(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136783
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】店舗用移動台車、店舗用移動台車走行制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230922BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042664
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 朗
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD05
5H301DD17
5H301FF08
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301LL02
5H301LL07
5H301LL08
5H301LL14
5H301QQ09
(57)【要約】
【課題】ユーザとの距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることを可能とする。
【解決手段】スマートフォン2は、ショッピングカート1に搭載され、ユーザ5が携帯するスマートフォン4と無線通信で接続される。スマートフォン2は、無線通信の特性に基づいて、自身とスマートフォン4までの距離及び方位を取得する。移動台車制御装置3は、スマートフォン2からのユーザ5(スマートフォン4)までの距離及び方位に基づいて、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離を所定の距離(例えば、1m)で維持させながら追尾するように車輪12を駆動制御してショッピングカート1を走行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗の商品を載せるための荷台部と、
前記荷台部を走行させる走行部と、
前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように前記走行部を制御する走行制御手段と、
を備えることを特徴とする店舗用移動台車。
【請求項2】
前記走行制御手段は、
前記携帯端末までの距離が前記所定の距離内である場合には、前記走行部を停止又は減速させ、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離外である場合には、前記携帯端末までの距離に応じた走行速度で走行するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の店舗用移動台車。
【請求項3】
前記走行制御手段は、
前記走行部の走行速度が最大許容速度に達した場合、前記走行部の走行速度を下げるように前記走行部を制御する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の店舗用移動台車。
【請求項4】
走行経路上の障害物を検出する障害物検出手段をさらに備え、
前記走行制御手段は、
前記障害物検出手段により前記障害物が検出された場合、前記障害物を回避するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項5】
前記無線通信手段は、他の店舗用移動台車が備える無線通信部と通信して店舗内の障害物に関する情報を受信し、
前記走行制御手段は、前記無線通信手段により受信した前記障害物に関する情報に基づいて、前記障害物を回避するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項6】
前記携帯端末までの距離、前記携帯端末の方位、前記走行部の動作状態のうち、少なくとも1つを前記携帯端末に通知する通知手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項7】
目標誘導位置を設定する設定手段をさらに備え、
前記走行制御手段は、
前記設定手段によって設定された前記目標誘導位置に到達する走行経路上で、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離を維持するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項8】
前記走行制御手段は、
前記携帯端末までの距離が前記所定の距離内である場合には、前記携帯端末までの距離に応じた走行速度となるように前記走行部を制御し、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離外である場合には、前記走行部の走行速度を落とすか、又は停止させるように前記走行部を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項9】
前記携帯端末と前記無線通信手段により無線通信が確立すると、当該無線通信が確立した旨を前記携帯端末の顧客に報知するための報知手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項10】
前記無線通信手段は、前記携帯端末から購入した商品に対する会計が終了した旨の通知を受信すると、前記携帯端末との無線通信を切断する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項11】
前記走行制御手段は、前記無線通信手段による前記携帯端末との無線通信が切断されると、所定の位置に戻るように前記走行部を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の店舗用移動台車。
【請求項12】
店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部とを備える移動台車の走行を制御する店舗用移動台車走行制御方法であって、
無線通信部により、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行うステップと、
前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出するステップと、
前記検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように、前記走行部を制御するステップと、
を含むことを特徴とする店舗用移動台車走行制御方法。
【請求項13】
店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部とを備える移動台車の走行を制御する情報処理装置に実行されるプログラムであって、
無線通信部により、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行う無線通信機能と、
前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出する検出機能と、
前記検出機能によって検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように、前記走行部を制御する走行制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗用移動台車、店舗用移動台車走行制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特に大型店舗などにおいて、買い物をしているユーザ(顧客)は、車輪を備えたショッピングカートを押しながら、購入する商品をショッピングカートに入れていた。近年、ユーザの利便性を向上させるべく、画像センサによりユーザを撮影し、撮影した画像からユーザの特徴である容姿、体型、着用衣服等の色、柄等の複数の特徴点を抽出してユーザ自身、及びユーザとの距離を算出し、ユーザとの距離が一定に保たれるようにショッピングカートを自走させる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の自走式のショッピングカートでは、画像センサによってユーザを認識していたため、ユーザの距離が離れすぎたり、ユーザの周囲に他のユーザが存在したり、ユーザが商品棚に隠れてしまったりした場合、ユーザを見失い、追尾することができなくなるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、ユーザとの距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る店舗用移動台車は、店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部と、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行う無線通信手段と、前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように前記走行部を制御する走行制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る、店舗用移動台車走行制御方法は、店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部とを備える移動台車の走行を制御する店舗用移動台車走行制御方法であって、無線通信部により、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行うステップと、前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出するステップと、前記検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように、前記走行部を制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るプログラムは、店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部とを備える移動台車の走行を制御する情報処理装置に実行されるプログラムであって、無線通信部により、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行う無線通信機能と、前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出する検出機能と、前記検出機能によって検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように、前記走行部を制御する走行制御機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ユーザとの距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による移動台車システム10の構成を示す模式図である。
【
図2】本実施形態による移動台車システム10の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態による移動台車システム10の各部の一連の動作(操作)を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本実施形態によるスマートフォン4のカート選択時の画面例を示す模式図である。
【
図5】本実施形態による移動台車制御装置3及びスマートフォン4の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本実施形態によるスマートフォン4のカート走行時の画面例を示す模式図である。
【
図7】本実施形態の変形例による移動台車制御装置3及びスマートフォン4の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本実施形態の変形例によるスマートフォン4のカート走行時の画面例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.実施形態
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。特に、以下の説明では、本願発明の移動台車としてショッピングカートについて説明するが、本願発明は、これに限らず、例えば、商品倉庫における集荷台車や、工場等における製品/半完成品を運搬する台車などに適用可能である。
【0012】
図1は、本実施形態による移動台車システム10の構成を示す模式図である。移動台車システム10は、ショッピングカート1(移動台車)、スマートフォン2、移動台車制御装置3、店舗に来店したユーザ(顧客)5が携帯するスマートフォン4(携帯端末)から構成される。ショッピングカート1は、商品を収容するかご部11(荷台部)と、カートを全方向に自在に移動させるための車輪12(走行部)とを備えている。
【0013】
スマートフォン2は、店舗側が用意したものであり、ショッピングカート1のかご部11の前面上部に設置され、ユーザ5が携帯するスマートフォン4と無線通信(Bluetooth(商標登録)Low Energy Ver.5.1;以下、BLEと呼ぶ)で接続されるとともに、移動台車制御装置3と有線/無線で接続される。スマートフォン2は、ユーザ5が携帯するスマートフォン4とBLEによる無線通信によって接続されることで、ショッピングカート1(スマートフォン2)からスマートフォン4までの距離及び方位を取得可能になっている。
【0014】
ここで、スマートフォン2がBLEによる無線通信により接続されたスマートフォン4までの距離及びその方位の取得方法について説明する。スマートフォン2は、スマートフォン4との間でのBLEによる近距離無線通信の電波状況に基づいて、スマートフォン2からスマートフォン4までの距離及び方位を導出する。具体的には、スマートフォン2は、スマートフォン4から受信する電波の強度に基づいて、スマートフォン4までの距離を導出する。また、スマートフォン2は、BLEによる無線通信を担う通信部が有するアレイアンテナを用い、スマートフォン4から電波を受信したときに検知されるアンテナごとの位相情報に基づいて、スマートフォン4までの方位を導出する。なお、方位の導出方法については、公知の技術(例えば、Bluetooth 5.1(登録商標)の方向検知機能等)であるため、その詳細な説明については省略する。
【0015】
移動台車制御装置3は、ショッピングカート1の下部等の適切な箇所に設置され、スマートフォン2からのユーザ5(スマートフォン4)までの距離及び方位などから作成された走行データに基づいて、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離を所定の距離で維持させながら、ユーザ5(スマートフォン4)を追尾するように車輪12を駆動制御してショッピングカート1を走行させる。
【0016】
スマートフォン4は、ユーザにより所有されるものである。スマートフォン4は、ショッピングカート1に搭載されたスマートフォン2とBLEによる無線通信で接続され、スマートフォン2もしくは移動台車制御装置3から提供される各種情報(データ)を受信し、表示部に表示するなどしてユーザ5に各種情報(データ)を提供する。
【0017】
図2は、本実施形態による移動台車システム10の構成を示すブロック図である。まず、スマートフォン2は、CPU21、第1通信部22-1、第2通信部22-2、表示部23及びLiDAR(商標登録)(ライダー;Light Detection and Ranging or Laser Imaging Detection and Ranging)24を備えている。CPU21は、当該スマートフォン2の全体動作を制御する。
【0018】
第1通信部22-1は、移動台車制御装置3と無線通信(Wi-Fi(商標登録)など)又は有線通信(USB3.1(商標登録)など)で接続する。第2通信部22-2は、複数のアンテナからなるアレイアンテナを有し、ユーザ5が携帯するスマートフォン4とBLEによる無線通信で接続する。スマートフォン2は、上述したように、BLEによる無線通信で接続されたスマートフォン4から受信する電波の強度に基づいて、スマートフォン4までの距離を導出するとともに、アレイアンテナを介してスマートフォン4から電波を受信したときに検知されるアンテナごとの位相情報に基づいて、スマートフォン2から通信相手であるスマートフォン4までの方位を導出するので、当該方位の導出を簡便に行うことができる。
【0019】
表示部23は、移動台車制御装置3から受信した各種情報をユーザ5に提示する。LiDAR(商標登録)24は、パルス状に発光するレーザ照射に対する散乱光を測定し、対象物までの距離やその対象の形状等を検出する。本実施形態では、LiDAR24(商標登録)によってショッピングカート1の周囲の状況、すなわち周囲の人や、他のショッピングカート、商品棚などを検出する。
【0020】
移動台車制御装置3は、CPU31、通信部32、センサ(赤外線)33、メモリ34、モータ制御部35、駆動部36及びバッテリ37を備えている。CPU31は、当該移動台車制御装置3の全体動作を所定のプログラムに従って制御する。通信部32は、ショッピングカート1に搭載されているスマートフォン2と通信するための第1の通信機能として、スマートフォン2と無線通信(Wi-Fi(商標登録)など)で接続するための無線通信機能か、あるいは、有線通信(USB3.1(商標登録)など)で接続するための有線通信機能を有する。
【0021】
センサ33は、ショッピングカート1に近接する人や、物体(他のショッピングカート、商品棚など)を検出する、赤外線センサや、超音波センサ、光学センサ(カメラを含む)などからなる。センサ33は、LiDAR(商標登録)24では計測できないカート横方向や後方などの状況を検出する。メモリ34は、CPU31の実行に伴うプログラムや、データなどを記憶する。モータ制御部35は、CPU31からの指示に従って、ショッピングカート1の車輪12を駆動するためのモータ駆動制御や、方向制御、前進後退などを制御する。駆動部36は、ショッピングカート1の車輪12を駆動するモータやギアボックスなどの駆動系である。バッテリ37は、充電可能な二次電池であり、移動台車制御装置3の各部を動作させるための電力を供給する。
【0022】
スマートフォン4は、基本的に通常のスマートフォンの構成と同じであるが、移動台車システム10のショッピングカート1を利用するためのアプリケーションを実行する。スマートフォン4は、主要な構成要素として、CPU41、通信部42及び表示部43を備えている。CPU41は、当該スマートフォン4の全体動作を所定のアプリケーションプログラムに従って制御する。特に、本実施形態では、CPU41は、通信部42によって、ショッピングカート1側のスマートフォン2と、第2通信部22-2を介してBLEによる無線通信で接続する。
【0023】
表示部43は、スマートフォン2を介して、移動台車制御装置3から受信した各種情報をユーザ5に提示する。特に、本実施形態では、表示部43には、カートの選択、ショッピングカート1との距離、移動に関する助言などを表示する。なお、図示していないが、スマートフォン4に搭載されているバイブレータの振動による通知を連動させてもよい。
【0024】
B.実施形態の動作
図3は、本実施形態による移動台車システム10の各部の一連の動作(操作)を説明するためのフローチャートである。また、
図4は、本実施形態によるスマートフォン4のカート選択時の画面例を示す模式図である。なお、カート置き場に置かれたショッピングカート1側のスマートフォン2と移動台車制御装置3とは、予め有線又は無線で接続されている(ステップS10)。また、スマートフォン2では、専用アプリケーションが起動しており、ユーザ5のスマートフォン4との接続の待機状態となっている。
【0025】
ユーザ5は、まず、自身が所持しているスマートフォン4の専用アプリケーションを起動する(ステップS12)。専用アプリケーションは、スマートフォン4のBLEによる無線通信機能が有効(ON)になっていない場合には、自動で有効(ON)とするか、又はユーザ5に有効(ON)とするように促す。
【0026】
スマートフォン4のBLEによる無線通信機能が有効(ON)になると、カート置き場で待機状態であった少なくとも1つ以上のショッピングカート1のスマートフォン2は、スマートフォン4と接続する(ステップS14)。スマートフォン4と接続した少なくとも1つ以上のショッピングカート1のスマートフォン2は、自身が接続しているショッピングカート1のカート番号を、ユーザ5のスマートフォン4に送信する(ステップS16)。
【0027】
ユーザ5のスマートフォン4は、カート置き場にある少なくとも1つ以上のショッピングカート1のスマートフォン2から送信される、利用可能なショッピングカート1のカート番号の一覧を表示部43に表示する(ステップS18)。
【0028】
表示部43には、
図4(a)に示すように、「使用するカートを設定します」、「近くにあるカートを表示します」、「カート番号を押してください」というメッセージとともに、利用可能なショッピングカート1として、「No.2」、「No.3」、「No.5」、「No.6」、「No.8」の5台分のカート番号が一覧表示され、さらに、最新情報に更新するための「最新情報更新」ボタンと「戻る」ボタンが表示される。
【0029】
なお、カート置き場には、一般的に、10台、20台など多くのショッピングカート1が置かれていることが想定される。全ての待機状態のショッピングカート1のカート番号を全て送信しても、スマートフォン4側のユーザにとっては不便である。そこで、スマートフォン4は、カート置き場に置かれている複数のショッピングカート1のそれぞれに搭載されているスマートフォン2とBLEによる無線通信で接続すると、自身との間の距離がより近い(電波強度がより強い)スマートフォン2を抽出して、抽出したスマートフォン2が搭載されているショッピングカート1のカート番号を優先して表示するようにしてもよい。また、一覧表示する最大台数を予め設定しておき(例えば、5台など)、スマートフォン4(ユーザ5)からの距離がより近い(電波強度が強い)複数のショッピングカート1のうち、最大台数分のショッピングカート1のカート番号を表示するようにしてもよい。さらに、ショッピングカート1のカート番号を表示する際に、距離の近い順に上から一覧表示するようにしてもよい。
【0030】
図4(a)に示す画面から、ユーザ5がNo.3のショッピングカート1を選択したとすると、スマートフォン4の表示部43には、
図4(b)に示すように、選択したショッピングカート1のカート番号と「OK」ボタン、「戻る」ボタンが表示される。ユーザが「OK」ボタンを押下すると、以降の処理へ進み、「戻る」ボタンを押下すると、
図4(a)の画面に戻る。
【0031】
ユーザ5は、ショッピングカート1の一覧から、利用したい1台を選択する(ステップS20)。選択されたショッピングカート1のスマートフォン2は、ユーザ5のスマートフォン4と紐付けることで、追尾対象を認識する(ステップS22)。このとき、スマートフォン2は、スマートフォン4とBLEによる無線通信が確立(ペアリング;紐付け)したことを、スマートフォン2の表示部23によって表示(メッセージ、点灯、点滅)したり、移動台車制御装置3に備えられた発光ダイオード(不図示)などを点灯/点滅させたりするなどしてユーザ5に報知するようにしてもよい。これにより、ユーザ5は、どのショッピングカート1とペアリング(紐付け)されたかを容易に知ることができる。これにより、接続が解除されるまで、ショッピングカート1は、ユーザ5のスマートフォン4を追尾するように自動追尾走行することになる。
【0032】
ショッピングカート1のスマートフォン2は、LiDAR(登録商標)24で周囲をスキャンして読み取りを開始する(ステップS24)。このスキャンは、自動走行中、常時又は所定の時間間隔で継続される。スマートフォン2は、スキャンで読み取ったデータから、自己位置情報と環境地図とを作成する(ステップS26)。なお、環境地図は、ユーザが変わる度に新たに作成する必要はなく、過去の履歴を継承してもよく、変化があったときだけ更新するようにしてもよい。また、LiDAR(登録商標)24によるスキャンに加えて、センサ33によるスキャン結果を加えてもよい。
【0033】
次に、スマートフォン2は、スマートフォン4とのBLEによる無線通信によって導出されるスマートフォン4との距離及び方位からユーザ5の現在位置を検知する(ステップS28)。スマートフォン2は、ショッピングカート1の自己位置情報、環境地図、及びユーザ5の現在位置から、ショッピングカート1の走行データを作成する(ステップS30)。走行データとは、ユーザ5(スマートフォン4)と所定の距離(例えば、1m)で維持させながら、ユーザ5(スマートフォン4)を追尾するためのデータ(走行方向、走行速度、前進後退)である。スマートフォン2は、作成した走行データを、移動台車制御装置3に送信する(ステップS32)。
【0034】
移動台車制御装置3では、CPU31が、通信部32を介して、スマートフォン2から走行データを受信し(ステップS34)、走行データ(走行方向、走行速度、前進後退)に従ってモータ制御部35に指示を出し、モータ制御部35によって駆動部36を駆動制御し、ユーザ5(スマートフォン4)と所定の距離(例えば、1m)で維持させながら、ショッピングカート1を自動追尾走行させる(ステップS36)。
【0035】
ショッピングカート1のスマートフォン2は、移動台車制御装置3による自動追尾走行中、ユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)以上となった場合や、ユーザ5(スマートフォン4)を見失った場合、ショッピングカート1の走行速度が上がり過ぎた場合などに、ユーザ5(スマートフォン4)に通知等の情報を送信する(ステップS38)。ユーザ5のスマートフォン4は、ショッピングカート1のスマートフォン2から通知を受信して表示部43に適宜表示する(ステップS40)。これにより、ユーザ5は、ショッピングカート1が追いつくまで待ったり、ショッピングカート1を探すために戻ったりと、次に取るべき行動を認知することができる。上述したステップS24~S40は、自動追尾走行が終了するまで繰り返し実行される。
【0036】
図5は、本実施形態による移動台車制御装置3及びスマートフォン4の動作を説明するためのフローチャートである。また、
図6は、本実施形態によるスマートフォン4のカート走行時の画面例を示す模式図である。
【0037】
スマートフォン2は、上述したように、ショッピングカート1の自己位置情報、環境地図、及びユーザ5の現在位置から、ショッピングカート1の走行データを作成し、移動台車制御装置3に送信して自動追尾走行の開始を指示する(ステップS100)。移動台車制御装置3では、モータ制御部35によって走行データに従って駆動部36を駆動し、ユーザ5(スマートフォン4)を追尾する自動追尾走行を開始する。
【0038】
スマートフォン2は、現在の距離をスマートフォン4に通知する(ステップS102)。例えば、スマートフォン4の表示部43には、
図6(a)に示すように、利用しているショッピングカート1のカート番号「No.3」と、ショッピングカート1との距離「0.8m」が表示される。次に、スマートフォン2は、LiDAR(登録商標)24によるスキャンに加えて、センサ33によるスキャン結果に基づいて、走行ルート内(ショッピングカート1とユーザ5との間)に障害物(人、棚、他のシッピングカートなど)があるか否かを判断する(ステップS104)。
【0039】
そして、走行ルート内に障害物がある場合には(ステップS104のYES)、スマートフォン2は、障害物を避けて迂回するように、移動台車制御装置3に指示し、駆動部36を駆動して走行させる(ステップS106)。迂回走行後、又は、走行ルート内に障害物がない場合には(ステップS104のNO)、スマートフォン2は、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)内であるか否かを判断する(ステップS108)。
【0040】
そして、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)内である場合には(ステップS108のYES)、スマートフォン2は、走行を停止するように移動台車制御装置3に指示し、ショッピングカート1の走行を停止させる(ステップS110)。
【0041】
次に、スマートフォン2は、買い物が終了してユーザ5による支払が完了したか否かを判断する(ステップS122)。なお、支払完了は、ユーザが支払完了ボタンを押下したことで判断するか、レジに到達したことを検知したことで判断するか、ショッピングカート1の回収場所に来たことで判断するようにしてもよい。そして、支払が完了していない場合には(ステップS122のNO)、買い物が継続しているので、ステップS102に戻る。
【0042】
一方、自動追尾走行中に、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)を超えた場合には(ステップS108のNO)、スマートフォン2は、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離に応じた走行速度で走行するように移動台車制御装置3に指示し、ショッピングカート1を走行させる(ステップS112)。すなわち、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が離れているほど、より高速度で走行させる。
【0043】
このように、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)を超えた場合には、その距離に応じた走行速度での追尾走行が継続される。すなわち、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が近いほど低速で、距離が遠いほど高速で、後従するショッピングカート1を走行させる。
【0044】
次に、スマートフォン2は、走行速度が予め設定された最大許容速度(例えば、時速2km)に達したか否かを判断する(ステップS116)。そして、走行速度が最大許容速度に達していない場合には(ステップS116のNO)、買い物が終了してユーザ5による支払が完了したか否かを判断し(ステップS122)、支払が完了していない場合には(ステップS122のNO)、買い物が継続しているので、ステップS102に戻る。
【0045】
一方、自動追尾走行中に、走行速度が最大許容速度に達した場合には(ステップS116のYES)、スマートフォン2は、走行速度を落とすように移動台車制御装置3に指示し、ショッピングカート1の走行速度を制御する(ステップS118)。次に、スマートフォン2は、ユーザ5(スマートフォン4)に待機するよう通知する(ステップS120)。例えば、スマートフォン4の表示部43には、
図6(b)に示すように、利用しているショッピングカート1のカート番号「No.3」と、ショッピングカート1との距離「2m」と、「離れすぎています 止まって下さい」というメッセージが表示される。その後、買い物が終了してユーザ5による支払が完了したか否かを判断し(ステップS122)、支払が完了していない場合には(ステップS122のNO)、買い物が継続しているので、ステップS102に戻る。
【0046】
このように、走行速度が最大許容速度に達した場合には、ショッピングカート1の走行速度を落として安全性を確保するとともに、ショッピングカート1がユーザ5に追いつくまで(所定の距離内になるまで)、ユーザ5に待つようにスマートフォン2に通知する。
【0047】
上述したステップS102~S122において、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)で維持されるように、その距離に応じた走行速度での追尾走行が継続される。
【0048】
そして、買い物が終了してユーザ5による支払が完了した場合、例えば、スマートフォン4の表示部43に、
図6(a)、(b)に示すような画面から「支払完了」ボタンが押下された場合には(ステップS122のYES)、スマートフォン2は、手動モードに移行するように移動台車制御装置3に指示し(ステップS124)、スマートフォン4との通信を切断する(ステップS126)。ここで、手動モードとは、ショッピングカート1の車輪12をフリーとすることで、ユーザ5がショッピングカート1を手で押して移動させることを可能とするモードである。また、支払完了は、前述したように、ユーザが支払完了ボタンを押下したことで判断するか、レジに到達したことを検知したことで判断するか、ショッピングカート1の回収場所に来たことで判断するようにしてもよい。また、スマートフォン4との通信が切断されると(ペアリングが解除されると)、スマートフォン2は、移動台車制御装置3に指示し、ショッピングカート1の自己位置情報及び環境地図に基づいて、ショッピングカート1をカート置き場や、所定の回収場所まで走行させて自動的に戻るようにしてもよい。また、この時商品が荷台部に残った状態でショッピングカート1がカート置き場や所定の回収場所まで戻ってしまうとユーザにとって不便である。したがって、ペアリングが解除されてから所定時間経過したら戻る、もしくは、荷台部の商品の有無を検出できるようにしておいて商品が荷台部に無いことを検出したら戻る、という仕様としてもよい。
【0049】
上述した実施形態によれば、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離を所定の距離(例えば、1m)で維持させつつ、ユーザ5(スマートフォン4)を見失うことなく、確実に追尾することができる。
【0050】
C.変形例
上述した実施形態では、ユーザ5(スマートフォン4)とショッピングカート1との距離が所定の距離(例えば、1m)で維持されるように、ショッピングカート1を追尾走行させる。これに対して、変形例では、ユーザ5(スマートフォン4)とショッピングカート1との距離を所定の距離(例えば、1m)で維持させつつ、ショッピングカート1を走行させて、ユーザ5(スマートフォン4)を所定の売り場(目標位置)まで誘導走行させることを特徴としている。
【0051】
図7は、本実施形態の変形例による移動台車制御装置3及びスマートフォン4の動作を説明するためのフローチャートである。まず、スマートフォン2は、ユーザ5(スマートフォン4)を誘導するための目標誘導位置に設定する(ステップS140)。より具体的には、本変形例では、ユーザ5のスマートフォン4には、スマートフォン2から当該店舗の売り場情報が提供される。売り場情報には、売り場の一覧、取扱商品、売り場のマップ、電子チラシなどが含まれる。ユーザ5は、売り場の一覧、取扱商品、売り場のマップ、電子チラシなどから、行きたい売り場、あるいは購入したい商品をタッチすることで指定する。又は、行きたい売り場、あるいは購入したい商品を直接キー入力してもよい。スマートフォン4は、ユーザ5により指定された行きたい売り場、あるいは購入したい商品をスマートフォン2に送信する。スマートフォン2では、行きたい売り場、あるいは購入したい商品の売り場を、目標誘導位置に設定する。
【0052】
スマートフォン2は、ショッピングカート1の自己位置情報、環境地図、ユーザ5の現在位置、及び目標誘導位置から、ショッピングカート1の走行データ(走行方向、走行速度、前進後退)を作成し、移動台車制御装置3に送信して自動誘導走行の開始を指示する(ステップS142)。移動台車制御装置3では、モータ制御部35によって走行データに従って駆動部36を駆動し、ユーザ5(スマートフォン4)を目標誘導位置(売り場)まで誘導する自動誘導走行を開始する。
【0053】
スマートフォン2は、現在の距離をスマートフォン4に通知する(ステップS144)。例えば、
図8(a)に示すように、スマートフォン4の表示部43には、利用しているショッピングカート1のカート番号「No.3」と、ショッピングカート1との距離「0.8m」が表示される。このとき、
図8(a)に示すように、スマートフォン4の表示部43に、ショッピングカート1(スマートフォン2)までの距離に加えて、ショッピングカート1(スマートフォン2)の方位を示すマーカー50を表示するようにしてもよい。ユーザ5は、ショッピングカート1(スマートフォン2)までの距離と方位からショッピングカート1(スマートフォン2)の位置を確認することができる。
【0054】
次に、スマートフォン2は、LiDAR(登録商標)24によるスキャンに加えて、センサ33によるスキャン結果に基づいて、走行ルート内(ショッピングカート1とユーザ5との間)に障害物(人、棚、他のシッピングカートなど)があるか否かを判断し(ステップS146)、走行ルート内に障害物がある場合には(ステップS146のYES)、スマートフォン2は、障害物を避けて迂回するように、移動台車制御装置3に指示し、駆動部36を駆動して走行させる(ステップS148)。迂回走行後、又は、走行ルート内に障害物がない場合には(ステップS146のNO)、スマートフォン2は、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)内であるか否かを判断する(ステップS150)。
【0055】
そして、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)内である場合には(ステップS150のYES)、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離に応じた走行速度で走行するように移動台車制御装置3に指示し、ショッピングカート1を走行させる(ステップS152)。すなわち、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が離れているほど、より低速度で走行させる。
【0056】
このように、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)内である場合には、その距離に応じた走行速度での誘導走行が継続される。すなわち、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が近いほど高速で、距離が遠いほど低速で、先導するショッピングカート1を走行させる。その後、スマートフォン2は、目標誘導位置(売り場)に到達したか否かを判断する(ステップS158)。そして、目標誘導位置(売り場)に到達していない場合には(ステップS158のNO)、ステップS142に戻る。
【0057】
一方、自動誘導走行中に、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離が所定の距離(例えば、1m)を超えた場合には(ステップS150のNO)、スマートフォン2は、走行速度を落とすか、停止するように移動台車制御装置3に指示する(ステップS154)。移動台車制御装置3では、モータ制御部35によって駆動部36を制御し、走行速度を所定の速度(例えば、10%、20%ダウンなど)だけ落とす。あるいは、スマートフォン2は、走行停止を移動台車制御装置3に指示し、ショッピングカート1を停止させる。
【0058】
次に、スマートフォン2は、ユーザ5(スマートフォン4)とショッピングカート1との距離が離れすぎていることを通知する(ステップS156)。例えば、
図8(b)に示すように、スマートフォン4の表示部43には、利用しているショッピングカート1のカート番号「No.3」と、ショッピングカート1との距離「2.5m」と、「ショッピングカートと離れすぎています」というメッセージが表示される。また、お年寄りなど速く歩けないユーザもいるため、ユーザ自身がショッピングカート1の走行速度を調整できるようにしてもよい。
【0059】
このとき、スマートフォン4の表示部43に、ショッピングカート1(スマートフォン2)までの距離に加えて、ショッピングカート1(スマートフォン2)の方位を示すマーカー50を表示するようにしてもよい。ユーザ5は、ショッピングカート1(スマートフォン2)までの距離と方位からショッピングカート1(スマートフォン2)の位置を確認することができる。
【0060】
その後、スマートフォン2は、目標誘導位置(売り場)に到達したか否かを判断し(ステップS158)、目標誘導位置(売り場)に到達していない場合には(ステップS158のNO)、目標誘導位置(売り場)への誘導が継続しているのでステップS142に戻る。
【0061】
このように、自動誘導走行中に、スマートフォン2とユーザ5(スマートフォン4)との距離が第1の距離(例えば、1m)を超えた場合には、ショッピングカート1を停止し、ユーザ5にショッピングカート1の所に来ることを促す。
【0062】
そして、目標誘導位置(売り場)に到達した場合には(ステップS158のYES)、スマートフォン2は、走行を停止するように移動台車制御装置3に指示して走行を停止し、当該誘導モードを終了する(ステップS160)。
【0063】
上述した変形例によれば、ショッピングカート1(スマートフォン2)とユーザ5(スマートフォン4)との距離を所定の距離(例えば、1m)で維持させつつ、ユーザ5(スマートフォン4)を見失うことなく、目標誘導位置まで誘導することができる。
【0064】
上述した本実施形態によれば、ユーザ5(スマートフォン4)とショッピングカート1(スマートフォン2)と無線通信を行い、スマートフォン2により、当該無線通信の電波状況に基づいて、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離及びその方位を検出し、検出されたユーザ5(スマートフォン4)の方位に応じて駆動部36による走行方向を決定し、かつユーザ5(スマートフォン4までの距離が所定の距離(例えば、1m)で維持されるように、移動台車制御装置3により、駆動部36を制御するようにしたので、ユーザ5を見失うことなく、ユーザ5との距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることができる。
【0065】
上述した本実施形態によれば、移動台車制御装置3は、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離が所定の距離(例えば、1m)内である場合には、駆動部36を停止又は減速させ、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離が所定の距離外である場合には、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離に応じた走行速度で走行するように駆動部36を制御するようにしたので、ユーザ5を見失うことなく、ユーザ5との距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることができる。
【0066】
上述した本実施形態によれば、移動台車制御装置3は、駆動部36による走行速度が最大許容速度に達した場合、駆動部36による走行速度を下げるようにしたので、安全性を確保した上で、ユーザ5との距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることができる。
【0067】
上述した本実施形態によれば、スマートフォン2が走行経路上の障害物を検出すると、移動台車制御装置3は、障害物を回避するように駆動部36を制御するようにしたので、走行経路上に障害物があったとしても、ユーザ5を見失うことなく、ユーザ5との距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることができる。
【0068】
上述した本実施形態によれば、ユーザ5が携帯するスマートフォン4とペアリグ(紐づけ)されたショッピングカート1のスマートフォン2が、他のショッピングカートが備えるスマートフォンと通信して店舗内の障害物に関する情報を受信し、移動台車制御装置3が、スマートフォン2により受信した障害物に関する情報に基づいて、障害物を回避するように駆動部36を制御するようにしたので、走行経路上に障害物があったとしてもユーザ5を見失うことなく、ユーザ5との距離を所定の距離で維持させながら確実に自走させることができる。
【0069】
上述した本実施形態によれば、スマートフォン2は、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離、ユーザ5(スマートフォン4)の方位、駆動部36の動作状態のうち、少なくとも1つをスマートフォン4に通知するようにしたので、ユーザ5は現在の状況を正確に認識することができる。
【0070】
上述した本実施形態によれば、スマートフォン2で目標誘導位置を設定すると、移動台車制御装置3は、設定された目標誘導位置に到達する走行経路上で、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離が所定の距離で維持させるように駆動部36を駆動するようにしたので、ユーザ5を見失うことなく、ユーザ5との距離を所定の距離で維持させながら確実に自走(誘導)させることができる。
【0071】
上述した本実施形態によれば、移動台車制御装置3は、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離が所定の距離内である場合には、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離に応じた走行速度となるように駆動部36を制御し、ユーザ5(スマートフォン4)までの距離が所定の距離外である場合には、走行速度を落とすか、又は停止させるように駆動部36を制御するようにしたので、ユーザ5を見失うことなく、ユーザ5との距離を所定の距離で維持させながら確実に自走(誘導)させることができる。
【0072】
上述した本実施形態によれば、ユーザ5のスマートフォン4とBLEによる無線通信が確立すると、スマートフォン2の表示部23によって表示(メッセージ、点灯、点滅)したり、移動台車制御装置3に備えた発光ダイオードなどを点灯したりするなどして、スマートフォン4とBLEによる無線通信が確立(ペアリング;紐付け)したことを、スマートフォン2のユーザ5に報知するようにしたので、ユーザは、どのショッピングカート1とペアリングされたかを容易に知ることができる。
【0073】
上述した本実施形態によれば、スマートフォン2は、スマートフォン4から購入した商品に対する会計が終了した旨の通知を受信すると、スマートフォン4とのBLEによる無線通信を切断するようにしたので、ユーザに煩雑な操作を省くことができ、また、切断を忘れることを防止することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0074】
上述した本実施形態によれば、スマートフォン2は、スマートフォン4とのBLEによる無線通信が切断されると、移動台車制御装置3によって駆動部36を制御して、ショッピングカート1を所定の位置、例えば、カート置き場などに戻すようにしたので、ユーザがカート置き場まで戻すという煩雑な作業を省くことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0075】
なお、上述した実施形態及び変形例では、移動台車制御装置3とスマートフォン2とが別体であったが、これに限らず、スマートフォン2で用いた機能、すなわちLiDAR(登録商標)によるスキャン機能、第2通信部22-2によるユーザ5が所有するスマートフォン4とのBLEによる無線通信機能を、移動台車制御装置3に備え、スマートフォン2を省略してもよい。
【0076】
また、上述した実施形態及び変形例では、ユーザ5が携帯するスマートフォン4を追尾又は誘導するようにしたが、これに限らず、他のショッピングカート(に搭載されたスマートフォン)を追尾又は誘導するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態及び変形例において、自動追尾走行中又は自動誘導走行中に、ユーザ5(スマートフォン4)を見失った場合、すなわちBLEによる無線通信が切断したような場合には、ユーザ5が携帯するスマートフォン4側のアプリケーションでスマートフォン2との通信が切断されたことを音、バイブレーションなどでユーザ5に通知するようにしてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態及び変形例において、自動追尾走行又は自動誘導走行を、スマートフォン4の画面からON/OFFすることを可能とし、OFFしたときには、ユーザ5の押す力をサポート(押された方向に駆動部36を少し駆動)するようにしてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態及び変形例において、さらに、店内の自動走行に使用する複数のショッピングカート1に搭載されたスマートフォン2を、それぞれ店内ネットワークで無線接続してショッピングカート1のスマートフォン2同士で通信可能とし、他のショッピングカート1のスマートフォン2で撮影された情報からそれぞれのショッピングカート1で自身の周囲に関する情報、例えば障害物の情報などを共有するようにしてもよい。この場合、例えば、ショッピングカート1の死角に人がいることを検知して数秒先を予測して回避するような自動走行ができるようになる。
【0080】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0081】
(付記1)
付記1に記載の発明は、店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部と、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行う無線通信手段と、前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように前記走行部を制御する走行制御手段と、を備えることを特徴とする店舗用移動台車である。
【0082】
(付記2)
付記2に記載の発明は、前記走行制御手段は、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離内である場合には、前記走行部を停止又は減速させ、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離外である場合には、前記携帯端末までの距離に応じた走行速度で走行するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする付記1に記載の店舗用移動台車である。
【0083】
(付記3)
付記3に記載の発明は、前記走行制御手段は、前記走行部の走行速度が最大許容速度に達した場合、前記走行部の走行速度を下げるように前記走行部を制御する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の店舗用移動台車である。
【0084】
(付記4)
付記4に記載の発明は、走行経路上の障害物を検出する障害物検出手段をさらに備え、
前記走行制御手段は、前記障害物検出手段により前記障害物が検出された場合、前記障害物を回避するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載の店舗用移動台車である。
【0085】
(付記5)
付記5に記載の発明は、前記無線通信手段は、他の店舗用移動台車が備える無線通信部と通信して店舗内の障害物に関する情報を受信し、前記走行制御手段は、前記無線通信手段により受信した前記障害物に関する情報に基づいて、前記障害物を回避するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載の店舗用移動台車である。
【0086】
(付記6)
付記6に記載の発明は、前記携帯端末までの距離、前記携帯端末の方位、前記走行部の動作状態のうち、少なくとも1つを前記携帯端末に通知する通知手段をさらに備える、ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項に記載の店舗用移動台車である。
【0087】
(付記7)
付記7に記載の発明は、目標誘導位置を設定する設定手段をさらに備え、前記走行制御手段は、前記設定手段によって設定された前記目標誘導位置に到達する走行経路上で、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離を維持するように前記走行部を制御する、ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか一つに記載の店舗用移動台車である。
【0088】
(付記8)
付記8に記載の発明は、前記走行制御手段は、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離内である場合には、前記携帯端末までの距離に応じた走行速度となるように前記走行部を制御し、前記携帯端末までの距離が前記所定の距離外である場合には、前記走行部の走行速度を落とすか、又は停止させるように前記走行部を制御する、ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか一つに記載の店舗用移動台車である。
【0089】
(付記9)
付記9に記載の発明は、前記携帯端末と前記無線通信手段により無線通信が確立すると、当該無線通信が確立した旨を前記携帯端末の顧客に報知するための報知手段を更に備える、ことを特徴とする付記1乃至8のいずれか一つに記載の店舗用移動台車である。
【0090】
(付記10)
付記10に記載の発明は、前記無線通信手段は、前記携帯端末から購入した商品に対する会計が終了した旨の通知を受信すると、前記携帯端末との無線通信を切断する、ことを特徴とする付記1乃至9のいずれか一つに記載の店舗用移動台車である。
【0091】
(付記11)
付記11に記載の発明は、前記走行制御手段は、前記無線通信手段による前記携帯端末との無線通信が切断されると、所定の位置に戻るように前記走行部を制御する、ことを特徴とする付記1乃至10のいずれか一つに記載の店舗用移動台車である。
【0092】
(付記12)
付記12に記載の発明は、店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部とを備える移動台車の走行を制御する店舗用移動台車走行制御方法であって、
無線通信部により、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行うステップと、前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出するステップと、前記検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように、前記走行部を制御するステップと、を含むことを特徴とする店舗用移動台車走行制御方法である。
【0093】
(付記13)
付記13に記載の発明は、店舗の商品を載せるための荷台部と、前記荷台部を走行させる走行部とを備える移動台車の走行を制御する情報処理装置に実行されるプログラムであって、無線通信部により、前記店舗に来店した顧客が有する携帯端末と無線通信を行う無線通信機能と、前記無線通信の電波状況に基づいて、前記携帯端末までの距離及び前記携帯端末の方位を検出する検出機能と、前記検出機能によって検出された前記携帯端末の方位に応じて前記走行部による走行方向を決定し、かつ前記携帯端末までの距離が所定の距離で維持されるように、前記走行部を制御する走行制御機能と、を実現させることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0094】
1…ショッピングカート、2…スマートフォン、3…移動台車制御装置、4…スマートフォン、5…ユーザ(顧客)、10…移動台車システム、21、31、41…CPU、22-1…第1通信部、22-2…第2通信部(BLE)、23…表示部、24…LiDAR(登録商標)、32…通信部、33…センサ、34…メモリ、35…モータ制御部、36…駆動部、37…バッテリ、42…通信部(BLE)、43…表示部、50…マーカー