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特開2023-13691通信監視装置、通信監視システム、および通信監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013691
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】通信監視装置、通信監視システム、および通信監視方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/00 20150101AFI20230119BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20230119BHJP
【FI】
H04B17/00
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118054
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】桑原 哲也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE16
5K067LL01
(57)【要約】
【課題】電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報を効率よく取得できる通信監視装置を提供する。
【解決手段】通信監視装置10は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得部12と、当該電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否か、および当該電波の状態が危険状態から注意状態に遷移したことを示す第2条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否かを判定する判定部14と、判定部14によって電波情報が第1条件を満たしたと判定された場合に無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、判定部14によって電波情報が第2条件を満たしたと判定された場合に無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャ部16とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得部と、
前記電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否か、および前記電波の状態が危険状態から前記注意状態に遷移したことを示す第2条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された場合に前記無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、前記判定部によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合に前記無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャ部とを備える、
通信監視装置。
【請求項2】
前記キャプチャ部は、前記判定部によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合、前記電波情報が前記第2条件を満たしたタイミングから所定期間経過後に前記無線フレームのキャプチャを終了する、
請求項1に記載の通信監視装置。
【請求項3】
前記キャプチャ部によってキャプチャされた前記無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記電波の状態が前記注意状態から前記危険状態に遷移したことを示す第3条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否かをさらに判定し、
前記記憶部は、前記判定部によって前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された後、前記判定部によって前記電波情報が前記第3条件を満たしたと判定された場合、前記電波情報が前記第1条件を満たしたタイミングから前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた前記無線フレームのうち、前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミング以前の所定期間にキャプチャされた前記無線フレーム以外の前記無線フレームに含まれる前記フレーム情報を削除する、
請求項1または2に記載の通信監視装置。
【請求項4】
前記キャプチャ部によってキャプチャされた前記無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記電波の状態が前記注意状態から前記危険状態に遷移したことを示す第3条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否かをさらに判定し、
前記記憶部は、前記判定部によって前記電波情報が前記第3条件を満たしたと判定された後、前記判定部によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合、前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミングから前記電波情報が前記第2条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた前記無線フレームのうち、前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミング以後の所定期間にキャプチャされた前記無線フレーム以外でありかつ前記電波情報が前記第2条件を満たしたタイミング以前の所定期間にキャプチャされた前記無線フレーム以外の前記無線フレームに含まれる前記フレーム情報を削除する、
請求項1または2に記載の通信監視装置。
【請求項5】
前記電波情報は、前記無線通信ネットワークにおける無線通信に関する情報である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の通信監視装置。
【請求項6】
前記電波情報は、前記無線通信ネットワークにおける、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の少なくとも1つを含む、
請求項5に記載の通信監視装置。
【請求項7】
無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得装置と、
前記電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を前記取得装置によって取得された前記電波情報が満たしたか否か、および前記電波の状態が危険状態から前記注意状態に遷移したことを示す第2条件を前記取得装置によって取得された前記電波情報が満たしたか否かを判定する判定装置と、
前記判定装置によって前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された場合に前記無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、前記判定装置によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合に前記無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャ装置とを備える、
通信監視システム。
【請求項8】
無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得ステップと、
前記電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を前記取得ステップにおいて取得された前記電波情報が満たしたか否か、および前記電波の状態が危険状態から前記注意状態に遷移したことを示す第2条件を前記取得ステップにおいて取得された前記電波情報が満たしたか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された場合に前記無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、前記判定ステップにおいて前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合に前記無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャステップとを含む、
通信監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信監視装置、通信監視システム、および通信監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信を監視する通信監視装置が知られている。通信監視装置の一例として、特許文献1には、無線通信で送受信されるフレームを取得する取得部と、取得部が取得する複数のフレームの属性情報を基にして、無線通信で利用される各チャンネルの電波占有率等を算出する算出部とを有する測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-207813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の測定装置では、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正であるか否かに拘わらずフレームを取得するので、電波の状態が適正でなくなった場合に、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報を効率よく取得できないという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報を効率よく取得できる通信監視装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信監視装置は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得部と、前記電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否か、および前記電波の状態が危険状態から前記注意状態に遷移したことを示す第2条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された場合に前記無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、前記判定部によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合に前記無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャ部とを備える。
【0007】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正ではないときおよびその付近においてだけ、無線フレームのキャプチャを行い易くなり、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために不要な無線フレームをキャプチャすることを抑制できるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報を効率よく取得できる。
【0008】
また、前記キャプチャ部は、前記判定部によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合、前記電波情報が前記第2条件を満たしたタイミングから所定期間(ΔT2)経過後に前記無線フレームのキャプチャを終了してもよい。
【0009】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正になったタイミングから所定期間における無線フレームは、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用であり、有用な無線フレームをキャプチャすることができるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0010】
また、前記キャプチャ部によってキャプチャされた前記無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記電波の状態が前記注意状態から前記危険状態に遷移したことを示す第3条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否かをさらに判定し、前記記憶部は、前記判定部によって前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された後、前記判定部によって前記電波情報が前記第3条件を満たしたと判定された場合、前記電波情報が前記第1条件を満たしたタイミングから前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた前記無線フレームのうち、前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミング以前の所定期間(ΔT1)にキャプチャされた前記無線フレーム以外の前記無線フレームに含まれる前記フレーム情報を削除してもよい。
【0011】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正でなくなったタイミング以前における古い無線フレームのうち所定期間にキャプチャされた無線フレーム以外の無線フレームに含まれるフレーム情報は、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用ではなく、この有用ではない無線フレームに含まれるフレーム情報を削除することができるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0012】
また、前記キャプチャ部によってキャプチャされた前記無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記電波の状態が前記注意状態から前記危険状態に遷移したことを示す第3条件を前記取得部によって取得された前記電波情報が満たしたか否かをさらに判定し、前記記憶部は、前記判定部によって前記電波情報が前記第3条件を満たしたと判定された後、前記判定部によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合、前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミングから前記電波情報が前記第2条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた前記無線フレームのうち、前記電波情報が前記第3条件を満たしたタイミング以後の所定期間(ΔT3)にキャプチャされた前記無線フレーム以外でありかつ前記電波情報が前記第2条件を満たしたタイミング以前の所定期間(ΔT4)にキャプチャされた前記無線フレーム以外の前記無線フレームに含まれる前記フレーム情報を削除してもよい。
【0013】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正でない期間が長期間に亘る場合、当該期間の真ん中辺りにおける無線フレームは、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用ではなく、有用ではない無線フレームに含まれるフレーム情報を削除することができるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0014】
また、前記電波情報は、前記無線通信ネットワークにおける無線通信に関する情報であってもよい。
【0015】
これによれば、無線通信ネットワークにおける無線通信に関する情報は、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用であるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0016】
また、前記電波情報は、前記無線通信ネットワークにおける、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
これによれば、無線通信ネットワークにおける、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率は、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用であるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信監視システムは、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得装置と、前記電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を前記取得装置によって取得された前記電波情報が満たしたか否か、および前記電波の状態が危険状態から前記注意状態に遷移したことを示す第2条件を前記取得装置によって取得された前記電波情報が満たしたか否かを判定する判定装置と、前記判定装置によって前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された場合に前記無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、前記判定装置によって前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合に前記無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャ装置とを備える。
【0019】
これによれば、通信監視システムは、上記通信監視装置と同様の効果を奏する。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信監視方法は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得ステップと、前記電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を前記取得ステップにおいて取得された前記電波情報が満たしたか否か、および前記電波の状態が危険状態から前記注意状態に遷移したことを示す第2条件を前記取得ステップにおいて取得された前記電波情報が満たしたか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記電波情報が前記第1条件を満たしたと判定された場合に前記無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、前記判定ステップにおいて前記電波情報が前記第2条件を満たしたと判定された場合に前記無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャステップとを含む。
【0021】
これによれば、通信監視方法は、上記通信監視装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、通信監視装置等は、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報を効率よく取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施の形態に係る通信監視装置の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、電波情報、第1閾値、および第2閾値を示す表である。
図3図3は、サーベイサマリデータを示す表である。
図4図4は、図1の通信監視装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、図4の動作の続きを示すフローチャートである。
図6図6は、図5の動作の続きを示すフローチャートである。
図7図7は、図1の通信監視装置の他の動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、エラーフレーム率の時間変化を示すグラフである。
図9図9は、他の実施の形態に係る通信監視システムの機能構成を示すブロック図である。
図10図10は、エラーフレーム率の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0026】
また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0027】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る通信監視装置10の機能構成を示すブロック図である。図2は、電波情報、第1閾値、および第2閾値を示す表である。図3は、サーベイサマリデータを示す表である。図1から図3を参照して、通信監視装置10の機能構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、通信監視装置10は、取得部12と、判定部14と、キャプチャ部16と、記憶部18と、出力部20とを備えている。たとえば、取得部12、判定部14、キャプチャ部16、記憶部18、および出力部20は、1つの装置の筐体内に設けられる。通信監視装置10は、1以上の通信装置1a,1b,1c,1d,1eを備える無線通信ネットワークにおける通信を監視する装置である。
【0029】
取得部12は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する。より具体的には、取得部12は、予め設定された1チャンネル以上の無線フレームを受信することで、電波情報を取得する。ここで、たとえば、電波情報は、無線通信ネットワークにおける無線通信に関する情報である。電波情報は、具体的には図2に示すように、無線通信ネットワークにおける無線帯域の帯域占有率、無線通信ネットワークにおけるエラーフレーム率、および無線通信ネットワークにおける再送フレーム率を含む。なお、たとえば、電波情報は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のうち、1つのみを含んでいてもよいし、2つのみを含んでいてもよい。ここで、以後、少なくとも電波情報を含むデータをサーベイデータと呼ぶことにする。取得部12は、1以上の無線モジュール等によって実現される。
【0030】
たとえば、取得部12は、無線通信ネットワークにおける無線フレームを受信し、受信した無線フレームに基づいて電波情報を取得する。具体的には、たとえば、取得部12は、所定期間において1以上の通信装置1a,1b,1c,1d,1eの間で送受信された複数の無線フレームを受信し、受信した複数の無線フレームに含まれている情報から、所定期間における、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率等を算出して取得する。
【0031】
図3に示すように、たとえば、取得部12は、受信した複数の無線フレームに含まれている情報から、電波情報を含むサーベイサマリデータを作成する。たとえば、サーベイサマリデータは、CurrentTime、TotalFrameCount、CorrectFrameCount、ErrorFrameCount、RetryFrameCount、BandOccupy、CaptureStartTime、CaptureFile、CaptureFileCount、およびCaptureFileNameを含んでいる。ここで、サーベイサマリデータとは、取得部12により取得されるサーベイデータのうち、たとえば、外部装置(図示しない)などに備わる解析ツールに提供すべき情報を抽出したデータであり、複数のサーベイデータから当該抽出したデータを一群としたデータである。
【0032】
CurrentTimeは、取得部12によってサーベイサマリデータが作成された作成時刻を示す情報である。たとえば、当該作成時間は、UNIX(登録商標)時刻で表される。TotalFrameCountは、取得部12によって受信された無線フレームの総数を示す情報である。CorrectFrameCountは、取得部12によって受信された無線フレームのうち、FCS(FrameCheckSequence)が正しいフレームの総数を示す情報である。ErrorFrameCountは、取得部12によって受信された無線フレームのうち、FCSが不正なエラーフレームの総数を示す情報である。RetryFrameCountは、取得部12によって受信された無線フレームのうち、再送フレームの総数を示す情報である。
【0033】
BandOccupyは、帯域占有率を示す情報である。CaptureStartTimeは、キャプチャ部16によって無線フレームのキャプチャが開始された開始時刻を示す情報である。たとえば、当該開始時刻は、UNIX(登録商標)時刻で表される。CaptureFileは、キャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレームに含まれるフレーム情報が記憶されたキャプチャファイルのファイル情報である。CaptureFileCountは、キャプチャファイルの総数を示す情報である。CaptureFileNameは、キャプチャファイルのファイル名を示す情報である。
【0034】
図1に示すように、判定部14は、無線通信ネットワークにおける電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否か、および無線通信ネットワークにおける電波の状態が危険状態から注意状態に遷移したことを示す第2条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否かを判定する。たとえば、注意状態は、無線通信ネットワークにおける電波の状態が正常状態よりも悪化した状態であり、危険状態は、無線通信ネットワークにおける電波の状態が注意状態よりも悪化した状態である。また、判定部14は、無線通信ネットワークにおける電波の状態が注意状態から危険状態に遷移したことを示す第3条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否かをさらに判定する。第1~第3条件は、後ほど詳しく説明する。たとえば、判定部14は、プロセッサ等によって実現される。
【0035】
たとえば、電波情報が、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率を含んでいる場合、第1条件は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の全てが第1閾値以下である状態(正常状態)から、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のうちの少なくとも1つが第1閾値よりも大きい状態(注意状態)に遷移することである。
【0036】
たとえば、第1閾値は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のそれぞれについて個別に設定されている。図2に示すように、たとえば、帯域占有率についての第1閾値は60%、エラーフレーム率についての第1閾値は30%、再送フレーム率についての第1閾値は30%に設定される。
【0037】
たとえば、帯域占有率が60%以下でありかつエラーフレーム率が30%以下でありかつ再送フレーム率が30%以下である場合、判定部14は、取得部12によって取得された電波情報が第1条件を満たしていないと判定する。一方、たとえば、帯域占有率が60%以下でありかつエラーフレーム率が30%以下でありかつ再送フレーム率が30%以下である状態から、帯域占有率が60%よりも大きい状態になった場合、判定部14は、取得部12によって取得された電波情報が第1条件を満たしたと判定する。
【0038】
また、たとえば、電波情報が、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率を含んでいる場合、第2条件は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のうちの少なくとも1つが第2閾値よりも大きい状態(危険状態)から、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の全てが第2閾値以下である状態(注意状態)に遷移することである。
【0039】
たとえば、第2閾値は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のそれぞれについて個別に設定されている。図2に示すように、たとえば、帯域占有率についての第2閾値は80%、エラーフレーム率についての第2閾値は50%、再送フレーム率についての第2閾値は50%に設定される。
【0040】
たとえば、帯域占有率が80%よりも大きい場合、判定部14は、取得部12によって取得された電波情報が第2条件を満たしていないと判定する。一方、たとえば、帯域占有率が80%よりも大きい状態から、帯域占有率が80%以下でありかつエラーフレーム率が50%以下でありかつ再送フレーム率が30%以下である状態になった場合、判定部14は、取得部12によって取得された電波情報が第2条件を満たしたと判定する。
【0041】
また、たとえば、電波情報が、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率を含んでいる場合、第3条件は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の全てが第2閾値以下である状態(注意状態)から、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のうちの少なくとも1つが第2閾値よりも大きい状態(危険状態)に遷移することである。
【0042】
たとえば、帯域占有率が80%以下でありかつエラーフレーム率が50%以下でありかつ再送フレーム率が50%以下である場合、判定部14は、取得部12によって取得された電波情報が第3条件を満たしていないと判定する。一方、たとえば、帯域占有率が80%以下でありかつエラーフレーム率が50%以下でありかつ再送フレーム率が50%以下である状態から、帯域占有率が80%よりも大きい状態になった場合、判定部14は、取得部12によって取得された電波情報が第3条件を満たしたと判定する。
【0043】
キャプチャ部16は、判定部14によって電波情報が第1条件を満たしたと判定された場合に無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、判定部14によって電波情報が第2条件を満たしたと判定された場合に無線フレームのキャプチャを終了する。キャプチャを開始する第1条件では、第1閾値を上回ることが判定対象である一方、キャプチャを終了する第2条件では、第2閾値を下回ることが判定対象と非対称であるのは、状況が時間とともに悪化していく状態(注意状態から危険状態へと遷移する状態)のデータが電波の状態が悪化している原因を探るのに重要と考えるからである。たとえば、キャプチャ部16は、1以上の無線モジュール等によって実現される。
【0044】
たとえば、キャプチャ部16は、判定部14によって電波情報が第2条件を満たしたと判定された場合、電波情報が第2条件を満たしたタイミングから所定期間経過後に無線フレームのキャプチャを終了する。たとえは、当該所定期間は、予め設定される。
【0045】
記憶部18は、キャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレームに含まれるフレーム情報等を記憶する。具体的には、たとえば、記憶部18は、キャプチャ部16によって無線フレームがキャプチャされる度に、当該無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する。たとえば、記憶部18は、メモリ等によって実現される。
【0046】
記憶部18は、判定部14によって電波情報が第1条件を満たしたと判定された後、判定部14によって電波情報が第3条件を満たしたと判定された場合、電波情報が第1条件を満たしたタイミングから電波情報が第3条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた無線フレームのうち、電波情報が第3条件を満たしたタイミング以前の所定期間にキャプチャされた無線フレーム以外の無線フレームに含まれるフレーム情報を削除する。たとえば、当該所定期間は、予め設定される。たとえば、当該所定期間は、30分間である。
【0047】
出力部20は、記憶部18に記憶されているフレーム情報等を出力する。たとえば、出力部20は、記憶部18に記憶されているサーベイサマリデータを10分間隔で可視化アプリケーションデータベースにアップロードする。たとえば、出力部20は、1以上の無線モジュール、有線LAN、およびUSBやシリアルインタフェース等によって実現される。
【0048】
以上、通信監視装置10の機能構成について説明した。
【0049】
図4は、図1の通信監視装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、図4の動作の続きを示すフローチャートである。図6は、図5の動作の続きを示すフローチャートである。図4から図6を参照して、通信監視装置10のサーベイ動作の一例について説明する。
【0050】
図4に示すように、取得部12は、無線通信ネットワークにおける無線フレームを受信する(ステップS1)。たとえば、無線通信ネットワークにおける無線フレームは、複数の通信装置1a,1b,1c,1d,1eの間で送受信される無線フレームである。たとえば、取得部12は、予め設定された1チャンネル以上のチャンネルにおける無線フレームを受信する。
【0051】
取得部12は、無線フレームを受信すると、受信した無線フレームに含まれるサーベイデータを記憶部18に記憶させる(ステップS2)。たとえば、サーベイデータは、当該無線フレームの送信に使用されている無線帯域を示す情報、無線フレームの再送情報、FCS等を含んでいる。
【0052】
取得部12は、サーベイデータを記憶部18に記憶させると、第1期間が経過したか否かを判定する(ステップS3)。たとえば、第1期間は、予め設定される。たとえば、第1期間は、1分間である。
【0053】
取得部12は、第1期間が経過していない場合(ステップS3でNo)、無線通信ネットワークにおける無線フレームを再度受信する(ステップS1)。
【0054】
取得部12は、第1期間が経過している場合(ステップS3でYes)、記憶部18に記憶されているサーベイデータに基づいて、第1期間における帯域占有率を算出して記憶部18に記憶させる(ステップS4)。たとえば、取得部12は、予め設定された1チャンネル以上のチャンネルにおける帯域占有率を各チャンネル毎に算出する。
【0055】
取得部12は、帯域占有率を算出すると、記憶部18に記憶されているサーベイデータに基づいて、第1期間におけるエラーフレーム率を算出して記憶部18に記憶させる(ステップS5)。たとえば、取得部12は、第1期間においてエラーフレームを受信する度に、エラーフレームの数を示すカウント値を加算し、第1期間におけるエラーフレームの総数を算出する。そして、取得部12は、第1期間において受信したエラーフレームの総数を、第1期間において受信した無線フレームの総数で除算することによって、第1期間におけるエラーフレーム率を算出する。
【0056】
取得部12は、エラーフレーム率を算出すると、記憶部18に記憶されているサーベイデータに基づいて、第1期間における再送フレーム率を算出して記憶部18に記憶させる(ステップS6)。たとえば、取得部12は、第1期間において再送フレームを受信する度に、再送フレームの数を示すカウント値を加算し、第1期間における再送フレームの総数を算出する。そして、取得部12は、第1期間において受信した再送フレームの総数を、第1期間において受信した無線フレームの総数で除算することによって、第1期間における再送フレーム率を算出する。
【0057】
以上のようにして、取得部12は、第1期間における、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率を算出し、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する(取得ステップ)。
【0058】
次に図5に示すように、判定部14は、取得部12によって算出された帯域占有率が第1閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS7)。
【0059】
判定部14は、取得部12によって算出された帯域占有率が第1閾値よりも大きくない場合(ステップS7でNo)、取得部12によって算出されたエラーフレーム率が第1閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS8)。
【0060】
判定部14は、取得部12によって算出されたエラーフレーム率が第1閾値よりも大きくない場合(ステップS8でNo)、取得部12によって算出された再送フレーム率が第1閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS9)。判定部14は、取得部12によって算出された再送フレーム率が第1閾値よりも大きくない場合(ステップS9でNo)、無線通信状態は正常であると判定して、キャプチャフラグがセットされている場合にはキャプチャフラグをリセット(ステップS10)し、処理を終了する。なお、判定部14は、処理を終了した後、再度、無線フレームの受信(ステップS1)から処理を開始する。
【0061】
本実施の形態では、判定部14が、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の順に第1閾値との比較を行う場合について説明したが、第1閾値との比較を行う順番については特に限定されない。第2閾値との比較および第3閾値との比較についても同様である。
【0062】
判定部14は、取得部12によって算出された帯域占有率が第1閾値よりも大きい場合(ステップS7でYes)、取得部12によって算出されたエラーフレーム率が第1閾値よりも大きい場合(ステップS8でYes)、または取得部12によって算出された再送フレーム率が第1閾値よりも大きい場合(ステップS9でYes)、のいずれか(第1条件)を満たすと、無線通信状態は正常でないと判定して、キャプチャフラグがセットされていない場合にはキャプチャフラグをセットする(ステップS11)。
【0063】
判定部14によってキャプチャフラグがセットされると、キャプチャ部16は、無線フレームのキャプチャを開始し、記憶部18は、キャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレーム情報の記憶を開始する。たとえは、判定部14は、キャプチャフラグをセットした後、キャプチャ部16によるキャプチャの開始時刻を記憶部18に記憶させる。
【0064】
以上のようにして、判定部14は、ステップS7~S9により帯域占有率等が第1閾値よりも大きい否かを判定することによって、取得部12によって取得された電波情報が第1条件を満たしたか否かを判定する(判定ステップ)。
【0065】
判定部14は、キャプチャフラグをセットした後所定期間(第2期間)が経過すると、取得部12によって算出された帯域占有率が第2閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS12)。
【0066】
判定部14は、取得部12によって算出された帯域占有率が第2閾値よりも大きくない場合(ステップS12でNo)、取得部12によって算出されたエラーフレーム率が第2閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS13)。
【0067】
さらに判定部14は、取得部12によって算出されたエラーフレーム率が第2閾値よりも大きくない場合(ステップS13でNo)、取得部12によって算出された再送フレーム率が第2閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS14)。
【0068】
判定部14は、取得部12によって算出された再送フレーム率が第2閾値よりも大きくない場合(ステップS14でNo)、処理を終了する。なお、判定部14は、処理を終了した後、再度、無線フレームの受信(ステップS1)から処理を開始する。
【0069】
以上のようにして、判定部14は、帯域占有率等のいずれかが第2閾値よりも大きい否かを判定することによって、取得部12によって取得された電波情報が第3条件を満たしたか否かを判定する。
【0070】
ステップS11でキャプチャフラグがセットされ、キャプチャ部16が無線フレームのキャプチャを開始し、記憶部18がキャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレーム情報の記憶を開始するが、この状態で、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のいずれかが第2閾値を超えた場合、記憶部18は、記憶領域を効率よく使用するため、第2閾値を超えたその時点から遡って所定期間(第3期間:図8におけるΔT1)より古い期間にキャプチャされた無線フレーム情報があれば削除する(ステップS15)。
【0071】
さらにこの後、判定部14は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったか否かを判定する(ステップS16)。たとえば、取得部12によって無線フレームからサーベイデータがさらに取得され、判定部14は、取得部12によってさらに取得されたサーベイデータに基づいて、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率を算出し、算出した帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったか否かを判定する。
【0072】
以上のようにして、判定部14は、エラーフレーム率等が第2閾値以下になったか否かを判定することによって、取得部12によって取得された電波情報が第2条件を満たしたか否かを判定する(判定ステップ)。
【0073】
判定部14は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になっていない場合(ステップS16でNo)、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったか否かを繰り返し判定する(ステップS16)。たとえば、取得部12によって無線フレームからサーベイデータがさらに取得され、判定部14は、取得部12によってさらに取得されたサーベイデータに基づいて、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率を算出し、算出した帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったか否かを判定する。
【0074】
判定部14は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になった場合(ステップS16でYes)、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったタイミングから所定期間(第4期間:図8におけるΔT2)が経過したか否かを判定する(ステップS17)。
【0075】
判定部14は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったタイミングから所定期間(第4期間)が経過していない場合(ステップS17でNo)、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったタイミングから所定期間が経過したか否かを繰り返し判定する(ステップS17)。
【0076】
判定部14は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率が第2閾値以下になったタイミングから所定期間が経過した場合(ステップS17でYes)、キャプチャフラグをリセットし(ステップS18)、処理を終了する。なお、判定部14は、処理を終了した後、再度、無線フレームの受信(ステップS1)から処理を開始する。
【0077】
キャプチャフラグがリセットされると、キャプチャ部16は、無線フレームのキャプチャを終了し、記憶部18は、フレーム情報の記憶を終了する。
【0078】
図7は、図1の通信監視装置10の他の動作の一例を示すフローチャートである。図7を参照して、通信監視装置10のキャプチャ動作の一例について説明する。
【0079】
図7に示すように、キャプチャ部16は、キャプチャフラグがセットされたか否かを判定する(ステップS21)。
【0080】
キャプチャ部16は、キャプチャフラグがセットされていない場合(ステップS21でNo)、処理を終了する。なお、キャプチャ部16は、処理を終了した後、再度、キャプチャフラグがセットされたか否かを判定する(ステップS21)。
【0081】
キャプチャ部16は、キャプチャフラグがセットされた場合(ステップS21でYes)、無線フレームのキャプチャを開始する(ステップS22)。記憶部18は、キャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する。
【0082】
キャプチャ部16は、無線フレームのキャプチャを開始すると、キャプチャフラグがリセットされたか否かを判定する(ステップS23)。
【0083】
キャプチャ部16は、キャプチャフラグがリセットされていない場合(ステップS23でNo)、無線フレームのキャプチャを継続し、キャプチャフラグがリセットされたか否かを繰り返し判定する(ステップS23)。
【0084】
キャプチャ部16は、キャプチャフラグがリセットされた場合(ステップS23でYes)、無線フレームのキャプチャを終了する(ステップS24)。
【0085】
このように、キャプチャ部16は、キャプチャフラグがセットされてからキャプチャフラグがリセットされるまで、無線フレームのキャプチャを継続する。記憶部18は、キャプチャフラグがセットされてからキャプチャフラグがリセットされるまで、キャプチャ部16が無線フレームをキャプチャする度に当該無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する。
【0086】
図8は、エラーフレーム率の時間変化を示すグラフである。図8を参照して、電波情報がエラーフレーム率である場合における、エラーフレーム率の時間変化に応じた通信監視装置10の動作の一例について説明する。
【0087】
図8に示すように、たとえば、無線通信ネットワークにおけるエラーフレーム率が時刻T1において第1閾値よりも大きくなった場合、キャプチャ部16は、時刻T1から無線フレームのキャプチャを開始する。また、記憶部18は、キャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレーム情報の記憶を、時刻T1から開始する。
【0088】
その後、エラーフレーム率が時刻T2において第2閾値よりも大きくなった場合、記憶部18は、時刻T1から時刻T2までの間にキャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレームのうち、時刻T2以前の所定期間ΔT1にキャプチャされた無線フレーム以外の無線フレームに含まれるフレーム情報を削除する。
【0089】
その後、エラーフレーム率が時刻T3において第2閾値以下になった場合、キャプチャ部16は、時刻T3以後の所定期間ΔT2経過後に無線フレームのキャプチャを終了する。また、記憶部18は、キャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレーム情報の記憶を、時刻T3以後の所定期間ΔT2経過後に終了する。
【0090】
これによって、所定期間ΔT1の開始時刻から所定期間ΔT2の終了時刻までの間にキャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレーム情報を記憶できる。
【0091】
以上、本実施の形態に係る通信監視装置10について説明した。
【0092】
本実施の形態に係る通信監視装置10は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する取得部12と、当該電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否か、および当該電波の状態が危険状態から注意状態に遷移したことを示す第2条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否かを判定する判定部14と、判定部14によって電波情報が第1条件を満たしたと判定された場合に無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、判定部14によって電波情報が第2条件を満たしたと判定された場合に無線フレームのキャプチャを終了するキャプチャ部16とを備える。
【0093】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正ではないときおよびその付近においてだけ無線フレームのキャプチャを行い易くなり、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために不要な無線フレームをキャプチャすることを抑制できるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報を効率よく取得できる。
【0094】
また、本実施の形態に係る通信監視装置10において、キャプチャ部16は、判定部14によって電波情報が第2条件を満たしたと判定された場合、電波情報が第2条件を満たしたタイミングから所定期間ΔT2経過後に無線フレームのキャプチャを終了する。
【0095】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正になったタイミングから所定期間ΔT2における無線フレームは、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用であり、有用な無線フレームをキャプチャすることができるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0096】
また、本実施の形態に係る通信監視装置10は、キャプチャ部16によってキャプチャされた無線フレームに含まれるフレーム情報を記憶する記憶部18をさらに備え、判定部14は、無線通信ネットワークにおける電波の状態が注意状態から危険状態に遷移したことを示す第3条件を取得部12によって取得された電波情報が満たしたか否かをさらに判定し、記憶部18は、判定部14によって電波情報が第1条件を満たしたと判定された後、判定部14によって電波情報が第3条件を満たしたと判定された場合、電波情報が第1条件を満たしたタイミングから電波情報が第3条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた無線フレームのうち、電波情報が第3条件を満たしたタイミング以前の所定期間ΔT1にキャプチャされた無線フレーム以外の無線フレームに含まれるフレーム情報を削除する。
【0097】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正でなくなったタイミング以前における古い無線フレームは、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用ではなく、有用ではない無線フレームに含まれるフレーム情報を削除することができるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0098】
また、本実施の形態に係る通信監視装置10において、電波情報は、無線通信ネットワークにおける無線通信に関する情報である。
【0099】
これによれば、無線通信ネットワークにおける無線通信に関する情報は、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用であるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0100】
また、本実施の形態に係る通信監視装置10において、電波情報は、無線通信ネットワークにおける、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率を含んでいる。
【0101】
これによれば、無線通信ネットワークにおける、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率は、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するために有用であるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0102】
(他の実施の形態)
図9は、他の実施の形態に係る通信監視システム100の機能構成を示すブロック図である。図9を参照して、通信監視システム100について説明する。図9に示すように、通信監視システム100は、取得装置120と、判定装置140と、キャプチャ装置160と、記憶装置180と、出力装置200とを備えている。取得装置120、判定装置140、キャプチャ装置160、記憶装置180、および出力装置200が、1つの装置の筐体内に設けられていない点において、通信監視システム100は通信監視装置10と主に異なっている。取得装置120、判定装置140、キャプチャ装置160、記憶装置180、および出力装置200は、相互に無線通信可能である。
【0103】
取得装置120は、無線通信ネットワークにおける電波の状態を示す電波情報を取得する。判定装置140は、電波の状態が正常状態から注意状態に遷移したことを示す第1条件を取得装置120によって取得された電波情報が満たしたか否か、および電波の状態が危険状態から注意状態に遷移したことを示す第2条件を取得装置120によって取得された電波情報が満たしたか否か、さらに電波の状態が注意状態から危険状態に遷移したことを示す第3条件を取得装置120によって取得された電波情報が満たしたか否かを判定する。キャプチャ装置160は、判定装置140によって電波情報が第1条件を満たしたと判定された場合に無線通信ネットワークにおける無線フレームのキャプチャを開始し、判定装置140によって電波情報が第2条件を満たしたと判定された場合に無線フレームのキャプチャを終了する。記憶装置180は、キャプチャ装置160によってキャプチャされた無線フレーム情報等を記憶する。出力装置200は、記憶装置180に記憶されているフレーム情報等を出力する。
【0104】
これによれば、通信監視システム100は、上記通信監視装置10と同様の効果を奏する。
【0105】
また、上述した実施の形態では、記憶部18が、電波情報が第3条件を満たしたタイミングから電波情報が第2条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた無線フレーム情報を記憶する場合について説明したが、これに限定されない。
【0106】
図10は、エラーフレーム率の時間変化を示すグラフである。図10を参照して、電波情報がエラーフレーム率である場合における、エラーフレーム率の時間変化に応じた通信監視装置10の他の動作の一例について説明する。
【0107】
図10に示すように、無線通信ネットワークにおけるエラーフレーム率が、時刻T2において第2閾値よりも大きくなり、時刻T3において第2閾値以下になった場合、記憶部18は、時刻T2から時刻T3の間にキャプチャされた無線フレームのうち、時刻T2以後の所定期間ΔT3にキャプチャされた無線フレーム以外でありかつ時刻T3以前の所定期間ΔT4にキャプチャされた無線フレーム以外の無線フレームに含まれるフレーム情報を削除してもよい。
【0108】
つまり、記憶部18は、判定部14によって電波情報が第3条件を満たしたと判定された後、判定部14によって電波情報が第2条件を満たしたと判定された場合、電波情報が第3条件を満たしたタイミングから電波情報が第2条件を満たしたタイミングまでの間にキャプチャされた無線フレームのうち、電波情報が第3条件を満たしたタイミング以後の所定期間ΔT3にキャプチャされた無線フレーム以外でありかつ電波情報が第2条件を満たしたタイミング以前の所定期間ΔT4にキャプチャされた無線フレーム以外の無線フレームに含まれるフレーム情報を削除してもよい。
【0109】
これによれば、無線通信ネットワークにおける電波の状態が適正でない期間が長期間に亘る場合、当該期間の真ん中辺りにおける無線フレームは、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するためにさほど有用ではないと考えられ、当該期間の無線フレームに含まれるフレーム情報を適宜削除することができるので、電波の状態が適正でなくなった原因を特定するための情報をさらに効率よく取得できる。
【0110】
また、上述した実施の形態では、第1条件が、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の全てが第1閾値以下である状態から、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のうちの少なくとも1つが第1閾値よりも大きい状態になることである場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第1条件は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の少なくとも1つの変化率が所定の変化率よりも大きくなること等であってもよい。
【0111】
また、上述した実施の形態では、第2条件が、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のうちの少なくとも1つが第2閾値よりも大きい状態から、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の全てが第2閾値以下である状態になることである場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第2条件は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の全ての変化率が所定の変化率以下になること等であってもよい。
【0112】
また、上述した実施の形態では、第3条件が、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の全てが第2閾値以下である状態から、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率のうちの少なくとも1つが第2閾値よりも大きい状態になることである場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第3条件は、帯域占有率、エラーフレーム率、および再送フレーム率の少なくとも1つの変化率が所定の変化率よりも大きくなること等であってもよい。
【0113】
また、上述した実施の形態では、判定部14が、第2閾値を用いて、第2条件を満たしたか否かおよび第3条件を満たしたか否を判定する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第2条件を満たしたか否かを判定するために用いられる閾値と、第3条件を満たしたか否かを判定するために用いられる閾値とは、相互に異なっていてもよい。
【0114】
なお、本発明は、装置またはシステムとして実現できるだけでなく、その装置またはシステムを構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0115】
以上、本発明の通信監視装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、通信ネットワークにおける電波の状態を監視する装置等として利用され得る。
【符号の説明】
【0117】
10 通信監視装置
12 取得部
14 判定部
16 キャプチャ部
18 記憶部
20 出力部
100 通信監視システム
120 取得装置
140 判定装置
160 キャプチャ装置
180 記憶装置
200 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10