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特開2023-136942医療用管状体内装チューブの製造方法および医療用管状体搬送装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136942
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】医療用管状体内装チューブの製造方法および医療用管状体搬送装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230922BHJP
   A61F 2/966 20130101ALI20230922BHJP
【FI】
A61M25/00 500
A61F2/966
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042891
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】深見 芽衣
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA41
4C267CC09
4C267FF01
4C267GG03
4C267GG05
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG10
4C267GG22
4C267GG24
(57)【要約】
【課題】線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体を挿入して、医療用管状体が内装されたチューブを効率的に得ることができる医療用管状体内装チューブの製造方法を提供する。
【解決手段】医療用管状体11を準備する工程と、第1端13を含み、補強層17を有しない第1区間15と、第1区間15よりも第2端14側に位置し、補強層17を有する第2区間16とを有するチューブ12を準備する工程と;医療用管状体11を第1端13側からチューブ12内に挿入し、医療用管状体11を第1区間15に配置する第1挿入工程と;第1区間15に配置した医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させ、医療用管状体11を第2区間16に配置する第2挿入工程と;チューブ12を、医療用管状体11の第1端13側の端またはそれより第1端13側で切断する切断工程とを有する医療用管状体内装チューブの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在し、径方向に拡縮可能な医療用管状体を準備する工程と、
長手方向に第1端と第2端を有し、線材で構成された補強層を有するチューブであって、前記第1端を含み、前記補強層を有しない第1区間と、前記第1区間よりも前記第2端側に位置し、前記補強層を有する第2区間とを有するチューブを準備する工程と、
縮径状態の前記医療用管状体を前記第1端側から前記チューブ内に挿入し、前記医療用管状体を第1区間に配置する第1挿入工程と、
第1区間に配置した前記医療用管状体を前記チューブ内で前記第2端側に移動させ、前記医療用管状体を第2区間に配置する第2挿入工程と、
前記医療用管状体を第2区間に配置した状態で、前記チューブを、前記医療用管状体の前記第1端側の端またはそれより前記第1端側で切断する切断工程と
を有する医療用管状体内装チューブの製造方法。
【請求項2】
前記第1挿入工程の後、第1区間に配置した前記医療用管状体の外観検査を行う工程が設けられる請求項1に記載の医療用管状体内装チューブの製造方法。
【請求項3】
前記第2挿入工程において、前記医療用管状体をチューブ内で第2端側に移動させる力は、前記第1挿入工程において、前記医療用管状体をチューブ内で第2端側に移動させる力よりも小さい請求項1または2に記載の医療用管状体内装チューブの製造方法。
【請求項4】
前記第1挿入工程と前記第2挿入工程で、縮径状態の前記医療用管状体を棒状部材で押すことにより、前記医療用管状体を前記チューブ内で前記第2端側に移動させ、
前記第1挿入工程では、前記棒状部材を機械で押し、
前記第2挿入工程では、前記棒状部材を人力で押す請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用管状体内装チューブの製造方法。
【請求項5】
前記切断工程において、前記チューブを、前記補強層の前記第1端側の端またはそれより前記第1端側で切断する請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用管状体内装チューブの製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法により医療用管状体が内装されたチューブを得る工程を有する医療用管状体搬送装置の製造方法。
【請求項7】
前記医療用管状体が内装されたチューブに内側チューブを挿入し、前記内側チューブを前記医療用管状体の内方かつ前記チューブの内方に配置する工程をさらに有する請求項6に記載の医療用管状体搬送装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステントなどの医療用管状体が内装されたチューブの製造方法と医療用管状体搬送装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステントに代表される医療用管状体は、胆管や膵管等の消化管、腸骨動脈等の血管等の体内管腔が狭窄または閉塞することにより生じる様々な疾患を治療するための医療器具である。医療用管状体には、狭窄または閉塞部位等の病変部を内側から拡張し、その体腔の内径を維持するために病変部に留置するもの、あるいは、病変部またはその周囲に発生した血栓等を絡め取り体外へ除去し、その病変部における体腔の内径を回復させるものなどがある。
【0003】
医療用管状体搬送装置として、例えば特許文献1には、外側チューブと、外側チューブの内部に挿通された内側チューブとを備え、外側チューブにステントを収容したカテーテルであって、外側チューブが、補強用線から構成された補強層が埋設された樹脂チューブから構成されているカテーテルが開示されている。特許文献2には、外側シースと、外側シースの内部に同軸的に配置される内側シャフトと、外側シース内に収納される自己拡張型ステントを有し、外側シースが外側ポリマー層と内側ポリマー層とこれらの間に位置するワイヤ補強層から構成されているステント用送給装置が開示されている。特許文献3には、ステントと、前記ステントを覆う外側シースと、外側シースに取り付けられた引っ張り部材とを有するステント移送システムであって、引っ張り部材の遠位部分が外側シースと支持部材の間に捕捉され、外側シースは、ポリマー材料から形成された第1の層と補強層とを備え、引っ張り部材の捕捉部分が第1の層と補強層との間に位置し、外側シースの一部が支持部材上で熱収縮されているステント移送システムが開示されている。特許文献3にはまた、外側シースを形成するポリマー材料のスリーブにステントを装填し、ポリマー材料のスリーブを冷延伸することにより、ステントが内装された外側シースを得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-75453号公報
【特許文献2】特開平11-313893号公報
【特許文献3】特表2013-512705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療用管状体搬送装置の製造では、例えば、チューブの内腔に医療用管状体を挿入することにより、医療用管状体が内装されたチューブを得ることができる。この際、通常の樹脂チューブに医療用管状体を挿入することは比較的容易に行うことができる。一方、線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体を挿入する場合は、医療用管状体がチューブの内面に引っ掛かったり、チューブの内面が剥がれて医療用管状体が補強層を構成する線材に絡んだりすることが起こりやすくなる。そのため、医療用管状体搬送装置の製造効率が低下しやすくなる。一方、補強層を有するチューブに医療用管状体が内装されたものを医療用管状体搬送装置に用いると、チューブの耐キンク性が高まり、医療用管状体を体内に留置する際に、医療用管状体に対してチューブをスライドさせる操作を行いやすくなるという利点がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体を挿入して、医療用管状体が内装されたチューブを効率的に得ることができる医療用管状体内装チューブの製造方法と、当該医療用管状体内装チューブを備えた医療用管状体搬送装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明の医療用管状体内装チューブの製造方法とは、軸方向に延在し、径方向に拡縮可能な医療用管状体を準備する工程と;長手方向に第1端と第2端を有し、線材で構成された補強層を有するチューブであって、第1端を含み、補強層を有しない第1区間と、第1区間よりも第2端側に位置し、補強層を有する第2区間とを有するチューブを準備する工程と;縮径状態の医療用管状体を第1端側からチューブ内に挿入し、医療用管状体を第1区間に配置する第1挿入工程と;第1区間に配置した医療用管状体をチューブ内で第2端側に移動させ、医療用管状体を第2区間に配置する第2挿入工程と;医療用管状体を第2区間に配置した状態で、チューブを、医療用管状体の第1端側の端またはそれより第1端側で切断する切断工程とを有するところに特徴を有する。
【0008】
本発明の医療用管状体内装チューブの製造方法によれば、第1挿入工程で、補強層を有しないチューブの第1区間に医療用管状体を挿入し、次いで第2挿入工程で、チューブ内で第1区間から補強層を有する第2区間に医療用管状体を移動させることにより、補強層を有するチューブの第2区間に医療用管状体を配置することが容易になる。例えば、医療用管状体がチューブの内面に引っ掛かったり、医療用管状体が補強層を構成する線材に絡んだりすることが起こりにくくなる。その後、切断工程でチューブを切断することにより、医療用管状体内装チューブが得られる。そのため、本発明の製造方法によれば、線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体が内装された医療用管状体内装チューブを効率的に得ることができる。
【0009】
第1挿入工程の後に、第1区間に配置した医療用管状体の外観検査を行う工程を設けることが好ましい。これにより、第1挿入工程において医療用管状体をチューブ内に挿入した際の医療用管状体の破損の有無を確認することができる。
【0010】
第2挿入工程において、医療用管状体をチューブ内で第2端側に移動させる力は、第1挿入工程において、医療用管状体をチューブ内で第2端側に移動させる力よりも小さいことが好ましい。これにより、第2挿入工程において、医療用管状体がチューブの内面に引っ掛かったり、チューブの内面が損傷したり、医療用管状体が破損することが起こりにくくなる。
【0011】
第1挿入工程と第2挿入工程では、縮径状態の医療用管状体を棒状部材で押すことにより、医療用管状体をチューブ内で第2端側に移動させることが好ましい。この際、例えば、第1挿入工程では棒状部材を機械で押し、第2挿入工程では棒状部材を人力で押すようにすることができる。
【0012】
切断工程では、チューブを、補強層の第1端側の端またはそれより第1端側で切断することが好ましい。これにより、補強層が存在しない部分でチューブを切断することができ、チューブの切断が容易になる。
【0013】
本発明はまた上記の製造方法により医療用管状体が内装されたチューブを得る工程を有する医療用管状体搬送装置の製造方法も提供する。医療用管状体搬送装置の製造方法は、医療用管状体が内装されたチューブに内側チューブを挿入し、内側チューブを医療用管状体の内方かつチューブの内方に配置する工程をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医療用管状体内装チューブの製造方法によれば、線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体が内装された医療用管状体内装チューブを効率的に製造することができる。また、本発明の医療用管状体搬送装置の製造方法によれば、線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体が内装された医療用管状体内装チューブを備えた医療用管状体搬送装置を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る医療用管状体内装チューブの製造方法の全体工程の概略図を表す。
図2図1に示した全体工程のうち、医療用管状体準備工程とチューブ準備工程と第1挿入工程の概略図を表す。
図3図1に示した全体工程のうち、第2挿入工程の概略図を表す。
図4図1に示した全体工程のうち、切断工程の概略図を表す。
図5】医療用管状体搬送装置のシャフト部の構成例を表す。
図6】医療用管状体搬送装置のシャフト部の構成例を表す。
図7】医療用管状体搬送装置のシャフト部の構成例を表す。
図8】医療用管状体搬送装置のシャフト部の構成例を表す。
図9図5に示した医療用管状体搬送装置のシャフト部の製造方法の一例を表す。
図10図6に示した医療用管状体搬送装置のシャフト部の製造方法の一例を表す。
図11図7および図8に示した医療用管状体搬送装置のシャフト部の製造方法の一例を表す。
図12図7および図8に示した医療用管状体搬送装置のシャフト部の製造方法の他の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ステントなどの医療用管状体が内装されたチューブの製造方法と、医療用管状体が内装されたチューブを備えた医療用管状体搬送装置の製造方法に関するものである。医療用管状体搬送装置は、医療用管状体を体内に搬送する医療用の装置である。医療用管状体を用いることにより、胆管等の消化管や血管等の生体内管腔が狭窄または閉塞することによって生じる様々な疾患を治療することができる。
【0017】
医療用管状体は筒形状を有し、軸方向と径方向を有する。本発明で用いられる医療用管状体は、軸方向に延在し、径方向に拡縮可能であり、自己拡張可能なものである。医療用管状体が医療用管状体搬送装置に搭載され、病変部に搬送される際、医療用管状体は径方向に縮小された状態でチューブの内腔に配置される。医療用管状体が病変部まで搬送されると、医療用管状体に対してチューブをスライドさせることにより、医療用管状体がチューブから露出し、自ら拡張する。
【0018】
医療用管状体搬送装置の製造では、チューブの内腔に医療用管状体を挿入することにより、医療用管状体が内装されたチューブを得ることができる。この際、通常の樹脂チューブに医療用管状体を挿入することは比較的容易に行うことができる。例えば、縮径状態の医療用管状体を棒状部材でチューブの内腔に押し込むことで、医療用管状体をチューブに挿入し、医療用管状体が内装されたチューブを容易に得ることができる。これに対して、線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体を挿入する場合は、通常の樹脂チューブに医療用管状体を挿入するのと同じように医療用管状体を挿入すると、医療用管状体がチューブの内面に引っ掛かったり、チューブの内面が剥がれて医療用管状体が補強層を構成する線材に絡んだりすることが起こりやすくなる。そのため、医療用管状体搬送装置の製造効率が低下しやすくなる。一方、補強層を有するチューブに医療用管状体が内装されたものを医療用管状体搬送装置に用いると、チューブの耐キンク性が高まり、医療用管状体を体内に留置する際に、医療用管状体に対してチューブをスライドさせる操作を行いやすくなるという利点がある。
【0019】
本発明は、上記のように、線材で構成された補強層を有するチューブに医療用管状体を挿入して、医療用管状体が内装されたチューブを得る際に、補強層を有するチューブの内腔に効率的に医療用管状体を配置できる製造方法を提供するものである。以下、下記実施の形態に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0020】
図1図4を参照して、本発明の実施の形態に係る医療用管状体内装チューブの製造方法を説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る医療用管状体内装チューブの製造方法の全体工程の概略図を表し、図2図4は、各工程の概略図を表す。
【0021】
本発明の実施の形態に係る医療用管状体内装チューブの製造方法は、医療用管状体を準備する工程(以下、「医療用管状体準備工程」と称する場合がある)と、線材で構成された補強層を有するチューブを準備する工程(以下、「チューブ準備工程」と称する場合がある)と、チューブ内に医療用管状体を挿入する工程(以下、「挿入工程」と称する場合がある)と、医療用管状体が挿入されたチューブを切断する工程(以下、「切断工程」と称する場合がある)とを有する。医療用管状体準備工程とチューブ準備工程が図1(A)と図2に示され、挿入工程が図1(A)~(C)と図2図3に示され、切断工程が図1(C)~(D)と図4に示されている。図1図4では、理解を容易にするために、医療用管状体は、チューブ内に挿入された状態でも、外縁を点線ではなく直線で表している。
【0022】
医療用管状体準備工程では、医療用管状体11を準備する。医療用管状体11としては、代表的にはステントが挙げられる。医療用管状体11には、1本の線状の金属または高分子材料から形成されたコイル状の医療用管状体、金属チューブや高分子材料からなるチューブをレーザーなどで切り抜き加工した医療用管状体、線状の部材を溶接して組み立てた医療用管状体、複数の線状金属を織って作った医療用管状体等がある。医療用管状体11としては、ステント以外にも、ステントグラフト、閉塞具、注入カテーテル、プロテーゼ弁等が挙げられる。
【0023】
医療用管状体11は、軸方向に延在し、径方向に拡縮可能な、いわゆる自己拡張タイプのものである。自己拡張型の医療用管状体11は、拡張を抑制した状態で病変部まで搬送され、病変部で拡張を抑制する部材を取り外すことにより自ら拡張することができる。後述するチューブ12が、医療用管状体11の拡張を抑制する部材として機能する。医療用管状体11は、チューブ12の内腔に配置された状態で、径方向に縮小し、軸方向に伸長することにより、拡張状態よりも細長い円筒状の形態である縮径状態となり、チューブ12の内腔に配置されない状態で、径方向に拡張した拡張状態となる。
【0024】
チューブ準備工程では、線材で構成された補強層17を有するチューブ12を準備する。チューブ12は長手方向に延在し、長手方向に延在する内腔を有する。ここで準備したチューブ12は、後段の挿入工程で、内腔に医療用管状体11が挿入される。
【0025】
チューブ12の内径は、挿入される医療用管状体11の外径(縮径状態の医療用管状体11の外径)に応じて適宜設定され、例えば0.3mm~3.5mm程度とすればよい。チューブ12の長手方向の長さは、縮径状態の医療用管状体11の軸方向の長さの少なくとも2.0倍以上の長さであることが好ましく、2.5倍以上の長さであることがより好ましい。チューブ12の長手方向の長さの上限は特に限定されず、例えば3000mm以下、2000mm以下、1000mm以下または500mm以下であってもよい。
【0026】
チューブ12は、長手方向に第1端13と第2端14を有し、線材で構成された補強層17を長手方向の一部に有する。チューブ12は、第1端13を含み、補強層17を有しない第1区間15と、第1区間15よりも第2端14側に位置し、補強層17を有する第2区間16とを有する。第2区間16は、最終的に医療用管状体11が配置される区間となる。第2区間16は第1区間15と隣接しており、第2区間16の補強層17を有する部分の第1端13側の端が、第1区間15と第2区間16の境となる。第2区間16は、補強層17を有しない区間を有していてもよい。
【0027】
チューブ12は樹脂から構成されることが好ましい。チューブ12は、第1区間15と第2区間16において、樹脂層を有することが好ましい。チューブ12を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
【0028】
チューブ12は、第2区間16において、補強層17を有する。補強層17は線材から構成され、補強層17を構成する線材としては、金属線や繊維等が挙げられる。金属線を構成する素材としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、炭素鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等が挙げられ、なかでも、ステンレス鋼が好ましい。金属線は、単線であってもよいし、撚線であってもよい。繊維としては、例えば、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維等が挙げられる。繊維は、モノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。
【0029】
補強層17における線材の配置パターンは特に限定されず、らせん状、網目状、編組状等が挙げられる。なかでも、補強層17によってチューブ12の剛性を効果的に高めることができる点から、補強層17の線材は編組状に配置されることが好ましい。
【0030】
第1区間15では、チューブ12は単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。例えばチューブ12は、第1区間15において、単層の樹脂層から構成されていてもよく、複数層の樹脂層から構成されていてもよい。
【0031】
第2区間16では、チューブ12は複数層から構成されていることが好ましく、補強層17と樹脂層を有することが好ましい。第2区間16では、チューブ12は、内層と、その外側に配置された補強層17を有することが好ましく、さらに補強層17の外側に外層を有することがより好ましい。内層と外層は樹脂から構成された樹脂層であることが好ましい。このように第2区間16が構成されることにより、第2区間16においてチューブ12の内面の摺動性を高めることができ、後段の挿入工程において、第2区間16に医療用管状体11を配置することが容易になる。第2区間16においてチューブ12の内面の摺動性や剛性を高める点からは、チューブ12は、第2区間16において、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂から構成された内層を有することがより好ましい。
【0032】
チューブ12は、第1端13の内径がそれより第2端14側の部分よりも広く形成されていてもよい。例えば、チューブ12は、第1端13を含む部分が加熱されるなどして、第1端13に向かって広がるように形成されていてもよい。これにより、その後の挿入工程において、医療用管状体11を第1端13側からチューブ12内に挿入しやすくなる。
【0033】
挿入工程では、チューブ12の内腔に医療用管状体11を挿入する。この際、本発明では、挿入工程として第1挿入工程と第2挿入工程を設けている。図1(A)~(B)および図2に示すように、第1挿入工程において、縮径状態の医療用管状体11を第1端13側からチューブ12内に挿入し、医療用管状体11を第1区間15に配置する。次いで、図1(B)~(C)および図3に示すように、第2挿入工程において、第1区間15に配置した医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させ、医療用管状体11を第2区間16に配置する。このようにしてチューブ12内に医療用管状体11を挿入することにより、補強層17を有するチューブ12の第2区間16に医療用管状体11を配置することが容易になる。例えば、医療用管状体11がチューブ12の内面に引っ掛かったり、医療用管状体11が補強層17を構成する線材に絡んだりすることが起こりにくくなる。
【0034】
第1挿入工程では、縮径状態の医療用管状体11を、第1端13側からチューブ12内に挿入する。第1挿入工程では、医療用管状体11の軸方向がチューブ12の長手方向と一致するように、縮径状態の医療用管状体11をチューブ12の内腔に挿入する。チューブ12は、第1端13を含む第1区間15において補強層17を有しないため、従来と同じように、チューブ12に医療用管状体11を容易に挿入することができる。
【0035】
チューブ12の第1区間15の長手方向の長さは、縮径状態の医療用管状体11の軸方向の長さよりも長いことが好ましい。また、第1挿入工程では、医療用管状体11の全体がチューブ12の第1区間15に配置されることが好ましい。チューブ12の第1区間15の長さは、例えば、縮径状態の医療用管状体11の軸方向の長さの1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また5.0倍以下が好ましく、4.0倍以下がより好ましく、3.0倍以下がさらに好ましい。
【0036】
第2挿入工程では、第1区間15に配置した医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させ、医療用管状体11を第2区間16に配置する。医療用管状体11は、チューブ12の補強層17が設けられた区間に配置する。第1挿入工程で縮径状態の医療用管状体11をチューブ12の第1区間15に配置することにより、医療用管状体11が縮径状態で安定してチューブ12の内腔に保持される。そのため、この状態で医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させることにより、医療用管状体11(特に医療用管状体11の第2端14側の端部)が第2区間16においてチューブ12の内面に引っ掛かりにくくなり、医療用管状体11を第1区間15から第2区間16に移動させることが容易になる。
【0037】
チューブ12の第2区間16の補強層17が設けられた区間の長手方向の長さは、縮径状態の医療用管状体11の軸方向の長さよりも長いことが好ましい。また、第2挿入工程では、医療用管状体11の全体がチューブ12の第2区間16の補強層17が設けられた区間に配置されることが好ましい。チューブ12の第2区間16の補強層17が設けられた区間の長さは、例えば、縮径状態の医療用管状体11の軸方向の長さの1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また5.0倍以下が好ましく、4.0倍以下がより好ましく、3.0倍以下がさらに好ましい。なお、チューブ12の第2区間16の長さの上限は特に限定されない。
【0038】
第1挿入工程と第2挿入工程では、棒状部材を使用して、医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させることが好ましい。これにより、チューブ12内で、医療用管状体11を第2端14側に移動させることが容易になる。棒状部材は、中実状であっても、中空状であってもよい。
【0039】
棒状部材は、例えば、チューブ12の第1端13側からチューブ12内に挿入して、医療用管状体11を第1端13側から押すことにより、医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させることができる。この場合、棒状部材は、第2端14側の外径が、チューブ12の内径以下かつ縮径状態の医療用管状体11の内径以上であるものを用いることができる。
【0040】
棒状部材は、第2端14側の外径が縮径状態の医療用管状体11の内径以下であり、第1端側13側の外径がチューブ12の内径以下かつ縮径状態の医療用管状体11の内径以上であるものを用いることもできる。この場合、棒状部材は、第2端14側に小径部を有し、第1端13側に大径部を有するものとなる。棒状部材は、小径部側を先頭にして、チューブ12の第1端13側からチューブ12内に挿入して、棒状部材の小径部を、医療用管状体11の内腔を通過させ、チューブ12の第2端14から外部に延出させる。棒状部材の大径部は医療用管状体11の第1端13側の端に接するようにする。この状態で、チューブ12の第2端14から外部に延出した棒状部材を引くことにより、医療用管状体11が棒状部材の大径部によって第1端13側から押され、医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させることができる。
【0041】
棒状部材は、外径が縮径状態の医療用管状体11の内径と同程度のものを用いることもできる。この場合、棒状部材の外面はタック性を有することが好ましく、棒状部材を縮径状態の医療用管状体11に挿入し、棒状部材の外面のタック性を有する部分を医療用管状体11の内面に粘着させ、棒状部材を第2端14側に移動させることにより、棒状部材とともに医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させることができる。
【0042】
第1挿入工程と第2挿入工程では、縮径状態の医療用管状体11を棒状部材で押すことにより、医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させることが好ましい。これにより、チューブ12内で、医療用管状体11を第2端14側に移動させることが容易になる。
【0043】
第2挿入工程において、医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させる力は、第1挿入工程において、医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させる力よりも小さいことが好ましい。このように医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させることにより、第2挿入工程において、医療用管状体11がチューブ12の内面に引っ掛かったり、それによりチューブ12の内面が損傷したり、医療用管状体11が破損することが起こりにくくなる。一方、第1挿入工程では、比較的強い力で医療用管状体11を押し込んでも、医療用管状体11がチューブ12の内面に引っ掛かることなく、第2端14側にスムーズに移動させることができる。むしろ第1挿入工程では、医療用管状体11をチューブ12に挿入する際、医療用管状体11が拡張しようとして、医療用管状体11とチューブ12の第1端13との間に大きな抵抗が生じやすくなるため、医療用管状体11を比較的強い力で押し込むことで、医療用管状体11をチューブ12に挿入することが容易になる。第2挿入工程で医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させる力は、例えば、第1挿入工程で医療用管状体11をチューブ12内で第2端14側に移動させる力の0.8倍以下が好ましく、0.7倍以下がより好ましく、0.6倍以下がさらに好ましい。
【0044】
第1挿入工程と第2挿入工程では、縮径状態の医療用管状体11を棒状部材で押す際、棒状部材を機械で押してもよく、人力で押してもよい。なお、第1挿入工程では、棒状部材を機械で押すことが好ましく、これにより医療用管状体11をチューブ12に挿入することが容易になる。一方、第2挿入工程では、棒状部材は機械で押してもよく、人力で押してもよい。なお、第2挿入工程で棒状部材を人力で押した場合は、医療用管状体11がチューブ12の内面に引っ掛かった際に、棒状部材を持つ手の感触でそのことを感知することができ、好ましい。その場合は、より慎重に棒状部材で医療用管状体11を押すことにより、チューブ12の内面の損傷や医療用管状体11の破損を防ぐことができる。これにより、医療用管状体内装チューブ20の製造の際に、不良品の発生を抑え、歩留まりを高めることができる。
【0045】
図1(C)~(D)および図4に示すように、切断工程では、医療用管状体11を第2区間16に配置した状態で、チューブ12を、医療用管状体11の第1端13側の端またはそれより第1端13側で切断する。これにより、医療用管状体11が内装されたチューブ12であって、チューブ12の補強層17が設けられた区間に医療用管状体11が配置されたチューブ12を得ることができる。
【0046】
切断工程では、カッター、レーザー光、熱線等の切断手段18によりチューブ12を切断することができる。切断工程では、チューブ12は長手方向に対して略垂直に切断することが好ましい。
【0047】
チューブ12の切断位置は、第2区間16に配置された医療用管状体11の第1端13側の端から50mm以内であることが好ましく、30mm以内がより好ましく、20mm以内がさらに好ましい。これにより、医療用管状体内装チューブ20から組み立てられた医療用管状体搬送装置を用いて治療を行う際に、医療用管状体11に対してチューブ12を第2端14側に引っ張ることにより、医療用管状体11をチューブ12から容易に露出させることができる。
【0048】
切断工程では、医療用管状体11を第2区間16に配置した状態で、チューブ12を、補強層17の第1端13側の端またはそれより第1端13側で切断することが好ましい。すなわち、チューブ12を補強層17が存在しない部分で切断することが好ましい。これにより、チューブ12の切断が容易になる。また、チューブ12を切断した際、補強層17を構成する線材がチューブ12の第1端13側の端からはみ出るおそれがなくなる。そのため、医療用管状体内装チューブ20から組み立てられた医療用管状体搬送装置を用いて治療を行う際に、補強層17の線材によって体内管腔を傷つけることを防止することができる。この場合、チューブ12の切断位置は、補強層17の第1端13側の端から30mm以内であることが好ましく、20mm以内がより好ましく、10mm以内がさらに好ましい。
【0049】
本発明の医療用管状体内装チューブの製造方法では、第1挿入工程において医療用管状体11をチューブ12内に挿入した際に、医療用管状体11が破損していないことを確認するための外観検査を行うことが好ましい。医療用管状体11は、最終的にチューブ12の第2区間16に配置されるが、第2区間16は補強層17を有するため、第2区間16に配置された医療用管状体11をチューブ12の外から外観検査を行うことは難しい。そのため、外観検査は、第1区間15に配置した医療用管状体11に対して行うことが好ましい。従って、本発明の医療用管状体内装チューブ20の製造方法は、第1挿入工程の後に、第1区間15に配置した医療用管状体11の外観検査を行う工程(以下、「外観検査工程」と称する場合がある)を有することが好ましい。外観検査工程で医療用管状体11の外観検査を行い、医療用管状体11の破損がないことを確認した後、第2挿入工程を行うことが好ましい。
【0050】
外観検査工程では、第1区間15に配置された医療用管状体11をチューブ12の外から外観検査を行う。外観検査は、目視により行ってもよく、顕微鏡やマイクロスコープを用いて行ってもよい。また、カメラにより撮影し、それを画像診断することにより行ってもよい。外観検査により第1区間15に配置された医療用管状体11の破損が確認されなかったものに対し、第2挿入工程を行うことが好ましい。
【0051】
次に、本発明の医療用管状体搬送装置の製造方法について説明する。本発明の実施の形態に係る医療用管状体搬送装置の製造方法は、上記に説明した医療用管状体内装チューブの製造方法により医療用管状体が内装されたチューブを得る工程を有するものである。
【0052】
医療用管状体搬送装置は、医療用管状体内装チューブを備えたシャフト部を有する。シャフト部は長手方向に延在する長尺状の部材であり、長手方向に対して近位側と遠位側が定められる。医療用管状体搬送装置において、近位側とは使用者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対方向、すなわち処置対象側の方向を指す。例えば内視鏡を用いた治療の場合は、シャフト部を内視鏡の鉗子口から鉗子チャンネル内に挿入し、病変部まで搬送する。シャフト部の近位側には操作部が設けられることが好ましく、操作部を操作することにより、患者の体内でチューブを医療用管状体に対してスライドさせることができる。これにより、医療用管状体をチューブから露出させ、医療用管状体を体内に留置することができる。なお、下記の説明において、医療用管状体搬送装置を単に「搬送装置」と称する場合がある。また、上記に説明した医療用管状体内装チューブのチューブを「外側チューブ」と称する。
【0053】
シャフト部は、外側チューブと、外側チューブの内腔に配置された内側チューブを有し、外側チューブと内側チューブの間に医療用管状体が配置されることが好ましい。これにより、医療用管状体を外側チューブの内腔に安定して保持することができる。また、医療用管状体を体内に留置する際、外側チューブを近位側に牽引して医療用管状体を露出させる操作を安定して行いやすくなる。シャフト部の長手方向の長さは、例えば800mm~3000mm程度であればよい。
【0054】
外側チューブは、少なくともシャフト部の遠位部に配置され、シャフト部の近位部まで延在していてもよい。例えば、シャフト部を長手方向に3等分したとき、外側チューブは、シャフト部の遠位側1/3の部分の少なくとも一部から近位側1/3の部分の少なくとも一部まで延在するように配置されてもよく、シャフト部の遠位側1/3の部分の少なくとも一部に配置され、シャフト部の近位側2/3の部分には配置されなくてもよい。なお、後者の態様の場合、外側チューブは、他の部材を介して、近位側に牽引可能となっていることが好ましい。
【0055】
内側チューブは、少なくともシャフト部の遠位部に配置され、シャフト部の近位部まで延在していてもよい。内側チューブの内腔は、ガイドワイヤの挿通路として機能させることができる。オーバーザワイヤ型の搬送装置の場合は、内側チューブはシャフト部の遠位部からシャフト部の近位部まで延在していることが好ましく、ラピッドエクスチェンジ型の搬送装置の場合は、内側チューブはシャフト部の遠位部からシャフト部の近位部に至る途中まで延在していることが好ましい。
【0056】
内側チューブには、医療用管状体の近位側にストッパーが設けられることが好ましい。ストッパーは内側チューブの外面に取り付けられる。ストッパーは、医療用管状体の近位端に当接させて配置するか、医療用管状体の近位端の近傍に配置する、例えば、ストッパーのうち、医療用管状体の近位端に当接する部位が、医療用管状体の近位端から近位側に10mm以内に位置するように配置されることが好ましい。医療用管状体の近位側にストッパーを設けることにより、外側チューブを近位側に牽引した際に、医療用管状体が外側チューブとともに近位側に引っ張られることが抑えられ、医療用管状体をシャフト部の外側に露出させることが容易になる。
【0057】
内側チューブの遠位端部には先端チップが設けられることが好ましい。先端チップは内腔を有し、当該内腔が内側チューブの内腔と連通していることが好ましい。先端チップはシャフト部の遠位端部を構成し、これにより、シャフト部を内視鏡の鉗子チャンネルに挿入して医療用管状体を病変部に搬送する際に、シャフト部の先端が体内管腔を傷つけることを防止することができる。また、先行するガイドワイヤや鉗子チャンネルへのシャフト部の追従性、病変部へのシャフト部の先端の送達性を高めることができ、搬送装置の操作性が向上する。
【0058】
シャフト部は、外側チューブと内側チューブ以外のチューブ状の部材を有していてもよい。例えば、外側チューブの近位端部に接続して牽引チューブを設けたり、外側チューブまたは牽引チューブの外側に保護チューブを設けたり、外側チューブと内側チューブの間であって、医療用管状体よりも近位側に中間チューブを設けることができる。
【0059】
牽引チューブは、外側チューブがシャフト部の近位部まで延在していない場合に、外側チューブの近位端部に接続して設けられる。この場合、牽引チューブの遠位端部の外面が、外側チューブの近位端部の内面に接合されることが好ましく、これにより牽引チューブの外径を小さくすることができる。牽引チューブを近位側に引っ張ることにより、外側チューブを近位側に移動させ、医療用管状体をシャフト部の外側に露出することができる。
【0060】
保護チューブは、外側チューブの外側に、外側チューブの長手方向の一部を覆うように設けられるか、牽引チューブの外側に、牽引チューブの長手方向の一部を覆うように設けられる。医療用管状体を体内に留置する際に、外側チューブを近位側に牽引すると、外側チューブまたは牽引チューブの保護チューブで覆われていなかった部分が、保護チューブの内腔に収納されることが好ましい。これにより、外側チューブを近位側に牽引する際に、外側チューブや牽引チューブが内視鏡の鉗子チャンネルや鉗子口と接触することによる摩擦抵抗の発生を低減することができる。そのため、外側チューブを近位側に牽引する際の操作荷重が低減され、医療用管状体を安定して展開することができる。また、外側チューブを近位側に牽引する際に、シャフト部の全体が近位側に移動することを抑制でき、医療用管状体を所望の位置に精度良く留置することができる。
【0061】
上記のように保護チューブが設けられる場合、外側チューブの近位端部または牽引チューブの近位端部には、線状牽引部材が取り付けられてもよい。線状牽引部材はシャフト部の近位部まで延在していることが好ましく、線状牽引部材を近位側に引っ張ることにより、外側チューブを近位側に移動させ、医療用管状体をシャフト部の外側に露出することができる。
【0062】
中間チューブは、上記に説明したストッパーとして機能させるために設けることができる。この場合、内側チューブにストッパーを設ける代わりに、中間チューブが、医療用管状体の近位端またはその近傍から近位側に延在するように設けられる。中間チューブの遠位端は、医療用管状体の近位端に当接するか、医療用管状体の近位端から近位側に10mm以内に位置することが好ましく、中間チューブはシャフト部の近位部まで延在していることが好ましい。
【0063】
搬送装置のシャフト部の構成例を図5図8に示す。なお、シャフト部の構成は、図面に示した態様に限定されない。図5図8において、図面の右側が搬送装置およびシャフト部の近位側に相当し、図面の左側が搬送装置およびシャフト部の遠位側に相当する。
【0064】
図5に示したシャフト部21は、外側チューブ22と、外側チューブ22の内腔に配置された内側チューブ23を有する。シャフト部21の遠位部には、外側チューブ22と内側チューブ23の間に縮径状態の医療用管状体11が配置されている。外側チューブ22は、医療用管状体内装チューブ20となっている。
【0065】
内側チューブ23はシャフト部21の遠位部から近位部まで延在しており、オーバーザワイヤ型の搬送装置を与えるものとなっている。外側チューブ22はシャフト部21の遠位部から近位部まで延在しており、内側チューブ23は、外側チューブ22の近位端よりも近位側に延在している。内側チューブ23の遠位端部には先端チップ25が設けられ、内側チューブ23の外面には、医療用管状体11の近位側にストッパー24が設けられている。外側チューブ22は内側チューブ23に対して長手方向に摺動可能となっている。図5に示したシャフト部21を備えた搬送装置は、外側チューブ22を近位側に引っ張ることにより、医療用管状体11がシャフト部21の外側に露出し、医療用管状体11を体内に留置することができる。
【0066】
図6に示したシャフト部21は、外側チューブ22と、外側チューブ22の内腔に配置された内側チューブ23と、外側チューブ22と内側チューブ23の間に配置された中間チューブ26を有する。シャフト部21の遠位部には、外側チューブ22と内側チューブ23の間に縮径状態の医療用管状体11が配置されている。外側チューブ22は、医療用管状体内装チューブ20となっている。中間チューブ26の遠位端部にはストッパー24が設けられている。
【0067】
内側チューブ23はシャフト部21の遠位部から近位部まで延在しており、オーバーザワイヤ型の搬送装置を与えるものとなっている。外側チューブ22はシャフト部21の遠位部から近位部まで延在しており、内側チューブ23は、外側チューブ22の近位端よりも近位側に延在している。内側チューブ23の遠位端部には先端チップ25が設けられている。中間チューブ26は医療用管状体11よりも近位側に配置され、外側チューブ22の近位端よりも近位側に延在していることが好ましい。中間チューブ26の遠位端は医療用管状体11の近位端に当接するか、医療用管状体11の近位端から近位側に10mm以内に位置するように配置されることが好ましい。中間チューブ26は内側チューブ23に対して固定され、外側チューブ22は、内側チューブ23と中間チューブ26に対して長手方向に摺動可能となっている。図6に示したシャフト部21を備えた搬送装置は、外側チューブ22を近位側に引っ張ることにより、医療用管状体11がシャフト部21の外側に露出し、医療用管状体11を体内に留置することができる。
【0068】
図7に示したシャフト部21は、外側チューブ22と、外側チューブ22の近位部に接続した牽引チューブ27と、外側チューブ22の内腔と牽引チューブ27の内腔に配置された内側チューブ23と、牽引チューブ27の外側に配置された保護チューブ28を有する。シャフト部21の遠位部には、外側チューブ22と内側チューブ23の間に縮径状態の医療用管状体11が配置されている。外側チューブ22は、医療用管状体内装チューブ20となっている。
【0069】
内側チューブ23はシャフト部21の遠位部から近位部まで延在しており、オーバーザワイヤ型の搬送装置を与えるものとなっている。外側チューブ22はシャフト部21の遠位部のみに配置されている。外側チューブ22の近位部に接続した牽引チューブ27は、外側チューブ22の近位端より近位側に延在し、シャフト部21の近位部まで延在している。内側チューブ23は、牽引チューブ27の近位端よりも近位側に延在している。保護チューブ28は、牽引チューブ27の一部のみを覆うように設けられ、牽引チューブ27は保護チューブ28の遠位端より遠位側に延在するとともに、保護チューブ28の近位端より近位側に延在している。内側チューブ23の遠位端部には先端チップ25が設けられ、内側チューブ23の外面には、医療用管状体11の近位側にストッパー24が設けられている。外側チューブ22と牽引チューブ27は、保護チューブ28と内側チューブ23に対して長手方向に摺動可能となっている。図7に示したシャフト部21を備えた搬送装置は、牽引チューブ27を近位側に引っ張ることにより、外側チューブ22が近位側に移動して、医療用管状体11がシャフト部21の外側に露出し、医療用管状体11を体内に留置することができる。
【0070】
図8に示したシャフト部21は、外側チューブ22と、外側チューブ22の近位部に接続した牽引チューブ27と、牽引チューブ27の外側に配置され、牽引チューブ27の近位端より近位側に延在する保護チューブ28と、外側チューブ22の内腔と牽引チューブ27の内腔と保護チューブ28の内腔に配置された内側チューブ23と、牽引チューブ27の近位部に取り付けられ、保護チューブ28の内腔に配置された線状牽引部材29を有する。シャフト部21の遠位部には、外側チューブ22と内側チューブ23の間に縮径状態の医療用管状体11が配置されている。外側チューブ22は、医療用管状体内装チューブ20となっている。
【0071】
内側チューブ23は、シャフト部21の遠位部から近位部に至る途中まで延在しており、ラピッドエクスチェンジ型の搬送装置を与えるものとなっている。なお、内側チューブ23をシャフト部21の遠位部から近位部まで延在するように構成することにより、オーバーザワイヤ型の搬送装置を与えるものとすることもできる。外側チューブ22はシャフト部21の遠位部のみに配置され、外側チューブ22の近位部に接続した牽引チューブ27は、外側チューブ22の近位端より近位側に延在し、シャフト部21の近位部に至る途中まで延在している。牽引チューブ27の近位部に取り付けられた線状牽引部材29は、牽引チューブ27の近位端より近位側に延在し、シャフト部21の近位部まで延在している。保護チューブ28は、牽引チューブ27の一部と線状牽引部材29の一部を覆うように設けられ、線状牽引部材29は保護チューブ28の近位端より近位側に延在している。内側チューブ23の遠位端部には先端チップ25が設けられ、内側チューブ23の外面には、医療用管状体11の近位側にストッパー24が設けられている。外側チューブ22と牽引チューブ27は、保護チューブ28と内側チューブ23に対して長手方向に摺動可能となっている。また、線状牽引部材29は、保護チューブ28に対して非固定となっている。図8に示したシャフト部21を備えた搬送装置は、線状牽引部材29を近位側に引っ張ることにより、外側チューブ22が近位側に移動して、医療用管状体11がシャフト部21の外側に露出し、医療用管状体11を体内に留置することができる。
【0072】
図5図8に示したシャフト部21はいずれも、医療用管状体11が外側チューブ22と内側チューブ23の間に配置されている。この場合、搬送装置の製造方法としては、まず上記に説明した医療用管状体内装チューブ20を得る工程を行い、医療用管状体11が内装された外側チューブ22を得て、その後、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に内側チューブ23を挿入し、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置してもよく、まず外側チューブ22に内側チューブ23を挿入し、その後、上記に説明した医療用管状体内装チューブ20を得る工程を行い、医療用管状体11を外側チューブ22の内方かつ内側チューブ23の外方に配置してもよい。なお、医療用管状体11を外側チューブ22の内腔に配置することが容易な点から、搬送装置は前者の態様にて製造することが好ましい。すなわち、医療用管状体11が内装された外側チューブ22を得る工程を行った後、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に内側チューブ23を挿入し、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置する工程を行うことが好ましい。
【0073】
上記のように医療用管状体を製造する方法の具体例について、図9図12を参照して説明する。図9図12には、図5図8に示したシャフト部の製造方法の例を示した。なお、本発明の医療用管状体の製造方法は、図面に示された態様に限定されるものではない。図9図12において、図面の右側がシャフト部の近位側に相当し、図面の左側がシャフト部の遠位側に相当する。
【0074】
図9には、図5に示したシャフト部21の製造方法の一例を示した。シャフト部21が外側チューブ22と内側チューブ23を有する場合は、図9に示すように、医療用管状体11が内装された外側チューブ22を準備し、その後、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に内側チューブ23を挿入して、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置することが好ましい。内側チューブ23の外面にストッパー24が設けられる場合は、ストッパー24が設けられた内側チューブ23を、医療用管状体11が内装された外側チューブ22の近位側から挿入することが好ましい。また、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置した後、内側チューブ23の遠位端部に先端チップ25を取り付けることが好ましい。
【0075】
図10には、図6に示したシャフト部21の製造方法の一例を示した。シャフト部21が外側チューブ22と内側チューブ23と中間チューブ26を有する場合は、図10に示すように、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に内側チューブ23を挿入して、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置した後、中間チューブ26を外側チューブ22の近位側から挿入して、中間チューブ26を外側チューブ22の内方かつ内側チューブ23の外方に配置することが好ましい。中間チューブ26は、外側チューブ22に内装された医療用管状体11の近位端またはその近傍まで挿入することが好ましい。また、中間チューブ26を外側チューブ22の内方かつ内側チューブ23の外方に配置した後、中間チューブ26を内側チューブ23に直接または他の部材を介して固定することが好ましい。
【0076】
図10では、遠位端部に先端チップ25を取り付けた内側チューブ23を、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に挿入しているが、この場合、内側チューブ23は外側チューブ22の遠位側から挿入することが好ましい。一方、図面には示されていないが、先端チップ25を取り付けていない内側チューブ23を医療用管状体11が内装された外側チューブ22に挿入してもよく、この場合は、内側チューブ23を外側チューブ22の遠位側から挿入してもよく外側チューブ22の近位側から挿入してもよい。内側チューブ23を外側チューブ22に挿入した後、内側チューブ23の遠位端部に先端チップ25を取り付けることが好ましい。
【0077】
図11および図12には、図7および図8に示したシャフト部21の製造方法の例を示した。シャフト部21が外側チューブ22と内側チューブ23と牽引チューブ27を有する場合は、図11および図12に示すように、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に内側チューブ23を挿入して、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置した後、牽引チューブ27を外側チューブ22の近位部に接合することにより、シャフト部21を製造することができる。
【0078】
図11では、ストッパー24が設けられた内側チューブ23を、医療用管状体11が内装された外側チューブ22の近位側から挿入し、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置した後、内側チューブ23の遠位端部に先端チップ25を取り付けている。一方、図12では、長手方向の長さが長いストッパー24を用いており、そのような場合は、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置した後、ストッパー24を外側チューブ22の近位側から挿入し、ストッパー24を外側チューブ22の内方かつ内側チューブ23の外方に配置し、ストッパー24を内側チューブ23に取り付けることもできる。
【0079】
図12では、遠位端部に先端チップ25を取り付けた内側チューブ23を、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に挿入しており、この場合、内側チューブ23は外側チューブ22の遠位側から挿入することが好ましい。一方、図12において、先端チップ25を取り付けていない内側チューブ23を、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に挿入することもでき、この場合は、内側チューブ23を外側チューブ22の遠位側から挿入してもよく外側チューブ22の近位側から挿入してもよい。内側チューブ23を外側チューブ22に挿入した後、内側チューブ23の遠位端部に先端チップ25を取り付けることが好ましい。
【0080】
図11および図12では、内側チューブ23を医療用管状体11の内方かつ外側チューブ22の内方に配置した後、牽引チューブ27を外側チューブ22の近位部に接合しているが、先に外側チューブ22の近位部に牽引チューブ27を接合し、その後、医療用管状体11が内装された外側チューブ22に内側チューブ23を挿入することもできる。
【0081】
図11および図12には示されていないが、外側チューブ22の近位部に牽引チューブ27を接合した後、線状牽引部材29を牽引チューブ27に取り付けてもよく、線状牽引部材29が取り付けられた牽引チューブ27を外側チューブ22の近位部に接合してもよい。牽引チューブ27は、その一部が保護チューブ28の内腔に配置された状態で、外側チューブ22の近位部に接合してもよく、外側チューブ22の近位部に牽引チューブ27を接合した後、牽引チューブ27の一部を保護チューブ28の内腔に配置してもよい。なお、外側チューブ22の近位部に牽引チューブ27を接合することが容易な点から、牽引チューブ27を外側チューブ22の近位部に接合した後、牽引チューブ27の一部を保護チューブ28の内腔に配置することが好ましい。
【0082】
シャフト部を構成する各部材について説明する。シャフト部を構成する各部材は、樹脂、金属またはこれらの複合材料から構成することができる。またこれらの各材料は、生体適合性を有することが好ましい。各部材の接合手段は、接着剤による接着、溶着、嵌合等、公知の接合手段を採用することができる。
【0083】
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂が挙げられる。金属材料としては、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、炭素鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等が挙げられる。
【0084】
内側チューブ、牽引チューブ、保護チューブ、中間チューブは、チューブ状に形成されていれば、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。これら各チューブは、長手方向の一部と他部が異なる材料から構成されていてもよく、また長手方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。内側チューブ、牽引チューブ、保護チューブ、中間チューブは、上記に説明した補強層を有していてもよい。外側チューブの詳細は、上記の医療用管状体内装チューブのチューブの説明が参照される。
【0085】
線状牽引部材は、金属線材や合成樹脂から形成された糸条から構成されることが好ましい。線状牽引部材は、複数の材料からなる複合体であってもよく、例えば金属と合成樹脂の複合体であってもよい。線状牽引部材は、金属線材に樹脂がコーティングされた構成であってもよい。
【0086】
先端チップは、エラストマー樹脂から構成されることが好ましい。エラストマー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が好ましく挙げられ、特にポリアミド樹脂から構成されることが好ましい。このように先端チップが構成されることにより、先端チップのガイドワイヤへの追従性とシャフト部の先端の安全性を高めることができる。
【0087】
ストッパーの形状は、例えばリング形状とすることができる。ストッパーの外径は、外側チューブの内径以下かつ縮径状態の医療用管状体の内径以上であることが好ましい。ストッパーは、樹脂、金属またはこれらの複合材料から構成することができる。これらの各材料の具体例は、上記のシャフト部の構成材料の説明が参照される。なかでも、ストッパーはエラストマー樹脂から構成されることが好ましく、これによりストッパーと医療用管状体が接触した際に、医療用管状体の変形や損傷を防ぐことができる。エラストマー樹脂としてはポリアミド樹脂を用いることが好ましく、これによりストッパーの剛性が高められ、ストッパーによって医療用管状体の近位端を支持し、医療用管状体を効果的に展開することができる。
【0088】
シャフト部には、X線不透過マーカーが設けられてもよい。シャフト部にX線不透過マーカーを設けることにより、X線透視下において、X線不透過マーカーを目印にして、体内におけるシャフト部の位置を確認することができる。X線不透過マーカーは、シャフト部の医療用管状体が配置された箇所の近傍に設けられることが好ましく、先端チップやストッパーや外側チューブに設けられることが好ましい。X線不透過マーカーを先端チップに設けることにより、X線透視下において、シャフト部の遠位端部の位置を確認することができる。また、X線不透過マーカーをストッパーに設けることにより、X線透視下において、医療用管状体の位置や押し出し状態を確認することができる。X線不透過マーカーを外側チューブに設けた場合は、X線透視下において、外側チューブから医療用管状体が露出するタイミングを把握することができる。X線不透過マーカーを設置する数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
11:医療用管状体
12:チューブ
13:第1端
14:第2端
15:第1区間
16:第2区間
17:補強層
18:切断手段
20:医療用管状体内装チューブ
21:シャフト部
22:外側チューブ
23:内側チューブ
24:ストッパー
25:先端チップ
26:中間チューブ
27:牽引チューブ
28:保護チューブ
29:線状牽引部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12