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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136578
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電気錠監視装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20230922BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230922BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E05B47/00 H
G08B25/04 E
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042330
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】倉林 慶太
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA44
5C086BA01
5C086BA17
5C086EA08
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA11
5C087AA11
5C087DD03
5C087DD24
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF13
5C087FF25
(57)【要約】
【課題】専用アプリケーションプログラムを用いることなく電気錠の動作不能状態が近づいていることを利用者に認知させる。
【解決手段】電池で作動する電気錠について動作回数のしきい値を設定する設定部と、動作回数を順次積算し、積算値がしきい値を超えたか否かを監視する監視部と、監視部に設けられ、監視部から入力される警告信号に基づいて警告を発する警告部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池で作動する電気錠について動作回数のしきい値を設定する設定部と、
前記動作回数を順次積算し、積算値が前記しきい値を超えたか否かを監視する監視部と、
前記監視部に設けられ、当該監視部から入力される警告信号に基づいて警告を発する警告部と
を備える電気錠監視装置。
【請求項2】
前記しきい値は、前記電気錠を駆動する電池の電池切れに対応する第1施解錠回数と前記電気錠の点検あるいは交換に対応する第2施解錠回数である請求項1に記載の電気錠監視装置。
【請求項3】
前記積算値をリセットするリセットスイッチがさらに設けられている請求項1または2に記載の電気錠監視装置。
【請求項4】
前記設定部、前記監視部及び前記警告部は、ホームネットワークと前記電気錠との無線通信を中継する中継装置に設けられる請求項1~3のいずれか一項に記載の電気錠監視装置。
【請求項5】
前記警告部は、発光器である請求項1~4のいずれか一項に記載の電気錠監視装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気錠監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末を用いて玄関ドアに組み込まれた錠(電気錠)を解錠あるいは施錠する施解錠システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6937449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施解錠システムは、「スマートロック」と呼称されるものである。電気錠は一般的に電池によって駆動されるが、専用アプリ(専用アプリケーションプログラム)を用いないと電気錠の電池切れ等の動作不能状態が近づいていることを認知することができない。
【0005】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、専用アプリケーションプログラムを用いることなく電気錠の動作不能状態が近づいていることを利用者に認知させることが可能な電気錠監視装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、電池で作動する電気錠について動作回数のしきい値を設定する設定部と、前記動作回数を順次積算し、積算値が前記しきい値を超えたか否かを監視する監視部と、前記監視部に設けられ、当該監視部から入力される警告信号に基づいて警告を発する警告部とを備える電気錠監視装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電気錠監視装置Aの全体構成を示すブロック図である。
図2】中継装置4の機能構成を示すブロック図である。
図3】電気錠監視装置Aの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る電気錠監視装置Aは、図1に示すように、電気錠1、携帯端末2、スマート家電3、中継装置4(判定装置)及び無線LANルータ5を構成要素として備えている。LANは、Local Area Network(ローカル・エリア・ネットワーク)の略称である。
【0009】
電気錠監視装置Aの各構成要素のうち、電気錠1、携帯端末2及び中継装置4は、「スマートロック」と呼称され、電気錠1の施開錠を携帯端末2から非接触操作する施開錠システムを構成している。
【0010】
電気錠1は、一般住宅等の建屋において玄関ドア等の出入口に設けられている。電気錠1は、施錠及び解錠が電気的に行われるとともに、携帯端末2及び中継装置4と近距離通信が可能な錠である。本実施形態で採用する近距離通信の方式(通信規格)は、所謂「Bluetooth(登録商標)」である。電気錠1は、携帯端末2及び中継装置4とBluetoothの通信プロトコルの準拠した無線通信(Bluetooth通信)を行う。
【0011】
近距離通信の方式(通信規格)には、「Bluetooth(登録商標)」以外に、「ZigBee(登録商標)」等、幾つかの方式が一般的に知られている。本実施形態では近距離通信の方式として「Bluetooth(登録商標)」を採用するが、必要に応じて他の方式の近距離通信を採用して電気錠監視装置Aを構築してもよい。
【0012】
電気錠1は、内部に組み込まれた電池(錠電池)によって駆動される。錠電池は、電気錠1が施錠動作あるいは解錠動作をする度に自身が蓄えている電力を消費し、最終的には電気錠1を正常に駆動できない状態(電池切れ)に至る。電気錠1を正常に機能させるためには、錠電池における十分な電力残量が必要である。
【0013】
電気錠1は、携帯端末2から施錠指示を受信すると、施錠指示に基づいて自信を施錠状態(出入口の開閉が不可な状態)となる。電気錠1は、解錠指示を携帯端末2から受信すると、解錠指示に基づいて自信を解錠状態(出入口が開閉自在な状態)となる。電気錠1は、携帯端末2から受信する施錠指示あるいは解錠指示に基づく施開錠状態を中継装置3に通知する。
【0014】
携帯端末2は、スマートフォン等、人である利用者が携帯可能な携帯装置である。携帯端末2は、電気錠1とのBluetooth通信が可能な通信装置である。携帯端末2には、近距離通信を用いて電気錠1を非接触操作する専用アプリケーションプログラム(電子錠制御プログラム)が予め搭載されている。
【0015】
携帯端末2は、電子錠制御プログラムに基づいて施錠指示あるいは解錠指示を近距離通信を介して電気錠1に送信することにより、電気錠1の施錠あるいは解錠を行わせる電子錠操作端末である。電子錠制御プログラムは、携帯端末2のOS(Operating System)に対応したものである。
【0016】
利用者は、外出から帰宅した場合、建屋の出入口に近づくと、携帯端末2の電子錠制御プログラムを操作することによって解錠指示を電気錠1に送信させる。電気錠1は、携帯端末2から解錠指示を受信すると、解錠指示に従って出入口を開閉自在(解錠状態)とする。
【0017】
利用者は、建屋から外出する場合、出入口の外側(建屋の外側)から携帯端末2の電子錠制御プログラムを操作することによって、施錠指示を電気錠1に送信させる。電気錠1は、携帯端末2から施錠指示を受信すると、施錠指示に従って出入口を開閉不可(施錠状態)とする。
【0018】
スマート家電3は、外部通信端末との連携が可能な家電製品であり、建屋に構築されたホームネットワーク(家庭内LAN)の構成要素である。本実施形態における建屋には、スマート家電3及び無線LANルータ5を構成要素として含むホームネットワークが予め構築されている。
【0019】
スマート家電3は、例えばスマートコンセント(スマートプラグ)あるいはスマート照明と一般に呼称される通信機能付のコンセントあるいは照明である。スマート家電3は、近距離通信よりも通信距離が長い通信方式(通信規格)である無線LAN(Local Area Network)に準拠して通信プロトコルで無線LANルータ5と無線通信(無線LAN通信)を行う。
【0020】
スマート家電3は、無線LANルータ5を介して外部から受信した操作指示に基づいて初納の機能を発揮する。例えば、スマートコンセント(スマートプラグ)は、外部から通電指示を受信すると、自らに接続されている電気機器への通電を開始する。スマート照明は、外部から点灯指示を受信すると、消灯状態から点灯状態に切り替わる。
【0021】
中継装置4は、建屋内において出入口の近傍(玄関フロア)に設けられている。中継装置4は、電気錠1、スマート家電3及び無線LANルータ5との無線中継を行う通信装置である。中継装置4は、電気錠1とはBluetooth通信を行うが、スマート家電3及び無線LANルータ5とはBluetooth通信よりも通信距離が長い通信方式(通信規格)で無線通信を行う。
【0022】
中継装置4とスマート家電3及び無線LANルータ5との間における通信方式は、一般的に「Wi-Fi(登録商標)」と呼称されるとともにホームネットワーク(家庭内LAN)に準拠した無線LANである。
【0023】
中継装置4は、図2に示すように、第1DIPスイッチ4a、第2DIPスイッチ4b、リセットスイッチ4c、ペアリングスイッチ4d、電池LED4e、メンテナンスLED4f、電源LED4gを備えている。中継装置4は、電源プラグ4h、電源回路4i、メモリ4j、MCU4k、スマートロック用通信回路4m、スマートロック用高周波回路4n、スマートロック用アンテナ4pを備えている。中継装置4は、ホームネットワーク用通信回路4q、ホームネットワーク用高周波回路4r及びホームネットワーク用アンテナ4sを備えている。
【0024】
第1DIPスイッチ4aは、電気錠1を駆動する錠電池の電池切れに対応する電気錠1の動作回数のしきい値(第1施解錠回数N1)を設定する設定部(第1施解錠回数設定部)である。第1施解錠回数N1は、錠電池の電池切れ(電気錠1の動作不能状態)を回避するために利用者が任意に設定する電気錠1の動作回数である。第1DIPスイッチ4aは、第1施解錠回数N1をMCU4kに出力する。
【0025】
第2DIPスイッチ4bは、電気錠1の点検あるいは交換に対応する電気錠1の動作回数のしきい値(第2施解錠回数N2)を設定する設定部(第2施解錠回数設定部)である。第2施解錠回数N2は、電池切れとは別の要因で電気錠1が動作不能状態となることを回避するためのものであり、利用者が任意に設定する電気錠1の動作回数である。第2DIPスイッチ4bは、第2施解錠回数N2をMCU4kに出力する。
【0026】
リセットスイッチ4cは、MCU4kが算出する第1積算値n1及び第2積算値n2のリセットを指示する操作ボタンである。第1積算値n1及び第2積算値n2は、所定の時刻以降における電気錠1の動作回数(施解錠回数)であり、電池の電力消費及び電池以外の電気錠1の点検あるいは交換と相関を持つ物理量である。リセットスイッチ4cは、積算値のリセットを指示するリセット信号をMCU4kに出力する。
【0027】
ペアリングスイッチ4dは、MCU4kに対して電気錠1とのペアリングを指示する操作ボタンである。利用者がペアリングスイッチ4dを操作すと、ペアリングスイッチ4dは、ペアリング開始信号をMCU4kに出力する。MCU4kは、ペアリング開始信号に基づいて電気錠1との間のペアリングを確立させる。
【0028】
詳細には、MCU4kは、スマートロック用通信回路4m、スマートロック用高周波回路4n及びスマートロック用アンテナ4pを介して電気錠1と近距離通信を行うことにより、電気錠1との間の通信回線を設定する。電気錠1と中継装置4との間でペアリングが設定されると、電気錠1と中継装置4とは近距離通信自在な状態となる。
【0029】
電池LED4eは、中継装置4に設けられ、当該中継装置4のMCU4gから入力される警告信号に基づいて警告を発する警告部(発光器)である。電池LED4eは、警告を光によって外部に報知する半導体発光素子(発光ダイオード:Light Emitting Diode)である。電池LED4eは、MCU4gから入力される発光信号に基づいて異なる態様で発光することにより、錠電池における複数のレベル状態を報知する。
【0030】
電池LED4eは、錠電池が電気錠1を十分に駆動し得る状態にある場合にMCU4gから発光信号の1つとして入力される消灯信号に従って消灯する。電池LED4eは、錠電池が消耗して電池切れに近づいた場合つまり第1積算値n1が第1施解錠回数N1を超えた場合にMCU4gから入力される警告信号に従って点滅する。
【0031】
メンテナンスLED4fは、中継装置4に設けられ、当該中継装置4のMCU4gから入力される警告信号に基づいて警告を発する警告部(発光器)である。メンテナンスLED4fは、電気錠1の点検あるいは交換の必要を光によって外部に報知する半導体発光素子(発光ダイオード:Light Emitting Diode)である。メンテナンスLED4fは、MCU4gから入力される発光信号に基づいて異なる態様で発光することにより、電気錠1の点検あるいは交換の必要を報知する。
【0032】
メンテナンスLED4fは、電気錠1の点検あるいは交換の必要がない場合にMCU4gから発光信号の1つとして入力される消灯信号に従って消灯する。メンテナンスLED4fは、電気錠1が摩耗して点検あるいは交換の必要がある場合つまり第2積算値n2が第2施解錠回数N2を超えた場合に、MCU4gから入力される警告信号に従って点滅する。
【0033】
電源LED4gは、中継装置4に電源が通電されていることを外部に報知する半導体発光素子(発光ダイオード:Light Emitting Diode)である。電源LED4gは、中継装置4に電源が通電されているとMCU4gから入力される発光信号に従って発光する。発光信号は、半導体発光素子である電源LED4gを発行させることができる電圧を有する電圧信号である。
【0034】
電源プラグ4hは、建屋内に設備されているAC100V等の商用電源(交流電源)に中継装置4を接続する接続部品である。電源プラグ4hは、周知のように一対の電極を備えており、当該一対の電極が商用電源に接続されるとともに同じく一対の電極を備えたコンセントと係合することにより、商用電源に中継装置4を接続する。電源プラグ4hがコンセントと係合することにより、中継装置4には商用電源が給電される。
【0035】
電源回路4iは、電源プラグ4hから入力される商用電源(交流電源)を直流電源に変換する電力変換回路である。電源回路4iは、商用電源(交流電源)を中継装置4の各種電子部品(第1DIPスイッチ4a、第2DIPスイッチ4b、リセットスイッチ4c、ペアリングスイッチ4d、電池LED4e、メンテナンスLED4f及び電源LED4g)及び各種電子回路(メモリ4j、MCU4k、スマートロック用通信回路4m、スマートロック用高周波回路4n、ホームネットワーク用通信回路4q及びホームネットワーク用高周波回路4r)が電源として使用する直流電源に変換する。
【0036】
各種電子部品(第1DIPスイッチ4a、第2DIPスイッチ4b、リセットスイッチ4c、ペアリングスイッチ4d、電池LED4e、メンテナンスLED4f及び電源LED4g)は、電源回路4iから供給される直流電源に基づいて所望の機能を発揮する。メモリ4j及びMCU4k等の各種電子回路は、電源回路4iから供給される直流電源に基づいて所望の機能を発揮する。
【0037】
メモリ4jは、MCU4kが実行する中継プログラム及び中継プログラムの実行に必要な各種制御データ等を記憶する半導体記憶装置である。メモリ4jは、不揮発性メモリ(ROM:Read Only Memory)と揮発性メモリ(RAM:Random Access Memory)とからなる。
【0038】
メモリ4jは、中継プログラム、MCU4kが算出する第1積算値n1及び第2積算値n2並びに各種制御データを不揮発性メモリに記憶し、MCU4kが中継プログラムの実行過程で生成するデータを揮発性メモリに記憶する。メモリ4jにおけるデータの読み出し及びデータの書込みは、MCU4kによって制御される。
【0039】
MCU4kは、中継装置4を統括的に制御する中継装置4の制御部(Micro Controller Unit)である。MCU4kは、第1施解錠回数N1に対応する電気錠1の動作回数を第1積算値n1として順次積算するとともに、第2施解錠回数N2に対応する電気錠1の動作回数を第2積算値n2として順次積算する。
【0040】
MCU4kは、第1積算値n1を第1ログ情報としてメモリ4jに記憶させるとともに、第2積算値n2を第2ログ情報としてメモリ4jに記憶させる。MCU4kは、第1積算値n1を無線LANルータ5を介してクラウドBに送信させることにより第1ログ情報として保存させるとともに、第2積算値n2を無線LANルータ5を介してクラウドBに送信することにより第2ログ情報として保存させる。
【0041】
MCU4kは、第1積算値n1、第2積算値n2、第1施解錠回数N1及び第2施解錠回数N2に基づいて電気錠1を監視する監視部である。MCU4kは、第1積算値n1が第1施解錠回数N1を超えたか否かを監視するとともに、第2積算値n2が第2施解錠回数N2を超えたか否かを監視することにより、電気錠1における錠電池及び電気錠1の点検あるいは交換を監視する。
【0042】
詳細には、MCU4kは、中継プログラムを実行する中央処理部(CPU)、第1DIPスイッチ4a、第2DIPスイッチ4b、リセットスイッチ4c、ペアリングスイッチ4d、電池LED4e、メンテナンスLED4f、電源LED4g、メモリ4j、スマートロック用通信回路4m及びホームネットワーク用通信回路4qとデータの入出力を行う入出力部等を備える。
【0043】
MCU4kは、中継プログラムに基づいて第1DIPスイッチ4a及び第2DIPスイッチ4bから入力される設定信号を受け付ける。MCU4kは、中継プログラムに基づいてリセットスイッチ4c及びペアリングスイッチ4dから入力される操作信号を受け付ける。MCU4kは、中継プログラムに基づいて第1積算値n1及び第2積算値n2を計算し、第1積算値n1、第2積算値n2、第1施解錠回数N1及び第2施解錠回数N2に基づいて電池LED4e及びメンテナンスLED4fに発光信号を出力する。
【0044】
MCU4kは、電源回路4iからの直流電源の給電状態に基づいて電源LED4gに発光信号を出力する。MCU4kは、中継プログラムに基づいてスマートロック用通信回路4mに送信指示(Bluetooth通信指示)を出力することにより、スマートロック用高周波回路4n及びスマートロック用アンテナ4pを介した電気錠1とのBluetooth通信を行う。
【0045】
MCU4kは、中継プログラムに基づいてホームネットワーク用通信回路4qに送信指示(無線LAN通信指示)を出力することにより、ホームネットワーク用高周波回路4r及びホームネットワーク用アンテナ4sを介した無線LANルータ5との無線LAN通信を行う。MCU4kの詳細処理については、本実施形態に係る電気錠監視装置Aの動作として後述する。
【0046】
スマートロック用通信回路4mは、MCU4kから入力されるBluetooth送信指示に基づいてBluetoothの通信プロトコルに準拠した通信パケット(Bluetooth送信パケット)を生成してスマートロック用高周波回路4nに出力する。Bluetooth送信パケットは、送信元である中継装置4の識別番号、送信先である電気錠1の識別番号及び送信内容を示す送信データとを少なくとも含む。
【0047】
スマートロック用通信回路4mは、スマートロック用高周波回路4nから入力されるBluetooth受信パケットに基づいて電気錠1から受信した受信データを取り出す。Bluetooth受信パケットには、送信元である電気錠1の識別番号、送信先である中継装置4の識別番号及び受信内容を示す受信データとを少なくとも含む。スマートロック用通信回路4mは、受信データをMCU4kに出力する。
【0048】
スマートロック用高周波回路4nは、スマートロック用通信回路4mから入力されるBluetooth送信パケットにBluetoothの通信プロトコルに準拠した高周波送信処理(Bluetooth高周波送信処理)を施す高周波回路である。Bluetooth高周波送信処理は、Bluetoothの通信プロトコルに準拠した変調処理であり、Bluetooth送信パケットをBluetooth高周波送信信号に変換する。スマートロック用高周波回路4nは、Bluetooth高周波送信信号をスマートロック用アンテナ4pに出力する。
【0049】
スマートロック用高周波回路4nは、スマートロック用アンテナ4pから入力されるBluetooth高周波受信信号にBluetoothの通信プロトコルに準拠した高周波受信処理(Bluetooth高周波受信処理)を施すことにより、Bluetooth高周波受信信号からBluetooth受信パケットを取出す。Bluetooth高周波受信処理は、Bluetoothの通信プロトコルに準拠した復調処理である。Bluetooth受信パケットは、スマートロック用高周波回路4nからスマートロック用通信回路4mに出力される。
【0050】
スマートロック用アンテナ4pは、スマートロック用高周波回路4nから入力されるBluetooth高周波送信信号を電波(Bluetooth送信波)として空中に放射する高周波部品である。Bluetooth送信波は、Bluetooth送信パケットの内容を含む2.4GHz帯の高周波であり、送信先である電気錠1によって受信されことによってBluetooth送信パケットの内容が再生される。
【0051】
スマートロック用アンテナ4pは、空中から飛来した電波(Bluetooth受信波)をBluetooth高周波受信信号に変換してスマートロック用高周波回路4nに出力する。Bluetooth受信波は、Bluetooth受信パケットの内容を含む2.4GHz帯の高周波であり、送信元である電気錠1から送信されものである。Bluetooth受信パケットは、電気錠1で生成されたBluetooth送信パケットである。
【0052】
ホームネットワーク用通信回路4qは、MCU4kから入力される無線LAN送信指示に基づいて無線LANの通信プロトコルに準拠した通信パケット(無線LAN送信パケット)を生成してホームネットワーク用高周波回路4rに出力する。無線LAN送信パケットは、送信元である中継装置4の識別番号、送信先である無線LANルータ5の識別番号及び送信内容を示す送信データとを少なくとも含む。
【0053】
ホームネットワーク用通信回路4qは、ホームネットワーク用高周波回路4rから入力される無線LAN受信パケットに基づいて電気錠1から受信した受信データを取り出す。Bluetooth受信パケットには、送信元である無線LANルータ5の識別番号、送信先である中継装置4の識別番号及び受信内容を示す受信データとを少なくとも含む。ホームネットワーク用通信回路4qは、受信データをMCU4kに出力する。
【0054】
ホームネットワーク用高周波回路4rは、ホームネットワーク用通信回路4qから入力される無線LAN送信パケットに無線LANの通信プロトコルに準拠した高周波送信処理(無線LAN高周波送信処理)を施す高周波回路である。無線LAN高周波送信処理は、無線LANの通信プロトコルに準拠した変調処理であり、無線LAN送信パケットを無線LAN高周波送信信号に変換する。
【0055】
ホームネットワーク用高周波回路4rは、ホームネットワーク用アンテナ4sから入力される無線LAN高周波受信信号に無線LANの通信プロトコルに準拠した高周波受信処理(無線LAN高周波受信処理)を施すことにより、無線LAN高周波受信信号から無線LAN受信パケットを取出す。無線LAN受信パケットは、ホームネットワーク用高周波回路4rからホームネットワーク用通信回路4qに出力される。無線LAN高周波受信処理は、無線LANの通信プロトコルに準拠した復調処理である。
【0056】
ホームネットワーク用アンテナ4sは、ホームネットワーク用高周波回路4rから入力される無線LAN高周波送信信号を電波(無線LAN送信波)として空中に放射する高周波部品である。無線LAN送信波は、無線LAN送信パケットの内容を含む2.4GHz帯の高周波であり、送信先である無線LANルータ5によって受信されことによって無線LAN送信パケットの内容が再生される。
【0057】
ホームネットワーク用アンテナ4sは、空中から飛来した電波(無線LAN受信波)を無線LAN高周波受信信号に変換してホームネットワーク用高周波回路4rに出力する。無線LAN受信波は、無線LAN受信パケットの内容を含む2.4GHz帯の高周波であり、送信元である無線LANルータ5から送信されものである。無線LAN受信パケットは、無線LANルータ5で生成された無線LAN送信パケットである。
【0058】
無線LANルータ5は、ホームネットワーク(家庭内LAN)とインターネット等の外部通信回線とを接続する通信装置(接続装置)である。無線LANルータ5は、無線LANの通信プロトコルに準拠した無線LAN通信をスマート家電3及び中継装置4と行うとともに、外部通信回線と外部通信回線の通信プロトコルに準拠した通信を行う。
【0059】
無線LANルータ5は、例えば外部通信回線を介してスマート家電3の操作指示(外部操作指示)を受信する。無線LANルータ5は、外部操作指示を無線LANの通信プロトコルに準拠した無線LAN送信波に変換してスマート家電3に送信する。スマート家電3は、外部操作指示に従って作動する。
【0060】
無線LANルータ5は、例えば中継装置4から電気錠1の動作状態及び利用者の帰宅/外出情報を示す送信データを含む無線LAN送信波を無線LAN受信波として受信する。無線LANルータ5は、無線LAN受信波から受信データ(無線LAN送信波の送信データ)を取出し、電気錠1の動作状態及び利用者の帰宅/外出情報をログ情報として保存する。
【0061】
無線LANルータ5は、ログ情報を必要に応じてクラウドBに送信する。クラウドBは、外部通信回線に設けられた記憶装置である。クラウドBは、無線LANルータ5から受信したログ情報を記憶する。
【0062】
本実施形態に係る電気錠監視装置Aの動作について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0063】
電気錠監視装置Aでは、最初に第1DIPスイッチ4a及び第2DIPスイッチ4bを用いた初期設定が行われる(ステップS1)。利用者は、第1DIPスイッチ4aに第1施解錠回数N1を設定し、第2DIPスイッチ4bに第2施解錠回数N2)を設定する。
【0064】
初期設定が完了し、利用者がリセットスイッチ4cを操作すると、操作信号がリセットスイッチ4cからMCU4kに入力される。MCU4kは、操作信号に基づいて利用者の操作態様を判断し(ステップS2)、操作態様に応じてステップS3またはステップS4の処理を実行する。
【0065】
リセットスイッチ4cの操作態様が5~20秒の期間に亘る押下操作の場合、MCU4kは、メモリ4jに第1ログ情報として記憶された第1積算値n1をリセットする(ステップS3)。リセットスイッチ4cの操作態様が20秒以上の期間に亘る押下操作の場合、MCU4kは、メモリ4jに第2ログ情報として記憶された第2積算値n2をリセットする(ステップS4)。MCU4kは、リセットスイッチ4cが操作されない場合には、何ら処理を実行することなく待機状態となる。
【0066】
利用者は、錠電池を新品に交換した場合、リセットスイッチ4cを5~20秒の期間に亘って押下することにより、メモリ4jの第1ログ情報(第1積算値n1)をリセットさせる。利用者は、電気錠1の点検あるいは交換を行った場合、リセットスイッチ4cを20秒以上の期間に亘って押下することにより、メモリ4jの第2ログ情報(第2積算値n2)をリセットさせる。
【0067】
MCU4kは、ステップS3またはステップS4の処理の実行後またはリセットスイッチ4cが操作されない待機状態において電気錠1から施解錠の通知を受け付けると(ステップS5)、電気錠1が施錠動作をしたのか、または解錠動作をしたのかを判断する(ステップS6)。
【0068】
MCU4kは、電気錠1が施錠動作をしたと判断した場合、制御パラメータである施錠回数naをインクリメントする(ステップS7)。MCU4kは、電気錠1が解錠動作をしたと判断した場合には、制御パラメータである解錠回数nbをインクリメントする(ステップS8)。MCU4kは、施錠回数naと解錠回数nbとを合算することにより第1積算値n1及び第2積算値n2を算出し、第1積算値n1を第1ログ情報としてメモリ4jに記憶させ、第2積算値n2を第2ログ情報としてメモリ4jに記憶させる。
【0069】
第1積算値n1は、ステップS3でメモリ4jの第1ログ情報(第1積算値n1)がリセットされた時点以降の電気錠1の施解錠回数である。第2積算値n2は、ステップS4でメモリ4jの第2ログ情報(第2積算値n2)がリセットされた時点以降の電気錠1の施解錠回数である。
【0070】
MCU4kは、第1ログ情報(第1積算値n1)が第1DIPスイッチ4aで設定された第1施解錠回数N1を超えたか否かを判断する(ステップS9)。MCU4kは、第1積算値n1が第1施解錠回数N1を超えると、電池LED4eに警告信号を出力することにより電池LED4eを点滅させる。
【0071】
MCU4kは、第2ログ情報(第2積算値n2)が第2DIPスイッチ4bで設定された第2施解錠回数N2を超えたか否かを判断する(ステップS11)。MCU4kは、第2積算値n2が第2施解錠回数N2を超えると、メンテナンスLED4fに警告信号を出力することによりメンテナンスLED4fを点滅させる。
【0072】
クラウドBには、図3に示す電気錠監視装置Aの動作に基づいて、第1ログ情報(第1積算値n1)及び第2ログ情報(第2積算値n2)が蓄積される。クラウドBにおける第1ログ情報(第1積算値n1)及び第2ログ情報(第2積算値n2)は、閲覧権限を有する者が閲覧することができる。この閲覧によって、閲覧権限を有する者は、電気錠1における錠電池の状態及び電気錠1の点検あるいは交換状態を容易に確認することができる。
【0073】
本実施形態によれば、専用アプリケーションプログラムを用いることなく電気錠1の動作不能状態が近づいていることを利用者に認知させることが可能な電気錠監視装置Aを提供することができる。
【0074】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では電気錠1における電池錠の電池切れと電気錠1の点検あるいは交換とについて個別に監視したが、電池錠の電池切れに関する監視のみを行ってもよい。
【0075】
(2)上記実施形態では中継装置4に設定部、監視部及び警告部の機能を設けたが、警告部の機能については、中継装置4に加えて電気錠1にも設けてもよい。中継装置4の電池LED4eと同等のLEDを設けることにより、電気錠1においても警報を発することが可能となる。
【0076】
(3)本実施形態では近距離通信の方式としてBluetooth(登録商標)を採用したが、本開示はBluetoothに限定されない。例えば、Bluetooth以外の近距離通信方式としてZigBee(登録商標)を採用してもよい。
【0077】
(4)本実施形態では、中継装置4に加えてクラウドBにも第1ログ情報(第1積算値n1)及び第2ログ情報(第2積算値n2)を保存したが、第1ログ情報(第1積算値n1)及び第2ログ情報(第2積算値n2)を中継装置4のみに保存してもよい。
【符号の説明】
【0078】
A…電気錠監視装置、B…クラウド、1…電気錠、2…携帯端末、3…スマート家電、4…中継装置(監視部)、4a…第1DIPスイッチ(設定部)、4b…第2DIPスイッチ(設定部)、4c…リセットスイッチ、4d…ペアリングスイッチ、4e…電池LED(警告部、発光器)、4f…メンテナンスLED(警告部、発光器)、4g…電源LED、4h…電源プラグ、4i…電源回路、4j…メモリ、4k…MCU、4m…スマートロック用通信回路、4n…スマートロック用高周波回路、4p…スマートロック用アンテナ、4q…ホームネットワーク用通信回路、4r…ホームネットワーク用高周波回路、4s…ホームネットワーク用アンテナ、5…無線LANルータ
図1
図2
図3