(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013663
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 9/12 20060101AFI20230119BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230119BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20230119BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20230119BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20230119BHJP
B29B 7/72 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B29B9/12
C08K3/22
C08L69/00
C08J3/12 Z CFD
B29B7/48
B29B7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118012
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】楠本 信彦
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA50
4F070AC04
4F070AC15
4F070AE01
4F070AE04
4F070DA55
4F070FA03
4F070FB06
4F070FC06
4F201AA28
4F201AB16
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC03
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK26
4F201BK44
4F201BK74
4F201BL08
4F201BL31
4J002CG011
4J002DE136
4J002FD096
4J002GB00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】 ポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子を含む樹脂組成物のペレットであって、樹脂成形品としたときのシャルピー衝撃強さを高く維持できるペレットの製造方法の提供。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、酸化チタンを主成分とする粒子5.0~20.0質量部を含む樹脂組成物のペレットを、二軸押出機を用いて製造する方法であって、前記二軸押出機における混練部の合計長さLが、混練部のスクリューの平均直径Dとしたとき、3.0D~15.0Dであり、溶融混練時の比せん断エネルギーが、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.145kW以下である、ペレットの製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、酸化チタンを主成分とする粒子5.0~20.0質量部を含む樹脂組成物のペレットを、二軸押出機を用いて製造する方法であって、
前記二軸押出機における混練部の合計長さLが、混練部のスクリューの平均直径Dとしたとき、3.0D~15.0Dであり、
溶融混練時の比せん断エネルギーが、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.145kW以下である、ペレットの製造方法。
【請求項2】
前記酸化チタンを主成分とする粒子が、TiO2:90.0~98.0質量%、Al2O3:0.5~3.5質量%、および、SiO2:0~6.0質量%を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ペレットを1mmの厚さに成形したときの全光線透過率が0.04%以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ペレットを1mmの厚さに成形したときの全光線透過率が0.02%未満である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ペレットを3.0mm厚のISO多目的試験片に成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが30kJ/m2以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記二軸押出機における混練部の合計長さLが、3.0D~5.5Dである、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記溶融混練時の比せん断エネルギーが、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.090kW以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記酸化チタンを主成分とする粒子の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、8.0~20.0質量部である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂成形品の遮蔽性や着色を目的として、ポリカーボネート樹脂に酸化チタンを配合することが行われている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/172243号
【特許文献2】特開2019-123809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物から成形された樹脂成形品の遮光性を高めるために、前記樹脂組成物に、多量の酸化チタン粒子を配合することがある。しかしながら、酸化チタンの配合量が多い樹脂組成物とすると、前記樹脂組成物から得られる樹脂成形品の衝撃強さが劣る傾向にある。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子を含む樹脂組成物のペレットであって、樹脂成形品としたときの衝撃強さを高く維持できる樹脂組成物のペレットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、樹脂組成物のペレット製造時において、溶融混練時の比せん断エネルギーを樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.145kW以下とすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、酸化チタンを主成分とする粒子5.0~20.0質量部を含む樹脂組成物のペレットを、二軸押出機を用いて製造する方法であって、前記二軸押出機における混練部の合計長さLが、混練部のスクリューの平均直径Dとしたとき、3.0D~15.0Dであり、溶融混練時の比せん断エネルギーが、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.145kW以下である、ペレットの製造方法。
<2>前記酸化チタンを主成分とする粒子が、TiO2:90.0~98.0質量%、Al2O3:0.5~3.5質量%、および、SiO2:0~6.0質量%を含む、<1>に記載の製造方法。
<3>前記ペレットを1mmの厚さに成形したときの全光線透過率が0.04%以下である、<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>前記ペレットを1mmの厚さに成形したときの全光線透過率が0.02%未満である、<1>または<2>に記載の製造方法。
<5>前記ペレットを3.0mm厚のISO多目的試験片に成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが30kJ/m2以上である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6>前記二軸押出機における混練部の合計長さLが、3.0D~5.5Dである、<1>~<5>のいずれか1つに記載の製造方法。
<7>前記溶融混練時の比せん断エネルギーが、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.090kW以上である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の製造方法。
<8>前記酸化チタンを主成分とする粒子の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、8.0~20.0質量部である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子を含む樹脂組成物のペレットであって、樹脂成形品としたときのシャルピー衝撃強さを高く維持できるペレットの製造方法を提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の製造方法で用いるスクリューの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書で示す規格が年度によって、測定方法等が異なる場合、特に述べない限り、2021年1月1日時点における規格に基づくものとする。
【0009】
本明細書においては、「酸化チタンを主成分とする粒子」を「酸化チタン粒子」と称することがある。
【0010】
本実施形態のペレットの製造方法は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、酸化チタンを主成分とする粒子5.0~20.0質量部を含む樹脂組成物のペレットを、二軸押出機を用いて製造する方法であって、前記二軸押出機における混練部の合計長さLが、混練部のスクリューの平均直径Dとしたとき、3.0D~15.0Dであり、溶融混練時の比せん断エネルギーが、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.145kW以下であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、ポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子を含む樹脂組成物のペレットであって、樹脂成形品としたときのシャルピー衝撃強さを高く維持できる樹脂組成物のペレットが得られる。特に、酸化チタン粒子の配合量が多くても、得られる樹脂成形品のシャルピー衝撃強さの低下を効果的に抑制できる。
【0011】
本実施形態の製造方法で得られるペレットから成形された樹脂成形品のシャルピー衝撃強さを高く維持できる理由は以下の通りであると考えられる。
ポリカーボネート樹脂と酸化チタンを含む樹脂組成物のペレットを製造する場合、各成分を押出機に投入し、溶融混練してペレット化することが広く行われている。しかしながら、溶融混練の際に、強混練タイプのスクリューを用いると、得られるペレットから成形される樹脂成形品の衝撃性が劣ってしまうことが分かった。この点について本発明者がさらに検討を行ったところ、過剰な剪断が問題であると推測された。すなわち、二次粒子状態にある酸化チタン粒子を過剰に剪断することで、一次粒子に粉砕され、酸化チタン粒子の活性面が露出しやすくなると推測された。そして、この活性面が露出した酸化チタン粒子が、ペレットから樹脂成形品への成形段階で再度凝集してしまい、もともとの酸化チタン粒子よりもさらに大きな凝集物となってしまい、得られる樹脂成形品の衝撃性が低下してしまうと推測された。特に、凝集物が、起点となって、樹脂成形品にクラック等が入りやすいと推測された。
【0012】
本実施形態においては、ポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子を溶融混練する際に、過剰に剪断がかからないように、溶融混練時の比せん断エネルギーを調整した。その結果、酸化チタン粒子の再凝集を効果的に抑制でき、樹脂成形品の衝撃強さを高く維持できたと推測された。特に、ポリカーボネート樹脂に対し、酸化チタン粒子の配合量が多めであっても、得られる樹脂成形品の衝撃強さの低下を効果的に抑制できた。特に、酸化チタン粒子の再凝集は、大型の押出機で起こりやすいことが推測されたが、本実施形態では、大型の押出機を用いても、上記問題点を効果的に解決できる点で有益である。
【0013】
本実施形態では、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、酸化チタンを主成分とする粒子5.0~20.0質量部を含む樹脂組成物をペレット化する。このような樹脂組成物は、得られる樹脂成形品の遮蔽性を高くすることができる。本実施形態で用いる樹脂組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。
【0014】
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい単独重合体または共重合体である。
【0015】
原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4-ジヒドロキシジフェニル等がより好ましく、さらに好ましくはビスフェノールAである。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
【0016】
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、または、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。さらには、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m-およびp-メチルフェノール、m-およびp-プロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
【0018】
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましい。粘度平均分子量が5,000以上のものを用いることにより、得られる樹脂組成物の機械的強度がより向上する傾向にある。また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましい。60,000以下のものを用いることにより、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性が向上する傾向にある。
ポリカーボネート樹脂を2種以上含む場合、混合物が上記範囲を満たすことが好ましい(以下、分子量について、同様に考える。)。
【0019】
なお、本実施形態において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、20℃にて、ポリカーボネート樹脂のメチレンクロライド溶液の粘度を測定し固有粘度([η])を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値を示す。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
【0020】
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)および溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂も好ましい。
【0021】
本実施形態で用いる樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂の割合は、83質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、87質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる樹脂成形品の遮光性がより向上する傾向にある。また、本実施形態で用いる樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂の割合は、95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる樹脂成形品の耐衝撃性がより向上する傾向にある。
本実施形態で用いる樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0022】
本実施形態で用いる樹脂組成物は、酸化チタンを主成分とする粒子(酸化チタン粒子)を含む。酸化チタン粒子を含むことにより、得られる樹脂成形品の遮光性を達成できる。
酸化チタンを主成分とするとは、酸化チタン粒子に含まれる成分のうち、酸化チタンが最も多いことを意味し、通常は、酸化チタン粒子中の酸化チタンの割合が、85.0質量%以上であり、90.0質量%以上であることが好ましい。
前記酸化チタン粒子は、TiO2:90.0~98.0質量%、Al2O3:0.5~3.5質量%、および、SiO2:0~6.0質量%を含むことが好ましい。さらに、SO3を0~0.1質量%、Na2Oを0~0.15質量%、Clを0~0.01質量%含んでいてもよい。さらに他の成分を含んでいてもよく、合計が100質量%となる。
【0023】
本実施形態においては、酸化チタン粒子はルチル型の酸化チタン粒子であることが好ましい。ルチル型酸化チタンを使用することにより、ポリカーボネート樹脂の分解を抑制することができる。また、酸化チタン粒子は、その表面が表面処理剤で処理されていることが好ましい。すなわち、酸化チタン粒子の表面に表面処理剤から形成された層(特に、有機物層)を有することが好ましい。このような構成とすることにより、ポリカーボネート樹脂中で酸化チタンが分散しやすくなり、より外観に優れた樹脂シートが得られる。表面処理剤は、高分子が例示され、シロキサン化合物が好ましく、特に水素メチルシロキサンやジメチルシロキサンなどが好ましい。表面処理剤は酸化チタン表面に物理的に吸着していてもよく、化学的に結合していてもよい。
【0024】
酸化チタン粒子の平均二次粒子径は、ペレットの状態において、50nm以上であることが好ましく、また、2000nm以下であることが好ましい。酸化チタンの平均一次粒子径をこのような範囲とすることにより、遮蔽性能がより向上する傾向にある。
【0025】
本実施形態においては、樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、酸化チタン粒子5.0~20.0質量部を含む。前記下限値以上とすることにより、遮蔽性が向上する傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、耐衝撃性の低下をより効果的に抑制できる。
本実施形態においては、酸化チタン粒子の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、6.0質量部以上であることが好ましく、8.0質量部以上であることがさらに好ましく、9.0質量部以上であることが一層好ましい。本実施形態においては、酸化チタン粒子の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、18.0質量部以下であることが好ましく、16.0質量部以下であることがより好ましく、14.0質量部以下であることがさらに好ましく、12.0質量部以下であることが一層好ましい。
本実施形態で用いる樹脂組成物は、酸化チタン粒子を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0026】
本実施形態で用いる樹脂組成物は、さらに、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、離型剤、酸化チタン以外の着色剤、安定剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、抗ウィルス剤等が例示される。本実施形態で用いる樹脂組成物は、特に、離型剤、酸化チタン以外の着色剤、および、安定剤の少なくとも1種を用いてもよい。
上記他の成分の含有量は、含有する場合、樹脂組成物の質量を基準として、例えば0.001質量%以上であり、また、例えば、5.0質量%以下であり、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
【0027】
本実施形態で用いてもよい離型剤としては、特に定めるものではなく、ポリカーボネート樹脂に用いられる離型剤を広く用いることができる。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0028】
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6~36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6~36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
【0029】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
【0030】
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2-ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0031】
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸および/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸およびアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
【0032】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
【0033】
数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ-トロプシュワックス、炭素数3~12のα-オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であることが好ましい。
【0034】
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
【0035】
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
【0036】
前記樹脂組成物における離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量を前記範囲の下限値以上とすることにより離型性の効果が十分に得られやすく、離型剤の含有量が前記範囲の上限値以下とすることにより、十分な耐加水分解性が得られ、また射出成形時の金型汚染などが生じにくくなる。
【0037】
本実施形態で用いてもよい酸化チタン以外の着色剤としては、カーボンブラックが例示される。カーボンブラックを配合することにより、得られる樹脂成形品の遮蔽性をより向上させることができる。
カーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラックおよびアセチレンブラック等のうちの少なくとも1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックは、分散を容易にするため、熱可塑性樹脂と予めマスターバッチ化されたものを使用することも好ましい。
【0038】
カーボンブラックの一次粒子径は、分散性の観点から、10nm~30nmであることが好ましく、15nm以上、25nm以下であることがさらに好ましい。分散性が良いと、レーザー溶着時の溶着ムラが減少する。
また、カーボンブラックは、漆黒性の観点から、JIS K6217で測定した窒素吸着比表面積が30~400m2/gであることが好ましく、中でも50m2/g以上、その中でも80m2/g以上であることがさらに好ましい。
【0039】
さらに、カーボンブラックは、分散性の観点から、JIS K6221で測定したDBP吸収量が20~200cm3/100gであることが好ましく、より好ましくは40~170cm3/100g、さらには50~150cm3/100gが好ましい。分散性が良いと、レーザー溶着時の溶着ムラが減少する。
【0040】
本実施形態で用いる樹脂組成物における酸化チタン以外の着色剤(好ましくはカーボンブラック)の含有量は、ポリカーボネート樹脂の100質量部に対して、1質量ppm以上であることが好ましく、5質量ppm以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる樹脂成形品の遮蔽性がより向上する傾向にある。また、前記酸化チタン以外の着色剤(好ましくはカーボンブラック)の含有量は、ポリカーボネート樹脂の100質量部に対して、100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましく、30質量ppm以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、反射率の低下を抑え、遮蔽性を向上させる傾向にある。
前記樹脂組成物は、酸化チタン以外の着色剤(好ましくはカーボンブラック)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0041】
本実施形態で用いてもよい安定剤としては、特に定めるものではなく、ポリカーボネート樹脂に用いられる安定剤を広く用いることができる。安定剤としては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
安定剤は、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、硫黄系安定剤等が例示される。これらの中でも、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。また、ヒンダードフェノール系化合物とリン系化合物を併用することも好ましい。
安定剤としては、具体的には、特開2018-070722号公報の段落0046~0057の記載、特開2019-056035号公報の段落0030~0037の記載、国際公開第2017/038949号の段落0066~0078の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0042】
安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1.5質量部以下、好ましくは1質量部以下である。0.001質量部未満では安定剤としての効果が不十分であり、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、また1.5質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化がさらに起こりやすくなる傾向がある。
【0043】
本実施形態の製造方法においては、ポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子を含む樹脂組成物のペレットを、二軸押出機を用いて製造する。ここで、二軸押出機における混練部の合計長さLは、混練部のスクリューの平均直径Dとしたとき、3.0D以上であり、3.5D以上であることが好ましく、4.0D以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる樹脂成形品の耐衝撃性がより向上する傾向にある。また、前記二軸押出機における混練部の合計長さLは、混練部のスクリューの平均直径Dとしたとき、15.0D以下であり、13.0D以下であることが好ましく、11.0D以下であることがより好ましく、9.0D以下であることがさらに好ましく、7.0D以下であることが一層好ましく、5.5D以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、比せん断エネルギーを抑えつつ押出量がより向上する傾向にある。
【0044】
ここで、スクリューの混練部は、例えば、Rニーディングディスク、Nニーディングディスク、Lニーディングディスク、Lスクリュー、シーリング、ミキシングスクリュー、および、ロータスクリューが例示され、通常は、これらのうち2種以上組み合わせたものとして用いられる。
図1は、押出機のスクリューの一例であって、Dがスクリューの直径を、L
1およびL
2が混練部をそれぞれ示している。
図1に示すように混練部が複数ある場合、各混練部の合計(L
1+L
2)を混練部の合計長さ(L)とする。1つのスクリューにおける混練部の数は、通常、1~5である。本実施形態において、混練部のスクリューの平均直径Dは、混練部が複数のスクリューの組み合わせからなる場合、各パーツのスクリューの直径の数平均値である。
スクリューの平均直径(D)は、押出機の大きさ等によって、適宜定めることができるが、例えば、10mm以上であり、15mm以上であり、また、100mm以上であってもよく、120mm以上であってもよい。前記スクリューの径(D)の上限は、例えば、400mm以下であってもよく、300mm以下であってもよく、200mm以下であってもよく、100mm以下であってもよく、90mm以下であってもよい。
【0045】
本実施形態の製造方法においては、溶融混練時の比せん断エネルギーが、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.145kW以下である。このようにせん断エネルギーを小さくすることにより、本実施形態の製造方法から得られるペレットを用いて成形した樹脂成形品の耐衝撃性を高くすることができる。
ここで、溶融混練時の比せん断エネルギーとは、以下の式で算出される値である。
比せん断エネルギー(kW)=[回転数(rpm)×(最大負荷(kW)/最大回転数(rpm))×(押出負荷(%)/100)]/時間当たりの押出量(kg/h)
ここで、回転数とは二軸押出機のスクリューの回転数をいう。回転数の単位は、rpmである。
最大負荷とは、用いる二軸押出機にかけられる最大の負荷であり、通常は、二軸押出機のカタログ等の記載から把握できる。また、二軸押出機の機種によっては、モーター容量から把握できる。最大負荷の単位は、kWである。
最大回転数とは、用いる二軸押出機が可能な最大回転数であり、通常は、二軸押出機のカタログ等に記載がある。最大回転数の単位は、rpmである。
押出負荷は、実際の押出の際にかかる負荷であり、通常は、二軸押出機の制御盤の表示器から把握できる。また、二軸押出機の機種によっては、運転時のモータートルクから把握できる。押出負荷の単位は、kWである。
単位時間当たりの押出量は、実際に押出を行ったときに、樹脂組成物が1時間あたりに押出される質量である。単位は、kgである。
【0046】
溶融混練時の比せん断エネルギーは、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.143kW以下であることが好ましく、0.136kW以下であることがより好ましく、0.130kW以下であることがさらに好ましく、0.125kW以下であることが一層好ましく、0.119kW以下であることがより一層好ましい。また、前記溶融混練時の比せん断エネルギーの下限は、樹脂組成物の1時間の押出量1kg当たり、0.090kW以上であることが好ましく、0.100kW以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、TiO2を細かく分散させつつ再凝集体が減少する傾向にある。
【0047】
本実施形態においては、また、樹脂温度が270℃以上であることが好ましく、275℃以上であることがより好ましく、280℃以上であることがさらに好ましく、290℃以上であることが一層好ましく、295℃以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、押出負荷を抑え生産がより向上する傾向にある。前記樹脂温度は、また、360℃以下であることが好ましく、355℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが一層好ましく、330℃以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、ベースレジンであるポリカーボネートの分解を抑える傾向にある。
ここで、樹脂温度とは、ダイから押し出された際の樹脂の温度を意味する。
【0048】
本実施形態においては、二軸押出機には、ポリカーボネート樹脂および酸化チタン粒子、ならびに、必要に応じて配合されるその他の成分をあらかじめ混合して一度に供給してもよいし、各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給してもよい。また、一部の成分は、樹脂成分(例えば、ポリカーボネート樹脂)と溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの成分を配合して溶融混練してもよい。
また、ガラス繊維を配合する場合、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することが好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常、170~350℃の範囲から適宜選ぶことができる。
【0049】
次に、本実施形態で用いるペレットの物性について述べる。
本実施形態の製造方法で得られるペレットは、遮蔽性が高い樹脂成形品を提供することができる。特に、ペレットを1mmの厚さに成形したときの全光線透過率が0.04%以下であることが好ましく、0.02%未満であることがより好ましく、0.015%以下であることがさらに好ましい。前記全光線透過率の下限値は0%であってもよいが、0.001%以上であっても十分に要求性能を満たすものである。
全光線透過率は後述する実施例の記載に従って測定される。
【0050】
また、本実施形態の製造方法で得られるペレットは、耐衝撃性に優れた樹脂成形品を提供することができる。特に、ペレットを3.0mm厚のISO多目的試験片に成形し、ISO179-1に基づき測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが30kJ/m2以上であることが好ましく、34kJ/m2以上であることがより好ましく、40kJ/m2以上であることがさらに好ましく、43kJ/m2以上であることが一層好ましく、46kJ/m2以上であることがより好ましい。前記ノッチ付きシャルピー衝撃強さの上限は、特に定めるものではないが、60kJ/m2以下が実際的である。
ノッチ付きシャルピー衝撃強さは、後述する実施例の記載に従って測定される。
【0051】
本実施形態の製造方法で得られたペレットは、各種樹脂成形品に成形される。成形方法は特に定めるものではないが、その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形が好ましい。
【0052】
また、前記ペレットから得られた樹脂成形品は、その形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等、また特殊な形状のもの等、各種形状のものが挙げられる。
【0053】
前記ペレットを成形した樹脂成形品は、構造部材の部品や、携帯電子機器部品、車両および医療機器の部品や、その他の電気回路を含む電子部品、食品および医薬品の容器、ならびに、これらを形成するための複合材料として用いることが好ましい。
特に、前記樹脂成形品は、車載用部品、具体的には、ヘッドランプ、特に、ライドガイドベースとして好ましく用いられる。すなわち、本実施形態の製造方法で製造されるペレットは、車載用部品、具体的には、ヘッドランプ、特に、ライドガイドベースとして用いられるペレットであることが好ましい。
【実施例0054】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
【0055】
実施例1~11、比較例1~9
<原料>
原料は、下記のものを用いた。
【表1】
上記酸化チタン粒子AおよびBのいずれも、TiO
2:90.0~98.0質量%、Al
2O
3:0.5~3.5質量%、および、SiO
2:0~6.0質量%を含む。
なお、実施例および比較例で検討したすべてのサンプルに離型剤として理研ビタミン製S-100Aを0.1質量%およびエメリーオレオ社製VPG861を0.3質量%、安定剤としてアデカ工業製アデカスタブ2112を0.03質量%添加した。
【0056】
<ペレットの製造>
表2~4に従い、二軸押出機(いずれも日本製鋼所社製)に、所定の合計スクリュー長(L)を有する混練部を有するスクリューをセットした。混練部にはRニーディングディスク、Nニーディングディスク、Lニーディングディスク、ツイストニーディングを所定の個数、位置に配置した。
TEX54αII:スクリューの直径58mm
TEX65αII:スクリューの直径69mm
二軸押出機の上流のフィーダーより各成分を供給し、表2~4に記載の押出量、回転数、押出負荷、樹脂温度の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
なお、押出機の最大回転数および最大負荷は、二軸押出機によって決まるものである。
【0057】
<比せん断エネルギーの算出>
比せん断エネルギーは、表2~4に示した各種値を下記計算式に代入して算出した。
比せん断エネルギー=[回転数(rpm)×(最大負荷(kW)/最大回転数(rpm))×(押出負荷(%)/100)]/時間当たりの押出量(kg/h)
【0058】
<衝撃強さ>
上記の方法で得られたペレットを100℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(芝浦機械社製「EC75」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度30mm/sの条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3.0mmt)を製造した。
得られたISO多目的試験片(3.0mmt)を用い、ISO規格179-1に基づき、温度23℃で、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m2)を測定した。
【0059】
<全光線透過率>
上記の方法で得られたペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機(芝浦機械社製「EC75」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpm、射出速度30mm/sの条件下にて、1mm厚さの試験片を製造した。
得られた試験片について、ヘイズメーターを用いて全光線透過率(単位:%)を測定した。
ヘイズメーターは、日本電色工業(株)製のNDH-2000型ヘイズメーターを用いた。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
上記結果から明らかなとおり、本発明のペレットの製造方法で製造したペレットを用いた場合、得られた樹脂成形品のシャルピー衝撃強さが高かった。また、ポリカーボネート樹脂に酸化チタン粒子を多く配合したことにより、全光線透過率が十分に低い樹脂成形品を製造できた。