(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136677
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042478
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】赤路 雄一
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS15
3C707DS01
3C707JU02
3C707KS39
3C707LW03
(57)【要約】
【課題】インターネットに接続する環境が整備されていない工場であっても、設置国を判定することができるロボット制御装置を提供する。
【解決手段】操作端末3への入力に用いる言語を複数の言語から選択可能なロボット制御装置1であって、少なくとも操作端末3の操作者に割り当てられた言語に関する情報及び操作者により入力された情報のいずれかに基づいて、所定の対象国に設置されているか否かを判定する判定部113を、備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末への入力に用いる言語を複数の言語から選択可能なロボット制御装置であって、
少なくとも前記操作端末の操作者に割り当てられた言語に関する情報及び前記操作者により入力された情報のいずれかに基づいて、所定の対象国に設置されているか否かを判定する判定部を、備える、
ロボット制御装置。
【請求項2】
前記判定部により前記対象国に設置されていると判定された場合に、前記対象国により定められた種類に属するデータの外部への出力を禁止する禁止部を、さらに備える、
請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、少なくとも前記操作者に割り当てられた言語に関する情報及び前記操作者により入力された情報のいずれかの情報に基づいて、言語を推定し、当該推定した言語に対応付けられた国が前記対象国である場合に、前記対象国に設置されていると判定する、
請求項1又は2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記操作者により入力された情報に含まれる音声情報に基づいて、言語を推定する、
請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記操作者により入力された情報に基づいて、複数の言語の使用率をそれぞれ算出し、当該算出した使用率に基づいて、言語を推定する、
請求項3又は4に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット制御装置が保有するデータを分析して活用することで、製品の生産効率や操作者の利便性を向上させることが可能となる。しかしながら、全ての国がデータの活用を自由に認めているわけではなく、例えば、国外にデータを持ち出すことを法律で規制している国もある。したがって、そのような国で法律違反を犯すことがないように、装置が設置されている国を自動で判別し、その判別した国に応じてデータの取り扱いを変更できるようにしておくことが望ましい。下記特許文献1には、端末が設置されている地域を推定する技術が開示されている。この技術では、端末の設置地域を推定する際に、その端末に割り当てられたインターネットのIPアドレスを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボット制御装置を設置する工場のなかには、インターネットに接続する環境が整備されていない工場もある。そのような工場では、インターネットのIPアドレスを用いて、ロボット制御装置の設置国を判定することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、インターネットに接続する環境が整備されていない工場であっても、設置国を判定することができるロボット制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るロボット制御装置は、操作端末への入力に用いる言語を複数の言語から選択可能なロボット制御装置であって、少なくとも前記操作端末の操作者に割り当てられた言語に関する情報及び前記操作者により入力された情報のいずれかに基づいて、所定の対象国に設置されているか否かを判定する判定部を、備える。
【0007】
この態様によれば、操作者に割り当てられた言語に関する情報及び操作者により入力された情報の少なくともいずれかを用いることで、ロボット制御装置が対象国に設置されているかどうかを推定することが可能となる。
【0008】
上記態様において、前記判定部により前記対象国に設置されていると判定された場合に、前記対象国により定められた種類に属するデータの外部への出力を禁止する禁止部を、さらに備えてもよい。
【0009】
この態様によれば、ロボット制御装置が対象国に設置されていると推定した場合に、その対象国により定められた種類のデータを外部に持ち出せないように抑止することが可能となる。
【0010】
上記態様において、前記判定部は、少なくとも前記操作者に割り当てられた言語に関する情報及び前記操作者により入力された情報のいずれかの情報に基づいて、言語を推定し、当該推定した言語に対応付けられた国が前記対象国である場合に、前記対象国に設置されていると判定してもよい。
【0011】
この態様によれば、操作者に割り当てられた言語に関する情報及び操作者により入力された情報の少なくともいずれかを用いることで、操作者が使用している言語を推定することができ、その推定した言語に対応する国が対象国である場合に、ロボット制御装置が対象国に設置されていると推定することが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記判定部は、前記操作者により入力された情報に含まれる音声情報に基づいて、言語を推定してもよい。
【0013】
この態様によれば、操作者の音声情報を用いることで、操作者が使用している言語を推定することが可能となる。
【0014】
上記態様において、前記判定部は、前記操作者により入力された情報に基づいて、複数の言語の使用率をそれぞれ算出し、当該算出した使用率に基づいて、言語を推定してもよい。
【0015】
この態様によれば、操作者が入力した情報において使用されている言語のうち、使用率が最も高い言語を、操作者が使用している言語として推定することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インターネットに接続する環境が整備されていない工場であっても、設置国を判定することができるロボット制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係るロボット制御装置を含むロボットシステムの構成を例示する模式図である。
【
図2】ロボット制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、図面は模式的なものであるため、各構成要素の寸法や比率は実際のものとは相違する。
【0019】
図1は、本発明に係るロボット制御装置1を含むロボットシステム100の構成を例示する図である。ロボットシステム100は、例えば、ロボット制御装置1と、マニピュレータ2と、操作端末3と、を備える。
【0020】
ロボット制御装置1とマニピュレータ2との間、及びロボット制御装置1と操作端末3との間は、通信回線により接続される。通信回線は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0021】
マニピュレータ2は、ロボット制御装置1において設定される溶接の施工条件に従ってアーク溶接を行う産業用ロボットである。溶接の施工条件には、例えば、溶接条件、溶接開始位置、溶接終了位置、溶接距離及び溶接トーチの姿勢等が含まれる。溶接条件には、例えば、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、ワイヤ送給速度及びワークの厚さ等が含まれる。
【0022】
マニピュレータ2は、例えば、工場の床面等に固定されるベース部材上に設けられる多関節アーム21と、多関節アーム21の先端に取り付けられる溶接トーチ22とを有する。
【0023】
操作端末3は、作業者がマニピュレータ2の動作を教示又は入力する際に用いる端末装置である。操作端末3として、例えば、ティーチペンダントを用いてもよい。
【0024】
ロボット制御装置1は、マニピュレータ2の動作を制御する制御ユニットである。ロボット制御装置1は、複数の言語を使用するためのユーザインターフェースを有する。操作端末3の操作者は、操作端末3への入力に用いる言語を複数の言語の中から選択することができる。
【0025】
図1に示すように、ロボット制御装置1は、例えば、制御部11、記憶部12及び通信部13を有する。
【0026】
記憶部12は、ロボット制御装置1における処理の実行に必要な各種のプログラムや各種の情報を記憶する。各種の情報には、例えば、アカウント情報121及び動作情報122を含むことができる。
【0027】
アカウント情報121は、操作端末3を操作してロボット制御装置1にアクセスする操作者のアカウントに関する情報である。アカウント情報121には、例えば、ユーザID、パスワード、使用言語、及び操作者に関する操作者情報などを含むことができる。使用言語には、操作者が使用する言語を特定するための情報が格納される。使用言語として、所定の言語が初期設定されていてもよい。操作者が複数のアカウント情報を保有する場合、アカウント情報ごとに異なる言語を使用言語に設定してもよい。
【0028】
動作情報122は、操作端末3により教示又は入力された情報に基づいて作成されるマニピュレータ2の動作に関する情報である。動作情報122には、例えば、マニピュレータ2が作業手順に従って作業を行うための作業プログラムや、作業プログラムに入力されたコメントを含むことができる。作業プログラムやコメントには、その作業プログラムやコメントを入力した操作者のユーザIDを紐付けて記憶させることが好ましい。
【0029】
通信部13は、通信回線を介して接続されるマニピュレータ2又は操作端末3との通信を制御する。
【0030】
制御部11は、記憶部12に格納された所定のプログラムをプロセッサが実行することにより、各種の機能を実現する。各種の機能には、例えば、言語情報取得部111、入力情報取得部112、判定部113及び禁止部114が含まれる。これらの機能について、以下に説明する。
【0031】
言語情報取得部111は、操作端末3を操作する操作者のアカウント情報121を記憶部12から抽出し、その抽出したアカウント情報121に含まれる使用言語を、操作者に割り当てられた言語として取得する。ここで、操作者に割り当てられた言語は、アカウント情報121から取得することに限定されない。例えば、操作端末3を操作する操作者が選択した言語を、操作者に割り当てられた言語として取得してもよい。この場合、使用する言語を操作者に選択させる画面を操作端末3の表示部に表示させ、その画面から選択された言語を操作者に割り当てられた言語として取得することができる。また、全て又は一部の操作者に設定される標準の言語を、操作者に割り当てられた言語として取得してもよい。この標準の言語は、アカウント情報121に含めてもよいし、アカウント情報121に含めずに記憶部12に記憶させてもよい。
【0032】
入力情報取得部112は、操作端末3を操作する操作者に対応する動作情報122を記憶部12から抽出し、その抽出した動作情報122に含まれる作業プログラムやコメントを、操作者により入力された情報として取得する。
【0033】
判定部113は、操作端末3の操作者に割り当てられた言語に関する情報及び操作者により入力された情報に基づいて、ロボット制御装置1が所定の対象国に設置されているか否かを判定する。
【0034】
所定の対象国として、例えば、国外にデータを持ち出すことを法律で規制している国が該当する。持ち出せないデータが一部のデータに特定されている場合には、その一部のデータを区別して管理できるように、データの種類を設けて区別できるようにしてもよい。データの種類として、例えば、個人情報、顧客情報などを設けることができる。この判定部113による判定処理の内容について、以下に具体的に説明する。
【0035】
最初に、判定部113は、操作者に割り当てられた言語に関する情報及び操作者により入力された情報に基づいて、言語を推定する。続いて、判定部113は、推定した言語に対応する国を特定する。その際、言語と国とを対応付けた対応表を予め記憶部12に記憶させておき、その対応表を用いて国を特定してもよい。
【0036】
続いて、判定部113は、特定した国が所定の対象国である場合に、ロボット制御装置1が所定の対象国に設置されていると判定する一方、特定した国が所定の対象国ではない場合に、ロボット制御装置1が所定の対象国に設置されていないと判定する。
【0037】
[判定部113で言語を推定する方法の一例]
判定部113は、例えば、以下の(1)乃至(3)で算出する各ポイントを用いて、言語を推定することができる。(1)乃至(3)で算出する全てのポイントを用いて言語を推定してもよいし、(1)乃至(3)で算出する一部のポイントを用いて言語を推定してもよい。
【0038】
(1)操作者に割り当てられた言語に基づいて算出する各言語のポイント:
例えば、操作者がアカウントを3つ保有し、それぞれのアカウントに対応する使用言語が、A言語、A言語、B言語であり、全ての操作者に対する標準の言語としてA言語が設定されている場合には、以下のようにポイントを算出する。
【0039】
(1a)アカウントの使用言語全体と標準の言語とにそれぞれ“0.5”ポイントずつ割り当てる。アカウントの使用言語全体と標準の言語とに同等のポイントを割り当てることに限定されず、重みを付けて割り当ててもよい。
【0040】
(1b)アカウントの使用言語全体に割り当てた“0.5”ポイントを、アカウントに設定された使用言語ごとに分配する。本例のようにアカウントが3つある場合には、各使用言語に、“0.5/3”ポイントずつ分配する。
【0041】
上記(1a)及び(1b)に基づいて、A言語のポイントとB言語のポイントを、以下のように算出する。
【0042】
A言語のポイント:標準の言語に割り当てた“0.5”+アカウントの各使用言語に分配した“0.5/3”×アカウントに設定されたA言語の数“2”=“0.84”
B言語のポイント:アカウントの各使用言語に分配した“0.5/3”×アカウントに設定されたB言語の数“1”=“0.17”
【0043】
(2)操作者により入力された情報に基づいて算出する各言語のポイント:
例えば、作業プログラムとして、AプログラムとBプログラムの2つのプログラムが登録され、Aプログラムの方が、Bプログラムよりも更新日付が新しい場合には、以下のようにポイントを算出する。
【0044】
(2a)プログラムの更新日付が新しいほど重みが高くなるように、重み付けポイントを付与する。例えば、4つのプログラムがある場合に、更新日付が新しい順に、それぞれ、“0.1”、“0.09”、“0.08”、“0.07”の重み付けポイントを付与する。本例では、Aプログラムの重み付けポイントを、“0.1”とし、Bプログラムの重み付けポイントを、“0.09”とする。
【0045】
(2b)プログラムに付加されたコメントがどの言語で入力されているのかを示す割合(言語の使用率)をプログラムごとに算出する。その結果、例えば、Aプログラムでは、A言語で入力されたコメントが、“100”%であり、Bプログラムでは、A言語で入力されたコメントが、“20”%であり、B言語で入力されたコメントが、“80”%であると算出されたことにする。
【0046】
上記(2a)及び(2b)に基づいて、A言語のポイントとB言語のポイントを、以下のように算出する。
【0047】
AプログラムにおけるA言語のポイント:更新日付による重み付けポイント“0.1”×A言語の割合“100/100”=“0.1”
BプログラムにおけるA言語のポイント:更新日付による重み付けポイント“0.09”×A言語の割合“20/100”=“0.018”
BプログラムにおけるB言語のポイント:更新日付による重み付けポイント“0.09”×B言語の割合“80/100”=“0.072”
【0048】
Aプログラム及びBプログラムの双方におけるA言語のポイント:“0.1”+“0.018”=“0.118”
Aプログラム及びBプログラムの双方におけるB言語のポイント:“0.072”
【0049】
(3)音声情報に基づいて算出する各言語のポイント:
操作者により入力された情報に音声情報が含まれる場合には、以下のようにポイントを算出してもよい。
【0050】
(3a)音声情報に含まれる音声がどの言語により入力されたものなのかを示す割合(言語の使用率)を算出する。その結果、例えば、A言語で入力された音声が、“60”%であり、B言語で入力された音声が、“40”%であると算出されたことにする。言語の使用率は、各言語で入力された音声の時間(長さ)に基づいて算出してもよい。
【0051】
上記(3a)に基づいて、A言語のポイントとB言語のポイントを、以下のように算出する。
【0052】
A言語のポイント:“60/100”=“0.6”
B言語のポイント:“40/100”=“0.4”
【0053】
ここで、音声情報に含まれる音声がどの言語により入力されたものなのかを分析する方法は、公知の音声分析方法を用いることができる。例えば、音声情報に含まれる音声をテキストに変換し、その変換したテキストに基づいて言語を推定することとしてもよい。
【0054】
(4)上記(1)乃至(3)でそれぞれ算出したA言語のポイント及びB言語のポイントをそれぞれ集計し、集計値の大きい方の言語を、推定する言語として決定する。
【0055】
上記(1)乃至(3)それぞれのA言語のポイントを集計すると、“0.84”+“0.118”+“0.6”=“1.558”となる。
上記(1)乃至(3)それぞれのB言語のポイントを集計すると、“0.17”+“0.072”+“0.4”=“0.642”となる。
【0056】
この場合、A言語のポイントが、“1.558”であり、B言語のポイントが、“0.642”であるため、ポイント数の大きいA言語を、推定する言語として決定する。なお、ポイント数に基づいて算出される確率は、A言語では、“1.558”/(“1.558”+“0.642”)=71%となり、B言語では、“0.642”/(“1.558”+“0.642”)=29%となる。
【0057】
ここで、上記(1)のポイント、上記(2)のポイント及び上記(3)のポイントに対し、重み付けをして集計してもよい。
【0058】
図1に示す禁止部114は、判定部113によりロボット制御装置1が対象国に設置されていると判定された場合に、対象国により定められた種類に属するデータの外部への出力を禁止し、外部に出力できないように制御する。外部への出力には、データを外部に持ち出すことになる処理全般が該当する。具体的に、データを外部の記憶装置に記憶することや、データを外部に送信すること、データを印刷すること、などが外部への出力に含まれる。
【0059】
禁止部114は、操作者が、対象となるデータをロボット制御装置1の外部に出力しようとした場合に、操作端末3の表示部に警告画面を表示して注意を促してもよい。
【0060】
次に、
図2を参照して、本発明に係るロボット制御装置1の動作の一例について説明する。
【0061】
最初に、ロボット制御装置1の言語情報取得部111は、操作端末3を操作する操作者のアカウント情報121などに基づいて、操作者に割り当てられた言語に関する情報を取得する(ステップS101)。
【0062】
続いて、ロボット制御装置1の入力情報取得部112は、操作端末3を操作する操作者に対応する動作情報122に含まれる作業プログラムやコメントに基づいて、操作者により入力された情報を取得する(ステップS102)。
【0063】
続いて、ロボット制御装置1の判定部113は、上記ステップS101で取得された情報及び上記ステップS102で取得された情報に基づいて、言語を推定する(ステップS103)。
【0064】
続いて、ロボット制御装置1の判定部113は、上記ステップS103で推定した言語に基づいて、その言語に対応する国を特定する(ステップS104)。
【0065】
続いて、ロボット制御装置1の判定部113は、上記ステップS104で特定した国が所定の対象国であるか否かを判定する(ステップS105)。この判定がNOである場合(ステップS105;NO)に、ロボット制御装置1は本動作を終了する。
【0066】
上記ステップS105において、特定した国が所定の対象国であると判定された場合(ステップS105;YES)に、ロボット制御装置1の禁止部114は、所定の対象国により定められた種類に属するデータの外部への出力を禁止する(ステップS106)。そして、ロボット制御装置1は本動作を終了する。
【0067】
上述したように、実施形態に係るロボット制御装置1によれば、操作者に割り当てられた言語に関する情報及び操作者により入力された情報を用いて、操作者が使用している言語を推定し、その推定した言語に対応する国が所定の対象国である場合に、ロボット制御装置1が所定の対象国に設置されていると推定することが可能となる。
【0068】
それゆえ、実施形態に係るロボット制御装置1によれば、インターネットに接続する環境が整備されていない工場であっても、設置国を判定することが可能となる。
【0069】
また、実施形態に係るロボット制御装置1によれば、ロボット制御装置1が所定の対象国に設置されていると推定した場合に、その対象国により定められた種類のデータを外部に持ち出すことができないように抑止することが可能となる。
【0070】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理(ステップ)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【0071】
また、上述した実施形態では、言語を推定する際に、操作者に割り当てられた言語に関する情報及び操作者により入力された情報に基づいて、言語や国を推定しているが、言語や国を推定する際に用いる情報は、これらに限定されない。例えば、マニピュレータ2を特定するための識別IDに、マニピュレータ2を設置する国に関する情報が含まれる場合には、その識別IDに含まれる情報をさらに用いて言語や国を推定してもよい。また、ロボット制御装置1に供給される電源電圧に関する情報をさらに用いて、言語や国を推定してもよい。また、ロボット制御装置1の周辺の音声情報を分析し、その分析結果に関する情報をさらに用いて、言語や国を推定してもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、集計したポイント数に基づいて言語を推定しているが、それぞれの言語に対応する国の数が多いほど、重みが低くなるように、集計したポイント数に重み付けをしてもよい。これにより、集計したポイント数が同程度の言語が複数存在する場合に、例えば世界共通語である英語を母国語とする国のポイントを下げることが可能となる。
【0073】
さらに、上述した実施形態では、本発明を溶接ロボットに適用する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ピッキング等を行うハンドリングロボットを含む産業用ロボットに本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…ロボット制御装置、2…マニピュレータ、3…操作端末、11…制御部、12…記憶部、13…通信部、21…多関節アーム、22…溶接トーチ、100…ロボットシステム、111…言語情報取得部、112…入力情報取得部、113…判定部、114…禁止部、121…アカウント情報、122…動作情報