(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013671
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/52 20060101AFI20230119BHJP
H01H 13/04 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
H01H13/52 F
H01H13/04 B
H01H13/04 A
H01H13/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118022
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(72)【発明者】
【氏名】安永 洋一
(72)【発明者】
【氏名】河村 喬
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS12H
5G206AS12J
5G206AS12K
5G206AS12N
5G206AS38H
5G206AS38J
5G206AS38K
5G206AS38N
5G206CS01J
5G206CS04H
5G206FS32H
5G206FS32J
5G206FS32K
5G206FU03
5G206KS15
5G206NS02
5G206NS04
5G206NS05
(57)【要約】
【課題】ドーム状の可動接点を利用し、かつ、防水機能を有するプッシュスイッチの耐衝撃性を向上させる。
【解決手段】プッシュスイッチ1は、収納部23を備えるケース2と、収納部23内に、互いに離間して設けられた一対の接点3、4と、収納部23内において、一対の接点3、4の上側に配置された可動接点5bと、ケース2上に配置されるベース部71を備えるキャップ7と、ケース2上でキャップ7を保持するようケース2に上方から取り付けられるカバー8と、ケース2に対して下方から取り付けられるフレーム9と、を含む。ケース2は、カバー8とフレーム9との間で保持されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板および前記底板から上方に延伸する複数の壁部によって規定される収納部を備えるケースと、
前記収納部内の前記底板上に、互いに離間して設けられた一対の接点と、
前記収納部内において、前記一対の接点の上側に配置され、前記一対の接点を非導通状態とする第1の位置と、前記一対の接点を導通状態とする第2の位置との間で変位可能な可動接点と、
前記ケースの前記複数の壁部の上端面上に配置される平板状のベース部と、前記ベース部から上方に突出する突出部と、を備え、前記ケースの前記収納部を上方から覆うキャップと、
トッププレートと、前記キャップの前記突出部を挿通させるよう前記トッププレートに形成された開口と、を備え、前記ケース上で前記キャップを保持するよう、前記ケースに上方から取り付けられるカバーと、
ボトムプレートを備え、前記ケースに対して下方から取り付けられるフレームと、を含み、
前記ケースは、前記カバーと前記フレームとの間で保持されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記カバーの前記トッププレートは、略四角形の平面形状を有しており、
前記カバーは、前記トッププレートの対向する一対の辺のそれぞれから下方に延伸する一対の溶接片をさらに備えており、
前記フレームの前記ボトムプレートは、略四角形の平面形状を有しており、
前記フレームは、前記ボトムプレートの対向する一対の辺のそれぞれから上方に向かって延伸する一対の溶接片をさらに備えており、
前記カバーの前記一対の溶接片が、前記フレームの前記一対の溶接片にそれぞれ溶接されており、これにより、前記ケースが、互いに溶接された前記カバーと前記フレームとの間で保持される請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記ケースは、前記複数の壁部のうちの対向する一対の壁部のそれぞれの外側面上に形成された一対の受け溝をさらに備えており、
前記一対の受け溝のそれぞれは、前記ケースの前記溶接片を収納するための第1の受け溝と、前記フレームの前記溶接片を収納するための第2の受け溝と、を含んでおり、
前記第1の受け溝内に収納された前記カバーの前記溶接片は、前記第2の受け溝内に収納された前記フレームの前記溶接片上に位置し、
前記カバーの前記溶接片の内側面が、前記フレームの前記溶接片の外側面上に溶接されている請求項2に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記カバーの前記溶接片は、前記フレームの前記溶接片にレーザー溶接されている請求項2または3に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
前記カバーおよび前記フレームのそれぞれは、金属材料により構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記ケースは、前記複数の壁部の前記上端面上に形成された封止溝をさらに備え、
前記キャップは、前記ベース部の周縁部から下方に突出し、前記ケースの前記封止溝を液密に封止するための封止突部をさらに備え、
前記カバーによって前記ケース上で前記キャップが保持されている状態において、前記キャップの前記封止突部は、前記ケースの前記封止溝内において圧縮変形され、これにより、前記ケースの前記封止溝が液密に封止される請求項1ないし5のいずれかに記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記ケースは、前記複数の壁部の前記上端面上に、前記収納部を囲むように形成された受け凹部をさらに備えており、
前記キャップの前記ベース部は、前記ケース内の前記受け凹部内に収納される請求項6に記載のプッシュスイッチ。
【請求項8】
前記ケースの前記封止溝は、前記受け凹部の底面上に、前記収納部を囲むように形成されており、
前記キャップの前記封止突部は、前記キャップの前記ベース部の前記周縁部を一周するよう形成され、前記封止溝と係合する請求項7に記載のプッシュスイッチ。
【請求項9】
前記キャップの前記ベース部が前記ケースの前記受け凹部内に収納された状態において、前記キャップの前記ベース部は、前記ケース部の前記受け凹部から上方に突出しており、
前記カバーが前記ケースに取り付けられる際、前記カバーの前記トッププレートが、前記キャップの前記ベース部を下方に押圧し、これにより、前記キャップの前記封止突部が、前記ケースの前記封止溝内において圧縮変形される請求項7または8に記載のプッシュスイッチ。
【請求項10】
前記キャップの前記封止突部の前記ベース部からの下方への突出長さは、前記キャップの前記封止突部が前記封止溝内において圧縮変形される前の状態において、前記ケースの前記封止溝の深さよりも大きい請求項6ないし9のいずれかに記載のプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プッシュスイッチに関し、より具体的には、押圧操作によりクリック感を伴って動作するプッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な電子機器の操作ボタンとして、ドーム状の可動接点を利用するプッシュスイッチが多く採用されている。このようなプッシュスイッチは、小型化および低背化可能であるとともに、ユーザーの押下により操作ボタンが動作した際に、良好なクリック感(押圧操作感)をユーザーに提供することができる。
【0003】
例えば、特許文献1は、
図1および
図2に示すようなプッシュスイッチ500を開示している。
図1は、プッシュスイッチ500の分解斜視図であり、
図2は、プッシュスイッチ500の斜視図である。
図1および
図2に示されているように、プッシュスイッチ500は、略四角形の底板511と、底板511の各辺から上方に延伸する4つの壁部512と、底板511および4つの壁部512によって規定される収納部513と、対向する一対の壁部(図中のY方向に延伸する一対の壁部)512のそれぞれに形成された係合突部514と、を備えるケース510と、ケース510の底板511上に、互いに離間して設けられた中央接点520および外側接点530と、ケース510の収納部513内において中央接点520および外側接点530の上側に設けられたドーム状の可動接点540と、弾性材料から形成され、ケース510の4つの壁部512の上端面上に配置される平板状のベース部551と、ベース部551の略中央に形成され、ドーム状の可動接点540を下方に押圧するための突出部552と、を有し、ケース510の収納部513を上方から覆うキャップ550と、キャップ550のベース部551を上方から押し付けることにより、ケース510上でキャップ550を保持する金属製のカバー560と、を含んでいる。
【0004】
カバー560は、略四角形の平面形状を有するトッププレート561と、トッププレート561の略中央に形成された円形の開口562と、トッププレート561の対向する一対の辺(図中のY方向に延伸する一対の辺)からそれぞれ下方に延伸する一対の延伸部563とを備えている。また、一対の延伸部563のそれぞれは、トッププレート561の辺から下方に向かって延伸する一対の脚部5631と、一対の脚部5631の下方先端部を互いに接続する架橋部5632と、を有している。また、架橋部5632は、一対の脚部5631の下方先端部から外側に向かって傾斜している。さらに、ケース510の係合突部514のそれぞれは、上方から下方に向かって高さが漸増する斜面5141と、斜面5141の頭頂部から下方に向かって直線状に延伸する平坦部5142と、を有している。
【0005】
ケース510の収納部513内にドーム状の可動接点540が配置され、さらに、ケース510の複数の壁部512の上端面上にキャップ550のベース部551が配置された状態で、カバー560を上方(+Z方向)からケース510に押し付けて、カバー560をケース510に取り付けることにより、プッシュスイッチ500が組み立てられる。カバー560を上方からケース510に取り付ける際、カバー560の一対の延伸部563の架橋部5632が、ケース510の係合突部514の斜面5141上をスライドする。これにより、カバー560の一対の延伸部563が外側に開き、カバー560を下方(-Z方向)に押し込むことが可能となる。その後、カバー560の一対の延伸部563の架橋部5632が、それぞれ、ケース510の一対の係合突部514の平坦部5142を通過すると、ケース510の係合突部514の平坦部5142の下端面が、カバー560の一対の延伸部563の架橋部5632の上端面と係合し、カバー560がケース510に対してロックされ、プッシュスイッチ500が組み立てられる。
【0006】
図2に示されているように、プッシュスイッチ500が組み立てられた状態において、キャップ550の突出部552がカバー560の開口562を挿通し、カバー560のトッププレート561から上方に突出する。さらに、カバー560がケース510に対してロックされ、キャップ550のベース部551が、ケース510の壁部512の上端面とカバー560のトッププレート561との間で圧縮された状態で保持される。そのため、ケース510とカバー560との間の空間が、キャップ550のベース部551によって液密に封止され、ケース510の収納部513内への水の侵入を防止することができる。このような構成により、プッシュスイッチ500は、防水性能を実現することができる。
【0007】
このようなプッシュスイッチ500は、防水性能を有していることから、スマートフォンやゲーム機のコントローラーのような、ハンドヘルド型の電子機器に用いられることが多い。しかしながら、例えば、ユーザーが電子機器を地面に落とした場合のように、電子機器に強い衝撃が印加された場合、プッシュスイッチ500のケース510に歪みや反り等の変形が生じ、プッシュスイッチ500の特性が変化してしまうという問題があった。また、プッシュスイッチ500に対して高負荷や高荷重が印加されたような場合も同様に、プッシュスイッチ500のケース510に変形が生じ、プッシュスイッチ500の特性が変化してしまう。また、衝撃、負荷、荷重によって、ケース510上でカバー560が揺動し、ケース510に対するカバー560の係合が緩み、ケース510とカバー560との間に隙間が生じ、プッシュスイッチ500の防水性が損なわれてしまうという問題もあった。そのため、ドーム状の可動接点を利用し、かつ、防水機能を有するプッシュスイッチの耐衝撃性、耐負荷性能、耐荷重性能を向上させたいという強いニーズが存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、ドーム状の可動接点を利用し、かつ、防水機能を有するプッシュスイッチの耐衝撃性、耐負荷性能、耐荷重性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、以下の(1)に規定される本発明により達成される。
(1)底板および前記底板から上方に延伸する複数の壁部によって規定される収納部を備えるケースと、
前記収納部内の前記底板上に、互いに離間して設けられた一対の接点と、
前記収納部内において、前記一対の接点の上側に配置され、前記一対の接点を非導通状態とする第1の位置と、前記一対の接点を導通状態とする第2の位置との間で変位可能な可動接点と、
前記ケースの前記複数の壁部の上端面上に配置される平板状のベース部と、前記ベース部から上方に突出する突出部と、を備え、前記ケースの前記収納部を上方から覆うキャップと、
トッププレートと、前記キャップの前記突出部を挿通させるよう前記トッププレートに形成された開口と、を備え、前記ケース上で前記キャップを保持するよう、前記ケースに上方から取り付けられるカバーと、
ボトムプレートを備え、前記ケースに対して下方から取り付けられるフレームと、を含み、
前記ケースは、前記カバーと前記フレームとの間で保持されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプッシュスイッチにおいては、一対の接点を保持するケースが、カバーとフレームとの間で保持されるため、ケースの上側部分がカバーによって補強され、かつ、ケースの下側部分がフレームによって補強される。そのため、本発明のプッシュスイッチに衝撃、高負荷、高荷重が印加された際のケースの変形を抑制することができ、プッシュスイッチの耐衝撃性、耐負荷性能、耐荷重性能を高めることができる。
【0012】
さらに、本発明のプッシュスイッチにおいては、カバーの溶接片がフレームの溶接片に溶接されている。そのため、本発明のプッシュスイッチに衝撃、高負荷、高荷重が印加された際のカバーに対するケースの係合の緩みを抑制することができ、プッシュスイッチの耐衝撃性、耐負荷性能、耐荷重性能を高めることができる。
【0013】
さらに、本発明のプッシュスイッチにおいては 、カバーとフレームでケースを上下から挟み込み、さらに、カバーとフレームを溶接し、互いに強固に固定することで、ケースの変形を防止している。そのため、本発明のプッシュスイッチは、優れた耐衝撃性、耐負荷性能、耐荷重性能を有している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来技術のプッシュスイッチの分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す従来技術のプッシュスイッチの斜視図である。
【
図3】本発明に係るプッシュスイッチの斜視図である。
【
図4】
図3に示すプッシュスイッチを別の角度から見た斜視図である。
【
図5】
図3に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。
【
図6】
図5に示すプッシュスイッチのケース、中央接点、および外側接点を別の角度から見た斜視図である。
【
図7】
図5に示すプッシュスイッチのケース、中央接点、および外側接点をさらに別の角度から見た斜視図である。
【
図8】
図6および
図7に示す中央接点および外側接点の斜視図である。
【
図9】
図5に示す押圧部材を別の角度から見た斜視図である。
【
図10】
図5に示すキャップを別の角度から見た斜視図である。
【
図11】
図5に示すカバーを別の角度から見た斜視図である。
【
図12】
図5に示すフレームを別の角度から見た斜視図である。
【
図13】ケースの収納部内に第1の可動接点、第2の可動接点、押圧部材、およびキャップを収納した状態を示す斜視図である。
【
図14】プッシュスイッチに対して押圧力が加えられていない自然状態での、
図3のA-A線に沿ったプッシュスイッチの縦断面図である。
【
図15】プッシュスイッチに対して、プッシュスイッチの作動力を超える押圧力が加えられた押下状態での、
図3のA-A線に沿ったプッシュスイッチの縦断面図である。
【
図16】本発明に係るプッシュスイッチの平面図である。
【
図17】本発明に係るプッシュスイッチの底面図である。
【
図18】本発明に係るプッシュスイッチの正面図である。
【
図19】本発明に係るプッシュスイッチの背面図である。
【
図20】本発明に係るプッシュスイッチの左側面図である。
【
図21】本発明に係るプッシュスイッチの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のプッシュスイッチを、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて、説明する。なお、以下で参照する各図は、本発明の説明のために用意された模式的な図である。図面に示された各構成要素の寸法(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。また、各図において、同一または対応する要素には、同じ参照番号が付されている。以下の説明において、各図のZ軸の正方向を「上方」といい、Z軸の負方向を「下方」ということがある。
【0016】
以下、
図3~
図15を参照して、本発明のプッシュスイッチを詳述する。
図3は、本発明に係るプッシュスイッチの斜視図である。
図4は、
図3に示すプッシュスイッチを別の角度から見た斜視図である。
図5は、
図3に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。
図6は、
図5に示すプッシュスイッチのケース、中央接点、および外側接点を別の角度から見た斜視図である。
図7は、
図5に示すプッシュスイッチのケース、中央接点、および外側接点をさらに別の角度から見た斜視図である。
図8は、
図6および
図7に示す中央接点および外側接点の斜視図である。
図9は、
図5に示す押圧部材を別の角度から見た斜視図である。
図10は、
図5に示すキャップを別の角度から見た斜視図である。
図11は、
図5に示すカバーを別の角度から見た斜視図である。
図12は、
図5に示すフレームを別の角度から見た斜視図である。
図13は、ケースの収納部内に第1の可動接点、第2の可動接点、押圧部材、およびキャップを収納した状態を示す斜視図である。
図14は、プッシュスイッチに対して押圧力が加えられていない自然状態での、
図3のA-A線に沿ったプッシュスイッチの縦断面図である。
図15は、プッシュスイッチに対して、プッシュスイッチの作動力を超える押圧力が加えられた押下状態での、
図3のA-A線に沿ったプッシュスイッチの縦断面図である。
【0017】
図3および
図4に示す本発明の実施形態にかかるプッシュスイッチ1は、ユーザーから、プッシュスイッチ1の作動力を超える押圧力が印加された際にオン状態となり、ユーザーから印加された押圧力が解除されるとオフ状態となるスイッチである。また、プッシュスイッチ1は、防水機能を有しており、プッシュスイッチ1の内部への水の侵入を防ぐことができる。そのため、プッシュスイッチ1は、典型的には、水に晒される可能性がある電子機器に用いられる。例えば、プッシュスイッチ1は、スマートフォンやゲーム機のコントローラー等のハンドヘルド型の電子機器のプッシュスイッチとして用いることができる。
【0018】
図3および
図4に示されているように、プッシュスイッチ1は、低背の直方体状のケース2から、ユーザーによって押圧される突出部72が上方に突出している形状を有している。
図5に示されているように、プッシュスイッチ1は、ケース2と、中央接点3と、外側接点4、補助バネ5aと、可動接点5bと、押圧部材6と、キャップ7と、カバー8と、フレーム9と、を含んでいる。
【0019】
ケース2は、絶縁性樹脂により形成され、上方に向かって開口する箱型部材である。以下、
図6および
図7を参照して、ケース2の構造について詳述する。
図6および
図7は、中央接点3および外側接点4を保持しているケース2を示している。
図6および
図7に示されているように、ケース2は、底板21と、底板21の外周部から上方に向かって延伸する一対の長壁部22Lおよび一対の短壁部22Sと、底板21および底板21から上方に延伸する一対の長壁部22Lおよび一対の短壁部22Sによって規定される収納部23と、長壁部22Lおよび短壁部22Sの上端面221上に形成された受け凹部24および封止溝25と、を備えている。また、封止溝25は、受け凹部24の底面上に形成されている。
【0020】
ケース2は、中央接点3および外側接点4を互いに絶縁した状態で内部において保持している。底板21は、略四角形(より具体的には、略長方形)の平面形状を有する板状部材であり、プッシュスイッチ1の基板として機能する。
図7に示されているように、底板21は、自身の下面上に形成された凹部211と、凹部211から下方に向かって突出する突出部212と、突出部212を挟みこむように形成された一対の水平延伸部213と、を有している。凹部211は、フレーム9のボトムプレート91を収納するために、底板21の下面上に形成されている。凹部211の深さは、フレーム9のボトムプレート91の厚さと略等しい。突出部212は、凹部211の略中央部から下方に向かって突出する略矩形状の突出部分である。
図4に示されているように、フレーム9をケース2に対して取り付けた際、突出部212が、フレーム9のボトムプレート91に形成された開口911を挿通し、ケース2に対するフレーム9の面方向の揺動を防止する。一対の水平延伸部213は、凹部211のY軸方向の両壁部のそれぞれから、内側に向かって直線状に延伸する部分である。フレーム9をケース2に対して取り付けた際、一対の水平延伸部213が、フレーム9のボトムプレート91の一対の短辺にそれぞれ形成された一対の切り欠き部912と係合し、ケース2に対するフレーム9のX軸方向の揺動を防止する。なお、本明細書において「略四角形」といった場合、正方形だけでなく、長方形、角が丸められた四角形、四角形の一部が切り取られた形状等をも指すことに留意されたい。
【0021】
図6に戻り、一対の長壁部22Lは、底板21の長辺からそれぞれ上方に向かって延伸しており、底板21と一体的に形成されている。同様に、一対の短壁部22Sは、底板21の短辺からそれぞれ上方に向かって延伸しており、底板21と一体的に形成されている。収納部23は、底板21の上面、長壁部22Lの内側面、および短壁部22Sの内側面によって規定される上方に向かって開口する凹部である。図示の形態では、収納部23の内側面は、略四角形(より具体的には、略長方形)の平面形状を形成している。収納部23内にプッシュスイッチ1の各コンポーネントが収納される。このように、ケース2は、収納部23内にプッシュスイッチ1の各コンポーネントを収納するハウジングとしての機能を有している。また、ケース2は、中央接点3および外側接点4を互いに絶縁した状態で保持している。ケース2は、ケース2の形状に対応した内側形状を有する金型内に中央接点3および外側接点4を配置して、該金型内に絶縁性樹脂を注入し、硬化させることにより得られる。
【0022】
図6および
図7に示されているように、一対の長壁部22Lのそれぞれは、自身の外側面上に形成された中央突出部222Lと、中央突出部222Lの両側に形成された一対のフレーム係止部223Lと、一対のフレーム係止部223Lの外側に形成された一対の受け溝224Lと、自身の上端面221に形成された切り欠き部225Lと、を含んでいる。
【0023】
中央突出部222Lは、長壁部22Lの外側面の略中央部上に外側に突出するよう形成された矩形状部分である。中央突出部222Lの上端面は、長壁部22Lの上端面221に形成された切り欠き部225Lと連続する平坦面となっている。
図3に示されているように、カバー8をケース2に取り付けた際、カバー8のトッププレート81の長辺の略中央部から下方に延伸する下方延伸部85の下端部に形成された係合凹部851に、中央突出部222Lが係合し、カバー8のケース2上でのY軸方向への揺動が防止される。
【0024】
図7に戻り、一対のフレーム係止部223Lは、長壁部22Lの外側面上に、Z軸方向に延伸するよう形成されたテーパー状部分である。一対のフレーム係止部223Lは、中央突出部222Lと離間した状態で、中央突出部222LをY軸方向において挟み込むよう、長壁部22Lの外側面上に形成されている。一対のフレーム係止部223Lのそれぞれは、下方から上方に向かって高さが漸増するガイド斜面2231Lと、ガイド斜面2231Lの頭頂部から上方に向かって直線状に延伸する平坦部2232Lと、を有している。ガイド斜面2231Lは、ケース2に対してフレーム9を下方から取り付ける際に、フレーム9のボトムプレート91の長辺から上方に延伸する係合部92の係止部922(
図3参照)をガイドする機能を有している。フレーム9をケース2に下方から取り付ける際、フレーム9の係合部92の係止部922が、ガイド斜面2231L上をスライドすることにより、フレーム9の係合部92が外側に開かれていき、ケース2に対するフレーム9の取り付けがガイドされる。平坦部2232Lは、フレーム9をケース2に対して取り付けた際に、フレーム9の係合部92の係止部922と係合し、ケース2からのフレーム9の離脱を防止する機能を有している。フレーム9をケース2に下方から取り付ける際、フレーム9の係合部92の係止部922が、平坦部2232Lを乗り越えると、フレーム9の係合部92が内側に向かって弾性復元し、平坦部2232Lの上端面と、フレーム9の係合部92の係止部922の下端面とが係合し、フレーム9がケース2に対してロックされる。この際、フレーム9の係合部92の直線部921が、中央突出部222Lとフレーム係止部223Lとの間の空間内に位置する。
【0025】
図7に戻り、一対の受け溝224Lのそれぞれは、フレーム係止部223Lと短壁部22Sとの間に規定された空間である。受け溝224Lは、フレーム係止部223Lと、短壁部22Sと、長壁部22Lの外側面とによって規定される第1の受け溝2241Lと、第1の受け溝2241Lの底面(長壁部22Lの外側面)上に、Z軸方向に延伸するよう形成された矩形状の第2の受け溝2242Lと、を含んでいる。第1の受け溝2241Lは、カバー8の溶接片84(
図11参照)を収納するために形成されている。第2の受け溝2242Lは、フレーム9の溶接片93(
図12参照)を収納するために形成されている。
【0026】
図4に示されているように、フレーム9をケース2に対して取り付けた際、フレーム9のボトムプレート91の長辺のそれぞれから上方に向かって延伸する一対の溶接片93が、一対の受け溝224Lの第2の受け溝2242L内にそれぞれ位置する。さらに、カバー8をケース2に対して取り付けた際、カバー8のトッププレート81の長辺のそれぞれから下方に向かって延伸する一対の溶接片84が、一対の受け溝224Lの第1の受け溝2241L内にそれぞれ位置する。第2の受け溝2242Lの深さ(X軸方向の長さ)は、フレーム9の溶接片93の厚さと略等しいので、第1の受け溝2241Lの底面とフレーム9の溶接片93の外側面(溶接面)931(
図12参照)とが、同一平面上に位置する。また、第1の受け溝2241L内に位置するカバー8の溶接片84の内側面(溶接面)841(
図11参照)が、第1の受け溝2241Lの底面およびフレーム9の溶接片93の外側面(溶接面)931に接触する。
【0027】
図6に戻り、切り欠き部225Lは、長壁部22Lの上端面221のY軸方向の略中央部を切り欠くことにより形成された部分である。キャップ7のベース部71をケース2の受け凹部24内に収納した状態において、
図13に示されているように、キャップ7のベース部71の一対の外側延伸部75が、一対の長壁部22Lの切り欠き部225Lとそれぞれ係合する。このような構成により、キャップ7のケース2に対する位置決めがなされると共に、キャップ7のケース2に対するY軸方向の揺動が防止される。
【0028】
図6および
図7に戻り、一対の短壁部22Sのそれぞれは、自身の外側面上に形成された一対のカバー係止部222Sを含んでいる。一対のカバー係止部222Sは、短壁部22Sの外側面のX軸方向の両端部上に、Y軸方向に延伸するよう形成されたテーパー状部分である。一対のカバー係止部222Sのそれぞれは、上方から下方に向かって高さが漸増するガイド斜面2221Sと、ガイド斜面2221Sの頭頂部から下方に向かって直線状に延伸する平坦部2222Sと、を有している。ガイド斜面2221Sは、カバー8をケース2に上方から取り付ける際に、カバー8のトッププレート81の短辺から下方に延伸する係合延伸部83(
図3参照)をガイドする機能を有している。カバー8をケース2に上方から取り付ける際、カバー8の係合延伸部83の傾斜部833が、ガイド斜面2221S上をスライドすることにより、カバー8の係合延伸部83が外側に開かれていき、ケース2に対するカバー8の取り付けがガイドされる。平坦部2222Sは、カバー8をケース2に対して取り付けた際に、カバー8の係合延伸部83の係止部832と係合し、ケース2からのカバー8の離脱を防止する機能を有している。カバー8をケース2に上方から取り付ける際、カバー8の係合延伸部83の係止部832が、平坦部2222Sを乗り越えると、カバー8の係合延伸部83が内側に向かって弾性復元し、平坦部2222Sの下端面と、カバー8の係合延伸部83の係止部832の上端面とが係合し、カバー8がケース2に対してロックされる。
【0029】
図6に示されているように、収納部23は、底板21の上面、長壁部22Lの内側面、および短壁部22Sの内側面によって規定され、略四角形(より具体的には、略長方形)の平面形状を有する凹部である。収納部23は、一対のスライド溝231と、一対のスライド溝231の底面に形成された一対の凹部232と、を含んでいる。一対のスライド溝231は、収納部23のY軸方向の両壁部の内側面にZ軸方向に沿って形成された溝である。後述する押圧部材6のベース部61(
図9参照)のY軸方向の両端部が、一対のスライド溝231内に収納される。プッシュスイッチ1に対して押圧力が印加された際に、押圧部材6が一対のスライド溝231に沿って下方にスライド移動する。一対の凹部232は、一対のスライド溝231の底面に形成された矩形状の凹部である。プッシュスイッチ1に対して押圧力が印加され、押圧部材6が一対のスライド溝231に沿って下方にスライド移動した際、押圧部材6のベース部61の下側面のY軸方向の両端部に形成された一対の突起63(
図9参照)が、一対の凹部232内にそれぞれ挿入される。
【0030】
図6に戻り、受け凹部24は、長壁部22Lおよび短壁部22Sの上端面221上に形成されており、キャップ7のベース部71を収納する機能を有している。受け凹部24は、長壁部22Lおよび短壁部22Sの上端面221上に、収納部23を取り囲むように形成されており、キャップ7のベース部71に対応した平面形状を有している。また、受け凹部24の深さは、キャップ7のベース部71の厚さ以下となっている。プッシュスイッチ1が組み立てられた状態において、キャップ7のベース部71が受け凹部24内に収納される。そのため、プッシュスイッチ1に強い衝撃、高負荷、高荷重が印加されたとしても、キャップ7のベース部71が受け凹部24内で保持されるので、ケース2に対するキャップ7の位置ズレ、傾き、または変形が生じない。
【0031】
封止溝25は、受け凹部24の底面上に、収納部23を囲むように形成されたリング状の溝である。封止溝25は、キャップ7のベース部71を受け凹部24内に収納した状態において、キャップ7の封止突部76と対向するように、受け凹部24の底面上に形成されている。また、封止溝25の深さは、キャップ7の封止突部76のベース部71からの下方への突出長さよりも小さい。さらに、上述したように、ケース2の受け凹部24の深さは、キャップ7のベース部71の厚さ以下となっている。そのため、
図13に示されているように、キャップ7のベース部71を受け凹部24内に収納し、かつ、ケース2にカバー8が取り付けられていない状態において、キャップ7のベース部71の上側部分は、ケース2の受け凹部24から上方に突出する。
【0032】
後述するように、カバー8によってケース2上でキャップ7が保持されている状態において、キャップ7の封止突部76は、圧縮変形された状態で封止溝25内に収納される。この結果、キャップ7の封止突部76によって、封止溝25が液密に封止され、防水機能を提供することができる。さらに、キャップ7の封止突部76が圧縮変形された状態で封止溝25内に収納されるので、プッシュスイッチ1に強い衝撃、高負荷、高荷重が印加されたとしても、ケース2に対するキャップ7の位置ズレ、傾き、または変形が生じない。このように、本発明のプッシュスイッチ1においては、ケース2の長壁部22Lおよび短壁部22Sの上端面221上に、キャップ7のベース部71および封止突部76をそれぞれ収納するための受け凹部24および封止溝25が形成されているので、プッシュスイッチ1の防水性能を提供すると共に、プッシュスイッチ1の耐衝撃性能、耐負荷性能、耐荷重性能を向上させることができる。
【0033】
図8には、ケース2によって保持される中央接点3および外側接点4(一対の接点)の斜視図が示されている。中央接点3および外側接点4(一対の接点)は、ケース2の収納部23内の底面上に、互いに離間して設けられている。中央接点3および外側接点4のそれぞれは、導電性材料、より具体的には、銅等の金属材料によって形成されている。中央接点3および外側接点4は、ケース2の収納部23内において互いに絶縁された状態で保持され、固定電極として機能する。
【0034】
中央接点3および外側接点4のそれぞれは、一枚の金属板に対して打ち抜き加工および折り曲げ加工を施すことにより得られる。中央接点3は、本体部31と、第2の可動接点5bと接触する4つの接触面32と、ケース2の外側に延伸する端子部33と、を有している。中央接点3の接触面32は、ケース2の収納部23内において上方に向かって露出し、補助バネ5aおよび可動接点5bが第2の位置を取った際に、可動接点5bと接触する面である。また、ケース2の収納部23内において、4つの接触面32が、本体部31の上面よりも上方に位置する。中央接点3の端子部33は、ケース2の短壁部(-Y方向の短壁部)22Sから外部に向かって延伸し、電子デバイスの回路基板等に、はんだ接続等により接続される外部端子として機能する。
【0035】
外側接点4は、本体部41と、第2の可動接点5bと接触する4つの接触面42と、ケース2の外側に延伸する端子部43と、を有している。外側接点4の接触面42は、ケース2の収納部23内において上方に向かって露出し、補助バネ5aおよび可動接点5bが、第1の位置および第2の位置のいずれを取った際でも、可動接点5bと接触している面である。また、ケース2の収納部23内において、4つの接触面42は、本体部41の上面よりも上方に位置している。外側接点4の端子部43は、ケース2の短壁部(+Y方向の短壁部)22Sから外部に向かって延伸し、電子デバイスの回路基板等に、はんだ接続等により接続される外部端子として機能する。
【0036】
図6に示されているように、ケース2の収納部23内において中央接点3の本体部31の一部および4つの接触面32が上方に向かって露出し、さらに、中央接点3の端子部33がケース2の短壁部(-Y方向の短壁部)22Sから外部に向かって延伸した状態で、中央接点3がケース2によって保持されている。さらに、ケース2の収納部23内において外側接点4の本体部41の一部および4つの接触面42が上方に向かって露出し、さらに、外側接点4の端子部43がケース2の短壁部(+Y方向の短壁部)22Sから外部に向かって延伸した状態で、外側接点4がケース2によって保持されている。外側接点4の4つの接触面42は、ケース2の収納部23の底板21の四隅に位置している。中央接点3および外側接点4は、ケース2によって互いに絶縁された状態で保持されている。また、中央接点3および外側接点4のケース2と接触する面に対して、レーザーアブレーション処理(梨地処理)が施されており、中央接点3および外側接点4のケース2と接触する面に微小な凹凸が多数形成されている。このような構成により、ケース2に対する中央接点3および外側接点4の密着度が向上されている。
【0037】
図5に戻り、補助バネ5aおよび可動接点5bは、上方凸のドーム形状を有する弾性導電性部材であり、ケース2の収納部23内において、中央接点3および外側接点4の上側に配置されている。補助バネ5aは、可動接点5bの上側に重ねて配置され、可動接点5bと共に、プッシュスイッチ1の作動力(プッシュスイッチ1をオフ状態からオン状態にするために必要とされる押圧力)および復帰力(プッシュスイッチ1に対する押圧力が解除された際に、プッシュスイッチ1をオン状態からオフ状態に復帰させる力)を提供している。
【0038】
補助バネ5aおよび可動接点5bは、互いに同じ構成を有しており、重ねて用いられる。なお、図示の形態では、可動接点5bに重ねて用いられる補助バネ5aの数は1であるが、本発明はこれに限られない。必要とされるプッシュスイッチ1の作動力および復帰力に応じて、重ねて用いられる補助バネ5aの数は適宜設定される。
【0039】
補助バネ5aおよび可動接点5bのそれぞれは、ケース2の収納部23内においてフィットする形状を有している。図示の様態では、補助バネ5aおよび可動接点5bのそれぞれは、略四角形(より具体的には、略長方形)の平面形状を有しているが、ケース2の収納部23内においてフィットする形状であれば、本発明はこれに限られない。例えば、ケース2の収納部23の内側面が略円形状、略楕円形状、または略多角形形状等の略四角形以外の平面形状を形成している場合には、補助バネ5aおよび可動接点5bのそれぞれは、ケース2の収納部23内においてフィットするよう、ケース2の収納部23の内側面によって形成される平面形状に対応した形状を有していてもよい。補助バネ5aおよび可動接点5bのそれぞれは、中央接点3および外側接点4を非導通状態とする第1の位置と、中央接点3および外側接点4を導通状態とする第2の位置との間で変位可能に構成されている。
【0040】
補助バネ5aおよび可動接点5bのそれぞれは、中央接点3と接触する中央可動部51と、中央可動部51のY軸方向の両端部にそれぞれ形成された一対の外縁部52と、を有している。
図14のプッシュスイッチ1の断面図に示されているように、補助バネ5aおよび可動接点5bは、ケース2の収納部23内に重ねて設けられている。この状態において、可動接点5bの中央可動部51は、中央接点3の4つの接触面32と間隙を介して対向し、さらに、可動接点5bの一対の外縁部52は、外側接点4の4つの接触面42とそれぞれ接触している。すなわち、プッシュスイッチ1に対してユーザーから押圧力が加えられていない自然状態において、補助バネ5aおよび可動接点5bは、上方に凸とされている。
図14に示されている自然状態において、補助バネ5aおよび可動接点5bは、第1の位置を取る。第1の位置にあるとき、可動接点5bは、中央接点3と接触していない一方、外側接点4と接触している。そのため、補助バネ5aおよび可動接点5bが第1の位置を取るとき、中央接点3および外側接点4は非導通状態となっている。
【0041】
図14に示されている自然状態において、キャップ7の突出部72に対してユーザーから押圧力が印加されると、キャップ7の突出部72が下方に弾性変形し、押圧部材6を下方に押し下げる。さらに、
図15に示されているように、押圧部材6が補助バネ5aおよび可動接点5bを下方に押圧し、補助バネ5aおよび可動接点5bを、第1の位置から第2の位置に移行させる。可動接点5bが第2の位置にあるとき、可動接点5bの一対の外縁部52が外側接点4の4つの接触面42とそれぞれ接触し、さらに、可動接点5bの中央可動部51が中央接点3の接触面32と接触する。すなわち、可動接点5bは、第2の位置にあるとき、中央接点3および外側接点4の双方と接触している。そのため、補助バネ5aおよび可動接点5bが第2の位置を取るとき、可動接点5bは、中央接点3と外側接点4との間の導通経路として機能し、中央接点3と外側接点4は導通状態となっている。なお、補助バネ5aおよび可動接点5bのそれぞれの形状は、必ずしもドーム形状に限定されず、補助バネ5aおよび可動接点5bが中央接点3および外側接点4を非導通状態とする第1の位置と、中央接点3および外側接点4を導通状態とする第2の位置と、の間で変位可能であれば、補助バネ5aおよび可動接点5bのそれぞれは、如何なる形状を有していてもよい。
【0042】
図5に戻り、押圧部材6は、ナイロン樹脂等の硬質の樹脂材料で形成された部材である。押圧部材6は、補助バネ5aおよび可動接点5bの上側に設けられ、補助バネ5aおよび可動接点5bを下方に押圧することにより、補助バネ5aおよび可動接点5bを第1の位置から第2の位置へ変位させる機能を有している。押圧部材6は、ケース2の収納部23の一対のスライド溝231内に収納され、補助バネ5aおよび可動接点5bの上方に位置している。押圧部材6は、ユーザーからプッシュスイッチ1に対して印加された押圧力を、補助バネ5aおよび可動接点5bに効率的に伝達させ、補助バネ5aおよび可動接点5bを下方に押下するために用いられる。
図5および
図9に示されているように、押圧部材6は、ケース2の収納部23の一対のスライド溝231にフィットする平面形状(図示の形態では、略四角形)を有するベース部61と、ベース部61の下側面の略中央に下方に突出するよう形成されたドーム状の下側突起62(
図9参照)と、ベース部61の下側面のY軸方向の両端部に形成された一対の突起63と、ベース部61の上側面の略中央に上方に突出するよう形成された矩形状の上側突起64(
図5参照)と、ベース部61の上側面のY軸方向の両端部に形成された一対の位置決め孔65と、を含んでいる。
【0043】
図14に示されているように、プッシュスイッチ1が組み立てられた状態において、ベース部61のY軸方向の両端部は、ケース2の収納部23の一対のスライド溝231内に収納されている。また、下側突起62は、補助バネ5aの中央可動部51と接触している。
【0044】
図5に戻り、キャップ7は、シリコンゴム等の弾性材料から形成され、ケース2の収納部23を上方から覆う部材である。キャップ7は、ケース2の収納部23を上方から覆い、ケース2の収納部23内に水が浸入することを防止することにより、プッシュスイッチ1の防水機能を提供している。また、プッシュスイッチ1が組み立てられた状態において、キャップ7の突出部72は、カバー8から上方に大きく突出するので、ユーザーのプッシュスイッチ1に対する押圧操作が容易となる。
【0045】
キャップ7は、ケース2の長壁部22Lおよび短壁部22Sの上端面221上に配置、より具体的には、ケース2の受け凹部24内に収納される略四角形(より具体的には、略長方形)のベース部71と、ベース部71の略中央に形成され、上方に突出する円錐台状の突出部72と、突出部72の頭頂部の下面から下方に向かって突出するよう形成された下方突部73(
図10参照)と、ベース部71の下面に形成された一対の位置決め突部74と、ベース部71の一対の長辺から外側に延伸するよう形成された一対の外側延伸部75と、ベース部71の周縁部から下方に突出し、ケース2の封止溝25を液密に封止するための封止突部76と、を有している。
【0046】
キャップ7のベース部71は、ケース2の受け凹部24に対応するサイズおよび平面形状を有しており、長壁部22Lおよび短壁部22Sの上端面221上に形成された受け凹部24内に収納される。
図14に示されているように、プッシュスイッチ1が組み立てられた状態において、キャップ7のベース部71は、ケース2の受け凹部24の底面とカバー8のトッププレート81との間で保持されている。
【0047】
キャップ7の突出部72は、ベース部71の略中央部から上方に向かって突出する円錐台状部分である。
図10に示されているように、キャップ7の突出部72は、中空構造を有している。キャップ7の下方突部73は、キャップ7の突出部72の頭頂部の下面から下方に向かって突出する筒状部である。
図14に示されているプッシュスイッチ1の自然状態において、キャップ7の下方突部73は押圧部材6の上側突起64と対向している。
【0048】
キャップ7は弾性材料によって形成されているので、ユーザーがキャップ7の突出部72を押し下げるように押圧力を印加すると、キャップ7の突出部72が下方に弾性変形する。この状態からさらに押圧力が印加されると、キャップ7の下方突部73が押圧部材6の上側突起64と接触し、押圧部材6が下方に押し下げられ、押圧部材6の下側突起62が補助バネ5aおよび可動接点5bの中央可動部51を下方に弾性変形させる。この結果、
図15に示されているように、可動接点5bの中央可動部51が中央接点3の接触面32と接触し、可動接点5bを介して、中央接点3および外側接点4が導通状態となる。
【0049】
図10に戻り、キャップ7の一対の位置決め突部74は、押圧部材6の一対の位置決め孔65にそれぞれ対応する位置に形成されている。
図14に示されているプッシュスイッチ1の自然状態において、キャップ7の一対の位置決め突部74は、押圧部材6の一対の位置決め孔65にそれぞれ嵌合される。このような構造により、キャップ7の押圧部材6に対する面方向における揺動、および、ケース2の収納部23内での押圧部材6の上下方向の揺動が防止される。
【0050】
一対の外側延伸部75は、ベース部71の一対の長辺の略中央部から外側に延伸する矩形状部分である。
図13に示されているように、キャップ7のベース部71をケース2の受け凹部24内に収納した状態において、キャップ7の一対の外側延伸部75が、ケース2の一対の切り欠き部225Lとそれぞれ係合する。このような構成により、キャップ7のケース2に対する位置決めがなされると共に、キャップ7のケース2に対するY軸方向の揺動が防止される。
【0051】
図10に戻り、封止突部76は、ベース部71の周縁部から下方を向かって延伸し、かつ、ベース部71の周縁部を一周するよう形成され、ケース2の封止溝25と係合するリング状部分である。封止突部76は、ケース2の封止溝25を液密に封止するために形成されている。封止突部76は、ベース部71に接する基端側から先端側に向かって厚さが漸減するテーパー形状を有している。また、封止突部76の先端部は、丸められている。また、封止突部76のベース部71からの下方への突出長さ(高さ)は、封止突部76がケース2の封止溝25内において圧縮変形される前の状態において、ケース2の封止溝25の深さよりも、大きい。そのため、キャップ7のベース部71をケース2の受け凹部24内に収納した状態において、封止突部76の先端部がケース2の封止溝25の底面と当接する。この結果、
図13に示されているように、キャップ7のベース部71の上側部分が、ケース2の受け凹部24から上方に突出する。
【0052】
この状態において、ケース2に対して上方からカバー8が取り付けられる際、カバー8のトッププレート81が、ケース2の受け凹部24から上方に突出しているキャップ7のベース部71を下方に押圧し、ケース2上においてキャップ7を保持する。さらに、カバー8のトッププレート81からキャップ7のベース部71に対して印加される押圧力によって、封止突部76がケース2の封止溝25内で圧縮変形され、これにより、ケース2の封止溝25が液密に封止される。このような構成により、プッシュスイッチ1の防水性能を提供することができる。
【0053】
このように、本発明のプッシュスイッチ1においては、キャップ7のベース部71ではなく、キャップ7の封止突部76がケース2の封止溝25の底面に当接し、圧縮変形される。また、キャップ7の封止突部76は、先端側に向かって厚さが漸減するテーパー形状を有しているため、キャップ7の封止突部76とケース2の封止溝25の底面との接触面積が非常に小さい。そのため、
図1および
図2を参照して説明した従来技術のプッシュスイッチ500のように、キャップ550のベース部551をケース510に対して押圧する場合と比較して、キャップのケースに対する接触面積が大幅に小さい。そのため、本発明のプッシュスイッチ1においては、キャップ7のケース2に対して当接される部分、すなわち、封止突部76に印加される単位面積当たりの押圧力が非常に大きい。そのため、ケース2の封止溝25に対するキャップ7の封止突部76の密着度を大きく向上させることができる。そのため、プッシュスイッチ1に強い衝撃、高負荷、高荷重が印加されたとしても、ケース2に対するキャップ7の封止突部76の位置ズレ、傾き、または変形が生じないため、プッシュスイッチ1の防水性能を維持することが可能となる。
【0054】
また、本発明のプッシュスイッチ1においては、弾性材料により構成されたキャップ7の封止突部76をケース2の封止溝25内で圧縮変形させることで、防水機能を実現している。そのため、防水機能を実現するための追加的な部品を用いる必要がなく、プッシュスイッチ1の部品点数を減少させることができる。
【0055】
図5に戻り、カバー8は、ケース2上でキャップ7を保持するよう、ケース2に上方から取り付けられ、キャップ7のベース部71を上方から押し下げることにより、キャップ7をケース2上で保持する機能を有している。カバー8は、一枚の金属板に対して打ち抜き加工および折り曲げ加工を施すことにより得られる。なお、カバー8の構成材料は、マルテンサイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼を含むステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、チタン合金等の高い硬度(ビッカース硬度)を有する金属材料であることが好ましいが、高い硬度および優れた耐錆性を有するステンレス鋼であることがより好ましい。
【0056】
図11に示されているように、カバー8は、略四角形(より具体的には、略長方形)の平面形状を有するトッププレート81と、キャップ7の突出部72を挿通させるようトッププレート81に形成された開口82と、トッププレート81の対向する一対の短辺(図中のX方向に延伸する辺)からそれぞれ下方に延伸する一対の係合延伸部83と、トッププレート81の対向する一対の長辺(図中のY方向に延伸する辺)のそれぞれから下方に延伸する一対の溶接片84と、トッププレート81の対向する一対の長辺のそれぞれの略中央部から下方に延伸する下方延伸部85と、を備えている。
【0057】
トッププレート81は、プッシュスイッチ1が組み立てられた状態において、キャップ7のベース部71を上方から押し下げることよって、キャップ7をケース2上で保持する機能を有している。さらに、トッププレート81がキャップ7のベース部71を下方に押し下げることにより、キャップ7の封止突部76が、ケース2の封止溝25内で圧縮変形させられ、ケース2の封止溝25内が液密に封止される。トッププレート81は、キャップ7のベース部71に対応した平面形状(図示の形態では、略四角形の平面形状)を有する板状部分である。開口82は、プッシュスイッチ1が組み立てられた状態において、キャップ7の突出部72を上方に挿通させるために、トッププレート81の略中央に形成されている。図示の形態では、開口82の形状は、キャップ7の突出部72の形状に対応した略楕円形であるが、キャップ7の突出部72を上方に挿通させることができれば、特に限定されない。
【0058】
一対の係合延伸部83は、カバー8をケース2に対してロックするために形成されている。
図11に示されているように、一対の係合延伸部83は、トッププレート81の対向する一対の短辺(図中のX方向に延伸する辺)のそれぞれから、下方に延伸している。一対の係合延伸部83のそれぞれは、トッププレート81の短辺から下方に向かって延伸する一対の脚部831と、一対の脚部831の下方先端部を接続する係止部832と、係止部832の下端部に形成された一対の傾斜部833と、有している。
【0059】
一対の脚部831は、トッププレート81の短辺から、互いに離間した状態で、下方に向かって直線状に延伸している。一対の脚部831の外側側面間の離間距離は、ケース2の短壁部22Sの外側面上に形成された一対のカバー係止部222Sの内側側面間の離間距離と略等しい。そのため、
図3に示されているように、カバー8をケース2に対して取り付けると、一対の脚部831の外側側面が、ケース2の一対のカバー係止部222Sの内側側面とそれぞれ係合し、ケース2に対するカバー8のX軸方向の揺動を防止する。
【0060】
図11に戻り、係止部832は、X軸方向に長尺な部分であり、一対の脚部831の下方先端部を接続している。
図3および
図4に示されているように、ケース2の短壁部22Sの外側面上に形成された一対のカバー係止部222Sの平坦部2222Sの下端面と、係止部832の上端面とが係合することにより、カバー8がケース2に対してロックされる。一対の傾斜部833は、係止部832の下端部に、互いに離間した状態で、斜め下方(外側)に向かって延伸するよう形成されている。一対の傾斜部833の傾きは、ケース2の短壁部22Sの外側面上に形成された一対のカバー係止部222Sのガイド斜面2221Sの傾きと略等しくなっている。そのため、カバー8を上方からケース2に対して押し込んだ際に、カバー8の一対の傾斜部833が、ケース2の一対のカバー係止部222Sのガイド斜面2221S上をスライドし、カバー8の係合延伸部83が外側に開いていく。したがって、一対の傾斜部833は、プッシュスイッチ1を組み立てる際のケース2に対するカバー8の取り付けを容易にする機能を有している。
【0061】
図11に戻り、一対の溶接片84は、トッププレート81の一対の長辺のそれぞれから、離間した状態で、下方に延伸する板状部分である。
図4に示されているように、カバー8をケース2に対して取り付けた際、一対の溶接片84は、ケース2の長壁部22Lの外側面上に形成された第1の受け溝2241L内に収納される。
図11に戻り、一対の溶接片84のそれぞれの内側面は、フレーム9の溶接片84に溶接される溶接面841である。下方延伸部85は、トッププレート81の一対の長辺のそれぞれから、下方に延伸する板状部分である。下方延伸部85は、一対の溶接片84の間に位置し、かつ、一対の溶接片84から離間している。下方延伸部85は、自身の下端部に形成された係合凹部851を備えている。
図4に示されているように、カバー8をケース2に対して取り付けた際、下方延伸部85の係合凹部851が、ケース2の長壁部22Lの外側面上に形成された中央突出部222Lと係合し、カバー8のケース2上でのY軸方向への揺動が防止される。また、下方延伸部85は、キャップ7の外側延伸部75を外側から覆う。
【0062】
カバー8がケース2に対して取り付けられると、ケース2の長壁部22Lおよび短壁部22Sの上端面221がカバー8のトッププレート81によって外側から支持され、ケース2の長壁部22Lの上側部分がカバー8の溶接片84および下方延伸部85によって外側から支持され、さらに、ケース2の短壁部22Sの上側部分がカバー8の係合延伸部83によって外側から支持される。この結果、ケース2の上側部分は、カバー8によって補強される。
【0063】
図5に戻り、フレーム9は、ケース2に対して下方から取り付けられ、ケース2を下方から支持する機能を有している。フレーム9は、1枚の金属板に対して打ち抜き加工および折り曲げ加工を施すことにより得られる。なお、フレーム9の構成材料は、マルテンサイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼を含むステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、チタン合金等の高い硬度(ビッカース硬度)を有する金属材料であることが好ましいが、高い硬度および優れた耐錆性を有するステンレス鋼であることがより好ましい。
【0064】
図12に示されているように、フレーム9は、略四角形(より具体的には、略長方形)の平面形状を有するボトムプレート91と、ボトムプレート91の対向する一対の長辺のそれぞれから上方に向かって延伸する一対の係合部92と、ボトムプレート91の対向する一対の長辺のそれぞれから上方に向かって延伸する一対の溶接片93と、を備えている。
【0065】
ボトムプレート91は、
図7を参照して詳述したケース2の底板21の底面上に形成された凹部211に対応する形状を有する板状部分である。
図4に示されているように、ケース2に対してフレーム9を取り付けた際、ボトムプレート91がケース2の凹部211内に収納され、ケース2に対してフレーム9が一体化される。これにより、プッシュスイッチ1に対して強い衝撃、高負荷、高荷重が印加された際のケース2の歪みや反り等の変形を防止することができ、ケース2の変形によるプッシュスイッチ1の特性の変化を防止できる。そのため、本発明のプッシュスイッチ1は、優れた耐衝撃性、耐負荷性能、耐荷重性能を有している。
【0066】
図12に戻り、ボトムプレート91は、自身の略中央部に形成された開口911と、自身の一対の短辺に形成された一対の切り欠き部912と、を有している。開口911は、ケース2の底板21の底面上に形成された突出部212に対応する形状を有している。一対の切り欠き部912は、ボトムプレート91の対向する一対の短辺に、Y軸方向において開口911を挟みこむように形成されている。一対の切り欠き部912のそれぞれは、ケース2の底板21の底面上に形成された一対の水平延伸部213にそれぞれ対応する形状を有している。
図4に示されているように、ケース2に対してフレーム9を取り付けた際、フレーム9の開口911がケース2の突出部212と係合し、さらに、フレーム9の一対の切り欠き部912がケース2の一対の水平延伸部213に係合する。このような構成により、ケース2に対するフレーム9の面方向の揺動が防止されている。
【0067】
図12に戻り、一対の係合部92は、ボトムプレート91の対向する一対の長辺のそれぞれから上方に向かって延伸するよう形成されている。一対の係合部92のそれぞれは、ボトムプレート91の長辺から上方に向かって直線状に延伸する直線部921と、直線部921の先端側に形成された係止部922と、を有している。
図3および
図4に示されているように、フレーム9をケース2に対して取り付けた際、直線部921は、ケース2の長壁部22Lの外側面上に形成された中央突出部222Lとフレーム係止部223Lとの間の空間内に位置する。このように、直線部921は、中央突出部222Lおよびフレーム係止部223Lの間で保持されているので、ケース2に対するフレーム9のY軸方向の揺動が防止される。
【0068】
係止部922は、直線部921の先端部から外側に向かって延伸する部分である。また、
図12に示されているように、係止部922の先端部の内側には、ガイド斜面9221が形成されている。ガイド斜面9221の傾きは、ケース2の長壁部22Lの外側面上に形成されたフレーム係止部223Lのガイド斜面2231Lの傾きと略等しくなっている。そのため、フレーム9を下方からケース2に対して押し込んだ際に、フレーム9の係止部922が、ケース2のフレーム係止部223Lのガイド斜面2231L上をスライドし、フレーム9の係合部92が外側に開いていく。したがって、ガイド斜面9221は、プッシュスイッチ1を組み立てる際のケース2に対するフレーム9の取り付けを容易にする機能を有している。さらに、
図3および
図4に示されているように、ケース2の長壁部22Lの外側面に形成されたフレーム係止部223Lの平坦部2232Lの上端面と、係止部922の下端面とが係合することにより、フレーム9がケース2に対してロックされる。
【0069】
一対の溶接片93は、ボトムプレート91の一対の対向する長辺のそれぞれの両端部から、互いに離間した状態で、上方に向かって直線状に延伸する板状部分である。一対の溶接片93は、ケース2の長壁部22Lの外側面上に形成された第2の受け溝2242L内に収納される。一対の溶接片93のそれぞれの外側面は、カバー8の一対の溶接片84の溶接面841にそれぞれ溶接される溶接面931である。
図4に示されているように、フレーム9をケース2に対して下方から取り付けた際、フレーム9の溶接片93が、ケース2の第2の受け溝2242L内に収納される。前述したように、ケース2の第2の受け溝2242Lの深さは、フレーム9の溶接片93の厚さと略等しいので、ケース2の第1の受け溝2241Lの底面とフレーム9の溶接片93の上面が略同一平面状に位置する。フレーム9がケース2に対して取り付けられた状態で、カバー8をケース2に対して上方から取り付けた際、カバー8の溶接片84がケース2の第1の受け溝2241L内に収納される。
【0070】
この状態において、ケース2の第1の受け溝2241L内に収納されたカバー8の溶接片84は、ケース2の第2の受け溝2242L内に収納されたフレーム9の溶接片93上に位置している。さらに、フレーム9の溶接片93の溶接面931は、カバー8の溶接片84の溶接面841と接触している。さらに、熱溶着やレーザー溶着のような任意の溶接方法、典型的には、レーザー溶接によって、フレーム9の溶接片93の溶接面931と、カバー8の溶接片84の溶接面841とが溶接され、カバー8とフレーム9が強固に固定される。このように、ケース2は、互いに溶接されたカバー8とフレーム9との間で強固に保持される。
【0071】
フレーム9がケース2に対して取り付けられると、ケース2の底板21がフレーム9のボトムプレート91によって外側から支持され、ケース2の長壁部22Lの下側部分がフレーム9の係合部92および溶接片93によって外側から支持される。この結果、ケース2の下側部分は、カバー8によって補強される。
【0072】
本発明のプッシュスイッチ1においては、フレーム9の溶接片93の溶接面931と、カバー8の溶接片84の溶接面841とが溶接されるため、ケース2を上下から保持するカバー8とフレーム9が、互いに強固に固定される。そのため、プッシュスイッチ1に対して強い衝撃、高負荷、高荷重が印加されたとしても、カバー8が、ケース2に一体化されているフレーム9に強固に固定されているため、ケース2に対するカバー8の係合が緩まない。そのため、ケース2の封止溝25内のキャップ7の封止突部76の押圧が緩まず、キャップ7の封止突部76によるケース2の封止溝25の封止を維持することができる。このような理由により、プッシュスイッチ1に対して強い衝撃、高負荷、高荷重が印加されたとしても、プッシュスイッチ1の防水性能を維持することができる。
【0073】
さらに、本発明のプッシュスイッチ1においては、ケース2が、上下および側方からカバー8およびフレーム9によって支持され、補強されるため、プッシュスイッチ1に対して強い衝撃、高負荷、高荷重が印加された際のケース2の歪みや反り等の変形を抑制することができる。特に、カバー8およびフレーム9は、ケース2の構成材料である絶縁性樹脂よりも高い硬度(ビッカース硬度)を有する金属材料(ステンレス鋼等)により構成されているので、カバー8およびフレーム9で、ケース2の上下および側方から支持することにより、ケース2を補強し、ケース2の変形をより効果的に抑制することができる。このように、本発明のプッシュスイッチ1においては、カバー8とフレーム9でケース2を上下から挟み込み、さらに、カバー8とフレーム9を溶接し、互いに強固に固定することで、ケース2の変形を防止している。そのため、本発明のプッシュスイッチ1は、優れた耐衝撃性、耐負荷性能、耐荷重性能を有している。
【0074】
以下、詳述したプッシュスイッチ1を組み立てる手順について、説明する。最初に、中央接点3および外側接点4を保持しているケース2の収納部23内に、補助バネ5aおよび可動接点5bを、重ねた状態で収納する。次に、ケース2の収納部23の一対のスライド溝231内に、押圧部材6のベース部61の両端部を挿入し、押圧部材6を補助バネ5a上に配置する。次に、キャップ7のベース部71をケース2の受け凹部24内に収納する。この際、キャップ7の封止突部76が、ケース2の受け凹部24に形成された封止溝25内に挿入される。
図13は、キャップ7のベース部71をケース2の受け凹部24内に収納した状態を示す斜視図である。
【0075】
前述のように、キャップ7の封止突部76が圧縮変形されていない状態におけるキャップ7の封止突部76のベース部71から下方への突出長さは、ケース2の封止溝25の深さよりも大きく、かつ、ケース2の受け凹部24の深さは、キャップ7のベース部71の厚さ以下なので、
図13に示されているように、キャップ7のベース部71の上側部分が、ケース2の受け凹部24から上方に突出している。この状態において、ケース2に対して下方からフレーム9が取り付けられる。その後、ケース2に対して上方からカバー8が取り付けられ、カバー8がケース2と係合する。カバー8がケース2と係合する際、カバー8のトッププレート81が、ケース2の受け凹部24から上方に突出しているキャップ7のベース部71の上側部分を下方に押圧し、ケース2上でキャップ7を保持する。さらに、キャップ7の封止突部76が、カバー8のトッププレート81からキャップ7のベース部71に対して印加される押圧力によって、ケース2の封止溝25内で圧縮変形される。ケース2の封止溝25内でのキャップ7の封止突部76の圧縮変形によって、ケース2の封止溝25が液密に封止され、プッシュスイッチ1の防水性能を提供することができる。
【0076】
なお、前述の説明では、ケース2内に補助バネ5a、可動接点5b、押圧部材6、およびキャップ7を収納した後に、フレーム9がケース2に対して取り付けられたが、本発明はこれに限られない。ケース2内に補助バネ5a、可動接点5b、押圧部材6、およびキャップ7を収納する前に、フレーム9がケース2に対して取り付けられてもよい。
【0077】
さらに、ケース2に対してカバー8およびフレーム9が取り付けられた状態において、
図4に示されているように、フレーム9の溶接片93がカバー8の溶接片84の内側に位置し、フレーム9の溶接片93の溶接面931とカバー8の溶接片84の溶接面841とが接触する。次に、フレーム9の溶接片93の溶接面931とカバー8の溶接片84の溶接面841に対して溶接処理(典型的には、レーザー溶接処理)が施され、フレーム9の溶接片93の溶接面931とカバー8の溶接片84の溶接面841とが溶着され、カバー8とフレーム9とが、互いに強固に固定される。ケース2が、互いに強固に固定されたカバー8とフレーム9とによって上下方向から挟まれ、保持されると、プッシュスイッチ1の組み立てが完了する。
【0078】
次に、
図14および
図15を参照して、プッシュスイッチ1の動作について詳述する。
図14には、プッシュスイッチ1に対して押圧力が加えられていない自然状態での、
図3のA-A線に沿ったプッシュスイッチ1の縦断面図が示されている。
図15には、プッシュスイッチ1に対して、プッシュスイッチ1の作動力を超える押圧力が加えられた押下状態での、
図3のA-A線に沿ったプッシュスイッチ1の縦断面図が示されている。
【0079】
図14に示されているように、プッシュスイッチ1の自然状態では、補助バネ5aおよび可動接点5bは、上に凸となっている。
図14に示されている状態において、補助バネ5aおよび可動接点5bは、第1の位置を取っている。第1の位置において、可動接点5bの外縁部52は、外側接点4の接触面42と接触しており、可動接点5bの中央可動部51は、中央接点3の接触面32と接触していない。すなわち、可動接点5bは、第1の位置にあるとき、中央接点3と接触しておらず、外側接点4と接触している。そのため、補助バネ5aおよび可動接点5bが第1の位置にあるとき、中央接点3および外側接点4は、非導通状態となっている。
【0080】
図14に示されている自然状態において、キャップ7の突出部72に対してユーザーから押圧力が印加されると、キャップ7の突出部72が下方に弾性変形する。この状態からさらに押圧力が印加されると、キャップ7の下方突部73が押圧部材6の上側突起64と接触し、押圧部材6が下方に押し下げられ、押圧部材6の下側突起62が補助バネ5aおよび可動接点5bの中央可動部51を下方に弾性変形させる。この結果、補助バネ5aおよび可動接点5bが第2の位置に変位し、プッシュスイッチ1は、
図15に示す押下状態に移行する。
【0081】
図15に示された押下状態において、補助バネ5aおよび可動接点5bは、第2の位置をとっている。第2の位置において、可動接点5bの外縁部52は、外側接点4の接触面42と接触しており、さらに、可動接点5bの中央可動部51は、中央接点3の接触面32と接触している。すなわち、可動接点5bは、第2の位置にあるとき、中央接点3および外側接点4の双方と接触している。そのため、補助バネ5aおよび可動接点5bが第2の位置にあるとき、可動接点5bは、中央接点3と外側接点4との間の導通経路として機能し、中央接点3および外側接点4は、導通状態となっている。
図15に示された押下状態において、キャップ7の突出部72に対する押圧力が解除されると、補助バネ5aおよび可動接点5bの弾性復元力によって提供されるプッシュスイッチ1の復帰力によって、プッシュスイッチ1は、
図14に示された自然状態に復元する。
【0082】
以上、本発明のプッシュスイッチを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0083】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明のプッシュスイッチの構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有するプッシュスイッチもまた、本発明の範囲内である。
【0084】
また、
図3~
図15に示されたプッシュスイッチの構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された態様も、本発明の範囲内である。
【0085】
また、参考のため、本発明のプッシュスイッチの正確な6面図を、
図16~
図21に示す。
図16は、本発明に係るプッシュスイッチの平面図である。
図17は、本発明に係るプッシュスイッチの底面図である。
図18は、本発明に係るプッシュスイッチの正面図である。
図19は、本発明に係るプッシュスイッチの背面図である。
図20は、本発明に係るプッシュスイッチの左側面図である。
図21は、本発明に係るプッシュスイッチの右側面図である。
【符号の説明】
【0086】
1…プッシュスイッチ 2…ケース 21…底板 211…凹部 212…突出部 213…水平延伸部 22L…長壁部 222L…中央突出部 223L…フレーム係止部 2231L…ガイド斜面 2232L…平坦部 224L…受け溝 2241L…第1の受け溝 2242L…第2の受け溝 225L…切り欠き部 22S…短壁部 222S…カバー係止部 2221S…ガイド斜面 2222S…平坦部 221…上端面 23…収納部 231…スライド溝 232…凹部 24…受け凹部 25…封止溝 3…中央接点 31…本体部 32…接触面 33…端子部 4…外側接点 41…本体部 42…接触面 43…端子部 5a…補助バネ 5b…可動接点 51…中央可動部 52…外縁部 6…押圧部材 61…ベース部 62…下側突起 63…突起 64…上側突起 65…位置決め孔 7…キャップ 71…ベース部 72…突出部 73…下方突部 74…位置決め突部 75…外側延伸部 76…封止突部 8…カバー 81…トッププレート 82…開口 83…係合延伸部 831…脚部 832…係止部 833…傾斜部 84…溶接片 841…溶接面 85…下方延伸部 851…係合凹部 9…フレーム 91…ボトムプレート 911…開口 912…切り欠き部 92…係合部 921…直線部 922…係止部 9221…ガイド斜面 93…溶接片 931…溶接面 500…プッシュスイッチ 510…ケース 511…底板 512…壁部 513…収納部 514…係合突部 5141…斜面 5142…平坦部 520…中央接点 530…外側接点 540…可動接点 550…キャップ 551…ベース部 552…突出部 560…カバー 561…トッププレート 562…開口 563…延伸部 5631…脚部 5632…架橋部