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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013692
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/10 20060101AFI20230119BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
C08L23/10
C08L29/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118055
(22)【出願日】2021-07-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日 令和2年8月6日 展示会名 パッケージ展2020 開催場所 大阪産業創造館3F・4F
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513066041
【氏名又は名称】ナガセプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100186185
【弁理士】
【氏名又は名称】高階 勝也
(72)【発明者】
【氏名】高畑 弘明
(72)【発明者】
【氏名】有留 憲文
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB111
4J002BE022
4J002BP021
4J002FA042
4J002GG00
(57)【要約】
【課題】機械的強度に優れ、かつ、軽量な成形体を形成し得る樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明の樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを含む樹脂組成物から形成される。1つの実施形態においては、上記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール系樹脂である。1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が、200~2500である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを含む樹脂組成物から形成された、樹脂成形体。
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1から6のいずれかに記載の樹脂成形体。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が、200~2500である、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度が、80mol%以上である、請求項1または2に記載の樹脂成形体。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーが、繊維状である、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂成形体。
【請求項5】
前記水溶性ポリマーの含有割合は、ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、1.5重量部~15重量部である、請求項1から4のいずれかに記載の樹脂成形体。
【請求項6】
前記樹脂組成物が、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを溶融混練して得られた樹脂組成物である、請求項1から5のいずれかに記載の樹脂成形体。
【請求項7】
比重が1以下である、請求項1から6のいずれかに記載の樹脂成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、包装体をはじめとした各種用途に、ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物から形成された樹脂成形体が知られており、機械的強度に優れた樹脂成形体を得るため、ガラス繊維、タルク等のフィラーがさらに配合された樹脂組成物が用いられている。このようなフィラーが配合された樹脂組成物を用いれば、高剛性な樹脂成形体を得ることができ、当該樹脂成形体(例えば、包装体)を薄膜化し得る点で有利となる。一方、各種用途に使用される樹脂成形体は、軽量化の要望が高まっている。上記のようにフィラーを配合すると、樹脂成形体が高比重化し、軽量化が阻害されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-251036号公報
【特許文献2】特開平5-229078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物から形成された樹脂成形体であって、機械的強度に優れ、かつ、軽量な成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを含む樹脂組成物から形成される。
1つの実施形態においては、上記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール系樹脂である。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が、200~2500である。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度が、80mol%以上である。
1つの実施形態においては、上記水溶性ポリマーが、繊維状である。
1つの実施形態においては、上記水溶性ポリマーの含有割合が、ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、1.5重量部~15重量部である。
1つの実施形態においては、上記樹脂組成物が、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを溶融混練して得られた樹脂組成物である。
1つの実施形態においては、上記樹脂成形体は、比重が1以下である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを含む樹脂組成物を用いることにより、機械的強度に優れ、かつ、軽量な成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.樹脂成形体
本発明の樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを含む樹脂組成物から形成される。したがって、当該樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを含む。1つの実施形態においては、上記樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを溶融混練して得られた樹脂組成物である。好ましくは、水溶性ポリマーは、繊維状である。1つの実施形態においては、上記樹脂組成物および樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂をさらに含み得る。1つの実施形態においては、上記樹脂組成物および樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂と、エチレン系樹脂とを含む。
【0008】
A-1.樹脂組成物
代表的には、上記樹脂組成物は固体であり、1つの実施形態においては、ペレットとして提供される。水溶性ポリマー(好ましくは、繊維状水溶性ポリマー)を含む樹脂組成物を用いることにより、機械的強度に優れる樹脂成形体を得ることができる。また、水溶性ポリマーにより機械的強度向上が可能になることから、上記樹脂組成物を用いれば、従来のフィラー(例えば、ガラス繊維、タルク等)により高強度化が図られた樹脂組成物に比べて、軽量な樹脂成形体を形成すすることができる。すなわち、本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂と水溶性ポリマーとを含む樹脂組成物により、従来のフィラー(例えば、ガラス繊維、タルク等)を含む樹脂組成物から得られた樹脂成形体と同等あるいは同等以上に機械的強度に優れ、かつ、より軽量な樹脂成形体を得ることができる。
【0009】
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂を用いれば、当該樹脂中で水溶性ポリマーを分散性よく存在させることが可能となり、水溶性ポリマー(好ましくは、繊維状水溶性ポリマー)を含ませることの効果が顕著となり、機械的強度が特に優れる樹脂成形体を得ることができる。ポリプロピレン系樹脂としては、プロプレン由来の構成単位を50重量%以上有するポリマーが挙げられ、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレンと共重合可能なその他のモノマーとの共重合体が挙げられる。プロピレンと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、例えば、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-イコセン等が挙げられる。
【0010】
ポリプロピレン系樹脂中のプロピレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは50mol%以上であり、より好ましくは80mol%以上であり、より好ましくは90mol%以上であり、さらに好ましくは95mol%以上である。プロピレン由来の構成単位を多く含むポリプロピレン系樹脂は、水溶性ポリマーを添加する効果が顕著となる点で有利である。
【0011】
1つの実施形態においては、上記ポリプロピレン系樹脂は、ブロック共重合体である。ブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂(以下、プロピレンブロック共重合体ともいう)を用いることにより、用途に応じて種々の特性を有する樹脂成形体を得ることができる。例えば、ブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂を用いれば、低温下における特性(例えば、耐寒衝撃性)に優れる樹脂成形体(例えば、冷凍食品用トレイ)を得ることができる。
【0012】
1つの実施形態においては、ブロック共重合体であるポリプロピレン系樹脂は、エチレン由来の構成単位を有する。このようなブロック共重合体を用いれば、低温下における特性(例えば、耐寒衝撃性)が特に優れる樹脂成形体を得ることができる。1つの実施形態においては、エチレン由来の構成単位を含むプロピレンブロック共重合体は、エチレン-プロピレンゴムであり得る。エチレン由来の構成単位を含むプロピレンブロック共重合体(例えば、エチレン-プロピレンゴム)中、エチレン由来の構成単位の含有割合は、エチレン由来の構成単位を含むプロピレンブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは25重量部~45重量部であり、より好ましくは30重量部~40重量部である。
【0013】
1つの実施形態においては、融点を有するポリプロピレン系樹脂が用いられる。当該ポリプロピレン系樹脂の融点は、好ましくは145℃以上であり、より好ましくは150℃~168℃であり、さらに好ましくは155℃~165℃である。このような範囲であれば、機械的強度に優れ、かつ、加工性に優れる樹脂成形体を得ることができる。樹脂の融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)により測定することができる。
【0014】
上記ポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは0.1g/10min~50g/minであり、より好ましくは0.3g/10min~40g/minであり、さらに好ましくは0.4g/10min~30g/minである。このような範囲であれば、成形加工性に特に優れる樹脂組成物を得ることができる。
【0015】
上記ポリプロピレン系樹脂の含有割合は、樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは50重量部~100重量部であり、より好ましくは60重量部~99重量部であり、さらに好ましくは70重量部~95重量部であり、特に好ましくは80重量部~95重量部である。なお、本明細書において、樹脂組成物中の各成分の含有割合は、樹脂成形体中の当該成分の含有割合に相当し得る。
【0016】
1つの実施形態においては、ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン由来の構成単位の含有割合が80mol%以上(好ましくは90mol%以上、より好ましくは100mol%)のポリプロピレン系樹脂Aが用いられる。このポリプロピレン系樹脂Aの含有割合は、樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは80重量部以上であり、より好ましくは90重量部以上であり、さらに好ましくは100重量部である。ポリプロピレン系樹脂Aをこのような範囲で用いれば、射出成形体(例えば、便座、チャイルドシート等)に好適な樹脂組成物を得ることができる。他にも、常温以上の環境下で用いられる成形体(例えば、トレイ)に好適な樹脂組成物を得ることができる。本実施形態において、樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂Aに加えて、後述のポリエチレン系樹脂を含み得る。
【0017】
1つの実施形態においては、ポリプロピレン系樹脂として、上記プロピレンブロック共重合体が用いられる場合、プロピレンブロック共重合体の含有割合は、樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは60重量部~95重量部であり、より好ましくは70重量部~90重量部である。プロピレンブロック共重合体をこのような範囲で用いれば、低温下における特性(例えば、耐寒衝撃性)が特に優れる樹脂成形体を得ることができる。本実施形態において、樹脂組成物は、プロピレンブロック共重合体に加えて、後述のポリエチレン系樹脂を含み得る。
【0018】
上記ポリプロピレン系樹脂は、1種のみであってもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。1つの実施形態においては、上記樹脂組成物は、ポリプロピレン(単独重合体)と、上記エチレン-プロピレンゴムとを含む。本明細書においては、このような樹脂組成物をブロック共重合体含有樹脂組成物ともいう。ブロック共重合体含有樹脂組成物は、ポリプロピレン(単独重合体)および上記エチレン-プロピレンゴム以外のポリプロピレン系樹脂を含んでいてもよい。本実施形態において、樹脂組成物(ブロック共重合体含有樹脂組成物)中のエチレン-プロピレンゴムの含有割合は、ポリプロピレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂の合計量(すなわち、ポリオレフィン系樹脂の合計量)100重量部に対して、好ましくは15重量部~30重量部であり、より好ましくは18重量部~25重量部である。
【0019】
上記ポリプロピレン系樹脂の含有割合は、ポリプロピレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂の合計量(すなわち、ポリオレフィン系樹脂の合計量)100重量部に対して、好ましくは60重量部以上であり、より好ましくは65重量部以上95重量部未満であり、さらに好ましくは70重量部~90重量部である。このような範囲であれば、機械的特性に優れる樹脂成形体を得ることができる。
【0020】
(ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂)
1つの実施形態においては、上記樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂をさらに含み得る。すなわち、上記樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂をさらに含み得る。
【0021】
ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂が好ましく用いられ得る。ポリエチレン系樹脂を用いれば、高靱性であり耐衝撃性に優れる樹脂成形体を得ることができる。ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。低密度ポリエチレンとしては、高圧法で製造させて得られるエチレン単独重合体が挙げられる。直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンとしては、エチレンとα-オレフィンの共重合体が挙げられる。コモノマーであるα―オレフィンの含有量により密度が制御でき、所望の特性に応じて、任意の適切な密度とすることができる。エチレンと共重合可能なα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-イコセン等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂中のエチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは50mol%以上であり、より好ましくは70mol%以上であり、より好ましくは75mol%以上であり、さらに好ましくは80mol%以上である。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂(好ましくは、ポリエチレン系樹脂)の190℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは10g/min以下であり、より好ましくは0.3g/10min~8g/minであり、さらに好ましくは0.5g/10min~5g/minである。このような範囲であれば、機械的特性(例えば、靭性)に優れる樹脂成形体を得ることができる。
【0023】
樹脂組成物が、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を含む場合、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂(好ましくは、ポリエチレン系樹脂)の含有割合は、ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは5重量部以上であり、より好ましくは5重量部以上30重量部未満であり、さらに好ましくは5重量部~25重量部であり、特に好ましくは5重量部~20重量部である。このような範囲であれば、機械的特性(例えば、靭性)に優れ、かつ、成形加工性に特に優れる樹脂組成物を得ることができる。
【0024】
(水溶性ポリマー)
水溶性ポリマーとは、25℃における水100gに対して1g以上溶解する高分子化合物である。上記水溶性ポリマーとしては、本発明の効果が得られる限り、任意の適切な水溶性ポリマーが用いられ得る。水溶性ポリマーとしては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の水素結合可能な極性官能基を有するポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーの具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアルキレングリコール系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリマレイン酸系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
【0025】
1つの実施形態においては、水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコール系樹脂が用いられる。代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系ポリマーを鹸化して得られる。
【0026】
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコールの他、ビニルアルコール由来の構成単位を含む共重合体であってもよい。当該共重合体が含むビニルアルコール由来の構成単位(および、酢酸ビニル由来の構成単位)以外の構成単位(以下、「その他の構成単位」ともいう)としては、ジヒドロキシアルキル基、アセトアセチル基、オキシアルキレン基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基等を有する単位、エチレン等のオレフィン由来の単位等が挙げられる。共重合体としてのポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、例えば、ブテンジオール-ビニルアルコール共重合体(BVOH)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。
【0027】
共重合体としてのポリビニルアルコール系樹脂において、その他の構成単位の含有割合は、ポリビニルアルコール系樹脂を構成する全構成単位に対して、好ましくは2mol%~30mol%であり、より好ましくは5mol%~20mol%である。
【0028】
上記ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度は、好ましくは70mol%以上であり、より好ましくは80mol%以上であり、さらに好ましくは90mol%以上であり、特に好ましくは95mol%以上である。このような範囲であれば、繊維状のポリビニルアルコール系樹脂の強度が上がり、機械的強度向上に寄与し得る樹脂組成物を得ることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度の上限は、例えば98mol%(好ましくは100mol%)である。鹸化度は、JIS K6726に準じて測定することができる。
【0029】
上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、好ましくは200~2500であり、より好ましくは200~1000であり、さらに好ましくは300~500である。このような範囲であれば、溶解しやすいポリビニルアルコール系樹脂とすることができる。当該ポリビニルアルコール系樹脂は繊維状に分散しやすく、当該ポリビニルアルコール系樹脂を用いれば、機械的強度向上に寄与し得る樹脂組成物を得ることができる。重合度は、JIS K 6726に準じて測定することができる。
【0030】
上記水溶性ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは8000~100000であり、より好ましくは8000~45000である。水溶性ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー方法により測定することができる。
【0031】
水溶性ポリマーの融点は、好ましくは150℃~250℃であり、より好ましくは160℃~240℃であり、さらに好ましくは170℃~230℃である。このような範囲であれば、機械的強度に優れる樹脂成形体を得ることができる。
【0032】
1つの実施形態においては、上記水溶性ポリマーの融点は、上記熱可塑性樹脂の融点よりも高い。水溶性ポリマーの融点は、上記熱可塑性樹脂の融点よりも、5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましく、25℃以上高いことがさらに好ましい。
【0033】
上記のとおり、水溶性ポリマーは、繊維状であることが好ましい。水溶性ポリマーが繊維状であることにより、機械的強度に優れる樹脂成形体を得ることができる。水溶性ポリマーの繊維径(数平均径)は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。水溶性ポリマーの繊維径(数平均径)の下限は、例えば、0.1μmである。また、水溶性ポリマーの繊維長(数平均長)は、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは200μm以上である。水溶性ポリマーの繊維長(数平均長)の上限は例えば、2000μmである。また、水溶性ポリマーのアスペクト比(繊維長/繊維径)は、好ましくは5以上2000以下であり、より好ましくは8以上1000以下であり、さらに好ましくは10以上500以下である。このような形状の水溶性ポリマーが樹脂組成物中に分散していることにより、より機械的強度に優れる樹脂成形体を得ることができる。
【0034】
上記水溶性ポリマーの含有割合は、ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは1.5重量部~15重量部であり、より好ましくは3重量部~14重量部であり、さらに好ましくは5重量部~12重量部である。このような範囲であれば、機械的強度が特に優れる樹脂成形体を得ることができる。
【0035】
上記樹脂組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、流動改質剤、メヤニ防止剤、熱安定剤、耐候剤等の安定剤、顔料、染料等の着色剤、滑剤、架橋剤、架橋助剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。
【0036】
A-2.樹脂組成物の製造方法
上記樹脂組成物は、任意の適切な方法により製造することができる。1つの実施形態においては、上記樹脂組成物は、水溶性ポリマーを溶媒に溶解させて溶液を調製すること;該溶液と熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂)とを溶融混練すること;および溶融混練後、該溶媒を除去することを含む製造方法により得ることができる。このような製造方法によれば、繊維状に分散した水溶性ポリマーを含む樹脂組成物および樹脂成形体を得ることができる。なお、本明細書において溶融混練とは、上記熱可塑性樹脂が溶融する条件で行う混練を意味する。
【0037】
上記溶液の水溶性ポリマー濃度は、好ましくは5重量%~50重量%であり、より好ましくは10重量%~40重量%であり、さらに好ましくは15重量%~25重量%である。このような範囲であれば、好ましく繊維化された水溶性ポリマーが分散性よく存在して構成された樹脂組成物を得ることができる。
【0038】
上記溶媒としては、25℃において1重量%以上の濃度で上記水溶性ポリマーを溶解し得る限り、任意の適切な溶媒が用いられ得る。上記溶媒としては、例えば、水、アルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、2種類以上の溶媒を混合して使用することもできる。なかでも好ましくは、水である。
【0039】
上記水溶性ポリマー溶液は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、分散剤、消泡剤、流動改質剤、界面活性剤、塩、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。
【0040】
溶融混練の方法としては、例えば、単軸押出機、多軸押出機、タンデム式押出機、バンバリーミキサー等の混練装置を用いた方法が挙げられる。
【0041】
1つの実施形態においては、上記溶融混練は、連続式の溶融混練装置(例えば、2軸押出機)を用いて行われる。
【0042】
1つの実施形態においては、上記溶液と熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂)とは、別々に混練装置に投入される。好ましくは、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂)を溶融状態にした後、当該樹脂に上記溶液を添加するという手順で、上記溶液と樹脂とが混練装置に投入される。例えば、材料の投入口であるメインスロートと、混練後に得られた樹脂組成物を吐出する吐出口と、メインスローと吐出口との間に設けられたサイドフィーダー(液添ノズル)を備える連続式の溶融混練装置を用い、メインスロートから熱可塑性樹脂を投入し、当該熱可塑性樹脂を溶融状態した後、サイドフィーダーから、上記溶液を投入する。1つの実施形態においては、溶融混練装置の内部圧力よりも高い圧力で上記溶液を圧入することにより、当該溶液の添加が行われる。
【0043】
溶融混練の加工条件は、本発明の効果が得られる限り、任意の適切な条件が採用され得る。
【0044】
上記溶融混練時の溶融温度は、好ましくは160℃~230℃であり、より好ましくは180℃~210℃である。
【0045】
上記溶融混練時のスクリュー回転数は、好ましくは50rpm~500rpmであり、より好ましくは100rpm~300rpmである。このような範囲であれば、水溶性ポリマーを特に好ましく繊維化することができる。
【0046】
溶融混練後の溶媒除去は、任意の適切な方法により行うことができる。1つの実施形態においては、連続式の溶融混練装置に真空ベントを設け、当該真空ベントにより溶融混練装置内部を減圧することにより、溶液と熱可塑性樹脂とを含む溶融混練後の混合物から、溶媒を除去する。
【0047】
別の実施形態においては、水溶性ポリマー(例えば、粉末状の水溶性ポリマー)と熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂)とを溶融混練し、押し出してペレットを得る際にダイス出口で十分な流動速度(せん断速度)を与えることにより、上記樹脂組成物を得ることができる。このような製造方法によっても、繊維状に分散した水溶性ポリマーを含む樹脂組成物を得ることができる。
【0048】
好ましくは、せん断速度が100sec-1以上となるようにして、水溶性ポリマーと熱可塑性樹脂との混合物(溶融混練後の混合物)を押し出す。当該せん断速度は、より好ましくは1000sec-1以上である。溶融成形時の樹脂組成物のせん断速度の上限は、例えば、10000sec-1である。このような範囲であれば、上記のように、水溶性ポリマーの配向性が高くなり、機械的強度により優れる樹脂成形体を形成し得る樹脂組成物を得ることができる。
【0049】
1つの実施形態においては、上記樹脂組成物は、ペレット状で提供される。樹脂組成物のペレット化は、任意の適切な方法により行われ得る。
【0050】
B.樹脂成形体
上記樹脂組成物を溶融成形することにより、フィルム、繊維およびその他各種形状の樹脂成形体を得ることができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形(シート成形、フィルム成形)およびブロー成形などが挙げられる。なかでも好ましくは、射出成形または押出成形である。
【0051】
溶融成形時、溶融した樹脂組成物の流動速度は、所望特性の樹脂成形体が成型可能な範囲で速いことが好ましい。例えば、上記成形の際に、ダイス出口、金型内部で十分な流動速度(せん断速度)を与えることで、水溶性ポリマーの配向性が高くなり、機械的強度により優れる樹脂成形体を得ることができる。溶融成形時の樹脂組成物のせん断速度は、好ましくは100sec-1以上であり、より好ましくは1000sec-1以上である。溶融成形時の樹脂組成物のせん断速度の上限は、例えば、10000sec-1である。このような範囲であれば、上記のように、水溶性ポリマーの配向性が高くなり、機械的強度により優れる樹脂成形体を得ることができる。
【0052】
溶融成形時の溶融温度は、樹脂組成物中の熱可塑性樹脂が溶融し得る温度であり、かつ、水溶性ポリマーが繊維状を維持し得る温度であることが好ましい。
【0053】
上記樹脂成形体は、用途に応じて、例えば、シート状、フィルム状、棒状、チューブ状、塊状、異形状等に成形され得る。上記成形体の形態としては、例えば、容器、冷凍バッグ、ブローボトル、トレイ、包装材、テープ、蓋材等が挙げられる。また、被覆材として上記成形体を用いることもできる。本発明の樹脂成形体は、低密度でありながら、機械的特性に優れ、薄膜ながらも所定形状を維持し得ることから、シート状、フィルム状等の成形体であることが特に有効である。したがって、本発明の樹脂成形体は、包装材等に特に好ましく用いられ得る。
【0054】
シート状成形体およびフィルム状成形体は、例えば、Tダイキャスト成形法、インフレーション成形法などで製造可能である。シート状成形体およびフィルム状成形体は、例えば、上記樹脂組成物を、単軸または二軸の押出機に投入し、スクリューにより溶融混錬し、Tダイなどダイスより押し出して成形され得る。また、Tダイキャスト成形の場合は、Tダイより押し出された樹脂組成物の溶融シート状物は、ロールに接触することにより冷却固化し、シート、フィルムが製造される。シート形状の成形体の場合はTダイキャスト成形法の方が、製造の安定性が高く好適である。また、本発明の樹脂組成物からなる層を一層以上含む多層構成としてもよい。多層構成にする場合は、押出成形時に他の押出機から押し出された本発明の樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂とともにダイスから押し出される共押出法や、シート、フィルム上にあらかじめ成形した成形体同士を接着剤などで貼り合わせる(ドライ)ラミネート法が採用される。なお、真空成形によりトレイ状の成形体を得てもよい。真空成型の方法としては、例えば、ヒーター温度350℃~500℃程度に温調されたヒーターでシートの上および/または下から5~20秒程度加熱した後、トレイの金型面を真空に引くことにより、金型面に密着させ、金型形状に賦形する成形方法が挙げられる。トレイの金型面に密着させる前にトレイの中央付近を金型の反対側からプラグと呼ばれる突起物で押してから金型に密着させる手法をとっても良い。
【0055】
上記樹脂成形体の比重は、好ましくは1以下であり、より好ましくは1未満であり、さらに好ましくは0.9~0.99である。このように低密度な樹脂成形体であれば、軽量化し得る点で有利な上、リサイクルの際に他材料から形成された成形体との分別が容易になる点でも有利である。
【実施例0056】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。なお、部および%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
【0057】
(1)引張弾性率(押出成形シート状成形体)
押出成形シート状成形体について、JIS K 7127に準拠して、引張弾性率を測定した。
試験片は、25mm幅×120mmの短冊状とした。測定温度は23℃、引張速度は1mm/minとした。なお、試験片の長辺方向を引張方向とし、シート製造時の流れ方向(MD)、幅方向(TD)にそれぞれについて、引張弾性率を測定した。
【0058】
(2)引張弾性率(射出成型による樹脂成形体)
JIS K 7161に準拠し、試料厚み4.0mm、試験速度1.0mm/分、23℃で測定した。なお、引張方向は、樹脂組成物の射出方向と平行な方向とした。
【0059】
(3)曲げ弾性率
JIS K 7171に準拠し、試料厚み4.0mm、試験速度2.0mm/分、23℃で測定した。
【0060】
(4)デュポン衝撃試験
JIS C5600-5-3に準拠してデュポン衝撃試験を実施し、JIS K7211-1に従い50%衝撃破壊エネルギーを求めた。破壊エネルギーが大きいほど低温衝撃性に優れることを意味する。
【0061】
(5)真空成形、および真空成形品の座屈強度
真空成形機に保持したシート成形品の中央部に位置する部分を470度に調整した赤外線ヒーターにて上下より、シート成形体が貼り戻されるまで18秒加熱したのち、プラグ、金型の順に接触させ、金型からシート成形体を吸い付け、金型の形状を賦形し、トレイ状成形体を作製した。加熱後のシート成形体の温度は170度であった。また今回使用の金型は、45mm×90mm×20mm深さのポケットが4個あるトレイとなる形状のものを使用した。
座屈強度は、引張試験を用い、圧縮モードで測定を実施した。4個のポケットからなるトレイ成形体から一つのポケットを切り離し、くぼみを下向きにして引張試験機の動作方向と垂直(地面と平行)に設置した板の上におき、ロードセルの先に取り付けた直径22mm、厚さ20mmのステンレス板により、圧縮速度 30mm/minの速度で圧縮し、トレイ成形体の側壁が座屈する荷重を求めた。(深さ20mmの形状のトレイ成形品対し、圧縮幅はほぼ10mm程度で座屈した)。この荷重をあらかじめ厚み計にて求めた側壁の最も薄い個所の厚み(mm)で割った数値を座屈強度(N/mm)とした。
【0062】
(6)外観評価
上記(5)で得られたトレイ成形品の外観(色味)を目視にて確認した。
【0063】
(7)水溶性ポリマーの繊維長、繊維径
押出成形シート状成形体、射出成型による樹脂成形体からミクロトームを使用し厚み20μmの薄膜を採取し、90℃の熱湯で4時間浸漬した。薄片から水溶性ポリマーを完全に溶解・脱離したものを観察用の試料とした。すなわち、浸漬後の薄片に空隙となった部分には水溶性ポリマーが存在していたことから試料を光学顕微鏡(300倍)で観察し、任意の空隙部分20個の長さ、巾を計測し、その平均値を繊維長、繊維径とした。
【0064】
[実施例1]
(樹脂組成物の形成)
二軸押出機(東芝機械製、商品名「TEM37SS」)に、ポリプロピレン(住友化学株式会社製、商品名「ノーブレンAH1311」、融点:164℃、ブロック共重合体)72重量部と、直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー株式会社製、商品名「エボリューSP3010」、メルトフローレート:0.8g/10min(190℃、2.16kgf)、密度:926kg/m)18重量部と、水溶性ポリマーP1(ポリビニルアルコール、株式会社クラレ製、商品名「PVA-103」、完全鹸化、重合度:300、融点:221℃)10重量部とを投入し、200℃に加熱して、これらの樹脂(ポリオレフィン樹脂)を溶融状態とし、真空ベント部より発生する水分を除去したのち、ストランドダイより糸状に押出、水槽にて冷却、ペレタイザーにて切断し樹脂組成物ペレットを製造した。
(押出成型)
上記樹脂組成物ペレットを90℃で10h除湿乾燥機にて乾燥したのち、200℃に調整したφ50mm押出機に投入し、溶融混錬後300mm幅のTダイより押出し、厚み0.5mmのシートをライン速度1.5m/minにて巻き取り、シート状成形体を製造した。
得られたシート状成形体を上記評価に供した。結果を表1および表2に示す。
【0065】
[実施例2]
水溶性ポリマーP1(ポリビニルアルコール、株式会社クラレ製、商品名「PVA-103」、完全鹸化、重合度:300、融点:221℃)に代えて、水溶性ポリマーをP2(ポリビニルアルコール、三菱ケミカル株式会社製、商品名「ニチゴーGポリマー AZF8035Q」、完全鹸化、重合度:300、融点:172℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状成形体を製造した。得られたシート状成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
【0066】
[実施例3]
水溶性ポリマーP2の配合量を5重量部としたこと以外は、実施例2と同様にして、シート状成形体を製造した。得られたシート状成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
【0067】
[比較例1]
ポリプロピレンの配合量を80重量部とし、ポリエチレンの配合量を20重量部とし、水溶性ポリマーを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形体を得た。得られたシート状成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
[実施例4]
ポリプロピレン(住友化学株式会社製 商品名「ノーブレンAH1311」)72重量部に代えて、ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製 商品名「ノバテックPP MA1B」、融点:167℃、ホモ重合体)98重量部を用い、水溶性ポリマーP1(ポリビニルアルコール、株式会社クラレ製、商品名「PVA-103」、完全鹸化、重合度:300、融点:221℃)10重量部に代えて、水溶性ポリマーをP2(ポリビニルアルコール、三菱ケミカル株式会社製、商品名「ニチゴーGポリマー AZF8035Q」、完全鹸化、重合度:300、融点:172℃)2重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物ペレットを製造した。
(射出成型)
上記樹脂組成物ペレットを、射出成型機(東洋機械金属社製、商品名「SI-80IV-D150B」80t)で成形温度185℃にて成形し、厚み4.0mmの樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体を上記評価に供した。結果を表3に示す。
【0071】
[実施例5]
ポリプロピレンの配合量を95重量部とし、水溶性ポリマーP2の配合量を5重量部としたこと以外は、実施例4と同様にして、樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体を、実施例4と同様の評価に供した。結果を表3に示す。
【0072】
[実施例6]
ポリプロピレンの配合量を90重量部とし、水溶性ポリマーP2の配合量を10重量部としたこと以外は、実施例4と同様にして、樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体を、実施例4と同様の評価に供した。結果を表3に示す。
【0073】
[比較例2]
水溶性ポリマーP2を配合しなかったこと以外は、実施例4と同様にして、樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体を、実施例4と同様の評価に供した。結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の成形体は、容器、冷凍バッグ、ブローボトル、トレイ、包装材、テープ、蓋材、自動車部品等に好適に用いられ得る。