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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136663
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】球体走行路玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/02 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A63H18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042460
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】399012929
【氏名又は名称】株式会社アガツマ
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸所 信二
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA41
2C150CA06
2C150DA33
2C150DA38
2C150EA03
2C150EA19
2C150EB04
2C150EH09
2C150EH16
(57)【要約】
【課題】 子供でも走行体の走行経路を容易に変更することができ、走行経路に変化を与えて長く楽しく遊ぶことのできる球体走行路玩具を提供する。
【解決手段】 柱状形状とされる柱体ブロック10の複数個と、棒状体形状のスロープレール40の複数個とで構成され、柱体ブロック10は、その上面から下面に貫通する球体通路を備えると共に前面開口部19を有し、前面開口部19の下部に係合突起29を備えた連結部23を有し、柱体ブロック10の上面において球体通路の外周に円形形状の結合突起27を突出させ、柱体ブロック10の下面においては結合突起27を挿入可能な円周形状を備えた空隙を有し、スロープレール40は、上面に中央が窪んだ溝部41を傾斜溝として棒状体の長尺方向に沿って備え、スロープレール40の両端下面には係合部を有し、スロープレール40の端部を前面開口部19に挿入可能とした球体走行路玩具とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状形状とされる柱体ブロックの複数個と、棒状体形状のスロープレールの複数個とで構成され、
前記柱体ブロックは、その上面から下面に貫通する球体通路を備えると共に、前記球体通路から当該柱体ブロックの一方側面に連通した前面開口部を有し、前記前面開口部の少なくとも下部には上面に係合突起を備えた連結部を有し、当該柱体ブロックの上面には前記球体通路の外周に当該柱体ブロックの中央を円弧中心とする円形形状の結合突起を上方に突出させ、当該柱体ブロックの下面には前記結合突起を挿入可能な円周形状を備えた空隙を有し、前記結合突起を前記空隙に収納することにより前記柱体ブロックを相互に積み重ね可能とし、
前記スロープレールは、上面に中央が窪んだ溝部を棒状体の長尺方向に沿って備え、当該スロープレールの両端下面には前記係合突起を収納可能な係合部を有し、一方の係合部は解放側係合部として当該スロープレールの一端直近に設けられ、他方の係合部は受け側係合部として当該スロープレールの他端から前記柱体ブロックの太さの半分余りの間隔を有する位置に設けられ、
前記スロープレールは前記解放側係合部を設けた端部よりも前記受け側係合部を設けた端部の厚みを厚くして前記溝部を傾斜溝とし、前記スロープレールの両端部分の幅を前記柱体ブロックの前記前面開口部の幅と同一又は僅かに細い幅とし、前記スロープレールの端部を前記前面開口部に挿入可能としている、
ことを特徴とする球体走行路玩具。
【請求項2】
前記連結部は、前記前面開口部の下方にのみ形成され、前記結合突起は円形の一部が欠損したC字形状であることを特徴とする請求項1に記載した球体走行路玩具。
【請求項3】
前記連結部は、前記前面開口部の下方に形成されると共に、上面に係合突起を有しない連結部が前記前面開口部の上方にも設けられることを特徴とする請求項1に記載した球体走行路玩具。
【請求項4】
前記スロープレールは、長尺方向に沿って当該スロープレールの左右に装飾部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載した球体走行路玩具。
【請求項5】
前記スロープレールは、その下端から下方に突出する係合補助突起を両端近傍に有し、前記係合補助突起は、前記係合部よりも僅かに中央側に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載した球体走行路玩具。
【請求項6】
前記柱体ブロック及び前記スロープレールと合わせて更に補助ブロックを有し、該補助ブロックは、中央に開口穴を有し、前記柱体ブロックの上面に載置可能な大きさであって、下面には前記結合突起を収納可能な円形状の空隙を形成する溝を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載した球体走行路玩具。
【請求項7】
前記補助ブロックは、前記開口穴の周囲の上面に、前記係合部に挿入可能な補助係合突起を複数個有することを特徴とする請求項6に記載した球体走行路玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜面により球体を転動走行させる走行路を形成する玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、複数の支柱と、該支柱に支えられて立体的に傾斜させたレール溝とにより、球体等をレール溝に沿って転動走行させ、レール溝の上端からレール溝の下端に至る球体等の落下走行を楽しむ種々の玩具が提供されている。
【0003】
例えば、中空筒体の上端と下端とを中空筒体の外部で接続する傾斜案内路を形成するものとし、この傾斜案内路は断面半円形の溝形状をした直線形状や曲線形状のレール部材を接続することにより形成し、傾斜案内路の所要箇所を支柱で支持するものとし、ボールを中空筒体内で打ち上げ、中空筒体の上端から傾斜案内路を転動走行させるようにして中空筒体の下端に戻し、ボールを繰り返し打ち上げて傾斜案内路を走行させることを繰り返して遊ぶ玩具が提案されている(特許文献1)。
【0004】
この玩具では、打ち上げられたボールが転動走行する案内路を、複数の直線レールや曲線レールを接続して形成するものであるから、案内路の直線部分や曲線部分の組み合わせを変化させ、ボールの走行状態を変化させることにより、飽きることなく、長く楽しく遊ぶことができるものである。
【0005】
また、所定ピッチ間隔で多数のフィンを形成した柱材と、この柱材のフィンに係合させる横材及び直線状レールやカーブレールとで構成され、横材により複数本の柱材を相互に平行として立設し、立設した柱材の間に直線レールやカーブレールを傾斜させて配置することにより連続したコースを形成し、球体などの滑走体をコースに沿って上方のスタート地点から最下位置のゴールに滑走させる玩具も提案されている(例えば特許文献2)。
【0006】
この玩具では、柱材及び横材により形成する枠組みに直線及び曲線のレールを取り付けて組み上げるものであり、任意のコースを作成してボール等の走行態様に変化を持たせて楽しむことができるものである。
【0007】
尚、傾斜したコースを回転走行する球体としては、ボール状の真球形状とされるものの他、断面が長円形形状とされた俵形の中空体の内部にパチンコ玉の如き鉄球を内蔵し、落下走行速度を緩急変化させつつ回転走行する球体とするものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録3075714号公報
【特許文献2】実公平7-45277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の様に、球体等を斜面としたコースを走行落下させる玩具において、球体等の走行コースを組み替えることができる玩具は、飽きることなく長期間楽しく遊ぶことができるも、走行コースを変化させる際、コースを組み立てるのに手数と時間を要し、子供が自由に走行経路を変化させることが困難なことが多かった。
【0010】
本発明は、この様な欠点を排し、子供でも走行体の走行経路を容易に変更することができ、走行経路に変化を与えて長く楽しく遊ぶことのできる球体走行路玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る球体走行路玩具は、柱状形状とされる柱体ブロックの複数個と、棒状体形状のスロープレールの複数個とで構成され、前記柱体ブロックは、その上面から下面に貫通する球体通路を備えると共に、前記球体通路から当該柱体ブロックの一方側面に連通した前面開口部を有し、前記前面開口部の少なくとも下部には上面に係合突起を備えた連結部を有し、当該柱体ブロックの上面には前記球体通路の外周に当該柱体ブロックの中央を円弧中心とする円形形状の結合突起を上方に突出させ、当該柱体ブロックの下面には前記結合突起を挿入可能な円周形状を備えた空隙を有し、前記結合突起を前記空隙に収納することにより前記柱体ブロックを相互に積み重ね可能とし、前記スロープレールは、上面に中央が窪んだ溝部を棒状体の長尺方向に沿って備え、当該スロープレールの両端下面部には前記係合突起を収納可能な係合部を有し、一方の係合部は解放側係合部として当該スロープレールの一端直近に設けられ、他方の係合部は受け側係合部として当該スロープレールの他端から前記柱体ブロックの太さの半分余りの間隔を有する位置に設けられ、前記スロープレールは前記解放側係合部を設けた端部よりも前記受け側係合部を設けた端部の厚みを厚くして前記溝部を傾斜溝とし、前記スロープレールの両端部分の幅を前記柱体ブロックの前記前面開口部の幅と同一又は僅かに細い幅とし、前記スロープレールの端部を前記前面開口部に挿入可能とする球体走行路玩具である。
【0012】
また、本発明に係る球体走行路玩具は、前記連結部が前記前面開口部の下方にのみ形成され、前記結合突起は円形の一部が欠損したC字形状とされることがある。
【0013】
そして、本発明に係る球体走行路玩具は、前記連結部は前記前面開口部の下方に形成されると共に、上面に係合突起を有しない連結部が前記前面開口部の上方にも設けられることもある。
【0014】
また、本発明に係る球体走行路玩具は、前記スロープレールが、長尺方向に沿って当該スロープレールの左右に装飾部を有することもある。
【0015】
更に、本発明に係る球体走行路玩具は、前記スロープレールはその下端から下方に突出する係合補助突起を両端近傍に有し、前記係合補助突起は、前記係合部よりも僅かに中央側に設けられることが好ましい。
【0016】
そして、本発明に係る球体走行路玩具は、前記柱体ブロック及び前記スロープレールと合わせて更に補助ブロックを有し、該補助ブロックは、中央に開口穴を有し、前記柱体ブロックの上面に載置可能な大きさであって、下面には前記結合突起を収納可能な円形状の空隙を形成する溝を有することが好ましい。
【0017】
また、前記補助ブロックは、前記開口穴の周囲の上面に、前記係合部に挿入可能な補助係合突起を複数個有することもある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る球体走行路玩具は、複数個の柱体ブロックとスロープレールとにより構成されるものであるから、柱体ブロックを積み重ねて支柱を形成し、支柱間にスロープレールを渡すようにスロープレールの端部を柱体ブロックの前面開口部に挿入するのみで、容易に球体走行路を組み立てることができる。
【0019】
更に、各柱体ブロックは上面に円形の結合突起を、下面に結合突起を挿入可能な円周を備えた空隙を有しているため、結合突起を空隙に挿入係合させて上方の柱体ブロックを下方の柱体ブロックに確実に積み重ね、上方の柱体ブロックの前面開口部の方向を自由に下方の柱体ブロックの前面開口部の方向と異なる方向に向けることができ、各柱体ブロックに接続するスロープレールの方向を変化させ、立体的な球体走行路の組み立てを自由に行うことができる。
【0020】
そして、連結部を前面開口部の下方のみとし、前面開口部を柱体ブロックの上方に開放した柱体ブロックは、柱体ブロックの高さを低くすることができ、所定高さの支柱を形成するに際して柱体ブロックを数多く積重ねた支柱とし、スロープレールを多段として楽しく遊ぶことができる。
【0021】
また、連結部を前面開口部の上下に有する柱体ブロックは、上方の連結部の上面上にも結合突起を形成することを容易に可能とし、結合突起を切欠き部分を有しない環状に形成して上下の柱体ブロックの結合をより確実とすることができる。
【0022】
そして、長尺方向に沿って装飾部を有するスロープレールは、立体的な球体走行路を美麗な球体走行路として楽しく球体を走行させて楽しく遊ぶことができる。
【0023】
更に、下端に突出する係合補助突起を有するスロープレールは、係合補助突起を結合部に当接させて係合部と係合突起との係合を容易に行うことができ、球体走行路の組み立てを一層容易とすることができる。
【0024】

更に、中央に開口穴を有する補助ブロックを備える球体走行路玩具は、スロープレールの後端を挿入する柱体ブロックの上に補助ブロックを載置することにより、球体を開口穴に落し込むことによって柱体ブロックの球体通路に確実に落下させて球体の走行開始位置を所定の柱体ブロックとすることができる。
【0025】
また、開口穴の周囲に複数の補助係合突起を有する補助ブロックは、当該補助ブロックに複数のスロープレールの前端を載置係合させ、球体走行路を合流させるようにして楽しく遊ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る球体走行路玩具の組立状態の一例を示す図。
図2】本発明に係る球体走行路玩具の構成部材の分離状態を示す図。
図3】本発明に係る球体走行路玩具の柱体ブロックの上面斜視図。
図4】本発明に係る球体走行路玩具の柱体ブロックの下面斜視図。
図5】本発明に係る球体走行路玩具のスロープレールの下面斜視図。
図6】本発明に係る球体走行路玩具の補助ブロックの上面斜視図。
図7】本発明に係る球体走行路玩具のスロープレールの変形例を示す上面斜視図。
図8】本発明に係る球体走行路玩具のスロープレールの変形例を示す下面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る球体走行路玩具は、図1に示す様に、支柱を形成する柱体ブロック10の複数個と、支柱間を接続するスロープレール40の複数個を組み合わせて球体走行路を形成することができる玩具である。
【0028】
この支柱は、複数個の柱体ブロック10を積み重ねることにより形成するものであって、図1及び図2に示す様に、同一形状であって同一大きさとされた柱体ブロック10を積み上げ、柱体ブロック10の前面開口部19にスロープレール40の端部を挿入して接続するものである。
【0029】
この柱体ブロック10は、図3及び図4に示す様に、全体として直方体形の柱状体形状とされ、左側面壁12と右側面壁11を対向させて平行に有すると共に、左側面壁12の後端と右側面壁11の後端とを接続する背面壁13を有し、背面壁13と対向する面を前面開口部19として左側面壁12の前端下方部分と右側面壁11の前端下方部分とを接続する連結部23を有するものである。
【0030】
尚、右側面壁11と左側面壁12及び背面壁13の上端は同一高さとし、右側面壁11と左側面壁12及び背面壁13と接続部の下端も同一高さとし、各上端と各下端とを平行としているものである。
【0031】
また、右側面壁11及び左側面壁12の前端から僅かの幅で内側に向かって背面壁13と平行に側端面15を有し、左右の側端面15の間であって連結部23よりも上方が前面開口部19とされるものである。
【0032】
そして、左右の側端面15の内側縁から後方に夫々平行とさせる開口側壁21を有し、開口側壁21の後端は柱体ブロック10の前後方向中央とされ、左右の開口側壁21の後端は、半円筒形状の誘導面35により接続されているものである。
【0033】
更に、左右の開口側壁21及び誘導面35よりも外側のコ字状(内縁形状はU字状)部分を上端面17とし、この上端面17には誘導面35の曲率中心を円弧中心とするC字状の結合突起27を有するものである。
【0034】
尚、柱体ブロック10の水平断面は前後方向と左右方向の長さを等しくした正方形とし、誘導面35の曲率中心及び結合突起27の円弧中心は、柱体ブロック10の正方形の中央としているものである。
【0035】
また、連結部23の上面には係合突起29を有し、連結部23の後端は、開口側壁21との接続部分では柱体ブロック10の前後方向中央位置までとされ、連結部23の後端縁形状は誘導面35の曲率半径と同一の曲率半径とする半円形状とされて誘導面35と合わせて円形状の貫通孔31を形成し、貫通孔31の上方は、誘導面35の内側の空間により柱体ブロック10の上面から下面に貫通する球体通路としているものである。
【0036】
尚、連結部23の後端から下方には半円筒状の貫通孔壁33を有し、貫通孔壁33及び誘導面35の下端は、右側面壁11、左側面壁12、背面壁13及び連結部前面24の下端と同一高さとされるものであり、貫通孔壁33及び誘導面35の下端近傍で形成する円筒形状の外径半径は、C字状の結合突起27の内周半径と略同一の半径とし、貫通孔壁33及び誘導面35の下端近傍外周に複数の摺動リブ37を形成しているものである。
【0037】
従って、柱体ブロック10を他の柱体ブロック10に重ねるとき、上方の柱体ブロック10の貫通孔壁33及び誘導面35の下端近傍を下方の柱体ブロック10の結合突起27の内側に挿入して上方の柱体ブロック10と下方の柱体ブロック10とを結合することができ、摺動リブ37により位置ずれを防止しつつ上方の柱体ブロック10と下方の柱体ブロック10とを水平方向に回転自在な結合状態とすることができ、各柱体ブロック10の中央を貫通した球体通路を形成すると共に、各柱体ブロック10毎に球体通路を前面開口部19により柱体ブロック10の側面に貫通させることができるものである。
【0038】
この様に、貫通孔壁33及び誘導面35の下端近傍により円筒形状を形成し、その外周には右側面壁11、左側面壁12及び背面壁13との間に空隙を形成することにより、貫通孔壁33及び誘導面35の下端近傍の外周によって形成した円形状を結合突起27の内縁と結合させ、貫通孔壁33及び誘導面35の外方に形成した空隙に結合突起27を収納して上段の柱体ブロック10と下段の柱体ブロック10の前面開口部19の向きを一致又は異なる方向とすることが自由に可能となる。
【0039】
尚、前述したように、誘導面35と背面壁13や右側面壁11及び左側面壁12との空隙及び貫通孔壁33と連結部前面24との間の空隙を有する柱体ブロック10とする場合に限ることなく、中実の立方体形状のものを使用し、上面から下面に貫通する円筒状の球体通路を形成し、球体通路の上方部分を柱体ブロック10の前面側に開放するように前面開口部19を形成する柱体ブロック10とすることもある。
【0040】
この中実の立方体形状のものを使用する場合、柱体ブロック10の上面において球体通路の周囲にC字状の結合突起27を形成し、柱体ブロック10の下面において球体通路の周囲に結合突起27を収納する凹溝を円形環状に形成して空隙を形成するものである。
【0041】
この中実の立方体形状のものを使用して柱体ブロック10とする場合は、立方体形状のブロックの上面から下面に貫通する円筒形透孔を形成し、円筒形透孔の上方部分を立方体の一面(前面)に開放させて前面開口部19を形成し、上面にC字状の突起を、下面に円形環状の溝部を形成するのみであるから、柱体ブロック10の成形製造を容易に行うことができる。
【0042】
尤も、図4に示した様に、誘導面35や貫通孔壁33及び左右の開口側壁21の外方に空間を形成した柱体ブロック10は、資材を節用することができると共に、柱体ブロック10を軽量化し、複数の柱体ブロック10の持ち運び等を容易とすることができる。
【0043】
そして、スロープレール40は、図2及び図5に示す様に、上面には円弧状に窪んだ溝部41を有する棒状体とされ、溝部41の左右両端から下方に延設される右側壁42及び左側壁43を備え、前端は溝部41を開放するようにして前端壁45で右側壁42の前端と左側壁43の前端とを接続している。
【0044】
また、スロープレール40の後端は半円形の後端壁47により溝部41を塞ぐように右側壁42の後端と左側壁43の後端とを接続し、後端壁47の曲率半径を柱体ブロック10の誘導面35の曲率半径よりも僅かに小さくし、スロープレール40の左右幅を柱体ブロック10における左右の開口側壁21の間隔よりも僅かに小さくしている。
【0045】
更に、前端壁45、後端壁47、及び、右側壁42と左側壁43の下端は同一平面を形成する高さとし、前端壁45よりも後端壁47の高さを高くしてスロープレール40を水平面に置いたとき、溝部41は後端側が高く、前端側が低くなる傾斜面をスロープレール40の長尺方向に沿って形成する溝となるようにしている。
【0046】
そして、右側壁42及び左側壁43の側壁下端縁49には、夫々前方係合補助突起51と後方係合補助突起52とをスロープレール40の前端近傍及び後端近傍に有し、前方係合補助突起51はその前端を側壁下端縁49と略垂直とし、この前方係合補助突起51の前端と前端壁45との距離は連結部23の最も細い前後幅と略同一又は僅かに小さな長さの距離とされ、後方係合補助突起52は、その後端を側壁下端縁49と略垂直とし、この後方係合補助突起52の後端と右側壁42及び左側壁43の後端との距離は柱体ブロック10の前後長さの半分の長さに略等しい距離とされ、スロープレール40の後端(後端壁47の最後端)までの距離は、柱体ブロック10の太さの半分余りとされるものである。
【0047】
更に、前方係合補助突起51よりも僅かに前方の部分には右側壁42と左側壁43を接続する前方区画壁53を前端壁45と平行に備え、この前方区画壁53と前端壁45との間に解放側係合部54を形成する。また、後方係合補助突起52よりも後方部分には、左側壁43及び右側壁42を接続する後方区画壁55を平行に2個備え、この後方区画壁55の間に受け側係合部56を形成し、解放側係合部54や受け側係合部56は、柱体ブロック10の連結部23に形成した係合突起29を収納しうる大きさとしているものである。
【0048】
従って、受け側係合部56と柱体ブロック10の係合突起29とを係合させるようにスロープレール40の後端を柱体ブロック10の前面開口部19から柱体ブロック10に挿入すると、後端壁47を誘導面35に近接させてスロープレール40の後端部で柱体ブロック10の貫通孔31を塞ぐことができ、誘導面35に沿って落下してくる球体等をスロープレール40の後端で受け、スロープレール40の溝部41に沿って走行させることができる。
【0049】
また、解放側係合部54を柱体ブロック10の係合突起29と係合させるようにスロープレール40の前端を柱体ブロック10の前面開口部19から柱体ブロック10に挿入すると、前端壁45を貫通孔31の直近に位置させ、スロープレール40の溝部41を走行してきた球体等を貫通孔31に落下させることができる。
【0050】
そして、後方係合補助突起52の後端を側壁下端縁49と略垂直に形成している為、後方係合補助突起52の後端を連結部前面24に当接するようにして受け側係合部56と係合突起29との係合を容易に行い、前方係合補助突起51の前端を側壁下端縁49と略垂直に形成している為、前方係合補助突起51の前端を連結部前面24に当接するようにして解放側係合部54と係合突起29との係合を容易に行うことができる。
【0051】
更に、この球体走行路玩具は、図6に示す如き補助ブロック60も備えるものである。この補助ブロック60は、柱体ブロック10と略同一前後左右幅の正方形とされ、連結部前面24の高さと略同一の高さとされる環体部側面63により周囲を囲まれ、環体部側面63の上端に設けられる環体部上面61の中央に開口穴71を有するものである。
【0052】
この開口穴71は誘導面35の曲率半径と略同一の半径とされる円形の穴であって、環体部上面61から下方に垂下する円筒形状の短筒部73により形成されるものであり、短筒部73の長さを環体部側面63の高さと同一とし、短筒部73の外径は結合突起27の内径と一致させているものである。
【0053】
そして、環体部上面61の周囲4辺の各中央に補助係合突起65を有し、全ての補助係合突起65は連結部23の上面に形成した係合突起29と同一大きさとするものである。
【0054】
従って、この補助ブロック60を柱体ブロック10の上に重ね、短筒部73を結合突起27の内側に挿入するようにして補助ブロック60を柱体ブロック10の上方に固定することができ、補助ブロック60を柱体ブロック10に対して水平方向に回転自在として取り付けることができる。
【0055】
そして、この補助ブロック60は、四方に補助係合突起65を有するものであるから、各補助係合突起65をスロープレール40の解放側係合部54へ挿入するようにして、最大4個のスロープレール40を接続可能とし、スロープレール40による通路を合流させることができる。
【0056】
尚、補助ブロック60の四隅には支柱部75を形成し、補助係合突起65に解放側係合部54を係合させたとき、スロープレール40の前端左右を補助的に支持固定するようにしている。
【0057】
更に、支柱部75には装飾体等取付け部76を形成し、支柱部75の上方に装飾体を付加して立体的とする球体走行路を美麗とすることにより、一層楽しく遊ぶことができるようにするものである。
【0058】
また、この補助ブロック60は、スロープレール40の後端と結合させた柱体ブロック10の上端面17に取り付けることにより、短筒部73に落し込む球体等をスロープレール40の溝部41に沿って走行させるスタートブロックとして使用することもできる。
【0059】
尚、スタートブロックとする補助ブロック60は、環体部上面61の中央に短筒部73による開口穴71を有し、環体部上面61の周囲から垂下する環体部側面63を有するのみで補助係合突起65を有しない単純な形状の正方形環状形状とすることもある。
【0060】
この様に、この球体走行路玩具は、柱体ブロック10を積み重ねて支柱を形成し、この柱体ブロック10は上面から下面に貫通する球体通路を備えているため、球体を支柱とした柱体ブロック10の内部を通過させることができる。
【0061】
そして、スロープレール40は、上面にスロープレール40の長尺方向に沿った溝部41を有し、受け側係合部56を近傍に備える厚みのある後端を柱体ブロック10の内部に挿入して柱体ブロック10の内部を落下してきた球体をスロープレール40により他の支柱とする柱体ブロック10に移動させ他の支柱とした柱体ブロック10の内部を落下させて他のスロープレール40により他の柱体ブロック10に送ることができる。
【0062】
更に、柱体ブロック10を積み重ねた支柱へスロープレール40により球体を走行させ、球体が入った柱体ブロック10の下方に位置する柱体ブロック10からスロープレール40に球体を送り出す際、支柱に球体を挿入するスロープレール40と支柱から送り出した球体を走行させるスロープレール40の方向を変化させることにより、球体走行路に平面的な広がりを持たせた立体構造として、楽しく遊ぶことができる。
【0063】
また、支柱は同一形状の柱体ブロック10を積み重ねるのみであり、スロープレール40の両端を夫々柱体ブロック10に挿入するものであるから球体走行路の変更組立は極めて容易に行うことができる。
【0064】
そして、図面に示した上記実施の形態は、柱体ブロック10の外形を直方体形状の柱状形状としているも、水平断面の形状を三角形、五角形、六角形や八角形などの角柱形状の柱体ブロック10とする場合や、水平断面の形状を円形として円柱形状の柱体ブロック10とする場合など、柱体ブロック10は種々の柱状体形状とすることもできる。
【0065】
尚、柱体ブロック10を円柱形状でなく角柱形状とする場合は、複数の柱体ブロック10を積み重ねたとき、各柱体ブロック10の前面開口部19の向きを正しく一致させることが容易となる。
【0066】
そして、図面に示した柱体ブロック10は、前面開口部19の下方に連結部23を設けて前面開口部19を柱体ブロック10の上端に至る開口としているも、前面開口部19の上方にも連結部23を設け、上方の連結部23の上面を上端面17と同一高さとし、上方の連結部23の上面には係合突起29ではなく結合突起27を設けることとし、上端面17に設ける結合突起27を円形に連続した環状形状とすることもある。
【0067】
この様に、前面開口部19の上方にも連結部23を形成し、この上方の連結部23の上面には係合突起29ではなく結合突起27を設ける場合、結合突起27として欠損部を有しない円形の環状形状とすることができ、上下の柱体ブロック10の結合をより確実とすることができる。
【0068】
尤も、前面開口部19の下方にのみ連結部23を有する柱体ブロック10は、柱体ブロック10の高さを低くして柱体ブロック10を積み重ねた支柱の高さを高くすることなく多段とすることができ、スロープレール40を容易に多段として変化のある球体走行路を容易に組み立てることができる。
【0069】
また、スロープレール40は、図面に示した様に、溝部41をスロープレール40の長尺方向に沿って直線的に形成する場合に限ることなく、スロープレール40の前端及び後端は柱体ブロック10の前面開口部19に挿入可能な幅とするも、スロープレール40の中間部分は、その幅を前面開口部19の幅よりも広くし、長尺方向に形成する溝部41を蛇行させるようにスロープレール40の上面に形成することもある。
【0070】
更に、図7及び図8に示す様に、スロープレール40の溝部41の両側にスロープレール40の長尺方向に沿って装飾部58を形成して立体的に組み上げる球体走行路を美麗に見せることもあり、また、装飾部58に装飾体取付け部59を形成し、スロープレール40の溝部41を球体が通過するとき、球体と接触して回転する風車等の装飾体を更に付加し、より一層楽しく遊ぶことができる球体走行路玩具とすることもある。
【0071】
尚、図7及び図8に示したスロープレール40では、右側壁42及び左側壁43の側壁下端縁49から下方に突出させる前方係合補助突起51及び後方係合補助突起52を省略し、スロープレール40の後端を柱体ブロック10の誘導面35に当接させるように前面開口部19から挿入して連結部23の上に後端近傍を載置し、且つ、スロープレール40の前端も連結部23の上に載置するようにして、連結部23の上面に形成している係合突起29とスロープレール40の下面に形成した受け側係合部56や解放側係合部54とを係合させるようにしているものである。
【0072】
また、この走行路玩具の走行路を走行させる球体は、ボール形状の真球形状の球体に限るものでなく、両端が半球形状とされた俵形であって、内部に鉄球等を内蔵する長円形の球体とすることもある。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る球体走行路玩具は、複数の柱体ブロック10と複数のスロープレール40により容易に立方体な球体の走行路を容易に組み立てることのできる球体走行路玩具であるから、容易に立方体な走行路を自由に組み上げることができ、この走行路に球体を落下走行させて楽しく遊ぶことができる球体走行路玩具である。
【符号の説明】
【0074】
10 柱体ブロック
11 右側面壁 12 左側面壁
13 背面壁 15 側端面
17 上端面 19 前面開口部
21 開口側壁 23 連結部
24 連結部前面 27 結合突起
29 係合突起 31 貫通孔
33 貫通孔壁 35 誘導面
37 摺動リブ
40 スロープレール
41 溝部 42 右側壁
43 左側壁 45 前端壁
47 後端壁 49 側壁下端縁
51 前方係合補助突起 52 後方係合補助突起
53 前方区画壁 54 解放側係合部
55 後方区画壁 56 受け側係合部
58 装飾部 59 装飾体取付け部
60 補助ブロック
61 環体部上面 63 環体部側面
65 補助係合突起 71 開口穴
73 短筒部 75 支柱部
76 装飾体等取付け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8