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特開2023-136790けい酸カルシウム成形体及びその製造法
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  • 特開-けい酸カルシウム成形体及びその製造法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136790
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】けい酸カルシウム成形体及びその製造法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/18 20060101AFI20230922BHJP
   C04B 14/04 20060101ALI20230922BHJP
   C04B 22/08 20060101ALI20230922BHJP
   C04B 14/38 20060101ALI20230922BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C04B28/18
C04B14/04 Z
C04B22/08 A
C04B14/38 C
C04B40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042675
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000126609
【氏名又は名称】株式会社エーアンドエーマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉成 利幸
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 史華
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB01
4G112PA03
4G112PA04
4G112PA15
4G112PB06
4G112PE08
(57)【要約】
【課題】軽量性、強度などに加えて、施工性も改善したけい酸カルシウム成形体を提供すること。
【解決手段】 石灰質原料、けい酸質原料及び充填材を補強繊維とともに抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成したけい酸カルシウム成形体において、成形体中に残存する珪石がXRD回折による定量分析で10~20質量%であるけい酸カルシウム成形体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石灰質原料、けい酸質原料及び充填材を補強繊維とともに抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成したけい酸カルシウム成形体において、成形体中に残存する珪石がXRD回折による定量分析で10~20質量%であるけい酸カルシウム成形体。
【請求項2】
石灰質原料とけい酸質原料の比率が、CaO/SiO2モル比で0.5~1.2の範囲にある請求項1記載のけい酸カルシウム成形体。
【請求項3】
ワラストナイトの含有量が0~5質量%である請求項1又は2記載のけい酸カルシウム成形体。
【請求項4】
石灰質原料及びけい酸質原料を含むマトリックス形成原料の配合量が固形分として30~50質量%、充填剤の配合量が固形分として25~50質量%である請求項1~3のいずれか1項記載のけい酸カルシウム成形体。
【請求項5】
かさ密度が0.7~0.9g/cm2であり、JIS A5430「吸水による長さ変化率試験」において、吸水による長さ変化率が0.15%以下である請求項1~4のいずれか1項記載のけい酸カルシウム成形体。
【請求項6】
石灰質原料、けい酸質原料及び充填材を補強繊維とともに抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成させ、成形体中に残存する珪石の量をXRD回折による定量分析で10~20質量%とすることを特徴とする、けい酸カルシウム成形体の製造法。
【請求項7】
けい酸質原料のブレーン値が、2000~5000cm2/gである請求項6記載の製造法。
【請求項8】
石灰質原料及びけい酸質原料を含むマトリックス形成原料の配合量が固形分として30~50質量%、充填剤の配合量が固形分として25~50質量%である請求項6又は7記載のけい酸カルシウム成形体の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工性に優れるけい酸カルシウム成形体及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
けい酸カルシウム成形体は、軽量で強度が高く、不燃性にも優れていることから、特に内装用建材として広く使用されている。このようなけい酸カルシウム成形体は、石灰質原料とけい酸質原料とをオートクレーブ中で水熱養生し、けい酸カルシウム水和物を生成させてマトリックスを形成することにより製造されている。生成されるけい酸カルシウム水和物は、トバモライト(5CaO・6SiO2・5H2O)やゾノトライト(6CaO・6SiO2・H2O)があるが、建材用けい酸カルシウム成形体は、トバモライト系であることが多い。また、繊維原料が、製造工程における成形助材としての役割と、製品強度等の物性を高めるために使用されている。
【0003】
けい酸カルシウム成形体の製造原料のうち、けい酸質原料である珪石及び石灰質原料である生石灰の粒度は、けい酸カルシウム水和物の1種であるトバモライトを効率よく生成させる観点及びけい酸カルシウム板の強度発現性の観点から、細かい方が良いとされている(非特許文献1及び2)。また、けい酸カルシウム成形体の強度を向上させる観点や加熱残存収縮率を低下させる観点及び耐熱性を高める観点から、針状ワラストナイトが用いられるが、針状ワラストナイトを配合した場合、珪石の粒度はブレーン値で6000cm2/g以上であるのが強度発現性の点でよいことも知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-222190号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】窯業工学ハンドブック第1132~1135頁
【非特許文献2】無機マテリアル学会第98回学術講演会講演要旨集第48~49頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、けい酸カルシウム成形体は、軽量で強度が高く、不燃性にも優れていることから、特に内装用建材として広く使用されている。内装用建材として使用する場合、軽量性、強度、不燃性、加熱残存収縮率の低さに加えて、乾燥した環境での施工時に、縁端部をビスで固定すると、その固定部にひび割れ(ビスクラック)が生じるという問題が発生することが判明した。
従って、本発明の課題は、軽量性、強度などに加えて、施工性も改善したけい酸カルシウム成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、けい酸カルシウム成形体の施工時におけるビスクラックの発生などについて種々検討した結果、けい酸質原料として粒度の粗い珪石を使用し、未反応の珪石を一定量残存させることにより、軽量性、十分な強度、長さ変化率が十分に低く寸法安定性に優れる特性や加熱残存収縮率を有し、かつ施工時のビスクラックの発生を抑制したけい酸カルシウム成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の発明[1]~[6]を提供するものである。
[1]石灰質原料、けい酸質原料及び充填材を補強繊維とともに抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成したけい酸カルシウム成形体において、成形体中に残存する珪石がXRD回折による定量分析で10~20質量%であるけい酸カルシウム成形体。
[2]石灰質原料とけい酸質原料の比率が、CaO/SiO2モル比で0.5~1.2の範囲にある[1]記載のけい酸カルシウム成形体。
[3]針状ワラストナイトの含有量が0~5質量%である[1]又は[2]記載のけい酸カルシウム成形体。
[4]石灰質原料及びけい酸質原料を含むマトリックス形成原料の配合量が固形分として30~50質量%、充填剤の配合量が固形分として25~50質量%である[1]~[3]のいずれかのけい酸カルシウム成形体。
[5]かさ密度が0.7~0.9g/cm3であり、JIS A5430「吸水による長さ変化率試験」において、吸水による長さ変化率が0.15%以下である[1]~[4]のいずれかに記載のけい酸カルシウム成形体。
[6]石灰質原料、けい酸質原料及び充填材を補強繊維とともに抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成させ、成形体中に残存する珪石の量をXRD回折による定量分析で10~20質量%とすることを特徴とする、けい酸カルシウム成形体の製造法。
[7]けい酸質原料のブレーン値が、2000~5000cm2/gである[6]記載の製造法。
[8]石灰質原料及びけい酸質原料を含むマトリックス形成原料の配合量が固形分として30~50質量%、充填剤の配合量が固形分として25~50質量%である[6]又は[7]のけい酸カルシウム成形体の製造法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、成形体中に残存する珪石をXRD回折による定量分析で10~20質量%となるように調整することによって、軽量性、十分な強度、長さ変化率が十分に低く寸法安定性に優れる特性や加熱残存収縮率を有し、かつ施工時のビスクラックの発生を抑制したけい酸カルシウム成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】施工性の評価(ビスクラックの発生)に用いたけい酸カルシウム板の平面図を示す。
図2】けい酸カルシウム板にビスを打った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、石灰質原料、けい酸質原料及び充填材を補強繊維とともに抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成したけい酸カルシウム成形体において、成形体中に残存する珪石がXRD回折による定量分析で10~20質量%であるけい酸カルシウム成形体である。
本発明のけい酸カルシウム成形体は、石灰質原料、けい酸質原料及び充填材を補強繊維とともに抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成させ、成形体中に残存する珪石の量をXRD回折による定量分析で10~20質量%となるように調整することによって製造できる。
【0012】
石灰質原料としては、例えば消石灰や生石灰等を用いることができる。これらの石灰質原料の粒度は、特に制限されないが、トバモライト生成を考慮すると、ブレーン値で2000(cm2/g)以上が好ましく、ブレーン値で2000~15000(cm2/g)がより好ましく、5000~12000(cm2/g)がさらに好ましく、7500~10000(cm2/g)がよりさらに好ましい。
【0013】
けい酸質原料としては、珪石、珪藻土、シラス、フェロシリコンダスト、シリコンダストなどを用いることができるが、本発明においては、原料の入手しやすさ、好ましい粒度のものを入手できる点から、珪石を用いるのが好ましい。
当該珪石としては、成形体中に珪石を10~20質量%残存させる観点から、ブレーン値で2000~5000cm2/gの珪石を用いるのが好ましく、ブレーン値で2000~4500cm2/gの珪石がより好ましく、2500~4500cm2/gの珪石がさらに好ましく、2500~4000cm2/gの珪石がよりさらに好ましい。
【0014】
また、石灰質原料とけい酸質原料の両方の役割を果たす原料としてセメントを使用することもできる。これらのセメントは、JIS R5210に規定されるブレーン値2500(cm2/g)以上のポルトランドセメントであるのが好ましい。
【0015】
これらのマトリックス形成用原料の配合割合は、強度発現性及び長さ変化率が十分に低く寸法安定性に優れる特性や加熱残存収縮率低減の観点から、固形分として30~50質量%が好ましく、30~40質量%がより好ましい。
【0016】
また、本発明のけい酸カルシウム成形体の製造に当たっては、けい酸カルシウムの製造工程における成形性の向上、強度発現性などの観点から、予め合成した合成トバモライトを用いるのが好ましい。合成トバモライトは、オートクレーブ養生によりマトリックス形成用原料を反応させてマトリックスを形成する際、マトリックスに組み込まれてマトリックスの一部を構成する原料でもある。合成トバモライトには結晶度が低いけい酸カルシウム水和物が混在していても、特に問題はない。合成トバモライト(合成トバモライトに結晶度の低いけい酸カルシウム水和物が混在している場合には、その合計)の配合割合は、固形分として、好ましくは1~15質量%、より好ましくは3~13質量%である。
合成トバモライトは、石灰質原料及びけい酸質原料を水とともに混合し、高温高圧下での水熱合成により生成させることができる。石灰質原料としては、生石灰、消石灰等を使用することができ、けい酸質原料としては、珪石、けい藻土、マイクロシリカ、シリカヒューム等を使用することができるが、特に、珪石が好適である。合成トバモライトの製造は、例えば次のようにして行うことができる。石灰質原料とけい酸質原料とを、例えばCaO/SiO2モル比を0.3~1.2となるように配合し、この配合物に対し、質量比で好ましくは5~20倍、より好ましくは7~16倍の水を加え、混合分散して原料スラリーとし、この原料スラリーを攪拌可能な圧力容器内にて150~210℃の温度で、1~12時間にわたり水熱合成を行う。このようにして、スラリー状の合成トバモライトを得ることができる。合成トバモライトは、スラリー状のまま原料として使用することができる。なお、合成トバモライトの平均粒子径は、好ましくは30μm~100μm、より好ましくは50μm~90μmの範囲内である。
【0017】
前記石灰質原料とけい酸質原料のCaO/SiO2モル比は、得られるけい酸カルシウム成形体の寸法安定性や耐熱性及び強度発現性の観点から、0.5~1.2が好ましく、0.6~1.2がより好ましい。
【0018】
充填材は、けい酸カルシウム成形体の製造工程における成形性を向上させ、また、得られるけい酸カルシウム成形体の強度や耐熱性等の物性を向上させることができる。充填材としては、例えばマイカ粉、炭酸カルシウム粉、石膏粉、ドロマイト粉、粉末状ワラストナイト、けい酸カルシウム板廃材の粉砕粉等からなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。充填材の配合量は、900℃での加熱残存収縮率及び熱伝導率を確保する観点、並びに板の良好な表面硬度を確保する観点から、好ましくは25~50質量%、より好ましくは30~45質量%の範囲である。
【0019】
補強繊維は、けい酸カルシウム成形体の強度等の物性を向上させる役割と、成形助材としての役割を担っている 。補強繊維としては、例えばパルプ等の有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維を使用することができる。なお、パルプとしては、例えばカナディアンフリーネスが50~700cc程度であることが、けい酸カルシウム成形体の製造を円滑に行う上で好ましい。
補強繊維の配合量は、好ましくは3~10質量%、より好ましくは4~9質量%の範囲内である。
【0020】
けい酸カルシウム成形体の製造に当たっては、加熱残存収縮率を低下させる目的で、針状ワラストナイトが用いられる。しかし、本発明のけい酸カルシウム成形体は、長さ変化率が十分に低く、寸法安定性に優れ、熱残存収縮率が十分に低く、耐熱性にも優れているので、高価な針状ワラストナイトの配合量を低減することができる。すなわち、針状ワラストナイトの配合量は、0~5質量%とすることができる。
【0021】
本発明のけい酸カルシウム成形体は、前記の原料を用いて抄造した後、オートクレーブ養生してトバモライト結晶を生成させ、成形体中に残存する珪石の量をXRD回折による定量分析で10~20質量%となるように調整することによって製造できる。
より具体的には、まず、前記の原料に水を加えて均一に混合して原料スラリーを得、この原料スラリーを抄造することにより未硬化状態の成形体を得る。水の使用量は、全原料固形分100質量部に対して、1000~4000質量部の範囲とすることが好ましい。
得られた未硬化状態の成形体をオートクレーブ養生することにより、前記原料及び水が反応してトバモライト結晶を生成させ、成形体中に残存する珪石の量をXRD回折による定量分析で10~20質量%となるように調整する。
オートクレーブ養生条件は、150~200℃の飽和水蒸気圧力で5~12時間が好ましく、5~10時間がより好ましい。また、珪石の残存量(未反応珪石含有量)は、軽量性、十分な強度、長さ変化率が十分に低く寸法安定性に優れる特性、加熱残存収縮率を有し、かつ施工時のビスクラックの発生を抑制する観点から、12~20質量%がより好ましく、13~20質量%がさらに好ましく、14~20質量%がよりさらに好ましい。
【0022】
本発明のけい酸カルシウム成形体は、軽量性、十分な強度、加熱残存収縮率を有し、かつ施工時のビスクラックの発生を抑制できる。具体的には、本発明のけい酸カルシウム成形体のかさ密度は、0.7~0.9g/cm3であるのが好ましい。また、JIS A5430「吸水による長さ変化率試験」において、吸水による長さ変化率が0.15%以下であるのが好ましい。また、900℃の加熱残存収縮率が1.5%以下であり、耐熱性にも優れている。また、曲げ強度は、8N/mm2以上である。
【実施例0023】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
以下の実施例及び比較例に使用した原料は下記のとおりである。
合成トバモライト:生石灰(CaO含量94.3質量%)35質量%、ブレーン値7500cm2/gのけい石粉末(SiO2含量94.4質量%)65質量%(CaO/SiO2モル比=0.58)よりなる混合物100質量部に水1000質量部を加えて混合分散することにより原料スラリーを得、この原料スラリーをオートクレーブ中190℃で、2時間にわたり水熱合成を行うことにより合成トバモライト(固形分含量:8.7質量%、レーザー回折式粒度分布測定装置による平均粒子径:72μm)を得た。
ポルトランドセメント:CaO含量65質量%、SiO2含量22質量%
生石灰:CaO含量94.3質量%
けい石粉末10000BL:ブレーン値10000cm2/g、SiO2含量94.4質量%
けい石粉末7500BL:ブレーン値7500cm2/g、SiO2含量94.4質量%
けい石粉末5000BL:ブレーン値5000cm2/g、SiO2含量94.4質量%
けい石粉末4000BL:ブレーン値4000cm2/g、SiO2含量94.4質量%
けい石粉末3000BL:ブレーン値3000cm2/g、SiO2含量94.4質量%
二水石膏:排煙脱硫法による副産石膏、CaSO4含有92質量%以上
炭酸カルシウム:目開き45μmの篩通過分60質量%以上、CaCO3含有96質量%。
ワラストナイト:平均繊維長さ約0.25mm、平均繊維直径約5μm、60MESH篩残分0.6質量%以下の針状結晶を使用。
スクラップ:トバモライト系けい酸カルシウム板製造時に発生する切断屑を粉砕したもの、及び研磨時に発生する研磨粉であって、目開き2360μmの篩通過分が95質量%以上のもの。
パルプ:針葉樹クラフトパルプ(NBKP)をカナディアンフリーネス320ccとなるようにリファイナー処理したものを使用。
【0025】
実施例1
表1に記載した配合割合にて原料配合物を得、原料配合物の固形分100質量部に1000質量部の水を添加、混合して原料スラリーを得た。次に、原料スラリーを、抄造法を模したテーブル試験、すなわちプレス圧5kg/cm2で脱水プレスすることにより幅150mm、長さ200mmの生板を得た。得られた生板をオートクレーブ中180℃で8時間保持することにより厚さ6mmのけい酸カルシウム板を得た。得られたけい酸カルシウム板の諸特性を表1に記載した。
かさ密度:JIS A5430 かさ密度試験に準じて測定した。
曲げ強さ:JIS A5430 スレート(ボード)、けい酸カルシウム板(タイプ2)及びスラグせっこう板に準じて測定した。
【0026】
【表1】
【0027】
実施例2(長さ変化率)
長さ変化率の測定は、JIS A5430 吸水による長さ変化率試験に準じて測定した。
【0028】
【表2】
【0029】
実施例3(施工性)
天井面に設けた施工試験用の軒天下地材(間隔303mm)に対して、幅900mm×長さ900mm×厚さ6mmの試験体(図1)を用いて、試験体の繊維方向が軒天下地材(間隔303mm)と直角方向になるように、試験体をタッピングねじで軒天下地材に留付けた。目地部にはハット型目地ジョイナーを使用し、タッピングねじには、JIS B1122十字穴付きタッピングねじを使用した(図2)。図1および図2の各寸法値はmmで記載した。ビス打ち時に発生したビスクラックの評価は、クラックの目開き幅を精度±0.05mmのクラックスケールで目視測定した。ビスクラックの評価は、目開き幅が0~0.2mm以下のものを〇、0.25mm~0.35mmのものを△、0.35mm以上のものを×とした。×は目視で容易にビスクラックが認識できるため、施工性が悪い。△は×よりもビスクラックが目立たないが、好ましくない。
【0030】
【表3】
図1
図2