(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136784
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電子機器、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/06 20060101AFI20230922BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20230922BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230922BHJP
G06F 40/103 20200101ALI20230922BHJP
【FI】
G09B19/06
G09B5/02
G06Q50/20
G06F40/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042665
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】小澤 健夫
【テーマコード(参考)】
2C028
5B109
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA03
2C028BA01
2C028BB04
2C028BC01
2C028BD01
5B109RB24
5B109RB25
5B109RB31
5B109VB01
5B109VC03
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることを可能とする。
【解決手段】電子機器1は、ユーザのマニュアル操作に応じて、外国語テキストに対して任意の位置に区切り記号を入力(設定)する。電子機器1は、ネットワーク2を介して、サーバ3のデータベース4から予め登録された区切り記号の区切り位置を含む区切り位置情報(区切り補助情報)を受信し、当該区切り位置情報に基づいて、外国語テキストの所定の位置に区切り補助記号を表示する。区切り位置情報は、他のユーザが設定したもの、先生が設定したもの、ユーザ属性(入力履歴)に基づくもの、学習レベルに基づくもの、あるいは品詞等の文法規則に基づくものなど、複数の区切り位置情報から選択可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文章を表示する表示部と、
ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させる表示制御部と、
前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得する取得部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記取得部によって取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記区切り補助記号を設定したユーザ数に応じて、前記区切り補助記号の表示形態を異ならせる、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記区切り補助情報は、複数のユーザの各々が予め設定した区切り補助記号の区切り位置を含み、
前記取得部は、複数の区切り補助情報のうち、特定のユーザによって登録された区切り補助情報を取得し、
前記表示制御部は、前記特定のユーザによって登録された前記区切り補助情報に含まれる前記区切り位置に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記取得部は、前記ユーザ操作に基づいて選択された前記箇所に表示された前記区切り記号の配置に最も近い配置を有する、他のユーザによって予め登録された前記区切り補助情報を取得し、
前記表示制御部は、前記ユーザ操作に基づいて表示された前記区切り記号に加えて、前記他のユーザによって予め登録された前記区切り補助情報に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
学習レベルを指定する学習レベル指定部をさらに備え、
前記取得部は、前記学習レベル指定部によって指定された学習レベルに対応して予め設定された区切り補助記号の区切り位置を含む区切り補助情報を取得し、
前記表示制御部は、前記学習レベルに対応して設定された前記区切り補助情報に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
文法規則を指定する文法規則指定部をさらに備え、
前記取得部は、前記文法規則指定部によって指定された文法規則に対応して予め設定された区切り補助記号の区切り位置を含む区切り補助情報を取得し、
前記表示制御部は、前記文法規則に対応して設定された前記区切り補助情報に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
文章を表示部に表示させる表示制御方法であって、
ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させるステップと、
前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得するステップと、
前記取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させるステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項8】
文章を表示部に表示する電子機器に実行されるプログラムであって、
ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させる表示制御機能と、
前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得する取得機能と、
を実現し、
前記表示制御機能は、前記取得機能によって取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
英語学習法の一つにスラッシュリーディングがある。スラッシュリーディングは、英語の語順のまま文章の意味を理解する訓練となり効果的であることが知られているが、現行の電子辞書の多くの長文コンテンツでは、文や段落ごとの自然な日本語訳は搭載されているものの、文節ごとの日本語訳を表示することはできず、スラッシュリーディングによる学習が困難である。
【0003】
一方、一般の英語の映画やドラマ、アニメなどを活用した学習教材や機器として、映像や音声と連動させてスラッシュリーディングによる学習を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、英文の指定部分に対応する日本語訳を指定する技術が開示されているが、「どこで区切ればいいか分からない」という不慣れなユーザにとっては、スラッシュリーディングをするための区切り位置を定めるのが容易ではなかった。
【0006】
そこで本発明は、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定められるようにすることで、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電子機器は、文章を表示する表示部と、ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させる表示制御部と、前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得する取得部と、を備え、前記表示制御部は、前記取得部によって取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させる、ことを特徴とする。
【0008】
この発明に係る表示制御方法は、文章を表示部に表示させる表示制御方法であって、ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させるステップと、前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得するステップと、前記取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
この発明に係るプログラムは、文章を表示部に表示する電子機器に実行されるプログラムであって、ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させる表示制御機能と、前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得する取得機能と、を実現し、前記表示制御機能は、前記取得機能によって取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定められるようにすることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の電子機器1を用いたシステム構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の電子機器1の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のスラッシュリーディング処理動作の表示例を示す模式図である。
【
図4】本実施形態の電子機器1の基本動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本実施形態の電子機器1の基本動作を説明するための模式図である。
【
図6】本実施形態による区切り位置情報の集計動作を説明するための模式図である。
【
図7】本実施形態のサーバ3による集計方法を説明するための模式図である。
【
図8】本実施形によるサーバ3の区切り位置情報DBの一例を示す模式図である。
【
図9】本実施形態による電子機器1での他のユーザによって設定された区切り記号の表示動作を示す模式図である。
【
図10】本実施形態の先生による区切り位置情報を用いたシステム構成を示すブロック図である。
【
図11】本実施形態によるサーバ3の区切り位置情報DBの一例を示す模式図である。
【
図12】本実施形態による電子機器1での先生によって設定された区切り記号の表示動作(第2動作)を示す模式図である。
【
図13】本実施形態のユーザ属性(入力履歴)を用いたシステム構成を示すブロック図である。
【
図14】本実施形態のサーバ3のユーザ属性(入力履歴)に基づく区切り位置情報DBの一例を示す模式図である。
【
図15】本実施形態による電子機器1でのユーザ属性(入力履歴)に応じて特定された区切り記号の表示動作を示す模式図である。
【
図16】本実施形態のサーバ3による区切り位置情報(学習レベル)を用いたシステム構成を示すブロック図である。
【
図17】本実施形態によるサーバ3の区切り位置情報(学習レベル)DBの一例を示す模式図である。
【
図18】本実施形態による電子機器1での学習レベルに応じて特定された区切り記号の表示動作を示す模式図である。
【
図19】本実施形態のサーバ3による区切り位置情報(文法規則)を用いたシステム構成を示すブロック図である。
【
図20】本実施形態によるサーバ3の区切り位置情報(文法規則)DBの一例を示す模式図である。
【
図21】本実施形態による電子機器1での区切り記号の表示動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.実施形態
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。なお、以下の説明では、「区切り記号」を「入力(設定)」、「表示」などの文言を用いて、外国語テキスト中に区切り記号を定めているが、いずれの表現も、外国語テキスト中における文節位置と区切り記号の位置(以下、区切り位置)とを対応付けることを意味する。換言すると、区切り記号は、外国語テキスト中に埋め込まれてもよいし、外国語テキストの文節位置と区切り位置とを紐づけた別途のデータとしてもよい。いずれの場合でも、外国語テキストの文節位置と区切り位置とが関連付けられて表示することが可能となっている。
【0013】
図1は、本実施形態の電子機器1を用いたシステム構成を示すブロック図である。電子機器1は、インターネットなどのネットワーク2に接続されている。サーバ3も同様にネットワーク2に接続されている。電子機器1とサーバ3とはネットワーク2を介して各種情報を送受信する。なお、図示の例では、1つの電子機器1のみが接続されているが、実際には、全国に散在する個々のユーザが所有する同様の機能(スラッシュリーディング)を有する少なくとも1つ以上の他の電子機器が接続可能となっている。この他の電子機器の詳細については後述する。
【0014】
電子機器1は、以下に説明する電子辞書専用の携帯機器として構成されるか、辞書機能を備えたPDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成される。電子機器1は、ユーザのマニュアル操作に応じて、外国語(例えば、英語)テキストに対して任意の位置に区切り記号を設定(表示)することが可能となっている一方、ネットワーク2を介して、サーバ3から予め登録された区切り記号の位置情報(以下、区切り位置情報;区切り補助情報)を受信し、当該区切り位置情報に基づいて、外国語テキストの所定の位置に区切り補助記号を設定(表示)することが可能となっている。電子機器1は、所定の操作(翻訳実行)に応じて、外国語テキストに対して設定された区切り記号に基づいて、区切られている文節毎に翻訳し、翻訳結果(例えば日本語)を表示する。サーバ3は、ネットワーク2を介して、電子機器1を含む他の電子機器(不図示)で外国語テキスト毎に設定された区切り位置情報を収集し、所定の規則に従ってデータベース4に登録する。サーバ3は、電子機器1からの要求に応じて、データベース4に保存されている区切り位置情報を提供する。
【0015】
図2は、本実施形態の電子機器(電子辞書)1の構成を示すブロック図である。電子機器1は、CPU11と、記憶部12と、キー入力部13と、タッチパネル式表示部14と、通信部15とを有している。
【0016】
CPU11は、電子機器1の各種動作を制御するCPUである。CPU11は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、CPU11は、2つ以上のCPUで構成されていてもよい。CPU11は、キー入力部13のうちの特定の操作キーの入力や、タッチパネル14bに対するタッチ操作の入力を判定する判定部として動作する。また、CPU11は、特定の操作キーの操作や、タッチ操作に応じて実行する処理を変える制御部として動作する。
【0017】
記憶部12は、当該電子機器1の全体の動作を司るシステムプログラム(不図示)や、通信部15を介してネットワーク2上のサーバ3とデータ通信するための通信プログラム(不図示)、外国語テキストを翻訳するための翻訳プログラム12a、外国語テキストに対して区切り記号を入力、表示および設定するための区切り記号制御プログラム12b、翻訳のための各種の辞書データ12c、外国語テキストデータ(複数)12dなどを記憶する。キー入力部13は、ユーザが電子機器1を操作するための各種のキーである。キー入力部13を用いた操作が受け付けられたとき、その操作に応じた入力信号がCPU11に伝達される。
【0018】
タッチパネル式表示部14は、ユーザがペンや指等でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、表示部14aにタッチパネル14bを重ねて構成される。表示部14aは、液晶ディスプレイ等のm×nドットの表示器であり、外国語テキストの表示、メニューボタンの表示、区切り記号の表示、翻訳結果の表示を行う。通信部15は、CPU11の制御の下、ネットワーク2を介してサーバ3とデータ通信を行う。
【0019】
なお、本実施形態は、外国語テキストに対してスラッシュリーディングを行うための区切り記号を入力、表示および設定することが主であるため、外国語テキストの翻訳動作等については説明を省略する。
【0020】
図3は、本実施形態のスラッシュリーディング処理動作の表示例を示す模式図である。
図3の上段に示すように、電子機器1では、スラッシュリーディング時には、表示部14aに外国語テキスト20が表示されるとともに、右端には指やペンなどによるタッチ操作に応じて各種機能を指示するための機能ボタン群21が表示される。また、外国語テキスト20の左端には、外国語テキスト20をセンテンス(一文)単位で音声により読み上げる読み上げボタン22が表示される。
【0021】
機能ボタン群21のうち、入力ボタン21aは、所望する位置に区切り記号を入力するための編集動作に移行するためのアイコンである。Wi-Fi(登録商標)ボタン21bは、通信部15によりネットワーク2を介してサーバ3とのデータ通信を行うか否かを設定するためのアイコンである。共有ボタン21cは、データ通信を確立した状態で、サーバ3と区切り位置情報を共有するか否かを設定するためのアイコンである。また、ガイドボタン21dは、外国語テキストに区切り補助記号を入力するための複数の選択肢の中から所望する動作(区切り設定方法)を選択するためのアイコンである。
【0022】
特に、ガイドボタン21dが選択されると、サブメニュー25が表示される。サブメニュー25では、外国語テキストに対して区切り補助記号を設定するための複数の選択肢として、「他のユーザ」、「先生」、「ユーザ属性(入力履歴)」、「学習レベル」、「品詞等の文法規則」の中から所望する設定方法を選択することが可能となっている。
【0023】
「他のユーザ」は、他のユーザによって設定された区切り位置に基づいて、区切り補助記号を外国語テキスト中に表示するとともに、その区切り位置に区切り補助記号を設定したユーザ数を、区切り記号の線種や、色などで識別できるように表示する動作(第1動作)である。「先生」は、複数の先生のうち、所望する先生により区切り補助記号が予め設定された区切り位置に基づいて、外国語テキストに区切り記号を表示する動作(第2動作)である。
【0024】
「ユーザ属性(入力履歴)」は、ユーザ属性(入力履歴)、すなわちユーザが外国語テキストに既に入力した区切り記号の入力傾向(区切り記号の入力位置)に最も近い設定傾向を有する、他のユーザによって区切り記号が設定された区切り位置に基づいて、外国語テキストに対して区切り補助記号を表示する動作(第3動作)である。「学習レベル」は、ユーザが電子機器1により選択した学習レベル(入門-初級-中級-上級)に基づいて、外国語テキストに対して区切り補助記号を表示する動作(第4動作)である。そして、「品詞等の文法規則」は、ユーザが電子機器1により選択した文法規則に基づいて、外国語テキストに対して区切り補助記号を表示する動作(第5動作)である。
【0025】
図3の下段には、スラッシュリーディングでの翻訳時の表示画面の一例を示している。翻訳時には、表示部14aの上段に外国語テキスト20、下段に翻訳プログラム12aによる翻訳文23が表示されるとともに、区切り記号で区切られている文節毎の翻訳結果(例えば日本語)がポップアップウィンドウ24で表示される。文節毎の翻訳は、ユーザにより翻訳文23から選択(コピー&ペースト)されるか、ユーザにより直接入力される。これにより、ユーザは、長文であっても、外国語の語順に沿って意味を理解することができ、効率的に外国語を学習することができるようになる。
【0026】
しかしながら、学習初心者など、「どこで区切ればいいか分からない」という不慣れなユーザにとっては、スラッシュリーディングをするための区切り記号をどこに入力(設定)すればよいか分からず、容易ではなかった。そこで本願発明では、既に他のユーザや先生が設定した区切り記号の位置、あるいはユーザの学習レベルや選択した文法規則に応じて予め設定された区切り記号の位置を参照可能に表示することにより、スラッシュリーディングをするための区切り記号を容易に入力(設定)することができ、効率的に外国語を学習することができるようにする。
【0027】
B.実施形態の動作
図4は、本実施形態の電子機器1の基本動作(区切り記号の編集動作)を説明するためのフローチャートである。CPU11は、まず、共有が設定されているか否かを判断し(ステップS10)、共有が設定されていない場合には(ステップS10のNO)、表示部14aの表示を更新し(ステップS16)、キー入力部13によるキー操作の入力や、タッチパネル14bに対するタッチ操作の入力があったか否かを判断する(ステップS18)。そして、キー操作やタッチ操作があった場合には(ステップS18のYES)、CPU11は、入力情報を更新し(ステップS20)、キー操作やタッチ操作に応じた位置に区切り記号が表示されるように、表示部14aの表示を更新する(ステップS16)。
【0028】
一方、区切り記号の入力がなかった場合には(ステップS18のNO)、CPU11は、設定変更(共有、Wi-Fi:登録商標、ガイド等の変更)があったか否かを判断(ステップS22)、設定変更がない場合には(ステップS22のNO)、区切り記号の入力が終了したか否かを判断し(ステップS24)、入力が終了していなければ(ステップS24のNO)、ステップS18に戻り、区切り記号の入力を継続する。
【0029】
一方、区切り記号の入力が終了していれば(ステップS24のYES)、CPU11は、共有が設定されているか否かを判断し(ステップS26)、共有が設定されていない場合には(ステップS26のNO)、当該処理を終了する。
【0030】
一方、共有が設定されている場合には(ステップS10のYES)、CPU11は、ガイドボタン21dが入力されたか否かを判断する(ステップS12)。そして、ガイドボタン21dが入力されていない場合には(ステップS12のNO)、CPU11は、上述したステップS16以降へ進む。つまり、ユーザの操作に応じて、外国語テキストに区切り記号を入力(設定)していく。
【0031】
そして、区切り記号の入力が終了すると(ステップS24のYES)、この場合、共有が設定されているので(ステップS26のYES)、CPU11は、当該外国語テキストに対して入力(設定)された区切り記号の区切り位置を示す区切り位置情報を、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3に送信する(ステップS28)。サーバ3では、当該外国語テキストに対して入力(設定)された区切り記号の区切り位置を示す区切り位置情報を、所定の管理方法に従ってデータベース4に保存する。なお、サーバ3における区切り位置情報(区切り補助情報)の管理方法については後述する。
【0032】
一方、ガイドボタン21dが入力された場合には(ステップS12のYES)、CPU11は、外国語テキストに対して区切り記号を表示するための複数の動作(区切り設定方法)の中からユーザによって選択された動作に従って、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3から予め設定された区切り位置情報(区切り補助情報)を取得する(ステップS14)。なお、複数の動作(区切り設定方法)については後述する。
【0033】
次に、CPU11は、上述したステップS16以降へ進む。つまり、サーバ3から取得した予め区切り位置が設定された区切り位置情報(区切り補助情報)に基づいて、外国語テキストの所定の文節位置に区切り補助記号を表示するように更新する(ステップS16)。この場合、ユーザは、予め区切り位置が設定された区切り位置情報に基づいて表示されている区切り補助記号を参考にして、当該区切り補助記号を確定したり、新たに区切り記号を入力したり、不要と思われる区切り記号または区切り補助記号を削除したりする(ステップS18、S20)。
【0034】
そして、区切り記号または区切り補助記号の入力(編集)が終了すると(ステップS24のYES)、CPU11は、当該外国語テキストに対して設定された区切り位置を示す区切り位置情報(区切り補助情報)を、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3に送信する(ステップS28)。
【0035】
また、共有の設定有無にかかわらず、区切り記号の入力(編集)中に、いずれかの設定変更(共有、WiFi、ガイド等の変更)があると(ステップS22のYES)、CPU10は、ステップS10に戻り、上述したステップS10~S28を繰り返す。
【0036】
図5は、本実施形態の電子機器1の基本動作(区切り記号の編集動作)を説明するための模式図である。
図5(a)に示すように、サーバ3から予め区切り位置が設定された区切り位置情報を取得すると、当該予め設定された区切り位置に基づいて、外国語テキスト20の所定の文節位置に区切り記号(細実線)を表示する。また、
図5(a)に示す状態で、
図5(b)に示すように、外国語テキスト20において、区切り記号が表示されていない文節位置を選択(クリックまたはペンによるタッチ)すれば、その文節位置に新たな区切り記号(太実線)を入力することができる。
【0037】
また、
図5(c)に示すように、予め設定された区切り位置情報に基づく区切り記号(細実線)を選択(クリック)することで、外国語テキスト20において、その区切り記号を確定(設定)することができる(太実線)。また、
図5(d)に示すように、予め設定された区切り位置情報に基づく区切り記号(細実線)を、ダブルクリックまたはダブルタッチあるいは消しゴム機能で選択することで、外国語テキスト20において、その区切り記号を削除することができる(点線)。また、図示していないが、所定の操作により、サーバ3から取得した区切り位置情報に基づいて、外国語テキスト20上に表示されている予め設定された区切り記号を一括して設定(確定)したり削除したりするようにしてもよい。そして、最終的に、
図5(e)に示すように、外国語テキスト20に対して、所望する文節位置に区切り記号を入力(設定)することができる。
【0038】
B1.他のユーザ(第1動作)
図6は、本実施形態における区切り位置情報の集計動作を説明するための模式図である。電子機器1a、1b、1cは、それぞれ他のユーザが使用する電子機器であり、上述した電子機器1と同等の機能を有する。電子機器1a~1cは、ネットワーク2を介して、サーバ3との間でデータ通信を行う。電子機器1a~1cでは、各々、ユーザ自身が外国語テキスト20a~20cに区切り記号を入力(設定)する。
【0039】
電子機器1aでは、区切り記号は、「I say to you/today,/my friends./ And so even though/we face/the difficulties/of today and tomorrow./ I still have/a dream./」と入力(設定)されている。また、電子機器1bでは、区切り記号は、「I say to you today,/my friends./ And so even though/we face the difficulties of today and tomorrow./ I still have a dream./」と入力(設定)されている。そして、電子機器1cでは、区切り記号は、「I say to you today,/my friends./ And so even though/we face the difficulties/of today and tomorrow./ I still have a dream./」と入力(設定)されている。
【0040】
電子機器1a~1cのそれぞれのユーザは、自身の学習レベルや学習し易さなどに応じて独自の文節位置に区切り記号を入力(設定)している。ゆえに、区切り記号は、ユーザに応じて異なる文節位置に設定されていたり、同じ文節位置に設定されていたりする。電子機器1a~1cは、それぞれで入力(設定)された区切り記号の位置を示す区切り位置情報(区切り補助情報)30a~30cを、ネットワーク2を介して、サーバ3に送信(アップ)する(
図4のステップS26、S28を参照)。サーバ3では、電子機器1a~1cからアップされた区切り位置情報30a~30cを集計し、区切り位置情報DB4aに保存する。
【0041】
図7は、本実施形態のサーバ3による集計方法を説明するための模式図である。
図8は、本実施形態のサーバ3による区切り位置情報DBの一例を示す模式図である。サーバ3は、電子機器1a~1cからアップされた区切り位置情報30a~30cを集計する。具体的には、設定された区切り位置を特定し、その区切り位置に区切り記号を設定したユーザ数を集計する。集計された区切り位置は、
図7に示す符号31で示すように、「I say to you[P1]today,[P2]my friends.[P3] And so even though[P4]we face[P5]the difficulties[P6]of today and tomorrow.[P7] I still have[P8]a dream.[P9]」([]内は区切り位置を示す)となる。
【0042】
集計結果は、区切り位置[P1]で1人、区切り位置[P2]、[P3]、[P4]で3人、区切り位置[P5]で1人、区切り位置[P6]で2人、区切り位置[P7]で3人、区切り位置[P8]で1人、区切り位置[P9]で3人、…となる。サーバ3では、電子機器1a~1cからアップされた区切り位置情報30a~30bの上述した集計結果を、
図8に示すように、外国語テキスト「TEXT_A」に対して、区切り位置P1~P9…とユーザ数とを対応付けて区切り位置情報DB4aに保存する。
【0043】
なお、サーバ3は、予め集計して集計結果を区切り位置情報DB4aに保存するのではなく、それぞれのユーザが設定した区切り位置情報(区切り補助情報)30a~30cを区切り位置情報DB4aに保存しておき、電子機器1から要求があったことを契機に集計作業を行うようにしてもよい。
【0044】
図9は、本実施形態による電子機器1での他のユーザによって設定された区切り記号を表示する動作(第1動作)を示す模式図である。電子機器1は、共有が設定された状態で、ユーザによってガイドボタン21dが指示操作され、次いで、サブメニュー25から「他のユーザ」が選択されると、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3に区切り位置情報(区切り補助情報)を要求する(ステップS14を参照)。
【0045】
サーバ3は、電子機器1からの要求に応じて、区切り位置情報DB4aで示されるような区切り位置とユーザ数とが紐づけられた区切り位置情報33を送信する。なお、
図9に示す区切り位置情報33は概念的に示す模式図であり、実際には、区切り位置と当該区切り位置でのユーザ数とが紐づけられたデータとして送信される。図示の例では、[]の位置が外国語テキストにおける区切り位置を示し、[]内の数値がユーザ数である。電子機器1では、CPU11が、取得した区切り位置情報(区切り補助情報)33に基づいて、外国語テキスト20に対して、設定したユーザ数が比較的多い位置の区切り補助記号を太線、比較的やや多い位置の区切り補助記号を細線、そして、比較的少ない位置の区切り補助記号を点線で表示する。なお、表示部14aがカラー表示であれば、ユーザ数に応じて区切り補助記号の表示色を異ならせるようにしてもよい。ユーザは、ユーザ数に応じて異なる表示形態(線種、色など)で表示される、他のユーザが設定した区切り補助記号を参考にして、当該区切り補助記号を確定したり、新たに区切り記号を入力したり、削除したりする。
【0046】
このように、第1動作では、他のユーザがどこに区切り補助記号を設定しているのか、また、その文節位置に区切り補助記号を設定したユーザが多いのか、少ないのかを知ることができるので、これを参考に区切り記号を容易に入力(設定)することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0047】
B2.先生(第2動作)
図10は、本実施形態の先生による区切り位置情報を用いたシステム構成を示すブロック図である。先生A、B、Cは、各々、電子機器1と同等の機器で外国語テキストに区切り記号を設定し、ネットワーク2を介して予めサーバ3に送信(アップ)する(
図4のステップS26、S28を参照)。サーバ3では、先生A、B、Cの機器からアップされた区切り位置情報(区切り補助情報)31a~31cを集計し、区切り位置情報DB4bに保存する。
【0048】
図11は、本実施形態のサーバ3の区切り位置情報DBの一例を示す模式図である。サーバ3では、先生A、B、C(の電子機器)からアップされた区切り位置情報31a~31cを、
図10に示すように、外国語テキスト毎に、先生と区切り位置情報とを対応付けて、区切り位置情報DB4bに保存する。図示の例では、テキスト「TEXT_A」には、先生Aが設定した区切り位置情報Pa1、先生Bが設定した区切り位置情報Pb1、先生Cが設定した区切り位置情報Pc1が登録され、テキスト「TEXT_B」には、先生Aが設定した区切り位置情報Pa2、先生Bが設定した区切り位置情報Pb2、先生Cが設定した区切り位置情報Pc2が登録され、テキスト「TEXT_B」には、先生Aが設定した区切り位置情報Pa3、先生Bが設定した区切り位置情報Pb3、先生Cが設定した区切り位置情報Pc3が登録される。
【0049】
図12は、本実施形態による電子機器1での先生によって設定された区切り記号を表示する動作(第2動作)を示す模式図である。電子機器1は、共有が設定された状態で、ユーザによってガイドボタン21dが指示操作され、次いで、
図12の上段に示すサブメニュー25から「先生による区切り位置」が選択されると、
図12の中段に示すように、先生を選択するためのポップアップ画面26を表示する。当該ポップアップ画面26には、先生毎に区切り補助記号を設定する際の特徴が明記されている。例えば、先生Aに対しては、「前置詞の前などで区切る 初級~中級レベルにおすすめ」、先生Bに対しては、「関係代名詞の前などで区切る 上級レベルの長文におすすめ」、先生Cに対しては、「接続詞やカンマ・コロンの前などで区切る 幅広いユーザから支持」などのように表示される。ユーザは、ポップアップ画面26に表示される先生毎の特徴から所望する先生を選択する。
【0050】
電子機器1は、ユーザによって先生が選択されると、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3に区切り位置情報(区切り補助情報)を要求する(ステップS14を参照)。サーバ3は、電子機器1からの要求に応じて、区切り位置情報DB4bに登録されている区切り位置情報のうち、選択された先生に対して登録されている区切り位置情報(区切り補助情報)を送信する。例えば、先生Aが選択された場合には、先生Aによって設定された区切り位置情報Pa1を送信する。電子機器1では、
図12の下段に示すように、CPU11が、取得した区切り位置情報Pa1に基づいて、表示部14aに外国語テキストに対して区切り補助記号を表示する。なお、表示部14aがカラー表示であれば、先生毎に表示色を異ならせるようにしてもよい。ユーザは、選択した先生が設定した区切り補助記号を参考にして、当該区切り補助記号を確定したり、新たに区切り記号を入力したり、削除したりする。
【0051】
このように、第2動作では、先生が予め設定した区切り位置を参考にすることができるので、不慣れなユーザであっても、区切り記号を容易に入力(設定)することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0052】
B3.ユーザ属性(入力履歴)(第3動作)
図13は、本実施形態のユーザ属性(入力履歴)を用いたシステム構成を示すブロック図である。電子機器1a、1b、1cは、それぞれ他のユーザが使用する電子機器であり、ネットワーク2を介して、サーバ3との間でデータ通信を行う。電子機器1a~1cでは、各々、ユーザ自身が外国語テキスト20a~20cに区切り記号を入力(設定)する。電子機器1a~1cのそれぞれのユーザは、自身の学習レベルや、習得し易さなどに応じて独自の位置に区切り記号を入力(設定)している。ゆえに、区切り記号は、ユーザに応じて異なる位置、あるいは同じ位置に入力(設定)されている。
【0053】
電子機器1a~1cは、それぞれで設定された区切り記号の位置を示す区切り位置情報(区切り補助情報)32a~32cを、ネットワーク2を介して、サーバ3に送信(アップ)する(
図4のステップS26、S28を参照)。サーバ3では、外国語テキスト毎に、電子機器1a~1cからアップされた区切り位置情報32a~32cを区切り位置情報DB4cに保存する。
【0054】
図14は、本実施形態のサーバ3のユーザ属性(入力履歴)に基づく区切り位置情報DBの一例を示す模式図である。サーバ3は、
図14に示すように、電子機器1a~1cからアップされた区切り位置情報32a~32cを、区切り位置情報DB4cに保存する。
【0055】
図15は、本実施形態による電子機器1でのユーザ属性(入力履歴)に応じて特定された区切り補助記号を表示する動作(第3動作)を示す模式図である。電子機器1において、ユーザによって、外国語テキスト20に区切り記号を数か所に入力された時点で、ガイドボタン21dが指示操作され、次いで、サブメニュー25から「ユーザ属性(履歴)」が選択されると、電子機器1は、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3に区切り位置情報(区切り補助情報)を要求する(ステップS14を参照)。このとき、電子機器1は、途中まで設定された区切り記号の区切り位置を含む区切り位置情報33を送信する。
【0056】
サーバ3は、電子機器1からの要求に応じて、区切り位置情報DB4cに登録されている区切り位置情報のうち、電子機器1からの途中まで入力された区切り記号の位置(区切り位置情報33)に基づいて、最も近いであろう区切り位置情報を特定して電子機器1に送信する。例えば、
図15に示すように、外国語テキスト20に区切り記号が途中まで設定された区切り位置情報33から、電子機器1cで設定された区切り補助記号の位置のパターンが最も近いと判断されるので、電子機器1cで設定された区切り位置情報31c(Pc1)を電子機器1に送信する。電子機器1では、CPU11が、取得した区切り位置情報(区切り補助情報)31cに基づいて、途中まで区切り記号が設定された外国語テキスト20に対して、ユーザによって入力された区切り記号と区別できるように、次に設定されるであろうと推測される位置に区切り補助記号(例えば、太実線)を表示する。なお、表示部14aがカラー表示であれば、ユーザによって入力された区切り記号に対して、次に設定されるであろうと推測される位置に設定した区切り補助記号を異なる表示色としてもよい。ユーザは、ユーザが途中まで入力した区切り記号の配置に最も近いであろう他のユーザが設定した区切り位置情報に基づく区切り補助記号を参考にして、当該区切り補助記号を確定したり、新たに区切り記号を入力したり、削除したりする。
【0057】
このように、第3動作では、ユーザが途中まで入力した区切り記号の配置(入力履歴)に最も近いであろう他のユーザが設定した区切り位置情報を特定し、次に入力されるであろうと推測される文節位置に区切り補助記号を表示するようにしたので、不慣れなユーザであっても、区切り記号を容易に入力(設定)することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0058】
B4.学習レベル(第4動作)
図16は、本実施形態のサーバ3による区切り位置情報(学習レベル)を用いたシステム構成を示すブロック図である。また、
図17は、本実施形態によるサーバ3の区切り位置情報DBの一例を示す模式図である。サーバ3は、
図16に示すように、外国語テキスト毎に、学習レベルと区切り位置情報とを対応付けて区切り位置情報(学習レベル)DB4dに保存する。区切り位置情報DB4dには、
図17に示すように、外国語テキスト毎に、入門~初級~中級~上級の全7段階で設定されている学習レベルに対して予め区切り位置情報(区切り補助情報)Pl1、Pl2、…Pl7が登録されている。なお、学習レベルに対する区切り位置情報Pl1、Pl2、…Pl7は固定されたものでなく、定期的または不定期で修正(更新)されてもよい。
【0059】
図18は、本実施形態による電子機器1での学習レベルに応じて特定された区切り記号を表示する動作(第4動作)を示す模式図である。電子機器1において、ユーザによって、ガイドボタン21dが指示操作され、次いで、サブメニュー25から「学習レベル」が選択されると、電子機器1は、タッチパネル式表示部14の下部に学習レベルを指定するスライドバー50を表示する。スライドバー50には、左から順に入門~初級~中級~上級が設定されている。ユーザは、スライドバー50の操作子を左右にスライドさせて所望する学習レベルを選択する。
【0060】
電子機器1は、スライドバー50の操作子がスライドされると、操作子の位置を示す位置情報(学習レベル情報)を、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3にリアルタイムで送信し、学習レベルに対応する区切り位置情報(区切り補助情報)を要求する。サーバ3は、電子機器1からの要求に応じて、区切り位置情報DB4dに登録されている区切り位置情報Pl1~Pl7のうち、スライドバー50の操作子の位置(学習レベル)に対応する区切り位置情報(区切り補助情報)を電子機器1に送信する。例えば、
図18の中段に示すようにスライドバー50の操作子が入門と初級との間に位置する場合には、
図17に示す区切り位置情報Pl2を電子機器1に送信する。電子機器1では、CPU11が、取得した区切り位置情報Pl2に基づいて、タッチパネル式表示部14に表示している外国語テキストに対して区切り記号(太実線)を表示する。
【0061】
さらに、電子機器1において、スライドバー50の操作子がスライドされ、
図18の下段に示すようにスライドバー50の操作子が中級と上級との間に位置する場合には、サーバ3は、
図17に示す区切り位置情報Pl6を電子機器1に送信する。電子機器1では、CPU11が、取得した区切り位置情報Pl6に基づいて、タッチパネル式表示部14に表示している外国語テキストに対して区切り補助記号(太実線)を表示する。
【0062】
電子機器1では、スライドバー50の操作子を左右にスライドさせることで、操作子の位置(学習レベル)に対応する区切り位置情報(区切り補助情報)をサーバ3からリアルタイムで受信し、受信した区切り位置情報に基づいて、タッチパネル式表示部14に表示されている外国語テキストに対して区切り補助記号を表示する。
図18の中段に示すように、入門と初級との間に位置する場合には、外国語テキストに対して区切り補助記号(太実線)が比較的間隔が狭く表示され、
図18の下段に示すように、中級と上級との間に位置する場合には、外国語テキストに対して区切り補助記号(太実線)が比較的間隔が広く表示される。ユーザは、ユーザ自身が指定する学習レベルに応じて表示された区切り補助記号を参考にして、当該区切り補助記号を確定したり、新たに区切り記号を入力したり、削除したりする。
【0063】
なお、リアルタイムで区切り位置情報を送受信していると、区切り位置を表示させるのに時間がかかってしまう恐れがあるので、サブメニュー25から「学習レベル」が選択された時点で、すべての学習レベルの区切り位置情報を受信しておいて、送受信を繰り返さなくても瞬時に切り替えられるようにしてもよい。また、電子機器(電子辞書)1に入っているコンテンツ(教科書や参考書のレベル、英語の問題の結果)等でユーザの学習レベルが自動的に判断され、その学習レベルに応じてスライドバー50の操作子の初期位置が決定されてもよい。
【0064】
このように、第4動作では、ユーザが指定する学習レベルに対応する区切り位置情報に基づいて外国語テキストに区切り補助記号を表示するようにしたので、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定められるようにすることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0065】
B5.品詞等の文法規則(第5動作)
図19は、本実施形態のサーバ3による区切り位置情報(文法規則)を用いたシステム構成を示すブロック図である。また、
図20は、本実施形態によるサーバ3の区切り位置情報(文法規則)DBの一例を示す模式図である。サーバ3は、外国語テキスト毎に、品詞等の文法規則と区切り位置情報(区切り補助情報)とを対応付けて区切り位置情報(文法規則)DB4eに保存する。具体的には、区切り位置情報(文法規則)DB4eには、外国語テキスト毎に、文法規則の項目として、「前置詞の前」、「関係代名詞の前」、「現在分詞・過去分詞の前」、「接続詞の前」、「カンマ、コロン等の前か後」、「長い主語の後」、「長い目的語の前」が設定されており、それぞれに対して予め区切り位置が設定された区切り位置情報Pg1、Pg2、…Pg7が登録されている。例えば、区切り位置情報Pg1は、前置詞の前に区切り記号が設定されており、区切り位置情報Pg2は、関係代名詞の前に区切り記号が設定されており、...区切り位置情報Pg7は、長い目的語の前に区切り記号が設定されている。但し、文法規則に対する区切り位置情報Pg1~Pg7は固定されたものでなく、定期的または不定期で修正(更新)されてもよい。
【0066】
図21は、本実施形態による電子機器1での品詞等の文法規則に応じて特定された区切り記号を表示する動作を示す模式図である。電子機器1において、ユーザによって、ガイドボタン21dが指示操作され、次いで、サブメニュー25から「品詞等の文法規則」が選択されると、CPU11は、
図21の中段に示すように、文法規則を選択するためのポップアップ画面27を表示する。当該ポップアップ画面27には、文法規則の項目として、「前置詞の前」、「関係代名詞の前」、「現在分詞・過去分詞の前」、「接続詞の前」、「カンマ、コロン等の前か後」、「長い主語の後」、「長い目的語の前」を少なくとも1つ以上選択できるようにチェックボックスが表示されている。ユーザは、区切り記号を入力(設定)したい文法規則の項目を選択するために、チェックボックスにチェックに入れる。このとき、1つだけでなく、図示するように複数の項目を選択することが可能である。例えば、図示の例では、「前置詞の前」、「接続詞の前」、「カンマ、コロン等の前か後」、「長い主語の後」が選択されている。
【0067】
CPU11は、ユーザによって文法規則の項目が選択されると、通信部15によって、ネットワーク2を介してサーバ3に区切り位置情報(区切り補助情報)を要求する(ステップS14を参照)。サーバ3は、電子機器1からの要求に応じて、区切り位置情報DB4eに登録されている区切り位置情報のうち、選択された文法規則の項目に対して登録されている区切り位置情報を送信する。図示の例では、「前置詞の前」に対応する区切り位置情報Pg1、「接続詞の前」に対応する区切り位置情報Pg4、「カンマ、コロン等の前か後」」に対応する区切り位置情報Pg5、「長い主語の後」に対応する区切り位置情報Pg6を送信する。電子機器1では、CPU11が、取得した区切り位置情報Pa1、Pg4、Pg5、Pg6の全てが反映されるように、タッチパネル式表示部14に表示されている外国語テキスト20に区切り補助記号を表示する。なお、表示部14aがカラー表示であれば、文法規則の項目毎に区切り補助記号の表示色を異ならせるようにしてもよい。ユーザは、ユーザ自身が選択した文法規則の項目に応じて表示された区切り補助記号を参考にして、当該区切り補助記号を確定したり、新たに区切り記号を入力したり、削除したりする。
【0068】
このように、第5動作では、ユーザが指定する文法規則の項目に対応する区切り位置情報(区切り補助情報)に基づいて外国語テキストに区切り補助記号を表示するようにしたので、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0069】
なお、上述した実施形態では、区切り位置情報をサーバ3から都度取得するようにしたが、これに限らず、適宜、電子機器1にダウンロードしておき、ネットワーク2に接続されていない状況(オフライン)であっても、外国語テキストに区切り記号を所望する文節位置に入力(設定)できるようにしてもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、事前にサーバ3にアップロードされた区切り位置情報をユーザがダウンロードする形式であったが、第1のユーザが第2のユーザに区切り位置情報を送信できるようにしてもよい。
【0071】
本実施形態によれば、ネットワーク2を介して、サーバ3のデータベース4から取得した、予め設定された区切り位置を含む区切り位置情報(区切り補助情報)に基づいて、外国語テキストの所定の文節位置に区切り補助記号を表示するようにしたので、不慣れなユーザであっても、当該区切り補助記号を参照しながら、当該区切り補助記号を確定したり、新たに区切り記号を入力したり、削除したりすることができ、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0072】
上述した本実施形態によれば、区切り補助記号を設定したユーザ数に応じて、区切り補助記号の表示形態を異ならせるようにしたので、不慣れなユーザであっても、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0073】
上述した本実施形態によれば、複数のユーザ(先生)の各々が予め設定した区切り補助記号の区切り位置を含む区切り位置情報(区切り補助情報)を取得し、当該区切り位置情報に含まれる区切り位置に基づいて、表示部に表示されている文章中に区切り補助記号を表示するようにしたので、特定のユーザ(先生)が予め設定した区切り補助位置を参考にすることができ、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0074】
上述した本実施形態によれば、ユーザが途中まで入力した区切り記号の配置(入力履歴)に最も近いであろう他のユーザが設定した区切り位置情報(区切り補助情報)を特定し、次に入力されるであろうと推測される文節位置に区切り補助記号を表示するようにしたので、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0075】
上述した本実施形態によれば、ユーザが指定する学習レベルに対応する区切り位置情報に基づいて外国語テキストに区切り補助記号を表示するようにしたので、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0076】
上述した本実施形態によれば、ユーザが指定する文法規則の項目に対応する区切り位置情報に基づいて外国語テキストに区切り補助記号を表示するようにしたので、不慣れなユーザであっても区切り位置を容易に定めることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0077】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0078】
(付記1)
付記1に記載の発明は、文章を表示する表示部と、ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させる表示制御部と、前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得する取得部と、を備え、前記表示制御部は、前記取得部によって取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させる、ことを特徴とする電子機器である。
【0079】
(付記2)
付記2に記載の発明は、前記表示制御部は、前記区切り補助記号を設定したユーザ数に応じて、前記区切り補助記号の表示形態を異ならせる、ことを特徴とする付記1に記載の電子機器である。
【0080】
(付記3)
付記3に記載の発明は、前記区切り補助情報は、複数のユーザの各々が予め設定した区切り補助記号の区切り位置を含み、前記取得部は、複数の区切り補助情報のうち、特定のユーザによって登録された区切り補助情報を取得し、前記表示制御部は、前記特定のユーザによって登録された前記区切り補助情報に含まれる前記区切り位置に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする付記1に記載の電子機器である。
【0081】
(付記4)
付記4に記載の発明は、前記取得部は、前記ユーザ操作に基づいて選択された前記箇所に表示された前記区切り記号の配置に最も近い配置を有する、他のユーザによって予め登録された前記区切り補助情報を取得し、前記表示制御部は、前記ユーザ操作に基づいて表示された前記区切り記号に加えて、前記他のユーザによって予め登録された前記区切り補助情報に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする付記1に記載の電子機器である。
【0082】
(付記5)
付記5に記載の発明は、学習レベルを指定する学習レベル指定部をさらに備え、前記取得部は、前記学習レベル指定部によって指定された学習レベルに対応して予め設定された区切り補助記号の区切り位置を含む区切り補助情報を取得し、前記表示制御部は、前記学習レベルに対応して設定された前記区切り補助情報に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする付記1に記載の電子機器である。
【0083】
(付記6)
付記6に記載の発明は、文法規則を指定する文法規則指定部をさらに備え、前記取得部は、前記文法規則指定部によって指定された文法規則に対応して予め設定された区切り補助記号の区切り位置を含む区切り補助情報を取得し、前記表示制御部は、前記文法規則に対応して設定された前記区切り補助情報に基づいて、前記表示部に表示されている文章中に前記区切り補助記号を表示する、ことを特徴とする付記1に記載の電子機器である。
【0084】
(付記7)
付記7に記載の発明は、文章を表示部に表示させる表示制御方法であって、ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させるステップと、前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得するステップと、前記取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させるステップと、を含むことを特徴とする表示制御方法である。
【0085】
(付記8)
付記8に記載の発明は、文章を表示部に表示する電子機器に実行されるプログラムであって、ユーザ操作に基づいて前記文章に含まれる単語の前又は後の箇所が選択された場合に、選択された前記箇所に区切り記号を表示させる表示制御機能と、前記文章に対して予め登録され、前記ユーザによる前記単語の前又は後の箇所の選択を補助する区切り補助情報を取得する取得機能と、を実現し、前記表示制御機能は、前記取得機能によって取得された前記区切り補助情報に基づいて、前記文章中に区切り補助記号を表示させる、ことを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0086】
1…電子機器、2…ネットワーク、3…サーバ、4…データベース(DB)、11…CPU、12…記憶部、12a…翻訳プログラム、12b…区切り記号制御プログラム、12c…辞書データ、12d…テキストデータ、13…キー入力部、14…タッチパネル式表示部、14a…表示部、14b…タッチパネル、15…通信部、20、20a~20e…外国語テキスト、21…機能ボタン群、22…読み上げボタン、23…翻訳文、24…ポップアップウィンドウ、25…サブメニュー、26、27…ポップアップ画面、4a~4e…区切り位置情報DB、30a~30c、31a~31c、32a~32c、33…区切り位置情報、50…スライドバー