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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013669
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】スポット溶接用電極取外工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 7/02 20060101AFI20230119BHJP
   B23K 11/36 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
B25B7/02
B23K11/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118020
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】591260948
【氏名又は名称】株式会社キョクトー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 弘太郎
【テーマコード(参考)】
3C020
【Fターム(参考)】
3C020PP04
(57)【要約】
【課題】作業者が溶接ガンのシャンク先端から電極を簡単に且つ安全に取り外すことができるスポット溶接用電極取外工具を提供する。
【解決手段】工具本体2の先端には第1ガイド面部7が形成され、レバー部材3の先端には第2ガイド面部13が形成される。第1ガイド面部7及び第2ガイド面部13は、工具本体2の先端とレバー部材3の先端とをシャンク先端11aに装着された電極10の外周面にその中心線C1が間に位置するように当接させて工具本体2を電極10側に押し込んだ際、第2挟持部12が第1挟持部6から離間する方向にレバー部材3を捩じりバネ15の付勢力に抗して揺動させて第1挟持部6と第2挟持部12との間に電極10を案内する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポット溶接用ガンのシャンク先端に装着された電極を挟持して当該電極の中心線周りに回転させることにより前記シャンク先端から取り外すスポット溶接用電極取外工具であって、
先端側に第1挟持部を有する一方、基端側に作業者が把持する柄部を有する工具本体と、
先端側に第2挟持部を有し、当該第2挟持部が前記第1挟持部に対して接近離間するよう前記工具本体に揺動可能に軸支されたレバー部材と、
前記第2挟持部が前記第1挟持部に接近する方向に前記レバー部材を付勢する付勢部材と、を備え、
前記工具本体の先端及び前記レバー部材の先端の少なくとも一方には、当該工具本体の先端と前記レバー部材の先端とを前記シャンク先端に装着された前記電極の外周面に前記中心線が間に位置するように当接させて前記電極側に押し込んだ際、前記第2挟持部が前記第1挟持部から離間する方向に前記レバー部材を前記付勢部材の付勢力に抗して揺動させて前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に前記電極を案内するガイド面部が設けられていることを特徴とするスポット溶接用電極取外工具。
【請求項2】
請求項1に記載のスポット溶接用電極取外工具において、
前記ガイド面部は、前記工具本体と前記レバー部材との両方に設けられ、前記両ガイド面部は、前記第1挟持部と前記第2挟持部とが接近した状態において前記工具本体の先端と前記レバー部材の先端とに近づくにつれて次第に離間する形状をなしていることを特徴とするスポット溶接用電極取外工具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスポット溶接用電極取外工具において、
前記レバー部材の基端側には、前記柄部に接近する位置に配置され、且つ、前記付勢部材の付勢力に抗して前記柄部側に押すと、前記レバー部材を揺動させて前記第1挟持部から前記第2挟持部を離間させる押圧操作部が設けられていることを特徴とするスポット溶接用電極取外工具。
【請求項4】
請求項3に記載のスポット溶接用電極取外工具において、
前記押圧操作部は、前記レバー部材のその他の領域よりも揺動軸心に沿う方向に幅広な形状をなしていることを特徴とする溶接用電極取外工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット溶接に用いる溶接ガンのシャンク先端に取り付けられた電極を溶接ガンの先端から取り外すスポット溶接用電極取外工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スポット溶接に用いる溶接ガンのシャンク先端には、銅製の電極が着脱可能に取り付けられ、該電極の先端部分は、溶接を所定回数行うと磨耗したり、或いは、酸化皮膜等が付着して状態が悪化するので、チップドレッサを用いて周期的に切削する必要がある。そして、周期的に切削される電極は、次第にその全長が短くなって最後は使用できなくなってしまうので、所定の時期に溶接ガンのシャンク先端から取り外すとともに新しい電極を溶接ガンのシャンク先端に取り付けなければならない。
【0003】
ところで、溶接ガンのシャンク先端から電極を取り外す際、作業者は、例えば、特許文献1の如き工具を用いて取外作業を行う。該特許文献1の工具は、先端に第1挟持部を有する一方、基端側に作業者が把持する柄部を有する略角棒状をなす工具本体と、平面視で鉤状なし且つ第1挟持部に向かって開口する凹状の第2挟持部を有するレバー部材とを備え、該レバー部材は、第2挟持部が第1挟持部に対して接近離間するよう工具本体の先端寄りの位置に回動可能に軸支されている。工具本体とレバー部材との間には、第2挟持部を第1挟持部に対して接近する方向に付勢するバネが取り付けられている。そして、特許文献1の工具を用いて溶接ガンのシャンク先端から電極を取り外す場合、シャンク先端に取り付けられた電極をバネの付勢力を利用して第1挟持部と第2挟持部とで挟持させるとともに電極の中心線周りに工具本体を回動させることにより、シャンク先端から電極が取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭56-24425号(実開昭57-136662号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の工具は、電極を第1挟持部と第2挟持部とで挟持する際、一方の手で柄部を把持する一方、他方の手でレバー部材をバネの付勢力に抗して回動させた状態で工具本体の一端側とレバー部材とをシャンク先端に取り付けられた電極に接近させる必要があり、もし仮に、溶接ガンが溶接作業直後であってシャンク先端から取り外す電極が高温状態である場合において電極の交換作業を行う場合、作業者の手が電極に触れてしまって火傷を起こしてしまうおそれがある。また、工具で電極を挟持するために工具本体に対してレバー部材を離間させる作業を作業者は両手で行う必要があるので、電極取外作業が煩雑であるという問題もあった。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業者が溶接ガンのシャンク先端から電極を簡単に且つ安全に取り外すことができるスポット溶接用電極取外工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、作業者が溶接ガンのシャンク先端に取り付けられた電極に向けて工具を押し込む動作を行うだけで当該工具が電極を挟持するように工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、スポット溶接用ガンのシャンク先端に装着された電極を挟持して当該電極の中心線周りに回転させることにより前記シャンク先端から取り外すスポット溶接用電極取外工具を対象とし、次のような対策を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、先端側に第1挟持部を有する一方、基端側に作業者が把持する柄部を有する工具本体と、先端側に第2挟持部を有し、当該第2挟持部が前記第1挟持部に対して接近離間するよう前記工具本体に揺動可能に軸支されたレバー部材と、前記第2挟持部が前記第1挟持部に接近する方向に前記レバー部材を付勢する付勢部材とを備え、前記工具本体の先端及び前記レバー部材の先端の少なくとも一方には、当該工具本体の先端と前記レバー部材の先端とを前記シャンク先端に装着された前記電極の外周面に前記中心線が間に位置するように当接させて前記電極側に押し込んだ際、前記第2挟持部が前記第1挟持部から離間する方向に前記レバー部材を前記付勢部材の付勢力に抗して揺動させて前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に前記電極を案内するガイド面部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記ガイド面部は、前記工具本体と前記レバー部材との両方に設けられ、前記両ガイド面部は、前記第1挟持部と前記第2挟持部とが接近した状態において前記工具本体の先端と前記レバー部材の先端とに近づくにつれて次第に離間する形状をなしていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記レバー部材の基端側には、前記柄部に接近する位置に配置され、且つ、前記付勢部材の付勢力に抗して前記柄部側に押すと、前記レバー部材を揺動させて前記第1挟持部から前記第2挟持部を離間させる押圧操作部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第4の発明では、第3の発明において、前記押圧操作部は、前記レバー部材のその他の領域よりも揺動軸心に沿う方向に幅広な形状をなしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、作業者が工具本体の柄部を一方の手で把持するとともに、工具本体の先端とレバー部材の先端とをシャンク先端に装着された電極の外周面にその中心線が間に位置するように当接させ、その状態において工具本体を電極側に押し込む。すると、電極の外周面がガイド面部に摺接しながら移動することにより、第2挟持部が付勢部材の付勢力に抗して第1挟持部から次第に離間していき、その後、当該第1挟持部と第2挟持部とで電極が挟持されるようになる。そして、作業者は、一方の手で工具本体を電極の中心線周りに回動させると、シャンク先端に対して電極が捩じられるので、当該電極がシャンク先端から取り外される。このように、作業者による片手だけの操作で電極がシャンク先端から取り外されるようになり、電極のシャンク先端からの取外操作を簡単に行うことができる。また、作業者は、電極の取外作業時において、第1挟持部及び第2挟持部から離れた位置の柄部を把持して電極を取り外すための全ての操作を行うことができるので、高温状態の電極に作業者の手が接触するといったことを回避することができ、電極の取外作業を安全に行うことができる。
【0014】
第2の発明では、工具本体の先端とレバー部材の先端とをシャンク先端に装着された電極の外周面に当接させた際、各ガイド面部が電極の外周面に接触し易くなるので、電極に対して工具本体とレバー部材とが位置ずれを起こし難くなって工具本体を押し込む際の動作が安定するようになり、電極の取外操作をスムーズに行うことができる。
【0015】
第3の発明では、シャンク先端から電極を取り外した際、当該電極は付勢部材の付勢力によって第1挟持部と第2挟持部とに挟持された状態で保持されるようになる。その後、作業者は、柄部を把持する手の親指で押圧操作部を柄部側に押圧すると、シャンク先端から取り外した電極を工具本体から落下させることができるようになる。このように、作業者は、シャンク先端から電極を取り外して廃棄するまで当該電極に全く触れる必要がなくなるので、電極をシャンク先端から安全に取り外すことができる。
【0016】
第4の発明では、作業者が押圧操作部を親指で押圧する際、作業者に加わる負荷が親指の広範囲に分散するようになる。したがって、押圧操作時において親指に加わる不快感を減らすことができるようになり、操作感の良い工具にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るスポット溶接用電極取外工具の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るスポット溶接用電極取外工具の平面図である。
図3図2のIII矢視図である。
図4】本発明の実施形態に係るスポット溶接用電極取外工具を用いて溶接ガンのシャンク先端から電極を取り外す直前の状態を示す平面図である。
図5図4の後、溶接ガンのシャンク先端から電極を取り外す作業を開始した直後の状態を示す図である。
図6図5の後、溶接ガンのシャンク先端から電極を取り外す直前の状態を示す図である。
図7図6の後、溶接ガンのシャンク先端から電極を取り外した直後の状態を示す図である。
図8図7の後、溶接ガンのシャンク先端から取り外した電極を廃棄している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0019】
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係るスポット溶接用電極取外工具1を示す。該スポット溶接用電極取外工具1は、図4乃至図7に示すように、スポット溶接用の溶接ガンGのシャンク先端G1から釣鐘状をなす銅製の電極10を取り外して廃棄する際に使用するものであり、略帯板状をなす工具本体2と、該工具本体2の先端側に並設されたレバー部材3とを備え、該レバー部材3の長さ寸法は、工具本体2の長さ寸法の略半分となっている。
【0020】
溶接ガンGは、産業用ロボット(図示せず)に把持させて使用する一般的なものであり、溶接ガンGのシャンク先端には、電極10が着脱可能に嵌合している。
【0021】
工具本体2は、図1及び図2に示すように、先端側に第1顎部4を有する一方、基端側に作業者が把持可能な柄部5を備えている。
【0022】
第1顎部4は、工具本体2の幅方向一側で、且つ、柄部5から離れる方向において当該柄部5の延長方向に対して若干傾斜しながら延びており、先端に行くにつれて次第に厚みが薄くなる形状をなしている。
【0023】
第1顎部4における工具本体2の幅方向他側には、平面視で凹状なす第1挟持部6と矩形状の平坦面である第1ガイド面部7とが柄部5側から順に設けられている。
【0024】
第1挟持部6には、工具本体2の厚み方向に延びる突条をなす複数の第1挟み歯6aが柄部5側の領域に形成されている。
【0025】
第1ガイド面部7は、工具本体2の幅方向一側で、且つ、柄部5から離れる方向において第1顎部4の延長方向に対して若干傾斜しながら延びている。
【0026】
柄部5は、基端に行くにつれて次第に幅方向に広くなる形状で、且つ、厚みが外周部分よりも内側部分の方が薄い段差形状をなしており、基端部分には、厚み方向に貫通する長孔5aが形成されている。
【0027】
レバー部材3は、先端側に第2顎部8を有する一方、基端側に作業者がレバー操作可能なレバー操作部9を備え、レバー部材3の中途部には、当該レバー部材3の幅方向一側に突出する平面視で略三角形状をなす突出板部11がレバー部材3の厚み方向に所定の間隔をあけて一対設けられている。
【0028】
両突出板部11は、工具本体2の中途部を挟み込むように位置しており、当該工具本体2に揺動軸S1周りに揺動可能に軸支されている。
【0029】
レバー操作部9の基端部分は、柄部5に接近する位置になっており、その端部には、作業者が押圧操作可能な押圧操作部14が設けられている。
【0030】
該押圧操作部14は、レバー部材3のその他の領域よりも揺動軸心に沿う方向に幅広な形状をなしており、揺動軸心と直交する方向から見て楕円形状をなしている。
【0031】
揺動軸S1には、第2顎部8が第1顎部4に接近する方向にレバー部材3を付勢する捩じりバネ15(付勢部材)が巻装され、作業者が捩じりバネ15の付勢力に抗して押圧操作部14を柄部5側に押すと、レバー部材3が揺動して第2顎部8が第1顎部4から離間するようになっている。
【0032】
第2顎部8は、平面視で緩やかに湾曲する鉤状をなしている。該第2顎部8におけるレバー部材3の幅方向一側には、平面視で凹状なす第2挟持部12と矩形状の平坦面である第2ガイド面部13とが突出板部11側から順に設けられている。
【0033】
第2挟持部12は、第1挟持部6に対向した位置になっており、レバー部材3を揺動軸S1周りに揺動させると、第1挟持部6に対して接近離間するようになっている。
【0034】
第2挟持部12には、レバー部材3の厚み方向に延びる突条をなす第2挟み歯12a及び第3挟み歯12bが第2ガイド面部13側の領域と突出板部11側の領域とにそれぞれ形成されている。
【0035】
第2ガイド面部13は、レバー部材3の幅方向他側で、且つ、レバー操作部9から離れる方向において第2顎部8の延長方向に対して若干傾斜しながら延びている。
【0036】
すなわち、第2ガイド面部13は、第1ガイド面部7に対応した位置になっており、第1ガイド面部7及び第2ガイド面部13は、レバー部材3を揺動させて第1挟持部6と第2挟持部12とが接近した状態において工具本体2の先端とレバー部材3の先端とにそれぞれ近づくにつれて次第に離間する形状になっている。
【0037】
そして、第1ガイド面部7及び第2ガイド面部13は、図4乃至図7に示すように、工具本体2の先端とレバー部材3の先端とをシャンク先端G1に装着された電極10の外周面に当該電極10の中心線C1が間に位置するように当接させて電極10側に押し込んだ際、第2挟持部12が第1挟持部6から離間する方向にレバー部材3を捩じりバネ15の付勢力に抗して揺動させて第1挟持部6と第2挟持部12との間に電極10を案内するようになっている。
【0038】
第1ガイド面部7及び第2ガイド面部13に案内されて第1挟持部6と第2挟持部12との間に案内された電極10は、捩じりバネ15の付勢力によって第1挟持部6と第2挟持部12とで挟持され、この状態で工具本体2を中心線C1周りに回動させることによりシャンク先端G1から電極10が取り外されるようになっている。
【0039】
次に、本発明の実施形態に係るスポット溶接用電極取外工具1を用いた電極10のシャンク先端G1からの取外作業について詳述する。
【0040】
まず、作業者は、スポット溶接用電極取外工具1の工具本体2における柄部5を一方の手で把持した後、図4及び図5に示すように、工具本体2の先端とレバー部材3の先端とをシャンク先端G1に装着された電極10の外周面にその中心線C1が間に位置するように当接させる。このとき、第1ガイド面部7及び第2ガイド面部13は、工具本体2の先端とレバー部材3の先端とにそれぞれ近づくにつれて次第に離間する形状になっており、電極10の外周面に接触し易くなっている。したがって、電極10に対して工具本体2とレバー部材3とが位置ずれを起こし難くなっている。
【0041】
次に、作業者は、把持する工具本体2を電極10側に押し込む(矢印X1参照)。すると、電極10の外周面が第1ガイド面部7と第2ガイド面部13とにそれぞれ摺接しながら移動することにより、図6に示すように、第2挟持部12が捩じりバネ15の付勢力に抗して第1挟持部6から次第に離間していき(矢印X2参照)、その後、第1挟持部6と第2挟持部12とで電極10が挟持される。このとき、第1ガイド面部7及び第2ガイド面部13によって電極10に対して工具本体2とレバー部材3とが位置ずれを起こし難くなっているので、工具本体2を押し込む際の動作が安定する。
【0042】
しかる後、作業者は、図7に示すように、一方の手で工具本体2を電極10の中心線C1周りに回動させる(矢印X3方向)。すると、シャンク先端G1に対して電極10が捩じられるので、当該電極10がシャンク先端から取り外される。シャンク先端G1から取り外した電極10は、捩じりバネ15の付勢力によって第1挟持部6と第2挟持部12とに挟持された状態で保持される。
【0043】
その後、作業者は、図8に示すように、柄部5を把持する手の親指で押圧操作部14を柄部5側に押圧する(矢印X4参照)。すると、作業者は、シャンク先端G1から取り外した電極10に触れることなく当該電極10を工具本体2から落下させることができる。このように、作業者は、シャンク先端G1から電極10を取り外して廃棄するまで当該電極10に全く触れる必要がなくなるので、電極10をシャンク先端G1から安全に取り外すことができる。
【0044】
尚、押圧操作部14は、レバー部材3のその他の領域よりも揺動軸心に沿う方向に幅広な形状をなしているので、作業者が押圧操作部14を親指で押圧する際、作業者に加わる負荷が親指の広範囲に分散するようになる。したがって、押圧操作時において親指に加わる不快感を減らすことができるようになり、操作感の良いスポット溶接用電極取外工具1にできる。
【0045】
以上より、本発明の実施形態によると、作業者による片手だけの操作で電極10がシャンク先端G1から取り外されるようになり、電極10のシャンク先端G1からの取外操作を簡単に行うことができる。また、作業者は、電極10の取外作業時において、第1挟持部6及び第2挟持部12から離れた位置の柄部5を把持して電極10を取り外すための全ての操作を行うことができるので、高温状態の電極10に作業者の手が接触するといったことを回避することができ、電極10の取外作業を安全に行うことができる。
【0046】
尚、本発明の実施形態では、工具本体2に第1ガイド面部7が設けられ、レバー部材3に第2ガイド面部13が設けられているが、これに限らず、工具本体2及びレバー部材3の少なくとも一方にガイド面部が設けられていればよい。
【0047】
また、本発明の実施形態では、押圧操作部14が揺動軸心と直交する方向からみて楕円形状をなしているが、これに限らず、作業者が押圧操作をする際に不快にならない形状であればよく、円形状や矩形状であってもよい。
【0048】
さらに、本発明の実施形態では、レバー部材3を付勢する付勢部材として捩じりバネ15を用いているが、これに限らず、その他の種類のバネであってもよいし、ゴム材等の弾性部材で付勢するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、スポット溶接に用いる溶接ガンのシャンク先端に取り付けられた電極を溶接ガンの先端から取り外すスポット溶接用電極取外工具に適している。
【符号の説明】
【0050】
1 スポット溶接用電極取外工具
2 工具本体
3 レバー部材
5 柄部
6 第1挟持部
7 第1ガイド面部
10 電極
12 第2挟持部
13 第2ガイド面部
14 押圧操作部
15 捩じりバネ(付勢部材)
C1 電極の中心線
G1 シャンク先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8