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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136804
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】バインドレスピン碍子
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/20 20060101AFI20230922BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20230922BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01B17/20 A
H02G7/00
H02G1/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042699
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】591085835
【氏名又は名称】沖縄電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【弁理士】
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】内間 安彦
【テーマコード(参考)】
5G331
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
5G331AA04
5G331BB32
5G331BC15
5G331DA03
5G352AD03
5G367BB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】巻付バインドを用いずに、ピン碍子の高圧線引き通し部に電線を容易に取り付け支持する高圧ピン碍子及び支持する方法を提供する。
【解決手段】水平状態の電線4を挿入する直線状の電線挿入溝6をピン碍子の上面中央に形成して有り、中心に立てた取り付けボルトを有するバインドレスピン碍子2でであって、挿入溝に電線を挿入した状態で碍子を約90度左又は右向きに自転させると、それ以上の自転を阻止するストッパー壁と電線が上に抜けるのを阻止する天井壁を有する左右1対の逆向きの鍵状部を形成した。そして、碍子の自転で固定溝に電線が入り下降して安定する凹円弧状の溝底を有している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平状態の電線を挿入する直線状の電線挿入溝をバインドレスピン碍子の上面中央に形成して有り、中心に立てた取り付けボルトを有するバインドレスピン碍子において、前記挿入溝に電線は挿入した状態で前記碍子を所定角度左又は右向きに自転させると、それ以上の自転を阻止するストッパー壁と電線が上に抜けるのを阻止する天井壁を有する左右1対の逆向きの鍵状部を有し、碍子の自転で凹円弧状の溝底を有する固定溝に電線が入り下降して安定する構成としたバインドレスピン碍子。
【請求項2】
前記所定角度は約90度であり、かつ前記ストッパー壁と反対側に有る開口を塞ぐ邪魔部材を挿入して成る請求項1に記載のバインドレスピン碍子。
【請求項3】
中心に立てた取り付けボルトを有するバインドレスピン碍子に電線を取り付け支持するため、直線状の電線挿入溝をピン碍子の上面中央に形成した電線挿入溝に電線を挿入した後に、前記碍子を所定角度左又は右向きに自転させた際に、それ以上の自転を阻止するストッパー壁と電線が上に抜けるのを阻止する天井壁を有する左右1対の逆向きの鍵状部で自転の阻止と電線の上向き抜けを阻止し、さらに碍子の自転で凹円弧状の溝底を有する固定溝に電線が入って下降して安定することを特徴とするバインドレスピン碍子へ電線を取り付け支持する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻付バインドを用いずに、ピン碍子の高圧線引き通し部に電線を容易に取り付け支持できる高圧ピン碍子に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧線の引き通し部を有するピン碍子に、高圧電線をバインドで巻き付け固定するが、作業が面倒であり、巻付バインドが劣化して切れた場合には、高圧電線が碍子から外れて腕金等に接触すると地絡事故が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-190751号公報
【特許文献2】特開2010-176975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、巻付バインドを用いることなく電線を確実に支持することが可能な高圧用バインドレスピン碍子を提供することが課題で、図2のように上部碍子10と、上面の中央部に凹部12aを有する下部碍子12と、凹部12aの中央に立設するボルト14と、上部碍子10の下面の中央部に配置されるナット16とを備え、下部碍子12は、径方向に延びるU字状の切欠部12bを有し、ボルト14は、切欠部12bを径方向に沿って視認した場合に切欠部12bと一致するU字状の溝部14aを有し、切欠部12bに遊嵌する抑え部材18を更に備え、切欠部12bに電線100を嵌挿した後に、切欠部12bに抑え部材18を遊嵌し、ボルト14とナット16とを螺合させて上部碍子10と下部碍子12とを一体化させた際に、ナット16の下方の移動に連動して抑え部材18が下方に移動し、切欠部12bの底部と抑え部材18との間に電線100を挟持させる構成である。
【0005】
特許文献2は、電力線や通信線などの配電線を電柱上に設けられた碍子にバインド線を使用することなく係留するためのバインドレスキャップに関するものであり、バインドレスキャップの耐久性、信頼性を向上させることが課題で、図1のように一対の半裁クランプ1を上端部にて互いに軸支し、該半裁クランプの下部外側面に対設した張出部5a,5bに両半裁クランプを閉じたとき互いに合致する係合突起10と係合孔11を形成し、両半裁クランプを閉じることにより配電線14を挟着すると同時に碍子12を挟着するバインドレスキャップであって、係合突起10は両側面に鈎状係合部10a,10bを突設することで平面視矢印形に形成してなると共に、係合突起10の先端縁から下側縁にわたって切欠することで両半裁クランプを閉じる際に係合孔11の下縁部が該係合突起の先端縁に当接することなく該鈎状係合部10a,10bが該係合孔の両側縁11a,11bに押圧され、該鈎状係合部が該係合孔内にて復元することで該係合突起を該係合孔に係合させる。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のような構成は、バインドで巻き付け支持する問題は解消されるが、全体的に構造が複雑となり、部品点数も増える。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、簡潔な構造で部品点数も少ない。しかも簡単な作業で迅速にピン碍子に電線を取り付け支持できる構成と方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は、次のような手段によって解決される。請求項1は、水平状態の電線を挿入する直線状の電線挿入溝をピン碍子の上面中央に形成して有り、中心に立てた取り付けボルトを有するバインドレスピン碍子において、前記挿入溝に電線は挿入した状態で前記碍子を所定角度例えば約90度左又は右向きに自転させると、それ以上の自転を阻止するストッパー壁と電線が上に抜けるのを阻止する天井壁を有する左右1対の逆向きの鍵状部を有し、碍子の自転で固定溝に電線が入り下降して安定する凹円弧状の溝底を有する構成としたバインドレスピン碍子である。
【0008】
請求項2は、前記所定角度は約90度であり、かつ前記ストッパー壁と反対側の開口を塞ぐ邪魔部材を挿入して成る請求項1に記載のバインドレスピン碍子である。
【0009】
請求項3は、中心に立てた取り付けボルトを有するバインドレスピン碍子に電線を取り付け支持するため、直線状の電線挿入溝をピン碍子の上面中央に形成した電線挿入溝に電線を挿入した後に、前記碍子を所定角度例えば約90度左又は右向きに自転させた際に、それ以上の自転を阻止するストッパー壁と電線が上に抜けるのを阻止する天井壁を有する左右1対の逆向きの鍵状部で自転の阻止と電線の上向き抜けを阻止し、さらに碍子の自転で凹円弧状の溝底に電線が入って下降して安定することを特徴とするバインドレスピン碍子へ電線を取り付け支持する方法である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のように、水平状態の電線を挿入する直線状の電線挿入溝をピン碍子の上面中央に形成して有り、中心に立てた取り付けボルトを有するバインドレスピン碍子において、前記電線挿入溝に電線を挿入した状態で前記碍子を約90度左又は右向きに自転させると、それ以上の自転を阻止するストッパー壁と電線が上に抜けるのを阻止する天井壁を有する左右1対の逆向きの鍵状部を有し、碍子の自転で固定溝に電線が入り下降して安定するので、溝底を凹円弧状とすることで水平の電線が安定する。また、それ以上の自転移動できないようなストッパー壁と相まって、電線が上に抜ける恐れは無い。従ってバインド線で電線を碍子に巻き付け支持する操作が解消される。加えて、構成が極めて簡素化され、部品点数も削減されている。
【0011】
請求項2のように、所定角度は約90度で、前記ストッパー壁と反対側の開口を塞ぐ邪魔部材を挿入して成るので、折角入れた電線が緩んで抜けたりずれたりして不安定となる恐れは無い。
【0012】
請求項3のように、中心に立てた取り付けボルトを有するバインドレスピン碍子に電線を取り付け支持するため、直線状の電線挿入溝をピン碍子の上面中央に形成した電線挿入溝に電線を挿入した後に、前記碍子を所定角度例えば約90度約90度左又は右向きに自転させた際に、それ以上の自転を阻止するストッパー壁と電線が上に抜けるのを阻止する天井壁を有する左右1対の逆向きの鍵状部で自転の阻止と電線の上向き抜けを阻止するので、バインドレスピン碍子を自転させるだけで、電線の取り付け支持が可能となり、しかも操作は簡単である。さらに碍子の自転で凹円弧状の溝底に電線が入って下降して安定するので、バインドレスピン碍子が逆転したり、台風や地震で電線が外れたりする恐れは無い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】バンドレスピン碍子の鍵状部を開口側から見た側面図である。
図2図1 のバンドレスピン碍子を右側面から見た側面図である。
図3】バンドレスピン碍子を上側面から見た平面図である。
図4】バインドレスピン碍子の挿入溝に電線を入れて上側面から見た斜視図である。
図5図4のバインドレスピン碍子を約90度右向きに自転させる途中の状態を側面から見た側面図である。
図6図4のバインドレスピン碍子を約90度右向きに自転させて上側面から見た斜視図である。
図7図6のバンドレスピン碍子を右側面から見た側面図である。
図8】従来のバインド式でピン碍子に電線を取り着けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図8は従来のバインド式にピン碍子に電線を取り着けた斜視図であり、腕金1に碍子21を中心に立てたボルト3で固定し、碍子21に添わした電線4を巻付バインド5を巻いて固定している。しかし、このように電線4を巻付バインド5で巻き付けてピン碍子に固定する構造は、操作が面倒なだけでなく、巻付バインドが劣化して切れた場合には、高圧電線が碍子から外れて腕金等に接触すると地絡事故が発生する。
【0015】
これに対し、先行技術1,2の技術は何れも全体的に構造が複雑となり、部品点数も多い。
図1乃至図7は本発明によるバインドレスピン碍子2が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図4は、本発明によるバインドレスピン碍子2の上側面から見た斜視図であり、挿入溝6に水平に電線4を挿入してから約90度右向きに自転させると、図2のように上面に天井が現われ、電線4が上方に抜けるのを阻止する。すなわち、電線4を挿入してからバインドレスピン碍子2を約90度右向きに自転させると、図6のように最終的には電線4と挿入溝6が直交する状態となる。
バインドレスピン碍子2を約90度自転させる途中の状態を図示して側面を見ると、図5のようになる。更に自転させて固定溝61に電線4が嵌入した状態を真横から見ると、図7の状態となる。
【0016】
電線4を省いて図示すると図1から図3のように成る。電線4を挿入する挿入溝6を真横から見ると図1のように成る。挿入溝6の片側の鍵穴7の開口が見える。この鍵穴7の形状が分かり易いように、側面から見ると図2のように成り、固定溝61に電線4が嵌入し安定すると、前記図7のように成る。
【0017】
以上のように、碍子上面に設けた挿入溝6に水平の電線4を挿入した状態で、本発明のバインドレスピン碍子2を約90度自転させて前記電線4を左右の鍵穴7の開口から進入させ、固定溝61に嵌入すると、前記図6のように安定する。これで十分であるが、両方の鍵穴7の開口に弾性の邪魔部材を圧入して塞ぐと、折角入れた電線4が抜けたり位置づれする恐れが無い。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように本発明によれば、バインドレスでありながら、ピン碍子2全体の構成が簡潔で部品点数も少なく、作業も簡単で迅速であるから、従来の構成に比較して利点が多い。巻付バインドが碍子から外れることに起因する地絡事故も低減される。
【符号の説明】
【0019】
1 腕金
2 バインドレスピン碍子
21 ピン碍子
3 ボルト
4 電線
5 巻付バインド
6 挿入溝
61 固定溝
7 鍵穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8