構成がブロック図にして示されている。上述した子機端末20の構造の説明で言及されていないトリガ生成部23、データ生成部24、データ送信部25等は、送信処理プログラムを実行したときのCPU22Aによって構成される。また、モード切替部32、チャンネル切替部33、ロック切替部34、報知制御部35等は、モード制御プログラムPG1を実行したときのCPU22Aによって構成される。
【0035】
具体的には、CPU22Aが信号処理プログラムを実行すると、子機端末20は、以下のように動作する。まず、トリガ生成部23にて、一定期間(例えば、1[分])毎に計測トリガが生成され、それら計測トリガが生成される毎に圧力センサ70による圧力計測が行われる。そして、データ生成部24は、計測回路74から圧力センサ70の計測結果を受け取ってデジタル信号化して圧力データD1を生成し、データ送信部25に付与する。
【0036】
データ送信部25は、予め定められたデータ長さのデータフレームに、子機端末20の識別番号と圧力データD1とを格納して送信データD2を生成する。ここで、メモリ22Bは、データ生成部24が生成した圧力データD1をメモリ22Bに一時的に蓄積するようになっており、データ送信部25は、メモリ22Bから読み出した複数の圧力データD1を送信データD2に格納する(本実施形態では、例えば、10個の圧力データD1を格納する)。そして、トリガ生成部23にて、所定の周期(例えば、10[分])毎に送信トリガが生成され、送信トリガが生成される毎に、データ送信部25は、生成した送信データD2を無線回路76を使用して無線送信する。そして、複数の子機端末20が無線送信した送信データD2は、1つの親機端末40で受信される。ここで、データ送信部25は、送信トリガが生成される毎に同一の送信データD2を、複数回送信するようになっていて、これにより、ある子機端末20の送信データD2の送信タイミングと、他の子機端末20の送信タイミングとが重なる等して親機端末40に受信されないという事態が抑制されるようになっている。本実施形態では、例えば、0.6[秒]間隔で5回送信する。なお、子機端末20には、圧力センサ70の他に、温度センサや加速度センサが備えられていてもよく、牛10の状態として胃袋10S内の圧力以外の情報も無線送信する構成であってもよい。なお、データ送信部25は、特許請求の範囲の「無線制御部」に相当する。
【0037】
親機端末40は、中継基地局としての機能と、プロトコル変換の機能を備えていて、例えば、複数の牛10を飼育している牛舎や牧場に設置されている。そして、親機端末40は、子機端末20から受信した送信データD2を汎用通信回線300を介して監視端末50に送信する。本実施形態では、1つの親機端末40が1つの監視端末50に接続されているが、例えば牛舎や牧場毎に親機端末40を設置し、複数の親機端末40が1つの監視端末50に接続されていてもよい。
【0038】
監視端末50は、サーバコンピュータやパーソナルコンピュータ等のコンピュータによって構成されており、例えば、子機端末20からの送信データD2に含まれる圧力データD1に基づいて、異常のある牛10の子機端末20を判別し、ユーザ端末60に通知する(
図1参照)。なお、監視端末50は、複数のサーバーからなるクラウドサーバーでもよい。
【0039】
モード制御プログラムPG1は、前述したように、制御回路77の動作状態を、送信処理プログラムを実行する計測回路74、発振回路75、無線回路76等への給電を行う通常動作モードと、それらへの給電を停止するスリープモードとに切り替える。ここで、子機端末20は、前述したように、ハウジング73が密閉構造となっているが、子機端末20に備えた磁気センサ30A,30Bが磁気検出したときにモード制御プログラムPG1が実行するので、外側から磁石等を近づけるだけで非接触で制御回路77の動作状態を切り替えることができる。従って、例えば、子機端末20を製造後、子機端末20の出荷時等牛10の状態に関するデータの取得と無線送信を行う必要がないときには、制御回路77の動作状態をスリープモードに設定しておき、牛10の胃袋10Sに投入するときには通常動作モードに切り替えることができる。
【0040】
具体的には、磁気センサ30A,30Bに磁石の磁気が切替指令として入力され、その磁気検出が割り込み信号となり、CPU22Aが割り込み処理によりモード制御プログラムPG1を実行する。また、本実施形態では、磁気センサ30Aからの割り込み信号が無線回路76が通信時に使用するチャンネルをチャンネルCH1に設定する信号となり、磁気センサ30Bからの割り込み信号がチャンネルCH2に設定する信号にもなっている。
【0041】
さらに、本実施形態では、磁気検出センサ30A,30Bが磁気を検出してもそれ以後スリープモードに切り替わることを禁止された通常動作モードに切り替えることが可能となっている。以下、スリープモードに戻されることを禁止された通常動作モードを「ロック状態の通常動作モード」といい、スリープモードに戻されることを許容された通常動作モードを「アンロック状態の通常動作モード」ということとする。ロック状態の通常動作モードに切り替わったときには、そのとき設定されているチャンネルもそれ以後切り替えることが禁止されたロック状態に保持される。なお、制御回路77がスリープモードに切り替えられたときに、磁気検出センサ30A,30Bへの給電は停止されないが、ロック状態の通常動作モードに切り替わったときには磁気検出センサ30A,30Bへの給電は停止される。
【0042】
モード制御プログラムPG1が実行されると、
図5に示すように、CPU22Aは切替判別部31、モード切替部32、チャンネル切替部33、ロック切替部34、報知制御部35、状態記憶部36等として機能する。状態記憶部36は、制御回路77の動作状態及び設定されているチャンネルを記憶する。具体的には、後述する切替判別部31、モード切替部32、チャンネル切替部33、ロック切替部34が処理を実行することにより制御回路77の動作状態及びチャンネルが設定され、設定される度に更新して記憶する。
【0043】
切替判別部31は、磁気センサ30A,30Bに磁気が入力されたときに実行される。切替判別部31は、第1判別部31A、第2判別部31B、第3判別部31Cを有し、何れの判別結果も状態記憶部36に記憶される。
【0044】
第1判別部31Aは、状態記憶部36から、現在の制御回路77の動作状態と、設定されているチャンネルを判別する。
【0045】
第2判別部31Bは、磁気センサ30A,30Bの何れに磁気が検出されたかを判別すると共に、その検出した磁気が示す切替指令の内容がモードの切り替えを指令するモード切替指令か、チャンネルの切り替えを指令するチャンネル切替指令かを判別する。具体的には、状態記憶部36に記憶されている前回の第2判別部31Bの判別結果と比較し、今回磁気検出をした磁気センサ30A,30Bが、前回磁気検出をした磁気センサ30A,30Bと同じである場合には、モード切替指令と判別し、前回磁気検出をした磁気センサ30A,30Bと異なる場合には、チャンネル切替指令と判別する。なお、モード切替指令が、特許請求の範囲の「第1の切替指令」又は「第2の切替指令」に相当する。
【0046】
第3判別部31Cは、検出した磁気が示す切替指令の内容がロック状態の通常動作モードへの切り替えを指令するロック切替指令か否かを判別する。具体的には、磁気センサ30A,30Bに磁気が検出され続ける磁気検出時間が、第1基準時間T1(例えば、5[秒])以上である場合にロック切替指令と判別し、第1基準時間T1未満である場合には、ロック切替指令ではなく、その後の制御回路77の動作状態の切り替えを許容するアンロック状態に保持するアンロック指令と判別する。なお、磁気検出時間が特許請求の範囲の「検出長」、第1基準時間T1が特許請求の範囲の「基準長」、ロック切替指令が特許請求の範囲の「第3の切替指令」に相当する。
【0047】
モード切替部32は、第1判別部31A及び第2判別部31Bの判別結果に基づいて、制御回路77の動作状態を切り替える。具体的には、磁気センサ30A,30Bのうち何れか一方が連続して磁気を検出したときに(モード切替指令)、通常動作モードとスリープモードとを切り替える。つまり、例えば、現在の制御回路77の動作状態が通常動作モードの場合、前回の磁気検出が磁気センサ30Aで、今回の磁気検出も磁気センサ30Aであれば、スリープモードに切り替える。このとき、今回の磁気検出が磁気センサ30Bのときは、チャンネル切替指令であるので、モードの切り替えは行わず、通常動作モードのまま保持し、後述するチャンネル切替部33によりチャンネルを切り替える。
【0048】
但し、本実施形態では、現在の制御回路77の動作状態がスリープモードの場合には、モード切替指令であってもチャンネル切替指令であっても、通常動作モードに切り替える。
【0049】
また、現在の制御回路77の動作状態がロック状態の通常動作モードの場合には、スリープモードへの切り替わりが禁止されているので、動作状態の切り替えは行わず、ロック状態の通常動作モードが維持される。
【0050】
チャンネル切替部33は、第1判別部31A及び第2判別部31Bの判別結果に基づいて、無線回路76が通信時に使用するチャンネルを設定する。前述したように、磁気検出した磁気センサ30A,30Bが何れであるかによって使用する無線チャンネルCH1,CH2が何れかに設定できるようになっていて、本実施形態では、磁気センサ30Aが磁気を検出したときにチャンネルCH1が設定され、磁気センサ30Bが磁気を検出したときにチャンネルCH2が設定される。従って、前回磁気検出をした磁気センサ30A,30Bと今回検出した磁気センサ30A,30Bとが異なるときに(チャンネル切替指令)、チャンネルの切り替えが行われ、磁気センサ30A,30Bのうち何れか一方が連続して磁気を検出したときには(モード切替指令)、前回設定したチャンネルが維持される。
【0051】
ロック切替部34は、モード切替部32とチャンネル切替部33が実行されたあとに、第3判別部31Cの判別結果に基づいて、ロック状態の通常動作モードに切り替えるか否かを決定する。具体的には、磁気検出時間が第1基準時間T1以上であったときに(ロック切替指令)、それ以後スリープモードに切り替えできないロック状態の通常動作モードに切り替える。このとき、モード切替部32によりスリープモードに切り替えられていた場合にもロック状態の通常動作モードに切り替える。一方、磁気検出時間が第1基準時間T1未満であったときには(アンロック指令)、モード切替部32が切り替えた動作状態を保持する。
【0052】
また、第3判別部31Cの判別結果に基づいて、ロック切替指令であった場合には、チャンネル切替部33によって設定されたチャンネルもそれ以後変更ができないロック状態に保持し、アンロック指令であった場合には、設定されたチャンネルを、その後の磁気センサ30A,30Bの磁気検出によりチャンネルの切り替えが可能な状態に保持する。
【0053】
このようにして設定された制御回路77の動作状態と設定されたチャンネルは状態記憶部36に記憶される。そして、制御回路77の動作状態が通常動作モードに切り替えられたときには、計測回路74、発振回路75、無線回路76等への給電が開始され、CPU22Aが送信処理プログラムを所定周期で繰り返して実行する。
【0054】
報知制御部35は、LED素子78A,78Bを制御し、切替判別部31の判別結果に基づいて、LED素子78A,78Bの点灯や点滅のパターンを変化させて、制御回路77の動作状態やチャンネルの設定の切り替わりを外部に報知する。
【0055】
詳細には、報知制御部35は、まず、第2判別部31Bに基づいて、磁気センサ30Aが磁気を検出したときにはLED素子78Aを、そして、磁気センサ30Bが磁気を検出したときにはLED素子78Bを、それぞれ、第1間隔(例えば、0.5[秒]間隔)で高速点滅させる。これにより、磁気センサ30A,30Bが磁気を検出して、制御回路77の動作状態及び/又はチャンネルが切り替わることを作業者に報知する。
【0056】
次に、報知制御部35は、第3判別部31Cに基づいて、磁気センサ30A,30Bの磁気検出時間に基づいて点滅状態を変化させる。具体的には、磁気の検出が第1基準時間T1未満で終了した場合、第1判別部31Aから現在の制御回路77の動作状態がスリープモードのときには、LED素子78A,78Bを、第1間隔での高速点滅から、第2間隔(例えば、1.0[秒]間隔)での低速点滅を3回行った後消灯する。一方、現在の制御回路77の動作状態が通常動作モードのときには、第1間隔での高速点滅から、LED素子78A,78Bの両方を一瞬点灯させた後消灯する。これにより、制御回路77の動作状態がスリープモードから通常動作モードへの切り替えか、通常動作モードからスリープモードへの切り替えかを区別して作業者に報知する。
【0057】
また、報知制御部35は、磁気の検出が第1基準時間T1以上続いた場合には、LED素子78A,78Bを、第1間隔での高速点滅状態から、点灯状態に切り替える。さらに、磁気の検出が終了すると、低速点滅を3回行った後消灯する。これにより、制御回路77の動作状態がロック状態の通常動作モードに移行したことを作業者に報知する。また、報知制御部35は、現在の制御回路77の動作状態がロック状態の通常動作モードである場合には、LED素子78A,78Bを消灯状態のままにする。これにより、ロック状態の通常動作モードであることを作業者に報知する。
【0058】
以下、子機端末20のCPU22Aが実行するモード制御プログラムPG1の一例を
図6に示す。モード制御プログラムPG1は、前述したように、磁気センサ30A,30Bが磁気を検出してその磁気検出が割り込み信号としてCPU22Aに入力されたときに実行される(S12でYES)。ここで、制御回路77の動作状態がロック状態の通常動作モードに設定されている場合には、そもそも磁気検出センサ30A,30Bへの給電は停止されて磁気検出されないため、モード制御プログラムPG1は実行されない(S11でYES)。そして、ステップS13で磁気センサ30A,30Bのうち何れが磁気を検出したかが判定され(S13)、磁気センサ30Aの磁気検出に対しては(S13でYES)、LED素子78Aを高速点滅させ(S14)、磁気センサ30Bの磁気検出に対しては(S13でNO)、LED素子78Bを高速点滅させて(S15)、制御回路77の動作状態及び/又はチャンネルが切り替わることを作業者に報知する。
【0059】
次いで、磁気センサ30Aの磁気検出に対しては(S13でYES)、無線回路76に使用するチャンネルをチャンネルCH1に設定し(S16)、磁気センサ30Bの磁気検出に対しては(S13でNO)、チャンネルCH2に設定する(S17)。
【0060】
そして、磁気の検出が第1基準時間T1以上か未満かが判別され(S18,S19)、第1基準時間T1以上であった場合(S18でNO、S19でNO)、磁気センサ30Aの磁気検出に対しては(S18でNO)LED素子78Aを、磁気センサ30Bの磁気検出に対しては(S19でNO)LED素子78Bを、それぞれ、点灯状態に移行後さらに低速点滅3回した後消灯する(S20,S21)。続いて、制御回路77の動作状態をロック状態の通常動作モードに切り替えて(S22)、モード制御プログラムPG1から抜ける。
【0061】
一方、磁気の検出が第1基準時間T1未満であった場合には(S18でYES、S19でYES)、現在の制御回路77の動作状態が判別され(S23,S24)、現在の制御回路77の動作状態がアンロック状態の通常動作モードの場合には(S23でNO,S24でNO)、LED素子78A,78Bの両方を一瞬点灯させた後消灯し(S25,S27)、制御回路77の動作状態をスリープモードに切り替えて(S26,S28)、モード制御プログラムPG1から抜ける。
【0062】
そして、現在の制御回路77の動作状態がスリープモードの場合には(S23でYES,S24でYES)、磁気センサ30Aの磁気検出に対しては(S23でYES)LED素子78Aを、磁気センサ30Bの磁気検出に対しては(S24でYES)LED素子78Bを、それぞれ、低速点滅3回した後消灯する(S29,S31)。続いて、制御回路77の動作状態をアンロック状態の通常動作モードに切り替えて(S30,S32)、モード制御プログラムPG1から抜ける。
【0063】
ここで、ステップS11,S23,S24がCPU22Aの「第1判別部31A」、ステップS13がCPU22Aの「第2判別部31B」、ステップS18,S19がCPU22Aの「第3判別部31C」、ステップS26,S28,S32がCPU22Aの「モード切替部32」、ステップS16,S17がCPU22Aの「チャンネル切替部33」、ステップS22がCPU22Aの「ロック切替部34」、ステップS14,S15,S20,S21,S25,S27、S29,S31がCPU22Aの「報知制御部35」に相当する。
【0064】
本実施形態の監視システム100の構成に関する説明は以上である。本実施形態の子機端末20を複数使用した監視システム100によれば、子機端末20が監視対象物である牛10の胃袋10S内の状態に関するデータを取得して親機端末40に無線送信し、親機端末40から監視端末50に集めるので、複数の牛10の状態の変化を監視端末50にて纏めて監視することができる。
【0065】
本実施形態の子機端末20は、磁気センサ30A,30Bを備え、ハウジング73の外周面に設けられた第1検知領域79A、第2検知領域79Bに磁石が近づけられたときに、その磁石からの磁気を検出して、制御回路77の動作状態を、胃袋10S内の状態に関するデータの取得と無線送信を行う部位への給電を行う通常動作モードと、それらへの給電を停止するスリープモードとに切り替える。これにより、子機端末20を製造後、外部から非接触で動作状態を切り替えることができるので、例えば、子機端末20の出荷時等牛10の状態に関するデータの取得と無線送信を行う必要がないときには制御回路77の動作状態をスリープモードにし、牛10の胃袋10Sに投入するときには通常動作モードに切り替えることができる。
【0066】
ここで、反芻動物である牛10は、飼料中に混入した金属異物(釘や針金等)を飼料と共に胃袋10S内に摂取してしまい、これにより創傷性疾患を発症することがある。そのような疾患の予防のため、牛10の胃袋10Sに予め金属異物除去用の磁石を投入し、摂取してしまった金属異物を磁石に吸着させることがある。このような金属異物除去用の磁石を投入している牛10の胃袋10S内に子機端末20を投入すると、胃袋10S内で、子機端末20の磁気センサ30A,30Bが金属異物除去用の磁石の磁気を検出し、制御回路77の動作状態が意図に反して、通常動作モードからスリープモードに切り替わって胃袋10S内の状態に関するデータの取得と無線送信を行えなくなるという問題がある。これに対して、本実施形態の子機端末20は、磁気検出センサ30A,30Bが磁気を検出してもスリープモードに切り替わることを禁止されたロック状態の通常動作モードに切り替えることが可能となっている。これにより、金属異物除去用の磁石を飲み込んでいる牛10に対しても、子機端末20を、ロック状態の通常動作モードに切り替えてから胃袋10S内に投入することで、胃袋10S内で、磁気センサ30A,30Bが金属異物除去用の磁石の磁気を検出してもスリープモードに切り替わることを抑制でき、胃袋10S内の状態に関するデータの取得と無線送信を安定して行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、ロック状態に保持されないアンロック状態の通常動作モードにも切り替えることができるので、例えば、子機端末20を製造後、牛10の胃袋10Sに投入するまでの間に、必要に応じてスリープモードとの間で切り替えて、無線送信の動作確認等の検査等を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態の子機端末20では、ロック状態の通常動作モードへ切り替えるときは、磁気センサ30A,30Bの磁気の検出が第1基準時間T1以上続いたときであって、アンロック状態の通常動作モードやスリープモードへ切り替えるときよりも、磁気検出時間が長くなっている。このように、ロック状態の通常動作モードへの切り替えが、アンロック状態の通常動作モードやスリープモードへの切り替えよりも、容易には起こり難い磁気の入力形態によって行われるため、外乱の影響を受けて意図に反してロック状態の通常動作モードに切り替わることも抑制できる。
【0069】
また、本実施形態の子機端末20では、2つの磁気センサ30A,30Bを備えて、磁気を検出した磁気センサ30A,30Bが何れであるかによって無線通信のチャンネルCH1,CH2を切り替えることができ、磁気センサ30A,30Bの何れか一方が連続して磁気を検出することで、制御回路77の動作状態をスリープモードと通常動作モードとに切り替えることができるようになっている。さらに、前述したように、磁気を検出し続けた時間の相違によって、ロック状態の通常動作モードへの移行も可能となっている。このように、本実施形態では、複数の磁気センサ30A,30Bを備えて、磁気を検出させる磁気センサ30A,30Bの組み合わせと、磁気を連続して検出する時間を変化させれば、制御回路77の動作状態だけではなく、チャンネルの切り替えも同時に行うことができる。
【0070】
また、本実施形態の子機端末20では、制御回路77の動作状態が、スリープモードと通常動作モードの何れの動作状態に切り替わったかをLED素子78A,78Bで報知する。切り替わるときに、LED素子78A,78Bの組み合わせと、各LED素子78A,78Bの点灯や点灯パターンを変化させるようになっているので、ロック状態の通常動作モードとアンロック状態の通常動作モードとスリープモードとの間の切り替わりを区別して外部に報知することができる。
【0071】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の子機端末20では、制御回路77の動作状態を、アンロック状態の通常動作モードからスリープモードへ切り替えるときと、スリープモードからアンロック状態の通常動作モードへ切り替えるときとで、磁気センサ30A,30Bへの磁気の入力時間が第1基準時間T1未満で共通であったが、異なっていてもよい。
【0072】
(2)前記実施形態の子機端末20では、ロック状態の通常動作モードに切り替えるときと、アンロック状態の通常動作モードに切り替えるときとで、磁気センサ30A,30Bへの磁気の入力時間を異ならせる構成であったが、磁気センサ30A,30Bの磁気の入力形態を時間以外で異ならせてもよく、例えば、磁気センサ30A,30Bに対して異なる間隔で複数回連続して磁気を近づけるようにしてもよい。この場合、ロック状態の通常動作モードに切り替えるときに、通常あり得ないような煩雑な入力形態とすれば、アンロック状態の通常動作モードへの切り替えよりも容易には起こり難い入力形態によって行われるため、この構成によっても意図に反してロック状態の通常動作モードに切り替わることを抑制できる。
【0073】
(3)前記実施形態の子機端末20では、一旦ロック状態の通常動作モードに切り替わると、スリープモードに切り替えることはできない構成であったが、磁気センサ30A,30Bへの磁気の入力時間が第1基準時間T1以上の場合、又はそれ以上に長い第2基準時間、又は、通常あり得ないような煩雑な磁気の入力形態を設定して、その場合にスリープモードに切り替わるようにしてもよい。
【0074】
(4)前記実施形態の子機端末20では、何れの磁気センサ30A,30Bが磁気を検出したかによってチャンネルを切り替え、磁気センサ30A,30Bの何れか一方が連続して磁気を検出することで、制御回路77の動作状態をスリープモードと通常動作モードとに切り替える構成であったが、何れの磁気センサ30A,30Bが磁気を検出したかによって制御回路77の動作状態を切り替え、磁気センサ30A,30Bの何れか一方が連続して磁気を検出することでチャンネルを切り替える構成としてもよい。
【0075】
また、制御回路77の動作状態とチャンネルの切り替えを行うために、磁気を検出させる磁気センサ30A,30Bの組み合わせと、磁気センサ30A,30Bへの磁気の入力形態を異ならせる構成は、前述した構成に限らず、例えば、磁気センサ30A,30Bの一方が磁気を検出したときに、制御回路77の動作状態のみを切り替え、磁気センサ30A,30Bの他方が磁気を検出したときに、チャンネルのみを切り替える構成としてもよい。この場合、磁気センサ30A及び磁気センサ30Bの磁気の検出形態は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、制御回路77の動作状態をロック状態に切り替えたときに、チャンネルもロック状態に保持されるようにしてもよいし、チャンネルのロック状態への切り替えを制御回路77の動作状態のロック状態への切り替えとは別に行ってもよい。
【0076】
(5)前記実施形態の子機端末20は、磁気センサ30A,30Bの磁気検出により無線通信に使用するチャンネルをチャンネルCH1,CH2に切り替える構成であったが、3つ以上のチャンネルに切り替える構成であってもよい。
【0077】
(6)前記実施形態の子機端末20では、チャンネル切替部33を備えて、磁気センサ30A,30Bによる磁気検出により無線通信に使用するチャンネルを切り替える構成であったが、チャンネル切替部33を備えず、磁気検出により制御回路77の動作状態のみを切り替える構成であってもよい。この場合、磁気センサ30A,30Bは1つでもよい。
【0078】
(7)前記実施形態の子機端末20では、制御回路77の動作状態が、スリープモードと通常動作モードの何れの動作状態に切り替わったかをLED素子78A,78Bの点灯や点灯パターンの変化により報知するがこれに限らず、例えば、音声であってもよい。また、ロック状態の通常動作モードに設定されていることのみ報知する構成であってもよい。また、設定されているチャンネルも報知する構成であってもよい。
【0079】
(8)前記実施形態では、子機端末20は、外部からの磁気を検出したときに制御回路77の動作状態や無線通信に使用するチャンネルを切り替える構成であったが、磁気の代わりに電波や、可視光線や赤外線を含む光や、超音波等特殊な波長の音波を検出したときに制御回路77の動作状態や無線通信に使用するチャンネルを切り替える構成としてもよい。
【0080】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0081】
10 牛(動物)
10S 胃袋
20 子機端末(電気機器)
25 データ送信部(無線制御部)
30A,30B 磁気センサ(指令入力部、キャリア検出用センサ)
32 モード切替部
33 チャンネル切替部
70 圧力センサ(監視用センサ)
73 ハウジング
76 無線回路
77 制御回路(電気回路)
78A,78B LED素子(点灯報知部)
CH1,CH2 チャンネル
T1 第1基準時間(基準長)
【手続補正書】
【提出日】2022-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から切替指令が非接触で入力される指令入力部(30A,30B)と、入力された前記切替指令に応じて電気機器(20)の電気回路(71)を通常動作モードとスリープモードとに切り替えるモード切替部(32)と、を備える電気機器(20)において、
前記通常動作モードは、前記スリープモードへの切り替わりが許容されたアンロック状態の前記通常動作モードと、前記スリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態の前記通常動作モードと、を有し、
前記切替指令には、
前記通常動作モードを前記スリープモードに切り替える第1の前記切替指令と、
前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記アンロック状態に保持する第2の前記切替指令と、
前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記ロック状態に保持する第3の切替指令と、が含まれ、
前記第3の切替指令は、前記第2の切替指令より前記指令入力部(30A,30B)への入力時間が長いか又は入力形態が煩雑である電気機器(20)であって、
前記切替指令は、磁気、光又は音波のうちの何れかをキャリアとし、
前記指令入力部(30A,30B)は、前記キャリアを検出するキャリア検出用センサ
(30A,30B)を有し、
前記キャリア検出用センサ(30A,30B)により前記キャリアが検出され続ける時
間である検出長の相違によって前記切替指令の指令内容が相違し、
前記検出長が、予め定められた基準長(T1)未満である前記切替指令は、前記第2の
切替指令であり、前記基準長(T1)以上である前記切替指令は、前記第3の切替指令で
ある電気機器(20)。
【請求項2】
外部から切替指令が非接触で入力される指令入力部(30A,30B)と、入力された
前記切替指令に応じて電気機器(20)の電気回路(71)を通常動作モードとスリープ
モードとに切り替えるモード切替部(32)と、を備える電気機器(20)において、
前記通常動作モードは、前記スリープモードへの切り替わりが許容されたアンロック状
態の前記通常動作モードと、前記スリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態
の前記通常動作モードと、を有し、
前記切替指令には、
前記通常動作モードを前記スリープモードに切り替える第1の前記切替指令と、
前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記アンロック状態に保持する
第2の前記切替指令と、
前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記ロック状態に保持する第3
の切替指令と、が含まれ、
前記第3の切替指令は、前記第2の切替指令より前記指令入力部(30A,30B)へ
の入力時間が長いか又は入力形態が煩雑である電気機器(20)であって、
前記切替指令は、磁気、光又は音波のうちの何れかをキャリアとし、
前記指令入力部(30A,30B)は、前記キャリアを検出するキャリア検出用センサ
(30A,30B)を有し、
無線回路(76)と、
前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された前記切替指令に応じて、前記無
線回路(76)による無線通信のチャンネルを第1又は第2のチャンネル(CH1,CH
2)に切り替えるチャンネル切替部(33)と、
前記キャリア検出用センサとして第1と第2のキャリア検出用センサ(30A,30B
)と、を備え、
前記キャリア検出用センサにより前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の相
違と、前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサが第1と第2の何れであるかの
相違と、のうち一方の相違によって前記第2の切替指令であるか前記第3の切替指令であ
るかが判別され、他方の相違によって前記第1又は第2の何れのチャンネルを使用するか
の指示が判別される電気機器(20)。
【請求項3】
前記電気回路(71)を防水状態に収容するハウジング(73)と、
前記ハウジング(73)の外側の環境に関わる物理量を計測する監視用センサ(70)
と、
前記監視用センサ(70)の計測結果を前記無線回路(76)に無線送信させる無線制
御部(25)と、備える請求項2に記載の電気機器(20)。
【請求項4】
動物(10)の胃袋(10S)の内部に投入されて、前記監視用センサ(70)により
前記胃袋(10S)の内部の環境に関わる物理量を計測する請求項3に記載の電気機器(
20)。
【請求項5】
前記キャリア検出用センサ(30A,30B)により前記キャリアが検出され続ける時
間である検出長の相違によって前記切替指令の指令内容が相違する請求項2から4の何れ
か1の請求項に記載の電気機器(20)。
【請求項6】
前記電気回路(71)が前記通常動作モードと前記スリープモードの何れのモードに切
り替わったかを異なる点灯パターンで以て報知する点灯報知部(78A,78B)を備え
る請求項1から5の何れか1の請求項に記載の電気機器(20)。
【請求項7】
前記キャリア検出用センサ(30A,30B)が複数備えられ、
何れの前記キャリア検出用センサ(30A,30B)に前記キャリアが検出されたかに
よって前記切替指令の指令内容が相違する請求項1から6の何れか1の請求項に記載の電
気機器(20)。
【請求項8】
無線回路(76)と、
前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された前記切替指令に応じて、前記無
線回路(76)による無線通信のチャンネル(CH1,CH2)を切り替えるチャンネル
切替部(33)と、を備え、
前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサ(30A,30B)がどれであるか
によってどのチャンネル(CH1,CH2)の使用の指示かが判別される請求項7に記載
の電気機器(20)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、外部から切替指令が非接触で入力される指令入力部(30A,30B)と、入力された前記切替指令に応じて電気機器(20)の電気回路(77)を通常動作モードとスリープモードとに切り替えるモード切替部(32)と、を備える電気機器(20)において、前記通常動作モードは、前記スリープモードへの切り替わりが許容されたアンロック状態の前記通常動作モードと、前記スリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態の前記通常動作モードと、を有し、前記切替指令には、前記通常動作モードを前記スリープモードに切り替える第1の前記切替指令と、前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記アンロック状態に保持する第2の前記切替指令と、前記スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記ロック状態に保持する第3の切替指令と、が含まれ、前記第3の切替指令は、前記第2の切替指令より前記指令入力部(30A,30B)への入力時間が長いか又は入力形態が煩雑である電気機器(20)であって、前記切替指令は、磁気、光又は音波のうちの何れ
かをキャリアとし、前記指令入力部(30A,30B)は、前記キャリアを検出するキャ
リア検出用センサ(30A,30B)を有し、前記キャリア検出用センサ(30A,30
B)により前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の相違によって前記切替指令
の指令内容が相違し、前記検出長が、予め定められた基準長(T1)未満である前記切替
指令は、前記第2の切替指令であり、前記基準長(T1)以上である前記切替指令は、前
記第3の切替指令である電気機器(20)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項2の発明は、外部から切替指令が非接触で入力される指令入力部(30A,30
B)と、入力された前記切替指令に応じて電気機器(20)の電気回路(71)を通常動
作モードとスリープモードとに切り替えるモード切替部(32)と、を備える電気機器(
20)において、前記通常動作モードは、前記スリープモードへの切り替わりが許容され
たアンロック状態の前記通常動作モードと、前記スリープモードへの切り替わりが禁止さ
れたロック状態の前記通常動作モードと、を有し、前記切替指令には、前記通常動作モー
ドを前記スリープモードに切り替える第1の前記切替指令と、前記スリープモードを前記
通常動作モードに切り替え、前記アンロック状態に保持する第2の前記切替指令と、前記
スリープモードを前記通常動作モードに切り替え、前記ロック状態に保持する第3の切替
指令と、が含まれ、前記第3の切替指令は、前記第2の切替指令より前記指令入力部(3
0A,30B)への入力時間が長いか又は入力形態が煩雑である電気機器(20)であっ
て、前記切替指令は、磁気、光又は音波のうちの何れかをキャリアとし、前記指令入力部
(30A,30B)は、前記キャリアを検出するキャリア検出用センサ(30A,30B
)を有し、無線回路(76)と、前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された
前記切替指令に応じて、前記無線回路(76)による無線通信のチャンネルを第1又は第
2のチャンネル(CH1,CH2)に切り替えるチャンネル切替部(33)と、前記キャ
リア検出用センサとして第1と第2のキャリア検出用センサ(30A,30B)と、を備
え、前記キャリア検出用センサにより前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の
相違と、前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサが第1と第2の何れであるか
の相違と、のうち一方の相違によって前記第2の切替指令であるか前記第3の切替指令で
あるかが判別され、他方の相違によって前記第1又は第2の何れのチャンネルを使用する
かの指示が判別される電気機器(20)である。
請求項3の発明は、前記電気回路(71)を防水状態に収容するハウジング(73)と
、前記ハウジング(73)の外側の環境に関わる物理量を計測する監視用センサ(70)
と、前記監視用センサ(70)の計測結果を前記無線回路(76)に無線送信させる無線
制御部(25)と、備える請求項2に記載の電気機器(20)である。
請求項4の発明は、動物(10)の胃袋(10S)の内部に投入されて、前記監視用セ
ンサ(70)により前記胃袋(10S)の内部の環境に関わる物理量を計測する請求項3
に記載の電気機器(20)である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項5の発明は、前記キャリア検出用センサ(30A,30B)により前記キャリアが検出され続ける時間である検出長の相違によって前記切替指令の指令内容が相違する請
求項2から4の何れか1の請求項に記載の電気機器(20)である。
請求項6の発明は、前記電気回路(71)が前記通常動作モードと前記スリープモード
の何れのモードに切り替わったかを異なる点灯パターンで以て報知する点灯報知部(78
A,78B)を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載の電気機器(20)であ
る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項7の発明は、前記キャリア検出用センサ(30A,30B)が複数備えられ、何れの前記キャリア検出用センサ(30A,30B)に前記キャリアが検出されたかによって前記切替指令の指令内容が相違する請求項1から6の何れか1の請求項に記載の電気機器(20)である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項8の発明は、無線回路(76)と、前記ロック状態ではないことを条件にして、入力された前記切替指令に応じて、前記無線回路(76)による無線通信のチャンネル(CH1,CH2)を切り替えるチャンネル切替部(33)と、を備え、前記キャリアを検出した前記キャリア検出用センサ(30A,30B)がどれであるかによってどのチャンネル(CH1,CH2)の使用の指示かが判別される請求項7に記載の電気機器(20)である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項1及び請求項2に開示の電気機器(20)によれば、指令入力部(30A,30B)に非接触で入力された切替指令に応じて電気回路(77)の動作状態を通常動作モードとスリープモードとに切り替える電気機器(20)において、通常動作モードとして、スリープモードに切り替える第1の切替指令が入力されたときにスリープモードへの切り替わりが許容されたアンロック状態に保持される通常動作モードと、第1の切替指令が入力されてもスリープモードへの切り替わりが禁止されたロック状態に保持される通常動作モードと、が設定されている。これにより、ロック状態に保持される通常動作モードから、外乱の影響等により意図に反してスリープモードに切り替わってしまうことを抑制できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
ここで、切替指令は、電波でもよいが、本開示の電気機器(20)のように、磁気、可視光線や赤外線を含む光、又は、超音波等の音波等をキャリアとし、指令入力部(30A,30B)に備えたキャリア検出用センサによりキャリアを検出させる構成とすれば、消費電力が抑えられる。特に、磁気をキャリアとした場合、電気機器(20)への入力操作も容易となる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、電気機器(20)をハウジング(73)に防水状態に収容して使用する場合(請求項3の発明)、製造時に電気回路(77)をスリープモードにしてハウジング(73)内に収容し、電気回路(77)を動作させるときに通常動作モードに切り替えてから使用すれば、電力消費の低減を図ることができる。そして、例えば、請求項4の発明のように、ハウジング(73)に収容した電気機器(20)を動物(10)の胃袋(10S)の内部に投入して使用する場合には、動物(10)の胃袋(10S)への投入時にロック状態に保持される通常動作モードに切り替えればよい。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
また、切替指令の指令内容は、請求項1及び請求項5の発明のように、キャリア検出用センサ(30A,30B)によりキャリアが検出され続ける時間である検出長の相違によって異ならせてもよいし、請求項7の発明のように、キャリア検出用センサを複数備えて、何れのキャリア検出用センサ(30A,30B)にキャリアが検出されたかによって異ならせてもよい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
そして、検出長の相違によって切替指令の指令内容を異ならせる場合には、請求項1の
発明のように、検出長が予め定められた基準長(T1)未満の切替指令を第2の切替指令とし、基準長(T1)以上の切替指令を第3の切替指令とすることができる。このとき、第1の切替指令と第2の切替指令は同じであってもよいし、異ならせてもよい。さらに、検出長が第3の切替指令と同じかそれ以上である第4の切替指令を設けて、第4の切替指令が入力されたときにロック状態の通常動作モードをスリープモードに切り替えるようにしてもよい。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
また、請求項8の発明のように、無線回路(76)を備えて、無線通信に使用するチャンネル(CH1,CH2)の切り替えを、何れのキャリア検出用センサ(30A,30B)にキャリアが検出されたかによって判別してもよい。このとき、請求項2に開示の電気機器(20)のように、第1と第2のキャリア検出用センサ(30A,30B)を備えると共に、無線通信に使用するチャンネルとして第1と第2のチャンネル(CH1,CH2)を備え、検出長の相違と、キャリアを検出したキャリア検出用センサが第1と第2の何れであるかの相違と、のうち、一方の相違によって第2の切替指令と第3の切替指令とを判別し、他方の相違によって、第1と第2の何れのチャンネルを使用するかを判別するようにしてもよい。このように、複数のキャリア検出用センサを備えて、キャリア検出用センサの組み合わせと磁気を連続して検出する時間を変化させれば、電気回路の動作状態だけではなく、チャンネルの切り替えも同時に行うことができる。