(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136712
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】空気清浄装置および空気清浄方法
(51)【国際特許分類】
F24F 8/133 20210101AFI20230922BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230922BHJP
F24F 8/22 20210101ALN20230922BHJP
【FI】
F24F8/133
C02F1/32
F24F8/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042551
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】糀屋 睦
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】空気中の細菌やウイルスを除去可能な空気清浄技術を提供する。
【解決手段】空気清浄装置10は、吸気口12と、水22を貯留する容器16と、吸気口12から吸い込んだ空気を容器16内の水中に微細気泡24として出力するエアレーション装置18と、容器16内の水22を紫外光を照射して殺菌する光源34と、容器16内の水22を通過した空気を排気する排気口14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と、
水を貯留する容器と、
前記吸気口から吸い込んだ空気を前記容器内の水中に微細気泡として出力するエアレーション装置と、
前記容器内の水を紫外光を照射して殺菌する光源と、
前記容器内の水を通過した空気を排気する排気口と、を備える空気清浄装置。
【請求項2】
前記容器内の水を循環させる循環流路をさらに備える、請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記光源は、前記循環流路を流れる水に紫外光を照射する、請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
吸気口から吸い込んだ空気を容器内の水中に微細気泡として出力することと、
前記容器内の水を紫外光を照射して殺菌することと、
前記容器内の水を通過した空気を排気口から排気することと、を備える空気清浄方法。
【請求項5】
前記容器内の水を前記微細気泡の浮力によって循環させることをさらに備える、請求項4に記載の空気清浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄装置および空気清浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気清浄装置が広く普及している。単に空気に含まれる塵やゴミなどを除去するだけでなく、空気に含まれる細菌やウイルスを不活化して清浄機能を高めることが求められている。例えば、抗体物質を利用して空気に含まれる細菌やウイルスを吸着除去する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の先行技術では、抗体物質を供給する必要があるため、メンテナンスに多くの労力が必要となり、消耗品に要するコストが高くなる。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、空気中の細菌やウイルスを除去可能な空気清浄技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の空気清浄装置は、吸気口と、水を貯留する容器と、吸気口から吸い込んだ空気を容器内の水中に微細気泡として出力するエアレーション装置と、容器内の水を紫外光を照射して殺菌する光源と、容器内の水を通過した空気を排気する排気口と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、空気清浄方法である。この方法は、吸気口から吸い込んだ空気を容器内の水中に微細気泡として出力することと、容器内の水を紫外光を照射して殺菌することと、容器内の水を通過した空気を排気口から排気することと、を備える。
【0008】
本発明によれば、空気中の細菌やウイルスを除去可能な空気清浄技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る空気清浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】第2実施形態に係る空気清浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る空気清浄装置10の構成を概略的に示す図である。空気清浄装置10は、吸気口12から吸い込んだ空気を浄化して排気口14から排気するよう構成される。空気清浄装置10は、吸気口12と、排気口14と、容器16と、エアレーション装置18と、流水殺菌装置20とを備える。
【0012】
容器16は、空気を浄化するためのフィルタとして機能する水22を貯留する。容器16に貯留される水22は、例えば水道水である。
【0013】
エアレーション装置18は、吸気口12から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を容器16に貯留される水22の内部に微細気泡24として出力するよう構成される。エアレーション装置18は、例えば、吸気口12から空気を吸い込むためのエアポンプ26と、エアポンプ26によって吸い込まれた空気から微細気泡24を生成するノズル28とを含む。ノズル28は、例えば、微細気泡24のサイズが100μm以下または10μm以下となるマイクロバブルや、微細気泡24のサイズが1μm以下となるナノバルブを生成するよう構成される。吸気口12とエアポンプ26の間には、エアポンプ26に吸い込まれる空気から塵埃を除去するためのフィルタ30が設けられてもよい。
【0014】
流水殺菌装置20は、容器16の内部に貯留される水22を紫外光を用いて殺菌する。流水殺菌装置20は、例えば、水22が通過するリアクタ32と、リアクタ32内の水22に紫外光を照射する光源34とを含む。リアクタ32は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂で構成される。光源34は、例えば、波長260nm~285nm程度の深紫外光を出力するLED(Light Emitting Diode)を有する。
【0015】
流水殺菌装置20は、容器16に接続される循環流路36の途中に設けられる。循環流路36は、容器16に設けられる流入口38と流出口40の間を延在する。循環流路36には、流入口38から流出口40に向かう水22の流れを生成するためのポンプ42が設けられる。ポンプ42は、例えば、流入口38と流水殺菌装置20の間に設けられる。ポンプ42は、流水殺菌装置20と流出口40の間に設けられてもよい。図示する例において、流入口38は、流出口40よりも鉛直方向の下方に設けられる。別の例において、流入口38は、流出口40よりも鉛直方向の上方に設けられてもよく、例えば、図示する流入口38と流出口40を入れ替えて用いてもよい。
【0016】
容器16の鉛直上方には開口44が設けられる。容器16の内部に供給される微細気泡24は、容器16の内部の水22を通過して開口44に向かう。開口44を通過した空気は、排気口14を通じて空気清浄装置10の外部に排気される。排気口14は、例えば、容器16の開口44の鉛直上方に配置される。
【0017】
つづいて、空気清浄装置10の動作を説明する。浄化対象となる空気は、エアポンプ26によって吸気口12から吸い込まれる。エアポンプ26によって吸い込まれた空気は、容器16に貯留される水22の内部に送られ、ノズル28から微細気泡24として出力される。微細気泡24に含まれる細菌やウイルスは、水22によって捕集される。水22を通過した微細気泡24は、開口44および排気口14を通じて外部に排気される。空気清浄装置10は、水22によって細菌やウイルスが除去されて浄化された空気を排気口14から供給する。
【0018】
微細気泡24に含まれる細菌やウイルスを捕集した水22は、ポンプ42によって循環流路36に送られる。流水殺菌装置20は、循環流路36を通じてリアクタ32に供給される水22に光源34からの紫外光を照射し、循環流路36を流れる水22に含まれる細菌やウイルスを不活化させる。細菌やウイルスが不活化された水22は、循環流路36を通じて容器16に戻る。循環流路36を流れる水22を流水殺菌装置20によって殺菌することにより、容器16に貯留される水22に含まれる細菌やウイルスが不活化された状態を維持できる。これにより、容器16に貯留される水22に含まれる細菌やウイルスが排気口14から外部に飛散することを防止できる。
【0019】
本実施の形態によれば、容器16に貯留される水22をフィルタとして用いることで、空気に含まれる細菌やウイルスの捕集効率を高めることができる。特に、空気を微細気泡24として水22の内部に放出することにより、細菌やウイルスの捕集効率をより高めることができる。また、水22に捕集された細菌やウイルスに紫外光を照射することにより、空気中の細菌やウイルスに紫外光を直接照射する場合に比べて不活化効率を高めることができる。その結果、エアレーション装置18と流水殺菌装置20の組み合わせという比較的簡易な構成によって、空気中から細菌やウイルスを効率的に除去できる。
【0020】
図2は、第2実施形態に係る空気清浄装置50の構成を概略的に示す断面図である。第2実施形態では、容器16の内部に仕切部材52が設けられ、仕切部材52によって容器16の内部をジグザグ状に延びる処理流路54が形成される。容器16の内部に複数の光源56が設けられ、複数の光源56から処理流路54を流れる水22に紫外光が照射される。以下、第2実施形態について、上述の第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜説明を省略する。
【0021】
空気清浄装置50は、吸気口12と、排気口14と、容器16と、エアレーション装置18と、循環流路36と、仕切部材52と、複数の光源56とを備える。
【0022】
処理流路54は、容器16の内部に形成される。処理流路54は、容器16の鉛直方向の下部に設けられる上流端58から容器16の鉛直方向の上部に設けられる下流端60に向けてジグザグ状に延びるように構成される。仕切部材52は、容器16の内面から延在して処理流路54を区画する。仕切部材52は、処理流路54の途中に気泡が滞留しないように、鉛直方向に対して斜めに延びるように配置される。仕切部材52は、光源56が照射する紫外光に対する反射率が高い材料で構成されることが好ましく、例えば、PTFEなどのフッ素樹脂やアルミニウムなどで構成される。
【0023】
循環流路36は、処理流路54の上流端58と下流端60の間を接続し、処理流路54の下流端60から上流端58に向けて水22を循環させる。循環流路36の流入口38は、処理流路54の下流端60に設けられ、循環流路36の流出口40は、処理流路54の上流端58に設けられる。エアレーション装置18のノズル28は、処理流路54の上流端58に設けられる。
【0024】
複数の光源56は、容器16の内部に設けられる。複数の光源56は、例えば、容器16の内面に取り付けられ、処理流路54を流れる水22に向けて紫外光を照射する。複数の光源56のそれぞれは、例えば、波長260nm~285nm程度の深紫外光を出力するLED(Light Emitting Diode)を有する。複数の光源56のそれぞれは、処理流路54を流れる水22の流れに沿った方向に紫外光を照射するように配置され、例えば、仕切部材52が延びる方向に紫外光を照射するように配置される。
【0025】
つづいて、空気清浄装置50の動作を説明する。浄化対象となる空気は、エアポンプ26によって吸気口12から吸い込まれ、処理流路54の上流端58に設けられるノズル28から水22の内部に微細気泡24として出力される。微細気泡24は、水22の内部における浮力によって処理流路54の上流端58から下流端60に向けて流れ、開口44および排気口14を通じて外部に排気される。処理流路54の内部では、微細気泡24の浮力によって上流端58から下流端60に向かう水22の流れが生じる。処理流路54を通って下流端60に到達した水22は、循環流路36を通じて上流端58に戻る。複数の光源56のそれぞれは、処理流路54を流れる水22および微細気泡24に向けて紫外光を照射し、水22に捕集された細菌やウイルスを不活化する。
【0026】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態によれば、処理流路54における微細気泡24の浮力によって水22を循環させることができるため、第1実施形態に係るポンプ42を省略できる。なお、第2実施形態において、循環流路36の途中にポンプ42を設け、ポンプ42によって処理流路54と循環流路36における水22の循環を実現してもよい。
【0027】
なお、第1実施形態の構成と第2実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態において、容器16の内部にジグザグ状の処理流路54を形成してもよい。例えば、第2実施形態において、循環流路36に流水殺菌装置20を配置してもよい。この場合、空気清浄装置50は、循環流路36を流れる水に紫外光を照射する光源34と、処理流路54を流れる水に紫外光を照射する光源56とを備えてもよい。
【0028】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0029】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0030】
本発明の第1の態様は、吸気口と、水を貯留する容器と、前記吸気口から吸い込んだ空気を前記容器内の水中に微細気泡として出力するエアレーション装置と、前記容器内の水を紫外光を照射して殺菌する光源と、前記容器内の水を通過した空気を排気する排気口と、を備える空気清浄装置である。第1の態様によれば、吸気口から吸い込んだ空気を水中に微細気泡として出力することにより、空気に含まれる細菌やウイルスを水に捕集させて除去して浄化できる。また、細菌やウイルスが捕集された水を紫外光を照射して殺菌することにより、捕集された殺菌やウイルスを不活化できる。
【0031】
本発明の第2の態様は、前記容器内の水を循環させる循環流路をさらに備える、第1の態様に記載の空気清浄装置である。容器内の水を循環させることにより、水に捕集された殺菌やウイルスをより効率的に不活化できる。
【0032】
本発明の第3の態様は、前記光源は、前記循環流路を流れる水に紫外光を照射する、第2の態様に記載の空気清浄装置である。本発明の第3の態様によれば、循環流路を流れる水に紫外光を照射することにより、水に捕集された殺菌やウイルスをより効率的に不活化できる。
【0033】
本発明の第4の態様は、吸気口から吸い込んだ空気を容器内の水中に微細気泡として出力することと、前記容器内の水を紫外光を照射して殺菌することと、前記容器内の水を通過した空気を排気口から排気することと、を備える空気清浄方法である。第4の態様によれば、吸気口から吸い込んだ空気を水中に微細気泡として出力することにより、空気に含まれる細菌やウイルスを水に捕集させて除去して浄化できる。また、細菌やウイルスが捕集された水を紫外光を照射して殺菌することにより、捕集された殺菌やウイルスを不活化できる。
【0034】
本発明の第5の態様は、前記容器内の水を前記微細気泡の浮力によって循環させることをさらに備える、第4の態様に記載の空気清浄方法である。第5の態様によれば、容器内の水を循環させることにより、水に捕集された殺菌やウイルスをより効率的に不活化できる。また、微細気泡の浮力を用いて水を循環させることにより、水を循環させるためのポンプを設ける必要がなくなり、製造時および運転時のコストを低減できる。
【符号の説明】
【0035】
10…空気清浄装置、12…吸気口、14…排気口、16…容器、18…エアレーション装置、22…水、24…微細気泡、26…エアポンプ、28…ノズル、32…リアクタ、34…光源、36…循環流路。