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  • 特開-フライヤー 図1
  • 特開-フライヤー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136672
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A47J37/12 391
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042471
(22)【出願日】2022-03-17
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000242415
【氏名又は名称】北沢産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 光行
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB17
4B059AE04
4B059AE13
4B059AE15
4B059BE18
4B059BF10
4B059BG05
4B059BG10
4B059DA02
4B059DA06
(57)【要約】
【課題】ラードやショートニングなど常温で固体となる油脂を揚げ油として使用できるようにする。
【解決手段】調理槽12は、二層に分離した水及び油を収容する。油加熱機構13は、調理槽12に収容された油を加熱する。水加熱機構15は、調理槽12に収容された水を加熱する。ヒーター51は、調理槽12の前面21に配置された給水ノズル41よりも上方で、かつ、調理槽12の背面22に配置された給水ノズル42よりも下方に配置され、水を加熱する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二層に分離した水及び油を収容する調理槽と、
前記調理槽に収容された油を加熱する油加熱機構と、
前記調理槽に収容された水を加熱する水加熱機構と
を備える、フライヤー。
【請求項2】
前記調理槽の一方の側面に配置され、前記調理槽のなかに水を供給して前記調理槽に収容された水の層の底部に前記一方の側面から離れる方向へ向かう水流を形成する第一の給水ノズルと、
前記調理槽の前記一方の側面に対向する側面に配置され、前記調理槽のなかに水を供給して前記調理槽に収容された水の層の上部に前記一方の側面へ近づく方向へ向かう水流を形成する第二の給水ノズルと、
前記調理槽の前記一方の側面に形成され、前記第一及び第二の給水ノズルによって形成された水流により集められた前記調理槽のなかを浮遊している浮遊物を回収する回収口と
を更に備え、
前記水加熱機構は、
前記第一の給水ノズルよりも上方で、かつ、前記第二の給水ノズルよりも下方に配置され、前記水を加熱するヒーターを有する、
請求項1のフライヤー。
【請求項3】
前記水加熱機構は、
前記ヒーターよりも上方に配置され、前記調理槽のなかの水の温度を検出する温度センサーを有する、
請求項2のフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ調理に使用するフライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、調理槽に水と油を貯留する二層式フライヤーを開示している。
前記二層式フライヤーは、調理槽のなかに水の層を設け、その上に揚げ油の層を設けている。これにより、酸化物や揚げカスなどの浮遊物が水の層に落ち、これを回収して調理槽の外に排出することにより、揚げ油を新鮮に保つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-226428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記二層式フライヤーは、ラードやショートニングなど常温で固体となる油脂を揚げ油として使用することができない。
この発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
フライヤーは、二層に分離した水及び油を収容する調理槽と、前記調理槽に収容された油を加熱する油加熱機構と、前記調理槽に収容された水を加熱する水加熱機構とを備える。
フライヤーは、前記調理槽の一方の側面に配置され、前記調理槽のなかに水を供給して前記調理槽に収容された水の層の底部に前記一方の側面から離れる方向へ向かう水流を形成する第一の給水ノズルと、前記調理槽の前記一方の側面に対向する側面に配置され、前記調理槽のなかに水を供給して前記調理槽に収容された水の層の上部に前記一方の側面へ近づく方向へ向かう水流を形成する第二の給水ノズルと、前記調理槽の前記一方の側面に形成され、前記第一及び第二の給水ノズルによって形成された水流により集められた前記調理槽のなかを浮遊している浮遊物を回収する回収口とを更に備え、前記水加熱機構は、前記第一の給水ノズルよりも上方で、かつ、前記第二の給水ノズルよりも下方に配置され、前記水を加熱するヒーターを有してもよい。
前記水加熱機構は、前記ヒーターよりも上方に配置され、前記調理槽のなかの水の温度を検出する温度センサーを有してもよい。
【発明の効果】
【0006】
水加熱機構が調理槽に収容された水を加熱するので、常温で固体となる油脂が凝固するのを防ぐことができる。これにより、そのような油脂を揚げ油として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】フライヤーの一例を示す平面図。
図2】フライヤーの一例を示す側面視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び2を参照して、フライヤー10について説明する。
フライヤー10は、揚げ調理に使用するものであり、揚げ油を収容する調理槽12のなかに、揚げ油に加えて水を収容する。水と油の比重の違いにより、調理槽12の下側には水の層が形成され、上側には油の層が形成される。油の層のなかで揚げ調理をしたときに発生する酸化物や揚げカスなどが水の層のなかに落下して排出されることにより、油の劣化を防ぐ。
なお、先行技術文献1に記載されたフライヤーと共通する部分については、説明を省略する場合がある。
フライヤー10は、例えば、調理槽12と、油加熱機構13と、浮遊物排出機構14と、水加熱機構15とを有する。
【0009】
調理槽12は、上述したとおり、二層に分離した水と油とを収容する。調理槽12は、例えば、前面21と、背面22と、底面23とを有する。
前面21は、調理槽12の手前側(-Y側)の側面である。
背面22は、調理槽12の奥側(+Y側)の側面であり、前面21に対向している。
底面23は、少なくとも奥側(+Y側)の部分が手前側(-Y側)へ向けて傾斜している。すなわち、調理槽12は、手前側(-Y側)で深く、奥側(+Y側)で浅くなっている。
調理槽12に収容された水と油との境界面は、基準面24に一致するように制御される。これにより、基準面24よりも上(+Z側)に油の層が形成され、基準面24よりも下(-Z側)に水の層が形成される。
【0010】
油加熱機構13は、調理槽12に収容された油を加熱して、あらかじめ設定された目標温度に保つ。目標温度は、揚げ調理に適した温度であり、例えば、0℃~200℃の範囲内で使用者が設定する。
油加熱機構13は、例えば、ヒーター31と、温度センサー32(不図示)とを有する。
ヒーター31は、調理槽12のなかに設けられている。ヒーター31は、基準面24よりも上(+Z側)に配置され、これにより、調理槽12のなかに収容された油を加熱する。
温度センサー32は、調理槽12のなかに設けられている。温度センサー32は、基準面24よりも上(+Z側)に配置され、これにより、調理槽12のなかに収容された油の温度を感知する。
油加熱機構13は、温度センサー32が感知した油の温度に基づいて、ヒーター31の動作を制御する。例えば、油の温度が目標温度よりも低い場合は、ヒーター31を作動させる。そして、油の温度が目標温度に達した場合は、ヒーター31を停止させる。
【0011】
浮遊物排出機構14は、調理槽12のなかに収容された水や油のなかに浮遊している浮遊物を外に排出する。浮遊物は、揚げ調理により発生したものであり、例えば、酸化物や揚げカスなどである。浮遊物排出機構14は、例えば、給水ノズル41,42と、回収口43と、ドラフト槽44と、ドラフト管45とを有する。
給水ノズル41は、調理槽12の前面21に配置され、調理槽12のなかに水を供給する。給水ノズル41は、底面23に近い位置に設けられ、+Y方向(前面21から遠ざかる方向)へ向けて水を噴射することにより、調理槽12のなかに収容された水の層の底部に、+Y方向(前面21から遠ざかる方向)へ向かう水流を形成する。
給水ノズル42は、調理槽12の背面22に配置され、調理槽12のなかに水を供給する。給水ノズル42は、基準面24よりもやや下(-Z方向)に配置され、-Y方向(背面22から遠ざかる方向)へ向けて水を噴射し、これにより、調理槽12のなかに収容された水の層の上部に、-Y方向(前面21へ近づく方向)へ向かう水流を形成する。
回収口43は、調理槽12の前面21に設けられ、浮遊物を回収する。回収口43は、給水ノズル41よりも上(+Z方向)で、基準面24を跨ぐ位置に設けられている。
ドラフト槽44は、調理槽12の基準面24を跨ぐ位置に設けられ、回収口43を介して調理槽12と連通している。これにより、ドラフト槽44のなかには、調理槽12に収容された水及び油の層がそのまま入り込んでいる。
給水ノズル41,42により形成された水流により、調理槽12のなかに浮遊している浮遊物は、回収口43を介してドラフト槽44のなかに集められる。
ドラフト管45は、ドラフト槽44に集められた浮遊物を、ドラフト槽44のなかの水とともに外に排出する。
浮遊物排出機構14は、また、給水ノズル41,42が供給する水の量と、ドラフト管45から排出される水の量とを制御することにより、調理槽12のなかの水の層と油の層との境界面を基準面24に一致させる。例えば、境界面が基準面24よりも高い場合は、給水ノズル41,42が供給する水の量を減らしたり、ドラフト管45から排出される水の量を増やしたりすることにより、境界面を低下させる。逆に、境界面が基準面24よりも低い場合は、給水ノズル41,42が供給する水の量を増やしたり、ドラフト管45から排出される水の量を減らしたりすることにより、境界面を上昇させる。
【0012】
水加熱機構15は、調理槽12のなかに収容された水を加熱して、あらかじめ設定された目標温度に保つ。目標温度は、例えば、0℃~80℃の範囲内で使用者が設定する。
水加熱機構15は、例えば、ヒーター51と、温度センサー52とを有する。
ヒーター51は、調理槽12のなかに設けられている。ヒーター51は、基準面24よりも下方に設置され、これにより、調理槽12のなかに収容された水を加熱する。
温度センサー52は、調理槽12のなかに設けられている。温度センサー52は、例えば熱電対である。温度センサー52は、基準面24よりも下(-Z側)に設置され、これにより、調理槽12のなかに収容された水の温度を感知する。
水加熱機構15は、温度センサー52が感知した水の温度に基づいて、ヒーター51の動作を制御する。例えば、水の温度が目標温度よりも低い場合は、ヒーター51を作動させる。そして、水の温度が目標温度に達した場合は、ヒーター51を停止させる。
また、ヒーター51を停止しても水の温度が下がらず、あらかじめ設定された危険温度に達した場合は、ヒーター51だけでなく、ヒーター31(又は、フライヤー10全体)の動作を停止させてもよい。
【0013】
上述したとおり、調理槽12のなかに収容された水は、浮遊物を回収して排出するため、常に新しいものと交換される。このため、水加熱機構15で水を加熱しなければ、水の温度が低くなる。調理槽12に収容される油として、ラードやショートニングなど常温で固体となる油脂を使用した場合、水の温度が低くなると、油が凝固し、水の層と油の層との間に凝固した油の層が形成され、浮遊物が水の層のなかに落下するのを邪魔するので、油の劣化を防ぐことができない。また、凝固した油が浮遊物として回収されてしまう。
そこで、そのような油脂を使用する場合は、油が凝固する温度よりも高い温度(例えば30℃)に水の温度を保つ。これにより、油が凝固しないので、浮遊物を回収して排出することができるとともに、凝固した油が浮遊物として回収されるのを防ぐことができる。
【0014】
更に詳しく説明すると、ヒーター51は、給水ノズル41よりも上方で、かつ、給水ノズル42よりも下方に設置されている。これにより、ヒーター51は、給水ノズル41によって形成される水流と、給水ノズル42によって形成される水流との間に存在する水を温める。
ヒーター51によって温められた水は、対流により、水と油の境界面付近まで上昇し、給水ノズル42によって形成される水流に合流する。これにより、水と油の境界面付近に存在する水の温度を効率よく高め、油の凝固を防ぐことができる。
【0015】
温度センサー52は、ヒーター51よりも上方に設置されている。上述したとおり、ヒーター51によって加熱された水は対流により上昇するので、温度センサー52をヒーター51よりも上方に設けることにより、ヒーター51によって温められた水の温度を的確に感知することができる。
温度センサー52は、給水ノズル42とほぼ同じ高さに設置してもよい。これにより、温度センサー52は、ヒーター51によって温められた水と、給水ノズル42が形成した水流とが混合した水の温度を感知する。給水ノズル42が形成した水流の温度は、ヒーター51によって温められた水よりも低いので、両者が混合した水の温度を感知することにより、油の凝固を確実に防ぐことができる。
また、温度センサー52は、回収口43の横(例えば、+X方向)に設置してもよい。これにより、温度センサー52が給水ノズル42によって形成される水流の流れを妨げるのを防ぐことができるので、浮遊物の回収効率の低下を防ぐことができる。
【0016】
従来の二層式フライヤーで固形油(ラード、ショートニング等)を使用した場合、定期的に給水されるため、水槽内が低温になり油槽内の油が凝固する。
ラード仕様は、水槽内にヒーターを取り付け、水温を例えば30℃に保つことで油が凝固することを防ぐ。
ただし、水槽内の水を加熱する際に固形油の凝固を溶かすため最適な温度に保ち、さらに水温が設定値以上に上昇しないように温度の制御を行う。
また、万一水槽内の水温が設定値以上になった場合の安全対策として、水槽温度監視センサーを設けて一定以上になった際には電源を切断し事故を防ぐ。
このようにして、水温の上昇による水の吹き出し事故を未然に防ぐ。
この機能は、設定画面上ですべての温度管理ができる。
【0017】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 フライヤー、12 調理槽、13 油加熱機構、14 浮遊物排出機構、15 水加熱機構、21 前面、22 背面、23 底面、24 基準面、31,51 ヒーター、32,52 温度センサー、41,42 給水ノズル、43 回収口、44 ドラフト槽、45 ドラフト管。
図1
図2