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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136849
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】X線CT装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A61B6/03 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042773
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】小野 正彦
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA01
4C093EC41
4C093EC45
4C093EC60
4C093EE14
(57)【要約】
【課題】発電時に水を発生する発電部を保持した回転部の回転バランスを維持すること。
【解決手段】 実施形態に係るX線CT装置は、回転部と、水素タンクと、発電部と、貯水タンクと、排水タンクと、を備えている。前記回転部は、X線管とX線検出器とを回転可能に対向支持する。前記水素タンクは、前記回転部に設けられる。前記発電部は、前記回転部に設けられ、前記水素タンクから水素の供給を受け発電を行う。前記貯水タンクは、前記回転部に設けられ、前記発電により生じた水の一部を貯水する。前記排水タンクは、前記回転部に設けられ、前記発電により生じた水の他の一部を排水する。ここで、前記貯水タンクに貯水される水の重量は、前記水素タンクと前記貯水タンクとの重量の合計が一定となる重量である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管とX線検出器とを回転可能に対向支持する回転部と、
前記回転部に設けられる水素タンクと、
前記回転部に設けられ、前記水素タンクから水素の供給を受け発電を行う発電部と、
前記回転部に設けられ、前記発電により生じた水の一部を貯水する貯水タンクと、
前記回転部に設けられ、前記発電により生じた水の他の一部を排水する排水タンクと、
を備え、
前記貯水タンクに貯水される水の重量は、前記水素タンクと前記貯水タンクとの重量の合計が一定となる重量である、
X線CT装置。
【請求項2】
前記回転部に設けられ且つ前記排水タンクと接続され、少なくとも第1の断面積と第2の断面積との各々の領域を有する配管、を更に備え、
前記配管は、前記回転部の回転により、当該配管の内部の気圧を低下させることで前記排水タンク内の水を気化させて排出する、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記配管は、
前記第1の断面積を有し、前記回転部の回転により、空気を流入させる第1領域と、
前記第1の断面積より狭い前記第2の断面積を有し、前記流入した空気と前記気化した水とを合流させて排出する第2領域と、
前記第2領域と前記排水タンクとを連通させ、前記排水タンク内で気化した水を前記第2領域に供給する第3領域と、
を備えた請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記排水タンクを加熱するための加熱部、を更に備えた請求項2又は3に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記加熱部は、前記発電により生じた熱を前記排水タンクに伝達するヒートパイプを備えた請求項4に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記加熱部は、熱を発生するヒータを備えた、請求項4に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記発電により生じた水を8:1の重量割合で前記排水タンク及び前記貯水タンクに分配する分配機構、を更に備えた請求項1乃至6のいずれか一項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記水素タンクから減少した水素の重量を補うように前記水の一部を前記貯水タンクに分配し、前記水の他の一部を前記排水タンクに分配する分配機構、を更に備えた請求項1乃至6のいずれか一項に記載のX線CT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線高電圧装置を保持した回転部を有するCT架台を備えたX線CT(computed tomography)装置が知られている。この種のX線CT装置は、回転部が回転中でも、配電盤から供給される電力を、スリップリングを介してX線高電圧装置に供給可能となっている。
【0003】
一方、近年では、X線高電圧装置と発電部(燃料電池)との両者を保持した回転部を有するCT架台を備えたX線CT装置が検討されている。この種のX線CT装置は、回転部が回転中でも、配電盤から独立して燃料電池からX線高電圧装置に電力供給可能となっている。なお、このX線CT装置は、回転部の燃料電池からX線高電圧装置に電力を供給するので、スリップリングが不要である。係るX線CT装置では、燃料電池の特性上、電力の発電時に水が発生するため、発生した水をCT架台の回転部に保管する必要がある。具体的には例えば、発電を進めた結果、燃料の水素5kgを消費した場合、発生した45kgの水を回転部に保管する必要が生じる。このため、発電を進めると、CT架台の回転部の重量が変化し、回転バランスが崩れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-10167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、発電時に水を発生する発電部を保持した回転部の回転バランスを維持することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線CT装置は、回転部と、水素タンクと、発電部と、貯水タンクと、排水タンクと、を備えている。前記回転部は、X線管とX線検出器とを回転可能に対向支持する。前記水素タンクは、前記回転部に設けられる。前記発電部は、前記回転部に設けられ、前記水素タンクから水素の供給を受け発電を行う。前記貯水タンクは、前記回転部に設けられ、前記発電により生じた水の一部を貯水する。前記排水タンクは、前記回転部に設けられ、前記発電により生じた水の他の一部を排水する。ここで、前記貯水タンクに貯水される水の重量は、前記水素タンクと前記貯水タンクとの重量の合計が一定となる重量である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、同実施形態における架台装置に搭載される燃料電池システムを説明するためのブロック図である。
図3図3は、同実施形態における水素タンク及び貯水タンク等の配置の一例を説明するための模式図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る架台装置内の排水タンク及び配管等の構成を説明するための、Z軸方向から見た模式図である。
図5図5は、同実施形態における排水タンク及び配管の構成を説明するための、X軸方向から見た模式図である。
図6図6は、各実施形態の変形例における水素タンク及び貯水タンク等の配置を説明するための模式図である。
図7図7は、各実施形態の他の変形例における水素タンク及び貯水タンク等の配置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るX線CT装置について説明する。また、以下の説明では、異なる図面間における略同一部分に同一符号を付すことにより、重複した説明の記載を省略する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、一実施形態に係るX線CT装置1の構成を示すブロック図である。X線CT装置1は、X線管11から被検体Pに対してX線を照射し、当該照射されたX線をX線検出器12で検出する。X線CT装置1は、当該X線検出器12からの出力に基づいて、被検体Pに関するCT画像を生成する。
【0010】
図1に示すX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。架台装置10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台装置30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、X線CT撮影を実行する位置まで移動するための装置である。コンソール装置40は、架台装置10を制御するコンピュータである。
【0011】
例えば、架台装置10および寝台装置30はCT検査室に設置され、コンソール装置40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。なお、コンソール装置40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール装置40は、架台装置10及び寝台装置30とともに同一の部屋に設置されてもよい。いずれにしても架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
【0012】
架台装置10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17、DAS18及びファン28を有する。また、架台装置10は、図2に示す如き、後述する燃料電池システム20を備えている。
【0013】
図1に戻り、X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。照射された熱電子は、ターゲットの焦点に衝突した際のエネルギーによってX線に変換される。これにより、X線管11は、熱電子が衝突したターゲットの焦点から、被検体Pへ照射するX線を発生する。X線管11で発生したX線は、コリメータ17を介してコーンビーム形に成形され、被検体Pに照射される。
【0014】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器(半導体検出器)であっても構わない。
【0015】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転軸回りに回転可能に支持する。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13は、アルミニウム等の金属により形成された固定フレーム(図示せず)に回転可能に支持される。詳しくは、回転フレーム13は、ベアリングを介して固定フレームの縁部に接続されている。なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。このような回転フレーム13は、撮影空間をなす開口(ボア)が形成された略円筒形状の筐体に収容されている。開口はFOV19に略一致する。開口の中心軸は、回転フレーム13の回転軸Zに一致する。回転フレーム13の回転軸Zは、X線管11の回転軸Zと呼んでもよい。なお、DAS18が生成した検出データは、例えば発光ダイオード(LED)を有する回路基板90から光通信によって架台装置の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられた、フォトダイオードを有するデータ受信装置29に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレームから架台装置の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転可能に対向支持する回転部の一例である。
【0016】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられている。
【0017】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。制御装置15は、コンソール装置40からの指令に従い、X線高電圧装置14およびDAS18等を制御する。当該プロセッサは、例えば、当該メモリに保存されたプログラムを読み出して実現することで上記制御を実現する。また例えば、当該プロセッサは、当該プロセッサの回路内に上記制御の機能を論理回路として直接組み込むことで構成しても構わない。また、制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。また、制御装置15は、架台装置10の稼働時にファン28をオンし、架台装置10の非稼働時にファン28をオフさせる制御を行ってもよい。また、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。
【0018】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter))は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0019】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
【0020】
DAS18(Data Acquisition System)は、被検体Pにより減弱されたX線の強度を示すデジタル値を1ビューごとに収集する。DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、当該デジタル信号が示すデジタル値を有する検出データを生成する。検出データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、および収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値のセットである。なお、ビュー番号としては、ビューが収集された順番(収集時刻)を用いてもよく、X線管11の回転角度を表す番号(例、1~1000)を用いてもよい。また、DAS18が生成した検出データは、架台装置10に収容されたデータ受信装置29を介してコンソール装置40へと転送される。
【0021】
ファン28は、架台装置10の筐体に設けられ、架台装置10内の空気を筐体の外部に排出する。なお、ファン28としては、図示した1台のファン28に限らず、複数台のファンが架台装置10の筐体に設けられることが、後述する水蒸気や熱を排出する観点から好ましい。
【0022】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。
【0023】
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。
【0024】
寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。寝台駆動装置32は、コンソール装置40による制御、または制御装置15による制御に従い、天板33を移動する。例えば、寝台駆動装置32は、天板33に載置された被検体Pの体軸が回転フレーム13の開口の中心軸に一致するよう、天板33を被検体Pに対して直交方向に移動する。また、寝台駆動装置32は、架台装置10を用いて実行されるX線CT撮影に応じて、天板33を被検体Pの体軸方向に沿って移動してもよい。寝台駆動装置32は、制御装置15からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。寝台駆動装置32は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。
【0025】
支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0026】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
【0027】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。例えば、メモリ41は、CT画像や表示画像のデータを記憶する。また、メモリ41は、本実施形態に係る制御プログラムを記憶する。
【0028】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
【0029】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0030】
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じてX線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、スキャン制御機能445、表示制御機能446などを実行する。なお、各機能441~446は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~446を実現するものとしても構わない。
【0031】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。具体的には、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線CT装置1の各部を制御する。例えば、処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。
【0032】
前処理機能442は、データ受信装置29から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0033】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。
【0034】
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。
【0035】
スキャン制御機能445は、X線高電圧装置14に高電圧を供給させて、X線管11にX線を照射させるなど、X線スキャンに関する各種動作を制御する。例えば、スキャン制御機能445は、スキャン範囲、撮影条件等を決定するための被検体Pの2次元の位置決め画像データを取得する。なお、位置決め画像データはスキャノ画像データやスカウト画像データと呼ばれる場合もある。
【0036】
表示制御機能446は、各機能441~445による処理途中又は処理結果の情報を表示するようにディスプレイ42を制御する。
【0037】
以下、図1乃至図3を参照して、架台装置10に設けた燃料電池システム20の構成の一例を説明する。この燃料電池システム20は、回転フレーム13により、回転可能に支持されている。
【0038】
図2及び図3は、燃料電池システム20を説明するためのブロック図及び模式図である。この燃料電池システム20は、水素タンク21、FCスタック22、分配機構23、貯水タンク24、排水タンク25及びヒートパイプ26を備えている。なお、FCは、fuel cell(燃料電池)の略語である。
【0039】
ここで、水素タンク21は、回転フレーム13に設けられ、水素を貯蔵する。水素の貯蔵方式としては、例えば、気体の水素を高圧で圧縮して貯蔵する高圧水素タンク方式を用いている。但し、これに限らず、液体水素を貯蔵する液体水素タンク方式、又は水素を金属に吸蔵させる水素吸蔵合金方式等、といった他の方式を用いることも可能である。
【0040】
FCスタック22は、回転フレーム13に設けられ、水素タンク21から水素の供給を受け発電を行う。例えば、FCスタック22は、水素タンク21に貯蔵された水素を電気エネルギーに変換して直流電圧を昇圧コンバータ(図示せず)に出力し、発電により生じた水を分配機構23に送出する。FCスタック22としては、例えば、固体高分子形燃料電池(polymer electrolyte fuel cell:PEFC)などが適宜、使用可能となっている。なお、昇圧コンバータは、FCスタック22の電圧を昇圧する。すなわち、昇圧コンバータは、FCスタック22から出力された直流電圧を昇圧してコンバータ(図示せず)に供給する。具体的には、昇圧コンバータは、FCスタック22から出力された直流電圧が所望の電圧より低い場合に、当該直流電圧を昇圧する。コンバータは、昇圧コンバータから受けた直流電圧を適切な直流電圧に変換してインバータ(図示せず)に出力する。インバータは、コンバータから出力された直流電圧を交流変換し、前述したX線高電圧装置14に供給する。なお、FCスタック22は、発電部の一例である。
【0041】
分配機構23は、発電により生じた水を8:1の重量割合で排水タンク25及び貯水タンク24に分配する。補足すると、水素と酸素の質量比が1:8のとき、両者の反応により生成される水の質量比が9となる。このため、発電時に、水素タンク21で重量1の水素が減少すると、FCスタック22で重量9の水が生じる。分配機構23が重量9の水を8:1の重量割合で排水タンク25及び貯水タンク24に分配するので、水素タンク21の水素の重量1の減少分だけ貯水タンク24の水が重量1だけ増加する。このような分配機構23は、例えば、排水タンク25に接続された配管の断面積と、貯水タンク24に接続された配管の断面積との比を8:1にすることにより、実現可能となっている。
【0042】
貯水タンク24は、回転フレーム13に設けられ、FCスタック22での発電により生じた水の一部を貯水する。貯水タンク24に貯水される水は、水素タンク21で消費された水素に応じて、分配機構23から供給される。ここで、貯水タンク24に貯水される水の重量は、水素タンク21と貯水タンク24との重量の合計が一定となる重量である。例えば、水素タンク21の再充填までの累計で、水素タンク21から5kgの水素が消費された場合、貯水タンク24に5kgの水が貯水される。この場合、水素タンク21の重量が5kg減少し、貯水タンク24の重量が5kg増加したので、水素タンク21と貯水タンク24との重量の合計は一定となる。なお、水素タンク21を再充填した際には、図示しない排水弁を介して貯水タンク24内の水が廃棄される必要がある。また、貯水タンク24は、貯水用のタンクであるため、水素タンク21の再充填までに消費される水素の重量に応じた容積を有している。例えば、貯水タンク24の容積は、水素タンク21の再充填までに消費される水素の重量が5kgの場合、余裕分を考慮し、5~6リットルの範囲内としてもよい。
【0043】
また、貯水タンク24と水素タンク21とは、例えば、図3に示すように、回転フレーム13の回転方向rdに沿って略同一位置Poに配置される。なお、略同一位置Poは、「互いに隣接した位置」、「互いに近傍の位置」、又は「所定範囲内の位置」と読み替えてもよい。また、貯水タンク24及び水素タンク21は、略同一位置Poに配置されればよいので、必ずしも回転方向rdに沿って配置される必要はない。補足すると、略同一位置Poは、満タン状態の水素タンク21及び空状態の貯水タンク24を囲む領域の重心と、空状態の水素タンク21及び貯水状態の貯水タンク24を囲む領域の重心とがそれぞれ安定する位置であればよい。
【0044】
排水タンク25は、回転フレーム13に設けられ、FCスタック22での発電により生じた水の他の一部を排水する。なお、排水タンク25は、排水用のタンクであるため、発電により生じた水を一時的に保持する分の容積を有している。例えば、排水タンク25の容積は、貯水タンク24の容積よりも小さい値であり、1リットル以下でよい。
【0045】
ヒートパイプ26は、FCスタック22での発電により生じた熱を排水タンク25に伝達する。なお、ヒートパイプ26は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。ヒートパイプ26は、排水タンク25を加熱するための加熱部の一例である。
【0046】
以上のような構成によれば、X線CT装置1の回転フレーム13において、水素タンク21は水素をFCスタック22に供給する。FCスタック22は、供給された水素に応じて発電を行う。このとき、発電に伴って水が発生する。発電時に発生した水は、その全てが排水タンク25から架台外に排出するのではなく、8:1の重量割合で排水タンク25と貯水タンク24に分配する。
【0047】
このとき、貯水タンク24に溜まる水の重量は発電時に消費した水素の重量と同量である。例えば、発電時に重量1の水素の消費に伴って重量9の水が生じると、重量9の水が8:1の重量割合で排水タンク25及び貯水タンク24に分配される。よって、水素タンク21の水素の重量1の減少分だけ貯水タンク24の水が重量1だけ増加する。
【0048】
これにより、発電時に、燃料である水素が減少した際の回転フレーム13の回転バランスを一定に保つことができる。また、回転フレーム13において、貯水タンク24と水素タンク21とが略同一位置Poに配置されることにより、略同一位置Poの重量バランスを一定に保つことができる。従って、X線CT装置1では、FCスタック22の発電時に、回転バランスを維持した状態で回転フレーム13を回転させることができる。また、X線CT装置1は、回転フレーム13の回転が安定した状態で、X線CT撮影を行うことができる。
【0049】
上述したように第1の実施形態によれば、X線CT装置1は、回転部としての回転フレーム13と、水素タンク21と、発電部としてのFCスタック22と、貯水タンク24と、排水タンク25と、を備えている。回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転可能に対向支持する。水素タンク21は、回転フレーム13に設けられる。FCスタック22は、回転フレーム13に設けられ、水素タンク21から水素の供給を受け発電を行う。貯水タンク24は、回転フレーム13に設けられ、発電により生じた水の一部を貯水する。排水タンク25は、回転フレーム13に設けられ、発電により生じた水の他の一部を排水する。ここで、貯水タンク24に貯水される水の重量は、水素タンク21と貯水タンク24との重量の合計が一定となる重量である。すなわち、発電時に生じた水の一部を貯水する構成により、水素タンクの重量の減少分と貯水タンクの重量の増加分とが相殺し、両タンクの重量の合計が一定となるため、発電時に水を発生する発電部を保持した回転部の回転バランスを維持することができる。
【0050】
また、第1の実施形態の構成によれば、分配機構23を更に備えている。分配機構23は、発電により生じた水を8:1の重量割合で排水タンク25及び貯水タンク24に分配してもよい。この場合、上述した作用効果を得るための水の分配を高い精度で行うことができる。
【0051】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態の具体例であり、X線CT装置1において、排水タンク25から架台外に配水する構成の一例を示している。
【0052】
第2の実施形態に係るX線CT装置1は、図4及び図5に示すように、回転フレーム13に設けられ且つ排水タンク25と接続され、少なくとも第1の断面積と第2の断面積との各々の領域を有する配管27を更に備えている。なお、図4は排水タンク25及び配管27等をZ軸方向から見た模式図であり、図5は排水タンク25及び配管27をX軸方向から見た模式図である。図5中、ヒートパイプ26等は、図示を省略している。
【0053】
ここで、配管27は、排水タンク25内の水を水蒸気に変換して排出する機構である。具体的には、配管27は、回転フレーム13の回転により、当該配管27の内部の気圧を低下させることで排水タンク25内の水を気化させて排出する。例えば、配管27は、回転フレーム13により、当該配管27に空気を流入させ、配管途中の断面積を狭くすることで、配管27内に大気圧より小さい圧力を生成可能としている。また、配管27は、低圧となった狭い配管部分と排水タンク25とを接続し、排水タンク25内の圧力を低下させて、排水タンク25内の水を低温で蒸発させるようにしている。図4及び図5中、配管27は、第1領域27a、第2領域27b及び第3領域27cを備えている。
【0054】
配管27の第1領域27aは、第1の断面積A1を有し、回転フレーム13の回転により、空気を流入させる。詳しくは、配管27の第1領域27aは、一端の流入口27a1から流入させた空気を他端の絞り口27a2から第2領域27bに送出する。なお、絞り口27a2は、断面積が第2の断面積A2に絞られており、第2領域27bの一端27b1に溶接等で結合されている。第1領域27aは、「流入領域」又は「配管流入部」と呼んでもよい。
【0055】
配管27の第2領域27bは、第1の断面積A1より狭い第2の断面積A2を有し、当該流入した空気と当該気化した水とを合流させて排出する。詳しくは、配管27の第2領域27bは、一端27b1が第1領域27aに結合され、他端の排出口27b2が回転フレーム13の外部に向けて設けられている。また、配管27の第2領域27bは、一端27b1と排出口27b2との間の任意の位置で第3領域27cの一端27c1と溶接等で結合している。第2領域27bは、「低圧領域」又は「配管低圧部」と呼んでもよい。
【0056】
配管27の第3領域27cは、第2領域27bと排水タンク25とを連通させ、排水タンク25内で気化した水を第2領域27bに供給する。詳しくは、配管27の第3領域27cは、一端27c1が第2領域27bに結合され、他端27c2が排水タンク25に結合して設けられている。第3領域27cは、「連通領域」又は「配管連通部」と呼んでもよい。
【0057】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0058】
以上のような構成によれば、X線CT装置1において、前述同様に、FCスタック22の発電時に、回転バランスを維持した状態で回転フレーム13を回転させているとする。
【0059】
このとき、回転フレーム13の回転により、架台装置10内の空気が配管27へと流入する。配管27内の空気は、第1の断面積A1を有する第1領域27aから、狭い第2の断面積A2を有する第2領域27bを通って排出される。すなわち、配管27の第1領域27a及び第2領域27bにおける断面積は、A1>A2の関係にある。
【0060】
ここで、配管27において、第1領域27aより細い第2領域27bでは、空気の流れる速度が増加し、その結果、圧力が低下する。例えば、第1領域27a内の空気は、圧力p1を有し、流速v1で第2領域27bに流れる。第2領域27b内の空気は、狭い第2の断面積A2に応じて増加した流速v2で流れ、圧力p2が低下する。すなわち、配管27の第1領域27a及び第2領域27bにおける圧力は、p1>p2の関係にある。また、配管27の第1領域27a及び第2領域27bにおける流速は、v1<v2の関係にある。補足すると、配管27に引き込まれる空気の流量が一定の場合、配管27の断面積をA1からA2に狭めることで空気の流速がv1からv2に増加する(v2=(A1/A2)・v1)。流速が速くなると、ベンチュリ効果により、狭い断面積の第2領域27bでは圧力p2が大気圧よりも小さくなる。
【0061】
一方、排水タンク25は、低圧の第2領域27bに連通して圧力が低下する。また、排水タンク25は、FCスタック22の発電時に発生した熱がヒートパイプ26から伝達されて加熱される。これにより、低圧状態で加熱された排水タンク25内の水が気化して水蒸気となる。補足すると、大気圧より低い状態では水の沸点が下がるため、排水タンク25では、上昇した水温が100℃に達することなく、水が水蒸気に変化する。気体となった水蒸気は、排水タンク25から第3領域27cを介して低圧の第2領域27bに引き込まれ、空気と一緒に排出口27b2から架台内に排出される。排出された水蒸気と空気は、ファン28で架台外に排出される。
【0062】
上述したように第2の実施形態によれば、X線CT装置1は、回転フレーム13に設けられ且つ排水タンク25と接続され、少なくとも第1の断面積と第2の断面積との各々の領域を有する配管27、を更に備えている。配管27は、回転フレーム13の回転により、当該配管27の内部の気圧を低下させることで排水タンク25内の水を気化させて排出する。従って、前述した効果に加え、回転フレーム13の回転に応じて、排水タンク25内の水を気化させて排出することができる。
【0063】
また、第2の実施形態によれば、配管27は、第1領域27aと、第2領域27bと、第3領域27cとを備えてもよい。第1領域27aは、第1の断面積A1を有し、回転フレーム13の回転により、空気を流入させる。第2領域27bは、第1の断面積A1より狭い第2の断面積A2を有し、当該流入した空気と気化した水とを合流させて排出する。第3領域27cは、第2領域27bと排水タンク25とを連通させ、排水タンク25内で気化した水を第2領域27bに供給する。従って、前述した効果に加え、流体の流れの断面積を狭くすることで流速が増加して圧力が低下するベンチュリ効果を利用し、低圧状態の排水タンク25内の水を気化させて排出することができる。
【0064】
また、第2の実施形態によれば、排水タンクを加熱するための加熱部を更に備えている。加熱部であるヒートパイプ26は、発電により生じた熱を排水タンク25に伝達する。従って、ヒートパイプ26は、低圧状態の排水タンク25を加熱することにより、排水タンク25内の水の気化を促進することができる。
【0065】
(各実施形態の変形例)
第1及び第2の実施形態は、以下のように変形してもよい。
【0066】
分配機構23は、発電により生じた水を8:1の重量割合で分配したが、これに限定されない。例えば、分配機構23は、水素タンク21から減少した水素の重量を補うように、発電により生じた水の一部を貯水タンク24に分配し、発電により生じた水の他の一部を排水タンク25に分配してもよい。ここで、分配機構23は、水素タンク21から減少した水素の重量を、FCスタック22の発電量から求めてもよく、水素タンク21の水素残量から求めてもよい。また、分配機構23は、当該求めた水素の重量(減少分)だけ、発電により生じた水をポンプで貯水タンク24に分配し、残りの水を排水タンク25に分配してもよい。なお、この変形例は、分配する方法に関するものであり、分配結果としては、前述した8:1の重量割合で分配した結果と同様になる。従って、この変形例によれば、水素タンク21から減少した水素の重量を補うように貯水タンクに分配する構成により、前述した効果を得ることができる。
【0067】
また、貯水タンク24と水素タンク21とは、回転フレーム13の回転方向rdに沿って略同一位置Poに配置されたが、これに限定されない。例えば、貯水タンク24と水素タンク21とは、図6に示すように、回転フレーム13の回転軸方向(Z軸方向)に沿って略同一位置Poに配置されてもよい。なお、略同一位置Poは、前述同様に、「互いに隣接した位置」、「互いに近傍の位置」、又は「所定範囲内の位置」と読み替えてもよい。また、貯水タンク24及び水素タンク21は、略同一位置Poに配置されればよいので、必ずしも回転軸方向(Z軸方向)又は回転方向rdに沿って配置される必要はない。この変形例としても、前述同様に、略同一位置Poの重量バランスを一定に保つことができる。
【0068】
また、貯水タンク24及び水素タンク21は、回転フレーム13の回転軸を挟んで排水タンク25と対向する位置に配置されたが、これに限定されない。例えば、貯水タンク24及び水素タンク21は、図7に示すように、互いに略同一位置Poを保ったまま、排水タンク25の近傍に配置されてもよい。なお、「排水タンク25の近傍に配置」は、「排水タンク25に隣接して配置」又は「排水タンク25から所定範囲内に配置」と読み替えてもよい。いずれにしても、この変形例によれば、前述した効果に加え、FCスタック22を更に排水タンク25の近傍に配置することにより、FCスタック22と、貯水タンク24及び排水タンク25の各々との間の水配管を短くすることができる。
【0069】
また、ヒートパイプ26は、FCスタック22の発電時に発生した熱(損失分)を排水タンク25への加熱に有効活用したが、これに限定されない。例えば、ヒートパイプ26は、X線管11を冷却するための熱交換器の排熱や、X線高電圧装置14の前段のインバータのスイッチングロスにおける排熱を排水タンク25に伝達する構成としてもよい。このような変形例としても、前述した効果を得ることができる。
【0070】
また、排水タンク25を加熱するための加熱部がヒートパイプ26を備えたが、これに限定されない。例えば、加熱部は、ヒートパイプ26に代えて、熱を発生するヒータ26hを備えてもよい。このような変形例としても、前述した効果を得ることができる。
【0071】
また、配管27は、軸方向に沿って略直線形状を有する例を図示したが、これに限定されない。例えば、配管27は、軸方向に沿って、回転フレーム13の円周方向と略同一の曲線形状を有していてもよい。
【0072】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、発電時に水を発生する発電部を保持した回転部の回転バランスを維持することができる。
【0073】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムがメモリに保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0074】
また、X線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも各実施形態へ適用可能である。また、各実施形態は、一管球型のX線CT装置にも、X線管と検出器との複数のペアを回転リングに搭載した、いわゆる多管球型のX線CT装置にも適用可能である。また、各実施形態は、スキャンモードに応じて立位、臥位の両方の体位の被検体をスキャン可能なX線CT装置に適用してもよい。
【0075】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 X線CT装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
20 燃料電池システム
21 水素タンク
22 FCスタック
23 分配機構
24 貯水タンク
25 排水タンク
26 ヒートパイプ
26h ヒータ
27 配管
27a 第1領域
27b 第2領域
27c 第3領域
28 ファン
A1 第1の断面積
A2 第2の断面積
p1,p2 圧力
v1,v2 流速
Po 略同一位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7