(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136731
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
B01D 53/94 20060101AFI20230922BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20230922BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B01D53/94 300
F01N3/20 K ZAB
H05B3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042584
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】中桐 弘貴
【テーマコード(参考)】
3G091
3K092
4D148
【Fターム(参考)】
3G091CA03
3G091GA06
3K092PP15
3K092QB02
3K092QB26
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB09
4D148BA07Y
4D148BA11Y
4D148BA23Y
4D148BA30Y
4D148BA31Y
4D148BA33Y
4D148BB02
4D148CC43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】均熱性の向上と、ハニカムセグメントの破損の抑制を両立可能なハニカム構造体の提供。
【解決手段】多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメント20を接着剤層30を介して複数組み合わせてなるハニカム集合体と、接着剤層の内部に配置され、電熱線51、52、53と、電熱線の両端部に接続される第1の電極端子41及び第2の電極端子42からなる加熱ユニット50と、電源に接続される第1の給電端子71と、第1の電極端子と第1の給電端子を接続する第1の接続部61と、電源に接続される第2の給電端子72と、第2の電極端子と第2の給電端子を接続する第2の接続部62を備えるハニカム構造体であり、第1の接続部と第2の接続部により、複数の加熱ユニットが並列に接続され、第1の接続部及び第2の接続部の断面積は、それぞれ、第1の給電端子及び第2の給電端子からの位置が遠いほど小さいことを特徴とするハニカム構造体。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを接着剤層を介して複数組み合わせてなるハニカム集合体と、
前記接着剤層の内部に配置され、電熱線と、前記電熱線の両端部に接続される第1の電極端子及び第2の電極端子とからなる加熱ユニットと、
電源に接続される第1の給電端子と、
すべての前記第1の電極端子と前記第1の給電端子とを一繋ぎに接続する第1の接続部と、
電源に接続される第2の給電端子と、
すべての前記第2の電極端子と前記第2の給電端子とを一繋ぎに接続する第2の接続部とを備えるハニカム構造体であって、
前記第1の接続部と前記第2の接続部によって、複数の前記加熱ユニットが並列つなぎに接続されており、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部の断面積は、それぞれ、前記第1の給電端子及び前記第2の給電端子からの位置が遠いほど小さい、ことを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記第1の接続部の断面積及び前記第2の接続部の断面積は、前記第1の給電端子及び前記第2の給電端子からの距離に応じて段階的に小さくなる、請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記ハニカム構造体の長手方向から平面視した際に、前記第1の給電端子と、前記ハニカム集合体の重心と、前記第2の給電端子とのなす角が30~90°である、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記第1の給電端子から最も遠い位置における前記第1の接続部の断面積は、前記第1の給電端子に最も近い位置における前記第1の接続部の断面積の15~35%であり、
前記第2の給電端子から最も遠い位置における前記第2の接続部の断面積は、前記第2の給電端子に最も近い位置における前記第2の接続部の断面積の15~35%である、請求項1~3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記加熱ユニットを3つ以上有する、請求項1~4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記ハニカム構造体の端面視において、前記ハニカムセグメントは縦横に格子状に組み合わされており、すべての前記電熱線は、前記格子状の縦横のうちいずれか一方である第1の方向に沿って、同じ方向で配置されている、請求項1~5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排出された排ガス中に含まれる有害物質を浄化するため、排気管の経路には、排ガス浄化が可能な触媒を担持したハニカム基材を備える排ガス浄化装置が設けられている。
排ガス浄化装置による有害物質の浄化効率を高めるためには、排ガス浄化装置の内部の温度を触媒活性化に適した温度(以下、触媒活性化温度ともいう)に維持する必要がある。
【0003】
特許文献1には、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれるススを捕集して排ガスを浄化する排ガス浄化装置が開示されている。特許文献1に記載の排ガス浄化装置では、複数のフィルタ(ハニカムセグメントともいう)が複数個隣接して配置されている。ハニカムセグメント同士の間には、フィルタ内部に堆積したススを燃焼させるために発熱体としての電熱線が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハニカムセグメント同士の間に配設された電熱線は、溶接等の手段により電極端子と接合された後、電極端子を介して外部電源と接続される。
電熱線を並列つなぎで使用する場合、外部からの給電は、例えば、電熱線に接続された各電極端子を電極間部材(接続部ともいう)により一繋ぎに接続し、電極間部材を外部電源と接続することで行われる。このように構成することで、各電熱線及び各電極端子にそれぞれ外部から給電する必要がない。
【0006】
電極間部材としては、例えば、電極端子の位置に応じて湾曲させた、厚さが一定の金属板が挙げられる。しかし、このような金属板を電極間部材として使用した場合、電源に近い部分ほど発熱量が大きくなり、ハニカム構造体の均熱性が低下するという問題があった。
【0007】
この温度上昇は電極間部材の抵抗発熱に起因するため、電熱線による発熱と比べると、ハニカム構造体の温度上昇に対する寄与は小さい。そのため、電極間部材の体積を増加させることで抵抗を下げて発熱量を小さくすることで、温度上昇の差を小さくして、ハニカム構造体の均熱性を向上させることができる。
【0008】
しかし、温度上昇の差を小さくするために電極間部材の体積を増加させると、電極間部材の重量が大きくなりすぎて、振動や衝撃による電極端子の脱落やハニカムセグメントの破損が生じやすくなるという課題を生じる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、均熱性の向上と、ハニカムセグメントの破損の抑制を両立させることのできるハニカム構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明のハニカム構造体は、多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを接着剤層を介して複数組み合わせてなるハニカム集合体と、上記接着剤層の内部に配置され、電熱線と、上記電熱線の両端部に接続される第1の電極端子及び第2の電極端子とからなる加熱ユニットと、電源に接続される第1の給電端子と、すべての上記第1の電極端子と上記第1の給電端子とを一繋ぎに接続する第1の接続部と、電源に接続される第2の給電端子と、すべての上記第2の電極端子と上記第2の給電端子とを一繋ぎに接続する第2の接続部とを備えるハニカム構造体であって、上記第1の接続部と上記第2の接続部によって、複数の上記加熱ユニットが並列つなぎに接続されており、上記第1の接続部及び上記第2の接続部の断面積は、それぞれ、上記第1の給電端子及び上記第2の給電端子からの位置が遠いほど小さいことを特徴とする。
【0011】
本明細書において、第1の電極端子と第2の電極端子とを区別しないときは、単に電極端子ともいう。同様に、第1の接続部と第2の接続部を区別しないときは単に接続部ともいい、第1の給電端子と第2の給電端子とを区別しないときは単に給電端子ともいう。
【0012】
本発明のハニカム構造体では、すべての第1の電極端子と第1の給電端子とを一繋ぎに接続する第1の接続部が、第1の給電端子からの距離が遠いほど断面積が小さくなるように構成されている。第2の接続部についても同様で、すべての第2の電極端子と第2の電極端子とを一繋ぎに接続する第2の接続部が、第2の給電端子からの距離が遠いほど断面積が小さくなるように構成されている。
このような構成では、流れる電流の小さい給電端子から遠い位置における接続部の断面積の低下により電気抵抗値が増加して発熱量のバラつきを小さくする。さらに、給電端子から遠い位置における接続部の体積の減少によって体積熱容量が低下する。以上2つの理由から、給電端子からの距離に関わらず、接続部の温度上昇量が均等化され、異常発熱する部分をなくすことができる。
そのため、ハニカム構造体の均熱性を高めることができる。
また、給電端子からの距離が遠い部分の接続部の断面積を小さくしているため、接続部の重量が軽くなる。そのため、車載した際の振動や衝撃によって電極端子にかかる負荷を低減でき、ハニカム構造体の破損を抑えることができる。
【0013】
本発明のハニカム構造体においては、上記第1の接続部の断面積及び上記第2の接続部の断面積は、上記第1の給電端子及び上記第2の給電端子からの距離に応じて段階的に小さくなることが好ましい。
第1の接続部の断面積及び第2の接続部の断面積が、第1の給電端子及び第2の給電端子からの距離に応じて段階的に小さくなっていると、接続部に流れる電流値が同じである部分の抵抗値を合わせることがしやすくなり、温度上昇量の制御が容易となる。
【0014】
本発明のハニカム構造体は、上記ハニカム構造体の長手方向から平面視した際に、上記第1の給電端子と、上記ハニカム集合体の重心と、上記第2の給電端子とのなす角が30~90°であることが好ましい。
上記構成であると、電源等を含めた排ガス浄化装置全体の小型化に寄与する。
【0015】
本発明のハニカム構造体では、上記第1の給電端子から最も遠い位置における上記第1の接続部の断面積は、上記第1の給電端子に最も近い位置における上記第1の接続部の断面積の15~35%であり、上記第2の給電端子から最も遠い位置における上記第2の接続部の断面積は、上記第2の給電端子に最も近い位置における上記第2の接続部の断面積の15~35%である、ことが好ましい。
上記構成であると、給電端子から最も近い位置にある接続部と遠い位置における接続部の温度上昇量の差をさらに小さくでき、部分的に異常発熱することを抑えることができる。
【0016】
本発明のハニカム構造体では、上記加熱ユニットを3つ以上有することが好ましい。
加熱ユニットを3つ以上有していると、断面積が変化しない接続部を用いた場合に、異常発熱する部分が生じやすい。このような構成を有するハニカム構造体は、本発明を適用するのに適しているといえる。
【0017】
本発明のハニカム構造体の端面視において、ハニカムセグメントは縦横に格子状に組み合わされており、すべての上記電熱線は、上記格子状の縦横のうちいずれか一方である第1の方向に沿って、同じ方向で配置されていることが好ましい。
このような構成であると、局所的な発熱を抑えることができる。また、第1の方向と直交する方向には電熱線が配置されていないため、接着剤層によるハニカムセグメント間の接着力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明のハニカム構造体を構成するハニカム集合体の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ハニカムセグメントの長手方向に垂直な方向の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すハニカム集合体を用いたハニカム構造体の一例の部分断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すハニカム構造体を第1の端面側から見た端面視図である。
【
図6】
図6は、本発明のハニカム構造体の別の一例を第1の端面側から見た端面視図である。
【
図7】
図7は、実施例1に係るハニカム構造体の第1の端面を加熱している様子をサーモグラフィーカメラで撮影した画像である。
【0019】
(発明の詳細な説明)
[ハニカム構造体]
以下、本発明のハニカム構造体について説明する。
本発明のハニカム構造体は、多数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカムセグメントを接着剤層を介して複数組み合わせてなるハニカム集合体と、上記接着剤層の内部に配置され、電熱線と、上記電熱線の両端部に接続される第1の電極端子及び第2の電極端子とからなる加熱ユニットと、電源に接続される第1の給電端子と、すべての上記第1の電極端子と上記第1の給電端子とを一繋ぎに接続する第1の接続部と、電源に接続される第2の給電端子と、すべての上記第2の電極端子と上記第2の給電端子とを一繋ぎに接続する第2の接続部とを備えるハニカム構造体であって、上記第1の接続部と上記第2の接続部によって、複数の上記加熱ユニットが並列つなぎに接続されており、上記第1の接続部及び上記第2の接続部の断面積は、それぞれ、上記第1の給電端子及び上記第2の給電端子からの位置が遠いほど小さいことを特徴とする。
【0020】
図1は、本発明のハニカム構造体を構成するハニカム集合体の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すハニカム集合体100は、多数のセル21を区画形成する隔壁22を有するハニカムセグメント20を複数組み合わせてなる。ハニカムセグメント20は、それぞれ、ガスが流入する第1の端面101とガスが流出する第2の端面102を有する。
ハニカムセグメント20のセル21が伸びる方向を長手方向(
図1に両矢印Lで示す方向)とする。
複数のハニカムセグメントは接着剤層30を介して組み合わされている。
また、電極端子40が第1の端面101から突出している。
【0021】
ハニカムセグメント(隔壁)を構成する材料としては、SiC、Si含浸SiC等の熱伝導率が高いものであることが望ましい。
【0022】
隔壁の厚さは、均一であることが好ましい。具体的には、隔壁の厚さは、0.30mm未満であることが好ましい。また、0.05mm以上であることが好ましい。
【0023】
セルの形状としては、四角柱状に限定されず、三角柱状、六角柱状等が挙げられる。
セルの形状はそれぞれ異なっていてもよいが、全て同じであることが好ましい。すなわち、ハニカムセグメントの長手方向に垂直な断面において、隔壁に囲まれたセルのサイズが同じであることが好ましい。
【0024】
隔壁の気孔率は、50%以下であることが望ましい。
隔壁の気孔率が50%以下であると、高い機械的強度と排ガス浄化性能を両立させることができる。
【0025】
隔壁の気孔率が50%を超えると、気孔率が高くなりすぎるため、ハニカムセグメントの機械的特性が低下し、ハニカム構造体を使用中、クラックや破壊等が発生し易くなる。
【0026】
ハニカム構造体の形状は特に限定されるものではなく、円柱状に限られず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
【0027】
ハニカム構造体の形状が円柱状である場合、ハニカム構造体の端面の直径に対するハニカム構造体の長手方向の長さの割合(長さ/直径)が0.8以下であることが好ましい。
【0028】
ハニカム構造体の長手方向の長さは150mm以下であることが好ましく、また、50mm以上であることが好ましい。
【0029】
図2は、ハニカムセグメントの長手方向に垂直な方向の断面図である。
内燃機関から排出された排ガス(
図2中、排ガスの流れを矢印Gで示す)が、ハニカムセグメント20に到達すると、排ガスは、ハニカムセグメント20の第1の端面101からセル21に流入する。さらに、排ガスは、隔壁22に担持された触媒23に接触しながらセル21の中を通過する。この際、排ガス中のCOやHC、NO
X等の有害なガス成分が隔壁22に担持された触媒23により浄化される。そして、排ガスは、ハニカムセグメント20の第2の端面102においてセル21から流出する。
【0030】
触媒23としては、排ガスを処理できれば特に限定されないが、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属からなる触媒、ゼオライト、チタニア、酸化バナジウム等が挙げられる。ゼオライトとしてはCHA型ゼオライトであってもよく、ゼオライトはCu等でイオン交換されていてもよい。
これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの触媒が担持されていると、COやHC、NOX等の有毒な排ガスを好適に浄化することができる。
とくに、ゼオライトを触媒としてNOxを還元するSCR触媒としてハニカム構造体を使用することが好ましい。
【0031】
図3は、
図1に示すハニカム集合体を用いたハニカム構造体の一例の部分断面図である。
ハニカム構造体1を構成するハニカム集合体100では、ハニカムセグメント20が縦横に格子状に組み合わされている。この格子状の一方の方向を第1の方向とし、第1の方向と直交する方向を第2の方向とする。
隣接するハニカムセグメント20の間には加熱ユニット50が配置されている。
加熱ユニット50は、電熱線51、52及び53と、電熱線の両端に設けられた電極端子40からなる。
電極端子40は第1の端面101から突出している。電熱線51、52、53は接着剤層30の内部に配置されている。
加熱ユニットが有する電熱線の数は単数であってもよく、複数であってもよい。
【0032】
電熱線の材料としては、ニッケルクロム合金、ニッケルクロム鉄合金、クロム鉄アルミニウム合金等を使用することができる。また、電熱線は線状でも板状でも使用することができる。
電熱線が線状の場合、その直径は特に限定されるものではないが、0.1~1mmであることが好ましく、板状の場合、その厚さは限定されるものではないが、0.1~0.5mmであり、その幅は1~10mmであることが好ましい。
【0033】
接着剤層は、無機バインダと無機粒子とを含む接着剤ペーストを塗布、乾燥させたものである。上記接着剤層は、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
また、接着剤層の厚さは0.5~3mmであることが好ましい。
【0034】
電熱線51、52、53の両端には電極端子40が接続されていて、電極端子40が第1の端面101から突出しており、電極端子40から電熱線51、52、53に給電して電熱線を発熱させることができる。電極端子40は板状であり、電熱線51、52、53と接合されている。
電極端子40同士は、電極端子間を接続する接続部60により接続される。
【0035】
図3に示す加熱ユニット50では、複数の電熱線(51、52、53)が並列つなぎで接続されている。各電熱線の両端に電極端子40が接続されている。
加熱ユニットが、複数の断熱線が並列つなぎで接続されてなると、複数の電熱線のうちの1本が断線したとしても加熱ユニット全体としては断線しないため、加熱性能の低下を最小限に抑えることができる。
【0036】
本発明のハニカム構造体は、加熱ユニットを3つ以上有することが好ましい。
加熱ユニットを3つ以上有していると、断面積が変化しない接続部を用いた場合に、異常発熱する部分が生じやすい。このような構成を有するハニカム構造体は、本発明を適用するのに適しているといえる。
【0037】
電極端子40は、第1の電極端子41及び第2の電極端子42を有する。
すなわち、電熱線(51、52、53)の一方の端部は第1の電極端子41に接続されており、他方の端部は第2の電極端子42に接続されている。
同じ加熱ユニット50を構成する第1の電極端子41及び第2の電極端子42は、第1の方向に伸びる接着剤層30の一方の端部及び他方の端部に配置されている。
従って、すべての電熱線が第1の方向に沿って同じ方向で配置されている。
【0038】
ハニカム構造体1を構成するハニカム集合体100は、第1の方向に伸びる接着剤層30を6つ有しており、それぞれの接着剤層30の両端部には、第1の電極端子41及び第2の電極端子42が配置されている。
従って、第1の方向に沿って伸びる接着剤層30の数だけ、加熱ユニットが配置されている。すなわち、
図3に示すハニカム構造体は、6つの加熱ユニットを有している。
【0039】
加熱ユニット50を構成する第1の電極端子41及び第2の電極端子42は、それぞれ異なる給電端子70(71又は72)に接続されている。
すなわち、第1の電極端子41は第1の給電端子71に接続され、第2の電極端子42は第2の給電端子72に接続される。
【0040】
給電端子70と電極端子40との接続には、接続部60(61又は62)が用いられる。
第1の電極端子41と第1の給電端子71とが、第1の接続部61により一繋ぎに接続されている。
第2の電極端子42と第2の給電端子72とが、第2の接続部62により一繋ぎに接続されている。
これにより、6つの加熱ユニットが並列つなぎで接続されることとなる。
【0041】
図3に示すように、第2の給電端子72とすべての第2の電極端子42(42A、42B、42C、42D、42E、42F)は、第2の接続部62(62A、62B、62C、46D、62E、62F)により一繋ぎに接続されている。
第1の給電端子71とすべての第1の電極端子41も、第1の接続部61により一繋ぎに接続されている。
【0042】
接続部は、接続するすべての電極端子及び給電端子を一繋ぎに接続することができるものであれば、その形状は特に限定されない。また、接続部は、2つ以上の部品が組み合わされて構成されていてもよい。
接続部は金属で構成されることが好ましい。
【0043】
接続部としては、例えば、接続する電極端子の位置に合わせて湾曲させた金属板が挙げられる。金属板は、複数枚が積層された状態であってもよいし、複数の金属板で厚さや高さが異なっていてもよい。
複数枚積層された金属板で接続部が構成されていると、積層する各金属板の厚さ及び高さ並びに積層数を調整することで、後述する断面積の調整が容易となる。
【0044】
図4は、
図3に示すハニカム構造体を第1の端面側から見た端面視図である。
図4に示すように、第1の給電端子71とすべての第1の電極端子41(41A、41B、41C、41D、41E、42F)も、第1の接続部61により一繋ぎに接続されている。
【0045】
第1の給電端子及び第2の給電端子を設ける位置は特に限定されないが、例えば、第1の給電端子と、ハニカム集合体の重心と、第2の給電端子とのなす角が、30~90°となるように、第1の給電端子及び第2の給電端子を配置することが好ましい。
なお、
図4に示すハニカム構造体において、第1の給電端子71とハニカム集合体の重心gと第2の給電端子72とのなす角は45°である。
【0046】
接続部の断面積について、
図5を用いて説明する。
図5は、
図4の部分拡大図である。
図5に示すように、第1の接続部61A~61Fは、第1の給電端子71と、第1の電極端子41A~41Fを一繋ぎに接続している。なお、第1の接続部61Aは他の第1の接続部61B~61Fとは高さが異なる。
図4及び
図5では、高さが異なる部分(第1接続部61A、62A)を破線で示している。
【0047】
第1の給電端子71に最も遠い部分は、第1の接続部61のうち、第1の電極端子41Eと第1の電極端子41Fとを接続する部分(第1の接続部61F)である。第1の接続部61Fの断面積は、
図4中、F-F線で示される位置で第1の接続部61Fを切断した際の断面積であり、例えば、S
Fで示される面積である。
【0048】
続いて、第1の給電端子71に2番目に遠い部分は、第1の接続部61のうち、第1の電極端子41Eと第1の電極端子41Dとを接続する部分(第1の接続部61E)である。第1の接続部61Eの断面積は、
図4中、E-E線で示される位置で第1の接続部61Eを切断した際の断面積であり、例えば、S
Eで示される面積である(ただし、S
E>S
Fを満たす)。
【0049】
続いて、第1の給電端子71に3番目に遠い部分は、第1の接続部61のうち、第1の電極端子41Dと第1の電極端子41Cとを接続する部分(第1の接続部61D)である。第1の接続部61Dの断面積は、
図4中、D-D線で示される位置で第1の接続部61Dを切断した際の断面積であり、例えば、S
Dで示される面積である(ただし、S
D>S
Eを満たす)。
【0050】
続いて、第1の給電端子71に4番目に遠い部分は、第1の接続部61のうち、第1の電極端子41Cと第1の電極端子41Bとを接続する部分(第1の接続部61C)である。第1の接続部61Cの断面積は、
図4中、C-C線で示される位置で第1の接続部61Cを切断した際の断面積であり、例えば、S
Cで示される面積である(ただし、S
C>S
Dを満たす)。
【0051】
続いて、第1の給電端子71に5番目に遠い部分は、第1の接続部61のうち、第1の電極端子41Bと第1の電極端子41Aとを接続する部分(第1の接続部61B)である。第1の接続部61Bの断面積は、
図4中、B-B線で示される位置で第1の接続部61Bを切断した際の断面積であり、例えば、S
Bで示される面積である(ただし、S
B>S
Cを満たす)。
【0052】
最後に、第1の給電端子71に6番目に遠い部分(すなわち、第1の給電端子71に最も近い部分)は、第1の給電端子71と第1の電極端子41Aとを接続する部分(第1の接続部61A)である。第1の接続部61Aの断面積は、例えば、SAで示される面積である(ただし、SA>SBを満たす)。
【0053】
第1の接続部61の断面積は、第1の給電端子71に最も遠いものから順に(すなわち、第1の接続部61F、61E、61D、61C、61B、61Aの順に)、SF、SE、SD、SC、SB、SAと段階的に変化しているといえる。断面積の大小関係は、SF<SE<SD<SC<SB<SAを満たす。
すなわち、第1の給電端子71からの位置が遠いほど、接続部の断面積が段階的に小さくなっているといえる。
【0054】
なお、第1の給電端子71と第1の電極端子41Aとを接続する第1の接続部61Aについては、他の第1の接続部(61B~61E)とは、高さが異なっている。
そのため、第1の接続部61B~61Eにおいては、断面積の大小関係は、金属板の合計厚みの大小関係で算出されるが、第1の接続部61Aとの比較においては、金属板の厚みだけでなく、高さも考慮する必要がある。
【0055】
なお、本明細書における「接続部の断面積」とは、接続部において電流が流れると推定される方向に直交する方向における接続部の断面積を意味する。
なお、上記断面積は、各第1の接続部の断面積の最も小さくなる場所において測定した断面積である。
【0056】
図5には示していないが、第2の電極端子42と第2の給電端子72とを一繋ぎに接続する第2の接続部62(62A、62B、62C、62D、62E、62F)の断面積の大小関係についても、第1の接続部61の場合と同様である。
【0057】
図4及び
図5に示すように、第1の接続部61及び第2の接続部62の断面積が、それぞれ、第1の給電端子71及び第2の給電端子72からの位置が遠いほど小さくなっていると、流れる電流の小さい給電端子から遠い位置における接続部の断面積の低下により電気抵抗値が増加して発熱量のバラつきを小さくすることができる。さらに、給電端子から遠い位置における接続部の体積の減少によって体積熱容量を低下させることができる。
以上2つの理由から、給電端子からの距離に関わらず、接続部の温度上昇量が均等化され、異常発熱する部分をなくすことができる。そのため、ハニカム構造体の均熱性を高めることができる。また、給電端子からの距離が遠い部分の接続部の断面積を小さくしているため、接続部の重量が軽くなる。そのため、車載した際の振動や衝撃によって電極端子にかかる負荷を低減でき、ハニカム構造体の破損を抑えることができる。
【0058】
上記の構成を備える本発明のハニカム構造体は、例えば、第1の接続部61Aにおける発熱量を、第1の接続部61Fにおける発熱量の約2倍に抑えることができる。
上記の構成を採用しない場合、例えば、第1の接続部61A、61B、61C、61D、61E及び61Fを、同じ厚さ(断面積)の金属板で構成した場合、第1の接続部61Aにおける発熱量は、第1の接続部61Fにおける発熱量の約47倍となる。
このような構成のハニカム構造体と比較して、本発明のハニカム構造体は、接続部の温度上昇量が均等化されているため、異常発熱を抑制することができる。
【0059】
図4及び
図5において、第1の接続部61は、厚みの異なる複数の金属板が積層されて構成されている。各金属板の厚み及び高さ、並びに、積層される枚数は、各電極端子間で異なる。
例えば、第1の接続部61Fは、薄い1枚の金属板で構成されているが、第1の接続部61Eは、第1の接続部61Fを構成する金属板が2枚積層されることで構成されている。
また、第1の接続部61Dの一部は、第1の接続部61Fを構成する金属板と、第1の接続部61Fを構成する金属板よりも厚みの厚い金属板とが積層されている。第1の接続部61Dの他の部分、及び、第1の接続部61Cは、第1の接続部61Fを構成する金属板よりも厚みの厚い金属板が2枚積層されている。第1の接続部61Bは、第1の接続部Cを構成する金属板と、第1の接続部61Cを構成する金属板よりも厚みの厚い金属板とが積層されている。また、第1の接続部61Aを構成する金属板の高さは、その他の第1の接続部61B~61Fを構成する金属板の2倍になっている。
【0060】
第1の接続部61Fを構成する金属板1枚あたりの厚さは、第1の接続部61Dを構成する金属板のうち、厚みが厚い方の金属板1枚あたりの厚さよりも薄い。また、第1の接続部61Dを構成する金属板のうち、厚みが厚い方の金属板1枚あたりの厚さは、第1の接続部61Bを構成する金属板のうち、厚みが厚い方の金属板一枚あたりの厚さよりも薄い。
【0061】
第1の接続部及び第2の接続部の断面積は、第1の給電端子及び第2の給電端子からの距離に応じて段階的に(非連続的に)小さくなっていてもよいし、連続的に小さくなっていってもよい。
図3~
図5に示す接続部は、いずれも、第1の給電端子及び第2の給電端子からの距離に応じて段階的に断面積が小さくなっている。
【0062】
第1の給電端子から最も遠い位置における第1の接続部の断面積は、第1の給電端子に最も近い位置における第1の接続部の断面積の15~35%であることが好ましい。
また、第2の給電端子から最も遠い位置における第2の接続部の断面積は、第2の給電端子に最も近い位置における第2の接続部の断面積の15~35%であることが好ましい。
【0063】
第1の給電端子及び第2の給電端子は、それぞれ、第1の接続部及び第2の接続部を通じて電熱線に電流を供給するための端子である。
第1の給電端子及び第2の給電端子の形状は特に限定されない。
第1の給電端子及び第2の給電端子を構成する材料は特に限定されないが、例えば第1の接続部及び第2の接続部を構成する材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0064】
図6は、本発明のハニカム構造体の別の一例を第1の端面側から見た端面視図である。
図6は、第1の給電端子73と、ハニカム集合体の重心gと、第2の給電端子74とのなす角が、180°となるように第1の給電端子73及び第2の給電端子74が配置された例であるともいえる。
【0065】
図6に示すように、第1の接続部63及び第2の接続部64の断面積は、それぞれ、第1の給電端子73及び第2の給電端子74からの位置が遠いほど小さくなっている。
【0066】
第1の接続部63は、第1の給電端子73と、第1の電極端子43A~43Fを一繋ぎに接続している。
第1の給電端子73に最も遠い部分は、第1の接続部63のうち、第1の電極端子43Aと第1の電極端子43Bとを接続する部分(第1の接続部63A)、及び、第1の電極端子43Eと第1の電極端子43Fとを接続する部分(第1の接続部63E)である。第1の接続部63A、第1の接続部63Eの断面積は、それぞれ、SA2、SE2で示される面積である。
【0067】
続いて、第1の給電端子73に2番目に近い部分は、第1の接続部63のうち、第1の電極端子43Bと第1の電極端子43Cとを接続する部分(第1の接続部63B)、及び、第1の電極端子43Dと第1の電極端子43Eとを接続する部分(第1の接続部63D)である。第1の接続部63B、第1の接続部63Dの断面積は、それぞれ、SB2、SD2で示される面積である(ただし、SB2>SA2、SD2>SE2を満たす)。
【0068】
最後に、第1の給電端子73に3番目に遠い部分(すなわち、第1の給電端子73に最も近い部分)は、第1の電極端子43Cと第1の給電端子73と第1の電極端子43Dとを接続する部分(第1の接続部63C)である。第1の接続部63Cの断面積は、例えば、SC2で示される面積である(ただし、SC2>SB2、SC2>SD2を満たす)。
【0069】
以上より、第1の接続部63の断面積は、第1の給電端子73に最も遠いものから順に(すなわち、第1の接続部63E及び第1の接続部63A、第1の接続部63D及び第1の接続部63B、並びに第1の接続部63C)、SF2=SA2<SD2=SB2<SC2を満たす。ただし、SF2<SD2<SC2及びSA2<SB2<SC2の条件を満たしていれば、SF2≠SA2、SD2≠SB2であってもよい。
【0070】
第2の電極端子44と第2の給電端子74とを一繋ぎに接続する第2の接続部64(64A、64B、64C、64D、64E)の断面積の大小関係についても、第1の接続部63の場合と同様である。
【0071】
図6に示すように、第1の接続部63及び第2の接続部64の断面積が、それぞれ、第1の給電端子73及び第2の給電端子74からの位置が遠いほど小さくなっていると、流れる電流の小さい給電端子から遠い位置における接続部の断面積の低下により電気抵抗値が増加して発熱量のバラつきを小さくすることができる。さらに、給電端子から遠い位置における接続部の体積の減少によって体積熱容量を低下させることができる。
以上2つの理由から、給電端子からの距離に関わらず、接続部の温度上昇量が均等化され、異常発熱する部分をなくすことができる。そのため、ハニカム構造体の均熱性を高めることができる。また、給電端子からの距離が遠い部分の接続部の断面積を小さくしているため、接続部の重量が軽くなる。そのため、車載した際の振動や衝撃によって電極端子にかかる負荷を低減でき、ハニカム構造体の破損を抑えることができる。
【0072】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一例について説明する。
上記ハニカム構造体は、例えば、公知の製造方法でセラミックからなるハニカムセグメントを作製した後、ハニカムセグメントを接着剤層を介して接着することにより製造することができる。
接着剤層をハニカムセグメントの側面に形成する際に、ハニカムセグメントの間に電熱線を配置して、電熱線の端部に電極端子を接続して、電極端子がハニカム構造体の第1の端面から突出するようにする。
【0073】
ハニカムセグメントを接着する際に、ハニカム構造体において第1の方向となる方向に平行な面が露出するようにハニカムセグメントを複数個並べ、接着剤層となる接着剤ペーストを塗布し、電熱線を接着剤ペーストの上に載置する。
また、複数本の電熱線を並列つなぎで接続して組電熱線としておき、電極端子をハニカム構造体において第1の端面となる方向から露出させる。
【0074】
接着剤ペーストをさらに電熱線の上に塗布してから、接着剤ペーストの上にハニカムセグメントを並べる。
この工程を繰り返してハニカムセグメントを組み合わせて、ハニカム集合体とする。
ハニカム集合体を加熱することにより接着剤ペーストを加熱固化して接着剤層とし、ハニカム構造体を作製する。
ハニカム集合体は、狙いの形状にするために、外周を加工してもよく、加工後に接着剤ペーストと同様のペーストを用いて外周を塗布してもよい。
ハニカム集合体の第1の端面には電極端子が露出する。
【0075】
ハニカム集合体の第1の端面に露出した各電極端子を、第1の接続部又は第2の接続部と接続する。具体的には、第1の給電端子とすべての第1の電極端子とを一繋ぎに接続するように、第1の接続部を接続する。
このとき、第1の給電端子からの距離が遠くなるほど、第1の接続部の断面積が小さくなるように、第1の接続部の断面積を調整する。
第2の接続部も第1の接続部と同様に、第2の給電端子とすべての第2の電極端子とを一繋ぎに接続するように、第2の接続部を接続し、第2の給電端子からの距離が遠くなるほど、第2の接続部の断面積が小さくなるように、第2の接続部の断面積を調整する。
【0076】
接続部の断面積を調整する方法は特に限定されないが、例えば、金属板の厚みの変更、金属板の高さの変更、及び、金属板の積層枚数の変更を必要に応じて適宜組み合わせてもよい。
以上の工程により、ハニカム構造体を製造することができる。
【0077】
また、製造したハニカム構造体を、触媒を含むスラリーに浸漬し、乾燥することによりハニカム構造体の隔壁に触媒を担持させることが好ましい。
【実施例0078】
(実施例1)
図3及び
図4に示した電極端子、給電端子及び接続部の位置及び形状となるように、実施例1に係るハニカム構造体を作成した。ハニカムセグメントを構成する材料としてはSiCを用いた。
作成したハニカム構造体を構成するハニカム集合体の直径は266.7mmであり、長手方向の長さは101.6mmであった。また、電極端子(第1の電極端子及び第2の電極端子)、給電端子(第1の給電端子及び第2の給電端子)及び接続部(第1の接続部及び第2の接続部)の位置及び形状は、
図3~
図5に示す通りとした。すなわち、接続部の断面積は、給電端子からの距離が遠いもの(第1の接続部61F及び第2の接続部62F)から順に、S
F=9mm
2、S
E=18mm
2、S
D=27mm
2、S
C=36mm
2、S
B=45mm
2、S
A=54mm
2であった。なお、給電端子に最も近い接続部を構成する金属板としては、高さが、その他の金属板の高さの2倍のものを用いた。
なお、電極端子及び接続部を構成する材料としては、ステンレスを用いた。
【0079】
(比較例1)
第1の接続部及び第2の接続部となる金属板の積層枚数及び厚みを調整して、すべての部位において接続部の断面積を9mm2としたほかは、実施例1と同様の手順で比較例1に係るハニカム構造体を作成した。
【0080】
(加熱試験)
実施例1及び比較例1に係るハニカム構造体の2つの給電端子間に48V、208Aの直流電流を印加し、90秒後のハニカム構造体の第1の端面の温度を、サーモグラフィーカメラにより撮影した。
図7は、実施例1に係るハニカム構造体の第1の端面を加熱している様子をサーモグラフィーカメラで撮影した画像である。
【0081】
図7に示すように、実施例1に係るハニカム構造体においては、給電端子に近い8つの接続部(
図3及び
図4における、第1の接続部61A~61D及び第2の接続部62A~62Dに相当する部分)の温度がほとんど同じであり、給電端子に近い部分の接続部だけが異常発熱していないことが確認できる。
また、給電端子に最も近い接続部(
図3及び
図4に示すハニカム構造体の、第1の接続部61A、第2の接続部62Aに相当する部分)の発熱量が、給電端子から最も遠い接続部(
図3及び
図4に示すハニカム構造体の、第1の接続部61F、第2の接続部62Fに相当する部分)の発熱量の約2倍であった。
【0082】
なお比較例1に係るハニカム構造体では、給電端子に最も近い接続部(
図3及び
図4に示すハニカム構造体の、第1の接続部61A、第2の接続部62Aに相当する部分)の発熱量が、給電端子から最も遠い接続部(
図3~
図5に示すハニカム構造体の、第1の接続部61F、第2の接続部62Fに相当する部分)の発熱量の約47倍であった。