(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136872
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】プレゼント用電子マネーシステムにおける装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20230922BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042799
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 遥奈
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA15
(57)【要約】
【課題】電子マネーをプレゼントとして贈る場合に、受領者が贈られた電子マネーを実際に使うたびに感謝の気持ちを伝える機会が得られる電子マネーシステムを提供する。
【解決手段】電子マネーシステムにおける仲介サーバ又は入金者端末として機能する装置であって、送金者の送金者端末からプレゼントする電子マネーの情報を受け付けるプレゼント用電子マネー情報受付手段と、入金者の電子マネー全体の残高を送金者別に区分して入金者端末に表示させる制御を行う残高区分表示制御手段と、区分して表示された残高ごとに、プレゼント用電子マネーの使用を可能とするアクティベイト手段とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーをプレゼント可能とする電子マネーシステムにおける仲介サーバとして機能する装置であって、
送金者の送金者端末から、プレゼント用電子マネーの情報を受け付けるプレゼント用電子マネー情報受付手段と、
入金者の電子マネー全体の残高を送金者別に区分して、入金者端末に表示させる制御を行う残高区分表示制御手段と、
前記区分して表示された残高ごとに、前記プレゼント用電子マネーの使用を可能とするアクティベイト手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
電子マネーをプレゼント可能とする電子マネーシステムにおける入金者端末として機能する装置であって、
送金者の送金者端末から、プレゼント用電子マネーの情報を受け付けるプレゼント用電子マネー情報受付手段と、
入金者の電子マネー全体の残高を送金者別に区分して表示する残高区分表示制御手段と、
前記区分して表示された残高ごとに、個々のプレゼント用電子マネーの使用を可能とするアクティベイト手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項3】
前記プレゼント用電子マネーを受け付ける店舗の店舗システムに接続し、前記プレゼント用電子マネーの特典情報を含む利用可能情報を照会する店舗情報照会手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
送金者が、前記プレゼント用電子マネーの入金者の使い道を指定する使い道指定手段と、
前記プレゼント用電子マネーの使用実績を、前記送金者端末及び前記入金者端末に報告する使用実績報告手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記使い道指定手段は、店舗のカテゴリ又は店舗識別子を指定可能とし、前記送金者がカテゴリのみを指定した場合は、当該カテゴリに属する店舗の電子マネー利用可能情報を提示し、前記送金者に選択させることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記使用実績報告手段は、前記店舗のシステムから、前記入金者が前記電子マネーを当該店舗で使用したことに応じて、前記電子マネーの使用実績及び送金者宛てのメッセージを受信し、前記送金者端末及び前記入金者端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記プレゼント用電子マネーが前記使い道指定手段で指定された店舗で使用されることを条件に、前記プレゼント用電子マネーに特典情報を付与することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記使用実績報告手段は、前記入金者がプレゼント用電子マネーを、指定された店舗で使用できない場合、又は使い残した場合は、前記入金者が使い道の指定先を変更可能とすること、又は前記入金者が使い残したプレゼント用電子マネーを通常の電子マネーに移動することの許可を、前記入金者が求めていることを前記送金者に報告することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
複数の送金者からの電子マネーを受領した場合、前記複数の送金者からの電子マネーの受領額を合算して支払可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項10】
電子マネーをプレゼント可能とするための方法であって、
電子マネーシステムを構成するコンピュータが、
送金者の送金者端末からプレゼント用電子マネーの情報を受け付けるステップと、
入金者の電子マネー全体の残高を送金者別に区分して表示するステップと、
前記区分して表示された残高ごとに、個々のプレゼント用電子マネーの使用を可能とするステップと、
を実行することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーをプレゼントとして贈るサービスを提供するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、お祝い金やお年玉などのプレゼントを現金でなく、キャッシュレスで贈るサービスが知られている。例えば、特許文献1には、個人間でデジタルギフトを贈ることができる個人間取引ギフトシステムが開示されている。また、特許文献2には、送信者から受信者に対しギフトデータとともに電子マネーあるいは電子データ受取データを送信可能なギフトシステムが開示されている。また、非特許文献1には、プリペイドカードがプレゼントに最適な理由やプレゼントとして贈ることが紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-49727号公報
【特許文献2】特開2017-191392号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Visaギフト、“プリペイドカードはプレゼントに最適! おすすめな理由や贈る方法を紹介”、[online]、[令和4年1月26日検索]、インターネット、<URL:https://www.vvgift.jp/biz/blog/i0021#>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のように、特に、コロナ禍で直接人と会うことの難しい現在、電子マネーでのプレゼントを贈る需要が増大していると考えられる。しかしながら、誰かにプレゼントを贈るときは、まだまだモノのプレゼントか現金が一般的で、電子マネーをプレゼントとして贈ることは普及しているとは言い難い。また、電子マネーによるプレゼントは、通常、対面ではないため、受領者が贈られた電子マネーを実際に使うたびに感謝の気持ちを伝えたり、逆に、贈り主が受領者の使い道を指定したり、使い道を報告してもらったりすることは困難である。
【0006】
したがって、本発明では、上記のような課題にかんがみ、電子マネーをプレゼントとして贈る場合に、受領者が贈られた電子マネーを実際に使うたびに、感謝の気持ちを伝える機会が得られ、贈り主が受領者の使い道を指定したり、使い道を報告してもらったりすることが可能な電子マネーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1)電子マネーをプレゼント可能とする電子マネーシステムにおける仲介サーバとして機能する装置であって、送金者の送金者端末から、プレゼントする電子マネーの情報を受け付けるプレゼント用電子マネー情報受付手段と、入金者の電子マネー全体の残高を送金者別に区分して、入金者端末に表示させる制御を行う残高区分表示制御手段と、前記区分して表示された残高ごとに、前記プレゼント用電子マネーの使用を可能とするアクティベイト手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
(2)電子マネーをプレゼント可能とする電子マネーシステムにおける入金者端末として機能する装置であって、送金者の送金者端末から、プレゼントする電子マネーの情報を受け付けるプレゼント用電子マネー情報受付手段と、入金者の電子マネー全体の残高を送金者別に区分して表示する残高区分表示制御手段と、前記区分して表示された残高ごとに、個々のプレゼント用電子マネーの使用を可能とするアクティベイト手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記プレゼント用電子マネーを受け付ける店舗の店舗システムに接続し、前記プレゼント用電子マネーの特典情報を含む利用可能情報を照会する店舗情報照会手段を更に備えることを特徴とする。
【0011】
(4)上記(1)又は(2)の構成において、送金者が、前記プレゼント用電子マネーの入金者の使い道を指定する使い道指定手段と、前記プレゼント用電子マネーの使用実績を、前記送金者端末及び前記入金者端末に報告する使用実績報告手段とを、更に備えることを特徴とする。
【0012】
(5)上記(4)の構成において、前記使い道指定手段は、店舗のカテゴリ又は店舗識別子を指定可能とし、前記送金者がカテゴリのみを指定した場合は、当該カテゴリに属する店舗の電子マネー利用可能情報を提示し、前記送金者に選択させることを特徴とする。
【0013】
(6)上記(5)の構成において、前記使用実績報告手段は、前記店舗のシステムから、前記入金者が前記電子マネーを当該店舗で使用したことに応じて、前記電子マネーの使用実績及び送金者宛てのメッセージを受信し、前記送金者端末及び前記入金者端末に送信することを特徴とする。
【0014】
(7)上記(4)の構成において、前記プレゼント用電子マネーが前記使い道指定手段で指定された店舗で使用されることを条件に、前記プレゼント用電子マネーに特典情報を付与することを特徴とする。
【0015】
(8)上記(4)の構成において、前記使用実績報告手段は、前記入金者がプレゼント用電子マネーを、指定された店舗で使用できない場合、又は使い残した場合は、前記入金者が使い道の指定先を変更可能とすること、又は前記入金者が使い残したプレゼント用電子マネーを通常の電子マネーに移動することの許可を、前記入金者が求めていることを前記送金者に報告することを特徴とする。
【0016】
(9)上記(1)又は(2)の構成において、複数の送金者からの電子マネーを受領した場合、前記複数の送金者からの電子マネーの受領額を合算して支払可能とすることを特徴とする。
【0017】
(10)電子マネーをプレゼント可能とするための方法であって、電子マネーシステムを構成するコンピュータが、送金者の送金者端末からプレゼントする電子マネーの情報を受け付けるステップと、入金者の電子マネー全体の残高を送金者別に区分して表示するステップと、前記区分して表示された残高ごとに、個々のプレゼント用電子マネーの使用を可能とするステップと、を実行することを特徴とする。
【0018】
(11)上記(10)に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子マネーをプレゼントとして贈る場合に、受領者が贈られた電子マネーを使うたびに感謝の気持ちを伝える機会が得られ、贈り主が受領者の使い道を指定したり、使い道を報告してもらったりすることが可能な電子マネーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のシステムの基本動作を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る電子マネーシステムの機能構成を示す図である。
【
図3】プレゼント用電子マネーの支払い画面の例を示す図である。
【
図4】プレゼント用電子マネーで支払完了後の画面の例を示す図である。
【
図5】複数の電子マネーを統合する操作の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る電子マネーシステムにおける仲介サーバの処理フローを示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る電子マネーシステムの機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明では、送金者(送信者とも呼ぶ)が、電子マネーの残高をプレゼントする際に、入金者(受領者とも呼ぶ)の使い道のカテゴリを指定できるようにする。例えば、祖父母から孫へ、「おもちゃ屋さんで使ってね」という風に、お年玉やお祝い事として電子マネーのやり取りが行われる。ここで、送金者がプレゼントとして贈る電子マネー(プレゼント用電子マネー)の使い道の指定を行うことができ、その際に、おもちゃ屋さんというようなカテゴリだけでなく、さらに限定して、使う店舗(例えば、「TOY天国○○店」)を指定することも可能である。ここで、店舗指定をすれば割引価格で購入できるなど、店舗発行のクーポン機能も利用できる。つまり、特定の店舗での使い道の指定をすれば、例えば1万円分の電子マネーを9千円でプレゼントすることができる。他にも、子供のお使い(スーパー、文房具等)、後輩へのねぎらい(飲食店、コンビニ等)などにも利用可能である。また、プレゼント用電子マネーを使い道に沿って使用すると、電子マネーの送金者に「何を購入したか」と「感謝のメッセージ」が送信される。このようにすることで、送金者がプレゼントを贈った実感を持つことができる。
【0022】
このようにすることで、プレゼント用電子マネーには、以下のような利点が挙げられる。
〇受領者にとって必ず喜んでもらえるプレゼントができる
〇送金者がある程度自分のチョイスでプレゼントができる
〇店舗からの割引があれば、お得にプレゼントができる
〇店舗にとっては、店舗指定のクーポン機能による、広告、販売促進効果が期待できる
〇電子マネーシステムを運用する事業者にとっては、電子マネーの利用増加に繋がる
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0024】
図1は、本システムの基本動作を説明するための図である。本システムは、プレゼント用電子マネーを仲介する仲介サーバと、送金者が所持する送金者端末と、入金者が所持する入金者端末とが、インターネットを介して交信可能に接続される。ここで、仲介サーバは、主に以下の処理を行う。
【0025】
(1)送金者端末(この例では「おじいちゃん」の端末)から、プレゼント用電子マネー情報として、送金者が入金する入金額(例えば9,000円)、店舗識別子(この例では「玩具店A」)を受け付ける。
【0026】
(2)店舗システム(玩具店A)から、プレゼント用電子マネーの利用可能情報、店舗識別子を取得し、送金者端末に送信する。ここでプレゼント用電子マネーの利用可能情報とは、当該店舗でプレゼント用電子マネーとして使用可能な金額であり、通常の電子マネーよりお得に買い物ができる。プレゼント用電子マネーを使用すると、例えば、1,000円のクーポンが店舗から付与され、送金者が入金した9,000円と合わせて総額10,000円の買い物ができる。言い換えれば、店舗のクーポンなどの割引金額をあらかじめ電子マネー情報に取り込んでプレゼントできる。
【0027】
(3)入金者端末(この例では「孫」の端末)に、送金者が入金した金額(9,000円)、当該店舗(玩具店A)でプレゼント用電子マネーを使用した場合の金額(10,000円)、玩具店Aの店舗識別子、及び送金者情報(おじいちゃん)を送信する。このとき、入金者端末(孫)のアプリでは、プレゼント用電子マネー(原価9,000円)を受信すると、自身の電子マネーウォレットに、プレゼント用電子マネーとして、10,000円がチャージ(入金)される。このプレゼント用電子マネー10,000円は、玩具店A以外で使用すると9,000円になる。
【0028】
(4)入金者(孫)が実際に玩具店Aでおもちゃをプレゼント用電子マネーの10,000円で購入する。このとき、孫が、おじいちゃん宛てのお礼のメッセージを手動で入力して、店舗システムに登録してもよい。また、手動でメッセージを入力せずとも、仲介サーバ又は玩具店の店舗システムで、定型文の自動メッセージが生成されるようにしてもよい。
【0029】
(5)店舗システム(玩具店A)から、プレゼント用電子マネーの使用実績、自動メッセージ又は手動メッセージを受信し、送金者端末に送信する。
【0030】
なお、他の送金者端末(例えば、「おばあちゃん」や「おかあさん」等)からの送金の場合も同様であるが、図示する「おかあさん」からの送金のように、使い道を指定していないときは、通常の電子マネーの送金として扱われる。この場合は、クーポンは付与されない。
【0031】
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態における本システムの機能構成を示す図である。本システムは、プレゼント用電子マネーサービスを提供する電子マネーシステムにおける仲介サーバ10と、1又は複数の送金者端末20と、入金者端末30と、複数の店舗の店舗システム40とが、インターネットを介して接続される。送金者端末20は、スマートフォン、PC、タブレット端末などであるが、入金者端末30は、電子マネーアプリケーション(以下、アプリ)を搭載したスマートフォン又は同等の携帯端末である。このアプリは、送金者端末20及び入金者端末30に、それぞれインストールされ、各端末と仲介サーバ10との通信を制御する。
【0032】
(仲介サーバの構成)
以下、仲介サーバ10(以下、単にサーバと呼ぶことがある。)の構成を詳細に説明する。仲介サーバ10とは、プレゼントとして贈る電子マネーの送金者と、その電子マネーの受領者(入金者)を仲介し、プレゼント電子マネーシステム固有の機能を提供するものである。
図1で示すように、仲介サーバ10は、端末送受信手段101と、店舗システム送受信手段102と、プレゼント用電子マネー情報受付手段103と、店舗情報照会手段104と、使い道指定手段105と、電子マネーデータ格納手段106と、残高区分表示制御手段107と、アクティベイト手段108と、使用実績報告手段109とを備えている。なお、仲介サーバ10は、通常の電子マネーシステムのサーバを機能拡張して提供してもよいし、通常の電子マネーシステムのサーバとは別のサーバとして提供してもよい。以下、各機能ブロックについて順次説明する。
【0033】
端末送受信手段101は、入金者から見て1又は複数の送金者の端末である送金者端末20、及び当該入金者の端末である入金者端末30とのデータの送受信の制御を行う。また、店舗システム送受信手段102は、本サービスに参加する複数の店舗システム40とのデータの送受信の制御を行う。
【0034】
プレゼント用電子マネー情報受付手段103は、送金者端末20から、プレゼントする電子マネーを受け渡すための情報であるプレゼント用電子マネー情報を受け付ける。すなわち、仲介サーバ10は、プレゼント用電子マネー情報を送金者が入力するための入力画面を生成して送金者端末20に送信する。プレゼント用電子マネー情報には、送金者識別子、入金者識別子、送金者が入金する入金額、入金者の使い道を指定するための店舗名又はカテゴリが含まれる。送金者の入金方法(チャージ方法)は、送金者の電子マネーで行ってもよいし、クレジットカードや銀行口座から行ってもよい。
【0035】
店舗情報照会手段104は、プレゼント用電子マネー情報で入力された店舗名から、店舗システム40の識別子を割り出し、当該店舗で利用可能な電子マネー利用可能情報を照会する。電子マネー利用可能情報には、プレゼント用電子マネーを当該店舗で使用した場合のクーポンなどの特典情報も含まれる。なお、送金者が店舗名を明示してないときは、後述の使い道指定手段105が、店舗のカテゴリ(業種など)を入力させ、そのカテゴリに属する店舗の一覧を利用可能として提示し、その中から店舗を選択させるようにしてもよい。
【0036】
使い道指定手段105は、入金者のプレゼント用電子マネーの使い道を送金者が指定するための店舗名又は店舗のカテゴリを送金者に指定させる。ここで、送金者が店舗のカテゴリのみを指定した場合は、店舗情報照会手段102が、当該カテゴリに属する店舗を検索し、電子マネー利用可能情報を提示し、送金者に店舗を選択させる。ただし、店店舗によってクーポンなどの特典情報が異なるので、利用者にとってお得な順に並べて提示するようにしてもよい。
【0037】
なお、一度指定した使い道を後に送金者が変更することも可能である。また、送金者の事前の了承があれば、入金者側が使い道を変更できるようにしてもよい。例えば、玩具店Aで目的の商品がなかったような場合には、別の玩具店で使用できるように店舗を変更できる(このときのクーポン額は変更後の店舗のものに変更される)。
【0038】
電子マネーデータ格納手段106は、使い道指定手段105で決定した使い道先の店舗名(店舗識別子)、及びその店舗で利用可能なプレゼント用電子マネーの金額(クーポンなどの特典の金額を含む)、送金者名(送金者識別子)などのデータを含む電子マネーデータを格納する。また、電子マネーデータ格納手段106に格納された入金者の電子マネーデータは、入金者端末30からいつでも参照が可能であり、入出金があるたびに残高が更新され、電子マネーウォレットして機能する。また、プレゼント用電子マネーの残高は、送金者が実際に送った金額(例えば、9,000円)、使い道として指定された店舗が付与するクーポンの額(例えば1,000円)の金額、およびその合計である10,000円に分けて管理される。なお、店舗側でクーポンの額は、電子マネーに付与する形態でなく、クーポンの金額を店頭で割り引くようにしてもよい。
【0039】
残高区分表示制御手段107は、電子マネーデータ格納手段106に格納された入金者の電子マネーデータを読み出し、入金者の電子マネー全体の残高、通常の電子マネー枠、プレゼント用電子マネー枠を区分し、送金者別に管理し、入金者端末30に区分して表示させる制御を行う。
【0040】
アクティベイト手段108は、残高区分表示手段107が区分して表示した電子マネーを、入金者が、プレゼント用電子マネーに対しては個々にアクティベイトさせる(支払い可能とさせる)機能を有する。例えば、送金者Aと送金者Bからプレゼント電子マネーを受け取っていた場合に、送金者Aの電子マネーをON/OFFするトグルスイッチなどで、「アクティブ」にすることで、初めてそのプレゼント用電子ネーが使用可能となる。逆にプレゼント電子マネーをアクティブにしない限り、支払いに使用できない。このようにすることで、入金者が、プレゼントされた電子マネーを使用する際に、誰から受け取った電子マネーであるかを否応なしに意識させることができ、その電子マネーを使用するごとに、感謝を伝える機会を与えることができる。
【0041】
使用実績報告手段109は、店舗システム40から、電子マネーの使用実績を受信し、送金者端末20及び入金者端末30に、その内容を確認のため送信する。使用実績には、入金者が店舗で作成した送金者へのメッセージを含んでいてもよいし、送金者へのメッセージを、この段階で作成する機能を備えていてもよい。また、メッセージは、入金者が作成せずとも、店舗システム40又は使用実績報告手段109が自動で生成するようにしてもよい。
【0042】
また、使用実績報告手段109は、単なる報告だけでなく、入金者からのリクエストも受けることができる。例えば、入金者がプレゼント用電子マネーを指定された店舗で使用できない場合、又は使い残した場合などに、入金者が指定先を変更すること、又は使い残したプレゼント用電子マネーを通常の電子マネーに移動することの許可を、入金者が求めていることを、送金者にメッセージなどで報告することができる。送金者がそれを許可すれば、入金者がそのようにすることがシステム上も可能となる。
【0043】
図3は、入金者がアプリを起動し、プレゼント用電子マネーを受信した後の、支払い画面の一例を示している。この例では、「おじいちゃん」から、「TOY天国○○店」限定で、10,000円のプレゼント用電子マネーが贈られ、また、「おばあちゃん」から、「□□スポーツ○○店」限定で、5,000円のプレゼント用電子マネーが贈られたことを示している。
【0044】
入金者が「おじいちゃん」からの10,000円を「TOY天国○○店」で使用したいときは、図のトグルスイッチ311をオンにし(このプレゼント用電子マネーをアクティブにする)、当該店舗のレジで表示すると、10,000円の買い物ができる。同様に、「おばあちゃん」からの5,000円を「□□スポーツ○○店」で使用したいときは、トグルスイッチ312をオンにし、このプレゼント用電子マネーがアクティブであることを表示して、当該店舗のレジで表示すると、5,000円の買い物ができる。
【0045】
ここで、
図3の符号313、314の領域で示すように、プレゼント用電子マネー枠313と通常の電子マネー枠314は、別々の区分で管理されるが、後述の所定の操作等により、両者間の移動や合算も可能である。なお、デフォルトでは、トグルスイッチ311,312はオフとし、少なくとも一つをオンしない限り、通常の電子マネー枠314から支払いが行われる。
【0046】
図4は、上記の「おじいちゃん」からの10,000円のプレゼント用電子マネーを使い、「TOY天国○○店」で9,999円の支払いを完了した後の画面の例である。このとき、メッセージ欄314で示すように、送金者へのお礼や報告メッセージを生成するようにしてもよい。このメッセージは、入金者の選択により、入金者が自分で入力してもよいし、店舗システム側又はサーバ側で定型文を自動生成するようにしてもよい。
【0047】
図2に戻り、入金者端末30は、プレゼンド用電子マネーの使用実績と送金者端末20に最終的に送ったメッセージを受信し、電子マネーの使用履歴として保管しておく。ここで、プレゼント用電子マネーを使い道で指定された店舗で使い残した場合は、次回、同じ店舗で使用できるクーポン等があるかどうかを確認するため、再度その店舗の店舗情報を確認する必要がある。使い残したプレゼント用電子マネーが、その店舗で使い切れないときは、通常の電子マネー枠に移動してもよい。ただし、クーポンなどの特典は、通常の電子マネーに移すことはできない。
【0048】
図5は、入金者が複数の電子マネーを統合する操作の一例を示す。この例では、「おじいちゃん」から貰った10,000円では指定の店舗で買える商品がなかったような場合、「おじいちゃん」に増額を申し出るのは気が引けるので、別途、「おかあさん」から通常の電子マネーとしてもらった2,000円の一部又は全部を「おじいちゃん」からのプレゼント用電子マネーに合算して支払可能とすることができる。このときの操作方法としては、例えば、図中の通常電子マネー枠317をクリックし、「おじいちゃん」からのプレゼント用電子マネー枠316の上にドラッグ&ドロップするようにしてもよい。この例では、通常の電子マネー枠の残高の2,000円全額を、プレゼント用電子マネー枠316に移動している様子を示している。
【0049】
ここで、金額の内訳としては、「おじいちゃん」からの9,000円と、店舗からのクーポン1,000円に、「おかあさん」からの2,000円が加わる。このとき、店舗のクーポンが固定額でなく、使用した金額の一定割合で付与される場合は、仮にその率を10%とすると、元金が9,000円+2,000円の11,000円となるのでクーポン(割引額)は1,100円に増額されることになる。
【0050】
なお、「おかあさん」の送った金額が通常の電子マネーでなく、「TOY天国」限定のプレゼント用電子マネーであれば、使い道が同じなので、自動的に合算されるようにしてもよい。ただし、このような場合は、送金者が使用履歴を見ると、自分の贈った金額がいつのまにか増えているように見えるので、入金者は、メッセージ等で、その理由(「おかあさん」から2,000円補助してもらったなど)を送金者に伝えるようにすることが望ましい。また、贈られたプレゼント用電子マネーを使い残した場合は、送金者の許可をもらって、その残高を通常電子マネーに振り替えるようにしてもよい。このようにすることで、贈られたプレゼント用電子マネーを1円も無駄にすることがなくなる。
【0051】
(処理フロー)
図6は、仲介サーバ10の処理フローを示した図である。この処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0052】
仲介サーバは、まずステップS10において、利用者又は店舗から受信した要求を調べ、送金者からのプレゼント用電子マネーの受付要求であるか否かをチェックする。送金者からのプレゼント用電子マネーの受付要求であればステップS11に進むが、そうでなければステップS20に進んで、店舗からのプレゼント用電子マネーの使用報告であるか否かをチェックする。以下、各ステップを逐次説明する。
【0053】
ステップS11:送金者(送金者端末)から、電子マネーをプレゼントとして贈るためのプレゼント用電子マネー情報を受け付ける。具体的には、プレゼント用電子マネー情報受付画面を送金者端末に表示し、必要な情報を送金者に入力してもらう。
【0054】
ステップS12:ステップS11で取得したプレゼント用電子マネー情報に、電子マネーの使い道が指定されているがどうかをチェックする。使い道は、店舗を特定できる名称や識別子が望ましいが、店舗が特定できない場合は、店舗のカテゴリ又は業種などを入力してもらい、複数の候補の中から、その一つを選択してもらうようにする。なお、個別の店舗でなくカテゴリだけを指定してよいが、そのときはクーポンなどの特典情報は、店舗によって異なるので、入金者が実際に使用するときに改めて特典情報を取得できるようにする。
【0055】
ステップS13:ステップS11で取得したプレゼント用電子マネー情報に、使い道が指定されている場合は、指定されている店舗のシステムに紹介し、利用可能なプレゼント用電子マネーの情報(クーポンや割引率などの特典情報、有効期限など)を取得する。使い道が指定されていなければステップS17に移る。
【0056】
ステップS14:使い道に指定された店舗に利用可能な電子マネー情報(特典情報を含む)があるか否かをチェックする。
【0057】
ステップS15:店舗に利用可能な電子マネー情報があれば、入金者端末にプレゼント用電子マネー情報を送信する(贈る)。利用可能な電子マネー情報が複数あれば、入金者がその中から選択可能にする。
【0058】
ステップS16:店舗に利用可能な電子マネー情報がなければ、その旨を送金者に通知し、次のアクションを求める。
【0059】
ステップS17:通常の電子マネーの送金として処理する。ただし、送金者識別子は記録される。
【0060】
ステップS20:店舗システムからのプレゼント用電子マネーの使用報告(使用実績)であるか否かをチェックする。
【0061】
ステップS21:送金者に送るメッセージを自動で送るか、手動で送るかの判断を入金者に求める。特に手動メッセージでは、お礼や報告だけでなく、送金者に対して使い道の変更の許可などのリクエストを含めることができる。
【0062】
ステップS22:メッセージを手動で送る場合は、ここで入金者からのメッセージを受け付ける。具体的には、
図4のメッセージ欄314に入力させる。なお、メッセージは、この段階で初めて入力してもよいし、既に店舗システムで受け付けた自動又は手動メッセージがあるときは、この段階でそのメッセージを編集できるようにしてもよい。
【0063】
ステップS23:最後に、使用履歴及び最終的なメッセージを、送金者端末及び入金者端末に送信して処理を終了する。
【0064】
なお、図示は省略するが、仲介サーバが処理する他の機能として、入金者の求めに応じて、送金者が一度指定した使い道を変更する機能、支払額を変更(増額/減額)する機能、入金者が、同一店舗又は同一チェーン店を指定した複数のプレゼントマネーを合算できる機能などがある。
【0065】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態における本システムの機能構成を示す図である。第2の実施形態では、第1の実施形態では仲介サーバ10が備えていた主要な機能を、入金者端末30側で実現したものである。具体的には、
図2で示した、サーバ側で備えてた、プレゼント用電子マネー情報受付手段103、店舗情報照会手段104、使い道指定手段105、電子マネーデータ格納手段106、残高区分表示制御手段107、マネーアクティベイト手段108、及び使用実績報告手段109を、入金者端末30側に備え、入金者端末30にインストールされた電子マネーのアプリケーション(アプリ)が、仲介サーバ10と交信して(場合によっては協業して)、第1の実施形態と同等の機能を実現するものである。
【0066】
このアプリは、本システム用に新規に開発されたものでもよいが、既存の電子マネーアプリに、本システム固有の以下の機能が拡張されたものであってもよい。そのようにすることで、本システムを、既存の様々な電子マネーに適合させることができる。以下、第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0067】
ただし、電子マネーデータ格納手段106は、第1の実施形態と機能的には同じである。電子マネーデータ格納手段106は、第2の実施形態でもサーバ側に残し、電子マネーデータをサーバ上で管理するものとする。
【0068】
電子マネーデータ編集手段301は、新たに追加した機能であり、複数の送金者からのプレゼント用電子マネーを受領した場合、この複数の電子マネーの受領額を合算して支払うことも可能とする。また、送金者の同意があれば、使い道の指定先を変更したり、プレゼント用電子マネーを通常の電子マネーに移動したりする機能も提供する。もちろん、第1の実施形態でも、入金端末30からの入力をサーバが受信して処理することで、同等の機能をサーバ側で提供することもできる。
【0069】
使用実績受信手段109aは、第1の実施形態と異なり、店舗システム40から直接、プレゼント用電子マネーの使用実績を受信し、送金者端末10に報告する機能を有する。
【0070】
以上説明した上記の本システムの
図2,
図7の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとするなど更なる変形例を構築してもよい。
【0071】
各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0072】
(実施形態の効果)
本システムによれば、電子マネーをプレゼントする場合に、受領者が実際に電子マネーを使うときに感謝の気持ちを伝えることができる。すなわち、入金者が、プレゼントされた電子マネーを使用する際に、誰から受け取った電子マネーであるかを否応なしに意識させることができ、使用するごとに感謝を伝える機会が得られる。また、送金者が、入金者に対して使い道をある程度指定することもできる。また、入金者が指定した店舗で電子マネーを使用したことを示す利用実績の報告を受けることもできる。
【0073】
また、送金者が電子マネーの使い道を指定するときは、店舗名(店舗識別子)であってもよいし、店舗のカテゴリ(業種)でもよい。カテゴリのみを指定したときは、サーバが、そのカテゴリに属する店舗を照会し、各店舗の利用可能情報や特典情報を提示することもできる。
【0074】
また、使い道として指定された店舗の店舗システムから、入金者が電子マネーを当該店舗で使用したことに応じて、電子マネーの使用実績及び送金者宛てのメッセージを受信し、送金者に送信することで、送金者は電子マネーが指定どおりに使用されたことを知るとともに、入金者からの報告やお礼のメッセージを受け取ることができる。このようにすることで、送金者がプレゼントを贈った実感を持つことができる。
【0075】
また、店舗システムは、プレゼント用電子マネーが使い道指定手段で指定された店舗で使用されることを条件に、プレゼント用電子マネーに特典情報を付与するので、プレゼント用電子マネーの利用促進に繋がる。
【0076】
また、入金者が、贈られたプレゼント用電子マネーを、指定された店舗で使用できないとき、又は使い残した場合は、入金者が指定先を変更可能とするか、又は入金者が使い残したプレゼント用電子マネーを、通常の電子マネーに移動することを許可するように求めていることを送金者に報告することができる。したがって、送金者が同意すれば、贈られた電子マネーを1円も無駄なく消費することができる。
【0077】
なお、上記の実施形態では、主要な機能を、サーバ単独又は端末単独で実現する形態を示したが、サーバと端末が協業して実現する形態も可能である。また、本実施形態では、電子マネーシステムを対象としたが、電子マネー以外での送金方法にも応用が可能である。
【0078】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0079】
なお、上記の実施形態では、本発明を「物」の発明として、電子マネーシステムや仲介サーバについて説明したが、本発明は、電子マネーシステムを構成するコンピュータが実行する「方法」の発明又はコンピュータの「プログラム」の発明としても捉えることもできる。
【符号の説明】
【0080】
10 仲介サーバ
20 送金者端末
30 入金者端末
40 店舗システム
101 端末送受信手段
102 店舗システ送受信手段
103 プレゼント用電子マネー情報受付手段
104 店舗情報照会手段
105 使い道指定手段
106 電子マネーデータ格納手段
107 残高区分表示制御手段
108 アクティベイト手段
109 使用実績報告手段
301 電子マネー編集手段
310 プレゼント用電子マネー支払い画面
311~317 各画面中の特定の表示領域、入力領域
320 プレゼント用電子マネー支払い完了画面