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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136654
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20230922BHJP
   F21S 8/00 20060101ALI20230922BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230922BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20230922BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F21V19/00 410
F21S8/00 100
F21V29/503
F21V29/70
F21V31/00 100
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042445
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】堀田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】許 衛東
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013EA03
3K013EA05
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】照明器具を取り付け対象に固定する際の作業性を従来よりも改善可能な照明器具を提供する。
【解決手段】取付対象に固定される取付台部4と、光源を備えており取付台部4に取り付けられる器具本体部10とを含む照明器具1であって、器具本体部10は突出部を備え、取付台部4は前記突出部が嵌め込まれる開口部を備え、開口部の内周には、案内溝が形成されており、突出部の外周には、案内溝に対応する位置に張り出し部が形成されており、器具本体部10は、突出部が開口部に嵌め込まれ、張り出し部が案内溝に案内されて器具本体部10が取付台部4に対して回転限界まで回転されることにより、光源が所定の照射方向を向くよう取付台部4に係止される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に固定される取付台部と、光源を備えており前記取付台部に取り付けられる器具本体部とを含む照明器具であって、
前記器具本体部は突出部を備え、前記取付台部は前記突出部が嵌め込まれる開口部を備え、
前記開口部の内周には、案内溝が形成されており、
前記突出部の外周には、前記案内溝に対応する位置に張り出し部が形成されており、
前記器具本体部は、前記突出部が前記開口部に嵌め込まれ、前記張り出し部が前記案内溝に案内されて前記器具本体部が前記取付台部に対して回転限界まで回転されることにより、前記光源が所定の照射方向を向くよう前記取付台部に係止される
照明器具。
【請求項2】
前記開口部の開口端縁には、切欠部が設けられており、
前記切欠部は、前記案内溝に連続し、
前記張り出し部は、前記突出部が前記受け部に嵌め込まれるときに、前記切欠部の内側を通過可能な形状である
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体部及び前記取付台部の一方は、回転防止ネジを備え、他方は、前記回転防止ネジの先端が突入する回転防止窪み部を備え、
前記器具本体部と前記取付台部とが係止された後、前記回転防止ネジが締め込まれることにより、前記回転防止ネジの先端が前記回転防止窪み部に嵌りこんで、前記器具本体部の前記取付台部に対する回転を不能にする
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記一方は、前記回転防止ネジを保持する回転防止片を備え、
前記他方は、前記回転防止片が挿通され、前記回転に応じ、前記回転防止片が移動する移動空間部を有する
請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
前記取付台部には、水抜き穴が形成されており、
前記回転防止ネジは、前記水抜き穴から挿通される工具を用いて締め込まれる
請求項4記載の照明器具。
【請求項6】
前記器具本体部は、灯体部とフード部とを含み、
前記灯体部の内部には、ヒートシンクが形成されている
請求項1から5のいずれか1項記載の照明器具。
【請求項7】
前記灯体部は、
前記光源としてのランプと、
前記ランプが取り付けられるソケットと、
前記ランプ及び前記ソケットの少なくとも一部を覆う熱伝導性カバー部材とを備え、
前記熱伝導性カバー部材は、前記ヒートシンクと接触する
請求項6記載の照明器具。
【請求項8】
前記突出部の根元部分の外周に、パッキンを備え、
前記パッキンは、前記突出部と前記開口部との間を防水する
請求項1から7のいずれか1項記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面などに取り付けられる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具を壁面に取り付ける場合、まず、照明器具側の電線と、電源供給のため壁面から出された電線とを締結する。締結された電線はテンションがかからないように長さに余裕が持たせられる。
【0003】
この締結は、照明器具における壁面に固定される本体固定部に設けられた穴部に、壁面に打ち込まれたアンカーボルトを挿通し、作業者が照明器具を支持した状態、換言すると仮固定の状態で行われる。また、防水のため、仮固定の状態で、本体固定部と壁面との間にパッキンが配される。そして、締結された電線は、本体固定部に設けられている空間内に、丸めて収められる。そして、作業者は、アンカーボルトの先を本体固定ナットで締め付けて照明器具を壁に固定する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-057396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術では、電線の締結、パッキンの配置において、作業者は仮固定の状態を維持するために照明器具を片手で支持することになって疲れ得る。また、本体固定部に丸めて収められた電線が、壁から離れる方向に本体固定部を押し、また、もう一方の片手でパッキンを配することになるため正確性が損なわれてパッキンの配置が所望の位置から多少ずれて気密性が十分確保できないことが生じ得る。また、本体固定部に丸めて収められた電線により、壁から離れる方向に本体固定部が押されるために、本体固定部を壁に押さえつけるための余分な力必要になることも考えられる。
【0006】
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、照明器具を取り付け対象に固定する際の作業性を従来よりも改善可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る照明器具は、取付対象に固定される取付台部と、光源を備えており前記取付台部に取り付けられる器具本体部とを含む照明器具であって、前記器具本体部は突出部を備え、前記取付台部は前記突出部が嵌め込まれる開口部を備え、前記開口部の内周には、案内溝が形成されており、前記突出部の外周には、前記案内溝に対応する位置に張り出し部が形成されており、前記器具本体部は、前記突出部が前記開口部に嵌め込まれ、前記張り出し部が前記案内溝に案内されて前記器具本体部が前記取付台部に対して回転限界まで回転されることにより、前記光源が所定の照射方向を向くよう前記取付台部に係止される。
【発明の効果】
【0008】
上述の構成により、本発明に係る照明器具は、作業者が照明器具全体を支持することなく取付台部のみを取付対象に固定することができ、さらに、器具本体部を、嵌め込み状態から回転限界まで回転させるという簡単な作業で、光源が所定の照射方向を向くよう取付台部に係止できるので、照明器具を取り付け対象に固定する際の作業性を従来よりも改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)本発明の一実施形態に係る照明器具の斜視図、(b)同底面図である。
図2】(a)照明器具の凸部について説明するための図、(b)照明器具の背面を示す図である。
図3】(a)照明器具の取付台部を示す斜視図、(b)同正面図である。
図4】(a)照明器具の灯体部の内部に設けられたヒートシンク及びソケットを示す図、(b)ソケットに取り付けられるランプを示す図、(c)灯体部に取り付けられるフード部を示す図である。
図5】(a)照明器具の凸部について、雄ネジ部を形成した変形例を示す図、(b)取付台部に雌ネジ部を形成した変形例を示す図である。
図6】ランプとソケットとを熱伝導性部材で覆いヒートシンクに接触させる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.第1の実施形態>
<1.1.概要>
以下、本発明の一実施形態に係る照明器具1について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る照明器具1の斜視図であり、図1(b)は、同底面図である。
【0012】
図2(a)は、照明器具1の突出部23について説明するための図であり、図2(b)は、照明器具1の背面を示す図である。
【0013】
図3(a)は、照明器具1の取付台部4を示す斜視図であり、図3(b)は、同正面図である。
【0014】
図4(a)は、照明器具1の灯体部2の内部に設けられたヒートシンク214a、214b、214c・・・及びソケット212を示す図であり、図4(b)は、ソケット212に取り付けられるランプ217を示す図であり、図4(c)は、灯体部2に取り付けられるフード部3を示す図である。
【0015】
照明器具1は、ビルの壁面などの取付対象に取り付けられて取付対象を照らす照明器具であり、一例としてアウトドアブラケットである。
【0016】
照明器具1は、図1(a)に示すように、灯体部2及びフード部3を備える器具本体部10、取付台部4並びにゴムパッキン5を備え、取付対象8に取り付けられ、取付対象8などを照らす。
【0017】
照明器具1は、器具本体部10(図2(a)、図2(b)参照)、及び取付台部4(図3(a)、図3(b)参照)に分離可能に構成されている。照明器具1を取付対象8に取り付ける場合、まず、取付台部4が取付対象8に、ゴムパッキン5を挟んで取り付けられ、次いで、取付台部4に器具本体部10が係合される。
【0018】
ここで、照明器具1において、器具本体部10が、取付台部4に簡単に係合できる構造となっており、作業者にとっては、照明器具1を取付対象8に取り付ける場合の作業性が高くなっている。
【0019】
以下、照明器具1の各構成について説明する。
【0020】
<1.2.構成>
<器具本体部10>
器具本体部10は、図4(a)に示す灯体部2及び図4(c)に示すフード部3に分離可能に構成されている。
【0021】
ここで、以下の説明では、図1(a)に示すように照明器具1が下方を照らすよう設置されることを前提に、照明器具1における灯体部2からみてフード部3が存在する側が下であり、逆に、フード部3からみて灯体部2が存在する側を上としている。
【0022】
灯体部2は、光源として、図4(b)に備えるランプ217を備え、図2(a)及び図2(b)に示すように、灯体胴部21及び、台座部22を備える。
【0023】
灯体胴部21は、図4(a)に示すように、筒状部210及び底部211を備えた有底筒状を呈する。灯体胴部21は、底部211の略中心に、ランプ217を取り付けるソケット212が配され、ソケット212を環状に囲むように、フィン基端枠213a、213b、213cが形成されている。そして、フィン214a、フィン214b、フィン214c、・・・が、空間部215aのような空間を隔てて、フィン基端枠213a、213b、213cから筒状部210へと放射上に形成されている。
【0024】
フィン214a、フィン214b、フィン214c、・・・は、ランプ217が発する熱を、底部211及び筒状部210へ伝えて放熱するヒートシンクの機能を有する。
【0025】
筒状部210の開口端部の内面には、図4(a)に示すように、雌ネジ山部216が形成されている。
【0026】
台座部22は、図2(a)及び図2(b)に示すように、灯体部2において取付台部4に係合する矩形な枠状の部分である。台座部22は、接触面26側に、円筒状に突出する突出部23を備える。
【0027】
突出部23は、取付台部4に係合する部分であり、開口端縁の外周に、外方(一例として鉛直上向き)へ張り出す張り出し部24、及び外方(一例として鉛直下向き)へ張り出す張り出し部25を備える。突出部23の内側には、配線類を挿通するための穴部221が設けられている。配線には、照明器具1の電源部に対し外部から電力を供給するためのケーブルなどがある。突出部23の根元部分の外周には、パッキン27が配されている。
【0028】
パッキン27は、取付台部4の開口部41(図3(a)及び図3(b)参照)内に水が入り込むのを防ぐ機能を有する。
【0029】
接触面26からは、略平板上の回転防止片28が突出するよう形成されている。
【0030】
回転防止片28は、上面から下面に貫通するネジ穴29が設けられ、回転防止ネジ48が挿通される。
【0031】
ランプ217は、光源の一例としてJDR型のランプであり、電源部を内蔵している。
【0032】
ランプ217は、一例としてLED(Light Emitting Diode)基板を備える。LED基板には、単色のLEDだけを用いてもよいが、調光調色が可能なように2色または3色のLEDを用いてもよい。2色のLEDとして、例えば昼光色LED(色温度6500K)と電球色LED(色温度2700K)を用いると、両LEDの混色としてその間の色温度を再現できる。3色のLEDとして、例えば青白色LED、黄白色LED、赤色LED(詳細は後述)を用いると、その3色の混色としての各色が再現でき、特に黒体軌跡に沿った色や、黒体軌跡から一定の色差を有する微妙な色を出すことが可能になる。
【0033】
フード部3は、筒型のフード本体31に透過板部32が嵌め込まれて成る。透過板部32は、光源から発せられる光を透過する。フード本体31は、フード筒部311と、フード筒部311よりも外径の小さいフード係合部312とを備え、フード係合部312の外周には、雄ネジ山部313が形成されている。
【0034】
雄ネジ山部313は、灯体部2の雌ネジ山部216に対応するよう形成されており、フード係合部312を筒状部210の開口端部に差し込んで回転させることで、雄ネジ山部313が筒状部210の雌ネジ山部216に沿って侵入し、フード部3と灯体部2とが固定される。
【0035】
ここで、灯体部2とフード部3とが噛み合う係合部分に関し、外径の小さいフード係合部312が下側のフード部3に設けられ、フード係合部312を灯体部2の筒状部210が覆う構成になっているが、これは防水に資するためである。雨が降った場合には、上側の灯体部2から伝わる水は筒状部210の外面を伝い、そのままフード部3の外面へと伝って下へ流れるため、照明器具1の内部に水が侵入する可能性は下がる。
【0036】
逆に、仮に、外径の小さい側(フード係合部312)が上側の灯体部2に設けられる構成とすると、雨などで灯体部2から伝わる水は、その下端において外形の小さい係合部に伝わり、径の大きいフード部3の外側を伝うのではなく内側を伝って内部に入っていく可能性が高まり得る。
【0037】
<取付台部4>
取付台部4は、器具本体部10を取付対象8に取り付けるための土台になる部分であり、ゴムパッキン5を挟んで取付対象8に固定される。
【0038】
取付台部4は、図3(a)及び図3(b)に示すように、受け入れ部40、ネジ止め穴44、ネジ止め穴45、回転防止片受け部46、防止片移動空間部47及び作業用穴部49を備える。
【0039】
受け入れ部40は、図3(a)に示すように、略中央に開口部41を備える。開口部41は、器具本体部10の突出部23の外周の径より若干大きい径の内周を備える開口であり、突出部23が嵌め込まれる部分である。なお、開口部41は、底面がなく開口が貫通する形になっているが、突出部23が嵌め込まれる空間があれば足り、必ずしも貫通する必要はなく凹みとして形成されていてもよい。受け入れ部40における開口部41の奥部は、開口端縁よりも空間的に広くなっており配線が収まり易くなっている。
【0040】
受け入れ部40は、開口部41の開口端縁に、切欠部42a及び切欠部43aを備え、開口部41の内周に、切欠部42aに連続する案内溝42b、及び切欠部43aに連続する案内溝43b(図示せず)を備える。
【0041】
切欠部42aは、突出部23における張り出し部24の形状に応じて形成された切り欠きであり、張り出し部24の外径の径より若干大きい径で形成されている。切欠部42aは、図3(b)に示すように、鉛直方向Vに対し角度θだけ傾いた位置に形成されている。
【0042】
切欠部43aは、突出部23における張り出し部25の形状に応じて形成された切り欠きであり、張り出し部25の外径の径より若干大きい径で形成されている。切欠部43aは、図3(b)に示すように、鉛直方向Vに対し角度θだけ傾いた位置に形成されている。
【0043】
ここで、器具本体部10を取付台部4に取り付ける場合、まず、受け入れ部40に、突出部23を嵌め込むが、このとき、張り出し部24が切欠部42aの内側を通過し、張り出し部25が切欠部43aの内側を通過するように、突出部23が受け入れ部40の開口部41内に挿入される。
この状態は、取付台部4の上下方向の中心線は、鉛直方向Vに沿った状態であるのに対し、器具本体部10の上下方向の中心線は、鉛直方向Vから反時計回り角度θ傾いた状態である。この器具本体部10の上下方向の中心線が、取付台部4の上下方向の中心線に対し、角度θだけ傾いて取付られている状態を、以下、「嵌め込み状態」という。
【0044】
そして、器具本体部10を、取付台部4に対し、時計回りに角度θ回転させると、張り出し部24が案内溝42bに案内されて鉛直方向Vの位置に達し、張り出し部25が案内溝43bに案内されて鉛直方向Vの位置に達し、器具本体部10が、取付台部4に係止された状態になる。ここの器具本体部10の上下方向の中心線と、取付台部4の上下方向の中心線の方向が一致して係止されている状態を、以下、「回転係止状態」という。
【0045】
回転係止状態では、器具本体部10において、光源であるランプ217は、所定の照射方向の一例としての鉛直下方を照射する。また、器具本体部10が取付台部4に対し、角度θ以上は回転できないよう、張り出し部24、張り出し部25、案内溝42b及び案内溝43bは、長さ、幅などの形状が調整されている。すなわち、角度θが回転限界である。
【0046】
なお、上述のように、嵌め込み状態にする場合に張り出し部24、張り出し部25をそれぞれ切欠部42a、切欠部43aの内側を通過させることで、簡単に、張り出し部24、張り出し部25を案内溝42b、案内溝43bに案内することができるようになる。
【0047】
ネジ止め穴44及びネジ止め穴45は、取付台部4を取付対象8に固定するためのネジが挿入される穴である。
【0048】
回転防止片受け部46は、器具本体部10が取付台部4に取り付けられた後、器具本体部10が半時計回りに回転してしまい、取付台部4から器具本体部10が外れてしまうのを防ぐための構成である。
【0049】
回転防止片受け部46は、図3(a)及び図3(b)に示すように、下側に、窪みである回転防止窪み部461を備える。回転防止片受け部46は、回転係止状態において、器具本体部10における回転防止片28に取り付けられた回転防止ネジ48のネジ先に正対する位置に設けられている。
【0050】
回転防止窪み部461は、器具本体部10が回転係止状態である場合に、回転防止ネジ48が工具(ドライバーなど)を用いて回転されると、回転防止ネジ48のネジ先が回転防止窪み部461に突入して嵌りこむ。これにより、器具本体部10を取付台部4に対して回転させようとしても、回転防止ネジ48のネジ先が回転防止窪み部461に阻害されて動くことができず、器具本体部10は取付台部4に対して回転不能になる。
【0051】
防止片移動空間部47は、器具本体部10が取付台部4に対し、嵌め込み状態から回転係止状態にされる場合に、回転防止片28が、移動するために設けられた空間である。
【0052】
作業用穴部49は、器具本体部10が回転係止状態である場合に、回転防止ネジ48を回転させるための工具を挿通するための作業用の穴であり、取付台部4内の水分を外へ出すための水抜き穴としても機能する。
【0053】
<1.3.効果の補足>
以上説明したように、照明器具1を取付対象8に取り付ける場合、作業者は、まず、軽い取付台部4だけを保持し、ゴムパッキン5を挟んで取付対象8に取付台部4をネジ止めすればよいので、照明器具1全体を一度に取付対象8に固定する場合に比べて作業者の負担は少ない。そして、取付対象8に固定された取付台部4に対し、器具本体部10を、嵌め込み状態から回転させるという簡単な作業で、回転係止状態にすることができるので、作業者にとって、従来よりも設置し易く作業性は高い。また、取付対象8に固定された取付台部4における開口部41の奥部が、開口端縁よりも空間的に広くなっており、その奥部に配線が格納されるので、配線を丸めて格納したとしても配線が元の形に戻ろうとする復元力は、取付台部4を押圧するのに留まり、作業者が配線の復元力に対抗する力を加える必要もないので、作業者の負担は少ない。
【0054】
<2.第2の実施形態>
上述の実施形態では、突出部23は、器具本体部10を取付台部4に対して回転させることにより、張り出し部24が、取付台部4における受け入れ部40の案内溝42bに係合し、張り出し部25が、受け入れ部40の案内溝43bに係合して回転係止状態となっていたが、これに限らず、器具本体部10を取付台部4に対して回転させる機構は、他の機構であってもよい。
【0055】
例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、器具本体部10側の突出部23に、張り出し部の一例として雄ネジ山である雄ネジ部241を設け、取付台部4の開口部41の内面に、案内溝の一例としての、雄ネジ部241に係合する雌ネジ部421を設けて、器具本体部10を取付台部4に対して回転させて、雄ネジ部241及び雌ネジ部421を係合させてもよい。
【0056】
この場合、雄ネジ部241及び雌ネジ部421のネジ山の数、長さ、幅などネジ山、ネジ溝の形状は、器具本体部10を取付台部4に対して回転させる場合の回転限界、回転角度、回転数などに応じて定めればよい。
【0057】
また、回転させる場合に、回転防止片28が防止片移動空間部47内に収まらず、回転防止片28が取付台部4に干渉して回転を妨げるような場合には、回転防止片28を設けないこととしてもよいし、回転防止ネジ48と回転防止窪み部461とを器具本体部10の回転を妨げない場所に設けることとしてもよい。
【0058】
<3.第3の実施形態>
上述の実施形態に対し、さらに、灯体部2において、ランプ217で発生した熱をより多く灯体胴部21に伝えて放熱能力を向上させるための構成を有してもよい。具体的には、図6に示すように、灯体部2は、ランプ217がソケット212に取り付けられた状態において、ランプ217及びソケット212を覆う熱伝導性カバー部材219を備える。
【0059】
熱伝導性カバー部材219は、一例としてシリコンで構成されており、ランプ217において光が発せられる部分は覆わない。
【0060】
熱伝導性カバー部材219は、ランプ217及びソケット212、並びにフィン基端枠213a、213b及び213cと接触しており、ランプ217で発生した熱をより多く、灯体胴部21に、特に、フィン214a、フィン214b、フィン214c、・・・に伝えることができ、放熱能力を向上させることができる。
【0061】
<4.変形例>
以上、本発明に係る照明器具の実施形態を説明したが、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例示した照明器具を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明器具に限られないことは勿論である。
【0062】
(1)上述の実施形態では、器具本体部10に突出部23を配し、取付台部4に開口部41を備えることとしたが、器具本体部10に開口部41を備え、取付台部4に突出部23を備えることとしてもよい。
【0063】
(2)第3の実施形態では、熱伝導性カバー219は、ランプ217がソケット212に取り付けられた状態において、ランプ217が光を発する部分以外の部分を覆うこととしたが、これに限らず、ランプ217、ソケット212の少なくとも一部を覆い、灯体部2に接触していれば足りる。
【0064】
(3)上述の実施形態では、光源にLEDを用いていたが、これに限らず、他の光源であってもよい。例えば、有機EL又は有機LED(Organic Electroluminescence又はOrganic Light Emitting Diode)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)などであってもよい。
【0065】
また、光源として取り外し可能なランプ217を用いていたが、これに限らず、光源は、灯体部2に固定されていてもよい。
【0066】
(4)上述の実施形態では、回転防止窪み部461は、回転防止ネジ48の先端が嵌り込む窪みとしていたが、窪みに限らず、回転防止ネジ48の先端が固定されば足り、例えば、回転防止ネジ48のネジ山に会うネジ山であってもよいし、回転防止ネジ48の先端が嵌りこむ穴であってもよい。
【0067】
(5)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【0068】
<4.発明の抽出>
以下、更に本発明の一実施形態としての照明器具の構成及びその変形例と効果について説明する。
【0069】
(1)本発明の一実施形態に係る照明器具は、取付対象に固定される取付台部と、光源を備えており前記取付台部に取り付けられる器具本体部とを含む照明器具であって、前記器具本体部は突出部を備え、前記取付台部は前記突出部が嵌め込まれる開口部を備え、前記開口部の内周には、案内溝が形成されており、前記突出部の外周には、前記案内溝に対応する位置に張り出し部が形成されており、前記器具本体部は、前記突出部が前記開口部に嵌め込まれ、前記張り出し部が前記案内溝に案内されて前記器具本体部が前記取付台部に対して回転限界まで回転されることにより、前記光源が所定の照射方向を向くよう前記取付台部に係止される。
【0070】
この構成によれば、作業者が照明器具全体を支持することなく取付台部のみを取付対象に固定することができ、さらに、器具本体部を、嵌め込み状態から回転限界まで回転させるという簡単な作業で、光源が所定の照射方向を向くよう取付台部に係止できるので、照明器具を取り付け対象に固定する際の作業性を従来よりも改善することができる。
【0071】
(2)また、前記開口部の開口端縁には、切欠部が設けられており、前記切欠部は、前記案内溝に連続し、前記張り出し部は、前記突出部が前記受け部に嵌め込まれるときに、前記切欠部の内側を通過可能な形状であることとしてもよい。
【0072】
この構成によれば、張り出し部を切欠部の内側を通過させることで、簡単に、張り出し部を案内溝に案内することができる。
【0073】
(3)また、前記器具本体部及び前記取付台部の一方は、回転防止ネジを備え、他方は、前記回転防止ネジの先端が突入する回転防止窪み部を備え、前記器具本体部と前記取付台部とが係止された後、前記回転防止ネジが締め込まれることにより、前記回転防止ネジの先端が前記回転防止窪み部に嵌りこんで、前記器具本体部の前記取付台部に対する回転を不能にすることとしてもよい。
【0074】
この構成によれば、器具本体部が取付台部に係止された状態から、器具本体部が取付台部に対し逆に回転して外れてしまうのを防ぐことができる。
【0075】
(4)また、前記一方は、前記回転防止ネジを保持する回転防止片を備え、前記他方は、前記回転防止片が挿通され、前記回転に応じ、前記回転防止片が移動する移動空間部を有することとしてもよい。
【0076】
この構成によれば、器具本体部及び取付台部の一方が備える回転防止片が、他方に干渉して、回転できなくなるのを防ぐことができる。
【0077】
(5)また、前記取付台部には、水抜き穴が形成されており、前記回転防止ネジは、前記水抜き穴から挿通される工具を用いて締め込まれることとしてもよい。
【0078】
この構成によれば、工具を挿通する穴を、水抜き穴の他に別途設ける工程を省略することができるので、製造工程が簡易になる。
【0079】
(6)また、前記器具本体部は、灯体部とフード部とを含み、前記灯体部の内部には、ヒートシンクが形成されていることとしてもよい。
【0080】
この構成によれば、光源が発する熱の発散能力を高めることができる。
【0081】
(7)また、前記灯体部は、前記光源としてのランプと、前記ランプが取り付けられるソケットと、前記ランプ及び前記ソケットの少なくとも一部を覆う熱伝導性カバー部材とを備え、前記熱伝導性カバー部材は、前記ヒートシンクと接触することとしてもよい。
【0082】
この構成によれば、光源が発する熱をより多くヒートシンクに伝えることができるので、放熱能力をより高めることができる。
【0083】
(8)また、前記突出部の根元部分の外周に、パッキンを備え、前記パッキンは、前記突出部と前記開口部との間を防水することとしてもよい。
【0084】
この構成によれば、開口部から取付台部へ水が侵入するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0085】
1 照明器具
2 灯体部
3 フード部
4 取付台部
5 ゴムパッキン
8 取付対象
10 器具本体部
21 灯体胴部
22 台座部
23 凸部
24、25 張り出し部
26 接触面
27 パッキン
28 回転防止片
29 ネジ穴
31 フード本体
32 透過板部
40 受け入れ部
41 開口
42a、43a 切欠部
42b、43b 案内溝
44、45 ネジ止め穴
46 回転防止片受け部
47 防止片移動空間部
48 回転防止ネジ
49 水抜き穴部
210 筒状部
211 底部
212 ソケット
213a、213b、213c フィン基端枠
214a、214b、214c フィン
215a 空間部
216 雌ネジ山部
217 ランプ
219 熱伝導性カバー部材
221 穴部
241 雄ネジ部
311 フード筒部
312 フード係合部
313 雄ネジ山部
421 雌ネジ部
461 回転防止窪み部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に固定される取付台部と、光源を備えており前記取付台部に取り付けられる器具本体部とを含む照明器具であって、
前記器具本体部は突出部を備え、前記取付台部は前記突出部が嵌め込まれる開口部を備え、
前記開口部の内周には、案内溝が形成されており、
前記突出部の外周には、前記案内溝に対応する位置に張り出し部が形成されており、
前記器具本体部は、前記突出部が前記開口部に嵌め込まれ、前記張り出し部が前記案内溝に案内されて前記器具本体部が前記取付台部に対して回転限界まで回転されることにより、前記光源が所定の照射方向を向くよう前記取付台部に係止される
照明器具。
【請求項2】
前記取付台部は受け部を備え、
前記開口部の開口端縁には、切欠部が設けられており、
前記切欠部は、前記案内溝に連続し、
前記張り出し部は、前記突出部が前記受け部に嵌め込まれるときに、前記切欠部の内側を通過可能な形状である
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体部及び前記取付台部の一方は、回転防止ネジを備え、他方は、前記回転防止ネジの先端が突入する回転防止窪み部を備え、
前記器具本体部と前記取付台部とが係止された後、前記回転防止ネジが締め込まれることにより、前記回転防止ネジの先端が前記回転防止窪み部に嵌りこんで、前記器具本体部の前記取付台部に対する回転を不能にする
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記一方は、前記回転防止ネジを保持する回転防止片を備え、
前記他方は、前記回転防止片が挿通され、前記回転に応じ、前記回転防止片が移動する移動空間部を有する
請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
前記取付台部には、水抜き穴が形成されており、
前記回転防止ネジは、前記水抜き穴から挿通される工具を用いて締め込まれる
請求項4記載の照明器具。
【請求項6】
前記器具本体部は、灯体部とフード部とを含み、
前記灯体部の内部には、ヒートシンクが形成されている
請求項1から5のいずれか1項記載の照明器具。
【請求項7】
前記灯体部は、
前記光源としてのランプと、
前記ランプが取り付けられるソケットと、
前記ランプ及び前記ソケットの少なくとも一部を覆う熱伝導性カバー部材とを備え、
前記熱伝導性カバー部材は、前記ヒートシンクと接触する
請求項6記載の照明器具。
【請求項8】
前記突出部の根元部分の外周に、パッキンを備え、
前記パッキンは、前記突出部と前記開口部との間を防水する
請求項1から7のいずれか1項記載の照明器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
(2)また、前記取付台部は受け部を備え、前記開口部の開口端縁には、切欠部が設けられており、前記切欠部は、前記案内溝に連続し、前記張り出し部は、前記突出部が前記受け部に嵌め込まれるときに、前記切欠部の内側を通過可能な形状であることとしてもよい。