(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136525
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
G21F 9/30 20060101AFI20230922BHJP
G21C 19/07 20060101ALI20230922BHJP
G21C 19/32 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G21F9/30 531K
G21C19/07
G21C19/32
G21F9/30 531E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042250
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591130319
【氏名又は名称】東京パワーテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518310905
【氏名又は名称】株式会社WINビジネスデベロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】府川 慶太
(72)【発明者】
【氏名】土井 秀信
(72)【発明者】
【氏名】渡部 拓史
(72)【発明者】
【氏名】長崎 正裕
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊克
(57)【要約】
【課題】燃料貯蔵ラックから使用済み燃料を取り出す際の障害物を安全に除去可能な装置を提供する。
【解決手段】複数のラックセルから構成される燃料貯蔵ラックから使用済み燃料を取り出す際の障害となる物体を除去するための切削装置Xであって、装置本体1と、固定機構2と、制御部3と、を備え、装置本体1は、移動機構11と、切削機構12を有し、移動機構11は、切削機構12を3次元的に移動可能に構成され、切削機構12は、略棒状の切削具本体12aを含み、切削具本体12aは、その長手方向に略直交する方向を切削可能に構成され、固定機構2は、装置本体1を燃料貯蔵ラックに固定可能に構成され、制御部3は、固定機構2と、前記移動機構11と、切削機構12と、を遠隔操作可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラックセルから構成される燃料貯蔵ラックから使用済み燃料を取り出す際の障害となる物体を除去するための切削装置であって、
装置本体と、固定機構と、制御部と、を備え、
前記装置本体は、移動機構と、切削機構を有し、
前記移動機構は、前記切削機構を3次元的に移動可能に構成され、前記切削機構は、切削具本体を含み、
前記固定機構は、前記装置本体を前記燃料貯蔵ラックに固定可能に構成され、
前記制御部は、前記固定機構と、前記移動機構と、前記切削機構と、を遠隔操作可能に構成されている、切削装置。
【請求項2】
前記切削具本体は、略棒状であって、その長手方向に略直交する方向を切削可能に構成されている、請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記切削機構を各軸上で直線的に移動させるための、X軸移動装置と、Y軸移動装置と、Z軸移動装置と、を含む、請求項1又は2に記載の切削装置。
【請求項4】
前記X軸移動装置と、前記Y軸移動装置と、前記Z軸移動装置と、は前記噴射機構の各軸上の移動量を計測可能な計装部をそれぞれ含み、
前記計装部は、これに対して圧縮気体を注入可能に構成されている、請求項3に記載の切削装置。
【請求項5】
前記切削機構は、前記切削具本体の切削対象箇所を撮影可能なカメラ部を含み、
前記カメラ部は、複数のカメラ本体と、カメラ固定部と、を含み、前記カメラ固定部は、前記複数のカメラ本体の配置を変更可能に構成されている、請求項1~4の何れかに記載の切削装置。
【請求項6】
前記制御部は、入力された切削パラメータに基づいて、前記移動機構及び前記切削機構を自動制御可能に構成されている、請求項1~5の何れかに記載の切削装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記移動機構を寸動操作可能に構成されている、請求項1~6の何れかに記載の切削装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記切削機構が前記装置本体の重心位置に来るように、前記移動機構を自動制御可能に構成されている、請求項1~7の何れかに記載の切削装置。
【請求項9】
前記固定機構は、複数の主固定装置を有し、
前記複数の主固定装置は、前記ラックセル内に挿入可能な略柱状体である、請求項1~8の何れかに記載の切削装置。
【請求項10】
前記複数の主固定装置は、該主固定装置を前記ラックセル内に固定するための補助固定装置を含む、請求項9に記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み燃料取り出し作業時の障害物を除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2011年3月に発生した東日本大震災の影響により、福島第一原子力発電所3号機では水素爆発が起こり、爆発によって破損した原子炉建屋の破片は、使用済み燃料プール内の燃料貯蔵ラック上にガレキとなって散乱した。
【0003】
ガレキは、燃料集合体を覆っているチャンネルボックスと、チャンネルボックスと燃料集合体を締結しているチャンネルファスナの隙間、及びチャンネルボックスとラックセルの隙間に入り込み、使用済み燃料を取り出す作業の妨げになっていた。
【0004】
しかしながら、使用済み燃料プール内の水深約7m地点という特殊な場所に位置する燃料貯蔵ラック上で、チャンネルボックスとチャンネルファスナの隙間、及びチャンネルボックスとラックセルの隙間に入り込んだガレキを、安全に除去するのに好適な装置はかつて存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、燃料貯蔵ラックから使用済み燃料を取り出す際の障害物を安全に除去可能な装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のラックセルから構成される燃料貯蔵ラックから使用済み燃料を取り出す際の障害となる物体を除去するための切削装置であって、
装置本体と、固定機構と、制御部と、を備え、前記装置本体は、移動機構と、切削機構を有し、
前記移動機構は、前記切削機構を3次元的に移動可能に構成され、前記切削機構は、略棒状の切削具本体を含み、
前記切削具本体は、その長手方向に略直交する方向を切削可能に構成され、前記固定機構は、前記装置本体を前記燃料貯蔵ラックに固定可能に構成され、
前記制御部は、前記固定機構と、前記移動機構と、前記切削機構と、を遠隔操作可能に構成されている。
【0008】
本発明によれば、制御部からの遠隔操作で、略棒状の切削具が狭隘箇所に入り込む形で切削ができるため、燃料貯蔵ラックに収められたチャンネルボックスを破損することなく、障害物を安全に切削除去することが可能である。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記移動機構は、前記切削機構を各軸上で直線的に移動させるための、X軸移動装置と、Y軸移動装置と、Z軸移動装置と、を含む。
【0010】
このような構成とすることで、格子状に配列した複数のラックセルから構成される燃料貯蔵ラック上で、障害物の除去作業を効率よく行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記X軸移動装置と、前記Y軸移動装置と、前記Z軸移動装置と、は前記切削機構の各軸上の移動量を計測可能な計装部をそれぞれ含む。
【0012】
このような構成とすることで、切削機構の空間位置を空間座標に表し、数値的に把握することができるため、作業の正確性や効率が向上する。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記計装部は、これに対して圧縮気体を注入可能に構成されている。
【0014】
このような構成とすることで、圧縮気体の注入によって計装部の内圧を外部の水圧よりも高く保つことができ、計装部内への浸水、ひいては計装機器類の水没故障を防止することが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記切削機構は、前記切削具本体の切削対象箇所を撮影可能なカメラ部を含む。
【0016】
このような構成とすることで、使用者は、障害物やチャンネルボックスの状態を視覚的に確認しつつ、安全に障害物の除去作業を行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記カメラ部は、複数のカメラ本体と、カメラ固定部と、を含み、前記カメラ固定部は、前記複数のカメラ本体の配置を変更可能に構成されている。
【0018】
このような構成とすることで、装置の設置向きを変えた場合にも、各向きに合わせてカメラを配置することが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、入力された切削パラメータに基づいて、前記移動機構及び前記切削機構を自動制御可能に構成されている。
【0020】
このような構成とすることで、予め入力した切削パラメータに基づいて、障害物の切削作業が自動的に行われるため、手動では難しい微細な切削ができる。これにより、切削具本体の振動やチャンネルボックスの巻き込み等を防止することが可能となる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、前記移動機構を寸動操作可能に構成されている。
【0022】
このような構成とすることで、切削開始位置の微調整を容易に行うことができるため、作業の正確性、安全性が向上する。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記制御部は、前記切削機構が前記装置本体の重心位置に来るように、前記移動機構を自動制御可能に構成されている。
【0024】
このような構成とすることで、本装置をクレーン設置する際の重心調整が容易に行われるため、クレーン作業の安全性や効率が向上する。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記固定機構は、複数の主固定装置を有し、前記複数の主固定装置は、前記ラックセル内に挿入可能な略柱状体である。
【0026】
このような構成とすることで、ラックセルに主固定装置を挿入することで、本発明に係る装置を燃料貯蔵ラックに簡単に設置することができる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記複数の主固定装置は、該主固定装置を前記ラックセル内に固定するための補助固定装置をそれぞれ含む。
【0028】
このような構成とすることで、ラックセルに挿入された主固定装置がより強く固定されるため、本発明に係る装置は、切削時の反力にも十分耐えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、燃料貯蔵ラックから使用済み燃料を取り出す際の障害物を安全に除去可能な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係る切削装置の概略斜視図及び側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る切削機構の斜視図、平面図及びカメラ配置例である。
【
図3】本発明の実施形態に係る切削作業の例である。
【
図4】本発明の実施形態に係る固定機構の概略図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る制御部に表示される操作画面の例である。
【
図6】本発明の実施形態に係る制御部に表示される操作画面の例である。
【
図7】本発明の実施形態に係る制御部に表示される操作画面の例である。
【
図8】本発明の実施形態に係る制御部に表示される操作画面の例である。
【
図9】本発明の実施形態に係る切削装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、
図1~
図9を用いて本発明の実施形態に係る切削装置について説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、符号Xは本発明の実施形態に係る切削装置を指す。
【0032】
なお、
図1~
図9において、圧縮気体や作動油等を各部へ供給するための管や、映像その他の信号伝送、電源供給等のための配線等は描画を省略しているが、これらの管及び配線の適切な接続関係は当業者であれば容易に理解される。
【0033】
図1(A)に示すように、切削装置Xは、装置本体1と、固定機構2と、制御部3と、を備える。
【0034】
装置本体1は、移動機構11と、切削機構12と、を有し、移動機構11は、X軸移動装置11aと、Y軸移動装置11bと、Z軸移動装置11cと、を含む。切削機構12の詳細は後述する。
【0035】
X軸移動装置11aは、油圧モータomと、計装部isと、ボールねじbsと、スライドレールsrを含む。
【0036】
即ち、X軸移動装置11aは、油圧モータomの回転運動を、ボールねじbsによって直線運動に変換することで、Y軸移動装置11bと、Z軸移動装置11cと、切削機構12と、をX軸方向に直線移動させることができる。また、スライドレールsrは、この直線移動を補助する。
【0037】
また、計装部isは、油圧モータomの回転量等からX軸移動量を計測することができるため、これらに基づいて切削機構12のX座標を計測することが可能である。
【0038】
また、計装部isは、接続口cnを含み、この部分から圧縮気体を計装部isの内部に注入することが可能である。これにより、計装部isの内圧を外圧よりも高い状態に維持し、特に水中においては計装部is内への浸水を防ぐことができる。
【0039】
なお、Y軸移動装置11bと、Z軸移動装置11cについても、X軸移動装置11aと同様の構成により実現されている。
【0040】
Y軸移動装置11bは、Z軸移動装置11cと、切削機構12と、をY軸方向に直線移動させることができ、計装部isによって切削機構12のY座標を計測することが可能である。
【0041】
Z軸移動装置11cは、切削機構12をZ軸方向に直線移動させることができ、計装部isによって切削機構12のZ座標を計測することが可能である。
【0042】
よって、X軸移動装置11aと、Y軸移動装置11bと、Z軸移動装置11cと、が協働することで、切削機構12を3次元的に移動可能であると共に、各装置の計装部isが計測した各軸上の移動量から、切削機構12の空間座標を計測することができる。
【0043】
固定機構2は、略柱状体の第一主固定装置21と、第二主固定装置22と、を有し、これらは、土台baを介して装置本体1に取り付けられている。
【0044】
制御部3は、装置本体1及び固定機構2への電源供給を制御するためのメインブレーカと、その他の操作を制御するためのタッチパネル(図示せず)を有し、装置本体1及び固定機構2とは離れた場所に設置される。
【0045】
図1(B)は、A-A′方向から本装置Xを見た、本装置Xの側面図(一部省略)である。第一主固定装置21は、複数の柱状体21aと、補助固定装置21bと、を含み、第二主固定装置22についても、同様に複数の柱状体22aと、補助固定装置22bと、を含む。
【0046】
図2(A)及び(B)に示すように、切削機構12は、切削具本体12aと、カメラ部12bを含む。その他に、切削具本体12aを回転駆動するための油圧モータomを含む。
【0047】
なお、切削具本体12aは、グラインダー形状のもので横回転、縦回転を可能とする構成でもよいが、狭隘箇所に入り込みやすく、繊細な加工が可能なエンドミルが好適に用いられる。
【0048】
カメラ部12bは、複数のカメラ本体12b11、12b12、12b13と、複数のカメラ固定部12b21、12b22、12b23、12b24、12b25と、をそれぞれ含む。
なお、各カメラ本体と、映像信号の伝送線には、一般的な水中カメラ及びその付属品を好適に用いることができる。
【0049】
また、
図2(C)に示すように、カメラ本体12b11、12b12、12b13の位置を、複数のカメラ固定部12b21、12b22、12b23、12b24、12b25の何れかから選択し、切削機構12の向きに応じた最適な配置にすることが可能である。
【0050】
図3(A)は障害物の除去作業の様子を上から見た図であり、使用済み燃料を覆っているチャンネルボックスfbは、その上端の一つの角に位置するチャンネルファスナcfによって燃料集合体に締結されている。
チャンネルファスナcfは、チャンネルボックスfbと燃料集合体とをそのスクリューネジで結合する他に、原子炉内においては燃料集合体の相互間隔を保持する目的の二辺一対の板バネを有する機器である。
【0051】
図3(B)は、作業の様子を横から見た図である。
燃料ラックの上部にあるラックガイド部Lgは、ラックセル内径より狭くなっており、通常の燃料取り出し時にはチャンネルファスナcfの板バネがラックガイド部Lgに接触して押されて内側にたわみながら燃料が取り出される。
しかし、
図3(B)に示すように、チャンネルファスナcfの板バネ内側に障害物obが入り込むと、燃料引き上げ時にラックガイド部Lgがファスナの板バネに接触しても障害物obのせいで板バネが押し下げられずラックガイド部Lgを通過できない。
【0052】
即ち、チャンネルファスナcfとチャンネルボックスfbの隙間に障害物obが入り込むと、これらがラックガイド部Lgと干渉し、チャンネルボックスfb(使用済み燃料)を取り出すことができない。
【0053】
つまり、本装置Xは、ラックガイド部Lgの斜線部分を切削することで、チャンネルファスナcfとラックガイド部Lgとの干渉を解除し、チャンネルボックスfb(使用済み燃料)を取り出せるようにする。
【0054】
なお、切削具本体12aは、位置p1においてラックガイド部Lgの東面を、位置p2においてラックガイド部Lgの北面を切削することができるため、チャンネルファスナcfのいずれの面に障害物obが入り込んだ場合でも対応可能である。
【0055】
図4及び
図1(A)に示すように、第一主固定装置21は、複数の柱状体21aが、補助固定装置21bを囲むようにして、全体が略柱状かつ外寸がラックセルの内径よりわずかに小さくなるように構成されている。
よって、
図4に示すように、第一主固定装置21をラックセルfcに挿入するだけで、土台baひいては装置本体1(図示せず)を、燃料貯蔵ラックfL上におおよそ固定することができる。
【0056】
補助固定装置21bは、油圧シリンダosと、変換機構coと、突っ張り部tmを含む。
【0057】
変換機構coによって力の向きが変換されるため、
図4(A)に示すように、油圧シリンダosが下がった場合には、突っ張り部tmが引っ込むように力が働く。
また、
図4(B)に示すように、油圧シリンダosが上がった場合には、突っ張り部tmが出っ張るように力が働き、突っ張り部tmがラックガイド部Lgに接触することで、固定力を得ることができる。
なお、使用者は、油圧シリンダosの上下を、制御部3から制御し、補助固定装置21bの固定状態、非固定状態を制御部3から切り替えることができる。
【0058】
なお、第二主固定装置22についても、第一主固定装置21と同様に構成されており、固定機構2が、複数の主固定装置21、22を有することで、本装置Xをより強く固定することができる。
【0059】
図5~
図8は、制御部3のタッチパネル上で表示される操作画面の例である。
【0060】
図5(A)は、本装置Xの運転時に使用するメイン画面w1であり、切削作業における各操作を制御することができる。
【0061】
本実施形態では、ボタンi11~i15の何れか一つを押下することで、画面に示された設定内容に基づいて、本装置Xの切削運転開始、継続、一時停止、再開、終了を制御することができる。
【0062】
また、ボタンi16を押下することで、本装置Xの切削機構12を、空間座標上の原点位置に移動させることができる。
【0063】
また、ボタンi17を押下することで、本装置Xの切削運転を強制終了させることができる。
【0064】
また、ボタンi18を押下することで、ページ切替タブ(図示せず)が表示され、そこから各種設定画面等の他のページに移動することができる。
【0065】
図5(B)は、設定画面w2であり、切削作業における運転種類、ラック種類を選択することができる。
【0066】
本実施形態では、運転種類としてXY方向への切削運転、Z方向への切削運転、重心位置移動の何れかをボタンi21~i23の押下によって選択することができる。
【0067】
また、ラックの種類として20体、30体ラックの何れかをボタンi24、i25の押下によって選択することができる。
【0068】
最後に、ボタンi26を押下することで設定変更を確定させる。
【0069】
図6(A)は、設定画面w3であり、切削作業における装置方向、切削面を選択することができる。
【0070】
本実施形態では、装置の設置方向として0°、90°、180°、270°の何れかをボタンi31~i34の押下によって選択することができる。
なお、本実施形態では、
図3(A)で示した北の向きにY軸移動装置11bの油圧モータomを向けた位置を0°とし、そこから反時計回りに90°、180°、270°を装置の設置方向としている。
【0071】
また、切削面として北面、東面の何れかをボタンi35、i36の押下によって選択することができる。
【0072】
最後に、ボタンi37を押下することで設定変更を確定させる。
【0073】
図6(B)は、設定画面w4であり、切削作業における切削開始位置と切削停止位置を空間座標に基づいて設定することができる。
【0074】
本実施形態では、開始位置座標表示部i41の各数値を押下することで数値入力を受け付け、入力した値に基づいて開始位置の空間座標が設定される。
なお、数値の入力形態としては、タッチパネル上におけるテンキー入力や、物理ボタンによる入力等が考えられるが、適切な数値入力ができるものであれば何であってもよい。
【0075】
停止位置座標表示部i42についても同様の操作で空間座標を設定することができ、最後にボタンi43を押下することで、開始位置及び停止位置を確定させる。
【0076】
図7(A)は切削機構12の寸動操作画面w5であって、ここに示すように、制御部3は、切削機構12の現在座標を確認しながら、高速又は低速で切削機構12を寸動操作可能である。
【0077】
よって、使用者は、任意の軸及び速度を選択し、「正転」又は「逆転」の何れかを押下している間、切削機構12が選択した軸上で微動するように移動機構11を寸動操作することができるので、適切な切削開始位置座標を容易に見極めることができる。
【0078】
図7(B)は、設定画面w6であり、切削作業における加工モードを選択することができる。
【0079】
本実施形態では、手動、自動ワンステップ、自動ワンサイクル、全自動の何れかの加工モードをボタンi61~i64の押下によって選択し、ボタンi65の押下によって確定させることができる。
【0080】
「全自動」モードでは、後述するパラメータ設定画面w7で設定された切削パラメータに基づいて、切削加工を行う。
【0081】
また、本実施形態では、切込、切削、戻り、の3ステップを1サイクルとしている。即ち、「自動ワンサイクル」モードでは、全自動切削運転を1サイクル毎に実施して停止する。また、「自動ワンステップ」モードでは、全自動切削運転を1ステップ毎に実施して停止する。
【0082】
また、「自動ワンサイクル」、「自動ワンステップ」のモードでは、1サイクル又は1ステップ毎の停止時に、画面w1のボタンi12又はi15の何れかを押下することで、切削運転の継続又は終了を選択することができる。
【0083】
これにより、使用者は、1サイクル又は1ステップ毎に状況を確認しながら切削加工を進めることができるため、作業の安全性や正確性を向上することができる。
【0084】
図8(A)は、パラメータ設定画面w7であり、切削作業における切削パラメータを設定することができる。
【0085】
切込量設定部i71では、数値入力を受け付け、切削具本体12aの切込量と戻し量を設定することができる。これにより、手動では難しいごく浅い切込量及び戻し量での切削加工が可能になり、加工時のビビり振動を低減することができる。
【0086】
また、サイクル回数設定部i72では、数値入力を受け付け、全自動切削運転のサイクル回数を設定することができる。
【0087】
また、ワーク板厚設定部i73では、数値入力を受け付け、切削対象物即ちワークの厚さを設定することができる。
なお、ここまでに設定した切込量及び戻し量の差と、サイクル回数との積が、ワーク板厚を超える場合、警告メッセージ(図示せず)が表示されるため、危険な切削加工の実施を未然に防ぐことができる。
【0088】
図8(B)に示すように、制御部3は、予め設定された重心座標に基づいて、切削機構12が装置本体1の重心位置に来るように、移動機構11を自動制御可能に構成されている。
【0089】
よって、使用者は、「移動開始」を押下するだけで、切削機構12が装置本体1の重心位置に来るように移動させることができるため、本装置をクレーン吊上げする際の安全性や作業効率が向上する。
【0090】
図9に示すように、本装置Xは、クレーン吊上げにより、燃料貯蔵ラックfLに設置される。そのため、本装置Xは、略箱状のフレーム部frを更に備え、フレーム部frは、吊上げフックshと、フック受け台hrと、を有する。
これにより、クレーン吊上げ時の玉掛け作業が容易になるため、作業効率が向上する。
【0091】
本実施形態によれば、制御部3からの遠隔操作で、略棒状の切削具本体12aが狭隘箇所に入り込む形で切削ができるため、燃料貯蔵ラックfLに収められたチャンネルボックスfb(使用済み燃料)を破損することなく、障害物を安全に切削除去することが可能である。
【0092】
また、移動機構11が、X軸移動装置11aと、Y軸移動装置11bと、Z軸移動装置11cと、を含むことで、格子状に配列した複数のラックセルから構成される燃料貯蔵ラックfL上で、切削機構12を直線的に移動させ、障害物の除去作業を効率よく行うことができる。
【0093】
また、X軸移動装置11aと、Y軸移動装置11bと、Z軸移動装置11cと、が切削機構12の各軸上の移動量を計測可能な計装部isをそれぞれ含むことで、切削機構12の空間位置を数値的に把握することができ、作業の正確性や効率が向上する。
【0094】
また、計装部isが、これに対して圧縮気体を注入可能に構成されていることで、圧縮気体の注入によって計装部isの内圧を外部の水圧よりも高く保つことができ、計装部is内への浸水、ひいては計装機器類の水没故障を防止することが可能となる。
【0095】
また、切削機構12が、切削具本体12aの切削対象箇所を撮影可能なカメラ部12bを含むことで、使用者は、切削状況を視覚的に確認しつつ、安全に障害物の除去作業を行うことができる。
【0096】
また、カメラ部12bが、複数のカメラ本体12b11、12b12、12b13と、カメラ固定部12b21、12b22、12b23、12b24、12b25と、を含み、各カメラ本体の配置を変更可能に構成されているので、装置の設置向きを変えた場合にも、各向きに合わせて各カメラを配置することが可能となる。
【0097】
また、制御部3が、入力された切削パラメータに基づいて、移動機構11及び切削機構12を自動制御可能に構成されているので、手動では難しい微細な切削ができる。これにより、切削具本体の振動やチャンネルボックスの巻き込み等を防止することが可能となる。
【0098】
また、制御部3が、移動機構11を寸動操作可能に構成されていることで、切削開始位置の微調整を容易に行うことができるため、作業の正確性、安全性が向上する。
【0099】
また、制御部3が、切削機構12が装置本体1の重心位置に来るように、移動機構11を自動制御可能に構成されていることで、本装置Xをクレーン設置する際の重心調整が容易に行われるため、クレーン作業の安全性や効率が向上する。
【0100】
また、固定機構2が、複数の主固定装置21及び22を有し、複数の主固定装置21及び22は、ラックセルに挿入可能な略柱状体であることで、ラックセルに主固定装置21及び22を挿入し、本装置Xを燃料貯蔵ラックfLに容易に設置することができる。
【0101】
また、複数の主固定装置21及び22が、主固定装置21及び22をラックセル内に固定するための補助固定装置21b及び22bをそれぞれ含むことで、本装置Xは強く固定され、切削時の反力にも十分耐えることができる。
【0102】
なお、上述の実施形態において示した各構成や機能は、あくまでも一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0103】
X 切削装置
1 装置本体
11 移動機構
11a X軸移動装置
11b Y軸移動装置
11c Z軸移動装置
12 切削機構
12a 切削具本体
12b カメラ部
2 固定機構
21 第一主固定装置
21a 柱状体
21b 補助固定装置
22 第二主固定装置
22a 柱状体
22b 補助固定装置
3 制御部
is 計装部
fb チャンネルボックス(使用済み燃料)
cf チャンネルファスナ
ob 障害物