(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136834
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ファン制御基板の検査方法、及びファン制御基板
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042747
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 一裕
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA27
2G036BB12
2G036CA12
(57)【要約】
【課題】PWM制御ファンに対する異常検知機能の自己診断が可能なファン制御基板の検査方法を提供する。
【解決手段】PWM制御ファン4にPWM信号を出力する出力端子12と、PWM制御ファン4から出力される回転速度信号が入力される入力端子13と、を備えたファン制御基板2の検査方法であって、出力端子12と入力端子13とをPWM制御ファン4を介することなく直接的に接続し、回転速度信号を模した検査用信号を出力端子12から出力した場合に入力端子13に入力される応答信号により自己診断を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PWM制御ファンにPWM信号を出力する出力端子と、前記PWM制御ファンから出力される回転速度信号が入力される入力端子と、を備えたファン制御基板の検査方法であって、
前記出力端子と前記入力端子とを前記PWM制御ファンを介することなく直接的に接続し、
前記回転速度信号を模した検査用信号を前記出力端子から出力した場合に前記入力端子に入力される応答信号により自己診断を行う、ファン制御基板の検査方法。
【請求項2】
前記検査用信号を外部から受信して前記自己診断を行う、請求項1に記載のファン制御基板の検査方法。
【請求項3】
外部から診断開始信号を受信した場合に、所定の前記検査用信号で前記自己診断を行う、請求項1に記載のファン制御基板の検査方法。
【請求項4】
前記検査用信号は、前記PWM制御ファンの正常回転速度及び異常回転速度の両方をそれぞれ模して形成される、請求項1乃至3のいずれかに記載のファン制御基板の検査方法。
【請求項5】
前記検査用信号は、前記PWM制御ファンの回転速度が0から最大値まで連続的に変化する場合の前記回転速度信号である、請求項1乃至3のいずれかに記載のファン制御基板の検査方法。
【請求項6】
PWM制御ファンにPWM信号を出力する出力端子と、
前記PWM制御ファンから出力される回転速度信号が入力される入力端子と、
前記出力端子を介して前記PWM信号を送信すると共に、前記入力端子を介して前記回転速度信号を受信することにより前記PWM制御ファンを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記出力端子と前記入力端子とが前記PWM制御ファンを介することなく直接的に接続された状態において、前記回転速度信号を模した検査用信号を前記出力端子から出力した場合に前記入力端子に入力される応答信号により自己診断を行うことができる、ファン制御基板。
【請求項7】
前記制御装置は、前記検査用信号を外部から受信して前記自己診断を行う、請求項6に記載のファン制御基板。
【請求項8】
前記制御装置は、外部から診断開始信号を受信した場合に、所定の前記検査用信号で前記自己診断を行う、請求項6に記載のファン制御基板。
【請求項9】
前記検査用信号は、前記PWM制御ファンの正常回転速度及び異常回転速度の両方をそれぞれ模して形成される、請求項6乃至8のいずれかに記載のファン制御基板。
【請求項10】
前記検査用信号は、前記PWM制御ファンの回転速度が0から最大値まで連続的に変化する場合の前記回転速度信号である、請求項6乃至8のいずれかに記載のファン制御基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン制御基板の検査方法、及びファン制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の空冷機構に関し、回転速度が可変のPWM制御ファンが広く使用されている。PWM制御ファンは、例えば当該電子機器を制御するための制御基板に接続されることにより、制御基板から入力されるPWM信号のデューティに応じた回転速度で駆動され、制御基板へ回転速度信号を出力する。このため、電子機器の制御基板は、ファン制御基板としてPWM制御ファンを制御することができると共に、PWM制御ファンの駆動状態を把握することも可能となる。
【0003】
また、上記のようなファン制御基板は、PWM制御ファンから入力される回転速度信号と、PWM制御ファンへ出力した制御信号との乖離を監視することで、運用時におけるPWM制御ファンの故障を診断することができる(例えば特許文献1を参照)。このとき、ファン制御基板は、PWM制御ファン自体の内部故障だけでなく、PWM制御ファンとの通信経路上の欠陥、例えば両者を接続する配線やコネクタピン等の不具合を含めて異常を検知することが可能な異常検知機能を有することになる。
【0004】
ところで、上記のようなファン制御基板は、PWM制御ファンや他の制御対象等を接続する組み立て工程の前に、基板単体が製造された段階での品質管理として基板検査が行われる。基板検査では、例えばPC等の汎用端末と接続されることにより、内部の各機能が正常に動作するか、及び異常信号の入力に対して適切に異常判定が可能か否か等の確認が行われる。
【0005】
当該基板検査において、PWM制御ファンの異常検知機能を診断する場合、ファン制御基板に運用時と同様の態様で検査用のPWM制御ファンを接続し、検査用のPWM制御ファンの駆動を物理的に停止させたときの異常検知の可否を判断する方法が考えられる。また、ファン制御基板に検査用の信号発生器を接続し、正常及び異常な回転速度信号をそれぞれ生成してファン制御基板に入力したときの異常検知の可否を判断する方法も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、PWM制御ファンを物理的に停止させる基板検査では、基板単体の検査であるにも拘らず検査用のPWM制御ファンが必要になるほか、ファン制御基板に入力される回転速度信号を細かく調整することができず高精度な検査ができない虞が生じる。また、検査用の信号発生器を使用する基板検査では、検査用専用端末としての当該信号発生器を常設しておく必要が生じる。
【0008】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、PWM制御ファンに対する異常検知機能の自己診断が可能なファン制御基板の検査方法、及びファン制御基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るファン制御基板の検査方法は、PWM制御ファンにPWM信号を出力する出力端子と、前記PWM制御ファンから出力される回転速度信号が入力される入力端子と、を備えたファン制御基板の検査方法であって、前記出力端子と前記入力端子とを前記PWM制御ファンを介することなく直接的に接続し、前記回転速度信号を模した検査用信号を前記出力端子から出力した場合に前記入力端子に入力される応答信号により自己診断を行う。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るファン制御基板は、PWM制御ファンにPWM信号を出力する出力端子と、前記PWM制御ファンから出力される回転速度信号が入力される入力端子と、前記出力端子を介して前記PWM信号を送信すると共に、前記入力端子を介して前記回転速度信号を受信することにより前記PWM制御ファンを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記出力端子と前記入力端子とが前記PWM制御ファンを介することなく直接的に接続された状態において、前記回転速度信号を模した検査用信号を前記出力端子から出力した場合に前記入力端子に入力される応答信号により自己診断を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、PWM制御ファンに対する異常検知機能の自己診断が可能なファン制御基板の検査方法、及びファン制御基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ファン制御基板を用いたバッテリバックアップユニットの概略構成図である。
【
図2】基板検査におけるファン制御基板の接続構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る検査方法を表すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る検査方法を表すフローチャートである。
【
図5】第3実施形態に係るファン制御基板に接続されるPWM制御ファンの特性を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。尚、本開示は、以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0014】
図1は、ファン制御基板2を用いたバッテリバックアップユニット1(BBU:Battery Backup Unit)の概略構成図である。ここでは、ファン制御基板2がBBUの制御機構として使用される場合を例示するが、本開示に係るファン制御基板2は、空冷ファンを制御するための制御基板であれば他の電子機器に採用されるものであってもよい。
【0015】
バッテリバックアップユニット1は、停電時であっても予め充電された二次電池から負荷へ電力を供給して動作を継続させるための電源装置であり、主要構成としてファン制御基板2、バッテリモジュール3、及びPWM制御ファン4を備える。
【0016】
ファン制御基板2は、本実施形態においては、バッテリモジュール3を制御する制御基板としての機能を有すると共に、PWM制御ファン4を制御する機能を有し、これらを行う制御装置10によりバッテリバックアップユニット1の全体を統括制御する。ここで、制御装置10は、例えば公知のマイコン制御回路であり、実装部品の1つとしてファン制御基板2に実装されている。
【0017】
また、ファン制御基板2には、バッテリ接続部11,出力端子12、入力端子13、及び後述する基板検査時に使用されるPC接続部14が設けられている。尚、ファン制御基板2には、図示しないその他の電子部品も実装されている。
【0018】
バッテリモジュール3は、例えば停電時に電力を供給可能な組電池を含む。バッテリモジュール3は、バッテリ接続部11を介してファン制御基板2との間で双方向通信を行うことができ、内部の組電池の電圧や温度をファン制御基板2に送信すると共に、ファン制御基板2により充放電制御される。
【0019】
PWM制御ファン4は、バッテリバックアップユニット1の動作に伴い発熱するファン制御基板2を冷却するための空冷ファンである。PWM制御ファン4は、出力端子12を介してファン制御基板2から入力されるPWM信号のデューティに応じた回転速度Nで駆動される。すなわち、ファン制御基板2は、当該PWM信号のデューティを調整することによりPWM制御ファン4の回転速度Nを変化させることができる。尚、PWM制御ファン4は、バッテリモジュール3の冷却に使用してもよい。
【0020】
PWM制御ファン4は、入力端子13を介してファン制御基板2へ回転速度信号を出力する。ここで、回転速度信号は、PWM制御ファン4の回転速度Nに応じた電圧として表現される。このため、ファン制御基板2は、入力端子13の電圧に基づいてPWM制御ファン4の回転速度Nを算出することで、PWM制御ファン4の駆動状態を把握することができる。そして、ファン制御基板2は、PWM制御ファン4から入力される回転速度信号と、PWM制御ファン4へ出力したPWM信号との回転数情報の乖離を監視することで、運用時におけるPWM制御ファン4の異常検知を行うことができる。
【0021】
次に、ファン制御基板2の基板検査について説明する。ファン制御基板2は、PWM制御ファン4等が取り付けられる前の基板単体が製造された段階で基板検査が行われる。以下では、当該基板検査のうち、主にPWM制御ファン4からの入力信号に対するファン制御基板2の異常検知機能を診断する手順について説明する。
【0022】
図2は、基板検査におけるファン制御基板2の接続構成図である。ファン制御基板2は、本実施形態における基板検査では、PC接続部14を介して汎用端末5に接続される。ここで、汎用端末5は、例えば公知のPC(Personal Computer)であり、ファン制御基板2との間で双方向通信を行うことができる。基板検査は、汎用端末5が実行するアプリケーション上で行われてもよい。
【0023】
また、ファン制御基板2の基板検査は、出力端子12と入力端子13とを、上記したPWM制御ファン4を介することなく、配線6により直接的に接続した状態で行われる。以下では、本開示に係るファン制御基板2の検査方法について、複数の実施形態をそれぞれ例示しつつ説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態に係る検査方法を表すフローチャートである。第1実施形態に係る検査方法は、主に汎用端末5が主体となって検査手順を管理する。より具体的には、汎用端末5は、回転速度信号を模した検査用信号をファン制御基板2に送信し、出力端子12から当該検査用信号を出力させる。
【0025】
ここで、当該検査用信号は、PWM制御ファン4の正常回転速度及び異常回転速度の両方をそれぞれ模して形成される。例えば、PWM制御ファン4の定格回転速度NrがNr=3000[min-1]である場合、汎用端末5は、まずファン制御基板2に当該定格回転速度Nrを送信し、正常回転速度の回転速度信号を出力するよう指示する(ステップS1)。
【0026】
このとき、ファン制御基板2の制御装置10は、本来PWM信号を出力すべき出力端子12から、受信した定格回転速度Nrに相当する回転速度信号を出力する(ステップS2)。また、制御装置10は、配線6を介して入力端子13に入力される応答信号から回転速度Nを算出する(ステップS3)。
【0027】
そして、制御装置10は、算出した回転速度Nが正常範囲内であるか否かを判定する(ステップS4)。このとき、算出された回転速度Nが、例えば定格回転速度Nr±10%の範囲に含まれる場合に正常範囲内であると判定することができる。
【0028】
回転速度Nが正常範囲内でないと判定された場合には(ステップS4でNo)、制御装置10は、入力端子13に正常回転速度に相当する回転速度信号が入力されているにも拘らず入力信号に対する適切な判断が成されていないものとして、基板検査のNG判定を行う(ステップS5)。また、制御装置10は、基板検査の判定結果を汎用端末5に送信し(ステップS6)、検査手順を終了する。
【0029】
一方、回転速度Nが正常範囲内であると判定された場合には(ステップS4でYes)、制御装置10は、正常回転速度に対して適切な判断が行われた旨を汎用端末5に送信する(ステップS7)。
【0030】
正常回転速度に対する判定結果を受信した汎用端末5は、続けて異常回転速度の回転速度信号を模した検査用信号をファン制御基板2に送信し、当該回転速度信号の出力指示を行う(ステップS8)。より具体的には、汎用端末5は、異常回転速度として例えば回転速度N=5000[min-1]の回転速度信号を送信する。
【0031】
これを受けて制御装置10は、N=5000[min-1]に相当する回転速度信号を出力端子12から出力する(ステップS9)。また、制御装置10は、配線6を介して入力端子13に入力される応答信号から回転速度Nを算出する(ステップS10)。
【0032】
そして、制御装置10は、算出した回転速度Nにより異常検知が行われるか否かを判定する(ステップS11)。回転速度Nが異常回転速度でないと判定された場合には(ステップS11でNo)、制御装置10は、異常回転速度に相当する回転速度信号が入力端子13に入力されているにも拘らず入力信号に対する適切な判断が成されていないものとして、基板検査のNG判定を行う(ステップS5)。また、制御装置10は、基板検査の判定結果を汎用端末5に送信し(ステップS6)、検査手順を終了する。
【0033】
一方、回転速度Nが異常回転速度であると判定された場合には(ステップS11でYes)、制御装置10は、異常回転速度に対して適切に異常検知が機能しているものとして、基板検査のOK判定を行う(ステップS12)。また、制御装置10は、基板検査の判定結果を汎用端末5に送信し(ステップS6)、検査手順を終了する。
【0034】
以上のように、第1実施形態に係るファン制御基板2の検査方法では、回転速度信号を模した検査用信号を出力端子12から出力した場合に入力端子13に入力される応答信号により基板検査を行う。これにより第1実施形態に係るファン制御基板2の検査方法では、運用時に使用されるPWM制御ファン4や検査用の専用端末としての信号発生器を使用することなく、PWM制御ファン4に対するファン制御基板2の異常検知機能の自己診断を行うことができる。
【0035】
また、第1実施形態に係るファン制御基板2の検査方法によれば、正常回転速度や異常回転速度として用いられる検査用信号を、外部の汎用端末5から受信して自己診断が行われる。このため、異常検知機能の自己診断において、汎用端末5から指示する検査用信号の回転速度Nを任意に設定することにより、例えば複数の異常回転速度に対する応答を確認するなど、検査項目を自由に変更することができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る検査方法について説明する。
図4は、第2実施形態に係る検査方法を表すフローチャートである。第2実施形態に係る検査方法は、汎用端末5から基板検査の開始信号を受けた制御装置10が、予め内部に設定された検査手順で自己診断を実行する。すなわち、本実施形態における基板検査では、ファン制御基板2の制御装置10に予め記憶された
図4に示すプログラムが実行されることによりファン制御基板2の自己診断が行われる。
【0037】
自己診断のプログラムが開始されると、ファン制御基板2の制御装置10は、まず外部の汎用端末5から診断開始信号を受信したか否かを判定する(ステップS13)。診断開始信号が受信されるまでは待機する(ステップS13でNo)。
【0038】
診断開始信号を受信すると、制御装置10は、正常な回転速度Nの検査用信号を出力端子12から出力する(ステップS14)。ここで出力される所定の検査用信号は、PWM制御ファン4が定格回転速度Nrで正常に駆動する場合に出力する回転速度信号を模して予め既定され、制御装置10に記憶されているものである。
【0039】
また、制御装置10は、配線6を介して入力端子13に入力される応答信号から回転速度Nを算出する(ステップS15)。
【0040】
そして、制御装置10は、算出した回転速度Nが正常範囲内であるか否かを判定する(ステップS16)。このとき、算出された回転速度Nが、例えば定格回転速度Nr±10%の範囲に含まれる場合に正常範囲内であると判定することができる。
【0041】
回転速度Nが正常範囲内でないと判定された場合には(ステップS16でNo)、制御装置10は、入力端子13に正常回転速度に相当する回転速度信号が入力されているにも拘らず入力信号に対する適切な判断が成されていないものとして、基板検査のNG判定を行い(ステップS17)、検査手順を終了する。
【0042】
一方、回転速度Nが正常範囲内であると判定された場合には(ステップS16でYes)、制御装置10は、続けて異常回転速度の回転速度信号を模した検査用信号を出力端子12から出力する(ステップS18)。異常回転速度は、例えば回転速度N=5000[min-1]の回転速度信号とすることができる。
【0043】
また、制御装置10は、配線6を介して入力端子13に入力される応答信号から回転速度Nを算出する(ステップS19)。そして、制御装置10は、算出した回転速度Nにより異常検知が行われるか否かを判定する(ステップS20)。
【0044】
回転速度Nが異常回転速度でないと誤って判定された場合には(ステップS20でNo)、制御装置10は、入力端子13に異常回転速度に相当する回転速度信号が入力されているにも拘らず入力信号に対する適切な判断が成されていないものとして、基板検査のNG判定を行う(ステップS17)。
【0045】
一方、回転速度Nが異常回転速度であると正しく判定された場合には(ステップS20でYes)、制御装置10は、異常回転速度に対して適切に異常検知機能が作動しているものとして、基板検査のOK判定を行う(ステップS21)。ここで、バッテリバックアップユニット1の運用時における異常検知を通知するためのブザーやランプ等がファン制御基板2に設けられている場合には、運用時と同様に当該警告部を動作させてもよい。
【0046】
以上のように、第2実施形態に係るファン制御基板2の検査方法では、回転速度信号を模した検査用信号を出力端子12から出力した場合に入力端子13に入力される応答信号により基板検査を行う。これにより第2実施形態に係るファン制御基板2の検査方法では、第1実施形態と同様に、PWM制御ファン4や検査用の専用端末としての信号発生器を使用することなく、PWM制御ファン4に対するファン制御基板2の異常検知機能の自己診断を行うことができる。
【0047】
また、第2実施形態に係るファン制御基板2の検査方法では、診断開始信号の受信を除き、検査手順をファン制御基板2のみで完結させることができる。尚、ファン制御基板2は、PC接続部14に替えて診断開始用のディップスイッチを設けた場合、当該ディップスイッチの操作に基づいて
図4に示す基板検査の手順を実行することにより、汎用端末5も不要とすることができる。
【0048】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る検査方法について説明する。
図5は、第3実施形態に係るファン制御基板2に接続されるPWM制御ファン4の特性を表すグラフである。本実施形態におけるPWM制御ファン4は、例えばPWM信号のデューティが60%の場合に通常回転としてN1=3500[min
-1]の回転速度Nで駆動し、PWM信号のデューティが100%の場合に高速回転としてN2=5000[min
-1]の回転速度Nで駆動するものとする。これにより、PWM制御ファン4は、例えば上記したバッテリモジュール3が放電時であるか充電時であるかによって2段階の回転速度Nを切り替えることができる。
【0049】
第3実施形態のPWM制御ファン4に接続されるファン制御基板2は、上記した第1実施形態又は第2実施形態と同様の検査方法で基板検査を行うことも可能であるが、2段階の正常回転速度及び異常回転速度に対する検査を纏めて行うことも可能である。
【0050】
すなわち、第3実施形態における検査方法では、PWM制御ファン4が停止状態から回転速度Nの最大値まで連続的に変化する場合に出力される回転速度信号を模した検査用信号を出力端子12に出力する。
【0051】
このとき、制御装置10は、検査用信号の出力と同時に入力端子13に入力される応答信号に基づいて回転速度Nを算出し、算出される回転速度Nが検査用信号通りに変化するか否かを判定する。すなわち、制御装置10は、回転速度NがN1±10%の範囲内、N2±10%の範囲内、及びその他の範囲となるタイミングによって、2つの正常回転速度、及び異常回転速度に対する応答を判定し、異常検知機能の自己診断を行うことができる。
【0052】
これにより、第3実施形態における検査方法によれば、複数の正常回転速度及び異常回転速度に対する異常検知機能の診断を纏めて行うことができる。
【0053】
<本発明の実施態様>
本発明の第1の実施態様は、PWM制御ファンにPWM信号を出力する出力端子と、前記PWM制御ファンから出力される回転速度信号が入力される入力端子と、を備えたファン制御基板の検査方法であって、前記出力端子と前記入力端子とを前記PWM制御ファンを介することなく直接的に接続し、前記回転速度信号を模した検査用信号を前記出力端子から出力した場合に前記入力端子に入力される応答信号により自己診断を行う、ファン制御基板の検査方法である。
【0054】
第1の実施態様に係るファン制御基板の検査方法は、ファン制御基板において運用時にPWM制御ファンに接続されることになる出力端子と入力端子とを互いに接続し、回転速度信号を模した検査用信号を出力端子から出力する。このとき、入力端子に入力される応答信号により算出される回転速度が適切か否かを判定することにより基板検査を行うことができる。これにより第1の実施態様に係るファン制御基板の検査方法によれば、PWM制御ファンや検査用の専用端末としての信号発生器を使用することなく、PWM制御ファンに対するファン制御基板の異常検知機能の自己診断を行うことができる。
【0055】
本発明の第2の実施態様は、上記した第1の実施態様において、前記検査用信号を外部から受信して前記自己診断を行う、ファン制御基板の検査方法である。
【0056】
第2の実施態様によれば、検査用信号を事前にファン制御基板に用意しておく必要が無く、また、異常検知機能の自己診断において、外部から送信される検査用信号の回転速度を任意に設定することにより、例えば複数の異常回転速度に対する応答を確認するなど、検査項目を自由に変更することができる。
【0057】
本発明の第3の実施態様は、上記した第1の実施態様において、外部から診断開始信号を受信した場合に、所定の前記検査用信号で前記自己診断を行う、ファン制御基板の検査方法である。
【0058】
第3の実施態様によれば、検査用信号をファン制御基板に予め設定しておくことにより、診断開始信号の受信を除き、自己診断の手順をファン制御基板のみで完結させることができる。
【0059】
本発明の第4の実施態様は、上記した第1乃至3のいずれかの実施態様において、前記検査用信号は、前記PWM制御ファンの正常回転速度及び異常回転速度の両方をそれぞれ模して形成される、ファン制御基板の検査方法である。
【0060】
第4の実施態様によれば、検査用信号として異常回転速度だけでなく正常回転速度に対する基板検査を行うことにより、出力端子及び入力端子の導通異常を含めて異常検知機能を診断することができる。
【0061】
本発明の第5の実施態様は、上記した第1乃至3のいずれかの実施態様において、前記PWM制御ファンの回転速度が0から最大値まで連続的に変化する場合の前記回転速度信号である、ファン制御基板の検査方法である。
【0062】
第5の実施態様によれば、正常回転速度及び異常回転速度に対する異常検知機能の診断を纏めて行うことができる他、例えば複数の正常回転速度に対する基板検査も同時に行うことができる。
【0063】
本発明の第6の実施態様は、PWM制御ファンにPWM信号を出力する出力端子と、前記PWM制御ファンから出力される回転速度信号が入力される入力端子と、前記出力端子を介して前記PWM信号を送信すると共に、前記入力端子を介して前記回転速度信号を受信することにより前記PWM制御ファンを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記出力端子と前記入力端子とが前記PWM制御ファンを介することなく直接的に接続された状態において、前記回転速度信号を模した検査用信号を前記出力端子から出力した場合に前記入力端子に入力される応答信号により自己診断を行うことができる、ファン制御基板である。
【0064】
第6の実施態様に係るファン制御基板は、運用時にPWM制御ファンに接続されることになる出力端子と入力端子とが互いに接続された状態で、回転速度信号を模した検査用信号を出力端子から出力する。このとき、入力端子に入力される応答信号により算出される回転速度が適切か否かを判定することにより基板検査を行うことができる。これにより第6の実施態様に係るファン制御基板によれば、PWM制御ファンや検査用の専用端末としての信号発生器を使用することなく、PWM制御ファンに対する異常検知機能の自己診断を行うことができる。
【0065】
本発明の第7の実施態様は、上記した第6の実施態様において、前記制御装置は、前記検査用信号を外部から受信して前記自己診断を行う、ファン制御基板である。
【0066】
第7の実施態様によれば、検査用信号を事前にファン制御基板に用意しておく必要が無く、また、異常検知機能の自己診断において、外部から送信される検査用信号の回転速度を任意に設定することにより、例えば複数の異常回転速度に対する応答を確認するなど、検査項目を自由に変更することができる。
【0067】
本発明の第8の実施態様は、上記した第6の実施態様において、前記制御装置は、外部から診断開始信号を受信した場合に、所定の前記検査用信号で前記自己診断を行うファン制御基板である。
【0068】
第8の実施態様によれば、検査用信号をファン制御基板に予め設定しておくことにより、診断開始信号の受信を除き、自己診断の手順をファン制御基板のみで完結させることができる。
【0069】
本発明の第9の実施態様は、上記した第6乃至8のいずれかの実施態様において、前記検査用信号は、前記PWM制御ファンの正常回転速度及び異常回転速度の両方をそれぞれ模して形成される、ファン制御基板である。
【0070】
第9の実施態様によれば、検査用信号として異常回転速度だけでなく正常回転速度に対する基板検査を行うことにより、出力端子及び入力端子の導通異常を含めて異常検知機能を診断することができる。
【0071】
本発明の第10の実施態様は、上記した第6乃至8のいずれかの実施態様において、前記PWM制御ファンの回転速度が0から最大値まで連続的に変化する場合の前記回転速度信号である、ファン制御基板である。
【0072】
第10の実施態様によれば、正常回転速度及び異常回転速度に対する異常検知機能の診断を纏めて行うことができる他、例えば複数の正常回転速度に対する基板検査も同時に行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
1 バッテリバックアップユニット
2 ファン制御基板
3 バッテリモジュール
4 PWM制御ファン
5 汎用端末
6 配線
10 制御装置
11 バッテリ接続部
12 出力端子
13 入力端子
14 PC接続部