(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136791
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】密閉型ロータリ圧縮機およびこれを備える冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F04C 18/356 20060101AFI20230922BHJP
F04C 29/02 20060101ALI20230922BHJP
F25B 1/04 20060101ALI20230922BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F04C18/356 H
F04C29/02 311C
F04C29/02 311B
F25B1/04 B
F25B1/00 396J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042676
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 修平
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 和広
(72)【発明者】
【氏名】秋澤 健裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 考作
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB06
3H129CC03
3H129CC33
3H129CC34
(57)【要約】
【課題】ローラの周囲に適切な量の潤滑油を供給できる密閉型ロータリ圧縮機およびこれを用いる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明の密閉型ロータリ圧縮機Cは、潤滑油50を貯留する油溜りを有する密閉容器1と、密閉容器1内に設けられ、略環状のシリンダ8と、シリンダ8の両端を閉塞する上ラジアル軸受5および下ラジアル軸受6とで形成されるシリンダ室と,シリンダ8内で偏心回転する環状のローラ9と、ローラ9を偏心回転させるクランク軸3と、シリンダ3に摺動自在に取り付けられたローラ9の外周に接してシリンダ室を高圧側11と低圧側12とに区分けするベーン7とを備え,シリンダ8がベーン7の低圧側12の側面に対向する領域には,シリンダ8の径方向に沿って,シリンダ8の内径端から外径端までに亘る油流路8eが設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油を貯留する油溜りを有する密閉容器と、
前記密閉容器内に設けられ、略環状のシリンダと、該シリンダの両端を閉塞する上ラジアル軸受および下ラジアル軸受とで形成されるシリンダ室と,
前記シリンダ内で偏心回転する環状のローラと、
前記ローラを偏心回転させるクランク軸と、
前記シリンダに摺動自在に取り付けられた前記ローラの外周に接して前記シリンダ室を高圧側と低圧側とに区分けするベーンとを備え,
前記シリンダが前記ベーンの低圧側の側面に対向する領域には,前記シリンダの径方向に沿って,前記シリンダの内径端から外径端までに亘る油流路が設けられている
ことを特徴とする密閉型ロータリ圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の密閉型ロータリ圧縮機において、
前記シリンダよりも前記ベーンの方が、硬い材料で形成されている
ことを特徴とする密閉型ロータリ圧縮機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の密閉型ロータリ圧縮機において、
前記密閉容器内の圧力は吸入圧力となっている
ことを特徴とする密閉型ロータリ圧縮機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の密閉型ロータリ圧縮機において、
前記油流路を構成する壁面の一部は,前記上ラジアル軸受または前記下ラジアル軸受の何れかの端面の一部である
ことを特徴とする密閉型ロータリ圧縮機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載の密閉型ロータリ圧縮機において、
前記ベーンにおける前記ローラとは反対側の空間は,前記密閉容器の内部空間と連通している
ことを特徴とする密閉型ロータリ圧縮機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちの何れか一項に記載の密閉型ロータリ圧縮機において、
前記シリンダには前記シリンダ室内外を連通する吸入穴が設けられており,前記吸入穴の一方端は前記シリンダの前記上ラジアル軸受側の面に開口している
ことを特徴とする密閉型ロータリ圧縮機。
【請求項7】
潤滑油を貯留する油溜りを有する密閉容器と、
前記密閉容器内に設けられ、略環状のシリンダと該シリンダの両端を閉塞する上ラジアル軸受および下ラジアル軸受とで形成されたシリンダ室と,
前記シリンダ内で偏心回転する環状のローラと、該ローラを偏心回転させるクランク軸と、前記シリンダに摺動自在に取り付けられた前記ローラの外周に接して前記シリンダ室を高圧側と低圧側に区分けするベーンとを備え,
前記ベーンの低圧側の側面には,該ベーンの摺動方向に沿って,該ベーンの先端側から末端側までに亘る油流路が設けられている
ことを特徴とする密閉型ロータリ圧縮機。
【請求項8】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器を備え、冷媒として強燃性冷媒を使用して冷凍サイクルを構成し、前記蒸発器で冷気を作り出して庫内に放出する冷蔵庫であり、
前記圧縮機として請求項1から請求項7のうちの何れか一項に記載の密閉型ロータリ圧縮機を用いている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
請求項8に記載の冷蔵庫において、
前記強燃性冷媒としてイソブタン(R600a)を用い、前記イソブタンの冷凍サイクルへの封入量は100g以下である
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型ロータリ圧縮機およびこれを備える冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉型ロータリ圧縮機の公知文献としては、特許文献1に記載されているものなどがある。
特許文献1のものは、密閉ケース内に、電動機部及び該電動機部と回転軸を介して連結される圧縮機構部を有している。前記圧縮機構部は、シリンダ室を形成するシリンダと、前記シリンダ室内で偏心回転するローラと、該ローラの外周面に当接して前記シリンダ室を吸込室と圧縮室に区画するベーンと、前記シリンダの端面に当接して前記シリンダ室を覆うとともに前記回転軸を軸支する主軸受及び副軸受とを有している。
【0003】
そして、前記ベーンの少なくとも一方の端面には一端が潤滑油貯溜部に連通する第1の油溝が設けられ、第1の油溝と同じ側の前記ローラの端面には環状の第2の油溝が設けられている。前記第1の油溝及び前記第2の油溝と対向する主軸受及び副軸受の少なくとも一方に前記第1の油溝と前記第2の油溝を連通する第3の油溝が設けられている。
【0004】
圧縮機の駆動に伴うベーンの往復運動によって,前記第1の油溝,前記第2の油溝,前記第3の油溝は間欠的に連通して,ローラ端面への給油がなされる。ここで、前記潤滑油貯溜部は油戻パイプによって圧縮機の吐出圧力空間である油分離器と連通している。ローラ端面への給油は、吐出圧力となる前記潤滑油貯溜部と,より低圧空間であるシリンダ室およびローラ内空間との圧力差によってなされる。
【0005】
他の例として,特許文献2に記載がある。
特許文献2では,潤滑油を貯溜したケース内に、電動機部と圧縮機構部とを収納している。圧縮機構部は、シリンダと主軸受および副軸受とで形成された圧縮室と、圧縮室内に主軸受および副軸受に軸支されたクランク軸によって偏心回転するロ-ラと、シリンダに取付けられローラの外周に接して圧縮室を高圧側と低圧側に区分するベ-ンとを有している。
【0006】
ベーンの低圧室側の面の面幅の中央部には,上死点近傍でシリンダー室内と、下死点近傍で密閉容器底部の油貯溜部とを連通する給油溝が設けられている。ベーンの背面側(反ローラ側)は吐出圧力空間であるケース内と連通しているポンプ室となっている。給油溝内の潤滑油は,シリンダ内とポンプ室との差圧によってなされる。
ところで、近年、冷蔵庫や空気調和機に使用される冷媒として、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒であるイソブタン(R600a)やR32等の可燃性冷媒が使用されている。特に、家庭用の冷蔵庫に使用されているイソブタンは強燃性の冷媒である。そのため、イソブタンの使用量には厳しい制限があり、冷蔵庫1台あたりに封入できる冷媒量は非常に少ない量に制限されている。即ち、電気用品安全法により技術基準が定められており、例えば、家庭用冷蔵庫のイソブタンの使用量は100g以下に制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-258001号公報
【特許文献2】特開平06-264881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、冷蔵庫や空気調和機に使用される冷媒として、可燃性冷媒が使用される場合、冷凍サイクルに封入される冷媒量をできるだけ少なくすることが求められている。
密閉型ロータリ圧縮機は、圧縮機構部の摺動部を潤滑するための潤滑油(冷凍機油、以下、油ともいう)を溜める油貯溜部を有している。特許文献1、2においては,潤滑油を差圧にて駆動する都合上,油貯溜部は吐出圧力空間に設けられている。
【0009】
冷媒の冷凍機油に対する溶解量は圧力が高いほど冷凍機油に吸収されるので、冷媒は圧力が高いほど冷凍機油に溶解する量が増加する。このため,可燃性冷媒を用いた冷蔵庫や空気調和機用の冷媒圧縮機として、油貯溜部が吐出圧力空間となる密閉型ロータリ圧縮機を採用すると、冷凍機油への冷媒溶解量が多くなる。その結果、冷媒封入量が多くなる課題がある。
また,油溝を通じて低圧空間に給油された冷凍機油からは,雰囲気圧力の低下に伴い溶解していた冷媒の一部が気泡という形で発泡する。これは吐出圧力空間の冷媒が低圧空間に逆流することを意味しており,体積効率の低下要因となる。そのため,吐出圧力空間の油を低圧空間に給油することは,体積効率の低下を招くという課題を有する。
【0010】
さらに,高温の吐出ガスに触れていた冷凍機油は高温となっており,高温の冷凍機油をシリンダ内に導入することは,シリンダ内の冷媒ガスを加熱する要因となり冷媒ガスの体積が増加し,冷媒ガスの質量流量が低下して体積効率の低下の要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、潤滑油を貯留する油溜りを有する密閉容器と、前記密閉容器内に設けられ、略環状のシリンダと、該シリンダの両端を閉塞する上ラジアル軸受および下ラジアル軸受とで形成されるシリンダ室と,前記シリンダ内で偏心回転する環状のローラと、前記ローラを偏心回転させるクランク軸と、前記シリンダに摺動自在に取り付けられた前記ローラの外周に接して前記シリンダ室を高圧側と低圧側とに区分けするベーンとを備え,前記シリンダが前記ベーンの低圧側の側面に対向する領域には,前記シリンダの径方向に沿って,前記シリンダの内径端から外径端までに亘る油流路が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係る密閉型ロータリ圧縮機の縦断面図。
【
図5】本発明の実施形態2に係るシリンダの斜視図。
【
図6】本発明の実施形態3に係るシリンダの縦断面図の
図3のII-II断面相当図。
【
図7】本発明の実施形態4に係るシリンダの
図3のII-II断面相当図。
【
図10】本発明の実施形態6に係る密閉型ロータリ圧縮機を搭載した冷蔵庫の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一符号を付した部分は同一構成要素或いは相当する構成要素である。
<<実施形態1>>
【0014】
本発明に係る実施形態1の密閉型ロータリ圧縮機Cを
図1~
図4を用いて説明する。
図1に、本発明の実施形態1に係る密閉型ロータリ圧縮機Cの縦断面図を示す。
図2に、
図1のシリンダ8の斜視図を示す。
【0015】
図3に、
図1のシリンダ8部の横断面模式図を示す。
実施形態1の密閉型ロータリ圧縮機Cは、冷蔵庫や空気調和機等の冷凍サイクル装置を構成する冷媒の圧縮機として利用される。
実施形態1の密閉型ロータリ圧縮機Cの全体構成をまず説明する。
【0016】
図1に示す密閉型ロータリ圧縮機Cは、密閉容器1で外郭が形成され密閉されている。
密閉容器1は、下部に潤滑油(冷凍機油;油)50が封入されている。
密閉型ロータリ圧縮機Cは、密閉容器1内に、駆動源の電動機部2と、冷媒を圧縮する圧縮機構部4とを具備している。
電動機部2は、密閉容器1内に固定して設けられている。電動機部2は、固定子2aおよび回転子2bを備えている。回転子2bには、クランク軸3が一体に固定されている。
【0017】
クランク軸3は、電動機部2側にある上軸3bと下部の下軸3cとその間に配置される偏心部3aとを有している。偏心部3aは、クランク軸3の中心軸3oに対して偏心している。クランク軸3の中央には、潤滑油50が通る貫通孔の中空部3dが形成されている。
密閉容器1には、吸入管(吸入流路)20iが接続されている。冷凍サイクルの冷媒は、吸入管20iを介して密閉容器1内に導入される。密閉容器1内は、圧縮機構部4で圧縮前の低圧の冷媒で満たされている。
【0018】
<圧縮機構部4>
圧縮機構部4は、電動機部2によりクランク軸3を介して駆動される。
圧縮機構部4は、上ラジアル軸受5と、下ラジアル軸受6と、上ラジアル軸受5と前記下ラジアル軸受6との間に挟持されるシリンダ8とを備えている。
上ラジアル軸受5は、クランク軸3の上軸3bを支持するボス部5aを有している。
下ラジアル軸受6は、クランク軸3の下軸3cを支持するボス部6aを有している。
【0019】
図2に示すシリンダ8は、略環状の形状を有している。シリンダ8は、上ラジアル軸受5と前記下ラジアル軸受6との間に締結ボルト(図示せず)で一体に固定され挟持されている。
また、圧縮機構部4は、ローラ9とベーン7とスプリング7aも備えている。スプリング7aは圧縮コイルスプリングである。
シリンダ8と、シリンダ8の両端を閉塞する上ラジアル軸受5および下ラジアル軸受6とで、シリンダ室8Rが形成されている。
【0020】
図1、
図3に示すローラ9は、環状の形状を有している。ローラ9は、シリンダ室8Rを形成するシリンダ8内に収容されている。ローラ9は、クランク軸3の偏心部3aの偏心回転により、クランク軸3の中心軸3o廻りに公転駆動される。
【0021】
図1、
図3に示すベーン7は、板形状を有し、ローラ9の外周9g側から外径方向に延びている。ベーン7は、スプリング7aに押圧され、ローラ9の外周9gに押し付けられている。
【0022】
図3に示すように、ベーン7は、ローラ9の公転運動(偏心回転運動)に応じて、シリンダ8に設けられた収納部のベーンスロット8b(
図2参照)に出入りする(
図3の矢印α11)。
【0023】
図3に示すように、圧縮機構部4には、上述のシリンダ8、ローラ9、ベーン7、上ラジアル軸受5及び下ラジアル軸受6により、圧縮室11(高圧側)および吸入室12(低圧側)が形成される。
図2に示すシリンダ8には、吸入室12内に冷媒ガスを吸入するための吸入穴8aが設けられている。
密閉容器1内に吸入管20i(
図1参照)から密閉容器1内に導入された冷媒は,
図3の矢印β11、β12に示すように、吸入穴8aを通じて吸入室12内に吸入される。密閉容器1内は冷凍サイクル内の低圧空間(密閉型ロータリ圧縮機Cの吸込み圧力空間)となっている。
【0024】
図3の矢印α12に示すように、シリンダ8内をローラ9が公転運動することにより、吸入した冷媒を圧縮室11で圧縮する。圧縮された冷媒は、吐出切り欠き部8dを通じて上ラジアル軸受5(
図1参照)に形成された吐出ポート(図示せず)を通過し,吐出カバー18内へと吐出される。吐出カバー18内の冷媒は吐出パイプ20oを通じて機外の冷凍サイクル配管へ吐出される。
【0025】
<潤滑油50>
図1に示す密閉容器1下方に貯留されている潤滑油50は、クランク軸3下端に設けられた油流入部16からクランク軸3に形成された中空部3dを経て、クランク軸3と上ラジアル軸受5及び下ラジアル軸受6との摺動面、偏心部3aとローラ9との摺動面、ローラ9とシリンダ8及びベーン7との摺動面等の圧縮機構部4の各摺動面に、密閉容器1内圧力と吸入室12の圧力との差圧により給油される。
【0026】
実施形態1においては、クランク軸3の回転運動によって中空部3d内の潤滑油50が,遠心ポンプ作用によって昇圧される。そして、潤滑油50より圧力が低い各摺動部(クランク軸3と上ラジアル軸受5及び下ラジアル軸受6との摺動面、偏心部3aとローラ9との摺動面、ローラ9とシリンダ8及びベーン7との摺動面等)に潤滑油50が供給される構成となっている。
【0027】
図1に示すように、潤滑油50の油面がシリンダ8上端面8u以上の高さになるように、潤滑油50が密閉容器1内に封入されている。
前記したように、潤滑油50が封入されている密閉容器1内は冷凍サイクル内の低圧空間(密閉型ロータリ圧縮機Cの吸込み圧力空間)となっている。そのため,従来の密閉容器1内が吐出圧力空間になっている圧縮機と比較して機内の冷媒量は少なく設定することができる。特に潤滑油50に溶解している冷媒量は低圧ほど低い傾向にある。そのため,実施形態1の密閉型ロータリ圧縮機Cは冷媒量を少なくする上において好ましい。
【0028】
<シリンダ8の構造>
次に、シリンダ8の構造について説明する。
図2に示すシリンダ8には、ベーン7が設けられる貫通孔であるベーンスロット8bが設けられている。
図3に示すように、ベーン7がベーンスロット8b内に挿入されている。ベーン7の先端7s(
図3参照)側は,ローラ9の外周9gにスプリング7a(
図1参照)によって押し付けられている。スプリング7aとベーン7とが接触する側の空間を、ここではベーン背後空間8c(
図2参照)と称する。
【0029】
ベーン背後空間8cは密閉容器1(
図1参照)内の空間と連通している。密閉容器1内は吸入管20i(
図1参照)と連通している。そのため,潤滑油(冷凍機油)50が封入されている密閉容器1内とベーン背後空間8cの圧力は、冷凍サイクルにおける密閉型ロータリ圧縮機Cの吸入圧力と略等しい。
【0030】
図2に示すシリンダ8に設けられた吸入穴8aは片端はシリンダ8の上端面8u(
図1に示すシリンダ8と上ラジアル軸受5とが接する面)側に開口している。これは,吸入穴8aおよびベーン背後空間8cを通じて、吸入室12(
図3参照)内に過剰に潤滑油50が流入し,油圧縮により、圧縮機構部4が破損することを抑止するためである。
【0031】
<油流路8e>
図2に示すように、ベーンスロット8bにおいて,シリンダ8における吸入穴8aが近い側の側面の上下端部には,油流路8eが設けられている。
油流路8eは、シリンダ8における吸込み側(吸入室12側)のベーンスロット8bの角部を面取りして形成されている。
具体的には、油流路8eは、吸入室12(
図3参照)とベーン背後空間8cを常に連通させる流路である。油流路8eは、シリンダ8の上端面(シリンダ8と上ラジアル軸受5とが接する面)とベーンスロット8bの側面との稜線の角部を削ることで形成されている。また、油流路8eは、シリンダ8の下端面(シリンダ8と下ラジアル軸受6とが接する面)とベーンスロット8bの側面との稜線のそれぞれの角部を削ることで形成されている。
つまり、シリンダ8がベーン7の低圧側の側面に対向する領域には,シリンダ8の径方向に沿って,シリンダ8の内径端8nから外径端8gまでに亘る油流路が設けられている。
【0032】
すなわち,上ラジアル軸受5側の油流路8eは,シリンダ8とベーン7と上ラジアル軸受5を壁面とした流路である。下ラジアル軸受6側の油流路8eは,シリンダ8とベーン7と下ラジアル軸受6を壁面とした流路である。
ベーン7は、比較的硬度の高い金属材料(硬い材料),例えば高速度工具鋼などの鉄系材料に窒化処理を施したもの等を使って製作されている。シリンダ8はベーン7よりも硬度が低く加工性の良い鋳鉄などを用いている。
【0033】
油流路8eは加工性の良いシリンダ8に設けられている。加えて、シリンダ8における吸込み側(
図3の吸入室12側)のベーンスロット8bの上下端面側に位置しているためにアクセスし易く,加工性に優れた構造となっている。
【0034】
<油流路8eにおける潤滑油の流れ>
次に、油流路8eにおける潤滑油の流れについて説明する。
図3の矢印α12に示すように、ローラ9がシリンダ8内を公転運動すると,吸入室12の空間容積が拡大する。吸入室12の空間容積の拡大により、吸入室12内の圧力は密閉容器1内の圧力より低下する。そのため,吸入穴8aを通じて密閉容器1内の冷媒が吸入室12内へと流入する(
図3の矢印β11)。同時に,油流路8eを通じて、
図1に示す密閉容器1内下方に貯留している潤滑油50が、ベーン背後空間8cから油流路8eを通って、吸入室12内へと流入する。
【0035】
<ベーン7およびローラ9の摺動面におけるシール性および摺動性>
次に、ベーン7およびローラ9の摺動面におけるシール性および摺動性について説明する。
【0036】
図3において、ベーン7は、高圧の圧縮室11と低圧の吸入室12との圧力差によって、圧縮室11側から吸入室12側へと力を受ける。すると、その反力の一部は,ベーン7の吸入室12側の側面とシリンダ8のベーンスロット8bの吸入穴8a側の側面との接触部にて受けることとなる。
【0037】
図3の矢印α11に示すように、ベーン7はベーンスロット8b内で滑らかに摺動させるために,所定の隙間を有して、ベーンスロット8b内に挿入されている。しかし、その隙間が大き過ぎると隙間を通じてベーン背後空間8cから吸入室12内に大量に油が流入する。また、圧縮室11からベーン背後空間8cへと大量に圧縮冷媒が漏洩することとなる。
特に、圧縮冷媒の漏洩は、漏洩した冷媒の再度の圧縮になることから圧縮機効率の低下を引き起こす。そのため、ベーン7とベーンスロット8bの隙間は数μm~数十μmに設定し,過剰に大きい隙間を設けないようにすることが好ましい。
【0038】
しかし,ベーン7とベーンスロット8bとの間の隙間が小さいために,
図3に示すベーン7の吸入室12側の側面とシリンダ8のベーンスロット8bの吸入穴8a側の側面との接触部への給油量が少ないために,密閉型ロータリ圧縮機Cの運転条件によっては潤滑状態が悪化するおそれが生じる。しかしながら、実施形態1においては,ベーン7とベーンスロット8bとの間の隙間のみならず,
図2、
図3に示す油流路8eを通って潤滑油が供給されるため,十分な潤滑状態を保つことができる。
【0039】
<ベーン7と上ラジアル軸受5および下ラジアル軸受6との隙間のシール性>
図4に、
図3のI-I断面図を示す。
次に、
図4に示すベーン7と上ラジアル軸受5および下ラジアル軸受6との隙間を考える。
ベーン7は重力により下方に力を受ける。そのため,ベーン7の上端面7uと上ラジアル軸受5の下端面5sとの間には微小な隙間が存在する。この隙間を通じて,
図3に示す圧縮室11側から吸入室12側およびベーン背後空間8cへ圧縮冷媒ガスが逆流する。しかしながら、実施形態1では,
図2、
図4に示す油流路8eを通じてベーン7の上端面7uと上ラジアル軸受5の下端面5sとの間に潤滑油が供給されるため,ベーン7の上端面7uと上ラジアル軸受5の下端面5sとの間のシール性を確保することができる。
【0040】
また,ベーン7とシリンダ8におけるベーンスロット8bの側面8iの接触時においては、接触部の高さ方向中央8i0付近の面圧が大きくなる。しかし,本実施形態1では接触部の高さ方向中央8i0付近に油流路8eを設けていない。本実施形態1と異なり,接触部の中央8i0付近に油流路を設けてしまうと,側面8iの面積が減少して油流路の部分では力を受けることができない。そのため,側面8iでの面圧が過剰に大きくなり,潤滑性が悪化する虞が生じる。
【0041】
しかし、実施形態1では、側面8iの高さ方向中央8i0付近に油流路8eを設けないので、過大な面圧発生を抑制することができる。
図1に示すように、ローラ9は,シリンダ8内に上ラジアル軸受5および下ラジアル軸受6に挟まれる形にて収納されている。
図3に示すように、ローラ9がシリンダ8内を滑らかに公転運動ができるよう,ローラ9の上端面9uと上ラジアル軸受5の下端面5sとの間およびローラ9の下端面9sと下ラジアル軸受6の上端面6uとの間には、所定の隙間ができるように形成している。
【0042】
図1、
図3に示すように、ローラ9は円環状の構造をしており,クランク軸3がローラ9内部を貫通する形で挿入されている。
図1に示すように,ローラ9とクランク軸3との間には隙間空間であるローラ内周空間9aが存在している。ローラ内周空間9aは潤滑油50が存在する領域としている。
【0043】
<ローラ9の上端面9uと上ラジアル軸受5の下端面5sとの間、および、ローラ9の下端面9sと下ラジアル軸受6の上端面6uとのシール性,摺動性>
次に、
図1に示すローラ9の上端面9uと上ラジアル軸受5の下端面5sとの間およびローラ9の下端面9sと下ラジアル軸受6の上端面6uとの間のシール性,摺動性について説明する。
【0044】
図3に示す吸入室12に接している側のローラ9の上端面9uおよび下端面9sの各隙間は,吸入室12とローラ内周空間9aとの圧力差が小さいため,潤滑油50は保持されやすくシール性,摺動性が比較的良好である。
一方,
図3に示す圧縮室11に接している側のローラ9の上端面9uおよび下端面9sの各隙間は,圧縮室11とローラ内周空間9aの圧力差が大きいため,油膜破断が起きやすい。そのため,
図1に示す圧縮室11内の圧縮ガスがローラ内周空間9a側に大量に流出する虞が生じる。
【0045】
そこで、実施形態1では、
図4に示すように、油流路8eを構成する壁面の一部は,上ラジアル軸受5または下ラジアル軸受6の何れかの端面の一部としている。
そして、
図2、
図3に示すように、油流路8eを通じて潤滑油50が吸入室12内へ流入する構造としている。ローラ9の公転運動(
図3の矢印α12)によって潤滑油50が流入した吸入室12は、時間が経過して圧縮室11となる。圧縮室11内の冷媒ガスの圧縮を開始する際,圧縮室11の壁面に付着している潤滑油50は圧縮室11とローラ内周空間9a(
図1参照)との圧力差によってローラ9の上下端面9u、9sの上ラジアル軸受5、下ラジアル軸受6との隙間内へと引き込まれる。
【0046】
ローラ9の上端面9uおよび下端面9sの各隙間のような微小な二平面間隙間内における流体の流れは流体の粘度が流速に大きな影響を与える。冷媒のようなガスの粘度は低いため,流速は大きいが、潤滑油50のような液体はガス(気体)に比して粘度が大きいため流速は小さくなる。そのため、ローラ9の上端面9uおよび下端面9sの各隙間内に潤滑油50が引き込まれると,ローラ9の上端面9uおよび下端面9sの各隙間を通じたガスの流出を抑制することが可能となる。
【0047】
実施形態1では、
図2に示すように、油流路8eが
図1に示す上ラジアル軸受5の下端面5sおよび下ラジアル軸受6の上端面6uに沿って設置されている。そして,
図1に示すように、潤滑油50の油面位置はシリンダ8の上端面8u以上の高さとなっている。そのため,油流路8eから導入された潤滑油50は上ラジアル軸受5の下端面5sおよび下ラジアル軸受6の上端面6uに豊富に付着して,存在する。
そのため,上ラジアル軸受5の下端面5sおよび下ラジアル軸受6の上端面6uとローラ9の上端面9uおよび下端面9sとの各隙間であるローラ9端面隙間へ潤滑油50が導入され易い。従って,ローラ9の上端面9uと上ラジアル軸受5の下端面5sとの間およびローラ9の下端面9sと下ラジアル軸受6の上端面6uとの間のシール性,摺動性が良好に保たれる。
【0048】
以上の実施形態1によれば,ローラ9の上下端面9u、9sと上ラジアル軸受5および下ラジアル軸受6の各隙間部の良好なシール性,潤滑性を確保するために適切な量の潤滑油50をシリンダ8内に供給することができる。また、冷凍サイクルに封入される冷媒量をできるだけ少なくすることができる密閉型ロータリ圧縮機C及びこれを用いた冷蔵庫を得ることができる。
換言すれば、低圧チャンバ方式においてシリンダ8内に十分な給油量の給油を行うことのできる高効率の密閉型ロータリ圧縮機Cおよびこれを用いた冷蔵庫を提供できる。
【0049】
<<実施形態2>>
図5に、本発明の実施形態2に係るシリンダ28の斜視図を示す。
実施形態2では,実施形態1の
図2に示す油流路8eの位置を異なる構成としたものである。以下では、実施形態1と同様の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
実施形態2は、実施形態1とは異なり,矩形断面の油流路28eが、シリンダ28におけるベーンスロット8bの吸入穴8aが近い側の側面28aに設けられている。
図5においては、油流路28eの断面を矩形としており,側面28a上に2本形成している。なお、油流路28eの断面形状は矩形状に限定するものではなく,本数も2本に限定するものではない。
【0050】
実施形態2によれば,実施形態1と同様に油流路28eを通じて潤滑油を吸入室12(
図3参照)内へ導入することができる。そのため,ローラ9とシリンダ28、ローラ9と上ラジアル軸受5、ローラ9と下ラジアル軸受6の各端面間の隙間のシール性および摺動性を良好に保つことができる。
よって、実施形態2によれば,ローラ9とシリンダ28、ローラ9と上ラジアル軸受5、ローラ9と下ラジアル軸受6の各隙間部の良好なシール性,潤滑性を確保するために適切な量の潤滑油50をシリンダ28内に供給することができる。
また,冷凍サイクルに封入される冷媒量をできるだけ少なくすることができる密閉型ロータリ圧縮機Cおよびこれを用いた冷蔵庫を得ることができる。
【0051】
<<実施形態3>>
【0052】
図6に、本発明の実施形態3に係るシリンダ38の縦断面図の
図3のII-II断面相当図である。
実施形態3では,油流路38eの位置が実施形態1の
図4に示す油流路8eと異なる。以下では、実施形態1と同様の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
実施形態1では、ベーンスロット8bの吸入穴8aが近い側のシリンダ8の側面8iの上下端部の角縁部に,油流路8eが設けられている。
【0053】
図6に示す実施形態3は、実施形態1とは異なり,ベーンスロット8bの吸入穴8aが近い側の側面38iの上端部のみに,油流路38eが設けられている。
図1に示す密閉容器1内の圧力を利用して、密閉容器1内の圧力よりも低い圧力の圧縮機構部4の吸入室12側の摺動部へ差圧により給油する差圧給油路を形成している。
【0054】
実施形態3によれば、実施形態1と同様に、ローラ9とシリンダ38、ローラ9と上ラジアル軸受5、ローラ9と下ラジアル軸受6の各隙間部の良好なシール性,潤滑性を確保するために、適切な量の潤滑油50をシリンダ38内に供給することができる。また、冷凍サイクルに封入される冷媒量をできるだけ少なくすることができる密閉型ロータリ圧縮機Cおよびこれを用いた冷蔵庫を得ることができる。
【0055】
<<実施形態4>>
図7に、本発明の実施形態4に係るシリンダ48の
図3のII-II断面相当図を示す。
【0056】
図8に、実施形態4に係るベーン17の斜視図を示す。
実施形態4では,油流路7bの位置が,実施形態1の
図4に示す油流路8eと異なる。以下では、実施形態1と同様の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
実施形態1では,
図2に示すように、シリンダ8に油流路8eが設けられている。
これに対して、実施形態4では、
図7、
図8に示すように、ベーン17にベーン油流路17bが設けられている。ベーン17において,吸入室12に面する側の上下の角部は削られ、ベーン17の削られた上下の角部に、それぞれベーン油流路17bが構成されている。
【0057】
上側のベーン油流路7bはシリンダ48とベーン17と上ラジアル軸受5を壁面とした流路である。下側のベーン油流路7bはシリンダ48とベーン17と下ラジアル軸受6を壁面とした流路である。
【0058】
実施形態4によれば、実施形態1と同様に、ローラ9とシリンダ48、ローラ9と上ラジアル軸受5、ローラ9と下ラジアル軸受6の各隙間部の良好なシール性および潤滑性を確保するために適切な量の潤滑油50をシリンダ48内に供給することができる。また、冷凍サイクルに封入される冷媒量をできるだけ少なくすることができる密閉型ロータリ圧縮機Cおよびこれを用いた冷蔵庫を得ることができる。
【0059】
<<実施形態5>>
図9に、本発明の実施形態5に係るベーン27の斜視図を示す。
図7、
図8に示す実施形態4ではベーン17の角部にベーン油流路17bが設けられている。
これに対して,
図9に示す実施形態5では、吸入室12に面する側のベーン27の側面部27sに溝部27bが設けられている。溝部27bは、潤滑油50をシリンダ8内に供給するベーン油流路となっている。
【0060】
実施形態5によれば、実施形態1と同様に、ローラ9とシリンダ8、ローラ9と上ラジアル軸受5、ローラ9と下ラジアル軸受6の各隙間部の良好なシール性および潤滑性を確保するために適切な量の潤滑油50をシリンダ8内に供給することができる。
また、冷凍サイクルに封入される冷媒量をできるだけ少なくすることができる密閉型ロータリ圧縮機C及びこれを用いた冷蔵庫を得ることができる。
【0061】
<<実施形態6>>
図10に、本発明の実施形態6に係る密閉型ロータリ圧縮機Cを搭載した冷蔵庫Rの縦断面図を示す。
実施形態6では、本発明に係る実施形態1~5の密閉型ロータリ圧縮機Cを搭載した機器の一例である冷蔵庫Rについて説明する。
冷蔵庫Rは、庫内を外部空間から断熱するため、断熱箱体21と断熱箱体21を開閉するドア20とを有している。
【0062】
冷蔵庫Rに使用される圧縮機は、上述した実施形態1~5の密閉型ロータリ圧縮機Cが採用されている。
密閉型ロータリ圧縮機Cは、断熱箱体21と仕切部23で囲まれた領域であって、冷凍サイクル装置である冷蔵庫Rの下方側に設置されている。
冷蔵庫Rには、密閉型ロータリ圧縮機C、放熱パイプ等で構成された凝縮器、キャピラリーチューブや膨張弁で構成された膨張装置、冷却器22等で構成された蒸発器を繋ぐことで、R600a等の強燃性冷媒を用いた冷凍サイクルが形成されている。
【0063】
冷蔵庫Rは、貯蔵室の一例として冷蔵室24、上段冷凍室25、下段冷凍室26、野菜室28を有している。冷蔵庫Rの庫内空間は、密閉型ロータリ圧縮機Cの駆動により、冷凍サイクル(図示せず)が動作することで冷却される。
前記したように、家庭用の冷蔵庫には強燃性のイソブタンが使用されることが多いが、その使用量には厳しい制限(規制)がある。即ち、冷蔵庫1台あたりに封入できるイソブタンの使用量は100g以下に制限されている。このため、レシプロ式の圧縮機に比べ、一般的に冷媒封入量が多くなる密閉型ロータリ圧縮機の採用は困難であった。
【0064】
しかし、実施形態1~5(本発明)の密閉型ロータリ圧縮機(圧縮機)Cを採用することにより、前記したように、冷凍サイクルの冷媒封入量を低減できる。そのため、効率の良い実施形態1~5(本発明)の密閉型ロータリ圧縮機Cを家庭用の冷蔵庫Rに採用することが可能となる。
【0065】
なお、
図10では本発明に係る密閉型ロータリ圧縮機Cを搭載する機器として冷蔵庫Rを例にとり説明したが、実施形態1~5(本発明)の密閉型ロータリ圧縮機Cは冷蔵庫Rに限られず、空気調和機や冷凍冷蔵ショーケース等の種々の冷凍サイクル装置に適用できる。
【0066】
<<その他の実施形態>>
1.本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
更に、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
つまり、前記した実施形態の構成に限られることなく、添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 密閉容器
3 クランク軸
3a 偏心部
4 圧縮機構部
5 上ラジアル軸受
5s 上ラジアル軸受の下端面(上ラジアル軸受の端面)
6 下ラジアル軸受
6u 下ラジアル軸受の上端面(下ラジアル軸受の端面)
7、17、27 ベーン
7a スプリング
7b ベーン油流路(油流路)
8 シリンダ
8a 吸入穴
8b ベーンスロット
8c ベーン背後空間
8e 油流路
8R シリンダ室
9 ローラ
11 圧縮室(高圧側)
12 吸入室圧側(低圧側)
17b ベーン油流路(油流路)
20 吐出管
21 断熱箱体
22 冷却器(蒸発器)
27b 溝部(油流路)
27s 側面部(ベーンの低圧側の側面)
50 潤滑油
C 密閉型ロータリ圧縮機(圧縮機)
R 冷蔵庫