(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136573
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/02 20060101AFI20230922BHJP
B65G 53/04 20060101ALI20230922BHJP
B07C 3/14 20060101ALI20230922BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01N15/02 F
B65G53/04 A
B07C3/14
B01J2/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042320
(22)【出願日】2022-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年12月8日、「粉体機械 ダイジェストカタログ」を配布 令和4年2月1日、「粉体機械 総合カタログ」を提出 令和4年3月16日、WEB上のセミナー「第3回CCPMJ講演会」で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月18日発行、PHARM TECH JAPAN 2022年2月臨時増刊号 40頁
(71)【出願人】
【識別番号】512284033
【氏名又は名称】株式会社ダルトン
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】逵 隆伸
【テーマコード(参考)】
3F047
3F079
4G004
【Fターム(参考)】
3F047AA14
3F047BA01
3F047BA08
3F079AD08
3F079CA09
3F079CA23
3F079CA41
3F079CB24
3F079CC05
4G004AA01
(57)【要約】
【課題】連続して計測することにより計測精度を高めることができ、粉粒体の全体的な評価が可能となる、粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法を提供する。
【解決手段】連続判別装置10は、上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管路11と、管路11の内部に設けられて粉粒体の移送速度を調整する調整部12と、調整部12よりも上流側に設けられて、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する計測部13と、計測部13よりも下流側に設けられて、計測部13による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替部14と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管路と、
前記管路の内部に設けられて粉粒体の移送速度を調整する調整部と、
前記調整部よりも上流側に設けられて、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する計測部と、
前記計測部よりも下流側に設けられて、前記計測部による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替部と、を備える、粉粒体の連続判別装置。
【請求項2】
前記管路は、上流側が下流側よりも上方に位置するように設けられ、
前記計測部よりも上流側に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部と、
前記第一検知部と前記計測部との間に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部と、を備え、
前記第一検知部が粉粒体を検知する場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を速く調整し、
前記第二検知部が粉粒体を検知しない場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を遅く調整する、請求項1に記載の粉粒体の連続判別装置。
【請求項3】
前記調整部は、仕切られた空間内で回転することにより粉粒体を移送する回転装置であり、前記回転装置の回転速度を変更することにより粉粒体の移送速度を調整する、請求項1又は請求項2に記載の粉粒体の連続判別装置。
【請求項4】
前記調整部は、振動により粉粒体を移送する振動装置であり、前記振動装置の振動力を変更することにより粉粒体の移送速度を調整する、請求項1又は請求項2に記載の粉粒体の連続判別装置。
【請求項5】
原料供給部と、
前記原料供給部から供給された原料を粉粒体に造粒する造粒部と、
前記造粒部で造粒された粉粒体を乾燥させる乾燥部と、
前記乾燥部で乾燥された粉粒体を捕集する捕集部と、
前記捕集部で捕集された粉粒体を、粉粒体の物性値に基づいて判別する、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の連続判別装置と、
粉粒体を排出する排出部と、を備え、
前記連続判別装置には、前記管路を開閉する少なくとも二個の開閉部が前記切替部よりも上流側に設けられる、連続造粒システム。
【請求項6】
前記連続判別装置には、前記開閉部として第一開閉部及び第二開閉部が設けられ、
前記第一開閉部は前記計測部よりも上流側に設けられ、
前記第二開閉部は前記調整部と前記切替部との間に設けられる、請求項5に記載の連続造粒システム。
【請求項7】
上流側から下流側に向けて移送される粉粒体の移送速度を調整する調整工程と、
移送される粉粒体の物性値を連続して計測する計測工程と、
前記計測工程における計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替工程と、を備える、粉粒体の連続判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法に関し、詳細には、粉粒体の品質を判別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品等に使用される粉粒体を連続的に製造する造粒装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような造粒装置においては、粉体原料と液体を混練して湿潤状態の粉粒体を連続的に形成する造粒部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る造粒装置において、粉粒体の品質(物性値)の計測にNIR(近赤外分析計)やラマン分光器等の分光器や粒度測定器が用いられる。この品質計測にて異常となった場合は、次工程に設けた分岐部にから排出して良品と区別するのである。
【0005】
従来技術に係る造粒装置において測定器を用いた品質計測を行う際に、ダンパを用いて粉粒体を一時的に貯留し、溜まった粉粒体を計測する場合がある。この場合、貯めた粉粒体に対して一箇所の代表値を計測することになるため、計測精度を充分に確保できない場合があった。また、計測後溜まった粉粒体を次工程に送ると、次の計測対象の粉粒体が貯まるまでの間に計測しない時間が生じていた。また、粉粒体の全体的な評価ができないという課題もあった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、連続して計測することにより計測精度を高めることができ、粉粒体の全体的な評価を可能とする、粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明に係る粉粒体の連続判別装置は、上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管路と、前記管路の内部に設けられて粉粒体の移送速度を調整する調整部と、前記調整部よりも上流側に設けられて、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する計測部と、前記計測部よりも下流側に設けられて、前記計測部による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替部と、を備える。
【0009】
また、粉粒体の連続判別装置において、前記管路は、上流側が下流側よりも上方に位置するように設けられ、前記計測部よりも上流側に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部と、前記第一検知部と前記計測部との間に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部と、を備え、前記第一検知部が粉粒体を検知する場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を速く調整し、前記第二検知部が粉粒体を検知しない場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を遅く調整することが好ましい。
【0010】
また、粉粒体の連続判別装置において、前記調整部は、仕切られた空間内で回転することにより粉粒体を移送する回転装置であり、前記回転装置の回転速度を変更することにより粉粒体の移送速度を調整することが好ましい。
【0011】
また、粉粒体の連続判別装置において、前記調整部は、振動により粉粒体を移送する振動装置であり、前記振動装置の振動力を変更することにより粉粒体の移送速度を調整することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る連続造粒システムは、原料供給部と、前記原料供給部から供給された原料を粉粒体に造粒する造粒部と、前記造粒部で造粒された粉粒体を乾燥させる乾燥部と、前記乾燥部で乾燥された粉粒体を捕集する捕集部と、前記捕集部で捕集された粉粒体を、粉粒体の物性値に基づいて判別する、上記何れかの連続判別装置と、粉粒体を排出する排出部と、を備え、前記連続判別装置には、前記管路を開閉する少なくとも二個の開閉部が前記切替部よりも上流側に設けられる。
【0013】
また、連続造粒システムにおいて、前記連続判別装置には、前記開閉部として第一開閉部及び第二開閉部が設けられ、前記第一開閉部は前記計測部よりも上流側に設けられ、前記第二開閉部は前記調整部と前記切替部との間に設けられることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る粉粒体の連続判別方法は、上流側から下流側に向けて移送される粉粒体の移送速度を調整する調整工程と、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する計測工程と、前記計測工程における計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替工程と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法によれば、連続して計測することにより計測精度を高めることができ、粉粒体の全体的な評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施例に係る連続造粒システムを示す概略図。
【
図2】第一実施形態に係る連続判別装置を示す概略断面図。
【
図3】(a)は粉粒体を通常排出する状態を示す図、(b)は粉粒体をNG排出する状態を示す図。
【
図4】第二実施形態に係る連続判別装置を示す概略断面図。
【
図5】第三実施形態に係る連続判別装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[連続造粒システム1]
まず、
図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る粉粒体の連続判別装置(以下、単に「連続判別装置」と記載する)10を採用した連続造粒システム1について説明する。連続造粒システム1は、医薬品や食品として使用される粉体や顆粒等の粉粒体を造粒物として連続して製造する装置である。連続造粒システム1は、原料供給部2と、造粒部3と、乾燥部4と、捕集部5と、連続判別装置10と、排出部6と、を備える。連続造粒システム1は、図示しない制御装置によって各部の駆動が制御される。
【0018】
本実施例に係る連続造粒システム1においては、原料供給部2を介して原料(乾燥粉末等)が造粒部3に供給される。造粒部3では、原料に対して混合、加水、混練等の処理を行うことにより粉粒体を造粒する。乾燥部4では、造粒部3で造粒された粉粒体が加熱圧縮空気により乾燥される。捕集部5では、乾燥部4で乾燥された粉粒体をサイクロン式の捕集機により捕集する。
【0019】
本実施形態に係る連続判別装置10では、捕集部5で捕集された粉粒体を、粉粒体の物性値に基づいて判別する。連続判別装置10で良品又は不良品と判別された粉粒体は、第一排出経路61と第二排出経路62とを備える排出部6を介して別々に排出される。
【0020】
連続判別装置10で良品と判別された粉粒体は第一排出経路61の下端部に設けられた第一排出口61aを介して排出され、次工程に搬送される。一方、連続判別装置10で不良品と判別された粉粒体は第二排出経路61の下端部に設けられた第二排出口62aを介して排出される。なお、本実施形態に係る連続判別装置10は、連続造粒システム1に採用されるが、粉粒体の物性値に基づいて判別する機構を備える装置において全般的に採用することが可能である。
【0021】
[連続判別装置10(第一実施形態)]
次に、
図2を用いて、第一実施形態に係る連続判別装置10について説明する。連続判別装置10においては、本発明に係る粉粒体の連続判別方法が実行される。連続判別装置10は、管路11と、調整部12と、計測部13と、切替部14と、第一検知部15a・第二検知部15bと、第一開閉部16と、第二開閉部17と、を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0022】
管路11は、その内部を上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管体である。本実施形態において、管路11は上流側が下流側よりも上方に位置するように上下方向に向けて配置されているが、管路11を傾けて又は水平方向に向けて配置する構成とすることも可能である。
【0023】
管路11においては、粉粒体を移送するための移送装置を設ける構成とすることも可能である。本実施形態のように管路11の上流側が下流側よりも上方に位置している場合には、粉粒体を重力により移送することができるため、粉粒体を移送するための移送装置を設けない構成とすることもできる。管路11において粉粒体を重力で移送できない場合は、粉粒体を搬送する移送装置が設けられる。
【0024】
図2に示す如く、管路11は、上流側から順に、第一管路11a、第二管路11b、第三管路11c、及び、第四管路11dを備える。第一管路11aと第二管路11bとの間には第一開閉部16が設けられる。第一開閉部16には第一開閉弁16aが設けられ、この第一開閉弁16aを開閉することにより管路11の開通/閉塞が切り替えられる。
【0025】
第二管路11bと第三管路11cとの間には調整部12が設けられる。調整部12にはロータリーバルブ12aが設けられる。ロータリーバルブ12aは常時回転することにより、粉粒体を連続的に移送している。本実施形態に係る連続判別装置10においては、ロータリーバルブ12aの回転速度を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整している(調整工程)。
【0026】
なお、粉粒体の移送速度を調整できる構成であれば、調整部12としてスクリューフィーダー等、ロータリーバルブ12a以外の構成を採用することも可能である。また、調整部として、振動により粉粒体を移送する振動装置を採用することも可能である。即ち、調整部である振動装置の振動力(振動幅や振動回数等)を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整する構成とすることも可能である。
【0027】
第三管路11cと第四管路11dとの間には第二開閉部17が設けられる。第二開閉部17には第二開閉弁17aが設けられ、この第二開閉弁17aを開閉することにより管路11の開通/閉塞が切り替えられる。本実施例に係る連続造粒システム1においては、第一開閉部16と第二開閉部17とのうち少なくとも何れか一方を閉塞状態とするように制御される。これにより、管路11を流通する気体の流れを遮断し、管路11の下流側からサイクロン式の捕集機へエアーが逆流することを防止している。
【0028】
上記の如く、本実施例に係る連続造粒システム1においては、乾燥後の回収装置(捕集部5)にサイクロンが接続されるため、管路11の下流側から捕集部5であるサイクロンへエアーが逆流することを防止して良好な捕集効率を維持するために、サイクロン排出部を閉じる第一開閉部と第二開閉部の2つの開閉部を設ける構成としている。但し、集塵機のようにフィルターを備えるタイプを捕集部として用いる場合等、サイクロン式の捕集部を有しない装置には、必ずしも2つの開閉部を設ける必要はない。
【0029】
また、本実施形態に係る連続判別装置において、第一開閉部16は計測部13よりも上流側に設けられ、第二開閉部17は調整部12と切替部14との間に設けられる。即ち、調整部12が第一開閉部16と第二開閉部17との間に位置するため、調整部12が他の各部から受ける影響を最小化することができる。これにより、調整部12による粉粒体の移送速度制御の精度を向上させることが可能となる。
【0030】
第四管路11dの下端部には切替部14を介して、第一排出経路61と第二排出経路62とが分岐して接続される。連続判別装置10において粉粒体が不良と判別されていない(良品である)場合、
図3(a)中の流路Fに示す如く、粉粒体は切替部14によって第一排出経路61に案内され、第一排出口61aから排出される。連続判別装置10において粉粒体が不良と判別された場合、
図3(b)中の流路Fに示す如く、粉粒体は切替部14によって第二排出経路62に案内され、第二排出口62aから排出される。
【0031】
図2に示す如く、第二管路11bにおける調整部12よりも上流側には計測部13が設けられる。本実施形態に係る連続判別装置10において、計測部13はNIRやラマン分光器等の分光器、又は、画像解析式やレーザー式を利用した粒度測定器等が採用される。計測部13は、移送される粉粒体の物性値(残存する水分量、含量均一性、粒子径等)を連続して計測する(計測工程)。
【0032】
切替部14は、計測部13による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える(切替工程)。具体的に、計測部13において粉粒体の物性値が不良でないと判別された場合、切替部14は粉粒体を第一排出経路61に案内する。計測部13において粉粒体の物性値が不良であると判別された場合、切替部14は即時に粉粒体の経路を第一排出経路61から第二排出経路62に切替える。この場合、計測部13において粉粒体の物性値が不良でないと判別されてから所定時間経過した後に、切替部14が粉粒体の経路を第二排出経路62から第一排出経路61に戻す。
【0033】
本実施形態に係る連続判別装置10において、第二管路11bには、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部15aが計測部13よりも上流側に設けられる。また、第二管路11bには、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部15bが第一検知部15aと計測部13との間に設けられる。
【0034】
連続判別装置10においては、第一検知部15aが粉粒体を検知する場合は調整部12のロータリーバルブ12aの回転速度を大きくして、粉粒体の移送速度を速く調整する。これにより、第二管路11bの内部に位置する粉粒体の量が多くなりすぎないようにしている。
【0035】
また、連続判別装置10においては、第二検知部15bが粉粒体を検知しない場合は調整部12のロータリーバルブ12aの回転速度を小さくして、粉粒体の移送速度を遅く調整する。これにより、第二管路11bの内部に位置する粉粒体の量が少なくなりすぎないようにして、粉粒体が計測部13の近傍で移送される状態を維持することを可能としている。また、第一検知部15aと第二検知部15bとを設けることにより、第二管路11bの内部の粉粒体を一定量に保つことが可能となる。
【0036】
なお、連続判別装置10において、第一検知部15a及び第二検知部15bを設けない構成とすることも可能である。この場合、調整部12における粉粒体の重量の検知等、他の構成で調整部12による粉粒体の移送速度の調整を行うことが可能である。また、連続判別装置10の使用者の目視に基づいて、調整部12による粉粒体の移送速度の調整を行う構成とすることもできる。
【0037】
上記の如く、本実施形態に係る連続判別装置10においては、調整部12の上流側を連続して移送される粉粒体の物性値を、計測部13で連続的に計測する構成としている。即ち、粉粒体の物性値を停止させることなく移送される状態で連続的かつ包括的に計測することができるため、計測精度を向上させ、粉粒体の全体的な評価を行うことができる。また、計測部13で連続的に計測するため、計測しない時間等の時間的な無駄の発生を抑制できる。
【0038】
[連続判別装置110(第二実施形態)]
次に、
図4を用いて、第二実施形態に係る連続判別装置110について説明する。連続判別装置110においても、本発明に係る粉粒体の連続判別方法が実行される。連続判別装置110は、前記連続判別装置10と同様に、連続造粒システムに採用される。連続判別装置110は、管路111と、調整部112と、計測部113と、切替部114と、第一検知部115a・第二検知部115bと、第一開閉部116と、第二開閉部117と、を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0039】
管路111は、その内部を上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管体である。管路111は、上流側から順に、第一管路111a、第二管路111b、第三管路111c、及び、第四管路111dを備える。
【0040】
第一管路111aと第二管路111bとの間には調整部112が設けられる。調整部112にはロータリーバルブ112aが設けられる。ロータリーバルブ112aは常時回転することにより、粉粒体が連続的に移送される。本実施形態に係る連続判別装置110においては、ロータリーバルブ112aの回転速度を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整している(調整工程)。
【0041】
第二管路111bと第三管路111cとの間には第一開閉部116が設けられる。第一開閉部116には第一開閉弁116aが設けられ、この第一開閉弁116aを開閉することにより管路111の開通/閉塞が切り替えられる。
【0042】
第三管路111cと第四管路111dとの間には第二開閉部117が設けられる。第二開閉部117には第二開閉弁117aが設けられ、この第二開閉弁117aを開閉することにより管路111の開通/閉塞が切り替えられる。本実施形態に係る連続判別装置110においては、第一開閉部116と第二開閉部117とのうち少なくとも何れか一方を閉塞状態とすることにより、管路111を流通する気体の流れを遮断し、管路111の下流側からエアーが逆流することを防止している。
【0043】
第四管路111dの下端部には切替部114を介して、第一排出経路161と第二排出経路162とが分岐して接続される。連続判別装置110において粉粒体が不良と判別されていない(良品である)場合、粉粒体は切替部114によって第一排出経路161に案内されて排出される。また、不良と判別された場合、粉粒体は切替部114によって第二排出経路162に案内されて排出される。
【0044】
図4に示す如く、第一管路111aにおける調整部112よりも上流側には計測部113が設けられる。計測部113は、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する(計測工程)。
【0045】
切替部114は、計測部113による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える(切替工程)。具体的に、計測部113において粉粒体の物性値が不良でないと判別された場合、切替部114は粉粒体を第一排出経路161に案内する。計測部113において粉粒体の物性値が不良であると判別された場合、切替部114は粉粒体を第二排出経路162に案内する。
【0046】
本実施形態に係る連続判別装置110において、第一管路111aには、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部115aが計測部113よりも上流側に設けられる。また、第一管路111aには、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部115bが第一検知部115aと計測部113との間に設けられる。本実施形態に係る連続判別装置110においても、第一検知部115aと第二検知部115bとの検知結果に基づいて、第一管路111aの内部に位置する粉粒体の量を調整している。
【0047】
[連続判別装置210(第三実施形態)]
次に、
図5を用いて、第三実施形態に係る連続判別装置210について説明する。連続判別装置210においても、本発明に係る粉粒体の連続判別方法が実行される。連続判別装置210は、前記連続判別装置10と同様に、連続造粒システムに採用される。連続判別装置210は、管路211と、調整部212と、計測部213と、切替部214と、第一検知部215a・第二検知部215bと、第一開閉部216と、第二開閉部217と、を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0048】
管路211は、その内部を上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管体である。管路211は、上流側から順に、第一管路211a、第二管路211b、第三管路211c、及び、第四管路211dを備える。
【0049】
第一管路211aと第二管路211bとの間には第一開閉部216が設けられる。第一開閉部216には第一開閉弁216aが設けられ、この第一開閉弁216aを開閉することにより管路211の開通/閉塞が切り替えられる。
【0050】
第二管路211bと第三管路211cとの間には第二開閉部217が設けられる。第二開閉部217には第二開閉弁217aが設けられ、この第二開閉弁217aを開閉することにより管路211の開通/閉塞が切り替えられる。本実施形態に係る連続判別装置210においては、第一開閉部216と第二開閉部217とのうち少なくとも何れか一方を閉塞状態とすることにより、管路211を流通する気体の流れを遮断し、管路211の下流側からエアーが逆流することを防止している。
【0051】
第三管路211cと第四管路211dとの間には調整部212が設けられる。調整部212にはロータリーバルブ212aが設けられる。ロータリーバルブ212aは常時回転することにより、粉粒体を連続的に移送している。本実施形態に係る連続判別装置210においては、ロータリーバルブ212aの回転速度を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整している(調整工程)。
【0052】
第四管路211dの下端部には切替部214を介して、第一排出経路261と第二排出経路262とが分岐して接続される。連続判別装置210において粉粒体が不良と判別されていない(良品である)場合、粉粒体は切替部214によって第一排出経路261に案内されて排出される。また、不良と判別された場合、粉粒体は切替部214によって第二排出経路262に案内されて排出される。
【0053】
図5に示す如く、第三管路211cにおける調整部212よりも上流側には計測部213が設けられる。計測部213は、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する(計測工程)。
【0054】
切替部214は、計測部213による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える(切替工程)。具体的に、計測部213において粉粒体の物性値が不良でないと判別された場合、切替部214は粉粒体を第一排出経路261に案内する。計測部213において粉粒体の物性値が不良であると判別された場合、切替部214は粉粒体を第二排出経路162に案内する。
【0055】
本実施形態に係る連続判別装置210において、第三管路211cには、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部215aが計測部213よりも上流側に設けられる。また、第三管路211cには、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部215bが第一検知部215aと計測部213との間に設けられる。本実施形態に係る連続判別装置210においても、第一検知部215aと第二検知部215bとの検知結果に基づいて、第三管路211cの内部に位置する粉粒体の量を調整している。
【0056】
上記の如く、第二実施形態に係る連続判別装置110、及び、第三実施形態に係る連続判別装置210の何れにおいても、調整部112・212の上流側を連続して移送される粉粒体の物性値を、計測部113・213で連続的に計測する構成としている。即ち、粉粒体の物性値を停止させることなく移送される状態で連続的かつ包括的に計測することができるため、計測精度を向上させ、粉粒体の全体的な評価を行うことができる。また、計測部113・213で連続的に計測するため、計測しない時間等の時間的な無駄の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0057】
1 連続造粒システム 2 原料供給部
3 造粒部 4 乾燥部
5 捕集部 6 排出部
10 連続判別装置(第一実施形態)
11 管路 11a 第一管路
11b 第二管路 11c 第三管路
11d 第四管路 12 調整部
12a ロータリーバルブ 13 計測部
14 切替部 15a 第一検知部
15b 第二検知部 16 第一開閉部
16a 第一開閉弁 17 第二開閉部
17a 第二開閉弁 61 第一排出経路
61a 第一排出口 62 第二排出経路
62a 第二排出口
110 連続判別装置(第二実施形態)
111 管路 111a 第一管路
111b 第二管路 111c 第三管路
111d 第四管路 112 調整部
112a ロータリーバルブ 113 計測部
114 切替部 115a 第一検知部
115b 第二検知部 116 第一開閉部
116a 第一開閉弁 117 第二開閉部
117a 第二開閉弁 161 第一排出経路
162 第二排出経路
210 連続判別装置(第三実施形態)
211 管路 211a 第一管路
211b 第二管路 211c 第三管路
211d 第四管路 212 調整部
212a ロータリーバルブ 213 計測部
214 切替部 215a 第一検知部
215b 第二検知部 216 第一開閉部
216a 第一開閉弁 217 第二開閉部
217a 第二開閉弁 261 第一排出経路
262 第二排出経路
F 流路
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管路と、
前記管路の内部に設けられて粉粒体の移送速度を調整する調整部と、
前記調整部よりも上流側に設けられて、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する計測部と、
前記計測部よりも下流側に設けられて、前記計測部による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替部と、を備え、
前記計測部よりも上流側に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部と、
前記第一検知部と前記計測部との間に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部と、を備え、
前記第一検知部が粉粒体を検知する場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を速く調整し、
前記第二検知部が粉粒体を検知しない場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を遅く調整する、粉粒体の連続判別装置。
【請求項2】
前記管路は、上流側が下流側よりも上方に位置するように設けられる、請求項1に記載の粉粒体の連続判別装置。
【請求項3】
前記調整部は、仕切られた空間内で回転することにより粉粒体を移送する回転装置であり、前記回転装置の回転速度を変更することにより粉粒体の移送速度を調整する、請求項1又は請求項2に記載の粉粒体の連続判別装置。
【請求項4】
前記調整部は、振動により粉粒体を移送する振動装置であり、前記振動装置の振動力を変更することにより粉粒体の移送速度を調整する、請求項1又は請求項2に記載の粉粒体の連続判別装置。
【請求項5】
原料供給部と、
前記原料供給部から供給された原料を粉粒体に造粒する造粒部と、
前記造粒部で造粒された粉粒体を乾燥させる乾燥部と、
前記乾燥部で乾燥された粉粒体を捕集する捕集部と、
前記捕集部で捕集された粉粒体を、粉粒体の物性値に基づいて判別する、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の連続判別装置と、
粉粒体を排出する排出部と、を備え、
前記連続判別装置には、前記管路を開閉する少なくとも二個の開閉部が前記切替部よりも上流側に設けられる、連続造粒システム。
【請求項6】
前記連続判別装置には、前記開閉部として第一開閉部及び第二開閉部が設けられ、
前記第一開閉部は前記計測部よりも上流側に設けられ、
前記第二開閉部は前記調整部と前記切替部との間に設けられる、請求項5に記載の連続造粒システム。
【請求項7】
上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管路と、前記管路の内部に設けられる調整部と、前記調整部よりも上流側に設けられる計測部と、前記計測部よりも下流側に設けられて、前記計測部による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替部と、前記計測部よりも上流側に設けられる第一検知部と、前記第一検知部と前記計測部との間に設けられる第二検知部と、を備える連続判別装置で行われる、粉粒体の連続判別方法であって、
粉粒体の移送速度を前記調整部で調整する調整工程と、
移送される粉粒体の物性値を前記計測部で連続して計測する計測工程と、
前記第一検知部の近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知工程と、
前記第二検知部の近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知工程と、を備え、
前記第一検知工程で粉粒体を検知した場合は前記調整工程において粉粒体の移送速度を速く調整し、
前記第二検知工程で粉粒体を検知しない場合は前記調整工程において粉粒体の移送速度を遅く調整する、粉粒体の連続判別方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法に関し、詳細には、粉粒体の品質を判別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品等に使用される粉粒体を連続的に製造する造粒装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような造粒装置においては、粉体原料と液体を混練して湿潤状態の粉粒体を連続的に形成する造粒部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る造粒装置において、粉粒体の品質(物性値)の計測にNIR(近赤外分析計)やラマン分光器等の分光器や粒度測定器が用いられる。この品質計測にて異常となった場合は、次工程に設けた分岐部にから排出して良品と区別するのである。
【0005】
従来技術に係る造粒装置において測定器を用いた品質計測を行う際に、ダンパを用いて粉粒体を一時的に貯留し、溜まった粉粒体を計測する場合がある。この場合、貯めた粉粒体に対して一箇所の代表値を計測することになるため、計測精度を充分に確保できない場合があった。また、計測後溜まった粉粒体を次工程に送ると、次の計測対象の粉粒体が貯まるまでの間に計測しない時間が生じていた。また、粉粒体の全体的な評価ができないという課題もあった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、連続して計測することにより計測精度を高めることができ、粉粒体の全体的な評価を可能とする、粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明に係る粉粒体の連続判別装置は、上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管路と、前記管路の内部に設けられて粉粒体の移送速度を調整する調整部と、前記調整部よりも上流側に設けられて、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する計測部と、前記計測部よりも下流側に設けられて、前記計測部による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替部と、を備え、前記計測部よりも上流側に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部と、前記第一検知部と前記計測部との間に設けられて、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部と、を備え、前記第一検知部が粉粒体を検知する場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を速く調整し、前記第二検知部が粉粒体を検知しない場合は前記調整部が粉粒体の移送速度を遅く調整する。
【0009】
また、粉粒体の連続判別装置において、前記管路は、上流側が下流側よりも上方に位置するように設けられることが好ましい。
【0010】
また、粉粒体の連続判別装置において、前記調整部は、仕切られた空間内で回転することにより粉粒体を移送する回転装置であり、前記回転装置の回転速度を変更することにより粉粒体の移送速度を調整することが好ましい。
【0011】
また、粉粒体の連続判別装置において、前記調整部は、振動により粉粒体を移送する振動装置であり、前記振動装置の振動力を変更することにより粉粒体の移送速度を調整することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る連続造粒システムは、原料供給部と、前記原料供給部から供給された原料を粉粒体に造粒する造粒部と、前記造粒部で造粒された粉粒体を乾燥させる乾燥部と、前記乾燥部で乾燥された粉粒体を捕集する捕集部と、前記捕集部で捕集された粉粒体を、粉粒体の物性値に基づいて判別する、上記何れかの連続判別装置と、粉粒体を排出する排出部と、を備え、前記連続判別装置には、前記管路を開閉する少なくとも二個の開閉部が前記切替部よりも上流側に設けられる。
【0013】
また、連続造粒システムにおいて、前記連続判別装置には、前記開閉部として第一開閉部及び第二開閉部が設けられ、前記第一開閉部は前記計測部よりも上流側に設けられ、前記第二開閉部は前記調整部と前記切替部との間に設けられることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る粉粒体の連続判別方法は、上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管路と、前記管路の内部に設けられる調整部と、前記調整部よりも上流側に設けられる計測部と、前記計測部よりも下流側に設けられて、前記計測部による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える切替部と、前記計測部よりも上流側に設けられる第一検知部と、前記第一検知部と前記計測部との間に設けられる第二検知部と、を備える連続判別装置で行われる、粉粒体の連続判別方法であって、粉粒体の移送速度を前記調整部で調整する調整工程と、移送される粉粒体の物性値を前記計測部で連続して計測する計測工程と、前記第一検知部の近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知工程と、前記第二検知部の近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知工程と、を備え、前記第一検知工程で粉粒体を検知した場合は前記調整工程において粉粒体の移送速度を速く調整し、前記第二検知工程で粉粒体を検知しない場合は前記調整工程において粉粒体の移送速度を遅く調整する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る粉粒体の連続判別装置、連続造粒システム、及び、粉粒体の連続判別方法によれば、連続して計測することにより計測精度を高めることができ、粉粒体の全体的な評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施例に係る連続造粒システムを示す概略図。
【
図2】第一実施形態に係る連続判別装置を示す概略断面図。
【
図3】(a)は粉粒体を通常排出する状態を示す図、(b)は粉粒体をNG排出する状態を示す図。
【
図4】第二実施形態に係る連続判別装置を示す概略断面図。
【
図5】第三実施形態に係る連続判別装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[連続造粒システム1]
まず、
図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る粉粒体の連続判別装置(以下、単に「連続判別装置」と記載する)10を採用した連続造粒システム1について説明する。連続造粒システム1は、医薬品や食品として使用される粉体や顆粒等の粉粒体を造粒物として連続して製造する装置である。連続造粒システム1は、原料供給部2と、造粒部3と、乾燥部4と、捕集部5と、連続判別装置10と、排出部6と、を備える。連続造粒システム1は、図示しない制御装置によって各部の駆動が制御される。
【0018】
本実施例に係る連続造粒システム1においては、原料供給部2を介して原料(乾燥粉末等)が造粒部3に供給される。造粒部3では、原料に対して混合、加水、混練等の処理を行うことにより粉粒体を造粒する。乾燥部4では、造粒部3で造粒された粉粒体が加熱圧縮空気により乾燥される。捕集部5では、乾燥部4で乾燥された粉粒体をサイクロン式の捕集機により捕集する。
【0019】
本実施形態に係る連続判別装置10では、捕集部5で捕集された粉粒体を、粉粒体の物性値に基づいて判別する。連続判別装置10で良品又は不良品と判別された粉粒体は、第一排出経路61と第二排出経路62とを備える排出部6を介して別々に排出される。
【0020】
連続判別装置10で良品と判別された粉粒体は第一排出経路61の下端部に設けられた第一排出口61aを介して排出され、次工程に搬送される。一方、連続判別装置10で不良品と判別された粉粒体は第二排出経路61の下端部に設けられた第二排出口62aを介して排出される。なお、本実施形態に係る連続判別装置10は、連続造粒システム1に採用されるが、粉粒体の物性値に基づいて判別する機構を備える装置において全般的に採用することが可能である。
【0021】
[連続判別装置10(第一実施形態)]
次に、
図2を用いて、第一実施形態に係る連続判別装置10について説明する。連続判別装置10においては、本発明に係る粉粒体の連続判別方法が実行される。連続判別装置10は、管路11と、調整部12と、計測部13と、切替部14と、第一検知部15a・第二検知部15bと、第一開閉部16と、第二開閉部17と、を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0022】
管路11は、その内部を上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管体である。本実施形態において、管路11は上流側が下流側よりも上方に位置するように上下方向に向けて配置されているが、管路11を傾けて又は水平方向に向けて配置する構成とすることも可能である。
【0023】
管路11においては、粉粒体を移送するための移送装置を設ける構成とすることも可能である。本実施形態のように管路11の上流側が下流側よりも上方に位置している場合には、粉粒体を重力により移送することができるため、粉粒体を移送するための移送装置を設けない構成とすることもできる。管路11において粉粒体を重力で移送できない場合は、粉粒体を搬送する移送装置が設けられる。
【0024】
図2に示す如く、管路11は、上流側から順に、第一管路11a、第二管路11b、第三管路11c、及び、第四管路11dを備える。第一管路11aと第二管路11bとの間には第一開閉部16が設けられる。第一開閉部16には第一開閉弁16aが設けられ、この第一開閉弁16aを開閉することにより管路11の開通/閉塞が切り替えられる。
【0025】
第二管路11bと第三管路11cとの間には調整部12が設けられる。調整部12にはロータリーバルブ12aが設けられる。ロータリーバルブ12aは常時回転することにより、粉粒体を連続的に移送している。本実施形態に係る連続判別装置10においては、ロータリーバルブ12aの回転速度を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整している(調整工程)。
【0026】
なお、粉粒体の移送速度を調整できる構成であれば、調整部12としてスクリューフィーダー等、ロータリーバルブ12a以外の構成を採用することも可能である。また、調整部として、振動により粉粒体を移送する振動装置を採用することも可能である。即ち、調整部である振動装置の振動力(振動幅や振動回数等)を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整する構成とすることも可能である。
【0027】
第三管路11cと第四管路11dとの間には第二開閉部17が設けられる。第二開閉部17には第二開閉弁17aが設けられ、この第二開閉弁17aを開閉することにより管路11の開通/閉塞が切り替えられる。本実施例に係る連続造粒システム1においては、第一開閉部16と第二開閉部17とのうち少なくとも何れか一方を閉塞状態とするように制御される。これにより、管路11を流通する気体の流れを遮断し、管路11の下流側からサイクロン式の捕集機へエアーが逆流することを防止している。
【0028】
上記の如く、本実施例に係る連続造粒システム1においては、乾燥後の回収装置(捕集部5)にサイクロンが接続されるため、管路11の下流側から捕集部5であるサイクロンへエアーが逆流することを防止して良好な捕集効率を維持するために、サイクロン排出部を閉じる第一開閉部と第二開閉部の2つの開閉部を設ける構成としている。但し、集塵機のようにフィルターを備えるタイプを捕集部として用いる場合等、サイクロン式の捕集部を有しない装置には、必ずしも2つの開閉部を設ける必要はない。
【0029】
また、本実施形態に係る連続判別装置において、第一開閉部16は計測部13よりも上流側に設けられ、第二開閉部17は調整部12と切替部14との間に設けられる。即ち、調整部12が第一開閉部16と第二開閉部17との間に位置するため、調整部12が他の各部から受ける影響を最小化することができる。これにより、調整部12による粉粒体の移送速度制御の精度を向上させることが可能となる。
【0030】
第四管路11dの下端部には切替部14を介して、第一排出経路61と第二排出経路62とが分岐して接続される。連続判別装置10において粉粒体が不良と判別されていない(良品である)場合、
図3(a)中の流路Fに示す如く、粉粒体は切替部14によって第一排出経路61に案内され、第一排出口61aから排出される。連続判別装置10において粉粒体が不良と判別された場合、
図3(b)中の流路Fに示す如く、粉粒体は切替部14によって第二排出経路62に案内され、第二排出口62aから排出される。
【0031】
図2に示す如く、第二管路11bにおける調整部12よりも上流側には計測部13が設けられる。本実施形態に係る連続判別装置10において、計測部13はNIRやラマン分光器等の分光器、又は、画像解析式やレーザー式を利用した粒度測定器等が採用される。計測部13は、移送される粉粒体の物性値(残存する水分量、含量均一性、粒子径等)を連続して計測する(計測工程)。
【0032】
切替部14は、計測部13による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える(切替工程)。具体的に、計測部13において粉粒体の物性値が不良でないと判別された場合、切替部14は粉粒体を第一排出経路61に案内する。計測部13において粉粒体の物性値が不良であると判別された場合、切替部14は即時に粉粒体の経路を第一排出経路61から第二排出経路62に切替える。この場合、計測部13において粉粒体の物性値が不良でないと判別されてから所定時間経過した後に、切替部14が粉粒体の経路を第二排出経路62から第一排出経路61に戻す。
【0033】
本実施形態に係る連続判別装置10において、第二管路11bには、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部15aが計測部13よりも上流側に設けられる。また、第二管路11bには、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部15bが第一検知部15aと計測部13との間に設けられる。
【0034】
連続判別装置10においては、第一検知部15aが粉粒体を検知する場合は調整部12のロータリーバルブ12aの回転速度を大きくして、粉粒体の移送速度を速く調整する。これにより、第二管路11bの内部に位置する粉粒体の量が多くなりすぎないようにしている。
【0035】
また、連続判別装置10においては、第二検知部15bが粉粒体を検知しない場合は調整部12のロータリーバルブ12aの回転速度を小さくして、粉粒体の移送速度を遅く調整する。これにより、第二管路11bの内部に位置する粉粒体の量が少なくなりすぎないようにして、粉粒体が計測部13の近傍で移送される状態を維持することを可能としている。また、第一検知部15aと第二検知部15bとを設けることにより、第二管路11bの内部の粉粒体を一定量に保つことが可能となる。
【0036】
なお、連続判別装置10において、第一検知部15a及び第二検知部15bを設けない構成とすることも可能である。この場合、調整部12における粉粒体の重量の検知等、他の構成で調整部12による粉粒体の移送速度の調整を行うことが可能である。また、連続判別装置10の使用者の目視に基づいて、調整部12による粉粒体の移送速度の調整を行う構成とすることもできる。
【0037】
上記の如く、本実施形態に係る連続判別装置10においては、調整部12の上流側を連続して移送される粉粒体の物性値を、計測部13で連続的に計測する構成としている。即ち、粉粒体の物性値を停止させることなく移送される状態で連続的かつ包括的に計測することができるため、計測精度を向上させ、粉粒体の全体的な評価を行うことができる。また、計測部13で連続的に計測するため、計測しない時間等の時間的な無駄の発生を抑制できる。
【0038】
[連続判別装置110(第二実施形態)]
次に、
図4を用いて、第二実施形態に係る連続判別装置110について説明する。連続判別装置110においても、本発明に係る粉粒体の連続判別方法が実行される。連続判別装置110は、前記連続判別装置10と同様に、連続造粒システムに採用される。連続判別装置110は、管路111と、調整部112と、計測部113と、切替部114と、第一検知部115a・第二検知部115bと、第一開閉部116と、第二開閉部117と、を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0039】
管路111は、その内部を上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管体である。管路111は、上流側から順に、第一管路111a、第二管路111b、第三管路111c、及び、第四管路111dを備える。
【0040】
第一管路111aと第二管路111bとの間には調整部112が設けられる。調整部112にはロータリーバルブ112aが設けられる。ロータリーバルブ112aは常時回転することにより、粉粒体が連続的に移送される。本実施形態に係る連続判別装置110においては、ロータリーバルブ112aの回転速度を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整している(調整工程)。
【0041】
第二管路111bと第三管路111cとの間には第一開閉部116が設けられる。第一開閉部116には第一開閉弁116aが設けられ、この第一開閉弁116aを開閉することにより管路111の開通/閉塞が切り替えられる。
【0042】
第三管路111cと第四管路111dとの間には第二開閉部117が設けられる。第二開閉部117には第二開閉弁117aが設けられ、この第二開閉弁117aを開閉することにより管路111の開通/閉塞が切り替えられる。本実施形態に係る連続判別装置110においては、第一開閉部116と第二開閉部117とのうち少なくとも何れか一方を閉塞状態とすることにより、管路111を流通する気体の流れを遮断し、管路111の下流側からエアーが逆流することを防止している。
【0043】
第四管路111dの下端部には切替部114を介して、第一排出経路161と第二排出経路162とが分岐して接続される。連続判別装置110において粉粒体が不良と判別されていない(良品である)場合、粉粒体は切替部114によって第一排出経路161に案内されて排出される。また、不良と判別された場合、粉粒体は切替部114によって第二排出経路162に案内されて排出される。
【0044】
図4に示す如く、第一管路111aにおける調整部112よりも上流側には計測部113が設けられる。計測部113は、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する(計測工程)。
【0045】
切替部114は、計測部113による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える(切替工程)。具体的に、計測部113において粉粒体の物性値が不良でないと判別された場合、切替部114は粉粒体を第一排出経路161に案内する。計測部113において粉粒体の物性値が不良であると判別された場合、切替部114は粉粒体を第二排出経路162に案内する。
【0046】
本実施形態に係る連続判別装置110において、第一管路111aには、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部115aが計測部113よりも上流側に設けられる。また、第一管路111aには、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部115bが第一検知部115aと計測部113との間に設けられる。本実施形態に係る連続判別装置110においても、第一検知部115aと第二検知部115bとの検知結果に基づいて、第一管路111aの内部に位置する粉粒体の量を調整している。
【0047】
[連続判別装置210(第三実施形態)]
次に、
図5を用いて、第三実施形態に係る連続判別装置210について説明する。連続判別装置210においても、本発明に係る粉粒体の連続判別方法が実行される。連続判別装置210は、前記連続判別装置10と同様に、連続造粒システムに採用される。連続判別装置210は、管路211と、調整部212と、計測部213と、切替部214と、第一検知部215a・第二検知部215bと、第一開閉部216と、第二開閉部217と、を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
【0048】
管路211は、その内部を上流側から下流側に向けて粉粒体が移送される管体である。管路211は、上流側から順に、第一管路211a、第二管路211b、第三管路211c、及び、第四管路211dを備える。
【0049】
第一管路211aと第二管路211bとの間には第一開閉部216が設けられる。第一開閉部216には第一開閉弁216aが設けられ、この第一開閉弁216aを開閉することにより管路211の開通/閉塞が切り替えられる。
【0050】
第二管路211bと第三管路211cとの間には第二開閉部217が設けられる。第二開閉部217には第二開閉弁217aが設けられ、この第二開閉弁217aを開閉することにより管路211の開通/閉塞が切り替えられる。本実施形態に係る連続判別装置210においては、第一開閉部216と第二開閉部217とのうち少なくとも何れか一方を閉塞状態とすることにより、管路211を流通する気体の流れを遮断し、管路211の下流側からエアーが逆流することを防止している。
【0051】
第三管路211cと第四管路211dとの間には調整部212が設けられる。調整部212にはロータリーバルブ212aが設けられる。ロータリーバルブ212aは常時回転することにより、粉粒体を連続的に移送している。本実施形態に係る連続判別装置210においては、ロータリーバルブ212aの回転速度を変更することにより、粉粒体の移送速度を調整している(調整工程)。
【0052】
第四管路211dの下端部には切替部214を介して、第一排出経路261と第二排出経路262とが分岐して接続される。連続判別装置210において粉粒体が不良と判別されていない(良品である)場合、粉粒体は切替部214によって第一排出経路261に案内されて排出される。また、不良と判別された場合、粉粒体は切替部214によって第二排出経路262に案内されて排出される。
【0053】
図5に示す如く、第三管路211cにおける調整部212よりも上流側には計測部213が設けられる。計測部213は、移送される粉粒体の物性値を連続して計測する(計測工程)。
【0054】
切替部214は、計測部213による計測結果に基づいて粉粒体の流路を切替える(切替工程)。具体的に、計測部213において粉粒体の物性値が不良でないと判別された場合、切替部214は粉粒体を第一排出経路261に案内する。計測部213において粉粒体の物性値が不良であると判別された場合、切替部214は粉粒体を第二排出経路162に案内する。
【0055】
本実施形態に係る連続判別装置210において、第三管路211cには、近傍の粉粒体の有無を検知する第一検知部215aが計測部213よりも上流側に設けられる。また、第三管路211cには、近傍の粉粒体の有無を検知する第二検知部215bが第一検知部215aと計測部213との間に設けられる。本実施形態に係る連続判別装置210においても、第一検知部215aと第二検知部215bとの検知結果に基づいて、第三管路211cの内部に位置する粉粒体の量を調整している。
【0056】
上記の如く、第二実施形態に係る連続判別装置110、及び、第三実施形態に係る連続判別装置210の何れにおいても、調整部112・212の上流側を連続して移送される粉粒体の物性値を、計測部113・213で連続的に計測する構成としている。即ち、粉粒体の物性値を停止させることなく移送される状態で連続的かつ包括的に計測することができるため、計測精度を向上させ、粉粒体の全体的な評価を行うことができる。また、計測部113・213で連続的に計測するため、計測しない時間等の時間的な無駄の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0057】
1 連続造粒システム 2 原料供給部
3 造粒部 4 乾燥部
5 捕集部 6 排出部
10 連続判別装置(第一実施形態)
11 管路 11a 第一管路
11b 第二管路 11c 第三管路
11d 第四管路 12 調整部
12a ロータリーバルブ 13 計測部
14 切替部 15a 第一検知部
15b 第二検知部 16 第一開閉部
16a 第一開閉弁 17 第二開閉部
17a 第二開閉弁 61 第一排出経路
61a 第一排出口 62 第二排出経路
62a 第二排出口
110 連続判別装置(第二実施形態)
111 管路 111a 第一管路
111b 第二管路 111c 第三管路
111d 第四管路 112 調整部
112a ロータリーバルブ 113 計測部
114 切替部 115a 第一検知部
115b 第二検知部 116 第一開閉部
116a 第一開閉弁 117 第二開閉部
117a 第二開閉弁 161 第一排出経路
162 第二排出経路
210 連続判別装置(第三実施形態)
211 管路 211a 第一管路
211b 第二管路 211c 第三管路
211d 第四管路 212 調整部
212a ロータリーバルブ 213 計測部
214 切替部 215a 第一検知部
215b 第二検知部 216 第一開閉部
216a 第一開閉弁 217 第二開閉部
217a 第二開閉弁 261 第一排出経路
262 第二排出経路
F 流路