(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013659
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】皮膚表面上のしわを減らすための非治療的美容方法、方法を実践するためのキット、及びキットを使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61N 7/02 20060101AFI20230119BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20230119BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20230119BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61N7/02
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/67
A61K8/64
A61K8/42
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021117999
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】チン・カイ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ロザリア・アントネッリ
(72)【発明者】
【氏名】シャーヒド・ナスィール
【テーマコード(参考)】
4C083
4C160
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC641
4C083AD331
4C083AD411
4C083AD611
4C083CC03
4C083EE12
4C160JJ33
(57)【要約】
【課題】サロン及び家庭で使用することができ、皮膚のための知覚できる美容有益性を付与するための、より低侵襲的にしわを改善する新規な方法が求められている。
【解決手段】本発明による一態様は、皮膚表面上のしわを減らすための非治療的美容方法であって、処置しようとする皮膚表面上に、美容活性剤/製剤を含む超音波伝達媒質を適用する工程と、適用された媒質を有する皮膚表面に、超音波を適用する工程とを含む、方法を提供する。超音波は、音響出力を生成する。超音波は、10KHz~50MHz、好ましくは30KHz~20MHz、より好ましくは1MHz~10MHzの周波数を有する。超音波は、超音波が皮膚中で皮膚表面から最大3mmの深さに伝播して適用ゾーンで皮膚の温度の上昇が生じるように、発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面上のしわを減らすための非治療的美容方法であって、
処置しようとする皮膚表面上に、美容活性剤/製剤を含む超音波伝達媒質を適用する工程と、
適用された媒質を有する皮膚表面に、超音波を適用する工程と、
を含み、
前記超音波は、音響出力を生成し、前記超音波は、10KHz~50MHz、好ましくは30KHz~20MHz、より好ましくは1MHz~10MHzの周波数を有し、
前記超音波は、前記超音波が皮膚中で皮膚表面から最大3mmの深さに伝播して適用ゾーンで皮膚の温度の上昇が生じるように、発生させる、方法。
【請求項2】
前記超音波が、集束されていない超音波であり、
皮膚表面の温度が、50℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超音波が、集束超音波であり、前記超音波が、短時間で、焦点ゾーンにおいて皮膚の温度の局所的上昇を生じさせ、
前記超音波を皮膚に適用したときの焦点ゾーンにおける皮膚の温度が、40℃より高く65℃以下、好ましくは40℃より高く60℃以下、より好ましくは40℃より高く50℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波が、パルス化された集束超音波であり、
前記超音波のパルスエネルギーが、0.001J以上で10J未満、好ましくは0.01J以上で5J未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記超音波が、パルス化された超音波であり、
前記超音波のパルス期間が、150ミリ秒以下、好ましくは80ミリ秒以下、より好ましくは4ミリ秒~80ミリ秒、更により好ましくは4ミリ秒~70ミリ秒、なおも更により好ましくは4ミリ秒~50ミリ秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波が、集束されたパルス化された超音波であり、
前記超音波のピーク出力が、80W未満、好ましくは65W以下、より好ましくは15W以下、更により好ましくは5W以下、なおも更により好ましくは0.1W~2Wである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記超音波が、連続波であり、
前記超音波の期間が、1秒以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波が、上皮及び/又は真皮である1つ又は複数の皮膚の層に伝播される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記美容活性剤/製剤が、ヒアルロン酸、ポリオール、ビタミン、ペプチド、セラミド、増殖因子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記美容活性剤/製剤が、ヒアルロン酸を含み、前記ヒアルロン酸の濃度が、媒質の総質量に対して、0.1%超である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒアルロン酸の分子量が、5KDaから20MDaの間、好ましくは10KDaから2MDaの間である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記媒質の動粘度が、4Pasから50Pasの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法を実践するためのキットであって、
超音波を放射するトランスデューサを備えた超音波ユニット、
前記超音波ユニットを収容する収容部、及び
ヘッド
を備えた装置と、
皮膚の知覚できる美容有益性のための、且つ前記超音波を伝播するための、美容活性剤/製剤を含む媒質と
を含む、キット。
【請求項14】
キットを使用する方法であって、前記キットは、
超音波を放射するトランスデューサを備えた超音波ユニット、
前記超音波ユニットを収容する収容部、及び
ヘッド、
を備えた装置と、
皮膚の知覚できる美容有益性のための、且つ超音波を伝播するための、美容活性剤/製剤を含む媒質と、
を含み、
前記方法は、
前記媒質を皮膚の表面に適用する工程と、
前記超音波を、前記超音波ユニットの手段によって発生させる工程と、
前記ヘッドを、皮膚と、又は皮膚上の媒質と接触させる工程と、
前記超音波を、前記媒質を通して皮膚へ伝播する工程と
を含み、
前記超音波は、集束されたパルス化された超音波であり、
前記超音波は、10KHz~50MHz、好ましくは30KHz~20MHz、より好ましくは1MHz~10MHzの周波数を有し、
前記超音波は、0.001J以上で10J未満、好ましくは0.01J以上で5J未満のエネルギーを有し、
前記超音波を皮膚に適用したときの焦点ゾーンにおける皮膚の温度が、40℃より高く65℃以下、好ましくは40℃より高く60℃以下、より好ましくは40℃より高く50℃以下である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面を処置するための非治療的美容方法であって、前記方法は、媒質を超音波と組み合わせることを含み、媒質は、好適な化粧品を含む、方法に関する。より詳細には、本方法は、しわを減らすことを目的とする。本発明はまた、本方法を実践するためのキット、及びキットを使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
美容活性剤/製剤を皮膚に適用することは、皮膚上のしわを改善する1つの方法として知られている。美容活性剤/製剤の非制限的な例は、ヒアルロン酸である。ヒアルロン酸は、多くのヒト組織中に見出される、天然に存在する化合物である。ヒトの組織には、皮膚、関節の滑液、目の硝子体液、及び軟骨内の足場などが挙げられる。これらの組織の中でも、体内で最大量のヒアルロン酸は、皮膚中に見出される。
【0003】
皮膚が老化し、太陽からの紫外線に繰り返し暴露されるにつれ、皮膚の真皮細胞は、それらのヒアルロン酸の生成を減少させる。皮膚老化についての更なる一般情報は、2012年7月~12月に刊行された文献「Hyaluronic acid, A key molecule in skin aging」、Dermato-Endocrinology 4:3、253~258頁に見出すことができる。
【0004】
ヒアルロン酸は、クリーム、ローション、トニック、マスクなどの形態にある湿潤化及び/又は抗老化製品中で使用されている。ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸ナトリウム及びヒアルロン酸カリウム等のヒアルロン酸塩を含みうる。ヒアルロン酸を含む化粧品は、皮膚に局所適用される。したがって、皮膚中に入るヒアルロン酸の量が限定的であるため、しわ及び皮膚テクスチャに対する効果が限定される又は短期間であるという問題が起こりうる。
【0005】
この効果を改善するために、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸系組成物は、真皮充填剤として使用されることが知られている。使用中、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸系組成物は、皮膚内に注入されて、小じわ(lines)、しわ(folds)及び浅いしわ(shallow wrinkles)を充填しうる。しかしながら、このようなヒアルロン酸充填剤は、皮膚の表面の真下に、たいていは真皮中に、針を用いて典型的に注入され、したがって、針の恐怖症、感染のリスク及び無菌化する難しさ等の問題が起こりうる。
【0006】
針の使用に伴う欠点を克服するために、代替的な皮膚引き締め系が導入されてきた。皮膚引き締め系のうちの1つは、媒質として適用されるゲル含有薬剤を利用してエネルギー波を皮膚に向けて送達し、それによりエネルギー波が皮膚を通ることができるものである。
【0007】
WO2019/164836 A1(特許文献1)は、真皮充填剤化合物及び脂肪低減化合物を、針シリンジを用いて皮膚の真皮中に注入する前に、高強度集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound)(HIFU)を使用することを開示している。
【0008】
韓国特許第2015/0101965 A号(特許文献2)はまた、エネルギーを皮膚に伝達するための媒質として超音波ゲルを用いる、真皮、及び真皮よりも深い層における皮膚引き締め又は顔面しわ取り手順のためのHIFU系の使用も開示している。HIFU装置は、異なる貫通深さを有する互換性のあるプローブヘッドを備える。
【0009】
韓国特許第2016/0139518 A号(特許文献3)は、皮膚の真皮よりも深い層における審美的処置のためにゲル媒質を使用して皮膚の表面からの所与の深さにおいてHIFUを送達し、処置中に局所的な熱作用を生じさせることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2019/164836 A1
【特許文献2】韓国特許第2015/0101965 A号
【特許文献3】韓国特許第2016/0139518 A号
【特許文献4】仏国特許第2570377号
【特許文献5】EP0199636
【特許文献6】EP0325540
【特許文献7】EP0402072
【特許文献8】EP1345919
【特許文献9】WO2019/164836 A1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「Hyaluronic acid, A key molecule in skin aging」、Dermato-Endocrinology 4:3、253~258頁、2012年7月~12月刊行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1~3に開示されているHIFU治療は、レシピエントが痛みを感じうるように侵襲性である可能性がある。加えて、長時間にわたるHIFUへの暴露は、皮膚上に、著しい温度上昇及び強すぎる熱作用を誘起するおそれがある。更に、顔面の皮膚への適用に関して、HIFU治療のために標的とされる領域は限定されうる。HIFUが侵襲性でありうるため、HIFU治療において使用される装置は熟練者又は皮膚科医によってのみ操作され得、それらは医療上の治療又は等価の形態であるとみなされる。
【0013】
したがって、サロン及び家庭での、より低侵襲的にしわを改善する新規な解決法が求められている。
【0014】
したがって、サロン及び家庭で使用することができ、皮膚のための知覚できる美容有益性を付与するための、低侵襲性の方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、美容活性剤/製剤を含む媒質と、HIFUよりもより低エネルギーのものである顔面増強のための超音波とを組み合わせた方法、本方法を実践するためのキット、及びキットを使用する方法を提供するものである。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、皮膚表面上のしわを減らすための非治療的美容方法を提供し、本方法は、
処置しようとする皮膚表面上に、美容活性剤/製剤を含む超音波伝達媒質を適用する工程と、
適用された媒質を有する皮膚表面に、超音波を適用する工程と
を含み、
超音波は、音響出力を生成し、超音波は、10KHz~50MHz、好ましくは30KHz~20MHz、より好ましくは1MHz~10MHzの周波数を有し、
超音波は、超音波が皮膚中で皮膚表面から最大3mmの深さに伝播して適用ゾーンで皮膚の温度の上昇が生じるように、発生させる。
【0017】
本発明の一態様によれば、超音波は、集束されていない超音波であってもよい。この場合、皮膚表面の温度は、50℃以下でありうる。
【0018】
本発明の一態様によれば、超音波は、集束超音波であってもよく、超音波は、短時間で、焦点ゾーンにおける皮膚の温度の局所的上昇を生じさせうる。この場合、超音波を皮膚に適用したときの焦点ゾーンにおける皮膚の温度は、40℃より高く65℃以下、好ましくは40℃より高く60℃以下、より好ましくは40℃より高く50℃以下でありうる。
【0019】
本発明の一態様によれば、超音波は、パルス化された集束超音波であってもよい。この場合、超音波のパルスエネルギーは、0.001J以上で10J未満、好ましくは0.01J以上で5J未満でありうる。
【0020】
本発明の一態様によれば、超音波は、パルス化された超音波であってもよい。この場合、超音波のパルス期間は、150ミリ秒以下、好ましくは80ミリ秒以下、より好ましくは4ミリ秒~80ミリ秒、更により好ましくは4ミリ秒~70ミリ秒、なおも更により好ましくは4ミリ秒~50ミリ秒でありうる。
【0021】
本発明の一態様によれば、超音波は、集束されたパルス化された超音波であってもよい。この場合、超音波のピーク出力は、80W未満、好ましくは65W以下、より好ましくは15W以下、更により好ましくは5W以下、なおも更により好ましくは0.1W~2Wでありうる。
【0022】
本発明の一態様によれば、超音波は、連続波であってもよい。この場合、超音波の期間は、1秒以下であってもよい。
【0023】
本発明の一態様によれば、超音波は、上皮及び/又は真皮である1つ又は複数の皮膚の層に伝播されうる。
【0024】
本発明の一態様によれば、美容活性剤/製剤は、ヒアルロン酸、ポリオール、ビタミン、ペプチド、セラミド、増殖因子からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0025】
本発明の一態様によれば、美容活性剤/製剤は、ヒアルロン酸を含んでもよい。ヒアルロン酸の濃度は、媒質の総質量に対して、0.1%超であってもよい。
【0026】
本発明の一態様によれば、ヒアルロン酸の分子量は、5KDaから20MDaの間、好ましくは10KDaから2MDaの間であってもよい。
【0027】
本発明の一態様によれば、媒質の動粘度は、4Pasから50Pasの間であってもよい。
【0028】
本発明の別の態様は、請求項1に記載の方法を実践するためのキットであって、
超音波を放射するトランスデューサを備えた超音波ユニット、
超音波ユニットを収容する収容部、及び
ヘッド
を備えた装置と、
皮膚の知覚できる美容有益性のための、且つ超音波を伝播するための、美容活性剤/製剤を含む媒質と
を含む、キットを提供する。
【0029】
本発明の別の態様は、
超音波を放射するトランスデューサを備えた超音波ユニット、
超音波ユニットを収容する収容部、及び
ヘッド
を備えた装置と、
皮膚の知覚できる美容有益性のための、且つ超音波を伝播するための、美容活性剤/製剤を含む媒質と
を含むキットを、使用する方法であって、
本方法は、
媒質を皮膚の表面に適用する工程と、
超音波を、超音波ユニットの手段によって発生させる工程と、
ヘッドを、皮膚と、又は皮膚上の媒質と接触させる工程と、
超音波を、媒質を通して皮膚へ伝播させる工程と
を含み、
超音波は、集束されたパルス化された超音波であり、
超音波は、10KHz~50MHz、好ましくは30KHz~20MHz、より好ましくは1MHz~10MHzの周波数を有し、
超音波は、0.001J以上で10J未満、好ましくは0.01J以上で5J未満のエネルギーを有し、
超音波を皮膚に適用したときの焦点ゾーンにおける皮膚の温度が、40℃超及び65℃以下、好ましくは40℃より高く60℃以下、より好ましくは40℃より高く50℃以下である、方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様は、美容活性剤/製剤を含む媒質と、HIFUよりもより低いエネルギーのものである顔面増強のための超音波とを組み合わせた方法、本方法を実践するためのキット、及びキットを使用する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態の、皮膚表面上のしわを減らすための方法を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態のキットの構成を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態のキットを使用する方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
皮膚表面上のしわを減らすための方法
本発明の一実施形態の、皮膚表面上のしわを減らすための方法が説明される。本方法は、非治療的美容方法である。
図1は、本発明の一実施形態の皮膚表面上のしわを減らすための方法を示すブロック図である。皮膚表面100上のしわを減らす方法は、ブロック110及びブロック120を含む。
【0033】
本発明の一実施形態では、ブロック110において、処置しようとする皮膚表面上に、超音波伝達媒質を適用する工程が実施される。媒質は、美容活性剤/製剤を含む。
【0034】
本発明の一実施形態では、ブロック120において、適用された媒質を有する皮膚表面に、超音波を適用する工程が実施される。
【0035】
本発明の一実施形態では、超音波は、音響出力を生成する。超音波は、集束されていない且つ/又は集束超音波でありうる。超音波はまた、パルス化された且つ/又は連続超音波でありうる。
【0036】
本発明の一実施形態では、超音波は、10KHz~50MHzの周波数を有する。好ましくは、超音波は、30KHz~20MHz、より好ましくは1MHz~10MHzの周波数を有する。超音波は、3MHz~9MHzの周波数を有してもよく、5MHz~9MHzの周波数を有してもよい。超音波がこのような範囲内の周波数を有するとき、皮膚中のしわは、より低侵襲的且つ効果的に改善されうる。
【0037】
本発明の一実施形態では、超音波は、超音波が皮膚中で皮膚表面から最大3mmの深さに伝播して適用ゾーンで皮膚の温度の上昇が生じるように、発生させる。超音波は、上皮及び/又は真皮である1つ又は複数の皮膚の層に伝播される。
【0038】
本発明の別の実施形態では、超音波は、集束されていない超音波である。この場合、皮膚表面の温度は、50℃以下である。皮膚表面の温度がこのような範囲内にあるとき、本方法は、本方法を用いて処置される対象についての皮膚において耐えられる/知覚されないものである。
【0039】
本発明の別の実施形態では、超音波は、集束超音波であり、超音波は、短時間で、焦点ゾーンにおいて皮膚表面の温度の局所的上昇を生じさせる。用語「短時間」は、本明細書では、1秒よりはるかに短い、例えば40ミリ秒を意味する。超音波が集束超音波である場合、超音波を皮膚に適用したときの焦点ゾーンにおける皮膚の温度は、40℃より高く65℃以下、好ましくは40℃より高く60℃以下、より好ましくは40℃より高く50℃以下である。焦点ゾーンにおける皮膚の温度がこのような範囲内にあるとき、本方法は、本方法を用いて処置される対象についての皮膚において局所的に耐えられる/知覚されない。既知のHIFU装置が約55℃~65℃の焦点温度を有すると仮定すると、本発明の一実施形態の方法は、皮膚に対して、より少ない熱作用を有し、より低侵襲性である。
【0040】
本発明の別の実施形態では、超音波は、パルス化された集束超音波である。この場合、超音波は、0.001J以上で10J未満、好ましくは0.01J以上で5J未満、より好ましくは0.01J以上で1.2J未満、更により好ましくは0.01J以上で0.7J未満のパルスエネルギーを有する。集束超音波は、0.1J超で0.7J未満、好ましくは0.3J超で0.7J未満のパルスエネルギーを有してもよい。超音波がこのような範囲内のパルスエネルギーを有するとき、皮膚上の負荷は減らされ、本発明の一実施形態の方法は、より低侵襲性である。
【0041】
本発明の別の実施形態では、超音波は、集束されたパルス化された超音波である。この場合、超音波のピーク出力は、80W未満、好ましくは65W以下、より好ましくは15W以下、更により好ましくは5W以下、なおも更により好ましくは0.1W~2Wである。超音波のピーク出力がこのような範囲内にあるとき、本方法はより低侵襲性となり、美容効果を達成する。
【0042】
本発明の更に別の実施形態では、超音波は、パルス化された超音波である。この場合、超音波のパルス期間は、150ミリ秒以下、好ましくは80ミリ秒以下、より好ましくは4ミリ秒~80ミリ秒、更により好ましくは4ミリ秒~70ミリ秒、なおも更により好ましくは4ミリ秒~50ミリ秒である。超音波のパルス期間がこのような範囲内であるとき、本方法はより低侵襲性となり、美容効果を達成する。
【0043】
加えて、集束超音波又はパルス化された超音波のみを使用する実施形態が記載されてきたが、本発明がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。好ましくは、集束されたパルス化された超音波が、本方法において使用される。集束されたパルス化された超音波の使用は、多くのエネルギーを、短時間で、皮膚の限定された領域に伝播することを可能にする。換言すると、集束されたパルス化された超音波を使用する方法は、良好な空間-時間選択性を有する。この実施形態では温度が最大で65℃に著しく上昇するが、本方法がそれを皮膚において局所的に耐えられる/知覚されないものにすることに留意されたい。
【0044】
本発明の更に別の実施形態では、超音波は、連続波である。この場合、超音波の期間は、1秒以下である。
【0045】
上に記載したように、媒質は、美容活性剤/製剤を含む組成物である。美容活性剤/製剤は、ヒアルロン酸及び/又はその誘導体を含んでもよい。例示的な実施形態では、ヒアルロン酸は、皮膚を平滑化する及び膨化することを支援する。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、水和ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸及びグラフトヒアルロン酸ポリマーの形態にある。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸カリウムの形態にある。ヒアルロン酸は、複数のヒアルロン酸塩を含んでもよい。美容活性剤/製剤は、好ましくはヒアルロン酸溶液である。ヒアルロン酸溶液は、好ましくはヒアルロン酸水溶液である。一実施形態では、水は、美容活性剤/製剤中に、組成物の総質量に基づいて、約30質量%以上、或いは約40質量%以上、或いは約50質量%以上、或いは約85質量%以下、或いは約30質量%~約85質量%、或いは約40質量%~約80質量%、或いは約50質量%~約75質量%、或いは約55質量%~約75質量%、或いは約60質量%~約70質量%、又は任意の好適な値、これらの範囲若しくはサブ範囲の濃度において存在する。そのため、水は、約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%~約85%の量で存在しうる。媒質は、ゲルの形態を有してもよい。
【0046】
本発明の一実施形態では、ヒアルロン酸溶液の粘度は、ヒアルロン酸の分子量及び濃度に依存する。ヒアルロン酸の濃度は、好ましくは、媒質の総質量に対して、0.1%超である。ヒアルロン酸の濃度は、より好ましくは、媒質の総質量に対して、1.5%から3%の間である。このような範囲内のヒアルロン酸の濃度の利用は、皮膚中のしわが、効果的に改善されることを可能にする。
【0047】
本発明の一実施形態では、ヒアルロン酸の分子量は、好ましくは5KDaから20MDaの間である。ヒアルロン酸の分子量は、より好ましくは10KDaから2MDaの間、更により好ましくは100KDaから2MDaの間である。このような範囲内のヒアルロン酸の分子量の利用は、ヒアルロン酸の皮膚のための効果を向上させ、皮膚中の上皮のしわが効果的に改善されることを可能にする。
【0048】
高濃度又は高分子量の媒質は、高い粘弾性の性質を有することができる。本発明の一実施形態では、媒質の動粘度は、好ましくは4Pasから50Pasの間、より好ましくは20Pasから40Pasの間である。このような範囲内の動粘度の利用は、媒質が流れ落ちずに皮膚上に留まりやすいことを可能にする。結果として、皮膚中のしわは、効果的に改善されうる。
【0049】
本発明の別の実施形態では、媒質は、抗老化、美白化、水和化及び日焼け防止などの有益性に関連する、ヒアルロン酸とは別の、スキンケア活性剤を含んでもよい。他のスキンケア活性剤の非限定的な例としては、ポリオール、ビタミン、ペプチド、セラミド及び増殖因子などが挙げられる。スキンケア活性剤の他の例としては、レチノール及びそのエステル、レチナール、レチノイン酸及びその誘導体を含むレチノイド、特に文献、仏国特許第2570377号、EP0199636、EP0325540及びEP0402072に記載されているもの、α-ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸又はマンデル酸、β-ヒドロキシ酸、α-ケト酸、β-ケト酸、過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、抗フリーラジカル活性剤、例えばスーパーオキシドジスムターゼ、セレニウム、亜鉛、ベータ-カロテン、並びに天然又は合成起源の引き締めポリマーが挙げられる。
【0050】
例示的な実施形態では、引き締めポリマーは、急速な又は即時の皮膚の引き締めを付与する。引き締めポリマーとしては、プルラン、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0051】
本発明のなおも別の実施形態では、美容活性剤/製剤は、ヒアルロン酸、ポリオール、ビタミン、ペプチド、セラミド、増殖因子、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよいが、これに限定されない。
【0052】
(ビタミン)
ビタミンとしては、ビタミンB3、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンF、及びこれらの誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。ビタミンB3誘導体の例として、以下を挙げることができる:
- ニコチン酸のエステル、例えば以下のINCI名を有するもの;Bioderma Tech.Co LTD社により供給される、アスコルビン酸ナイアシンアミド、グリコール酸ナイアシンアミド、ヒドロキシ安息香酸ナイアシンアミド、ヒドロキシクエン酸ナイアシンアミド、乳酸ナイアシンアミド、リンゴ酸ナイアシンアミド、マンデル酸ナイアシンアミド(Niacinamide Mandalate)、サリチル酸ナイアシンアミド、チオクト酸ナイアシンアミド、
- 第四級アンモニウム塩、例えばメチルナイアシンアミドクロリド(INCI名)、例えばPharmena社からの市販製品MNA Chloride(登録商標)、
- ナイアシンアミドの、ポリペプチドとの反応生成物、例えば酵母に由来するもの:INCI名ナイアシンアミド/酵母ポリペプチド、例えばArch Personal Care Products, L.P./Lonza Personal Care社によって商品名Vitazyme B3(登録商標)で販売されている市販製品。
【0053】
より特定すると、ナイアシンアミド、例えば名称Niacinamide PC(登録商標)(DSM Nutritional Products, Inc.社)、OriStar NA(登録商標)(Orient Stars LLC社)、RonaCare Nicotinamide(登録商標)(Merck KGaA /EMD Chemicals社)、RonaCare Nicotinamide(登録商標)(EMD Chemicals社)で販売されている市販製品が使用されると予想される。
【0054】
本発明のなおも別の実施形態では、美容活性剤/製剤はまた、パンテノールを含んでもよい。パンテノールは、パントテン酸の類似体(ビタミンB3)である。
【0055】
(ペプチド)
例示的な実施形態では、抗老化ペプチドは、長期の、生物学的しわ又は小じわへの有効性を付与する。抗老化ペプチドとしては、1種又は複数のアセチルヘキサペプチド、アセチルヘキサペプチド-8、1種又は複数のアセチルテトラペプチド、アセチルテトラペプチド-9、PRP(血小板に富むプラズマペプチド)、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
他の実施形態では、美容活性剤/製剤は、アセチルヘキサペプチドのうちの任意の1種又は複数(例えば、アセチルヘキサペプチド-3、-37、-38及び-51)及び他のアセチルテトラぺプチド(例えば、アセチルテトラペプチド-2、-3、-5、-7、-8、-9、-11及び-15)、並びにこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0057】
(セラミド)
セラミドは、スフィンゴシン及び脂肪酸から構成されるワックス状脂質分子のファミリーである。セラミドとしては、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド1A、セラミド6II、セラミドAP、セラミドEOP、セラミドEOS、セラミドNP、セラミドNG、セラミドNS、セラミドAS、セラミドNSジラウレート、及びこれらの混合物が挙げられる又はこれらから選ぶことができる。いくつかの例では、セラミドとしては、セラミド-EOS、セラミド-NS、セラミド-NP、セラミド-EOH、セラミド-AS、セラミド-NH、セラミド-AP、セラミド-AH、セラミド-OS、セラミド-OH、及びこれらの混合物が挙げられる又はこれらから選ぶことができる。いくつかの場合、美容活性剤/製剤は、セラミドEOPを、任意選択で、1種、2種又はそれ以上の他のセラミドとの組み合わせで含んでもよい。例としては、いくつかの例では、美容活性剤/製剤は、セラミドの組み合わせ、例えばセラミドEOP、セラミドNP、セラミドAPの組み合わせを含む。
【0058】
(増殖因子)
増殖因子は、典型的には、多様な生物学的効果を有するペプチドである。創傷治癒及び/又は上皮の組織修復に有用であることが確認されているいくつかの増殖因子ファミリーとしては、例えば、形質転換増殖因子-β(TGF-β)、上皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)及び線維芽細胞増殖因子(FGF)が挙げられる。
【0059】
スキンケア活性剤のうちのそれぞれは、美容活性剤/製剤中に、任意の適当な量において提供されうる。例示的な実施形態では、それぞれのスキンケア活性剤の量は、媒質の質量に基づいて、0.001%から30%の間、好ましくは0.01%から20%の間、より好ましくは0.1%から10%の間であってもよい。
【0060】
(有効成分)
本発明の別の実施形態では、美容活性剤/製剤は、上記のスキンケア活性剤とは別の有効成分を含んでもよい。1種又は複数の活性剤の非限定的な例としては、アデノシン、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン1-イル]エタンスルホン酸(HEPES)、ヒアルロン酸、ラノリン、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、サリチル酸、ビタミンC、ビタミン、レチノイド、レチナール、レチノイン酸、カロテノイド、アミノ酸、タンパク質、酵素及び補酵素が挙げられる。いくつかの例では、美容活性剤/製剤としては、保水剤及び湿潤成分、抗老化剤、脱色剤、抗しわ活性剤、脂性皮膚を処置する作用剤、並びに/又は皮膚貫通促進剤が挙げられる。
【0061】
本発明の別の実施形態では、美容活性剤/製剤としては、ビタミンC及びその誘導体、特にビタミンCG、CP及び3-0エチルビタミンC、アルファ及びベータアルブチン、フェルラ酸、ルシノール及びその誘導体、コウジ酸、レゾルシノール及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、ゲンチシン酸、ホモゲンチシン酸、メチルゲンチセート又はホモゲンチセート、二酸、Dパンテテインスルホン酸カルシウム、リポ酸、エラグ酸、ビタミンB3、リノール酸及びその誘導体、セラミド及びそれらの対応物、植物から誘導されたもの、例えばカモミール、クマコケモモ、アロエファミリー(ベラ、フェロクス、バルデンシス)、桑実、タツナミソウ、Gattefosse社によって市販されているウォーターキウイの実(Actinidia chinensis)、ボタン(Paeonia suffruticosa)の根の抽出物、例えば一丸ファルコス株式会社によって名称Liquid Botanpi Bで販売されているもの、褐色の糖(Saccharum officinarum)の抽出物、例えば太陽化学株式会社によって名称Liquid Molassesで市販されている糖蜜抽出物が挙げられるが、このリストは徹底的なものではない。特定の脱色剤としては、ビタミンC及びその誘導体、特にビタミンCG、CP及び3-0エチルビタミンC、アルファ及びベータアルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、レゾルシノール及び誘導体、Dパンテテインスルホン酸カルシウム、リポ酸、エラグ酸、ビタミンB3、Gattefosse社によって市販されているウォーターキウイの実(Actinidia chinensis)、及び一丸ファルコス株式会社によって名称Botanpi Liquid Bで販売されているもの等のボタン(Paeonia suffruticosa)の根の抽出物が挙げられる。
【0062】
用語「抗しわ活性剤」は、生物学的効果、例えば、しわのある皮膚の領域との接触に持ち込まれたときに一定の酵素の向上した合成及び/又は活性を生成する天然の又は合成の化合物を指し、これは、しわ及び/又は小じわの外観を減らす効果を有する。例示的な抗しわ活性剤は、以下から選ぶことができる:角質溶解剤、抗糖化剤、NO-シンターゼの阻害剤、真皮の又は上皮の巨大分子の合成を刺激する且つ/若しくはそれらの分解を阻止する作用剤、繊維芽及び/若しくはケラチノサイトの増殖を刺激する作用剤、又はケラチノサイトの分化の低減を刺激するための作用剤;筋弛緩剤及び/若しくは皮膚脱緊張剤、並びにこれらの混合物。
【0063】
このような化合物の例は以下である:アデノシン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、例えばアスコルビルリン酸マグネシウム及びアスコルビルグルコシド;トコフェロール及びその誘導体、例えば酢酸トコフェリル、ニコチン酸及びその前駆体、例えばニコチンアミド;ユビキノン;グルタチオン及びその前駆体、例えばL-2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸、特にEP1345919に記載されている化合物C-グリコシド及びそれらの誘導体、具体的にはEP1345919に記載されているC-ベータ-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシ-プロパン、シーフェンネル及びオリーブの葉の抽出物を含む植物抽出物、並びに植物及びその加水分解物、例えばコメタンパク質加水分解物又はダイズタンパク質;藻類抽出物、具体的にはラミナリア、細菌抽出物、サポゲニン、例えばジオスゲニン及びDioscorea植物の抽出物、具体的には以下を含む自然薯:α-ヒドロキシ酸、f3-ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸及びn-オクタノイル-5-サリチル酸オリゴペプチド及びシュードジペプチド及びそのアシル誘導体、具体的にはSederma社によって商品名SEDERMA Matrixyl 500及びMatrixyl 3000で市販されている酸{2-[アセチル-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-アミノ]-3メチル-}酢酸及びリポペプチド;リコペン、マンガン塩及びマグネシウム塩、特にグルコン酸塩、及びこれらの混合物。
【0064】
アデノシン誘導体としては、特にアデノシンの非ホスフェート誘導体、例えば具体的には、2’-デオキシアデノシン、2’, 3’-アデノシンイソプロポリデン;トヨカミシン、1-メチルアデノシン、N-6-メチルアデノシン;アデノシンN-オキシド、6-メチルメルカプトプリンリボシド及び6-クロロプリンリボシドが挙げられる。
【0065】
他の誘導体としては、アデノシン受容体アゴニスト、例えばフェニルイソプロピルアデノシン(「PIA」)、1-メチルイソグアノシン、N6-シクロヘキシルアデノシン(CHA)、N6-シクロペンチルアデノシン(CPA)、2-クロロ-N6-シクロペンチルアデノシン、2-クロロアデノシン、N6-フェニルアデノシン、2-フェニルアミノアデノシン、MECA、N6-フェネチルアデノシン、2-p(2-カルボキシ-エチル)フェネチル-アミノ-5’-N-エチルカルボキサミドアデノシン(CGS-21680)、N-エチルカルボキサミド-アデノシン(NECA)、5’(N-シクロプロピル)-カルボキサミドアデノシン、DPMA(PD129.944)及びメトリフジルが挙げられる。
【0066】
例示的な実施形態では、皮膚貫通促進剤は、美容活性剤/製剤の皮膚中への貫通を支援する。皮膚貫通促進剤としては、オレイン酸が挙げられるがこれに限定されない。
【0067】
有効成分のそれぞれは、美容活性剤/製剤中に、任意の適当な量で提供されうる。例示的な実施形態では、各有効成分の量は、媒質の質量に基づいて、0.01%から0.5%の間であってもよい。
【0068】
(添加剤)
本発明の別の実施形態では、美容活性剤/製剤は、上記のスキンケア活性剤及び有効成分とは別の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、少なくとも1種の活性剤、少なくとも1種の真珠顔料、少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の保存剤、少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも1種の非水の溶媒、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0069】
美容活性剤/製剤のための適当な活性剤としては、アラントイン、ビフィズス菌培養溶解質、乳酸カルシウム、カプリロイルサリチル酸、グリチルリチン酸二カリウム、二ナトリウムエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、グリコール酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン二コハク酸三ナトリウム、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0070】
美容活性剤/製剤のための適当な真珠顔料としては、マイカから形成された基質を含む複合粒子、少なくとも1種の鉱物顔料及び少なくとも1種の真珠顔料でコーティングされた合成フッ素金雲母が挙げられるがこれらに限定されず、これらは、マイカ、合成フッ素金雲母又はホウケイ酸カルシウムナトリウムから選ばれ、金属酸化物のうちの1つ又は複数の層で完全に又は部分的にコーティングされた、少なくとも1種の支持体を含む複合粒子から選ばれ、特定すると二酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、又はこれらの組み合わせから選ばれる。
【0071】
美容活性剤/製剤のための適当なポリマーとしては、ポリアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム、カラゲナン(及び)塩化カリウム、キャロブ(ceratonia siliquia)ガム(及び)スクロース、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ポリアクリルアミド(及び)C13~C14イソパラフィン(及び)ラウレス-7、キサンタンガム、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0072】
美容活性剤/製剤のための適当な保存剤としては、クロルフェネシン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0073】
美容活性剤/製剤のための適当な界面活性剤としては、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリエチレングリコール(PEG)-100ステアレート、PEG-60水素化ヒマシ油、セアレス-100、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0074】
美容活性剤/製剤のための適当な非水の溶媒としては、変性アルコール、カプリリルグリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0075】
本発明の別の更なる実施形態では、美容活性剤/製剤は、任意の数の他の適当な添加剤又はアジュバントを含んでもよい。代表的な添加剤及びアジュバントとしては、例えば、水溶性又は水混和性の溶媒又は共溶媒、分散促進剤、着色剤、充填剤、抗酸化剤(例えば、EDTA、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトコフェロール)、精油、香料、染料、中和剤又はpH調整剤(例えば、クエン酸、トリメチルアミン(TEA)及び水酸化ナトリウム)、調整剤又は軟化剤(例えば、パンテノール及びアラントイン)、並びに植物抽出物等の抽出物が挙げられる。抗老化活性剤又は皮膚科用活性剤の例としては、日焼け止め剤(例えば、無機日焼け止め剤、例えば二酸化チタン及び酸化亜鉛、並びに有機日焼け止め剤、例えばオクトクリレン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル及びアボベンゾン)、角質溶解剤、抗エラスターゼ剤及び抗オラゲナーゼ剤、脂肪酸誘導体、ステロイド、微量元素、プランクトンの抽出物、酵素及び補酵素、フラボノイド、ヒドロキシ酸、及びこれらの混合物、並びに促進剤が挙げられる。
【0076】
添加剤のうちのそれぞれは、美容活性剤/製剤中に、任意の適当な量で付与されうる。少なくとも1種の添加剤の総量は、媒質の質量に基づいて、例えば約50質量%以下、或いは約20質量%~約50質量%、或いは約25質量%~約45質量%、或いは約25質量%~約40質量%、或いは約30質量%~約35質量%、又は任意の好適な値、これらの範囲若しくはサブ範囲等の任意の適当な量であってもよい。そのため、添加剤は、約20%、21%、22%、23%、24%、25%, 26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%~約50%の総量で存在しうる。
【0077】
(その他)
一実施形態では、美容活性剤/製剤は、落屑ブースター組成物、抗老化ブースター組成物、ブースター添加剤、ベース組成物、水性アルコールベース組成物、水性エマルションベース及び組成物を含んでもよい。
【0078】
今日まで、技術が、超音波を皮膚表面に適用するために開発されてきた。例えば、WO2019/164836 A1は、HIFUとセルライト処置剤とを組み合わせた技術を開示している。WO2019/164836 A1は、超音波の適用後に針シリンジを用いて作用剤を皮膚の真皮中に注入することによるセルライトの処置を達成している。他方、本発明の一実施形態の方法は、単純に、超音波の適用前に、針シリンジの使用等の高侵襲性の方法を用いずに超音波伝達媒質を皮膚表面に適用する。したがって、本発明の一実施形態の方法は、前述した従来技術よりも低侵襲性である。加えて、本方法が低侵襲性であるため、本方法は高度な専門性なしで実施することができ、本方法を、家庭又はサロンでの実践に好適なものとしている。
【0079】
方法を実践するためのキット
本発明の一実施形態の方法を実践するためのキットが記載される。本発明の一実施形態の方法を実践するためのキットが以下のキットに限定されないことに、留意されたい。皮膚のしわは、一般に、上皮のしわと真皮のしわとに分けられる。上皮のしわは、浅く微細であることによって特徴付けられ、浅いしわとも称される。上皮のしわは、上皮の角質層中の水の不足によって引き起こされると考えられる。他方、真皮のしわは、皮膚弾性の欠如によって引き起こされると考えられる。皮膚弾性の欠如は、紫外線及び老化などによって引き起こされた損傷に起因する、皮膚の真皮中のコラーゲン及びエラスチンの減少又は分解によって引き起こされると考えられる。
【0080】
熟練者用のHIFUが、このようなしわを改善するために使用されてきた。HIFU装置は、皮膚上に、高エネルギー超音波を焦点当てする。しかしながら、HIFU装置は、高エネルギー超音波を皮膚中に送達するそれらの性質に起因して、侵襲的であるおそれがある。
【0081】
他方、本発明の一実施形態の方法において使用されるキットは、超音波を、美容有益性のために使用されることになる美容活性剤/製剤を含む媒質と組み合わせ、媒質はまた、皮膚中のしわをより低侵襲的に平滑にするためにも使用されうる。
【0082】
これ以降、本発明の一実施形態のキットを、図を参照しながら説明する。
図2は、本発明の一実施形態のキットの構成を示す概略図である。
図2に示すように、キット20は、美容装置10、及び美容活性剤/製剤を含む媒質6を含む。本発明の別の実施形態では、装置は必ずしも美容目的のために限定されない。本発明の別の実施形態では、装置はハンドヘルド型である。
【0083】
図2に示すように、美容装置10は、電気ユニット2、トランスデューサ3、集束ユニット4、収容部1及びヘッド5を備える。本発明の一実施形態では、超音波ユニット7は、トランスデューサ3及び集束ユニット4から構成されている。本発明の別の実施形態では、超音波ユニットは、トランスデューサのみを備える。本発明の別の実施形態では、集束超音波は、集束ユニットなしで、トランスデューサ単独を用いて製造されうる。
【0084】
本発明の別の実施形態では、美容装置は、トランスデューサ、集束ユニット、収容部及びヘッドを備える。
【0085】
本発明の一実施形態では、電気ユニット2は、駆動ユニット及び制御ユニットを有する(図示せず)。
【0086】
制御ユニットは、超音波の周波数、超音波のエネルギー及び/又は操作のモード等の操作パラメータの選択を同期化させるための界面である。本発明の一実施形態では、制御ユニットは、操作パラメータに基づいて駆動ユニットを制御するのに使用される。
【0087】
制御ユニットによって制御される駆動ユニットは、超音波ユニット7の、トランスデューサ3及び集束ユニット4を駆動する。
【0088】
本発明の別の実施形態では、電気ユニットは、再充電可能なバッテリーユニットを有しうる。電気ユニットが再充電可能なバッテリーユニットを有するとき、本発明の一実施形態のキットは、電源のない場所(例えば戸外)においてさえ使用することができる。
【0089】
本発明の一実施形態では、トランスデューサ3は、集束されたパルス化された超音波であり、10KHz~50MHzの周波数を有する超音波を放射する。上に記載したように、超音波は、超音波が皮膚中で皮膚表面から最大3mmの深さに伝播して適用ゾーンで皮膚の温度の上昇が生じるように、発生させる。トランスデューサ3は、それが超音波を放射することができる限り、特に限定されない。トランスデューサ3は、固定した単一のスポット様圧電トランスデューサであってもよい。キットの美容装置のトランスデューサが、固定した単一のスポット様圧電トランスデューサであるとき、キットは、目の隅におけるしわ等のより小さい適用領域に好適に使用されうる。本発明の別の実施形態では、トランスデューサは、直線可動性の単一の圧電トランスデューサである。本発明の別の実施形態では、装置はアクチュエータを含みうる。アクチュエータは、単一の圧電トランスデューサを、10.0mm~100.0mm、好ましくは10.0mm~50.0mmの長さ範囲において直線的に動かすことができる。単一のトランスデューサを有するキットはまた、頬、前面、顔全体及び首等の、より広い領域の処置にも好適でありうる。
【0090】
本発明の別の実施形態では、トランスデューサは、複数の固定した圧電トランスデューサのアレイから構成される。固定した複数の圧電トランスデューサは、装置のヘッドに実質的に平行して配置されうる。キットの美容装置のトランスデューサが複数の固定した圧電トランスデューサのアレイであるとき、キットは、頬等のより広い適用領域に好適に使用されうる。本発明の別の実施形態では、トランスデューサは、固定した単一のスポット様圧電トランスデューサ、固定した単一の直線状圧電トランスデューサ、複数の固定した圧電トランスデューサのアレイ、及び/又は直線可動性の単一の圧電トランスデューサである。例えば、トランスデューサのタイプは、キットが適用される領域の形状及び/又はサイズに応じて選択することができる。
【0091】
本発明のなおも別の実施形態では、トランスデューサは、少なくとも20の圧電トランスデューサのアレイから構成されうる。本発明のなおも別の実施形態では、複数のトランスデューサは、1D形状(例えば直線状)又は任意の2D形状(すなわちマトリックス)において配置されうる。
【0092】
本発明の一実施形態では、集束ユニット4は、超音波の深さを適合させる。
【0093】
超音波は、媒質6中に含まれている美容活性剤/製剤の、皮膚にとっての効果を、向上させうる且つ/又は増強しうる。したがって、本発明の一実施形態のキットは、皮膚の知覚できる美容有益性を付与することが期待される。
【0094】
HIFUは、皮膚の平らな又は縞のある局所化領域に主に適用されてきた。他方、本発明の一実施形態では、集束ユニット4が、超音波を、スポット様の薄い直線状又は3D形状の領域上に焦点付けすることができる。したがって、本発明の一実施形態のキットはまた、比較的小さい領域にも効果的であり、皮膚中の任意の形状及び/又はサイズのしわを改善するのに効果的である。
【0095】
本発明の一実施形態では、収容部1は、電気ユニット2、並びに超音波ユニット7のトランスデューサ3及び集束ユニット4を収容する。
【0096】
本発明の別の実施形態では、収容部は、超音波ユニットの、トランスデューサ及び集束ユニットを収容する。
【0097】
本発明の一実施形態では、ヘッド5は、皮膚に近い又は皮膚と接触している。キット20の使用中、超音波は、ヘッド5から、媒質6を通って皮膚へ移動する。超音波は、皮膚の角質層と上皮層との間の局所化領域についての美容活性剤/製剤の効果を向上させうる且つ/又は増強しうる。
【0098】
本発明の別の実施形態では、ヘッドは、収容部に結合されたカートリッジの部分である。カートリッジは、外すことができ且つ/又は取り換えることができる。実施形態では、カートリッジは、キットの適用された場所及び使用に応じて、所望のヘッドを有するカートリッジと取り換えることができる。この実施形態では、ヘッドが汚れているとき、カートリッジのみを外してカートリッジのヘッドを洗浄することができる。この実施形態では、ヘッドが損傷されたとき、カートリッジを新しいものと取り換えることができる。
【0099】
本発明の一実施形態では、媒質6は、皮膚の表面に適用されうる美容材料である。媒質6はまた、皮膚の知覚できる美容有益性のための、且つ超音波を伝播するための材料でもある。更に、皮膚は、短時間内に、超音波によって、焦点において優しく温められる。皮膚が温められるにつれ、媒質6中に含まれている美容活性剤/製剤の皮膚のための効果は向上しうる及び/又は増強されうる。
【0100】
本発明の一実施形態では、媒質6は、美容活性剤/製剤を含む組成物である。美容活性剤/製剤は、上に記載した成分を含んでもよい。
【0101】
既知のHIFUの熟練者用装置は侵襲的であり、その理由は、装置が高エネルギーを有する超音波を使用しているためである。したがって、HIFU装置は、熟練者又は皮膚科医によってのみ操作され得、装置は医療上の治療又は等価のものの形態であるとみなされる。
【0102】
他方、本発明の一実施形態のキットは、HIFU装置のそれよりも低いエネルギーを有する超音波を使用し、それにより、適用された皮膚の領域の表面温度は、HIFU装置のそれよりも低く、そのためキットは、より低侵襲性である。したがって、本発明の一実施形態のキットは、それを使用するのに医療ライセンスを必要とせず、キットは、非医療的処置のためのものである。すなわち、本発明の一実施形態のキットは、サロン又は家庭用である。
【0103】
本発明の別の実施形態では、電気ユニットは、温度センサー及び冷却ユニットを更に備えてもよい。温度センサーは、超音波を皮膚に送達するために皮膚に適用された媒質の温度が、所与の温度範囲外でないかどうかを検出する。冷却ユニットは、必要に応じて媒質を冷却する。制御ユニットが、温度センサーによる検出の結果として、媒質の温度が所与の温度範囲よりも高くなると判定したとき、制御ユニットは、冷却ユニットが媒質を冷却すべく駆動されるように、駆動ユニットを制御しうる。したがって、本発明の一実施形態のキットは、皮膚に対する熱の影響がより小さく、より低侵襲性である。
【0104】
キットを使用する方法
本発明の一実施形態のキットを使用する方法が説明される。本発明の一実施形態のキットを使用する方法は、美容方法である。すなわち、本発明の一実施形態のキットを使用する方法は、非治療的方法である。
図3は、本発明の一実施形態のキットを使用する方法を示すブロック図である。
図3に示す方法200では、
図2に示すキット20が使用される。方法200は、ブロック210、ブロック220、ブロック230、ブロック240、ブロック250及びブロック260を含む。
【0105】
本発明の一実施形態では、ブロック210において、
図2の媒質6を、皮膚の表面に適用する工程が実施される。
【0106】
本発明の一実施形態では、ブロック220において、
図2の電気ユニット2の制御ユニットを使用して、操作パラメータに基づいて駆動ユニットを制御する工程が実施される。
【0107】
本発明の一実施形態では、ブロック230において、制御されている駆動ユニットの手段によって、
図2の超音波ユニット7のトランスデューサ3及び集束ユニット4を駆動する工程が実施される。
【0108】
本発明の一実施形態では、ブロック240において、超音波ユニットの手段によって、超音波を発生させる工程が実施される。本発明の一実施形態では、超音波の周波数及びエネルギーを使用して、皮膚の表面からの超音波の深さを間接的に参照することができる。
【0109】
本発明の一実施形態では、超音波は、10KHz~50MHz、好ましくは30KHz~20MHz、より好ましくは500KHz~10MHz、更により好ましくは1MHz~10MHzの周波数を有する。超音波は、3MHz~9MHzの周波数を有してもよく、5MHz~9MHzの周波数を有してもよい。
【0110】
本発明の一実施形態では、超音波は、0.001J以上で10J未満、好ましくは0.01J以上で5J未満のエネルギーを有する。
【0111】
本発明の一実施形態では、超音波を皮膚に適用するときの焦点ゾーンにおける皮膚の温度は、40℃より高く65℃以下、好ましくは40超で60℃以下、より好ましくは40℃より高く50℃以下である。
【0112】
本発明の一実施形態では、ブロック250において、
図2のヘッド5を、皮膚と、又は皮膚上の媒質6と接触させる工程が実施される。
【0113】
本発明の一実施形態では、ブロック260において、超音波を、媒質6を通して皮膚に伝播する工程が実施される。
【0114】
このように、本発明の一実施形態は、美容活性剤/製剤を含む媒質と、HIFUよりもより低いエネルギーのものである顔面増強のための超音波とを組み合わせた方法、本方法を実践するためのキット、及びキットを使用する方法を提供することができる。
【0115】
本発明の一実施形態では、超音波を発生させる工程の前に、媒質6を皮膚の表面に適用する工程が実施されるがこれに限定されない。媒質6を皮膚の表面に適用する工程は、超音波を、媒質6を通して皮膚に伝播させる工程の前の任意の時間に実施することができる。
【0116】
本発明の別の実施形態では、超音波ユニットがトランスデューサのみを備えるとき、既知の集束方法が、超音波を焦点当てするのに使用される。
【0117】
本発明のなおも別の実施形態では、キットの美容装置は、必ずしも制御ユニット及び駆動ユニットを備えていない。したがって、本発明のなおも別の実施形態の方法は、駆動ユニットを制御してトランスデューサを駆動させる工程を含まない。
【0118】
本発明の一例を図面を参照して提示してきたが、本発明は、これらの図面に限定されるものではない。上記教示の観点から、本発明の多くの変更及びバリエーションが可能である。したがって、「特許請求の範囲」の範囲内で、特許請求される発明は、本明細書に特に記載されているもの以外の方法によっても実践されうる。
【実施例0119】
これ以降、実施例を参照して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
【0120】
(実施例1)
ヒアルロン酸美容液(L’Oreal社によって内部的に製造)を、媒質として、対象の顔の半分に適用した。ヒアルロン酸美容液中のヒアルロン酸の分子量は、50k~1.2MDaとした。ヒアルロン酸の濃度は、ヒアルロン酸美容液の総質量に対して、1.5%とした。ヒアルロン酸美容液の動粘度は、3.5Pasとした。
【0121】
適用後、圧電トランスデューサのアレイを有する
図2に示すキットを、皮膚に、以下の条件下で適用し、このような試験を1日おきに連続して5回実施した。熟練者が、対象の目の下のしわ及び目の隅のしわ(「カラスの足」とも称する)を目視で観察した。
集束超音波の集束深さ:2.5mm
集束超音波の周波数:7.5MHz
【0122】
実施例1では、最終試験1週後に、対象の目の下及び目の隅のしわが改善したことを確認した。
【0123】
(実施例2)
試験を、各試験後に対象の鼻唇溝小じわを更に観察したことを除き、実施例1と同じ方法で実施した。
【0124】
(比較例2)
試験を、適用後に超音波を皮膚に適用しなかったことを除き、実施例2と同じ方法で実施した。
【0125】
実施例2では、各試験の直後に、目の下のしわに対する効果を確認した。更に、最終試験1週後に、連続した試験によって、対象の目の下及び目の隅のしわ並びに鼻唇溝小じわが累積的に改善したことを確認した。したがって、本発明の一実施形態の方法は、目の下及び目の隅のしわ並びに鼻唇溝小じわにおいて、即時の及び/又は累積的な改善をもたらすことを示した。
【0126】
他方、比較例2の結果は、目の下及び目の隅のしわに対する効果を示し、鼻唇溝小じわは、各試験の直後に、実施例2のそれよりも劣っていた。
【0127】
上記の結果から、本発明が有用であることが示された。