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特開2023-136811磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法及び調整装置と磁気ディスク装置
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  • 特開-磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法及び調整装置と磁気ディスク装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136811
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法及び調整装置と磁気ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 20/10 20060101AFI20230922BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20230922BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20230922BHJP
   G11B 20/18 20060101ALI20230922BHJP
   G06F 3/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G11B20/10 301Z
G11B5/09 341
G11B5/09 321A
G11B5/09 321Z
G11B5/02 Y
G11B5/02 Q
G11B5/09 311Z
G11B20/18 572F
G11B20/18 572B
G11B20/18 520E
G11B20/18 522Z
G06F3/06 304R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042712
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】大竹 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】須藤 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆一
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044BC01
5D044CC04
5D044FG30
5D044GK20
5D044GL10
(57)【要約】
【課題】限られた試験時間内のなかで、複数の要求規格をバランス良く満たし、かつ調整時間を短縮すること。
【解決手段】実施形態に係る、磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法は、試験用の磁気ディスク装置の種々のヘッド毎に容量/特性を決める複数の読み出し・書き込みに関するパラメータの条件を振って特性を測定し、ヘッド毎に特性の測定結果を登録したデータベースを作成する事前登録処理を行い、調整対象の磁気ディスク装置の調整処理について、ヘッド毎に前記パラメータの条件を振って特性を測定し、前記ヘッド毎のデータベースから似た特性のヘッドのデータベースを探索し、見つかったデータベースの特性に基づいて、ニューラルネットワークコンピュータの推定により、容量/特性について総当たり条件の中から適正なバランスでの設定を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験用の磁気ディスク装置の種々のヘッド毎に容量/特性を決める複数の読み出し・書き込みに関するパラメータの条件を振って特性を測定し、ヘッド毎に特性の測定結果を登録したデータベースを作成する事前登録処理を行い、
調整対象の磁気ディスク装置の調整処理について、ヘッド毎に前記パラメータの条件を振って特性を測定し、前記ヘッド毎のデータベースから似た特性のヘッドのデータベースを探索し、見つかったデータベースの特性に基づいて、ニューラルネットワークコンピュータの推定により、容量/特性について総当たり条件の中から適正なバランスでの設定を行う
磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法。
【請求項2】
前記事前登録処理は、前記特性を多数測定し、前記調整処理は、前記特性を少数測定する請求項1記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークコンピュータは、調整値の入力層と、第1中間層と、第2中間層と、特性値の出力層を持ち、入力数と出力数を任意に設定可能とする請求項1記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法。
【請求項4】
前記事前登録処理は、前記データベースの登録情報の変形を許容し、前記調整処理は、前記登録情報を変形したデータベースからの探索を含む請求項1記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法。
【請求項5】
前記調整処理は、前記パラメータの調整の実行を示す調整ログを前記調整対象の磁気ディスク装置の内部メモリに記憶する請求項1記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法。
【請求項6】
磁気ディスク装置と、
前記磁気ディスク装置を複数台収容する収容装置と、
事前登録処理では、前記収容装置を通じて試験用に用意される前記磁気ディスク装置の種々のヘッド毎に容量/特性を決める複数の読み出し・書き込みに関するパラメータの条件を振って特性を測定し、ヘッド毎に特性の測定結果を登録したデータベースを作成し、調整処理では、前記収容装置を通じて調整対象として用意される前記磁気ディスク装置のヘッド毎に前記パラメータの条件を振って特性を測定し、前記ヘッド毎のデータベースから似た特性のヘッドのデータベースを探索し、見つかったデータベースの特性に基づいて、ニューラルネットワーク推定により、容量/特性について総当たり条件の中から適正なバランスでの設定を行う情報処理装置と
を具備する磁気ディスク装置のRWパラメータ調整装置。
【請求項7】
前記事前登録処理は、前記特性を多数測定し、前記調整処理は、前記特性を少数測定する請求項6記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、ニューラルネットワークコンピュータであり、調整値の入力層と、第1中間層と、第2中間層と、特性値の出力層を持ち、入力数と出力数を任意に設定可能とする請求項6記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整装置。
【請求項9】
前記事前登録処理は、前記データベースの登録情報の変形を許容し、前記調整処理は、前記登録情報を変形したデータベースからの探索を含む請求項6記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整装置。
【請求項10】
前記調整処理は、前記パラメータの調整の実行を示す調整ログを前記調整対象の磁気ディスク装置の内部メモリに記憶する請求項6記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、内部に前記データベースを格納する記憶部を備える請求項6記載の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整装置。
【請求項12】
試験用の磁気ディスク装置の種々のヘッド毎に容量/特性を決める複数の読み出し・書き込みに関するパラメータの条件を振って特性を測定し、ヘッド毎に特性の測定結果を登録したデータベースを作成する事前登録処理を行い、調整対象の磁気ディスク装置の調整処理について、ヘッド毎に前記パラメータの条件を振って特性を測定し、前記ヘッド毎のデータベースから似た特性のヘッドのデータベースを探索し、見つかったデータベースの特性に基づいて、ニューラルネットワークコンピュータの推定により、容量/特性について総当たり条件の中から適正なバランスでの設定を行うRWパラメータ調整装置に前記調整対象として接続され、
内部メモリを備え、前記内部メモリに前記調整処理によって前記パラメータの調整が実行されたことを示す調整ログを記録する磁気ディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法及び調整装置と磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置(以下、HDD:Hard Disk Drive)は、大容量化の実現に際して、最適なTPI(Track per Inch:一インチ当たりのトラック数)/BPI(Bit per Inch:一インチ当たりのビット数)/Iw(Writer Current:記録電流)/OSA(Over shoot Amplifier:オーバーシュート振幅)等のRW(Read Wright:読み出し・書き込み)パラメータの調整が必要とされる。特に、ヘッド・メディアの組み合わせに際して、個々に、種々の要求規格を満たし、限られた試験時間の中で調整することが求められる。
【0003】
従来のRWパラメータ調整では、BPI/TPI/Iw/OSAをシリアルに決定していく仕組みであるため、種々の要求規格をバランスよく満たすことは難しく、また、調整に時間がかかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0294281号明細書
【特許文献2】特開2021-081793号公報
【特許文献3】米国特許第10699193号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法では、BPI/TPI/Iw/OSA等のRWパラメータに対する要求規格をシリアルに決定していく仕組みであるため、種々の要求規格をバランスよく満たすことは難しく、また、調整に時間がかかるという課題がある。
【0006】
実施形態は、限られた試験時間内のなかで、複数の要求規格をバランス良く満たし、かつ調整時間を短縮することのできる磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法及び調整装置と磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る、磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法は、試験用の磁気ディスク装置の種々のヘッド毎に容量/特性を決める複数の読み出し・書き込みに関するパラメータの条件を振って特性を測定し、ヘッド毎に特性の測定結果を登録したデータベースを作成する事前登録処理を行い、調整対象の磁気ディスク装置の調整処理について、ヘッド毎に前記パラメータの条件を振って特性を測定し、前記ヘッド毎のデータベースから似た特性のヘッドのデータベースを探索し、見つかったデータベースの特性に基づいて、ニューラルネットワークコンピュータの推定により、容量/特性について総当たり条件の中から適正なバランスでの設定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法によるRWパラメータ調整装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すRWパラメータ調整装置に適用されるRWパラメータ調整方法を示すフローチャートである。
図3図3は、図1に示すRWパラメータ調整装置のニューラルネットワークPCの利用例を示す概念図である。
図4図4は、同実施形態に係るRWパラメータ調整方法で調整される磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は同実施形態に係る調整方法でRWパラメータ調整された磁気ディスク装置のエラーレート最適化例を示す図である。
図6図6は、同実施形態に係る調整方法でRWパラメータ調整された磁気ディスク装置の正確度最適化例を示す図である。
図7図7は、同実施形態に係る調整方法でRWパラメータ調整された磁気ディスク装置のTPIM最適化例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0010】
まず、従来の磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法では、所望のO/W(Over/Write)特性を得るよう駆動電流Iwを仮決定し、次に、所望のエラーレートを満たすOSAを仮決定した後、所望特性を満たすTPI/BPIを決定する。このため、TPI/BPIを調整し、再度OSAを調整し、それを数度繰り返して、TPI/BPI/Iw/OSAが決定される。
【0011】
上記の従来方式では、所望の容量/特性を満たすように調整されるが、シリアルな調整のため、ばらつきが生じ、また、TPI/BPI/Iw/OSAを振った測定回数も多く必要とされる。
【0012】
そこで、本実施形態に係るRWパラメータ調整では、予め、試験用の磁気ディスク装置の種々のヘッド毎に複数の読み出し・書き込みに関するTPI/BPI/Iw/OSA等のパラメータの条件を振って特性を測定し、ヘッド毎に特性を測定したデータベースを作成する事前登録処理を行い、データベースから似た特性のヘッドを探索し、見つかったデータベースの特性に基づいて、ニューラルネットワークコンピュータによる推定により、容量/特性について総当たり条件の中から適正なバランスでの設定を行うことで、従来の問題点を解決する。
【0013】
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置のRWパラメータ調整方法によるRWパラメータ調整装置の構成を示すブロック図である。図1において、100はニューラルネットワークコンピュータ(以下、ニューラルネットワークPC)、200はホストコンピュータ(以下、ホストPC)、300はマシンインターフェース(以下、マシンIF)である。マシンIF300にはn台の磁気ディスク装置(以下、HDD)400-1~400-nが収容される。
【0014】
上記ニューラルネットワークPC100は、ヘッド毎の特性を示すデータベースを格納するデータベース格納部101を備え、その処理動作は、登録処理と調整処理に大別される。
【0015】
図2は上記ニューラルネットワークPC100の処理動作を示すフローチャートで、(a)は登録処理、(b)は調整処理を示している。図3は上記ニューラルネットワークPC100の利用例を示す概念図である。
【0016】
まず、登録処理では、ホストPC200を通じてマシンIF300に収容される試験用のHDD400-1~400-nの種々のRWヘッドについて、図2(a)に示すように、順次ヘッドを指定して(ステップS11)、TPI/BPI/Iw/OSAの条件(入力するRWパラメータ)を多数パターンで振り、それぞれの入力パラメータに対するO-BER/F-BER/TPIM/ATIの特性を測定し(ステップS12)、ヘッド毎に測定した特性結果をデータベース化してデータベース格納部101に登録し(ステップS13)、全ヘッドについて繰り返し処理する(ステップS14)。
【0017】
データベースとしては、例えばHDDの100ヘッド分を予め用意し、1ヘッド/1ゾーンあたりの容量/特性を決めるパラメータの調整値として、クライテリア(評価基準)を満足する最大の面密度となるTPI/BPI/Iw/OSAを振り、O-BER/F-BER/TPIM/ATI(対応関係:TPI→O-BER、BPI→F-BER、Iw→TPIM、OSA→OW)の特性を多数測定して、ヘッド毎にデータベース化する。多数測定は、例えば15000組み合わせ(モデル)で実施する。使用したニューラルネットワークPC100は、図3に示すように、入力層(調整値)、中間層1/中間層2、出力層(特性値)を持ち、入力数と出力数を任意に設定可能とし、各種活性化関数/レイヤー数/バッチサイズ/評価関数は、現状最適と考えられる設定を適用する。
【0018】
調整処理では、被調整対象のHDDを用い、図2(b)に示すように、順次ヘッドを指定して(ステップS21)、TPI/BPI/Iw/OSAとO-BER/F-BER/TPIM/ATIの組み合わせ(モデル)で1ヘッド/1ゾーンにつき20点の少数測定を実施する(ステップS22)。そこから、RMS(Root Mean Square)により、似たデータベース(モデル)を探索し(ステップS23)、そのデータベースを用いたニューラルネットワーク処理により、各TPI/BPI/Iw/OSAに対するO-BER/F-BER/TPIM/ATIを総当たりに推定することで、データベースに従うと仮定したときの最適なパラメータを推定し(ステップS24)、指定ヘッドのパラメータを推定した最適パラメータに設定する(ステップS25)。全ヘッドについて繰り返し処理する(ステップS26)。これにより、条件に対応する結果を推定することが可能となり、最適なバランスのパラメータ設定が可能となる。最後に、出荷時に確認可能なように、パラメータ調整ログを調整したHDDの内部メモリに登録しておく(ステップS27)。
【0019】
なお、上記の調整処理では、HDDをシリアルに処理する場合を示したが、多数の磁気ディスク装置をパラレルに処理することも可能である。また、事前登録処理は、データベースの登録情報の変形を許容し、調整処理は、登録情報を変形したデータベースからの探索を含むようにしてもよい。また、データベース格納部101は、ニューラルネットワークPC100の内部に備えるようにしてもよい。
【0020】
図4は、上記RWパラメータ調整装置で調整されるHDDの具体的な構成を示すブロック図である。
【0021】
HDD1は、ヘッド・ディスクアセンブリ(head-disk assembly:HDA)10、ヘッドアンプ集積回路(以下、ヘッドアンプIC)17と、システム・オン・チップ(SOC)20とから構成されている。
【0022】
HDA10は、磁気ディスク11と、スピンドルモータ(SPM)12と、アーム13と、ボイスコイルモータ(VCM)16とを有する。磁気ディスク11は、SPM12により回転する。アーム13の先端にロードビーム14が取り付けられ、ロードビーム14の先端に磁気ヘッド15が取り付けられる。アーム13はVCM16の駆動により磁気ヘッド15を磁気ディスク11上の指定の位置まで移動制御する。
【0023】
磁気ヘッド15は、リードヘッド素子とライトヘッド素子とが、1つのスライダ上に分離して実装されている構造である。リードヘッド素子は、磁気ディスク11に記録されているデータを読出す。ライトヘッド素子は、磁気ディスク11にデータを書き込む。
【0024】
ヘッドアンプIC16は、リードアンプ及びライトドライバを有する。リードアンプは、リードヘッド素子により読み出されたリード信号を増幅して、リード/ライト(R/W)チャネル22に伝送する。一方、ライトドライバは、R/Wチャネル22から出力されるライトデータに応じたライト電流をライトヘッド素子に伝送する。
【0025】
SOC20は、マイクロプロセッサ(CPU)21と、R/Wチャネル22と、ディスクコントローラ23と、位置決めコントローラ24とを含む。CPU21は、ドライブのメインコントローラであり、位置決めコントローラ24を介して磁気ヘッド15の位置決めを行なうサーボ制御及びヘッドアンプIC16を介してデータのリード/ライト制御を実行する。R/Wチャネル22は、リードデータの信号処理を実行するリードチャネルと、ライトデータの信号処理を実行するライトチャネルとを含む。ディスクコントローラ23は、ホストシステム(図示せず)とR/Wチャネル22との間のデータ転送を制御するインタフェース制御を実行する。なお、位置決めコントローラ24はハードウェアとして実現してもよいし、ソフトウェア(ファームウェア)として実現してもよい。
【0026】
メモリ25は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含む。例えば、メモリ25は、DRAMからなるバッファメモリ、及びフラッシュメモリを含む。メモリ25の不揮発性メモリには、CPU21の処理に必要なプログラム等を記憶する記憶部(図示省略)と共に、前述のRWパラメータ調整処理が行われた場合にRWパラメータ調整値を記憶するパラメータ記憶部26と、調整済であることを示す調整ログを記憶する調整ログ記憶部27を有する。すなわち、調整ログ記憶部27には、前述のステップS27のパラメータ調整ログが記憶され、このログを読み出すことで、HDDのヘッド調整が最適化されていることを簡単に確認することができる。
【0027】
なお、当該記憶部26、27は、メモリ25に記憶されていなくても、HDD1内のいずれかの記憶領域に記憶されていればよい。
【0028】
以下、上記調整方法による効果を説明する。
図5は同実施形態に係る調整方法でRWパラメータ調整されたHDDの推定精度(正確度)最適化例を示す図、図6は同HDDのエラーレート最適化例を示す図、図7は同HDDのTPIM最適化例を示す図である。図6において、Convは従来の調整方法で設定した場合のエラーレート、Newは実施形態の調整方法で設定した場合のエラーレートを示す。また、図7において、Conventional(WS)は従来の調整方法で設定した場合のTPIM特性、New RW(Est)、New RW(Act)は実施形態の調整方法で設定した場合の静的TPIM特性、動的TPIM特性を示す。
【0029】
上記構成において、推定精度は、図5に示すように、調整に使用できる精度を確認することができた。これを用い、要求規格を満たす設定を探索した結果、図6に示すエラーレートが得られた。図6に示す通り、従来法とは別のRWパラメータを最適と探索されることが確認できた。この時の特性として、例えばTPIM特性については、図7に示すように、結果は期待された通り、従来と同じ容量を満たしたうえで、特性のばらつきが減り、また、改善していることを確認することができた。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る調整方法、調整装置を用いれば、限られた試験時間内のなかで、複数の要求規格をバランス良く満たし、かつ調整時間を短縮することができる。
【0031】
なお、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
100…ニューラルネットワークコンピュータ、101…データベース格納部、200…ホストコンピュータ、300…マシンインターフェース、400-1~400-n…磁気ディスク装置(HDD)、
10…ヘッド・ディスクアセンブリ(HDA)、11…磁気ディスク、12…スピンドルモータ(SPM)、13…アーム、14…ロードビーム、15…磁気ヘッド、16…ボイスコイルモータ(VCM)、17…ヘッドアンプ集積回路、20…システム・オン・チップ(SOC)、21…マイクロプロセッサ(CPU)、22…R/Wチャネル、23…ディスクコントローラ、24…位置決めコントローラ、25…メモリ、26…パラメータ記憶部、27…調整ログ記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7