(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136795
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ルーバーの取付治具
(51)【国際特許分類】
E04F 10/08 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042684
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】591172799
【氏名又は名称】港製器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】里 貴和子
(72)【発明者】
【氏名】中野 孝男
(72)【発明者】
【氏名】金森 正彦
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105FF13
2E105GG05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外観の美観を損ねず着脱を容易に行えるのはもとより、躯体およびルーバーに対する取り付けの自由度が極めて高く、汎用性に優れたルーバーの取付治具を提供する。
【解決手段】躯体12に接合されるブラケット16と、そのブラケットの先端に垂設され、表面がルーバー材14の背面に接合されるフラットバー18とを備える。ブラケットの先端部は、肉厚に形成され、その表面には長手方向全体に亘って凹条溝16aが凹設される。凹条溝の奥行方向の途中には、溝幅が長手方向全体に亘って上下方向に拡大されて当該凹条溝に直交するスリット部16bが形成される。スリット部には、当該スリット部に挿嵌される長尺細板状の本体と、その本体の上記の凹条溝に対応する所定位置に螺設された1又は複数の雌ネジ孔とからなるフラットバー受け20が取り付けられる。フラットバー受けの雌ネジ孔にフラットバーが螺子止めされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体(12)の前面にルーバー材(14)を所定間隔で取り付けて形成されるルーバーの取付治具であって、
上記の躯体(12)に接合される略板状のブラケット(16)と、そのブラケット(16)の先端に垂設され、表面が上記ルーバー材(14)の背面に接合される短冊状のフラットバー(18)とを備え、
上記の躯体(12)に接合される略板状のブラケット(16)と、そのブラケット(16)の先端に垂設され、表面が上記ルーバー材(14)の背面に接合される短冊状のフラットバー(18)とを備え、
上記ブラケット(16)の先端部は、肉厚に形成され、その表面には長手方向全体に亘って凹条溝(16a)が凹設されると共に、その凹条溝(16a)の奥行方向の途中には、溝幅が長手方向全体に亘って上下方向に拡大されて当該凹条溝(16a)に直交するスリット部(16b)が形成され、
そのスリット部(16b)には、当該スリット部(16b)に挿嵌される長尺細板状の本体(20a)と、その本体(20a)の上記の凹条溝(16a)に対応する所定位置に螺設された1又は複数の雌ネジ孔(20b)とからなるフラットバー受け(20)が取り付けられ、
そのフラットバー受け(20)の雌ネジ孔(20b)にフラットバー(18)が螺子止めされる、ことを特徴とするルーバーの取付治具。
【請求項2】
請求項1のルーバーの取付治具において、
前記ブラケット(16)をアルミ押出形材で形成する、ことを特徴とするルーバーの取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば集合住宅や商業施設などの建築物の外観の装飾として採用されるルーバーの取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の取付治具には、従来では、下記の特許文献1(日本国・特開2021-123958号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
躯体に棒材を所定間隔で取り付けて形成される縦型ルーバーの取付治具であって、前記躯体に接合される第1板部と、前記棒材に接合される第2板部とを備える。前記第1板部は、前記躯体に面する第1板平面部を有し、前記第2板部の上下方向における略中間の高さ位置に前記第1板平面部を上方に向けて設けられる。また、前記第2板部は、前記棒材に面する第2板平面部を有し、前記棒材の幅と同等以下の幅であり、前記第1板平面部に対して前記第2板平面部を垂直にして設けられている。
【0003】
かかる技術によれば、取付場所に適した構造により外観の美観を損ねず着脱を容易に行えると共に、最適化した形状により、部材の点数及び成形や組み立ての工数を最少にできる縦型ルーバーの取付治具を提供することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術には次の問題がある。すなわち、躯体に接合される第1板部と、棒材に接合される第2板部とが溶接等で接合して成形、又は金型等で一体的に成型したT型状部材であるため、予め決められた態様でしか棒材の取り付けができず、例えば、第1部材を取り付ける躯体が斜めなどの場合には使用することができない、つまり、取り付けの自由度が乏しいという問題があった。
それゆえに、本発明の主たる課題は、外観の美観を損ねず着脱を容易に行えるのはもとより、躯体およびルーバーに対する取り付けの自由度が極めて高く、汎用性に優れたルーバーの取付治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するため、本発明は、例えば、
図1~3に示すように、躯体12の前面にルーバー材14を所定間隔で取り付けて形成されるルーバーの取付治具10を次のように構成した。
すなわち、上記の躯体12に接合される略板状のブラケット16と、そのブラケット16の先端に垂設され、表面が上記ルーバー材14の背面に接合される短冊状のフラットバー18とを備える。上記ブラケット16の先端部は、肉厚に形成され、その表面には長手方向全体に亘って凹条溝16aが凹設されると共に、その凹条溝16aの奥行方向の途中には、溝幅が長手方向全体に亘って上下方向に拡大されて当該凹条溝16aに直交するスリット部16bが形成される。また、そのスリット部16bには、当該スリット部16bに挿嵌される長尺細板状の本体20aと、その本体20aの上記の凹条溝16aに対応する所定位置に螺設された1又は複数の雌ネジ孔20bとからなるフラットバー受け20が取り付けられる。そして、そのフラットバー受け20の雌ネジ孔20bにフラットバー18が螺子止めされる。
【0007】
本発明では、ブラケット16のスリット部16bに挿嵌されたフラットバー受け20の雌ネジ孔20bにフラットバー18を螺子止めしているので、ブラケット16の平面とフラットバー18の軸線とが成す角を自由に調整することができ、躯体12のブラケット16取付面が傾斜している場合でもルーバー材14を垂設させることができる。
また、本体20aに設けられた雌ネジ孔20bの数及び位置が異なる複数種類のフラットバー受け20を準備しておけば、スリット部16bに挿嵌するフラットバー受け20を変えるだけで、1つの取付治具10で取り付けできるルーバー材14の本数や配置を変更することができる。
【0008】
本発明においては、前記ブラケット16をアルミ押出形材で形成するのが好ましい。ここで、「アルミ押出形材」とは、加熱されたアルミ合金をダイス金型を通して押し出すことにより形状が成形されたものを言う。
この場合、ブラケット16を効率的且つ経済的に製造できるのに加え、ブラケット16を格段に軽量化することができるので、クレーン等を使う事なく運ぶことや建物(躯体)内側に仮置きすることができる。また、足場などを建てることなく建物(躯体)の内側から所定の取付場所に取り付けることもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外観の美観を損ねず着脱を容易に行えるのはもとより、躯体およびルーバーに対する取り付けの自由度が極めて高く、汎用性に優れたルーバーの取付治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態のルーバーの取付治具における使用態様の要部を示す説明図である。
【
図2】本発明のルーバーの取付治具におけるフラットバー受けの一例を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態のルーバーの取付治具における使用態様を示す正面図であり、
図3Aは、躯体のブラケット取付面が水平の場合の取付治具の形状(下段)とルーバーの取付状態(上段)とを示し、
図3Bは、躯体のブラケット取付面が傾斜している場合の取付治具の形状(下段)とルーバーの取付状態(上段)とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態のルーバーの取付治具10における使用態様の要部を示す説明図である。この図が示すように、本実施形態のルーバーの取付治具10は、躯体12の前面にルーバー材14を所定間隔で取り付けてルーバーを形成するためのものであり、大略、ブラケット16とフラットバー18とを備える。
【0012】
ブラケット16は、躯体12の上面又は下面の何れか(図示実施形態では下面)の所定位置に接合される略板状の金属部材である。このブラケット16の先端側となる幅方向一端側の部分(先端部)は肉厚に形成され、その肉厚に形成された先端部の表面に、長手方向全体に亘って凹条溝16aが凹設される。また、この凹条溝16aの奥行方向の途中には、溝幅が長手方向全体に亘って上下方向に拡大されて当該凹条溝16aに直交するスリット部16bが形成される。そして、そのスリット部16bには、フラットバー受け20が取り付けられる。
【0013】
ここで、フラットバー受け20とは、フラットバー18をブラケット16の先端に垂設する際に使用される金属部材であり、スリット部16bに挿嵌される長尺細板状の本体20aを有する(
図2参照)。そして、この本体20aの凹条溝16aに対応する所定位置、より具体的には、この本体20aをスリット部16bに挿嵌した際に正面から凹条溝16aを介して視認できる位置に、1又は複数の雌ネジ孔20bが螺設されている。図示実施形態では、本体20aの長手方向にて互いに等しい距離を空けて7つの雌ネジ孔20bが設けられている(
図3参照)。
【0014】
ブラケット16における幅方向の中央部と後部には、複数の長孔16cが設けられており、この長孔16cに挿通されたアンカーボルト22によって、ブラケット16が躯体12の接合される(
図1参照)。
【0015】
また、ブラケット16の躯体接合面に対向する面及び左右の両側面には、金属やプラスチックなどの高強度・高耐久性の材料からなる水平面カバー24及び側面カバー26がそれぞれ必要に応じて装着される。
【0016】
以上のようなブラケット16を製造する際に、その原料となる金属の種類や製造方法について、特に限定されるものではないが、上述したように、このブラケット16をアルミ押出形材で形成するのが好適である。
【0017】
フラットバー18は、上述したブラケット16の先端に垂設され、表面が上記ルーバー材14の背面に接合される短冊状の金属板材であって、その幅はルーバー材14の幅と略同じか狭く形成されている。
【0018】
このフラットバー18の表面中央よりやや下の位置に、ボルト28(図示実施形態の場合は皿ボルト)の頭部が収容可能なボルト収容孔18aが穿設されている。このため、このボルト収容孔18aに挿通させて収容したボルト28を、フラットバー受け20の雌ネジ孔20bに螺着させることによって、このフラットバー18をブラケット16の先端に垂設させることができる。
【0019】
また、このフラットバー18の表面には、その幅方向中央であって長手方向の上下両端からそれぞれ等しい距離の位置に、上下一組の縦長の長孔18bが穿設されている。そして、この長孔18bに挿通させた固定ボルト30を各ルーバー材14の背面側に設けられたボルト取付部32に係合させることによって、フラットバー18の表面とルーバー材14の背面とが接合される。
【0020】
次に、以上のように構成されたルーバーの取付治具10を用いてルーバーを設置する際には、先ず始めにブラケット16が取り付けられる躯体12の形状の応じてブラケット16とフラットバー18との取付角度を調整する。例えば、
図3Aに示すように、躯体12のブラケット16取付面が水平の場合には、ブラケット16の平面とフラットバー18の軸線との成す角が直交するようにセットした後、アンカーボルト22を用いてブラケット16と躯体12とを接合する。一方、
図3Bに示すように、躯体12のブラケット16取付面が傾斜している場合には、ブラケット16の平面とフラットバー18の軸線との成す角を上記の傾斜に適合するようにセットした後、アンカーボルト22を用いてブラケット16と躯体12とを接合する。このようにブラケット16と躯体12とを接合した後は、必要に応じて、当該ブラケット16に水平面カバー24及び側面カバー26を取着する。
【0021】
そして、フラットバー18下側の長孔に固定ボルト30を通し、この固定ボルト30を下側のルーバー材14上端部のボルト取付部32に螺合させると共に、フラットバー18上側の長孔18bにも固定ボルト30を通し、この固定ボルト30を上側のルーバー材14下端部のボルト取付部32に螺合させることによって、取付治具10を介した躯体12へのルーバー材14の取り付けが完了する。
【0022】
本実施形態のルーバーの取付治具10によれば、ブラケット16のスリット部16bに挿嵌されたフラットバー受け20の雌ネジ孔20bにフラットバー18を螺子止めしているので、ブラケット16の平面とフラットバー18の軸線とが成す角を自由に調整することができ、躯体12のブラケット16取付面が傾斜している場合でもルーバー材14を垂設させることができる。
【0023】
また、本体20aに設けられた雌ネジ孔20bの数及び位置が異なる複数種類のフラットバー受け20を準備しておけば、スリット部16bに挿嵌するフラットバー受け20を変えるだけで、1つの取付治具10で取り付けできるルーバー材14の本数や配置を極めて簡単に変更することができる。
【0024】
なお、上述の実施形態では、ブラケット16を躯体12の下面に接合させる場合を示したが、必要に応じて、このブラケット16の躯体12の上面に接合させるようにしても良い。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
10:(ルーバーの)取付治具,12:躯体,14:ルーバー材,16:ブラケット,16a:凹条溝,16b:スリット部,18:フラットバー,20:フラットバー受け,20a:(フラットバー受けの) 本体,20b:雌ネジ孔.