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  • 特開-ソベント継手内の塗装方法 図1
  • 特開-ソベント継手内の塗装方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136572
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ソベント継手内の塗装方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/22 20060101AFI20230922BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20230922BHJP
   F16L 58/02 20060101ALI20230922BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B05D7/22 E
B05D7/00 K
B05D3/04 Z
F16L58/02
E03C1/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042319
(22)【出願日】2022-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】509053363
【氏名又は名称】株式会社タイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】米村 直樹
【テーマコード(参考)】
2D061
3H024
4D075
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB00
2D061AC07
3H024EA04
3H024EC02
4D075AC60
4D075AC86
4D075AC88
4D075BB57X
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA15
4D075DA19
4D075DA23
4D075DA27
4D075DB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天板部分に対しても十分な効果を発揮できるソベント継手内の塗装方法を提供する。
【解決手段】鉛直方向上側から延伸する第一の配管T1が接続される天板部材2と、天板部材に接続されつつ断面が鉛直方向上側から下側に行くに従い小さくなる部分を有し、鉛直方向略垂直な方向から第二の配管T2に接続されているとともに、鉛直方向下側において第三の配管T3にも接続される周壁部材3と、周壁部材内において天板部材に接続され、鉛直方向上側から下側に延伸するとともに孔が形成されたプレートを備えるソベント継手内の塗装方法であって、第二の配管から第三の配管への空流を形成するステップ、第二の配管からソベント継手内に膨張部材を挿入し、プレートとソベント継手内の周壁部材との間に、膨張部材を膨張させて配置し、第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップ、第二の配管からソベント継手内の天板部材を塗装するステップを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向上側から延伸する第一の配管が接続される天板部材と、
前記天板部材の周囲縁を覆うよう前記天板部材に接続されつつその断面が鉛直方向上側から下側に行くに従い小さくなる部分を有し、鉛直方向略垂直な方向から第二の配管に接続されているとともに、鉛直方向下側において第三の配管にも接続される周壁部材と、
前記周壁部材内において前記天板部材に接続され、鉛直方向上側から下側に延伸するとともに孔が形成されたプレートと、を備えるソベント継手内の塗装方法であって、
前記第二の配管から前記第三の配管への空流を形成するステップ、
前記第二の配管から前記ソベント継手内に膨張部材を挿入し、前記プレートと前記ソベント継手内の前記周壁部材との間に、前記膨張部材を膨張させて配置し、前記第二の配管から前記第三の配管への空流を阻害するステップ、
前記第二の配管から前記ソベント継手内の天板部材を塗装するステップ、を有するソベント継手内の塗装方法。
【請求項2】
前記第二の配管から前記第三の配管への空流を阻害するステップは、前記プレートの前記孔から前記第二の配管から前記第三の配管への迂回空流を形成する請求項1記載のソベント継手内の塗装方法。
【請求項3】
前記第二の配管から前記ソベント継手内の天板部材を塗装するステップは、前記第二の配管から前記第三の配管への迂回空流に沿って流体塗料を運びつつ前記天板部材の下面を塗装する請求項1記載のソベント継手内の塗装方法。
【請求項4】
前記第二の配管から前記第三の配管への空流を形成するステップの後、前記第二の配管から前記第三の配管への空流を阻害するステップの前に、
前記ソベント継手内を研磨するステップ、を備える請求項1記載のソベント継手内の塗装方法。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソベント継手内の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅等の排水設備は、その材質が金属を用いている場合、長期の使用によりその内部が腐食する等の問題が発生しやすい。そのため、定期的な点検と必要に応じた補修(再生)が必要となる。例えばこの技術としては、下記特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-44856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、マンション等の集合住宅等における排水設備においては、鉛直方向に延びる排水管と水平方向に延びる排水管を接合するが、この接合部分に、効率的に排水を行うための空間を備えたソベント継手が用いられることが多い。
【0005】
このソベント継手は、空間において鉛直方向に延びる排水管により形成される排水の流れと水平方向に延びる排水管により形成される排水の流れを仕切るためのプレートを有する複雑な構造を備えており、この内部の再生は容易ではない。特に、ソベント継手の天板部分は塗装が難しいといった課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、天板部分に対しても十分な効果を発揮できるソベント継手内の塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一観点に係るソベント継手内の塗装方法は、鉛直方向上側から延伸する第一の配管が接続される天板部材と、天板部材の周囲縁を覆うよう天板部材に接続されつつその断面が鉛直方向上側から下側に行くに従い小さくなる部分を有し、鉛直方向略垂直な方向から第二の配管に接続されているとともに、鉛直方向下側において第三の配管にも接続される周壁部材と、周壁部材内において天板部材に接続され、鉛直方向上側から下側に延伸するとともに孔が形成されたプレートと、を備えるソベント継手内の塗装方法であって、第二の配管から第三の配管への空流を形成するステップ、第二の配管からソベント継手内に膨張部材を挿入し、プレートとソベント継手内の周壁部材との間に、膨張部材を膨張させて配置し、第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップ、第二の配管からソベント継手内の天板部材を塗装するステップ、を有するものである。
【0008】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップは、プレートの孔から第二の配管から第三の配管への迂回空流を形成することが好ましい。
【0009】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、第二の配管からソベント継手内の天板部材を塗装するステップは、第二の配管から第三の配管への迂回空流に沿って流体塗料を運びつつ天板部材の下面を塗装することが好ましい。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、第二の配管から第三の配管への空流を形成するステップの後、第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップの前に、ソベント継手内を研磨するステップ、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明によって、天板部分に対しても十分な効果を発揮できるソベント継手内の塗装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るソベント継手内の塗装方法の対象となるソベント継手の外観の概略を示す図である。
図2】実施形態に係るソベント継手内の塗装方法の対象となるソベント継手の断面構造の概略を示す図である。
図3】実施形態に係るソベント継手内の塗装方法のステップのイメージを示す図である。
図4】実施形態に係るソベント継手内の塗装方法のステップのイメージを示す図である。
図5】実施形態に係るソベント継手内の塗装方法のステップのイメージを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載の具体的な例示にのみ限定されるわけでは無い。
【0014】
図1、2は、本実施形態に係るソベント継手内の塗装方法(以下「本方法」という。)の対象となるソベント継手の構造の概略を示す図である。図1は外観の斜視図であり、図2はその断面図である。
【0015】
上記するように、本ソベント継手1は、鉛直方向に延びる排水管と水平方向に延びる排水管を接合するために用いることができるものであって、これを用いることで効率的に排水を行うことが可能となる。
【0016】
そしてその構造は、具体的に説明すると、一般的に、鉛直方向上側から延伸する第一の配管T1が接続される天板部材2と、天板部材2の周囲縁を覆うよう天板部材2に接続されつつその断面が鉛直方向上側から下側に行くに従い小さくなる部分を有し、鉛直方向略垂直な方向から第二の配管T2に接続されているとともに、鉛直方向下側において第三の配管T3にも接続される周壁部材3と、周壁部材3内において天板部材2に接続され、鉛直方向上側から下側に延伸するとともに孔41が形成されたプレート4と、を備える。
【0017】
また本ソベント継手1は、マンション等の建物内に設置する前においては、その設置の位置や方向が定まらないものであるが、重力に基づき流れ落ちる排水を効率的に排出させる必要から、建物内に設置する際は、その方向や位置が定まる。そのため、本明細書では、建物内に設置された後の状態に基づき説明することとする。
【0018】
また本明細書において「鉛直方向」とは、錘を糸で吊り下げた場合において糸が延伸する方向(重力の方向)をいう。また鉛直方向上側とは重力に逆らう側をいい、下側とは重力に従う側をいう。
【0019】
また、本方法は、具体的に下記のステップを備えるものである。具体的には、(S1)第二の配管から第三の配管への空流を形成するステップ、(S2)第二の配管からソベント継手内に膨張部材を挿入し、プレートとソベント継手内の周壁部材との間に、膨張部材を膨張させて配置し、第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップ、(S3)第二の配管からソベント継手内の天板部材を塗装するステップ、を有する。
【0020】
まず、本方法では、上記の通り(S1)第二の配管から第三の配管への空流を形成するステップを有する。本ステップでは、第二の配管から第三の配管への空流を形成することで、塗料を天板部材の下側を効率的に塗布するための布石とする。この場合に形成される空流のイメージを図2に示しておく。
【0021】
次に、本方法では、上記の通り(S2)第二の配管からソベント継手内に膨張部材を挿入し、プレートとソベント継手内の周壁部材との間に、膨張部材を膨張させて配置し、第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップ(以下単に「第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップ」ともいう。)を有する。この場合のイメージを図3に示しておく。
【0022】
ソベント継手1は、第二の配管T2から第三の配管T3への流体の流れが効率的に形成されるよう構成されている。具体的には、ソベント継手1に対し鉛直方向に対し略垂直な方向から接続される第二の配管T2によって運ばれる排水は、ソベント継手1内において設置される(鉛直方向に対し略平行な方向に延伸している)プレート4に衝突し、水平方向への勢いが減衰し、鉛直方向下側において接続されている第三の配管T3にそのまま流入することになる。そしてここで明らかなように、ソベント継手1内の天板部材2下側(内側)は重力方向とは反対側である。そのため、排水と同様、流体である硬化前の塗料をこのままソベント継手1内に導入したとしても、このままでは天板部材2下側に十分に塗布することができない可能性がある。そこで、本ステップでは、第二の配管T2から第三の配管T3へのそのままの空流を膨張部材を膨張させることで阻害する。これにより、通常の空流を阻害し天板部材2下側に接触する空流を形成することが可能となる。ただし、「第二の配管から第三の配管への空流を阻害する」とは、完全に空流を遮断するのではなく、プレート4に形成される孔41を介して、第二の配管T2から第三の配管T3への迂回空流を形成することが好ましい。プレート4に形成される孔41は天板部材2の下部に近い位置に形成されており、この迂回空流を形成することで天板部材2の下側に効率的に塗料を塗布することが可能となる。
【0023】
ここで「膨張部材」は、上記の通り、第二の配管T2と第三の配管T3への空流を阻害することができる限りにおいて限定されるわけでは無いが、第二の配管T2から挿入され、ソベント継手1内に挿入された後、膨張することによって空路を阻害することができる部材である。また、この膨張は、プレート4とソベント管の周壁部材3の間、より具体的には第二の配管T2に近い側のプレート4とソベント管の周壁部材3の間を埋めることができるものであることが好ましい。
【0024】
膨張部材の具体的な例としては、細長いチューブと、この細長いチューブの先端に付された風船状の部材であってもよく、また、またワイヤー部材と、このワイヤー部材の先端に接続される複数の紐部材と、この複数の紐部材が接続された布状部材とを有するいわゆる帆状部材であってもよい。前者の例は上記図3で示すとおりであり、後者の例については図4に一例を示しておく。本ステップを実行する者は、細長いチューブ又はワイヤーの先端の位置を注視しながら、ソベント継手1内の適切な位置になった際、位置を固定し、十分に膨張部材で流路をふさぎ空流を阻害する。
【0025】
また、本方法では、上記の通り(S3)第二の配管からソベント継手内の天板部材を塗装するステップを有する。すなわち、上記のように、第二の配管T2から第三の配管T3への迂回空流を形成するが、迂回空流はソベント継手1の天板部材2の下面により近い位置を通るため、この迂回空流に沿って流体塗料を運びつつ天板部材2の下面を塗装することが可能となる。このステップによるイメージについて図5に示しておく。
【0026】
ところで、本方法においては、第二の配管から第三の配管への空流を阻害するステップの前に、(SA)ソベント継手内を研磨するステップ、を備えることが好ましい。事前にソベント継手1内、より具体的にはソベント継手1内の天板部材2の下側を研磨剤などによって研磨しておくことで、ソベント継手1内を研磨して錆などによる凹凸を切削して平滑にしておくことで、よりソベント管内における塗料の塗布の均一性や確実性を高めることが可能となる。なお、本ステップについては、上記(S3)第二の配管からソベント継手内の天板部材を塗装するステップの前であることが好ましく、上記(S1)第二の配管から第三の配管への空流を形成するステップの前であってもよく、また上記(S1)のステップの後であってもよい。
【0027】
以上、本方法によって、天板部分に対しても十分な効果を発揮できるソベント継手内の塗装方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、ソベント継手内の塗装方法として産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5