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特開2023-136802情報処理方法、情報処理装置、及び情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136802
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20230922BHJP
【FI】
G06Q50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042697
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 浩二
(72)【発明者】
【氏名】問山 圭一
(72)【発明者】
【氏名】新宮 沙絵子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC24
(57)【要約】
【課題】完成品の品質を落とすことなく、ユーザの希望に沿うようにレシピ情報を変更する。
【解決手段】情報処理装置は、調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成し、複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得し、少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前のレシピ情報が示すレシピの前記完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定し、変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後のレシピ情報が示すレシピの完成品質が変更前のレシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下しないように変更前の前記レシピ情報に追加する調理工程を決定し、変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加されたレシピ情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置における情報処理方法であって、
調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成し、
前記複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得し、
前記少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定し、
前記変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質が前記変更前の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下しないように前記変更前の前記レシピ情報に追加する調理工程を決定し、
前記変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加された前記レシピ情報を出力する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの調理工程の直前の調理工程および直後の調理工程での食材の状態を比較し、
前記食材の状態が変化する場合、前記少なくとも1つの調理工程の変更が、前記完成品質を低下させる変更であると判定する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記判定では、各調理工程に対して予め設定された属性情報に基づいて、前記少なくとも1つの調理工程の変更が前記完成品質を低下させる変更であるか否かを判定する、
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記決定では、各調理工程に対して予め設定された追加するべき調理工程を示すルール情報に基づいて、追加する調理工程を決定する、
請求項1から3のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの調理工程は、前記レシピ情報の中で実施のタイミングが固定されている調理工程であるか否かを判定し、
前記少なくとも1つの調理工程が前記固定された調理工程であると判定した場合、前記レシピ情報の完成品に対する嗜好情報を取得し、
前記決定では、前記嗜好情報に基づいて、前記追加する調理工程を決定する、
請求項1から4のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項6】
さらに、変更後の前記レシピ情報に基づいて、前記変更後の前記レシピ情報を実施するための調理制御情報を生成し、
前記出力では、生成した前記調理制御情報を調理機器に出力する、
請求項1から5のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項7】
さらに、調理終了希望時間を受け付け、
前記決定では、前記調理終了希望時間内に調理が終了し、かつ前記完成品質を低下させないように、前記追加する調理工程を決定する、
請求項1から6のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記決定では、
前記レシピ情報が示す調理時間が、前記調理終了希望時間内に収まるか否かを判定し、
前記調理時間が前記調理終了希望時間内に収まると判定するまで、前記完成品質が低下しないように前記レシピ情報を修正し、
前記調理終了希望時間内に収まり、かつ前記完成品質を低下させないレシピ情報が得られた場合、前記レシピ情報の作成を終了する、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記レシピ情報は、1又は複数の調理工程を含む複数の親工程ブロックを含み、
前記タイミングが固定された調理工程は、自身が属している親工程ブロックとは別の親工程ブロックへの変更が禁止されている、
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記決定では、
前記変更要求がされた調理工程である変更対象工程が別の1の調理工程に置き換えると前記完成品質が低下する調理工程である場合、
前記変更対象工程を削除すると共にさらに別の1又は複数の調理工程を前記追加する調理工程として決定する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項11】
さらに、前記変更対象工程が別の1の調理工程に置き換え可能な調理工程である場合、前記変更対象工程を前記別の1の調理工程で置き換える、
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの調理工程の変更は、当該調理工程の、削除、置き替え、時間短縮、又は時間延長である、
請求項1から11のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項13】
調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成する作成部と、
前記複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得する取得部と、
前記少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定する判定部と、
前記変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後の前記レシピ情報の完成品質が前記変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下しないように前記変更前の前記レシピ情報に追加する調理工程を決定する変更部と、
前記変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加された前記レシピ情報を出力する出力部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータに、
調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成し、
前記複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得し、
前記少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定し、
前記変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後の前記レシピ情報の完成品質が前記変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下しないように前記変更前の前記レシピ情報に追加する理工程を決定し、
前記変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加された前記レシピ情報を出力する、処理を実行させる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の調理工程を含むレシピ情報を変更する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調理メニューに対応したタイムテーブルを作成してこれを実行する場合に、使用者の好みや状況あるいは調理時間や調理にかける手間の度合いなども考慮して柔軟に対応してタイムテーブルの作成および実行ができる調理支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-250510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1において、タイムテーブルは、各家電機器の使用状況および調理時間などに基づいて作成されているに過ぎない。そのため、ユーザがある調理工程を変更する指示した場合、調理メニューの質が低下しないようにタイムテーブルを修正することができない。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、ユーザがレシピ情報を構成する少なくとも1つの調理工程の変更を要求した場合、完成品の品質を落とすことなく、ユーザの希望に沿うようにレシピ情報を変更する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における情報処理方法は、情報処理装置における情報処理方法であって、調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成し、前記複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得し、前記少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定し、前記変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質が前記変更前の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下しないように前記変更前の前記レシピ情報に追加する調理工程を決定し、前記変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加された前記レシピ情報を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、完成品の品質を落とすことなく、ユーザの希望に沿うようにレシピ情報を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】実施の形態1における情報処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図3】レシピ情報の一例を示す図である。
図4】レシピデータベースのデータ構成の一例を示す図である。
図5】レシピ情報修正処理の詳細を示すフローチャートである。
図6】フラグの説明図である。
図7】第1処理の説明図である。
図8】第2処理の説明図である。
図9】タイミング固定フラグが設定された調理工程の説明図である。
図10】レシピ情報の編集の具体例を示す図である。
図11】レシピ情報の編集の具体例を示す図である。
図12】レシピ情報の編集の具体例を示す図である。
図13】レシピ情報の編集の具体例を示す図である。
図14】実施の形態2における情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図15】実施の形態2における処理の説明図である。
図16図15の続きの説明図である。
図17】実施の形態2の変形例の説明図である。
図18】実施の形態3における情報処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図19図18の続きのフローチャートである。
図20】具体例(1)の説明図である。
図21】具体例(2)の説明図である。
図22】具体例(3)の説明図である。
図23】具体例(4)の説明図である。
図24】具体例(5)の説明図である。
図25】具体例(6)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となる知見)
スマートフォン等の表示装置のディスプレイにレシピの調理工程を順次表示させ、表示された調理工程を閲覧しながら調理を行うユーザがいる。このようなユーザの中には、自身の希望に沿うようにある調理工程を削除する等して調理工程を変更する者もいる。
【0010】
この場合、ユーザの希望のみを考慮に入れてレシピを変更すると、変更後のレシピに従って調理された調理品の品質が変更前のレシピの品質に比べて低下する可能性がある。例えば、加熱工程を削除すると加熱が不十分な調理品になったり、アク取り工程を削除するとアクが出てきて美味しくない調理品になったりする可能性がある。これでは、せっかく作った料理が失敗に終わり、ユーザに不満を与えてしまう。
【0011】
特許文献1では、各家電機器の使用状況に合わせてタイムテーブルを作成すること、ユーザが不要な調理工程の削除を選択肢に基づいて選択できること、及び調理手順の進行に基づいて強火で焼いていたものを弱火にするように制御情報を変更すること、が開示されている。
【0012】
しかしながら、特許文献1では、制御情報やタイムテーブルを変更するに際して、調理品の品質を考慮する点が欠けているので、変更後のレシピの品質が変更前に比べて低下するとの課題を解決できない。
【0013】
本開示はこのような課題を解決するためになされたものである。
【0014】
本開示の一態様における情報処理方法は、情報処理装置における情報処理方法であって、調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成し、前記複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得し、前記少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定し、前記変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質が前記変更前の前記レシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下しないように前記変更前の前記レシピ情報に追加する調理工程を決定し、前記変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加された前記レシピ情報を出力する。
【0015】
この構成によれば、レシピ情報を構成する少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前のレシピ情報の完成品質に比べて低下させる変更であると判定された場合、変更前に比べてレシピ情報の完成品質が低下しないように変更後のレシピ情報に調理工程が追加される。そのため、ユーザがレシピ情報を構成する少なくとも1つの調理工程の変更を要求した場合、完成品の品質を落とすことなく、ユーザの希望に沿うようにレシピ情報を変更できる。
【0016】
上記情報処理方法において、前記少なくとも1つの調理工程の直前の調理工程および直後の調理工程での食材の状態を比較し、前記食材の状態が変化する場合、前記少なくとも1つの調理工程の変更が、前記完成品質を低下させる変更であると判定してもよい。
【0017】
この構成によれば、変更が要求された調理工程の直前の調理工程と直後の調理工程とにおいて食材の状態が変化した場合に調理品の完成品質が低下すると判定されるので、調理品の完成品質の低下を正確に判定できる。
【0018】
上記情報処理方法において、前記判定では、各調理工程に対して予め設定された属性情報に基づいて、前記少なくとも1つの調理工程の変更が前記完成品質を低下させる変更であるか否かを判定してもよい。
【0019】
この構成によれば、各調理工程に対して予め設定された属性情報が用いられているので、少なくとも1つの調理工程の変更が完成品質を低下させる変更であるか否かを容易に判定できる。
【0020】
上記情報処理方法において、前記決定では、各調理工程に対して予め設定された追加するべき調理工程を示すルール情報に基づいて、追加する調理工程を決定してもよい。
【0021】
この構成によれば、ルール情報を用いて追加する調理工程が決定されるので、追加する調理工程を容易に決定できる。
【0022】
上記情報処理方法において、前記少なくとも1つの調理工程は、前記レシピ情報の中で実施のタイミングが固定されている調理工程であるか否かを判定し、前記少なくとも1つの調理工程が前記固定された調理工程であると判定した場合、前記レシピ情報の完成品に対する嗜好情報を取得し、前記決定では、前記嗜好情報に基づいて、前記追加する調理工程を決定してもよい。
【0023】
レシピ情報の中には実施のタイミングをずらすと調理品の完成品質を大幅に低下させる調理工程がある。この構成によれば、実施のタイミングが固定の調理工程に対して変更要求がされた場合、嗜好情報を考慮に入れて追加する調理工程が決定されるので、変更後のレシピ情報における調理品の完成品質がユーザの嗜好とはかけ離れたものになることを防止できる。
【0024】
上記情報処理方法において、さらに、変更後の前記レシピ情報に基づいて、前記変更後の前記レシピ情報を実施するための調理制御情報を生成し、前記出力では、生成した前記調理制御情報を調理機器に出力してもよい。
【0025】
この構成によれば、変更後のレシピ情報の内容が調理制御情報に反映されるので、変更後のレシピ情報に従って調理器具を稼働させるために調理機器に必要な情報を入力するユーザの手間を省くことができる。
【0026】
上記情報処理方法において、さらに、調理終了希望時間を受け付け、前記決定では、前記調理終了希望時間内に調理が終了し、かつ前記完成品質を低下させないように、前記追加する調理工程を決定してもよい。
【0027】
この構成によれば、調理終了希望時間内に調理が終了するというユーザの要求を満たしつつ、調理品の完成品質を低下させないレシピ情報が得られる。
【0028】
上記情報処理方法において、前記決定では、前記レシピ情報が示す調理時間が、前記調理終了希望時間内に収まるか否かを判定し、前記調理時間が前記調理終了希望時間内に収まると判定するまで、前記完成品質が低下しないように前記レシピ情報を修正し、前記調理終了希望時間内に収まり、かつ前記完成品質を低下させないレシピ情報が得られた場合、前記レシピ情報の作成を終了してもよい。
【0029】
この構成によれば、試行錯誤を繰り返しながら調理終了希望時間内に調理が終了し、且つ調理品の完成品質を低下させないレシピ情報が得られるので、より適切なレシピ情報を得ることができる。
【0030】
上記情報処理方法において、前記レシピ情報は、1又は複数の調理工程を含む複数の親工程ブロックを含み、前記タイミングが固定された調理工程は、自身が属している親工程ブロックとは別の親工程ブロックへの変更が禁止されていてもよい。
【0031】
この構成によれば、料理を実現できなくなるような大幅な調理工程の変更を防止できる。
【0032】
上記情報処理方法において、前記決定では、前記変更要求がされた調理工程である変更対象工程が別の1の調理工程に置き換えると前記完成品質が低下する調理工程である場合、前記変更対象工程を削除すると共にさらに別の1又は複数の調理工程を前記追加する調理工程として決定してもよい。
【0033】
調理工程の中には別の1の調理工程に置き換えただけでは完成品質を維持できないものもある。本構成によれば、変更対象工程に対しては別の1又は複数の調理工程が追加されるので、完成品質の低下を防止できる。
【0034】
上記情報処理方法において、さらに、前記変更対象工程が別の1の調理工程に置き換え可能な調理工程である場合、前記変更対象工程を前記別の1の調理工程で置き換えてもよい。
【0035】
この構成によれば、調理工程の最小限の変更で完成品質の低下を防止できる。
【0036】
上記情報処理方法において、前記少なくとも1つの調理工程の変更は、当該調理工程の、削除、置き替え、時間短縮、又は時間延長であってもよい。
【0037】
この構成によれば、調理工程の、削除、置き替え、時間短縮、又は時間延長が変更要求として受け入れられるので、ユーザの要求に対して柔軟に対応できる。
【0038】
本開示の一態様における情報処理装置は、調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成する作成部と、前記複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得する取得部と、前記少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定する判定部と、前記変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後の前記レシピ情報の完成品質が前記変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下しないように前記変更前の前記レシピ情報に追加する調理工程を決定する変更部と、前記変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加された前記レシピ情報を出力する出力部と、を備える。
【0039】
この構成によれば、調理品の品質を落とすことなく、ユーザの希望に沿うようにレシピ情報を変更する情報処理装置を提供できる。
【0040】
本開示の一態様における情報処理プログラムは、コンピュータに、調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成し、前記複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得し、前記少なくとも1つの調理工程の変更が、変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定し、前記変更が前記完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後の前記レシピ情報の完成品質が前記変更前の前記レシピ情報の完成品質に比べて低下しないように前記変更前の前記レシピ情報に追加する理工程を決定し、前記変更前のレシピ情報に決定された調理工程が追加された前記レシピ情報を出力する、処理を実行させる。
【0041】
この構成によれば、調理品の品質を落とすことなく、ユーザの希望に沿うようにレシピ情報を変更する情報処理プログラムを提供できる。
【0042】
本開示は、このようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【0043】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における情報処理システム100の全体構成の一例を示す図である。情報処理システム100は、情報処理装置1及び端末2を含む。情報処理装置1及び端末2は、ネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークは例えば、インターネット及び携帯電話通信網等を含む広域通信網である。
【0045】
情報処理装置1は、例えば、1又は複数のコンピュータから構成される。情報処理装置1は、例えば、ネットワークに設けられたクラウドサーバである。端末2は、例えば、スマートフォン及びタブレット型コンピュータ等の携帯情報端末である。端末2は、ラップトップコンピュータであってもよい。このように、端末2は、ユーザが情報を入力する機能及びユーザに情報を閲覧させる機能、を有する装置であれば何でもよい。例えば、端末2は、オーブンレンジ等の調理機器に設けられた操作パネルであってもよい。
【0046】
次に、情報処理装置1の詳細な構成について説明する。情報処理装置1は、通信部11、プロセッサ12、及びメモリ13を含む。通信部11は、情報処理装置1をネットワークに接続させる通信回路である。通信部11は、端末2から後述の変更要求を受信する。通信部11は、端末2へ後述のレシピ情報を送信する。
【0047】
プロセッサ12は、作成部121、取得部122、判定部123、変更部124、及び出力部125を含む。作成部121~出力部125は、プロセッサ12が、コンピュータを情報処理装置1として機能させる情報処理プログラムを実行することで実現される。なお、作成部121~出力部125は、ASIC等の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。
【0048】
作成部121は、調理メニュー情報に基づいて複数の調理工程を含むレシピ情報を作成する。調理メニュー情報とは、ユーザが調理を希望する料理を特定するための情報であり、例えば、料理名等の料理ラベルである。調理メニュー情報は、ユーザが端末2を操作することで入力され、端末2から情報処理装置1に送信される。レシピ情報とは、調理メニュー情報が示す料理の調理手順を示す情報である。調理工程とは、焼く、煮る、切る等の調理手順の一工程を示す情報である。調理工程は、各調理工程の順序を示す情報、各調理工程の属性を示す属性情報を含む。レシピ情報は、各調理工程を説明するテキストデータ、静止画データ、及び動画データの少なくとも1つ含むガイダンス情報を含んでいてもよい。
【0049】
作成部121は、調理メニュー情報が示す料理のレシピ情報をレシピデータベース(DB)131から取得することによって、レシピ情報を作成する。
【0050】
取得部122は、上述の調理メニュー情報を取得する。取得部122は、複数の調理工程の少なくとも1つの調理工程の変更要求を取得する。変更要求は、ユーザが端末2を操作することで入力され、端末2から情報処理装置1に送信される。したがって、取得部122は、通信部11を介して変更要求を取得する。以下、変更要求が示す少なくとも1つの調理工程を「変更対象工程」と呼ぶ。
【0051】
判定部123は、変更対象工程の変更が、変更前のレシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下させる変更であるか否かを判定する。
【0052】
ここで、判定部123は、変更対象工程の直前の調理工程および直後の調理工程での食材の状態を比較し、食材の状態が変化する場合、変更対象工程の変更が、完成品質を低下させる変更であると判定すればよい。
【0053】
具体的には、判定部123は、各調理工程に対して予め設定された属性情報に基づいて、変更対象工程の変更が完成品質を低下させる変更であるか否かを判定する。すなわち、判定部123は、変更対象工程の属性情報が完成品質の低下を示す場合、変更対象工程の変更は完成品質を低下させる変更であると判定すればよい。一方、判定部123は、変更対象工程の属性情報が完成品質の低下を示さない場合、変更対象工程の変更は完成品質を低下させない変更であると判定すればよい。
【0054】
変更部124は、変更対象工程の変更が完成品質を低下させる変更であると判定した場合、変更後のレシピ情報が示すレシピの完成品質が変更前のレシピ情報が示すレシピの完成品質に比べて低下しないように変更前のレシピ情報に追加する調理工程を決定する。例えば、変更部124は、各調理工程に対して予め設定された追加するべき調理工程を示すルール情報132に基づいて、追加する調理工程を決定すればよい。
【0055】
出力部125は、変更部124により変更前の調理工程に決定された調理工程が追加されたレシピ情報を出力する。出力部125は、通信部11を用いて端末2にレシピ情報を送信すればよい。
【0056】
メモリ13は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成され、レシピデータベース131、及びルール情報132を記憶する。レシピデータベース131は、複数のレシピ情報を記憶する。ルール情報132は、後述する複数の編集指示のそれぞれについて、各調理工程を変更する際のルールを規定する情報である。
【0057】
端末2は、通信部、プロセッサ、ディスプレイ、及び操作部を含む。通信部は端末2をネットワークに接続させる通信回路である。プロセッサは、端末2の全体制御を司る。ディスプレイは、レシピ情報等の種々の情報を表示する。操作部は例えばタッチパネル、キーボード、マウス、等の入力装置である。
【0058】
次に、実施の形態1における情報処理装置1の処理を説明する。図2は、実施の形態1における情報処理装置1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
(ステップS1)
取得部122は、端末2から送信された調理メニュー情報を取得する。端末2は、調理メニュー情報の入力画面をディスプレイに表示し、この入力画面を用いてユーザが入力した料理名を調理メニュー情報として取得すればよい。或いは、端末2は、料理ラベルが一覧表示された入力画面をディスプレイに表示し、この入力画面においてユーザにより選択された料理ラベルを調理メニュー情報として取得してもよい。入力画面に表示される料理ラベルは、料理名であってもよいし、料理の写真であってもよい。
【0060】
(ステップS2)
作成部121は、ステップS1で取得されたメニュー情報に対応するレシピ情報をレシピデータベース131から取得する。図3は、レシピ情報の一例を示す図である。図3のレシピ情報は「カレー」のレシピ情報である。レシピ情報は、「野菜を切る」、「玉ねぎを炒める」、「肉を炒める」といった複数の調理工程301を含む。各調理工程301は調理順に配列されている。
【0061】
図4は、レシピデータベース131のデータ構成の一例を示す図である。レシピデータベース131は、「調理メニュー」及び「レシピ情報」のフィールドを備える。「調理メニュー」のフィールドには、「カレー」、「からあげ」などの料理名が記憶されている。「レシピ情報」のフィールドには、各調理メニューに対応するレシピ情報が記憶されている。例えば、ステップS1で取得されたメニュー情報が「カレー」の場合、作成部121は、カレーのレシピ情報をレシピデータベース131から取得する。
【0062】
レシピデータベース131は予めプリセットされたレシピ情報を記憶してもよいし、ユーザが後から追加したレシピ情報を記憶してもよい。
【0063】
作成部121は、レシピ情報の表示画面を端末2に表示させる表示データを作成する。作成部121は、この表示データを通信部11を介して端末2へ出力する。これにより、図3に示すように、各調理工程301を示すオブジェクトが調理順にしたがって配列されたレシピ情報の表示画面が端末2のディスプレイに表示される。これにより、ユーザは、希望する料理をどのように調理すれば良いのかを確認できる。
【0064】
(ステップS3)
取得部122は、レシピ情報の変更要求を端末2から取得する。端末2に表示されたレシピ情報の表示画面を見たユーザは、変更を加えたい調理工程を選択する操作を端末2に入力する。これにより、端末2から変更要求が情報処理装置1に出力され、取得部122は変更要求を取得できる。
【0065】
変更要求は、レシピ情報の編集指示を含む。編集指示は、例えば「削除」、「追加」、「置き替え」、「時間短縮」、及び「時間延長」である。「削除」は、変更対象工程をレシピ情報から削除する指示である。「追加」は、レシピ情報に対して別の調理工程を追加する指示である。この場合、追加される調理工程の直前又は直後の調理工程が変更対象工程となる。「置き替え」は、変更対象工程を別の調理工程に置き換えたり、レシピ情報内の2つの料理工程を入れ替えたりする変更する指示である。「時間短縮」は、変更対象工程に対して予め定められている調理時間を短縮する指示である。「時間延長」は、変更対象工程に対して予め定められている調理時間を延長する指示である。以下の説明では、変更要求に含まれる編集指示は「削除」であるものとして説明する。
【0066】
図3を参照する。このレシピ情報において、「アクを取る」の調理工程を削除する場合、ユーザはこのレシピ情報の表示画面に表示された調理工程「アクを取る」のオブジェクトを選択する操作を端末2に入力する。すると、端末2は、編集指示のメニュー画面をディスプレイに表示する。ユーザはこのメニュー画面から削除を選択する操作を入力する。これにより、調理工程「アクを取る」を削除する変更要求が端末2から情報処理装置1に出力される。端末2が携帯端末の場合、選択する操作は例えばタップである。端末2がラップトップコンピュータの場合、選択する操作は例えばクリックである。
【0067】
(ステップS4)
判定部123は、変更対象工程の変更(削除)が変更前に比べて完成品質を低下させるか否かを判定する。ここでは、判定部123は、変更対象工程の属性情報が「削除不可」の場合、完成品質を低下させると判定し(ステップS4でYES)、処理をステップS7に進める。一方、判定部123変更対象工程の属性情報が「削除可」の場合、完成品質を低下させないと判定し(ステップS4でNO)、処理をステップS5に進める。
【0068】
属性情報が「削除可」の調理工程は、例えば、「豆腐の水抜き」、「炒める前に具材をよくかき混ぜる」等である。
【0069】
属性情報が「削除不可」の調理工程は、例えば、「加熱」、「切断」、「アクを取る」、「味付け」、「不要なものを取り除く」等である。すなわち、属性情報が「削除不可」の調理工程は、削除すると、加熱されていない完成品が得られる、食材が切られていない完成品が得られる、味付けが不十分な完成品が得られるというように、完成品の品質の低下を招来する調理工程が該当する。
【0070】
(ステップS5)
変更部124は、変更対象工程を削除しても完成品質が低下しないので、レシピ情報から変更対象工程を削除することで、レシピ情報を変更する。
【0071】
(ステップS6)
出力部125は、変更後のレシピ情報を端末2へ出力する。
【0072】
(ステップS7)
変更部124は、変更対象工程を削除しただけでは、完成品質が低下するため、レシピ情報を修正するレシピ情報修正処理を実行する。
【0073】
図5は、図3のステップS7に示すレシピ情報修正処理の詳細を示すフローチャートである。
【0074】
(ステップS71)
変更部124は、変更対象工程に「タイミング固定フラグ」が設定されているか否かを判定する。ここで、調理工程に設定されるフラグについて説明する。図6はフラグの説明図である。フラグは、「タイミング固定フラグ」、「編集不可フラグ」、「置き換え可能フラグ」、及び「追加必要フラグ」を含む。
【0075】
図6において、太い破線で取り囲まれた調理工程は「タイミング固定フラグ」が設定された調理工程である。太線で取り囲まれた調理工程は「編集不可フラグ」が設定された調理工程である。細線で取り囲まれた調理工程は「置き換え可能フラグ」が設定された調理工程である。一点鎖線で取り囲まれた調理工程は「追加必要フラグ」が設定された調理工程である。
【0076】
「タイミング固定フラグ」は、順序を変えることができない調理工程に設定される。「編集不可フラグ」は、ユーザが編集できない調理工程に設定される。「タイミング固定フラグ」は、例えば、料理の種別がカレーであればカレーにおける様々なレシピ情報を参照し、どのレシピ情報においても同じタイミングで実施されている調理工程又は同じタイミングで実施されている割合が所定値以上の調理工程がある場合、その調理工程には「タイミング固定フラグ」が付される。
【0077】
例えば、編集不可フラグは、他の調理工程で置き換える、又は他の調理工程を追加するといった代替手段がない調理工程に設定される。「置き換え可能フラグ」は、削除して別の1の調理工程に置き換えるといった単純な置き換えが可能な調理工程に設定される。「追加必要フラグ」は、削除した場合、他の1又は複数の調理工程を追加または編集しなければ完成品質が低下する調理工程に設定される。
【0078】
図6では、カレーとからあげとのレシピ情報が示されている。カレーの場合、「肉炒める」の調理工程に「編集不可フラグ」が設定され、「火を止めてルーを溶かす」、「煮込む」の調理工程に「タイミング固定フラグ」が設定され、「野菜切る」、「玉ねぎ炒める」の調理工程に「置き換え可能フラグ」が設定され、「水いれて煮込む」、「アクを取る」の調理工程に「追加必要フラグ」が設定されている。
【0079】
変更部124は、変更対象工程に「タイミング固定フラグ」が設定されている場合(ステップS71でYES)、処理をステップS72に進め、変更対象工程に「タイミング固定フラグ」が設定されていない場合(ステップS71でNO)、処理をステップS73に進める。
【0080】
(ステップS72)
変更部124は第2処理を実行する。第2処理の詳細は後述する。第2処理が終了すると処理は、図2のステップS6に進む。
【0081】
(ステップS73)
変更部124は、変更対象工程に「編集不可フラグ」が設定されているか否かを判定する。「編集不可フラグ」が設定されている場合(ステップS73でYES)、処理は図2のステップS6に進み、「編集不可フラグ」が設定されていない場合(ステップS73でNO)、処理はステップS74に進む。
【0082】
(ステップS74)
変更部124は、変更対象工程に「置き換え可能フラグ」が設定されているか否かを判定する。「置き換え可能フラグ」が設定されている場合(ステップS74でYES)、処理はステップS75に進み、「置き換え可能フラグ」が設定されていない場合(ステップS74でNO)、処理はステップS76に進む。
【0083】
(ステップS75)
変更部124は、置き換え処理(第1処理)を実行する。置き換え処理の詳細は後述する。置き換え処理が終了すると、処理は図2のステップS6に進む。
【0084】
(ステップS76)
変更部124は、追加処理(第1処理)を実行する。追加処理の詳細は後述する。追加処理が終了すると、処理は図2のステップS6に進む。
【0085】
図7は、第1処理の説明図である。図7において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。第1処理は、置き換え処理及び追加処理を含む。まず、置き換え処理について説明する。図7ではカレーのレシピ情報が示されている。この例では、「野菜切る」の調理工程には「置き換え可能フラグ」が設定されている。また、ルール情報132は、「野菜切る」に対して「カット野菜」を置き換え可能な調理工程として規定する。そのため、変更部124は、「野菜切る」が変更対象工程の場合、ルール情報132を参照し、「野菜切る」を「カット野菜」に置き換える。「カット野菜」の調理工程は、予めカットさている野菜を準備する工程である。
【0086】
「玉ねぎ炒める」の調理工程には「置き換え可能フラグ」が設定され、ルール情報132には「玉ねぎ炒める」に対する置き換え可能な調理工程として「野菜レンジ」が規定されている。そのため、変更部124は、「玉ねぎ炒める」が変更対象工程の場合、「玉ねぎ炒める」を「野菜レンジ」に置き換える。なお、「野菜レンジ」とは野菜を電子レンジで調理する調理工程である。
【0087】
このように、置き換え処理は、変更対象工程を別の1の調理工程に置き換える処理である。
【0088】
次に追加処理について説明する。「水いれて煮込む」の調理工程には「追加必要フラグ」が設定されている。ルール情報132は、「水いれて煮込み」に対して「野菜レンジ」及び「野菜とコンソメいれる」を追加が必要な調理工程として規定する。そのため、変更部124は、「水いれて煮込む」が変更対象工程の場合、「水いれて煮込む」を削除して、「野菜レンジ」及び「野菜とコンソメいれる」を追加する。この処理は、変更対象工程を削除して別の1又は複数の調理工程をレシピ情報に追加する追加処理の一例である。
【0089】
「アクを取る」の調理工程にも「追加必要フラグ」が設定され、ルール情報132には「アクを取る」に対する追加必要な調理工程として「余分な脂を落とし一口大切る」が規定されている。ここでは、「余分な脂を落として一口大切る」は1番目の工程に追加することがルール情報132に規定されている。そのため、変更部124は、「アクを取る」が変更対象工程の場合、「アクを取る」を削除して、「余分な脂を落とし一口大切る」を1番目の調理工程に追加し、残りの調理工程を1つ繰り下げる。この処理は、変更対象工程を削除して別の1又は複数の調理工程をレシピ情報に追加する追加処理の一例である。このようにルール情報132は追加する調理工程をレシピ情報のどの順序に追加するかを示す情報を含む。
【0090】
次に、第2処理について説明する。図8は、第2処理の説明図である。図8において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。変更対象工程にタイミング固定フラグが設定されている場合、変更部124は、第2処理を実行する。第2処理において、変更部124は、レシピ情報の完成品に対するユーザの嗜好情報を取得し、嗜好情報に基づいて、追加する調理工程を決定する。嗜好情報は、例えば、普通味、しっかり味等の完成品に対するユーザの好みを示す情報である。情報処理装置1は、追加処理を実行する前に端末2に嗜好情報の入力画面を表示させ、この入力画面に嗜好情報を入力させる。この入力画面は例えば「普通味」と「しっかり味」との選択欄を備えている。そして、情報処理装置1は、入力された嗜好情報を端末2から情報処理装置1に送信させることで嗜好情報を取得すればよい。或いは、情報処理装置1は、端末2を用いてユーザが変更要求を入力する際にユーザに嗜好情報を入力させ、入力された嗜好情報を端末2から情報処理装置1に送信させることで嗜好情報を取得してもよい。或いは、過去に入力した嗜好情報及び過去に選択した調理メニューの履歴に基づいてユーザの嗜好を推定し、推定結果から生成した嗜好情報を取得してもよい。
【0091】
図8ではカレーのレシピ情報が示されている。この例では、「火を止めてルーを溶かす」及び「煮込む」の調理工程に「タイミング固定フラグ」が設定されている。これは、「火を止めてルーを溶かす」調理工程の前に「煮込む」の調理工程を実行すると、ルーが十分に溶けないからである。
【0092】
図8の例では、「水いれて煮込む」及び「煮込む」が変更対象工程として選択されている。図8の2段目は嗜好情報として普通味が選択された場合を示し、図8の3段目は嗜好情報としてしっかり味が選択された場合を示している。
【0093】
まず、普通味が選択された場合について説明する。「水いれて煮込む」には「追加必要フラグ」が設定されている。普通味が選択された場合において、ルール情報132には、「水いれて煮込む」の削除に対して、「野菜レンジ」及び「野菜とコンソメいれる」を追加し、「玉ねぎ炒める」を削除することが規定されている。そのため、変更部124は、ルール情報132を参照し、「水いれて煮込む」に代えて「野菜レンジ」と「野菜とコンソメいれる」とを追加し、「玉ねぎ炒める」を削除する。「煮込む」には「タイミング固定フラグ」が設定されている。普通味が選択された場合において、ルール情報132には、調理時間が30分の「煮込む」の削除に対して、調理時間が3分の「煮込む」の追加が規定されている。そのため、変更部124は、ルール情報132を参照し、調理時間が30分の「煮込む」に代えて調理時間が3分の「煮込む」を追加する。
【0094】
次に、しっかり味が選択された場合について説明する。しっかり味が選択された場合において、ルール情報132には、「水入れて煮込む」の削除に対して、「野菜レンジ」と「野菜とコンソメいれる」とを追加して「玉ねぎ炒める」を削除することが規定されている。また、しっかり味が選択された場合において、ルール情報132には、調理時間が30分の「煮込む」の削除に対して、調理時間が3分の「煮込む」と「冷やす」と調理時間が3分の「煮込む」とをこの順で追加することが規定されている。そのため、変更部124は、ルール情報132を参照し、「水入れて煮込む」に代えて「野菜レンジ」と「野菜とコンソメいれる」とを追加して「玉ねぎ炒める」を削除し、調理時間が30分の「煮込む」に代えて、調理時間が3分の「煮込む」と「冷やす」と調理時間が3分の「煮込む」とをこの順で追加する。
【0095】
次に、タイミング固定フラグが設定された調理工程について説明する。図9は、タイミング固定フラグが設定された調理工程の説明図である。図9はカレーのレシピ情報を示している。
【0096】
この例では、レシピ情報は複数の調理工程が複数の親工程ブロックに区画されている。親工程ブロックは1又は複数の調理工程を含み、調理工程の上位のブロックである。したがって、ある1の調理工程はいずれかの親工程ブロックに含まれている。ここでは、「準備工程」、「調理工程(i)」、「調理工程(ii)」、及び「仕上げ工程」の4つの親工程ブロックがある。
【0097】
「準備工程」は、最初に実施される親工程ブロックである。「調理工程(i)」は、「調理工程(ii)」に進む前に完了しておくべき親工程ブロックである。「調理工程(ii)」は、「調理工程(i)」が終わらないと開始できない親工程ブロックである。「仕上げ工程」は、調理工程(ii)が終わっていないと開始できない親工程ブロックである。
【0098】
これらの親工程ブロックがシーケンシャルに繋がってレシピ情報が構成される。親工程ブロック間で調理工程の順番を置き替えることは禁止されている。例えば、仕上げ工程の「煮込む」を「調理工程(ii)」以前の親工程ブロックに移動させることは禁止されている。
【0099】
親工程ブロック内での各調理工程の順番を入れ替えることは許可されている。例えば、「調理工程(ii)」において、「水いれて煮込む」と「アクを取る」とは置き替え可能である。一方、「仕上げ工程」においては、「火を止めてルー溶かす」、「煮込む」のそれぞれにタイミング固定フラグが設定されているので、これらの調理工程の順番を置き替えることはできない。これは、仕上げ工程において、ルーを溶かしながら煮込みを行うと、ルーがうまく溶けないからである。
【0100】
親工程の順番が、後ろの調理工程は、それより前の調理工程より先に開始することはできない。
【0101】
これらの制約条件を満たすようにルール情報132は作成されているしたがって、変更部124は、ルール情報132を用いてレシピ情報を変更することで、これらの制約を遵守できる。
【0102】
図10は、レシピ情報の編集の具体例を示す図である。図10において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。図10において、レシピ情報1001は編集前のレシピ情報を示している。レシピ情報1001は、しっかり味のカレーであり、7工程からなり、調理時間は90分である。
【0103】
レシピ情報1002は1段目のレシピ情報を「普通味」で編集することで得られたレシピ情報である。レシピ情報1001において「水いれて煮込む」A1と「アクを取る」A2と「煮込む」A3とが変更対象工程として選択され、嗜好情報として「普通味」が選択されている。「アクを取る」A2には「追加必要フラグ」が設定されているので、変更部124は、ルール情報132を参照し、「アクを取る」A2に代えて、アクを出さないために先頭に「余分な脂を落として一口大切る」B1を追加する。また、「水いれて煮込む」A1には「追加必要フラグ」が設定されているので、変更部124は、ルール情報132を参照し、「水入れて煮込む」A1に代えて、「野菜レンジ」B2及び「野菜とコンソメいれる」B3を追加し、「玉ねぎ炒める」A4を削除する。また、「煮込む」A3には「タイミング固定フラグ」が設定されているので、変更部124は、ルール情報132を参照し、調理時間が30分の「煮込む」A3に代えて調理時間が3分の「煮込む」B4を追加する。なお、括弧内の調理時間は、ユーザがキッチンで調理作業をしなければならない正味の調理時間を示す。
【0104】
レシピ情報1003は1段目のレシピ情報1001を「しっかり味」で編集することで得られたレシピ情報である。レシピ情報1001において、「水いれて煮込む」A1と「アクを取る」A2と「煮込む」A3とが変更対象工程として選択され、嗜好情報として「しっかり味」が選択されている。レシピ情報1003において、「水いれて煮込む」A1と「アクを取る」A2とについての変更はレシピ情報1002と同じである。レシピ情報1003では、調理時間が30分の「煮込む」A3に代えて、調理時間が3分の「煮込む」C1、「冷やす」C2、調理時間が3分の「煮込む」C3がこの順で追加されている。そのため、変更部124は、調理時間が30分の「煮込む」A3に代えて、調理時間が3分の「煮込む」C1、「冷やす」C2、及び調理時間が3分の「煮込む」C3をこの順で追加する。なお、括弧内の調理時間は、ユーザがキッチンで調理作業をしなければならない正味の調理時間を示す。
【0105】
図11は、レシピ情報の編集の具体例を示す図である。図11において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。レシピ情報1101は、嗜好情報が「しっかり味」「衣:ザクザク」のから揚げである。なお、から揚げの場合、嗜好情報は衣の状態も含む。レシピ情報1101は、調理時間は60分であり、10工程からなる。なお、括弧内の調理時間は、ユーザがキッチンで調理作業をしなければならない正味の調理時間を示す。
【0106】
レシピ情報1102は、レシピ情報1101において、「180℃をキープして揚げる」A1が変更対象工程として選択され、嗜好情報は「しっかり味」、「衣:ザクザク」が選択されている。すなわち、二度上げが削除されている。「180℃をキープして揚げる」A1にはタイミング固定フラグが設定されているので、第2処理が実行される。変更部124は、ルール情報132を参照し、「卵まとわせ片栗粉をまぶす」A2及び「もう一度、卵&片栗粉」A3に代えて、「片栗粉をまぶす」B1を追加し、「サラダ油180℃」A4に代えて「サラダ油190℃」B2、「180℃をキープして揚げる」B3を追加し、「170℃をキープして揚げる」A5、「サラダ油190℃」A7、及び「180℃をキープして揚げる」A1を削除する。
【0107】
図12は、レシピ情報の編集の具体例を示す図である。図12において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。レシピ情報1201は、レシピ情報1101と同じである。なお、括弧内の調理時間は、ユーザがキッチンで調理作業をしなければならない正味の調理時間を示す。
【0108】
レシピ情報1202は、レシピ情報1201において、「下味もみこみ」が変更対象工程として選択され、嗜好情報として「普通味」、「衣:ザクザク」、及び「触感優先」が選択されている。「下味もみこみ」A1には「置き換え可能フラグ」が設定されているので、置き換え処理が実行される。変更部124は、ルール情報132を参照し、「下味もみこみ」A1を「下味つける」B1に置き換える。さらに、変更部124は、「下味もみこみ」A1の削除により不要となった「水気を拭う」A2も削除している。これにより、調理時間に30分を要していた「下味もみこみ」A1が、調理時間が10分の「下味つける」B1になり、ザクザク感を出しつつ調理時間を短縮できる。
【0109】
図13は、レシピ情報の編集の具体例を示す図である。図13において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。レシピ情報1301はレシピ情報1101と同じである。なお、括弧内の調理時間は、ユーザがキッチンで調理作業をしなければならない正味の調理時間を示す。
【0110】
レシピ情報1302は、「下味もみこみ」A1、「180℃をキープして揚げる」A9が変更対象工程として選択され、嗜好情報として、「普通味」、「衣:ザクザク」が選択され、「触感優先」は選択されていない。「下味もみこみ」A1には「置き換え可能フラグ」が設定されている。そのため、変更部124は、ルール情報132を参照し、「下味もみこみ」A1を「片栗粉をまぶす」B1に置き換える。「180℃をキープして揚げる」A9には「タイミング固定フラグ」が設定されている。そのため、変更部124は、ルール情報132を参照し、「水気を拭う」A2、「卵まとわせ片栗粉をまぶす」A3、「もう一度、卵&片栗粉」A4、「サラダ油180℃」A5、「170℃をキープして揚げる」A6、「取り出して休める」A7、「サラダ油190℃」A8に代えて、「サラダ油190℃」B2、「180℃をキープして揚げる」B3、「取り出して休ませる」B4、「味付け」B5を追加する。最後に「味付けする」B5を追加するのは、「下味もみこみ」A1、「180℃をキープして揚げる」A2の削除に伴い、素揚げ状態になることを防止するためである。
【0111】
このように、実施の形態1によれば、変更対象工程の変更が、変更前のレシピ情報の完成品質に比べて低下させる変更であると判定された場合、変更前に比べてレシピ情報の完成品質が低下しないように変更後のレシピ情報に調理工程が追加される。そのため、ユーザがレシピ情報を構成する少なくとも1つの調理工程の変更を要求した場合、調理品の品質を落とすことなく、ユーザの希望に沿うようにレシピ情報を変更できる。
【0112】
(実施の形態1の変形例1)
ステップS3において、変更要求を受け付ける際、置き換え可能な調理工程をディスプレイに表示させて、置き換え可能な調理工程をユーザに提示してもよい。例えば、レシピ情報の表示画面において、「野菜切る」がユーザによりタップされると、情報処理装置1は、「カット野菜に置き換え可能です」とのメッセージを端末2に表示させてもよい。また、複数の置き換え可能な工程がある場合は、これらをリスト表示してユーザに選択させるようにしてもよい。
【0113】
(実施の形態1の変形例2)
各調理工程について、削除した場合に完成品質が低下するか否かの判定は、調理後におけるユーザからの完成品質に関する回答を集計することで決定されてもよい。例えば、情報処理装置1は、ユーザがある調理工程を削除したした場合に、調理後の完成品質の回答を端末2から取得する。そして、情報処理装置1は、当該調理工程に対する回答を集計し、完成品質が低下しないとの回答が所定%以上得られた場合、当該調理工程は削除可能として属性情報に反映させればよい。
【0114】
(実施の形態2)
実施の形態2は、変更後のレシピ情報を実施するための調理制御情報を調理機器に出力するものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省く。
【0115】
図14は、実施の形態2における情報処理システム100の全体構成の一例を示す図である。情報処理システム100は、さらに調理機器3を含む。調理機器3は、ネットワークと接続可能な調理機器である。調理機器3は、例えば、電子レンジ、炊飯器、自動調理器等である。
【0116】
実施の形態2において、変更部124は、変更要求がされると、変更の前後で完成品の品質が低下しないように、調理工程の追加または置き換え等を行ってレシピ情報を変更すると共に、変更されたレシピ情報が反映された調理制御情報を生成する。出力部125は、変更されたレシピ情報を端末2に送信すると共に、生成された調理制御情報を調理機器3に出力する。
【0117】
図15は、実施の形態2における処理の説明図である。レシピ情報1501は、カレーのレシピ情報である。レシピ情報1501は、複数の調理工程に対してブロック1502が対応付けられている。ブロック1502は、調理工程を調理機器に実行させるためのコンピュータプログラムである。ブロック1502は、調理工程の実行に必要な機器の動作情報と調理条件とを含む。動作情報は、例えば、「炒める」、「煮る」、「炊く」、「蒸す」等の調理機器3に調理工程を実行させるために必要な情報である。調理条件は、調理機器3に調理工程を実行するために必要となる条件である。例えば、調理条件は、動作情報が示す動作の条件である。例えば、調理条件は、動作情報「加熱」に対して「120℃で30分」、動作情報「蒸らす」に対して「10分」などである。
【0118】
図15において、「S」で始まる参照符号は図2のフローチャートに対応している。ステップS1において、取得部122は、調理メニュー情報としてカレーを取得する。ステップS2において、作成部121は、カレーのレシピ情報1501をレシピデータベース131から取得する。ここでは、例えば「玉ねぎを炒める」に対して「20分 玉ねぎを炒める ・電子レンジ ・鍋 ・IH」のブロック1502が対応付けられている。ここで、電子レンジ、鍋、及びIHの調理機器3の中のいずれか1つの調理機器が使用可能であることを示す。なお、食材のカットに対応するブロック1502には、「食材のカット ・まな板 ・包丁」と規定されている。これは、まな板と包丁とを使用することを示す。このようにして、調理工程には適宜ブロック1502が対応付けられている。「アク取り」、「ルーを溶かす」にはブロック1502は対応付けられていないのは、これらの調理工程では調理機器3が使用されないからである。
【0119】
図16は、図15の続きの説明図である。ステップS3において、取得部122は、最初の煮込むの調理工程1601を省く変更要求を取得する。ステップS4において、判定部123は、調理工程1601には「削除不可」の属性情報が設定されているので、ステップS4でYESと判定し、処理をステップS7に進める。
【0120】
ステップS7において、変更部124は、調理工程1601には「追加必要フラグ」が設定されているので、ルール情報132を参照して調理工程1601を他の調理工程を追加する。これにより、調理工程1601のブロック1502が削除される。ここで、ルール情報132には、調理工程1601の削除に対して、調理工程1602のブロック1502を変更することが規定されている。そのため、変更部124は、調理工程1602のブロック1502を変更する。また、ルール情報132には、調理工程1602のブロック1502について、「120℃30分」であった調理条件を「150℃で30分」と「120℃で30分」とに変更するよう規定されている。そのため、変更部124は、ルール情報132にしたがって調理工程1602のブロック1502の調理条件を変更する。このように、ルール情報132は、各調理工程について、調理条件を変更するためのルールも規定している。
【0121】
図17は、実施の形態2の変形例の説明図である。この変形例では、変更部124は、ルール情報132を用いずに、レシピ情報1501の中から変更対象工程に近似する調理工程を決定し、その調理工程のブロック1502が変更されている。
【0122】
変更対象工程である「煮込む」の調理工程1601は、加熱の属性を持っている。レシピ情報1501において、調理工程1601以外で加熱の属性を持つ調理工程は、「玉ねぎを炒める」、「肉を炒める」、最後の「煮込む」(調理工程1602)である。これらの中で、変更対象工程に最も近いのは、「煮込む」のラベルをもつ調理工程1602である。したがって、変更部124は、調理工程1602を調理工程1601に近似する調理工程として決定する。なお、変更部124は、属性が同じ調理工程が複数ある場合、調理工程のラベル及びブロックの内容等を考慮に入れて近似性を判定すればよい。
【0123】
このように、実施の形態2によれば、変更後のレシピ情報の内容が調理制御情報に反映されるので、変更後のレシピ情報に従って調理器具を稼働させるために調理機器3に必要な情報を入力するユーザの手間を省くことができる。
【0124】
(実施の形態3)
実施の形態3は、ユーザが希望する調理終了希望時間内に調理が終了するようにレシピ情報を変更するものである。なお、本実施の形態において実施の形態1、2と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態において、全体構成の説明は図1を用いる。
【0125】
図1を参照する。取得部122は、さらに調理終了希望時間を取得する。変更部124は、調理終了希望時間内に調理が終了し、かつ完成品質を低下させないように、追加する調理工程を決定する。
【0126】
図18は、実施の形態3における情報処理装置1の処理の一例を示すフローチャートである。なお、図18において、図2と同一の処理には同一の参照符号を付している。図18では、図2におけるステップS3の処理がステップS303に置き換えられている。また、ステップS5の後に図19に示すフローチャートが追加されている。以下、図2との相違点を中心に説明する。
【0127】
(ステップS303)
取得部122は、端末2から変更要求及び調理終了希望時間を取得する。調理終了希望時間とは、ユーザがレシピ情報に含まれる全ての調理工程をどの程度の時間をかけて実施したいかを示す時間である。端末2は、レシピ情報の表示画面において調理終了希望時間の入力欄を表示させる。ユーザはこの入力欄に調理終了希望時間を入力すると、端末2は、入力された調理終了希望時間を情報処理装置1に送信する。これにより、取得部122は端末2から調理終了希望時間を取得できる。
【0128】
図19は、図18の続きのフローチャートである。
【0129】
(ステップS310)
変更部124は、ステップS5又はステップS7で変更されたレシピ情報が調理終了希望時間内に終了するか否かを判定する。レシピ情報に含まれる各調理工程は予め調理時間が定められている。したがって、変更部124は、変更されたレシピ情報に含まれる各調理工程の調理時間の合計値を求め、その合計値が調理終了希望時間より大きければ、ステップS310でNOと判定し、その合計値が調理終了希望時間以下であれば、ステップS310でYESと判定する。ステップS310でNOと判定された場合、処理はステップS312に進み、ステップS310でYESと判定された場合、処理はステップS6に進む。
【0130】
(ステップS312)
変更部124は、レシピ情報の再修正処理を実行し、処理をステップS310に戻す。この場合、変更部124は、変更の前後で完成品質が低下しないように試行錯誤的にレシピ情報を修正する。
【0131】
例えば、レシピ情報に属性情報「削除可」の調理工程が含まれていれば、その調理工程を削除して、レシピ情報の再修正し、再修正されたレシピ情報においてステップS310の処理を実行する。この場合、属性情報「削除可」の調理工程が複数存在すれば、変更部124は、削除する「削除可」の調理工程の数を徐々に増やしながら、ステップS310の処理を実行すればよい。この処理を行ってもレシピ情報の合計値が調理終了希望時間より大きければ、変更部124は、「置き換え可能フラグ」が設定された調理工程について置き換えを試みる。この場合、変更部124は、ルール情報132において、置き換えることで調理時間が短くなる調理工程で置き換えればよい。これらの処理を行ってもレシピ情報の合計値が調理終了希望時間以下にならない場合、出力部125は、変更要求を受け付けることができない旨のメッセージを端末2に送信すればよい。
【0132】
このように、実施の形態3によれば、調理終了希望時間内に調理が終了するというユーザの要求を満たしつつ、調理品の完成品質を低下させないレシピ情報が得られる。
【0133】
以下、本開示の具体例について説明する。
【0134】
具体例(1)は、ステップS4でNOとなる場合の具体例である。図20は、具体例(1)の説明図である。図20では麻婆豆腐のレシピ情報2001が示されている。レシピ情報2001において、ユーザにより、「豆腐湯通し」の調理工程が変更対象工程として選択されたとする。「豆腐の湯通し」により、豆腐の状態は変化しない。つまり、豆腐は、切れて大きさが変わったり、火が通って加熱された状態になったりしない。したがって、「豆腐の湯通し」は「削除可」の属性情報が設定されている。そのため、ステップS4でNOと判定される。「豆腐湯通し」に対して時間延長または時間短縮の編集指示がされた場合も、ステップS4でNOと判定される。
【0135】
具体例(2)は、変更要求における編集指示が「追加」の場合の具体例である。図21は、具体例(2)の説明図である。レシピ情報2101はカレーのレシピ情報である。最終工程に「冷やす」を追加すると、冷たいカレーになってしまい、完成品質が低下する。そこで、変更部124は、最終工程に「冷やす」を追加する変更要求を受け付けた場合、レシピ情報2101をレシピ情報2102に変更する。
【0136】
レシピ情報2102では、「冷やす」の前後に「煮込む」が追加されている。この変更内容はルール情報132に予め規定されている。
【0137】
なお、変更部124は、「冷やす」の調理工程が追加されることによる完成品の温度予測値を算出し、温度予測値が所定値以下の場合、完成品質が低下すると判定し、レシピ情報2101をレシピ情報2102に変更してもよい。変更部124は、例えば、冷やすの調理時間に応じた温度の減少予測値を算出し、予め定められた完成品の想定温度からこの減少予測値を減じることで温度予測値を算出すればよい。
【0138】
具体例(3)は、変更要求における編集指示が「置き替え」の場合の具体例である。図22は、具体例(3)の説明図である。レシピ情報2201はレシピ情報2101と同じである。ユーザは、「野菜切る」を「カット野菜」に置き替える変更要求を入力している。ルール情報132は、各調理工程に対して置き替え可能な候補を事前に規定している。置き替え可能な候補となる調理工程は、置き替えても完成品の品質が低下しない調理工程である。この場合、ルール情報132において、「野菜を切る」の置き替え可能候補として「カット野菜」が規定されているので、変更部124はこの置き替えを受け入れる。一方、ユーザが入力した置き替え後の調理工程が、ルール情報132おいて、置き替え元の調理工程の置き替え可能候補として規定されていない場合、変更部124はこの変更要求を受け入れない。
【0139】
具体例(4)は、変更要求における編集指示が「時間短縮」の場合の具体例である。図23は、具体例(4)の説明図である。図23において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。レシピ情報2301は、レシピ情報2101と同じである。ユーザは、「煮込む」の調理時間を30分から3分に短縮する変更要求を入力している。ユーザの指示通りに「煮込む」の調理時間を短縮すると、煮込みが不十分なカレーができてしまい、完成品質が低下する。そこで、変更部124は、レシピ情報2301をレシピ情報2302に変更する。レシピ情報2302では、「煮込む30分」が「煮込む3分」に変更され、その後に「冷やす5分」、「煮込む3分」が追加されている。この変更内容は、ルール情報132に予め規定されている。
【0140】
なお、変更部124は、例えば、「煮込む」の調理時間の短縮による完成品の温度予測値を算出し、温度予測値が所定値以下の場合、完成品質が低下すると判定し、レシピ情報2301をレシピ情報2302に変更してもよい。変更部124は、例えば、「煮込む30分」の短縮時間(27分)に応じた完成品の温度の減少予測値を算出し、予め定められた完成品の想定温度からこの減少予測値を減じることで温度予測値を算出すればよい。
【0141】
或いは、変更部124は、変更後の調理時間が各調理工程に対して予め定められた適切時間(例えば、「煮込む」であれば5~40分)内であれば、ユーザの変更要求を受け付けてもよい。
【0142】
具体例(5)は、変更要求における編集指示が「時間延長」の場合の具体例である。図24は、具体例(5)の説明図である。図24において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。レシピ情報2401はレシピ情報2101と同じである。ユーザは、「玉ねぎ炒める20分」を「玉ねぎ炒める30分」に延長する変更要求を入力している。ユーザの指示通りに「玉ねぎ炒める」の調理時間を延長してしまうと、炒めすぎにより玉ねぎが焦げてしまい、完成品質が低下する。そこで、変更部124は、レシピ情報2401をレシピ情報2402に変更する。レシピ情報2402では、「玉ねぎ炒める30分」が「玉ねぎと肉を炒める30分」に置き換えられている。この変更内容は、ルール情報132に予め規定されている。
【0143】
なお、変更部124は、例えば、「玉ねぎ炒める」の調理時間の延長による完成品の温度予測値を算出し、温度予測値が所定値以上の場合、完成品質が低下すると判定し、レシピ情報2401をレシピ情報2402に変更してもよい。所定値は焦げることが想定される温度である。変更部124は、例えば、「玉ねぎ炒める20分の」の延長時間(10分)に応じた完成品の温度の上昇予測値を算出し、予め定められた「玉ねぎ炒める」の終了時の想定温度に上昇予測値を加算することで温度予測値を算出すればよい。
【0144】
或いは、変更部124は、変更後の調理時間が各調理工程に対して予め定められた適切時間(例えば、「玉ねぎ炒める」であれば20~25分)内であれば、ユーザの変更要求を受け付けてもよい。
【0145】
具体例(6)は、「玉ねぎ炒める」に対する調理工程の変更の具体例である。図25は、具体例(6)の説明図である。図25において、点線で示される調理工程は削除された調理工程であり、網掛けで示される調理工程は追加または置き換えられた調理工程である。「玉ねぎ炒める」に対する変更の具体例としては以下の3つが挙げられる。
【0146】
(i)変更要求における編集指示が「置き替え且つ時間短縮」の場合、変更部124は、「玉ねぎ炒める」を「市販の玉ねぎパック」に変更すればよい。
【0147】
(ii)変更要求における編集指示が「時間短縮」の場合、変更部124は、「玉ねぎ炒める」を「水を加えて玉ねぎを炒める」にすればよい。水を入れて炒めることで調理時間が短縮される。
【0148】
(iii)変更要求における編集指示が「時間延長」の場合、変更部124は、「玉ねぎ炒める」を「超弱火でかき混ぜながら炒める」に変更すればよい。これは、超弱火で玉ねぎをかき混ぜながら炒めると、完成品質が格段に向上するからである。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本開示は、調理を支援する技術分野において有用である。
【符号の説明】
【0150】
1 :情報処理装置
2 :端末
3 :調理機器
11 :通信部
12 :プロセッサ
13 :メモリ
100 :情報処理システム
121 :作成部
122 :取得部
123 :判定部
124 :変更部
125 :出力部
131 :レシピデータベース
132 :ルール情報
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