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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136693
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H01B13/012 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042515
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山川 健司
(57)【要約】
【課題】構成要素を少なく、かつ、ユーザにエラーの内容を伝達すること
【解決手段】ワイヤーハーネス製造装置は、照明装置61aと、エアバルブ24、38、39、40を備え圧縮エアを噴射するエア噴射装置と、照明装置61aおよびエアバルブ24、38、39、40を制御する制御装置50と、を備える。コード記憶部51は、2桁以上の数字からなるエラーコードを記憶している。コード変換部52は、エラーコードの桁および当該桁の数字を照明装置61aの点灯とエア噴射装置からの圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する変換則に基づき、エラーコードの数字を照明装置61aの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する。動作制御部53は、コード変換部52によってエラーコードが変換された照明装置61aの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに基づき、照明装置61aおよびエアバルブ24、38、39、40を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯および消灯する照明装置と、
圧縮エアが供給されるエア供給路と、前記エア供給路を開閉するエアバルブとを備え、前記エアバルブが開放されると圧縮エアを噴射するエア噴射装置と、
前記照明装置および前記エアバルブを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
2桁以上の数字からなるエラーコードを記憶するコード記憶部と、
エラーコードの桁および当該桁の数字を前記照明装置の点灯と前記エア噴射装置からの圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する変換則に基づき、エラーコードの数字を前記照明装置の点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに変換するコード変換部と、
前記コード変換部によってエラーコードが変換された前記照明装置の点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに基づき、前記照明装置および前記エアバルブを制御する動作制御部と、を備えている、
ワイヤーハーネス製造装置。
【請求項2】
前記変換則は、エラーコードの桁を圧縮エアの噴射で表し、当該桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表すように構成されている、
請求項1に記載のワイヤーハーネス製造装置。
【請求項3】
前記変換則は、予め定められた特定の桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表す際には前記照明装置の点灯とともに圧縮エアを噴射し、他の桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表す際には圧縮エアの噴射を停止するように構成されている、
請求項2に記載のワイヤーハーネス製造装置。
【請求項4】
前記変換則は、エラーコードの桁同士の間の区切りを圧縮エアの噴射で表し、桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表すように構成されている、
請求項1に記載のワイヤーハーネス製造装置。
【請求項5】
前記変換則は、エラーコードの桁を前記照明装置の点灯で表し、当該桁の数字を圧縮エアの噴射回数で表すように構成されている、
請求項1に記載のワイヤーハーネス製造装置。
【請求項6】
複数の機能ブロックに分割されており、
前記エア噴射装置は、前記複数の機能ブロックごとに設けられた複数の噴射装置を備え、
前記動作制御部は、エラーが発生した前記機能ブロックの前記噴射装置を制御して圧縮エアを噴射させる、
請求項1~5のいずれか一つに記載のワイヤーハーネス製造装置。
【請求項7】
ワイヤーハーネスの部品を搬送するパーツフィーダを含み、
前記パーツフィーダは、前記部品が通る搬送路を備え、
前記エア噴射装置は、前記搬送路に圧縮エアを噴射して前記部品を前記搬送路内で移動させる、
請求項1~6のいずれか一つに記載のワイヤーハーネス製造装置。
【請求項8】
前記部品は、ゴム栓である、
請求項7に記載のワイヤーハーネス製造装置。
【請求項9】
前記照明装置は、スタートボタンを構成する照光スイッチに内蔵されている、
請求項1~8のいずれか一つに記載のワイヤーハーネス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネス製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスを製造するワイヤーハーネス製造装置が従来から知られている。例えば特許文献1には、伸線機と、送給装置と、電線クランプ装置と、カッター装置と、圧着機と、トレイとを備えた電線処理装置(ワイヤーハーネス製造装置)が開示されている。
【0003】
ワイヤーハーネス製造装置の中には、例えば特許文献2に開示されているようなゴム栓供給装置をさらに備えたものも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-057556号公報
【特許文献2】国際公開第2021/029177号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイヤーハーネス製造装置では、様々なエラーが発生し得る。エラーが発生した際、ユーザとしては、エラーの種類を特定する必要がある。そのため、ワイヤーハーネス製造装置には、エラーの種類に応じたエラーコードを表示する表示装置が設けられることが多い。しかし、そのような表示装置を設けると、ワイヤーハーネス製造装置の構成要素が多くなり、コストの上昇やサイズの大型化を招く。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成要素を少なく、かつ、ユーザにエラーの内容を伝達できるワイヤーハーネス製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るワイヤーハーネス製造装置は、点灯および消灯する照明装置と、圧縮エアが供給されるエア供給路と前記エア供給路を開閉するエアバルブとを備え前記エアバルブが開放されると圧縮エアを噴射するエア噴射装置と、前記照明装置および前記エアバルブを制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、コード記憶部と、コード変換部と、動作制御部と、を備えている。前記コード記憶部は、2桁以上の数字からなるエラーコードを記憶している。前記コード変換部は、エラーコードの桁および当該桁の数字を前記照明装置の点灯と前記エア噴射装置からの圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する変換則に基づき、エラーコードの数字を前記照明装置の点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する。前記動作制御部は、前記コード変換部によってエラーコードが変換された前記照明装置の点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに基づき、前記照明装置および前記エアバルブを制御する。
【0008】
上記ワイヤーハーネス製造装置によれば、照明装置の点灯と圧縮エアが噴射される音との組み合わせによって、2桁以上の数字からなるエラーコードを表すことができる。そのため、ワイヤーハーネス製造装置は、エラーコードを表示するための表示装置を備える必要がない。これにより、ワイヤーハーネス製造装置の構成要素を少なくしつつ、ユーザにエラーの内容を伝達することができる。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記変換則は、エラーコードの桁を圧縮エアの噴射で表し、当該桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表すように構成されている。より詳しくは、前記変換則は、予め定められた特定の桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表す際には前記照明装置の点灯とともに圧縮エアを噴射し、他の桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表す際には圧縮エアの噴射を停止するように構成されている。
【0010】
かかる態様によれば、エラーコードの桁が判別できるとともに当該桁の数字も判別できるため、エラーコードの読み取りが容易である。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、前記変換則は、エラーコードの桁同士の間の区切りを圧縮エアの噴射で表し、桁の数字を前記照明装置の点灯回数で表すように構成されている。
【0012】
かかる態様によっても、エラーコードの桁が判別できるとともに当該桁の数字も判別できる。そのため、エラーコードの読み取りが容易にできる。
【0013】
本発明の好ましい一態様によれば、前記変換則は、エラーコードの桁を前記照明装置の点灯で表し、当該桁の数字を圧縮エアの噴射回数で表すように構成されている。
【0014】
かかる態様によっても、エラーコードの桁が判別できるとともに当該桁の数字も判別できる。そのため、エラーコードの読み取りが容易にできる。
【0015】
本発明の好ましい一態様によれば、ワイヤーハーネス製造装置は、複数の機能ブロックに分割されている。前記エア噴射装置は、前記複数の機能ブロックごとに設けられた複数の噴射装置を備えている。前記動作制御部は、エラーが発生した前記機能ブロックの前記噴射装置を制御して圧縮エアを噴射させる。
【0016】
かかる態様によれば、エラーが発生した機能ブロックの噴射装置から圧縮エアが噴射されるため、エラーが発生した機能ブロックがユーザに分かりやすい。
【0017】
本発明の好ましい一態様によれば、ワイヤーハーネス製造装置は、ワイヤーハーネスの部品を搬送するパーツフィーダを含んでいる。前記パーツフィーダは、前記部品が通る搬送路を備えている。前記エア噴射装置は、前記搬送路に圧縮エアを噴射して前記部品を前記搬送路内で移動させる。
【0018】
かかる態様によれば、エア噴射装置は、パーツフィーダにおいて部品を移動させるためのものであるため、エラーコードの表現のために新たにエア噴射装置を設ける必要がない。そのため、ワイヤーハーネス製造装置の構成要素をより少なくすることができる。
【0019】
上記ワイヤーハーネス製造装置の好ましい一態様によれば、前記部品は、ゴム栓である。ゴム栓の搬送方式は圧縮エアによる方式が好適であり、ゴム栓を搬送するパーツフィーダは、好ましくは、エア噴射装置を備える。よって、上記した技術は、ゴム栓を搬送するパーツフィーダ(ゴム栓フィーダ)に適している。
【0020】
本発明の好ましい一態様によれば、前記照明装置は、スタートボタンを構成する照光スイッチに内蔵されている。かかる態様によれば、ワイヤーハーネス製造装置の構成要素をより少なくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワイヤーハーネス製造装置の構成要素を少なくしつつ、ユーザにエラーの内容を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ワイヤーハーネス製造装置のブロック図である。
図2】ゴム栓フィーダの模式的な一部破断正面図である。
図3】エア系統を含むゴム栓フィーダのブロック図である。
図4】エラーコード表現の一例を示す模式図である。
図5】他のエラーコード表現の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[ワイヤーハーネス製造装置の構成]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、ワイヤーハーネス製造装置1のブロック図である。図1に示すように、ワイヤーハーネス製造装置1は、ゴム栓フィーダ100と、伸線機200と、送給装置300と、電線クランプ装置400と、カッター装置500と、ゴム栓挿入装置600と、圧着機700と、トレイ800とを備えている。伸線機200は、電線の巻き癖を除去し、電線を真っ直ぐに矯正する装置である。送給装置300は、電線を送り出す装置である。送給装置300は、例えば、搬送ベルトを走行させることにより電線を送り出すように構成されている。電線クランプ装置400は、電線を把持する。カッター装置500は、電線クランプ装置400に把持された電線の切断、および電線の端部の被覆材の剥ぎ取りを行う。
【0024】
ゴム栓フィーダ100は、電線に装着される防水用のゴム栓5(図2参照)をゴム栓挿入装置600に送る。ゴム栓フィーダ100は、円筒状のゴム栓5の向きを揃えてゴム栓挿入装置600に送るように構成されている。ゴム栓挿入装置600は、ゴム栓5に電線を挿入する。圧着機700は、ゴム栓5が装着された後の電線の端部に端子を圧着する。トレイ800は、処理後の電線を回収する箱体である。
【0025】
図2は、ゴム栓フィーダ100の模式的な一部破断正面図である。図3は、エア系統を含むゴム栓フィーダ100のブロック図である。図2および図3に示すように、ゴム栓フィーダ100は、ホッパ機構10と、エスケープ機構20と、ロータリー機構30と、制御装置50と、操作パネル60と、を備えている。ホッパ機構10、エスケープ機構20、およびロータリー機構30は、それぞれ、担う機能によって区分されたゴム栓フィーダ100の機能ブロックの1つを構成している。ホッパ機構10は、多数のゴム栓5を収容する機能およびゴム栓5を一列に並べる機能を担っている。ロータリー機構30は、ゴム栓5の向きを揃える機能およびゴム栓5を送出する機能を担っている。エスケープ機構20は、ゴム栓5をホッパ機構10からロータリー機構30に運ぶ機能を担っている。ただし、ゴム栓フィーダ100の機能ブロックの分け方は上記には限定されず、様々な分け方が可能である。
【0026】
制御装置50は、図示しないワイヤーハーネス製造装置1全体の制御装置の一部であってもよく、ワイヤーハーネス製造装置1全体の制御装置とは独立していてもよい。操作パネル60は、制御装置50と電気的に接続されており、ここでは、ゴム栓フィーダ100の簡単な操作が可能である。
【0027】
ホッパ機構10は、図2に示すように、上下方向に延びる筒状のホッパ11を備えている。ホッパ11は、多数のゴム栓5を収容可能なように構成されている。ホッパ11の下端部には、図示しないゴム栓5の搬送路が設けられている。ゴム栓5は、この搬送路内で上下方向に並ぶようにかつ、軸線を上下方向に向けるように整列される。
【0028】
エスケープ機構20は、ホッパ11の下方に設けられている。図2に示すように、エスケープ機構20は、左右方向に移動可能なスライドプレート21を備えている。図3に示すように、エスケープ機構20は、スライドプレート21を左右方向に移動させる左右駆動シリンダ23と、左右駆動シリンダ23に供給する圧縮エアの方向を制御するシリンダ駆動バルブ22と、を備えている。
【0029】
図2に示すように、スライドプレート21には、ゴム栓5を挿入可能な挿入孔21aが形成されている。挿入孔21aは、スライドプレート21を上下方向に貫通している。図2に実線で示した左エンド位置にスライドプレート21があるとき、挿入孔21aは、ホッパ11の真下に位置する。図3に示すように、エスケープ機構20は、挿入孔21a内を減圧し、ゴム栓5を挿入孔21a内に引っ張り込むバキューム装置25を備えている。バキューム装置25は、内部を圧縮エアが通過するように構成されている。圧縮エアがバキューム装置25内を通過しバキューム装置25から噴射されることにより負圧が発生し、この負圧によりゴム栓5が吸引される。バキューム装置25に供給される圧縮エアは、下部吸引バルブ24(図3参照)によって制御されている。下部吸引バルブ24は、バキューム装置25に圧縮エアを供給するエア供給路に設けられ、エア供給路を開閉する。
【0030】
左右駆動シリンダ23によってスライドプレート21が図2に二点鎖線で示す右エンド位置に移動すると、挿入孔21aは、ロータリー機構30の回転体34の真上であって押込ピン31の真下に移動する。ロータリー機構30は、回転体34を回転させることにより、ゴム栓5の向きを揃える機構である。図2に示すように、回転体34は、中心を通るように貫通した貫通孔34aを備えている。押込ピン31は、スライドプレート21が右エンド位置にあるときに下方に移動することにより、挿入孔21a内のゴム栓5を回転体34の貫通孔34aに押し込む。ロータリー機構30は、図2および図3に示すように、押込ピン31を上下方向に移動させる上下駆動シリンダ33と、上下駆動シリンダ33に供給する圧縮エアの方向を制御するシリンダ駆動バルブ32と、を備えている。
【0031】
回転体34は、図示しないセンサ(ロータリー機構30またはエスケープ機構20に設けられている)によってゴム栓5の向きが所定の向きであることが検出された場合、図2の時計回りに90度回転する。回転体34は、センサによってゴム栓5の向きが所定の向きの逆向きであることが検出された場合、図2の反時計回りに90度回転する。ロータリー機構30は、かかる回転体34の回転により、ゴム栓5の向きを揃える。図3に示すように、ロータリー機構30は、回転体34を回転させる回転駆動シリンダ36と、回転駆動シリンダ36に供給する圧縮エアの方向を制御する回転駆動バルブ35と、を備えている。
【0032】
図2に示すように、ロータリー機構30は、ゴム栓5が送出される送出管37を備えている。送出管37の一端は回転体34の側方に配置され、他端はゴム栓挿入装置600に接続されている。回転体34が図2に示した状態から時計回りまたは反時計回りに90度回転されると、回転体34の貫通孔34aと送出管37とが接続される。
【0033】
図3に示すように、ロータリー機構30は、一次噴射バルブ38と、二次噴射バルブ39と、下部噴射バルブ40と、を備えている。一次噴射バルブ38は、送出管37に圧縮エアを噴射してゴム栓5を送出管37内で移動させる。二次噴射バルブ39も、送出管37に圧縮エアを噴射してゴム栓5を送出管37内で移動させる。二次噴射バルブ39は、一次噴射バルブ38よりも送出管37の下流において圧縮エアを噴射させるためのバルブである。一次噴射バルブ38および二次噴射バルブ39が開放されることによる圧縮エアの噴射により、ゴム栓5はゴム栓挿入装置600に送られる。下部噴射バルブ40は、ゴム栓5の種類を変更する際、回転体34内のゴム栓5を押込ピン31の側に排出するためのバルブである。下部噴射バルブ40は、圧縮エアを噴射することにより、回転体34の貫通孔34aに残っているゴム栓5を貫通孔34aから排出する。
【0034】
上記したバルブのうち、下部吸引バルブ24、一次噴射バルブ38、二次噴射バルブ39、および下部噴射バルブ40は、圧縮エアが供給されるエア供給路に設けられ、エア供給路を開閉するエアバルブである。これらエアバルブが開放されると、これらエアバルブを備えたエア噴射装置は、圧縮エアを噴射する。なお、下部吸引バルブ24を備えたエア噴射装置は、バキューム装置25である。ここでは、エア噴射装置とは、圧縮エアを噴射するように構成されたものを意味し、対象物に圧縮エアを吹きつけるものには限定されない。下部吸引バルブ24、一次噴射バルブ38、二次噴射バルブ39、および下部噴射バルブ40は、圧縮エアの噴射を制御し、シリンダ等のアクチュエータを駆動しないバルブである。
【0035】
図2に示すように、操作パネル60は、スタートリセットボタン61を備えている。スタートリセットボタン61は、スタートボタンと、エラーが発生した後のリセットボタンとを兼ねている。スタートリセットボタン61は、ここでは、点灯および消灯するランプ61aが内蔵された照光スイッチである。操作パネル60は出来る限り部材を少なくするように構成されており、本実施形態では、液晶パネル等の表示装置を備えていない。本実施形態に係るゴム栓フィーダ100は、スタートリセットボタン61のランプ61aの点灯/消灯と、エアバルブの開放による圧縮エアの噴射音を使ってエラーメッセージを発する。
【0036】
図3に示すように、ゴム栓フィーダ100の制御装置50は、ホッパ機構10と、エスケープ機構20のシリンダ駆動バルブ22および下部吸引バルブ24と、ロータリー機構30のシリンダ駆動バルブ32、回転駆動バルブ35、一次噴射バルブ38、二次噴射バルブ39、および下部噴射バルブ40と、スタートリセットボタン61のランプ61aと、に接続され、これらの動作を制御している。
【0037】
制御装置50の構成は特に限定されない。制御装置50は、例えば、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置50の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、各部は、プロセッサであってもよいし、回路であってもよい。図3に示すように、制御装置50は、エラーメッセージを発信するための制御部として、エラーコード記憶部51と、エラーコード変換部52と、エラー動作制御部53と、を備えている。制御装置50は他の制御部を備えていてもよいが、ここでは、図示および説明を省略する。
【0038】
エラーコード記憶部51は、2桁以上の数字からなるエラーコードを記憶している。本実施形態では、エラーコードは、3桁の数字から構成されている。エラーコードは、エラーの種類に応じて定められている。ゴム栓フィーダ100は、エラーメッセージにより、このエラーコードをユーザに伝達する。ユーザは、エラーコードの解読によりエラーの種類を知ることができる。本実施形態に係るゴム栓フィーダ100では、エスケープ機構20およびロータリー機構30に設けられたセンサによりエラーが検出される。エラーの一例は、例えば、スライドプレート21が左エンド位置から右エンド位置に所定時間内に到達しないエラーである。このエラーは、スライドプレート21が左エンド位置にあることを検出するセンサと、右エンド位置にあることを検出するセンサとによって検出される。1つの種類のエラーには、1つのエラーコードが対応する。なお、ここでは、ホッパ機構10にはセンサが設けられておらず、従って、ホッパ機構10に係るエラーは設定されていない。
【0039】
エラーコード変換部52は、所定の変換則に基づき、エラーコードの数字をランプ61aの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する。変換則は、エラーコードの桁および当該桁の数字を、ランプ61aの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに変換するように構成されている。変換則の詳細については後述する。エラー動作制御部53は、エラーコード変換部52によってエラーコードが変換されたランプ61aの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに基づき、ランプ61aおよびエアバルブを制御する。ここで制御されるエアバルブは、エスケープ機構20の下部吸引バルブ24と、ロータリー機構30の一次噴射バルブ38および下部噴射バルブ40である。エラー動作制御部53は、エラーが発生した機能ブロック(エスケープ機構20またはロータリー機構30)の噴射装置を制御して圧縮エアを噴射させる。以下に、本実施形態に係るゴム栓フィーダ100が発するエラーメッセージの詳細について説明する。
【0040】
[エラーメッセージの詳細]
本実施形態では、ゴム栓フィーダ100に記憶されたエラーコードの変換則は、エラーコードの桁を圧縮エアの噴射で表し、当該桁の数字をランプ61aの点灯回数で表す、というものである。さらに詳しくは、変換則は、予め定められた特定の桁の数字をランプ61aの点灯回数で表す際にはランプ61aの点灯とともに圧縮エアを噴射し、他の桁の数字をランプ61aの点灯回数で表す際には圧縮エアの噴射を停止する、というものである。圧縮エアの噴射を伴う特定の桁は、ここでは、100の桁である。ただし、圧縮エアの噴射を伴う特定の桁は、100の桁に限定されるわけではない。
【0041】
図4は、エラーコード表現の一例を示す模式図である。図4では、一例として、エラーコード「103」を表す。図4に示すように、エラーコード「103」は、圧縮エアの噴射音を伴うランプ61aの長い点灯1回と、圧縮エアの噴射音を伴わないランプ61aの短い点灯3回と、によって構成される。圧縮エアの噴射音を伴うランプ61aの長い点灯1回は、「100」を表す。圧縮エアの噴射音を伴うランプ61aの長い点灯が2回行われたとすれば、それは、「200」を表す。どのエアバルブが開放されて圧縮エアの噴射音が発生されたかは後述するが、圧縮エアの噴射音は、いずれかのエアバルブの開放によるものである。
【0042】
また、圧縮エアの噴射音を伴わないランプ61aの短い点灯1回は、「1」を表す。圧縮エアの噴射音を伴わないランプ61aの短い点灯が3回行われると「3」を表し、11回行われたとすれば、「11」を表す。本実施形態では、圧縮エアの噴射音の有無だけでなく、ランプ61aの点灯時間の長短によっても、エラーコードの桁が表される。
【0043】
ゴム栓フィーダ100において、操作パネル60は、出来る限り部材を少なくしてサイズおよびコストを低減するするように構成されており、本実施形態では、液晶パネル等の表示装置を備えていない。それでも、ユーザは、ランプ61aの点灯とエア噴射装置からの圧縮エアの噴射との組み合わせによって表現されるエラーメッセージによって、エラーコードを確認することが可能である。
【0044】
さらに本実施形態では、ゴム栓フィーダ100は、複数の機能ブロック(ここでは、エスケープ機構20およびロータリー機構30)に分割されており、エラーが発生した機能ブロックの噴射装置(ここでは、エスケープ機構20のバキューム装置25、ロータリー機構30の一次噴射バルブ38、または下部噴射バルブ40)を制御して圧縮エアを噴射させる。具体的には、エスケープ機構20にエラーが発生した場合には、エスケープ機構20の下部吸引バルブ24が開放され、バキューム装置25から圧縮エアが噴射される。ロータリー機構30の押込ピン31関係の部位にエラーが発生した場合には、ロータリー機構30の下部噴射バルブ40が開放され、圧縮エアが噴射される。ロータリー機構30の回転体34または送出管37関係の部位にエラーが発生した場合には、ロータリー機構30の一次噴射バルブ38が開放され、圧縮エアが噴射される。このような構成により、ユーザは、エラーがゴム栓5のどの機能ブロックで発生したのかを感覚的にも理解することができる。なお、ロータリー機構30の回転体34または送出管37関係の部位にエラーが発生した場合、ロータリー機構30の二次噴射バルブ39が開放されてもよい。
【0045】
[実施形態の作用効果]
以上が一実施形態に係るワイヤーハーネス製造装置1についての説明である。次に、本実施形態に係るワイヤーハーネス製造装置1により奏される作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係るワイヤーハーネス製造装置1のゴム栓フィーダ100は、点灯および消灯するランプ61aと、エアバルブを備えエアバルブが開放されると圧縮エアを噴射するエア噴射装置と、ランプ61aおよびエアバルブを制御する制御装置50と、を備えている。本実施形態では、エアバルブは、エスケープ機構20の下部吸引バルブ24、ロータリー機構30の一次噴射バルブ38、およびロータリー機構30の下部噴射バルブ40を含んでいる。制御装置50は、エラーコード記憶部51と、エラーコード変換部52と、エラー動作制御部53と、を備えている。エラーコード記憶部51は、2桁以上の数字からなるエラーコードを記憶している。エラーコード変換部52は、エラーコードの桁および当該桁の数字をランプ61aの点灯とエア噴射装置からの圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する変換則に基づき、エラーコードの数字をランプ61aの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに変換する。エラー動作制御部53は、エラーコード変換部52によってエラーコードが変換されたランプ61aの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせに基づき、ランプ61aおよびエアバルブを制御する。
【0047】
かかるゴム栓フィーダ100によれば、ランプ61aの点灯と圧縮エアが噴射される音との組み合わせによって、2桁以上の数字からなるエラーコードを表すことができる。そのため、ゴム栓フィーダ100は、エラーコードを表示するための表示装置を備える必要がない。これにより、ゴム栓フィーダ100およびワイヤーハーネス製造装置1の構成要素を少なくしつつ、ユーザにエラーの内容を伝達することができる。
【0048】
本実施形態では、上記変換則は、エラーコードの桁を圧縮エアの噴射で表し、当該桁の数字をランプ61aの点灯回数で表すように構成されている。より詳しくは、上記変換則は、予め定められた特定の桁の数字をランプ61aの点灯回数で表す際にはランプ61aの点灯とともに圧縮エアを噴射し、他の桁の数字をランプ61aの点灯回数で表す際には圧縮エアの噴射を停止するように構成されている。かかる構成によれば、エラーコードの桁が判別できるとともに当該桁の数字も判別できるため、エラーコードの読み取りが容易である。
【0049】
本実施形態では、ゴム栓フィーダ100は、複数の機能ブロック(エスケープ機構20およびロータリー機構30)に分割されている。エア噴射装置は、複数の機能ブロックごとに設けられた複数の噴射装置(ここでは、エスケープ機構20のバキューム装置25と、ロータリー機構30の一次噴射バルブ38および下部噴射バルブ40)を含んでいる。エラー動作制御部53は、エラーが発生した機能ブロックの噴射装置を制御して圧縮エアを噴射させる。かかる構成によれば、エラーが発生した機能ブロックの噴射装置から圧縮エアが噴射されるため、エラーが発生した機能ブロックがユーザに分かりやすい。なお、エラー検知の機能がなく、エラーが発生し得ない機能ブロック(例えば、ホッパ機構10)は、噴射装置を備えなくてもよい。ここでの機能ブロックとは、エラーが発生し得る機能ブロックのことを指す。
【0050】
本実施形態では、ゴム栓フィーダ100は、ゴム栓5が通る搬送路(エスケープ機構20の挿入孔21a、回転体34の貫通孔34a、送出管37等)を備えている。エア噴射装置は、これらの搬送路に圧縮エアを噴射してゴム栓5を搬送路内で移動させる。かかる構成によれば、エア噴射装置はゴム栓5をゴム栓フィーダ100において移動させるためのものであり、エラーコードの表現のために新たに設けられたエア噴射装置ではない。そのため、ゴム栓フィーダ100およびワイヤーハーネス製造装置1の構成要素をより少なくすることができる。また、アクチュエータを駆動するエアバルブと異なり、エア噴射装置から圧縮エアを噴射するためのエアバルブを開放しても、駆動するアクチュエータはない。そのため、エラー中にアクチュエータが駆動することによる問題が発生しない。また、エラーが発生したときの状態でゴム栓フィーダ100を停止することができる。
【0051】
本実施形態では、ゴム栓フィーダ100が搬送する部品は、ゴム栓5である。ゴム栓5の搬送方式としては圧縮エアによる方式が好適であり、ゴム栓5を搬送するパーツフィーダは、基本的には、エア噴射装置を備える。よって、ここに開示する技術は、ゴム栓5を搬送するパーツフィーダ(ゴム栓フィーダ)に適している。
【0052】
本実施形態では、ランプ61aは、スタートボタン(ここではスタートリセットボタン)61を構成する照光スイッチに内蔵されている。かかる構成によれば、ゴム栓フィーダ100およびワイヤーハーネス製造装置1の構成要素をさらに少なくすることができる。
【0053】
[他の実施形態]
以上、いくつかの好適な実施形態について説明した。しかし、上記実施形態は一例に過ぎず、他にも様々な実施形態が可能である。
【0054】
例えば、上記した実施形態では、変換則は、予め定められた特定の桁の数字をランプ61aの点灯回数で表す際にはランプ61aの点灯とともに圧縮エアを噴射し、他の桁の数字をランプ61aの点灯回数で表す際には圧縮エアの噴射を停止する、というものであった。しかし、変換則は、エラーコードの桁同士の間の区切りを圧縮エアの噴射で表し、桁の数字をランプの点灯回数で表すように構成されていてもよい。
【0055】
例えば、エラーコードが3桁の場合、ランプによる100の桁の数字の表現の後に圧縮エアの噴射を挿入してもよい。その後、ランプの点灯回数により1の桁の数字(9を超える場合には、2桁の数字)を表してもよい。繰り返し表示されるエラーコード同士の間の区切りは、例えば、ある程度長いインターバルを挟むことにより判別可能である。かかる構成によっても、エラーコードの桁が判別できるとともに当該桁の数字も判別できる。そのため、エラーコードの読み取りが容易に可能である。
【0056】
また、変換則は、エラーコードの桁をランプの点灯で表し、当該桁の数字を圧縮エアの噴射回数で表すように構成されていてもよい。例えば、図5に示す例では、エラーコード「103」は、ランプの点灯を伴う圧縮エアの噴射音1回と、ランプの点灯を伴わない圧縮エアの噴射音3回と、によって構成される。ランプの点灯を伴う圧縮エアの噴射音1回は、「100」を表す。ランプの点灯を伴わない圧縮エアの噴射音1回は、「1」を表す。ランプの点灯を伴わない圧縮エアの3回の噴射は、「3」を表す。かかる構成によっても、エラーコードの桁が判別できるとともに当該桁の数字も判別できる。そのため、エラーコードの読み取りが容易に可能である。なお、ランプの点灯によって表される桁は100の桁には限定されない。
【0057】
上記した実施形態におけるゴム栓フィーダ100の各部の構成、機能ブロックの区分、エラーコード表現用のエア噴射装置の選択などは例示であり、上記には限定されない。
【0058】
その他、特に言及されない限りにおいて、実施形態は本発明を限定しない。例えば、上記した実施形態では、エラーコードの数字をランプの点灯と圧縮エアの噴射との組み合わせによって表す装置はゴム栓フィーダ100であったが、他の装置であってもよい。圧縮エアを噴射するエア噴射装置を備える装置であれば、本発明の技術を適用することができる。例えば、電線を送る送給装置300などにも、本発明の技術を適用することができる。また、例えば、電線が巻かれたボビンから電線を繰り出す電線繰り出し機や、完成後のワイヤーハーネスを種類ごとに仕分ける仕分け装置などに本発明の技術を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 ワイヤーハーネス製造装置
5 ゴム栓
20 エスケープ機構(機能ブロック)
24 下部吸引バルブ(エアバルブ)
30 ロータリー機構(機能ブロック)
37 送出管(搬送路)
38 一次噴射バルブ(エアバルブ)
39 二次噴射バルブ(エアバルブ)
40 下部噴射バルブ(エアバルブ)
50 制御装置
51 エラーコード記憶部(コード記憶)
52 エラーコード変換部(コード変換部)
53 エラー動作制御部(動作制御部)
60 操作パネル
61 スタートリセットボタン(スタートボタン)
61a ランプ(照明装置)
100 ゴム栓フィーダ(パーツフィーダ)
図1
図2
図3
図4
図5