(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136671
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電極合材及び二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20230922BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230922BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230922BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20230922BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/36 C
H01M4/62 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042470
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】多賀 一矢
(72)【発明者】
【氏名】坂井 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】金子 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 博昭
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA12
5H050BA17
5H050DA10
5H050EA08
5H050FA05
5H050FA16
5H050FA17
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】より優れた電池性能を確保する。
【解決手段】電極合材50は、電極活物質60及び導電性繊維状炭素材51としてのカーボンナノチューブCNTを含有する。そして、この電極合材50は、その電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70を含んで構成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質及び導電性繊維状炭素材を含有するとともに、前記電極活物質の表面に配置された無機ナノ粒子を含む電極合材。
【請求項2】
前記無機ナノ粒子の平均径が、25nm以上、150nm以下である
請求項1に記載の電極合材。
【請求項3】
前記電極合材中に含まれる前記無機ナノ粒子の含有量を重量パーセントで表す場合に、
前記無機ナノ粒子の含有量を「y」とし、
前記無機ナノ粒子の平均径を「x」として、次式、
y≦0.0106x-0.0033
に表される請求項2に記載の電極合材。
【請求項4】
前記電極合材中に含まれる前記導電性繊維状炭素材の含有量が、0.5wt%以上、2.0wt%以下であり、
前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の量比が、0.1以上、0.7以下である
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の電極合材。
【請求項5】
前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の径比が、1.1以上、3.5以下である
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の電極合材。
【請求項6】
前記導電性繊維状炭素材がカーボンナノチューブである
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の電極合材。
【請求項7】
前記無機ナノ粒子としてアルミナ及びタングステン酸リチウムの少なくとも何れかを含む請求項1~請求項6の何れか一項に記載の電極合材。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか一項に記載の電極合材を用いて形成された二次電池。
【請求項9】
電極活物質及び導電性繊維状炭素材を含有する電極合材を用いて形成される二次電池であって、
前記電極合材は、前記電極活物質の表面に配置された無機ナノ粒子を含むとともに、
前記無機ナノ粒子の平均径が、25nm以上、150nm以下であり、
前記電極合材中に含まれる前記無機ナノ粒子の含有量を重量パーセントで表す場合に、
前記無機ナノ粒子の含有量を「y」とし、
前記無機ナノ粒子の平均径を「x」として、次式、
y≦0.0106x-0.0033
に表されるとともに、
前記電極合材中に含まれる前記導電性繊維状炭素材の含有量が、0.5wt%以上、2.0wt%以下であり、
前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の量比が、0.1以上、0.7以下であり、
前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の径比が、1.1以上、3.5以下である
二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極合材及び二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1や特許文献2に示すように、電極活物質層の形成に用いられる電極合材中に、カーボンナノチューブ等の導電性繊維状炭素材を含有するものがある。このような構成を採用することで、その導電性繊維状炭素材が導電経路を形成する。そして、これにより、優れた電池性能を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-220357号公報
【特許文献2】特開2016-31922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、電動車両等、高水準の電池性能が求められる用途においては、常に、その更なる性能向上が模索されている。このため、上記従来技術の構成についてもまた、必ずしも、その進化する要求水準を満たしているとは言い切れないのが実情である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電極合材は、電極活物質及び導電性繊維状炭素材を含有するとともに、前記電極活物質の表面に配置された無機ナノ粒子を含む。
上記構成によれば、電極合材中の導電性繊維状炭素材に対して電極活物質の表面に配置された複数の無機ナノ粒子が付着することより、その導電性繊維状炭素材が引き伸ばされた状態となる。即ち、電極合材中の導電性繊維状炭素材が、塊状に凝集することなく、伸びた状態で分散される。その結果、電極合材中の導電性繊維状炭素材が、有効に、その近傍に位置する電極活物質の導電経路を形成することができる。そして、これにより、優れた電池性能を確保することができる。
【0006】
上記課題を解決する電極合材は、前記無機ナノ粒子の平均径が、25nm以上、150nm以下であることが好ましい。
上記構成によれば、電極合材中に含まれる導電性繊維状炭素材に対し、電極活物質の表面に配置された無機ナノ粒子が付着しやすい状態となる。そして、これにより、電極合材中の導電性繊維状炭素材が、有効に、その近傍に位置する電極活物質の導電経路を形成する状態を作り出すことができる。
【0007】
上記課題を解決する電極合材は、前記電極合材中に含まれる前記無機ナノ粒子の含有量を重量パーセントで表す場合に、前記無機ナノ粒子の含有量を「y」とし、前記無機ナノ粒子の平均径を「x」として、次式、y≦0.0106x-0.0033に表されることが好ましい。
【0008】
即ち、上記の計算式を用いて演算される含有量に設定することで、電極活物質の表面を覆う無機ナノ粒子が、その電池反応を抑制する状態を回避することができる。また、併せて、その電極活物質の表面に配置された無機ナノ粒子が、有効に、その近傍に位置する電極活物質の導電経路を形成する状態を作り出すことができる。そして、これにより、効果的に、その電池性能を向上させることができる。
【0009】
上記課題を解決する電極合材は、前記電極合材中に含まれる前記導電性繊維状炭素材の含有量が、0.5wt%以上、2.0wt%以下であり、前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の量比が、0.1以上、0.7以下であることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、導電性繊維状炭素材の含有量に対する無機ナノ粒子の含有量の比率を好適に設定することができる。そして、これにより、電極合材中において、効率的に、その導電性繊維状炭素材と無機ナノ粒子とが付着する状況を作り出すとともに、過剰な無機ナノ粒子が電池反応を抑制する状態を回避することができる。その結果、より効果的に、電池性能を向上させることができる。
【0011】
上記課題を解決する電極合材は、前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の径比が、1.1以上、3.5以下であることが好ましい。
上記構成によれば、導電性繊維状炭素材の直径に対する無機ナノ粒子の粒径の比率を好適に設定することができる。そして、これにより、電極合材中において、効率的に、その導電性繊維状炭素材と無機ナノ粒子とが付着する状況を作り出すことができる。その結果、より効果的に、電池性能を向上させることができる。
【0012】
上記課題を解決する電極合材は、前記導電性繊維状炭素材がカーボンナノチューブであることが好ましい。
上記構成によれば、電極合材中のカーボンナノチューブが電極活物質の表面に配置された複数の無機ナノ粒子に付着することより、このカーボンナノチューブが塊状に凝集することなく、伸びた状態で電極合材中に分散される。その結果、このカーボンナノチューブが、有効に、その近傍に位置する電極活物質の導電経路を形成することができる。そして、これにより、その電池性能を向上させることができる。
【0013】
上記課題を解決する電極合材は、前記無機ナノ粒子としてアルミナ及びタングステン酸リチウムの少なくとも何れかを含むことが好ましい。
上記構成によれば、効果的に、電極合材中の導電性繊維状炭素材に対して、その電極活物質の表面に配置された無機ナノ粒子が付着する状態を作り出すことができる。そして、これにより、その電池性能を向上させることができる。
【0014】
上記課題を解決する二次電池は、上記何れかに記載の電極合材を用いて形成される。
上記構成によれば、二次電池の性能を向上させることができる。
上記課題を解決する二次電池は、電極活物質及び導電性繊維状炭素材を含有する電極合材を用いて形成される二次電池であって、前記電極合材は、前記電極活物質の表面に配置された無機ナノ粒子を含むとともに、前記無機ナノ粒子の平均径が、25nm以上、150nm以下であり、前記電極合材中に含まれる前記無機ナノ粒子の含有量を重量パーセントで表す場合に、前記無機ナノ粒子の含有量を「y」とし、前記無機ナノ粒子の平均径を「x」として、次式、y≦0.0106x-0.0033に表されるとともに、前記電極合材中に含まれる前記導電性繊維状炭素材の含有量が、0.5wt%以上、2.0wt%以下であり、前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の量比が、0.1以上、0.7以下であり、前記無機ナノ粒子/前記導電性繊維状炭素材の径比が、1.1以上、3.5以下である。
【0015】
上記構成によれば、効果的に、二次電池の性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より優れた電池性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】電極合材中に含まれる電極活物質及び導電性繊維状炭素材を映した電子顕微鏡写真のイメージ図である。
【
図5】電極活物質、及び、その近傍に位置する導電性繊維状炭素材を映した電子顕微鏡写真のイメージ図である。
【
図6】表面に無機ナノ粒子が配置された電極活物質を映した電子顕微鏡写真のイメージ図である。
【
図7】電極合材中に含まれる電極活物質、導電性繊維状炭素材、及び無機ナノ粒子の模式図である。
【
図8】表面に無機ナノ粒子を有しない電極活物質を映した電子顕微鏡写真のイメージ図である。
【
図9】無機ナノ粒子を含有しない電極合材中の電極活物質及び導電性繊維状炭素材を示す模式図である。
【
図10】表面に無機ナノ粒子を有しない電極活物質、及び、その近傍に位置する導電性繊維状炭素材を映した電子顕微鏡写真のイメージ図である。
【
図11】無機ナノ粒子を含有しない電極合材中の電極活物質及び導電性繊維状炭素材を映した電子顕微鏡写真のイメージ図である。
【
図12】無機ナノ粒子/カーボンナノチューブの量比に関する試験結果を示す表である。
【
図13】無機ナノ粒子/カーボンナノチューブの量比に関する試験結果を示すグラフである。
【
図14】無機ナノ粒子/カーボンナノチューブの径比に関する試験結果を示す表である。
【
図15】無機ナノ粒子/カーボンナノチューブの径比に関する試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、二次電池に用いられる電極合材に関する一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、二次電池1は、正極3、負極4、及びセパレータ5を一体化した電極体10と、この電極体10を収容するケース20と、を備えている。そして、本実施形態の二次電池1は、そのケース20内の電極体10に、図示しない非水性の電解液を含浸させたリチウムイオン二次電池としての構成を有している。
【0019】
詳述すると、本実施形態の二次電池1において、正極3、負極4、及びセパレータ5は、シート状の外形を有して積層される。そして、これら正極3、負極4、及びセパレータ5の積層体を捲回することにより、正極3と負極4との間にセパレータ5を挟み込む状態で、その径方向に正負の電極とセパレータ5とが交互に並ぶ電極体10が形成されている。
【0020】
また、本実施形態のケース20は、扁平略四角箱状のケース本体21と、このケース本体21の開口端21xを閉塞する蓋部材22と、を備えている。そして、本実施形態の電極体10は、このケース20の箱形状に対応する扁平した外形を有するものとなっている。
【0021】
さらに詳述すると、
図2に示すように、本実施形態の二次電池1において、正極3及び負極4は、それぞれ、シート状の外形を有した集電体31と、この集電体31上に積層された電極活物質層32とを備えた電極シート35としての構成を有する。
【0022】
具体的には、正極3用の電極シート35Pについては、その正極集電体31Pを構成するアルミニウム等を素材とした基材36P上に、正極活物質となるリチウム遷移金属酸化物を含んだ合材ペースト37Pが塗工される。また、負極4用の電極シート35Nについては、その負極集電体31Nを構成する銅等を素材とした基材36N上に、負極活物質となる炭素系材料を含んだ合材ペースト37Nが塗工される。更に、これらの合材ペースト37P,37Nには、それぞれ、結着材が含まれている。そして、本実施形態の二次電池1においては、これらの合材ペースト37P,37Nが乾燥することで、正負の電極シート35P,35Nに対して、それぞれ、その対応する正極活物質層32P及び負極活物質層32Nが形成される構成となっている。
【0023】
更に、本実施形態の二次電池1において、これら正負の電極シート35P,35Nは、それぞれ、帯状に整形される。そして、本実施形態の電極体10は、セパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35P,35Nが、その帯形状の幅方向(
図2中、左右方向)に延びる捲回軸L周りに捲回される構成になっている。
【0024】
尚、
図2中においては、その正極3を構成する電極シート35Pを内側に捲き込むかたちで、セパレータ5及び各電極シート35が捲回されている。但し、この図は、電極体10の構造を示す一例であり、その負極4を構成する電極シート35Nを内側に捲き込むかたちで、これらのセパレータ5及び各電極シート35が捲回される場合もある。そして、これにより、その電極体10の最外殻に配置される電極シート35が、正極3を構成する電極シート35Pであるか、又は負極4を構成する電極シート35Nであるかが決定される。
【0025】
また、
図1~
図3に示すように、ケース20の蓋部材22には、ケース20の外側に突出する正極端子38P及び負極端子38Nが設けられている。更に、各電極シート35には、それぞれ、その集電体31上に電極活物質層32が形成されていない未塗工部39が形成されている。そして、本実施形態の二次電池1は、その未塗工部39を利用して、正極3を構成する電極シート35Pと正極端子38Pとが電気的に接続され、及び負極4を構成する電極シート35Nと負極端子38Nとが電気的に接続される構成となっている。
【0026】
具体的には、本実施形態の電極体10は、その捲回軸Lが長尺略矩形板状をなす蓋部材22の長手方向(
図1中、左右方向)に沿う状態で、ケース20内に収容される。更に、この状態で、その正極3を構成する電極シート35Pの未塗工部39Pと正極端子38Pとが接続部材40Pを介して接続される。そして、同じく、その負極4を構成する電極シート35Nの未塗工部39Nと負極端子38Nとが接続部材40Nを介して接続される構成となっている。
【0027】
更に、このケース20内には、電解液41が注入される。本実施形態の二次電池1においては、有機溶媒中に支持塩となるリチウム塩を溶解させたフッ素系の電解液41が用いられる。そして、本実施形態の二次電池1は、これにより、そのケース20内に封缶された電極体10に対して電解液41が含浸される構成になっている。
【0028】
(電極合材)
次に、本実施形態の二次電池1の形成に用いられる電極合材について説明する。
図4及び
図5に示すように、本実施形態の二次電池1において、電極体10の形成、詳しくは、その正極3となる正極活物質層32Pの形成に用いられる電極合材50には、導電性繊維状炭素材51としてのカーボンナノチューブCNTが含まれている。即ち、この電極合材50は、上記のように、合材ペースト37Pの状態で、その正極集電体31Pに塗工される(
図2参照)。また、本実施形態の電極合材50において、カーボンナノチューブCNTは、その電極合材50中に分散した状態で、この電極合材50に含まれている。そして、本実施形態の電極合材50は、これにより、このカーボンナノチューブCNTが、その近傍に位置する電極活物質60、つまりは正極3用の電極活物質60である正極活物質61の導電経路を形成する構成となっている。
【0029】
尚、本実施形態の電極合材50において、正極活物質61には、リチウム遷移金属酸化物の凝集体としての最小分割単位(アグリゲート)を一次粒子とし、この一次粒子を凝集させた二次粒子、即ち粒子凝集体(アグロメレート)が用いられている。そして、カーボンナノチューブCNTは、その二次粒子の表面に付着する態様で、この電極合材50中に分散されている。
【0030】
また、
図6及び
図7に示すように、本実施形態の電極合材50には、その電極活物質60の表面60sに付着した状態で配置される無機ナノ粒子70が含まれている。尚、
図6中においては、同図中に示す「破線の囲み」が、その電極活物質60の表面60sに付着した無機ナノ粒子70である。そして、本実施形態の電極合材50は、これにより、繊維状をなすカーボンナノチューブCNTの凝集を抑制して、その分散性を高める構成となっている。
【0031】
即ち、
図8~
図11に示すように、このような無機ナノ粒子70を含まない電極合材50Bにおいては、カーボンナノチューブCNTを配合した場合であっても、その電極合材50B中のカーボンナノチューブCNTが凝集して塊状になりやすい。その結果、この電極合材50B中のカーボンナノチューブCNTが、局所的に配置されることで、有効に、その電極活物質60の導電経路を形成することができない可能性がある。
【0032】
しかしながら、
図7に示すように、本実施形態の電極合材50においては、この電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTに対し、電極活物質60の表面60sに配置された複数の無機ナノ粒子70が付着する。即ち、無機ナノ粒子70には、その分子間力によって、近傍に位置するカーボンナノチューブCNTと付着しやすいという特徴がある。更に、本実施形態の電極合材50においては、電極活物質60の表面60sに無機ナノ粒子70を配置することで、一つのカーボンナノチューブCNTに対し、このような無機ナノ粒子70との付着箇所が、複数形成される状態を作り出すことができる。そして、本実施形態の電極合材50は、これにより、その電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTが、塊状に凝集することなく、伸びた状態で分散されることで、有効に、その電極活物質60の導電経路を形成することのできる構成となっている。
【0033】
詳述すると、本実施形態の電極合材50において、無機ナノ粒子70には、例えば、アルミナやタングステン酸リチウム等を用いることができる。また、無機ナノ粒子70の粒径としては、例えば、25nm以上、150nm以下の平均径を有するものを用いることができる。そして、電極合材50中に含まれる無機ナノ粒子70の含有量は、例えば、重量パーセント(wt%)で表した場合に、その無機ナノ粒子70の含有量を「y」とし、無機ナノ粒子70の平均径を「x」として、次式に表す量に設定することが好ましい。
【0034】
y≦0.0106x-0.0033 ・・・(1)
即ち、一つのカーボンナノチューブCNTとの間に複数の「付着箇所」を形成して、そのカーボンナノチューブCNTを引き伸ばす観点では、電極合材50中に多くの無機ナノ粒子70が存在し、これらの無機ナノ粒子70が互いに近接している方が有利である。しかしながら、電極活物質60の表面60sが、これらの無機ナノ粒子70に覆われることで、その電池反応が抑制されるおそれがある。
【0035】
この点を踏まえ、上記(1)式は、電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70について、この無機ナノ粒子70が電池反応を抑制し難い好適な含有量を演算することができるように設計されている。つまり、この(1)式を用いて演算される含有量に設定することで、上記のような無機ナノ粒子70の含有による電池反応の抑制を回避しつつ、この無機ナノ粒子70が、有効に、その電極活物質60の導電経路を形成する状態を作り出すことができる。
【0036】
尚、電極活物質60の表面60sを覆う無機ナノ粒子70による電池反応の抑制については、例えば、電極活物質60の表面60sが、10%以上、無機ナノ粒子70に覆われた場合において、その反応抵抗の増大による電池出力の低下が顕著になる。この点を踏まえ、上記(1)式は、電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70が、その電極活物質60の表面60sを10%以上覆う状態とならないように、電極合材50中に含まれる無機ナノ粒子70の含有量が演算される設計となっている。そして、本実施形態の電極合材50は、これにより、このような電極活物質60の表面60sに配置される無機ナノ粒子70の含有によって、効果的に、その電池性能を向上させることのできる構成となっている。
【0037】
さらに詳述すると、カーボンナノチューブCNTの長さについては、例えば、平均値で、100nm以上、1000nm以下の長さを有するものを用いることが好ましい。
即ち、カーボンナノチューブCNTの長さが短すぎる場合には、十分な導電性が得らない。そして、カーボンナノチューブCNTの長さが長すぎる場合には、その分子間力や水素結合によって、そのカーボンナノチューブCNT同士による凝集が発生する可能性がある。その結果、この場合についてもまた、十分な導電性が得らないおそれがある。
【0038】
また、カーボンナノチューブCNTの直径については、例えば、平均径で、1nm以上、100nm以下の直径を有するものを用いることが好ましい。
即ち、カーボンナノチューブCNTの直径が細すぎる場合、このカーボンナノチューブCNTが、その電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70に付着する確率が低下する。そして、カーボンナノチューブCNTの直径が太すぎる場合もまた、これらが互いに付着する確率が低下する。
【0039】
また、電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTの含有量は、例えば、0.5wt%以上、2.0wt%以下に設定することができる。そして、この場合、その無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの量比が、0.1以上、0.7以下であることが好ましい。
【0040】
即ち、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの量比が小さい、つまりカーボンナノチューブCNTの含有量に対して無機ナノ粒子70の含有量が過小である場合、電極合材50中において、これらが互いに付着する確率が低下する。そして、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの量比が大きすぎる、つまりカーボンナノチューブCNTの含有量に対して無機ナノ粒子70の含有量が過大である場合、上記のように、その過剰な無機ナノ粒子70が電池反応を抑制するおそれがある。
【0041】
また、電極合材50中に含まれる無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの径比については、例えば、1.1以上、3.5以下であることが好ましい。
即ち、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの径比が小さすぎる、つまりカーボンナノチューブCNTの直径に対して無機ナノ粒子70の粒径が過小である場合、電極合材50中において、これらが互いに付着する確率が低下する。そして、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの径比が大きすぎる、つまりカーボンナノチューブCNTの直径に対して無機ナノ粒子70の粒径が過大である場合についてもまた、電極合材50中において、これらが互いに付着する確率が低下する。
【0042】
以上、本実施形態の電極合材50は、この電極合材50の調整に用いられる無機ナノ粒子70及びカーボンナノチューブCNTに関する上記の各技術的特徴を、任意に組み合わせて実施することができる。
【0043】
特に、無機ナノ粒子70の「粒径」と、その平均径に応じた好適な無機ナノ粒子70の含有量を演算する上記(1)式、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」「径比」に関する好適範囲を組み合わせて実施するとよい。これにより、その相乗効果によって、より一層、効果的に、その電池性能を向上させることができる。
【0044】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
即ち、電極合材50中のカーボンナノチューブCNTに対して電極活物質60の表面60sに配置された複数の無機ナノ粒子70が付着することより、そのカーボンナノチューブCNTが引き伸ばされた状態となる。そして、これにより、その電極合材50に含まれるカーボンナノチューブCNTの凝集が抑制される。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)電極合材50は、電極活物質60及び導電性繊維状炭素材51としてのカーボンナノチューブCNTを含有する。そして、この電極合材50は、その電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70を含んで構成される。
【0046】
上記構成によれば、電極合材50中のカーボンナノチューブCNTが、塊状に凝集することなく、伸びた状態で分散される。そして、これにより、そのカーボンナノチューブCNTが有効に電極活物質60の導電経路を形成することで、優れた電池性能を確保することができる。
【0047】
(2)無機ナノ粒子70の平均径が、25nm以上、150nm以下である。
上記構成によれば、電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTに対し、電極活物質60の表面60sに配置された複数の無機ナノ粒子70が付着しやすい状態となる。そして、これにより、電極合材50中のカーボンナノチューブCNTが、有効に、その近傍に位置する電極活物質60の導電経路を形成する状態を作り出すことができる。
【0048】
(3)電極合材50中に含まれる無機ナノ粒子70の含有量は、重量パーセント(wt%)で表した場合に、その無機ナノ粒子70の含有量を「y」とし、無機ナノ粒子70の平均径を「x」として、上記(1)式に表される。
【0049】
即ち、上記(1)式を用いて演算される含有量に設定することで、電極活物質60の表面60sを覆う無機ナノ粒子70が、その電池反応を抑制する状態を回避することができる。また、併せて、その電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70が、有効に、その近傍に位置する電極活物質60の導電経路を形成する状態を作り出すことができる。そして、これにより、より効果的に、その電池性能を向上させることができる。
【0050】
(4)電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTの含有量は、0.5wt%以上、2.0wt%以下であり、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの量比が、0.1以上、0.7以下である。
【0051】
上記構成によれば、カーボンナノチューブCNTの含有量に対する無機ナノ粒子70の含有量の比率を好適に設定することができる。そして、これにより、電極合材50中において、効率的に、そのカーボンナノチューブCNTと無機ナノ粒子70とが付着する状況を作り出すとともに、過剰な無機ナノ粒子70が電池反応を抑制する状態を回避することができる。その結果、より効果的に、電池性能を向上させることができる。
【0052】
(5)無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの径比が、1.1以上、3.5以下である。
上記構成によれば、カーボンナノチューブCNTの直径に対する無機ナノ粒子70の粒径の比率を好適に設定することができる。そして、これにより、電極合材50中において、効率的に、そのカーボンナノチューブCNTと無機ナノ粒子70とが付着する状況を作り出すことができる。その結果、より効果的に、電池性能を向上させることができる。
【0053】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
・上記実施形態では、導電性繊維状炭素材51としてカーボンナノチューブCNTを用いることとした。しかし、これに限らず、例えば、カーボンナノファイバー(CNF)等、導電性を有する繊維状の炭素材であって、電極合材50中において、近傍に位置する電極活物質60の導電経路を形成することのできるものであれば、任意に変更してもよい。
【0055】
・また、無機ナノ粒子70として、アルミナを含む構成、タングステン酸リチウムを含む構成、アルミナ及びタングステン酸リチウムの両方を含む構成の何れであってもよい。そして、これら以外の物質を、その無機ナノ粒子70に用いてもよい。
【0056】
尚、その他、電極活物質60の表面60sに配置する無機ナノ粒子70として用いることのできる物質としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化タングステン等の金属酸化物が挙げられる。そして、フッ化アルミニウム、フッ化リチウム等のフッ化物、或いは、ニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等を用いることもできる。但し、その無機ナノ粒子70は、電極活物質60よりも十分に粒径が小さく、電極合材50中のカーボンナノチューブCNTに対して複数の個体が付着することができる状態になることが好ましい。
【0057】
・ベースになる電極合材50の構成については、任意である。例えば、電極活物質60を形成するリチウム遷移金属酸化物の組成は任意である。また、その一次粒子径及び二次粒子径もまた任意である。更に、電極合材50に配合する結着材の種類や物性、添加剤の有無についてもまた任意である。そして、例えば、電極合材50が、一般的な結着材を用いることなく、導電性繊維状炭素材51のみによって、その電極活物質60を担持する構成に適用してもよい。
【0058】
・無機ナノ粒子70の粒径及び電極合材50中の含有量、並びに、カーボンナノチューブCNTの長さ、直径、及び電極合材50中の含有量については、任意に設定してもよい。そして、これら無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」「径比」についてもまた、任意に設定してもよい。即ち、上記実施形態に記載した数値範囲及び計算式は、その好適な一例を示すものであり、必ずしも、これに限定されない。例えば、上記のようなベースになる電極合材50の構成、例えば、結着材の種類や物性、或いは結着材の有無、更に電極活物質60の仕様に応じて、任意に設定してもよい。
【0059】
・上記実施形態では、正極活物質層32Pの形成に用いられる正極用の電極合材50に具体化した。しかし、これに限らず、粒子状の電極活物質60及び導電性繊維状炭素材51とともに、電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70を含有するものであれば、負極活物質層32Nの形成に用いられる負極用の電極合材50に具体化してもよい。
【0060】
・また、上記実施形態では、リチウムイオン二次電池としての構成を有した二次電池1の形成に用いられる電極合材50に具体化した。しかし、これに限らず、リチウムイオン二次電池以外の二次電池1に適用してもよい。
【0061】
・正極端子38P及び負極端子38Nの端子形状については、
図1中に示す形状に限らず任意に変更してもよい。そして、二次電池1の外形となるケース20の形状についてもまた、必ずしも扁平四角箱状に限らず、例えば円筒形状等、任意に変更してもよい。
【実施例0062】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするための実施例等を記載する。但し、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
<無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの量比>
図12及び
図13は、無機ナノ粒子70の含有による電池性能の向上効果、及び、その無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」に関する試験結果を示す表及びグラフである。尚、無機ナノ粒子70には、アルミナ粒子を用いた。
【0063】
また、各図中の「貫通抵抗比」は、その電極合材50を用いて形成された電極シート35について行われる所謂「極板貫通抵抗試験」について、基準となる比較例の試験結果を「100」とした場合に、各実施例の試験結果を比率で表したものである。即ち、「極板貫通抵抗試験」は、その試験結果の値が小さいほど、電池性能が優れていることを示す。このため、「貫通抵抗比」もまた、その値が小さいほど、電池性能が優れていることを示すものとなっている。
【0064】
図12及び
図13に示すように、「実施例1」~「実施例3」、及び「貫通抵抗比」の基準となる「比較例1」においては、何れも、その電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTの含有量が「0.8wt%」となっている。また、「比較例1」は、その電極合材50中に無機ナノ粒子70を含まない。そして、「実施例1」~「実施例3」における無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」は、それぞれ、「0.15」「0.20」「0.11」となっている。
【0065】
以上の条件下において、「実施例1」~「実施例3」の「貫通抵抗比」は、それぞれ、「29.9」「23.7」「35.2」と、何れも、その基準となる「比較例1」よりも低い値が得られた。この結果は、電極合材50中に、電極活物質60の表面60sに配置された無機ナノ粒子70を含むことで、その電池性能が向上することを示唆する。
【0066】
また、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」が低い「実施例3」「実施例1」「実施例2」の順に、その「貫通抵抗比」の値が高くなっている。つまりは、その無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」が低くなるに従って、無機ナノ粒子70を含まない「比較例1」からの改善幅が小さくなっている。そして、この傾向から、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」については、その下限値を、例えば、「0.1」以上とすることが好ましいと考えられる。
【0067】
尚、
図13中のプロットから、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」が「0.1」よりも低い領域においては、この「量比」が低くなるに従って、その「貫通抵抗比」の値が、線形的に増加するものと推察される。従って、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」については、その下限値を、例えば、「0.07以上」、或いは「0.05以上」程度まで拡張して設定することも可能であると考えられる。
【0068】
また、この無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」についての上限値については、上記実施形態に示した(1)式を用いて導き出すことができる。例えば、無機ナノ粒子70の平均径が「x=50nm」であるとすると、上記(1)式から、電極合材50中に含まれる好ましい無機ナノ粒子70の含有量として「0.53wt%以下」が導出される。更に、上記の各実施例及び比較例と同じく、電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTの含有量が「0.8wt%」であるとした場合、その無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」は、約「0.66」となる。そして、これにより、上記実施形態に示した「量比」についての上限値、「0.7以下」が妥当であることを確認することができる。
【0069】
<無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの径比>
図14及び
図15は、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「径比」に関する試験結果を示す表及びグラフである。
【0070】
尚、無機ナノ粒子70には、アルミナ粒子を用いた。また、「実施例4」~「実施例6」、及び「比較例2」「比較例3」において、その電極合材50中に含まれるカーボンナノチューブCNTの含有量は「0.8wt%」である。また、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「量比」は、「0.15」となるように調整した。そして、各図中、「貫通抵抗比」の値は、「比較例2」の試験結果を「100」とした場合の比率を表すものとなっている。
【0071】
図14及び
図15に示すように、「実施例4」~「実施例6」、及び「比較例2」「比較例3」において、カーボンナノチューブCNTの直径(nm)は、
図14中、左から順に、それぞれ「31.3」「43.8」「43.8」「56.3」「43.8」である。また、これらの各実施例及び比較例において、そのカーボンナノチューブCNTの長さ(nm)は、同図中、左から順に、それぞれ、「729」「805」「957」「601」「957」である。更に、これらの各実施例及び比較例において、無機ナノ粒子70の粒径は、「実施例4」「実施例5」「比較例2」が「50nm」、「実施例5」は「150nm」、「比較例3」が「200nm」である。そして、これにより、これらの各実施例及び比較例において、その無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「径比」は、同図中、左から順に、それぞれ、「1.60」「1.14」「3.43」「0.889」「4.57」となっている。
【0072】
以上の条件下において、「実施例4」~「実施例6」の「貫通抵抗比」は、それぞれ、「1.9」「8.7」「17.3」と、何れも基準となる「比較例2」よりも低い値が得られた。しかしながら、「比較例3」では、その「貫通抵抗比」が、「61.7」に留まる結果となった。この傾向から、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「径比」については、その下限値を、例えば、「1.1以上」とすることが好ましいと考えられる。また、その上限値について、例えば、「3.5以下」とすることが好ましいと考えられる。そして、この試験結果からも、上記実施形態に示した「径比」に関する好ましい設定範囲、「1.1以上、3.5以下」が妥当であることを確認することができる。
【0073】
尚、
図15中のプロットから、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「径比」が概ね「3.0」よりも高い領域においては、この「径比」が高くなるに従って、その「貫通抵抗比」の値が、線形的に増加するものと推察される。従って、無機ナノ粒子70/カーボンナノチューブCNTの「径比」については、その上限値を、例えば、「3.4以下」、或いは「3.0以下」に設定することが、より好ましいと考えられる。そして、この「径比」の下限値は、例えば、「4.0以下」程度まで拡張して設定することも可能であると考えられる。