(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136828
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20230922BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230922BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20230922BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20230922BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20230922BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20230922BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M50/289
H01M50/291
H01M50/242
H01G11/78
H01G11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042739
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 寛望
(72)【発明者】
【氏名】望月 亮太
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AB01
5E078HA05
5E078HA21
5E078JA02
5E078JA07
5H040AA37
5H040AS01
5H040AS04
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY06
5H040CC05
5H040CC06
5H040CC13
5H040CC34
(57)【要約】
【課題】耐振動性または耐衝撃性の向上を図ることができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電素子100と、第一方向において蓄電素子100と並び、かつ、蓄電素子100を保持するホルダ200bと、蓄電素子100及びホルダ200bを収容するケース300と、を備え、ケース300は、第一方向と直交する第二方向の一方側に開口310aが形成され、かつ、第二方向の他方側に底壁311を有するケース本体310を有し、底壁311、及び、開口310aを塞ぐ蓋体320の少なくとも一方は、ホルダ200bと接触することで、ホルダ200bの、第一方向、並びに、第一方向及び第二方向と直交する第三方向の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部311a、321aを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と並び、かつ、前記蓄電素子を保持するホルダと、
前記蓄電素子及び前記ホルダを収容するケースと、を備え、
前記ケースは、前記第一方向と直交する第二方向の一方側に開口が形成され、かつ、前記第二方向の他方側に底壁を有するケース本体を有し、
前記底壁、及び、前記開口を塞ぐ蓋体の少なくとも一方は、前記ホルダと接触することで、前記ホルダの、前記第一方向、並びに、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部を有する
蓄電装置。
【請求項2】
前記ホルダは、
前記蓄電素子の前記第二方向の両側に配置される一対の第一ホルダ壁部と、
前記蓄電素子の前記第三方向の両側に配置される一対の第二ホルダ壁部と、を有する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記移動制限部は、前記ホルダの、前記第一方向及び前記第三方向の双方への移動を制限する
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記移動制限部は、前記ホルダに形成された凹部若しくは貫通孔に挿入される凸部、または、前記ホルダに形成された凸部が挿入される凹部若しくは貫通孔である
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記移動制限部は、前記底壁及び前記蓋体の双方に配置される
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記移動制限部は、前記ホルダに固定されることで、前記ホルダの移動を制限する
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子とホルダとケースとを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子と、蓄電素子を保持するホルダと、蓄電素子及びホルダを収容するケースと、を備える蓄電装置が広く知られている。例えば、特許文献1には、角形電池セル(蓄電素子)とセパレータ(ホルダ)とが外ケース(ケース)に収容された電源装置(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電素子及びホルダがケースに収容される蓄電装置においては、ケース内での蓄電素子及びホルダの移動を制限し、耐振動性または耐衝撃性(外部からの振動または衝撃に対する耐性)の向上を図ることが望まれる。しかしながら、上記従来のような構成の蓄電装置では、ケース内で蓄電素子及びホルダが移動してしまい、耐振動性または耐衝撃性の向上を図ることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、耐振動性または耐衝撃性の向上を図ることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子と並び、かつ、前記蓄電素子を保持するホルダと、前記蓄電素子及び前記ホルダを収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記第一方向と直交する第二方向の一方側に開口が形成され、かつ、前記第二方向の他方側に底壁を有するケース本体を有し、前記底壁、及び、前記開口を塞ぐ蓋体の少なくとも一方は、前記ホルダと接触することで、前記ホルダの、前記第一方向、並びに、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明における蓄電装置によれば、耐振動性または耐衝撃性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置が備える蓄電ユニットが有する蓄電素子及びスペーサを示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るホルダの構成を示す斜視図及び上面図である。
【
図5】実施の形態に係るケース(ケース本体及び蓋体)の構成を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に係るケースとホルダとの位置関係を示す断面図である。
【
図7】実施の形態の変形例1に係るケース及びホルダの構成を示す断面図である。
【
図8】実施の形態の変形例2に係るケース及びホルダの構成を示す断面図である。
【
図9】実施の形態の変形例3に係るケース及びホルダの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子と並び、かつ、前記蓄電素子を保持するホルダと、前記蓄電素子及び前記ホルダを収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記第一方向と直交する第二方向の一方側に開口が形成され、かつ、前記第二方向の他方側に底壁を有するケース本体を有し、前記底壁、及び、前記開口を塞ぐ蓋体の少なくとも一方は、前記ホルダと接触することで、前記ホルダの、前記第一方向、並びに、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部を有する。
【0010】
これによれば、蓄電装置において、蓄電素子及びホルダがケースに収容され、ケースの底壁及び蓋体の少なくとも一方は、ホルダの、第一方向及び第三方向の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部を有している。このように、ケースの底壁及び蓋体の少なくとも一方に設けられた移動制限部が、ホルダの移動を制限することで、ケース内でのホルダの移動を制限できる。これにより、ホルダとともに蓄電素子が移動してしまうのを制限できるため、蓄電装置の耐振動性または耐衝撃性の向上を図ることができる。
【0011】
前記ホルダは、前記蓄電素子の前記第二方向の両側に配置される一対の第一ホルダ壁部と、前記蓄電素子の前記第三方向の両側に配置される一対の第二ホルダ壁部と、を有してもよい。
【0012】
これによれば、ホルダが、一対の第一ホルダ壁部と一対の第二ホルダ壁部とを有することで、蓄電素子の第二方向の両側及び第三方向の両側を囲うように蓄電素子を保持できる。これにより、ホルダが、蓄電素子を安定して保持できるとともに、蓄電素子の第二方向の両側及び第三方向の両側への移動を制限できるため、蓄電装置の耐振動性または耐衝撃性の向上をより図ることができる。
【0013】
前記移動制限部は、前記ホルダの、前記第一方向及び前記第三方向の双方への移動を制限してもよい。
【0014】
これによれば、ケースに設けられた移動制限部が、ホルダの、第一方向及び第三方向の双方への移動を制限することで、ケース内でのホルダの移動をより制限できる。これにより、ホルダに保持されている蓄電素子の、第一方向及び第三方向の双方への移動を制限できるため、蓄電装置の耐振動性または耐衝撃性の向上をさらに図ることができる。
【0015】
前記移動制限部は、前記ホルダに形成された凹部若しくは貫通孔に挿入される凸部、または、前記ホルダに形成された凸部が挿入される凹部若しくは貫通孔であってもよい。
【0016】
これによれば、ケースに設けられる移動制限部を、ホルダの凹部若しくは貫通孔に挿入される凸部、または、ホルダの凸部が挿入される凹部若しくは貫通孔とする。これにより、凸部を凹部若しくは貫通孔に挿入することで、移動制限部をホルダと接触する位置に配置できるため、簡易な構成で、ケース内でのホルダの移動を制限できる。したがって、簡易な構成で、ホルダに保持されている蓄電素子が移動するのを制限できるため、蓄電装置の耐振動性または耐衝撃性の向上を図る構成を容易に実現できる。
【0017】
前記移動制限部は、前記底壁及び前記蓋体の双方に配置されてもよい。
【0018】
これによれば、移動制限部が、ケースの底壁及び蓋体の双方に配置されることで、ケース内でのホルダの移動をより制限できる。これにより、ホルダに保持されている蓄電素子が移動するのをより制限できるため、蓄電装置の耐振動性または耐衝撃性の向上をさらに図ることができる。
【0019】
前記移動制限部は、前記ホルダに固定されることで、前記ホルダの移動を制限してもよい。
【0020】
これによれば、移動制限部がホルダに固定されることで、ケース内で、より強固にホルダの移動を制限できる。これにより、ホルダに保持されている蓄電素子が移動するのをより強固に制限できるため、蓄電装置の耐振動性または耐衝撃性の向上をさらに図ることができる。
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0022】
以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向、または、蓄電ユニットの並び方向を、X軸方向と定義する。蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、蓄電素子の容器の厚み方向(扁平方向)、蓄電ユニットが有する複数の蓄電素子の並び方向、または、蓄電ユニットが有する蓄電素子とスペーサ(ホルダ)との並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の電極端子の突出方向、蓄電素子の容器本体と容器蓋部との並び方向、ケースのケース本体と蓋体との並び方向、ケース本体の開口及び底壁の対向方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0023】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。X軸方向の一方側及び他方側という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向のうちの一方及び他方を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。以下では、Y軸方向を第一方向とも呼び、Z軸方向を第二方向とも呼び、X軸方向を第三方向とも呼ぶ。平行及び直交等の、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0024】
(実施の形態)
[1 蓄電装置1の説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置1の概略構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1の構成を示す斜視図である。
図1では、蓄電装置1において、ケース300のケース本体310から蓋体320を取り外した状態を示している。これにより、
図1では、ケース300の内方に配置される2つの蓄電ユニット10が図示されている。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置1が備える蓄電ユニット10が有する蓄電素子100及びスペーサ200を示す分解斜視図である。
図2は、蓄電ユニット10が有する構成要素を分解し、蓄電ユニット10のY軸方向中央部に位置する2つの蓄電素子100及び3つのスペーサ200(2つのホルダ200a及び1つのホルダ200b)を図示している。
【0025】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置である。蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される。蓄電装置1は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0026】
図1に示すように、蓄電装置1は、蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10を収容するケース300と、を備えている。蓄電装置1は、外部の装置と電気的に接続するための外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)等も備えているが、それらの図示及び説明は省略する。蓄電装置1は、上記の構成要素の他、蓄電ユニット10の充電状態及び放電状態等を監視または制御する回路基板及びリレー等の電気機器等も備えていてもよい。
【0027】
蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100を有する電池モジュール(組電池)である。蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100が、スペーサ200と交互にY軸方向(第一方向)に並べられることで、Y軸方向に長い略直方体形状を有している。本実施の形態では、X軸方向に並ぶ2つの蓄電ユニット10が、ケース300の内方に収容されている。蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100と、複数のスペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c)と、を有している。蓄電ユニット10は、蓄電素子100を直列または並列に接続するバスバー、バスバーを保持するバスバーフレーム、及び、蓄電素子100と外部端子とを接続するバスバー等も備えているが、それらの図示は省略する。バスバーは、全ての蓄電素子100を直列に接続してもよいし、いずれかの蓄電素子100を並列に接続してから直列に接続してもよいし、全ての蓄電素子100を並列に接続してもよい。
【0028】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、Y軸方向に扁平な直方体形状(角形、角型)を有している。本実施の形態では、複数の蓄電素子100がY軸方向に並んで配列されているが、配列される蓄電素子100の個数は特に限定されず、1個でもよいし、数十個でもよいし、それ以上でもよい。蓄電素子100の大きさ及び形状も特に限定されず、長円柱形状、楕円柱形状、円柱形状、直方体以外の多角柱形状等でもよい。蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。
【0029】
スペーサ200は、Y軸方向において蓄電素子100と並んで配置され、蓄電素子100と他の部材とを絶縁及び/又は断熱する、Y軸方向に扁平な部材である。スペーサ200は、蓄電素子100のY軸プラス方向またはY軸マイナス方向に配置されて、蓄電素子100同士または蓄電素子100とケース300とを絶縁及び/又は断熱する絶縁板または断熱板である。スペーサ200は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、マイカ等の断熱性を有する部材等により形成されている。
【0030】
スペーサ200は、蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有することで、蓄電素子100を保持し、蓄電素子100の位置決めを行うホルダの機能を有している。このため、蓄電ユニット10のY軸方向中央位置(中央位置の2つの蓄電素子100の間)に配置されるスペーサ200を、ホルダ200bと称する。蓄電ユニット10のY軸方向両端部(端部の蓄電素子100とケース300との間)に配置されるスペーサ200を、ホルダ200cと称する。ホルダ200bとホルダ200cとの間(中央位置以外の2つの蓄電素子100の間)に配置されるスペーサ200を、ホルダ200aと称する。ホルダ200a、200b及び200cは、蓄電素子100と交互に配置される。
図2では、2つの蓄電素子100と2つのホルダ200a及び1つのホルダ200bとが、ホルダ200bを中心に交互に配置された構成を示している。
【0031】
具体的には、ホルダ200aは、ホルダ200aのY軸方向両側に配置される2つの蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有し、当該2つの蓄電素子100を保持する中間ホルダ(中間スペーサ)である。同様に、ホルダ200bは、ホルダ200bのY軸方向両側に配置される2つの蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有し、当該2つの蓄電素子100を保持するセンタープレート(センターホルダまたはセンタースペーサ)である(
図2参照)。ホルダ200bは、Y軸方向に長い蓄電ユニット10の剛性を高める機能を有している。ホルダ200cは、ホルダ200cのY軸方向片側に配置される1つの蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有し、当該1つの蓄電素子100を保持するエンドホルダ(エンドスペーサ)である。
【0032】
つまり、蓄電ユニット10のY軸方向中央部に位置する蓄電素子100は、ホルダ200a及びホルダ200bに保持される(
図2参照)。蓄電ユニット10のY軸方向端部に位置する蓄電素子100は、ホルダ200a及びホルダ200cに保持される。それ以外の蓄電素子100は、2つのホルダ200aに保持される。全てのスペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c)が同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのスペーサ200が異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0033】
ケース300は、蓄電装置1の外装体(外殻)を構成する略直方体形状(箱形)の容器である。ケース300は、蓄電ユニット10の外方に配置され、蓄電ユニット10を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。ケース300は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材によって形成された金属ケースである。本実施の形態では、ケース300は、アルミニウムのダイカスト(アルミダイカスト)により形成されている。ケース300は、蓄電ユニット10が有するスペーサ200に使用可能ないずれかの樹脂材料等の絶縁性を有する部材で形成されていてもよい。
【0034】
図1に示すように、ケース300は、ケース300の本体を構成するケース本体310と、ケース300の蓋体を構成する蓋体320と、を有している。ケース本体310は、Z軸プラス方向(第一方向と直交する第二方向の一方側)に開口310aが形成されたハウジング(筐体)であり、蓄電ユニット10(蓄電素子100並びにスペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c))を収容する。蓋体320は、ケース本体310の開口310aを塞ぐ扁平な矩形状の部材である。ケース本体310には、X軸方向に並ぶ2つの矩形状の開口310aが形成されており、それぞれの開口310aから蓄電ユニット10が挿入された後に、ケース本体310と蓋体320とが、ボルト等によるネジ止め、溶接、接着等によって接合される。これにより、ケース300は、内部が密閉(密封)された構造となる。ケース本体310または蓋体320には、外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)の端子台が取り付けられ、当該端子台に外部端子が配置されていてもよい。
【0035】
次に、蓄電素子100、スペーサ200(特に、ホルダ200b)、及び、ケース300(ケース本体310及び蓋体320)の構成について、詳細に説明する。
【0036】
[1.1 蓄電素子100の説明]
図3は、本実施の形態に係る蓄電素子100の構成を示す斜視図である。
図3は、
図2に示した蓄電素子100を拡大して示している。蓄電ユニット10が有する複数の蓄電素子100は、全て同様の構成を有するため、
図3では、1つの蓄電素子100を示し、かつ、以下では、1つの蓄電素子100の構成について詳細に説明する。
【0037】
図3に示すように、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極及び負極)の電極端子140と、を有している。容器110の内方には、電極体と、一対(正極及び負極)の集電体と、電解液(非水電解質)とが収容され、電極端子140及び集電体と容器110との間にはガスケットが配置されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。ガスケットは、絶縁性を有していればどのような素材で形成されていてもよい。蓄電素子100は、上記の構成要素の他、電極体の側方に配置されるスペーサ、電極体等を包み込む絶縁フィルム、及び、容器110の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)等を有していてもよい。
【0038】
容器110は、開口が形成された容器本体120と、容器本体120の当該開口を閉塞する容器蓋部130と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体120は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向側に開口が形成されている。容器蓋部130は、容器110の蓋部を構成するX軸方向に長い矩形状の板状部材であり、容器本体120のZ軸プラス方向に配置されている。容器蓋部130には、容器110内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁131、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部(図示せず)等が設けられている。容器110(容器本体120及び容器蓋部130)の材質は、特に限定されず、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0039】
容器110は、電極体等を容器本体120の内方に収容後、容器本体120と容器蓋部130とが溶接等によって接合されることにより、内部が密閉(密封)される。容器110は、Y軸方向両側の側面に一対の長側面111を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側面112を有し、Z軸マイナス方向側に底面113を有している。長側面111は、容器110の長側面を形成する矩形状の平面部であり、隣り合うスペーサ200とY軸方向において対向して配置される。長側面111は、短側面112及び底面113に隣接し、短側面112よりも面積が大きい。短側面112は、容器110の短側面を形成する矩形状の平面部であり、スペーサ200の壁部及びケース300とX軸方向において対向して配置される。短側面112は、長側面111及び底面113に隣接し、長側面111よりも面積が小さい。底面113は、容器110の底面を形成する矩形状の平面部であり、スペーサ200の壁部及びケース300の底壁とZ軸方向において対向して配置される。底面113は、長側面111及び短側面112に隣接して配置される。
【0040】
電極端子140は、容器蓋部130に配置される、蓄電素子100の端子部材(正極端子及び負極端子)である。具体的には、電極端子140は、容器蓋部130の上面(端子配置面)からZ軸プラス方向に突出した状態で配置される。電極端子140は、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子140は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子140は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0041】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートまたは不織布等を用いることができる。本実施の形態では、電極体は、極板(正極板及び負極板)がY軸方向に積層されて形成されている。電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0042】
集電体は、電極端子140と電極体とに電気的及び機械的に接続される導電性の集電部材(正極集電体及び負極集電体)である。正極集電体は、電極体の正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、電極体の負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0043】
[1.2 ホルダ200bの説明]
次に、スペーサ200のうちのホルダ200bの構成について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係るホルダ200bの構成を示す斜視図及び上面図である。具体的には、
図4の(a)は、
図2に示したホルダ200bを拡大して示す斜視図であり、
図4の(b)は、
図4の(a)に示したホルダ200bをZ軸プラス方向から見た場合の構成を示す上面図である。
【0044】
図4に示すように、ホルダ200bは、X軸方向における両端部が同様の形状を有している。つまり、ホルダ200bは、中心位置を通りYZ平面に平行な面に対して対称となる形状を有している。ホルダ200bは、ホルダ本体210と、ホルダ壁部220と、貫通孔230と、を有している。
【0045】
ホルダ本体210は、ホルダ200bの本体部を構成する平板状かつ矩形状の部位であり、XZ平面に平行に配置されている。ホルダ本体210は、蓄電ユニット10のY軸方向中央部に位置する2つの蓄電素子100の間に配置される。ホルダ本体210は、当該2つの蓄電素子100の容器110が有する、ホルダ本体210と対向する長側面111の全面を覆うように、Y軸方向において当該長側面111と対向し、かつ、当該長側面111に接触した状態で配置される。ホルダ本体210には、冷却用の気体(空気)が通るL字状に湾曲した複数の溝が形成されている。
【0046】
ホルダ壁部220は、蓄電素子100のZ軸方向両側及びX軸方向両側に配置される壁である。具体的には、ホルダ壁部220は、蓄電素子100のZ軸方向(第二方向)の両側に配置される一対の第一ホルダ壁部221及び222と、蓄電素子100のX軸方向(第一方向及び第二方向に直交する第三方向)の両側に配置される一対の第二ホルダ壁部223及び一対の第二ホルダ壁部224と、を有している。
【0047】
第一ホルダ壁部221は、ホルダ本体210のZ軸プラス方向端部からY軸方向に突出する平板状の部位であり、XY平面に平行に配置されている。具体的には、ホルダ200bのX軸方向両端部に、ホルダ本体210のZ軸プラス方向端部のX軸方向両端部からY軸方向両側に突出する一対の第一ホルダ壁部221が配置されている。第一ホルダ壁部221は、蓄電素子100のZ軸プラス方向において、蓄電素子100の容器110の容器蓋部130に沿って配置される。詳細には、第一ホルダ壁部221は、蓄電素子100のX軸方向両端部において、容器蓋部130のY軸プラス方向側またはY軸マイナス方向側の略半分を覆うように、Z軸方向において容器蓋部130と対向して配置される。
【0048】
第一ホルダ壁部222は、ホルダ本体210のZ軸マイナス方向端部からY軸方向に突出し、X軸方向に延びる平板状の部位であり、XY平面に平行に配置されている。具体的には、ホルダ本体210のZ軸マイナス方向端部におけるX軸方向の一端から他端までに亘って、Y軸方向両側に突出し、X軸方向に延びる第一ホルダ壁部222が配置されている。第一ホルダ壁部222は、蓄電素子100のZ軸マイナス方向において、蓄電素子100の容器110の底面113に沿って配置される。詳細には、第一ホルダ壁部222は、底面113のX軸方向の一端から他端までに亘って、底面113のY軸プラス方向側またはY軸マイナス方向側の略半分を覆うように、Z軸方向において底面113と対向して配置される。
【0049】
第二ホルダ壁部223は、ホルダ本体210のX軸方向端部かつZ軸プラス方向端部からY軸方向に突出する平板状の部位であり、YZ平面に平行に配置されている。具体的には、ホルダ200bのX軸方向両端部に、ホルダ本体210のX軸方向両端部のZ軸プラス方向端部からY軸方向両側に突出する一対の第二ホルダ壁部223が配置されている。第二ホルダ壁部223は、蓄電素子100の容器110の短側面112に沿って配置される。詳細には、第二ホルダ壁部223は、蓄電素子100のX軸方向両側のZ軸プラス方向端部において、短側面112のY軸プラス方向側またはY軸マイナス方向側の略半分を覆うように、X軸方向において短側面112と対向して配置される。
【0050】
第二ホルダ壁部224は、ホルダ本体210のX軸方向端部かつZ軸マイナス方向端部からY軸方向に突出する平板状の部位であり、YZ平面に平行に配置されている。具体的には、ホルダ200bのX軸方向両端部に、ホルダ本体210のX軸方向両端部のZ軸マイナス方向端部からY軸方向両側に突出する一対の第二ホルダ壁部224が配置されている。第二ホルダ壁部224は、蓄電素子100の容器110の短側面112に沿って配置される。詳細には、第二ホルダ壁部224は、蓄電素子100のX軸方向両側のZ軸マイナス方向端部において、短側面112のY軸プラス方向側またはY軸マイナス方向側の略半分を覆うように、X軸方向において短側面112と対向して配置される。
【0051】
このように、ホルダ壁部220は、蓄電素子100のZ軸方向両端部及びX軸方向両端部に位置する蓄電素子100の4つの角部を覆うように配置される。これにより、ホルダ200bは、蓄電素子100を保持する。
【0052】
貫通孔230は、ケース300と接触することで、ホルダ200bのY軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の少なくとも一方向への移動を制限する部位である。ホルダ200bのX軸方向両側に、一対の貫通孔230が設けられている。X軸プラス方向の貫通孔230は、ホルダ本体210のX軸プラス方向端部に配置され、当該X軸プラス方向端部をZ軸方向に貫通する、Z軸方向から見て四角形状(正方形状)のZ軸方向に延びる貫通孔である。X軸マイナス方向の貫通孔230は、ホルダ本体210のX軸マイナス方向端部に配置され、当該X軸マイナス方向端部をZ軸方向に貫通する、Z軸方向から見て四角形状(正方形状)のZ軸方向に延びる貫通孔である。
【0053】
つまり、それぞれの貫通孔230は、ホルダ本体210のY軸方向の幅の範囲内において、ホルダ本体210のZ軸方向の一端から他端までに亘って連続的にホルダ本体210に形成されている。それぞれの貫通孔230は、内面のY軸方向両側に、XZ平面に平行かつZ軸方向に長い長方形状の一対の平面(平坦面)を有し、内面のX軸方向両側に、YZ平面に平行かつZ軸方向に長い長方形状の一対の平面(平坦面)を有している。
【0054】
[1.3 ケース300の説明]
次に、ケース300(ケース本体310及び蓋体320)の構成について、詳細に説明する。
図5は、本実施の形態に係るケース300(ケース本体310及び蓋体320)の構成を示す斜視図である。具体的には、
図5の(a)は、ケース本体310を上方から見た場合の構成を示す斜視図であり、
図5の(b)は、蓋体320を下方から見た場合の構成を示す斜視図である。
図6は、本実施の形態に係るケース300とホルダ200bとの位置関係を示す断面図である。具体的には、
図6は、ケース300にホルダ200bを配置した状態を、ホルダ200bの中心位置を通りXZ平面に平行な面で切断した場合の構成を示す断面図である。ケース300のX軸プラス方向の半分とX軸マイナス方向の半分とは、同様の構成を有するため、
図6では、当該X軸プラス方向の半分について図示し、以下の
図6に関する説明は、当該X軸プラス方向の半分について行う。
【0055】
図5に示すように、ケース本体310は、底壁311と、ケース壁部312、313及び314と、を有している。つまり、ケース本体310は、Z軸マイナス方向(第二方向の他方側)の底面部に底壁311を有し、X軸方向両側の側面部に一対のケース壁部312を有し、X軸方向中央部にケース壁部313を有し、Y軸方向両側の側面部に一対のケース壁部314を有している。ケース本体310は、底壁311と、2つのケース壁部312と、ケース壁部313と、2つのケース壁部314とが一体化された1つの部材である。つまり、ケース本体310は、アルミダイカスト等により一体成形されて、1つの部材(一部品)として一体的に形成されている。
【0056】
底壁311は、主面がZ軸方向(第二方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310の底面を形成する、XY平面に平行かつY軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部である。底壁311は、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c))とZ軸方向において対向して配置される。具体的には、底壁311は、蓄電ユニット10のZ軸マイナス方向の面の全面を覆うように蓄電ユニット10のZ軸マイナス方向に配置されて、蓄電ユニット10をZ軸マイナス方向から支持する。底壁311は、ケース壁部312、313及び314に隣接した状態で配置される。
【0057】
ケース壁部312は、主面がX軸方向(第三方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310のX軸方向の側面(長側面)を形成する、YZ平面に平行かつY軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部(側壁)である。ケース壁部312は、底壁311のX軸方向端部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c))とX軸方向(第三方向)において対向して配置される。ケース壁部312は、底壁311及びケース壁部314に隣接する。本実施の形態では、ケース本体310のX軸方向両端部に、2つのケース壁部312が互いに対向して配置されている。X軸プラス方向のケース壁部312は、X軸プラス方向の蓄電ユニット10のX軸プラス方向の面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸プラス方向に配置される。X軸マイナス方向のケース壁部312は、X軸マイナス方向の蓄電ユニット10のX軸マイナス方向の面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸マイナス方向に配置される。
【0058】
ケース壁部313は、主面がX軸方向(第三方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310の内方の空間を仕切る、Y軸方向に長い直方体形状の壁部である。ケース壁部313は、底壁311のX軸方向中央部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c))とX軸方向(第三方向)において対向して配置される。具体的には、ケース壁部313は、X軸方向に並ぶ2つの蓄電ユニット10の間に配置される。つまり、蓄電装置1は、蓄電素子100と、ケース300に収容され、X軸方向(第三方向)において当該蓄電素子100と並ぶ他の蓄電素子100と、を備えている。そして、ケース壁部313は、ケース300の内方における当該蓄電素子100と当該他の蓄電素子100との間に配置される壁である。これにより、ケース壁部313は、X軸プラス方向の蓄電ユニット10のX軸マイナス方向の面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸マイナス方向に配置される。ケース壁部313は、X軸マイナス方向の蓄電ユニット10のX軸プラス方向の面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸プラス方向に配置される。ケース壁部313は、底壁311及びケース壁部314に隣接する。
【0059】
ケース壁部314は、主面がY軸方向(第一方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310のY軸方向の側面(短側面)を形成する、XZ平面に平行かつX軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部(側壁)である。ケース壁部314は、底壁311のY軸方向端部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、蓄電ユニット10(スペーサ200のうちのホルダ200c)とY軸方向(第一方向)において対向して配置される。ケース壁部314は、底壁311、ケース壁部312及び313に隣接する。本実施の形態では、ケース本体310のY軸方向両端部に、2つのケース壁部314が互いに対向して配置されている。Y軸プラス方向のケース壁部314は、蓄電ユニット10(Y軸プラス方向のホルダ200c)のY軸プラス方向の面のほぼ全面を覆うように、蓄電ユニット10(当該ホルダ200c)のY軸プラス方向に配置される。Y軸マイナス方向のケース壁部314は、蓄電ユニット10(Y軸マイナス方向のホルダ200c)のY軸マイナス方向の面のほぼ全面を覆うように、蓄電ユニット10(当該ホルダ200c)のY軸マイナス方向に配置される。
【0060】
以上のような構成により、ケース本体310には、Z軸プラス方向(第二方向の一方側)に向けて開口する開口310aが形成されている。つまり、2つのケース壁部312とケース壁部313と2つのケース壁部314とで、X軸方向に並ぶ2つの開口310aが形成されている。開口310aは、ケース本体310の底壁311と対向する位置に配置される、Z軸方向から見てY軸方向に長い矩形状の開口部である。開口310aは、蓄電ユニット10とZ軸方向で対向する位置に配置され、Z軸方向において蓄電ユニット10が通過可能な大きさに形成されている。つまり、開口310aは、ケース本体310のZ軸プラス方向の面が開口した開口部である。
【0061】
蓋体320は、蓋壁321と、ケース壁部322、323及び324と、を有している。つまり、蓋体320は、Z軸プラス方向(第二方向の一方側)の上面部に蓋壁321を有し、X軸方向両側の側面部に一対のケース壁部322を有し、X軸方向中央部にケース壁部323を有し、Y軸方向両側の側面部に一対のケース壁部324を有している。蓋体320は、蓋壁321と、2つのケース壁部322と、ケース壁部323と、2つのケース壁部324とが一体化された1つの部材である。つまり、蓋体320は、アルミダイカスト等により一体成形されて、1つの部材(一部品)として一体的に形成されている。
【0062】
蓋壁321は、主面がZ軸方向(第二方向)に向く姿勢で配置されて、蓋体320の上面を形成する、XY平面に平行かつY軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部である。蓋壁321は、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c))とZ軸方向において対向して配置される。具体的には、蓋壁321は、蓄電ユニット10のZ軸プラス方向に配置されて、蓄電ユニット10のZ軸プラス方向の面の全面を覆う。蓋壁321は、ケース壁部322、323及び324に隣接した状態で配置される。
【0063】
ケース壁部322、323及び324は、ケース本体310のケース壁部312、313及び314にZ軸方向で対向して配置される、平板状かつ矩形状の壁部である。ケース壁部322、323及び324がケース壁部312、313及び314と接続(接合)されることで、蓋体320がケース本体310に接合されて開口310aを閉塞する。ケース壁部322、323及び324は、ケース壁部312、313及び314よりもZ軸方向の長さが短い点以外は、ケース壁部312、313及び314と同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0064】
以上の構成において、ケース本体310の底壁311及び蓋体320の少なくとも一方は、ホルダ200bと接触することで、ホルダ200bの、Y軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部を有している。本実施の形態では、移動制限部は、底壁311及び蓋体320の双方に配置される。この移動制限部について、以下に具体的に説明する。
【0065】
底壁311は、ホルダ200bと接触することで、ホルダ200bのY軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部311aを有している。本実施の形態では、移動制限部311aは、底壁311からZ軸方向に突出し、ホルダ200bに形成された貫通孔230に挿入される凸部である。移動制限部311aは、底壁311のY軸方向中央部において、底壁311のZ軸プラス方向の面からZ軸プラス方向に突出してZ軸方向に延びる、直方体形状(Z軸方向から見て正方形状)の突出部(突起)である。2つの蓄電ユニット10が有する2つのホルダ200bのそれぞれに形成されたX軸方向に並ぶ2つの貫通孔230に対応して、底壁311には、X軸方向に並ぶ2つの移動制限部311aが、X軸方向に2組並んで配置されている。
【0066】
移動制限部311aは、ホルダ200bの貫通孔230に挿入されて、貫通孔230の内面と接触する。つまり、移動制限部311aは、X軸方向両側の面に、YZ平面に平行かつZ軸方向に長い長方形状の平面(平坦面)を有し、当該面が、X軸方向に向く姿勢でホルダ200bの貫通孔230の内面に対向し、X軸方向で貫通孔230の当該内面と接触する(
図6参照)。同様に、移動制限部311aは、Y軸方向両側の面に、XZ平面に平行かつZ軸方向に長い長方形状の平面(平坦面)を有し、当該面が、Y軸方向に向く姿勢でホルダ200bの貫通孔230の内面に対向し、Y軸方向で貫通孔230の当該内面と接触する。これにより、移動制限部311aは、Y軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の双方でホルダ200bと接触することで、ホルダ200bの、Y軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の双方への移動を制限する。
【0067】
同様に、蓋体320は、ホルダ200bと接触することで、ホルダ200bのY軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部321aを有している。本実施の形態では、移動制限部321aは、蓋体320の蓋壁321からZ軸方向に突出し、ホルダ200bに形成された貫通孔230に挿入される凸部である。移動制限部321aは、蓋壁321のY軸方向中央部において、蓋壁321のZ軸マイナス方向の面からZ軸マイナス方向に突出してZ軸方向に延びる、直方体形状(Z軸方向から見て正方形状)の突出部(突起)である。2つの蓄電ユニット10が有する2つのホルダ200bのそれぞれに形成されたX軸方向に並ぶ2つの貫通孔230に対応して、蓋体320には、X軸方向に並ぶ2つの移動制限部321aが、X軸方向に2組並んで配置されている。つまり、それぞれの移動制限部321aは、底壁311の移動制限部311aのそれぞれに対応して設けられ、かつ、それぞれの移動制限部311aにZ軸方向で対向する位置に配置される。
【0068】
移動制限部321aは、ホルダ200bの貫通孔230に挿入されて、貫通孔230の内面と接触する。つまり、移動制限部321aは、X軸方向両側の面に、YZ平面に平行かつZ軸方向に長い長方形状の平面(平坦面)を有し、当該面が、X軸方向に向く姿勢でホルダ200bの貫通孔230の内面に対向し、X軸方向で貫通孔230の当該内面と接触する(
図6参照)。同様に、移動制限部321aは、Y軸方向両側の面に、XZ平面に平行かつZ軸方向に長い長方形状の平面(平坦面)を有し、当該面が、Y軸方向に向く姿勢でホルダ200bの貫通孔230の内面に対向し、Y軸方向で貫通孔230の当該内面と接触する。これにより、移動制限部311aは、Y軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の双方でホルダ200bと接触することで、ホルダ200bの、Y軸方向(第一方向)及びX軸方向(第三方向)の双方への移動を制限する。
【0069】
図6に示すように、ホルダ200bの2つの貫通孔230に、Z軸マイナス方向から2つの移動制限部311aが挿入され、Z軸プラス方向から2つの移動制限部321aが挿入される。本実施の形態では、移動制限部311a及び321aは、ホルダ200bの貫通孔230に圧入されて、移動制限部311a及び321aと貫通孔230とが互いに嵌合する。これにより、移動制限部311a及び321aは、ホルダ200bに固定されることで、ホルダ200bの移動を制限する。移動制限部311a及び321aは、Y軸方向両側及びX軸方向両側で貫通孔230の内面と接触しており、ホルダ200bのY軸方向両側及びX軸方向両側への移動を制限している。このように、移動制限部311a及び321aは、ホルダ200bのZ軸方向と直交する方向、具体的には、Z軸方向と直交する少なくとも2つの方向への移動を制限する。本実施の形態では、移動制限部311a及び321aは、ホルダ200bのZ軸方向と直交する全方向への移動を制限する。
【0070】
移動制限部311aまたは321aは、Y軸方向またはX軸方向で貫通孔230の内面と接触していなくてもよく、Y軸方向またはX軸方向で貫通孔230の内面の近傍に配置されていればよい(貫通孔230の内面との間に小さな隙間があってもよい)。これによっても、移動制限部311aまたは321aは、ホルダ200bがY軸方向またはX軸方向へ少し移動して貫通孔230の内面と接触すれば(接触した状態になると)、ホルダ200bのY軸方向への移動を制限できる。このように、移動制限部311a及び321aは、貫通孔230の内面と接触した状態になるとホルダ200bの移動を制限する(位置決めを行う)構成であればよい。移動制限部311a及び321aは、ホルダ200bのY軸方向またはX軸方向の位置決めを行う位置決め部であるとも言える。
【0071】
本実施の形態では、蓄電装置1は、ホルダ200bとで蓄電素子100を挟む他のホルダであるホルダ200aを備えており、ホルダ200aは、ホルダ200bよりも、Y軸方向(第一方向)における厚みが薄い(
図2参照)。つまり、ホルダ200bは貫通孔230を有しているが、ホルダ200aは貫通孔230を有していないため、ホルダ200aは、ホルダ200bよりも、Y軸方向における厚みが薄く形成できている。具体的には、ホルダ200bのホルダ本体210よりも、ホルダ200aのホルダ本体の方が、Y軸方向における厚みが薄くなっている。これにより、ホルダ200aを挟む2つの蓄電素子100の間の距離が、ホルダ200bを挟む2つの蓄電素子100の間の距離よりも小さくなる。
【0072】
[2 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、蓄電素子100及びホルダ200bがケース300に収容されている。ケース300の底壁311及び蓋体320の少なくとも一方(本実施の形態では双方)は、ホルダ200bの、第一方向(Y軸方向)及び第三方向(X軸方向)の少なくとも一方向への移動を制限する移動制限部311a、321aを有している。このように、ケース300の底壁311及び蓋体320の少なくとも一方(双方)に設けられた移動制限部311a、321aが、ホルダ200bの移動を制限することで、ケース300内でのホルダ200bの移動を制限できる。これにより、ホルダ200bとともに蓄電素子100が移動してしまうのを制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上を図ることができる。
【0073】
移動制限部311a、321aによって、ケース300に対してホルダ200bを位置決めできるため、ケース300に蓄電素子100及びホルダ200bを挿入する際に、蓄電素子100及びホルダ200bの位置決め性を向上できる。特に、蓄電ユニット10は、Y軸方向における長さが長く、ケース300に対して位置決めし難いため、位置決め性を向上できることによる効果が高い。ボルト・ナット等の接合部材を設けることなくケース300内でのホルダ200bの移動を制限できるため、接合部材を配置するスペースが不要、かつ、接合部材を接合するための工具を配置するスペースも不要であり、蓄電装置1の省スペース化を図ることができる。以降についても同様である。
【0074】
ホルダ200bが、一対の第一ホルダ壁部221及び222と一対の第二ホルダ壁部223及び一対の第二ホルダ壁部224とを有することで、蓄電素子100の第二方向(Z軸方向)の両側及び第三方向(X軸方向)の両側を囲うように蓄電素子100を保持できる。これにより、ホルダ200bが、蓄電素子100を安定して保持できるとともに、蓄電素子100の第二方向(Z軸方向)の両側及び第三方向(X軸方向)の両側への移動を制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上をより図ることができる。
【0075】
ケース300に設けられた移動制限部311a、321aが、ホルダ200bの、第一方向(Y軸方向)及び第三方向(X軸方向)の双方への移動を制限することで、ケース300内でのホルダ200bの移動をより制限できる。これにより、ホルダ200bに保持されている蓄電素子100の、第一方向(Y軸方向)及び第三方向(X軸方向)の双方への移動を制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上をさらに図ることができる。
【0076】
ケース300に設けられる移動制限部311a、321aを、ホルダ200bの貫通孔230に挿入される凸部とする。これにより、移動制限部311a、321aとしての凸部を貫通孔230に挿入することで、移動制限部311a、321aをホルダ200bと接触する位置に配置できるため、簡易な構成で、ケース300内でのホルダ200bの移動を制限できる。したがって、簡易な構成で、ホルダ200bに保持されている蓄電素子100が移動するのを制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上を図る構成を容易に実現できる。ケース300の底壁311及び蓋壁321に設けられる移動制限部311a、321aを、凹部ではなく凸部とすることで、底壁311及び蓋壁321の厚みを薄くできるため、蓄電装置1の省スペース化を図ることができる。
【0077】
移動制限部311a及び321aが、ケース300の底壁311及び蓋体320の双方に配置されることで、ケース300内でのホルダ200bの移動をより制限できる。これにより、ホルダ200bに保持されている蓄電素子100が移動するのをより制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上をさらに図ることができる。
【0078】
移動制限部311a、321aがホルダ200bに圧入(嵌合)により固定されることで、ケース300内で、より強固にホルダ200bの移動を制限できる。特に、移動制限部311a、321aがホルダ200bに固定されることで、第一方向(Y軸方向)及び第三方向(X軸方向)だけではなく、第二方向(Z軸方向)においてもホルダ200bの移動を制限できる。これにより、ホルダ200bに保持されている蓄電素子100が移動するのをより強固に制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上をさらに図ることができる。
【0079】
[3 変形例の説明]
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であり、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0080】
上記実施の形態では、ケース300の移動制限部311a及び321aは、凸部であり、ホルダ200bの貫通孔230に挿入されることとしたが、これには限定されない。ホルダ200bには、貫通孔230に代えて、貫通孔230の位置にZ軸方向に凹んだ凹部が形成され、移動制限部311a及び321aは、ホルダ200bに形成された当該凹部に挿入されてもよい。つまり、ホルダ200bのZ軸マイナス方向端部に、Z軸プラス方向に凹んだ凹部が形成されて、当該凹部に移動制限部311aが挿入され、ホルダ200bのZ軸プラス方向端部に、Z軸マイナス方向に凹んだ凹部が形成されて、当該凹部に移動制限部321aが挿入されてもよい。以上のように、移動制限部311aまたは321aは、ホルダ200bに形成された凹部若しくは貫通孔に挿入される凸部であってもよい。または、その他、種々の形態を取り得る。その他の変形例について、以下に具体的に説明する。
【0081】
(変形例1、2)
図7は、本実施の形態の変形例1に係るケース300A及びホルダ200bの構成を示す断面図である。
図8は、本実施の形態の変形例2に係るケース300B及びホルダ200bの構成を示す断面図である。
図7及び
図8は、
図6に対応する図である。
【0082】
図7に示すように、変形例1におけるケース300Aは、上記実施の形態におけるケース本体310の底壁311の一対の移動制限部311aに代えて、一対の移動制限部311bを有している。ケース300Aは、上記実施の形態における蓋体320の蓋壁321の一対の移動制限部321aは有していない。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0083】
移動制限部311bは、底壁311のZ軸プラス方向の面からZ軸プラス方向に突出してZ軸方向に延びる突出部であり、ホルダ200bの貫通孔230をZ軸方向に貫通させた状態で配置される。つまり、移動制限部311bは、上記実施の形態における移動制限部311aをZ軸プラス方向に延ばしたような形状を有している。移動制限部311bは、Z軸プラス方向端部の貫通孔230を貫通した部分に雄ネジ部を有し、かつ、当該雄ネジ部と結合されるナット311cを有している。このように、移動制限部311bは、ホルダ200bに固定されることで、ホルダ200bをケース300Aに固定し、ホルダ200bの移動を制限する。なお、ナット311cは、移動制限部311bのZ軸プラス方向の端部に配置され、ホルダ200bのZ軸プラス方向の端部に接触しつつ移動制限部311bの雄ネジ部に締め付けられるため、ホルダ200bは、X軸方向およびY軸方向だけでなく、Z軸方向への移動も制限される。
【0084】
図8に示すように、変形例2におけるケース300Bは、上記実施の形態におけるケース本体310の底壁311の一対の移動制限部311aに代えて、一対の移動制限部311dを有している。ケース300Bは、上記実施の形態における蓋体320の蓋壁321の一対の移動制限部321aは有していない。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0085】
移動制限部311dは、ホルダ200bの貫通孔230をZ軸方向に貫通するボルトを有している。移動制限部311dは、さらに、当該ボルトの雄ネジ部と結合される雌ネジ部が形成された凹部311eを有している。つまり、本変形例では、上記変形例1のケース300Aにおいて底壁311から移動制限部311bを分離させたような構成となっている。このように、移動制限部311dは、ホルダ200bに固定されることで、ホルダ200bをケース300Bに固定し、ホルダ200bの移動を制限する。移動制限部311dは、底壁311から突出してホルダ200bの貫通孔230に挿入される凸部(雌ネジ部が形成)と、貫通孔230に挿入されて当該凸部の雌ネジ部と結合するボルトと、を有していてもよい。
【0086】
変形例1、2において、ケース300A、300Bは、蓋体320を有していなくてもよい。または、変形例1、2において、蓋体320に、ケース本体310の移動制限部311b、311dと同様の移動制限部を設け、ホルダ200bを蓋体320に固定してもよい。これによっても、当該移動制限部は、ホルダ200bに固定されることで、ホルダ200bをケース300A、300Bに固定し、ホルダ200bの移動を制限する。
【0087】
(変形例3)
図9は、本実施の形態の変形例3に係るケース300C及びホルダ201の構成を示す断面図である。
図9は、
図6に対応する図である。
【0088】
図9に示すように、本変形例におけるケース300Cは、上記実施の形態におけるケース本体310の底壁311の一対の移動制限部311aに代えて、一対の移動制限部311fを有し、蓋体320の蓋壁321の一対の移動制限部321aに代えて、一対の移動制限部321bを有している。ホルダ201は、上記実施の形態における一対の貫通孔230に代えて、一対の凸部231と一対の凸部232とを有している。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0089】
移動制限部311fは、凸部231が挿入される凹部であり、移動制限部321bは、凸部232が挿入される凹部である。本変形例では、移動制限部311fは、底壁311のZ軸プラス方向の面がZ軸マイナス方向に凹んだ、Z軸方向から見て四角形状(正方形状)のZ軸方向に延びる凹部である。移動制限部321bは、蓋壁321のZ軸マイナス方向の面がZ軸プラス方向に凹んだ、Z軸方向から見て四角形状(正方形状)のZ軸方向に延びる凹部である。凸部231は、ホルダ本体210からZ軸マイナス方向に突出してZ軸方向に延びる、直方体形状(Z軸方向から見て正方形状)の突出部(突起)である。凸部232は、ホルダ本体210からZ軸プラス方向に突出してZ軸方向に延びる、直方体形状(Z軸方向から見て正方形状)の突出部(突起)である。
【0090】
移動制限部311fは、底壁311をZ軸方向に貫通する貫通孔でもよく、当該貫通孔にホルダ201の凸部231が挿入されてもよい。移動制限部321bは、蓋壁321をZ軸方向に貫通する貫通孔でもよく、当該貫通孔にホルダ201の凸部232が挿入されてもよい。この場合、凸部231は、先端部に雄ネジ部が形成されており、底壁311を貫通した後にナットに接合されてもよい。凸部232についても同様である。
【0091】
以上のように、変形例1~3に係る蓄電装置1によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、変形例1、2では、移動制限部311b、311dがホルダ200bに固定されることで、ケース300A、300B内で、より強固にホルダ200bの移動を制限できる。これにより、ホルダ200bに保持されている蓄電素子100が移動するのをより強固に制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上をさらに図ることができる。
【0092】
変形例3では、ケース300Cに設けられる移動制限部311f、321bを、ホルダ201の凸部231、232が挿入される凹部(若しくは貫通孔)としている。これにより、凸部231、232を移動制限部311f、321bとしての凹部(若しくは貫通孔)に挿入することで、移動制限部311f、321bをホルダ201と接触する位置に配置できるため、簡易な構成で、ケース300C内でのホルダ201の移動を制限できる。したがって、簡易な構成で、ホルダ201に保持されている蓄電素子100が移動するのを制限できるため、蓄電装置1の耐振動性または耐衝撃性の向上を図る構成を容易に実現できる。
【0093】
上記実施の形態及び変形例3において、移動制限部は、ケース本体310及び蓋体320の双方に配置されることには限定されず、ケース本体310及び蓋体320の一方には配置されなくてもよい。蓋体320に移動制限部が配置されない場合、ケースは、蓋体320を有していなくてもよい。上記実施の形態及び変形例1~3において、移動制限部のZ軸方向から見た場合の形状は、特に限定されず、円形状、楕円形状、長円形状、四角形状以外の多角形状等でもよい。ホルダの貫通孔の形状等についても同様である。移動制限部は、ホルダに形成された凹部若しくは貫通孔に挿入される凸部、または、ホルダに形成された凸部が挿入される凹部若しくは貫通孔であればよい。または、移動制限部は、ホルダのY軸方向またはX軸方向の側面に接触する凸部でもよいし、ホルダの側面をY軸方向またはX軸方向で挟む2つの凸部でもよいし、ホルダの側面に接触する段差状の部位等でもよい。これらによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0094】
(その他の変形例)
上記実施の形態では、ケース300に設けられた移動制限部311a及び321aは、ホルダ200bに固定されて、ホルダ200bの、第一方向(Y軸方向)及び第三方向(X軸方向)の双方への移動を制限することとしたが、これには限定されない。移動制限部311aまたは321aは、ホルダ200bに固定されなくてもよいし、第一方向(Y軸方向)及び第三方向(X軸方向)の一方においてはホルダ200bの移動を制限しなくてもよい。
【0095】
上記実施の形態では、移動制限部311a、321aがホルダ200bに圧入(嵌合)により固定されることで、ホルダ200bについてX軸方向およびY軸方向への移動を制限できることを説明したが、移動制限部311a、321aがホルダ200bに圧入(嵌合)する程度に応じてホルダ200bについてZ軸方向の移動を制限することも可能である。
【0096】
上記実施の形態では、ケース300の内方に、X軸方向に並ぶ2つの蓄電ユニット10が収容されていることとしたが、X軸方向に並ぶ3つ以上の蓄電ユニット10が収容されていてもよいし、1つの蓄電ユニット10しか収容されていなくてもよい。ケース300の内方に、Y軸方向に並ぶ複数の蓄電ユニット10が収容されていてもよい。
【0097】
上記実施の形態では、ケース本体310はZ軸方向に十分な高さを有して蓄電ユニット10を収容し、蓄電ユニット10がXY平面から見て露出しないように構成したが、このことは必須ではない。ケース本体310はZ軸方向に蓄電ユニット10の3分の2または半分程度の高さを有して、蓄電ユニット10のZ軸マイナス方向の部位を収容し、蓄電ユニット10のZ軸プラス方向の部位を収容せずに露出させてもよい。この場合、蓋体320がZ軸方向に蓄電ユニット10の3分の1または半分程度の高さを有して、蓄電ユニット10のZ軸プラス方向の部位を収容するようにしてもよい。
【0098】
上記実施の形態では、ホルダ200bは、一対の第一ホルダ壁部221及び222と一対の第二ホルダ壁部223及び一対の第二ホルダ壁部224とを有していることとしたが、これらの壁部の全てを有することには限定されない。ホルダ200bは、これらの壁部のうちの少なくとも1つの壁部を有することで、蓄電素子100を保持できる構成であればよい。
【0099】
上記実施の形態では、ホルダ200bは、Y軸方向の中央に位置するように説明したが、このことは必須ではない。ホルダ200bは、Y軸プラス方向またはY軸マイナス方向に偏って配置されてもよいし、それに応じてホルダ200bよりもY軸プラス方向及びY軸マイナス方向において蓄電素子100及びホルダ200aの数が異なってもよい。
【0100】
上記実施の形態及び変形例では、例えば、
図6から
図9において、ホルダ200b、201はX軸方向の側面がケース壁部312、313と接触するように記載したが、ホルダ200b、201はケース壁部312、313と接触せずに、ケース壁部312、313との間に間隙を設けてもよい。
【0101】
上記実施の形態では、ホルダ200aは、ホルダ200bよりも厚みが薄いこととしたが、ホルダ200bよりも厚みが厚くてもよいし、ホルダ200bと同じ厚みでもよい。
【0102】
上記実施の形態において、全ての蓄電ユニット10のホルダ200bが上記の構成を有していることとしたが、いずれかの蓄電ユニット10のホルダ200bが上記の構成を有していなくてもよい。ホルダ200bにおいて、X軸方向の両側ともに上記の構成を有していることとしたが、X軸方向の片側が上記の構成を有していなくてもよい。
【0103】
上記実施の形態では、ホルダ200bが、ケース300によって移動が制限される上記構成を有することとしたが、ホルダ200aまたはホルダ200cがホルダ200bと同様の上記構成を有していてもよい。この場合、ケース300には、当該ホルダ200aまたはホルダ200cに対応して、移動制限部311a等が配置される。
【0104】
上記実施の形態では、スペーサ200(ホルダ200a、200b及び200c)は、蓄電素子100とY軸方向に交互に並んで配置されるが、いずれかのスペーサ200が配置されない構成でもよい。1つのスペーサ200(ホルダ200a、200bまたは200c)しか配置されない構成でもよい。
【0105】
上記実施の形態において、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100及びスペーサ200を拘束する拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)等を備えていてもよい。
【0106】
上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1 蓄電装置
10 蓄電ユニット
100 蓄電素子
110 容器
111 長側面
112 短側面
113 底面
140 電極端子
200 スペーサ
200a、200b、200c、201 ホルダ
210 ホルダ本体
220 ホルダ壁部
221 第一ホルダ壁部
222 第一ホルダ壁部
223 第二ホルダ壁部
224 第二ホルダ壁部
230 貫通孔
231、232 凸部
300、300A、300B、300C ケース
310 ケース本体
310a 開口
311 底壁
311a、311b、311d、311f、321a、321b 移動制限部
311c ナット
311e 凹部
312、313、314、322、323、324 ケース壁部
320 蓋体
321 蓋壁