(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136946
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20230922BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20230922BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H02K11/30
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042899
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】日笠 浩一
【テーマコード(参考)】
5E087
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087FF03
5E087LL04
5E087LL12
5E087LL14
5E087MM08
5E087QQ06
5E087RR12
5H605AA02
5H605BB17
5H605DD16
5H605EC05
5H605EC20
5H611BB01
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】電子機器の防水性を構造的に高める。
【解決手段】モータ装置(100)は、電源端子(30)および信号端子(40,50)を有するコネクタ(2)と、コネクタ(2)が固定される第1面(11)から当該第1面(11)と反対側の第2面(12)へ電源端子(30)および信号端子(40,50)を挿通させる開口(1a)と、ネジ(8)を用いてコネクタ(2)を第1面(11)に固定するための挿通孔(1b)とを有する蓋体(1)とを備える。第1面(11)と、蓋体(1)の第1面(11)に固定されるコネクタ(2)の固定面(21b)と、の間を封止する封止構造(10)が、開口(1a)および挿通孔(1b)を囲むように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を有するコネクタと、
前記コネクタが固定される第1面から当該第1面と反対側の第2面へ前記端子を挿通させる開口と、ネジを用いて前記コネクタを前記第1面に固定するための孔とを有する金属部材と、
を備え、
前記第1面と、前記金属部材の前記第1面に固定される前記コネクタの固定面と、の間を封止する封止構造が、前記開口および前記孔を囲むように形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記封止構造は、前記第1面および前記固定面のいずれか一方に、前記開口および前記孔を囲むように形成された溝と、他方に、前記溝と嵌合するように形成された突起とを有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記封止構造は、前記溝と前記突起との間を封止する封止材をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記固定面は、前記固定面から突出するように形成されて前記ネジが保持されるネジ保持部を有し、
前記孔は、前記ネジ保持部と嵌合するように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記コネクタは、前記固定面と反対側の面に前記端子を囲むように設けられた外郭部を有し、
前記端子の少なくとも一部は、外郭部内の配置位置から前記コネクタの内部で前記開口に達するように折り曲げられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記コネクタは、前記孔に前記第2面から前記第1面へ挿通される前記ネジにより前記第1面に固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記金属部材の前記第2面において前記開口が設けられていない領域に固定された第1回路基板をさらに備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1回路基板と電気的に接続されるとともに、前記金属部材の前記第2面上に前記第1回路基板と間隔をおいて配置された第2回路基板をさらに備え、
前記第2回路基板は、前記金属部材の前記開口に挿通された前記コネクタの前記端子が接続されていることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記金属部材は、前記第1回路基板との間隔を確保して前記第2回路基板を固定する複数の台座部を前記第2面に有し、
前記台座部の少なくとも一部は、頂部において、前記第2回路基板を固定する座面と、当該座面より高い突出部とを有していることを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記端子を介して供給される電力および信号に基づいて駆動されるモータをさらに備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、筐体内に基板を収容し、基板と外部とを電気的に接続するための端子を有するコネクタを、筐体を塞ぐ蓋体に固定する電動モータ制御装置が開示されている。コネクタは、電源端子および信号端子をそれぞれ囲む嵌合部と、嵌合部を支持するハウジングとを有している。
【0003】
当該装置では、蓋体の内面側にコネクタのハウジングが配置されており、コネクタの嵌合部が蓋体の貫通孔に挿入されて蓋体から露出している。シール材が、ハウジングと蓋体の貫通孔における固定縁部との間に挟まれることにより、コネクタと蓋体との間の防水性が確保される。また、ハウジングは、蓋体における貫通孔の周囲の固定縁部に、シール材によるシール箇所よりも外側でネジにより固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、上記の装置では、コネクタのハウジングが蓋体の内面側に配置されている。これに対し、ハウジングが蓋体の外面側に配置されるように、上記の装置を構成する場合がある。この場合、ハウジングが蓋体に固定される固定面にネジ孔を形成しておき、蓋体を貫通する孔に蓋体の内面側から通したネジをネジ孔に締め付けることにより、ハウジングが蓋体に固定される。
【0006】
しかしながら、ネジがシール箇所よりも外側に設けられるため、蓋体とハウジングとの隙間から進入した水分がシール箇所の手前のネジに達することにより、ネジが錆びることが懸念される。ネジの錆を防ぐには、錆防止剤の塗布などが必要になるため、装置の製造が複雑化するという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、電子機器の防水性を構造的に高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、端子を有するコネクタと、前記コネクタが固定される第1面から当該第1面と反対側の第2面へ前記端子を挿通させる開口と、ネジを用いて前記コネクタを前記第1面に固定するための孔とを有する金属部材と、を備え、前記第1面と、前記金属部材の前記第1面に固定される前記コネクタの固定面と、の間を封止する封止構造が、前記開口および前記孔を囲むように形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、電子機器の防水性を構造的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一の実施形態に係るモータ装置を示す斜視図である。
【
図2】上記モータ装置における制御ユニットを示す斜視図である。
【
図3】蓋体の外面側から見た上記制御ユニットを示す斜視図である。
【
図4】コネクタが固定されていない状態の上記蓋体を上記外面側から見た斜視図である。
【
図6】上記蓋体へ固定する固定面側から見た上記コネクタを示す斜視図である。
【
図7】上記制御ユニットの断面構造を示す縦断面図である。
【
図8】上記蓋体の内面側から見た上記制御ユニットを示す斜視図である。
【
図9】上記内面側から見た制御基板が固定されていない状態の上記制御ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一の実施形態に係るモータ装置について、
図1~
図10を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一の実施形態に係るモータ装置100を示す斜視図である。
図2は、モータ装置100における制御ユニット31を示す斜視図である。
図3は、蓋体1の外面11側から見た制御ユニット31を示す斜視図である。
図4は、コネクタ2が固定されていない状態の蓋体1を外面11側から見た斜視図である。
図5は、コネクタ2を示す斜視図である。
図6は、固定面21b側から見たコネクタ2を示す斜視図である。
図7は、制御ユニット31の断面構造を示す縦断面図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、モータ装置100(電子機器)は、蓋体1(金属部材)と、コネクタ2と、基板ケース3と、モータケース4と、モータ5とを備えている。
【0014】
蓋体1は、金属(例えばアルミニウム)によって形成されている。蓋体1は、コネクタ2が固定される外面11と、外面11とは反対側の内面12とを有する板状の部材である。内面12には、駆動基板6(第1回路基板)および制御基板7(第2回路基板)が固定されている。駆動基板6および制御基板7は、基板ケース3によって覆われている。蓋体1は、基板ケース3の開口を覆う部材である。駆動基板6および制御基板7については、後に詳しく説明する。
【0015】
コネクタ2は、駆動基板6および制御基板7を図示しない相手側のコネクタ(ソケットコネクタ)と電気的に接続するために設けられている。コネクタ2は、蓋体1の外面11に固定されている。コネクタ2については、後に詳しく説明する。
【0016】
蓋体1、コネクタ2、駆動基板6および制御基板7により、制御ユニット31が構成される。制御ユニット31は、モータ5を制御するための電子機器であるといえる。
【0017】
基板ケース3は、駆動基板6および制御基板7を囲むように金属によって形成されている筐体である。モータケース4は、モータ5を収容する筐体であり、その一端部が、基板ケース3の開口と反対側の端部に結合する。また、モータケース4の他端部は開口している。
【0018】
モータ5は、モータケース4内に配置されている。モータ5は、駆動軸5aが設けられている端部をモータケース4の他端部から露出させている。また、モータ5は、コネクタ2の後述する電源端子30および信号端子40,50(
図5および
図6参照)を介して供給される電力および信号に基づいて、駆動基板6および制御基板7によって、駆動される。
【0019】
図3および
図4に示すように、蓋体1の外面11には、中央部から一方側の領域に、コネクタ2がネジ8によって固定されている。外面11は、コネクタ2が固定される領域において、開口1aと、3つの挿通孔1b(孔)とを有している。開口1aは、電源端子30および信号端子40,50を外面11から内面12へ挿通させるように蓋体1を貫通している。挿通孔1bは、ネジ8を内面12から外面11へ挿通させるように蓋体1を貫通している。また、挿通孔1bは、後述するコネクタ2のボス25に嵌合するように形成されている。
【0020】
なお、3つの挿通孔1bのうち開口1aと隣接する挿通孔1bは、開口1aとつながっている。この挿通孔1bは、開口1aと離れた位置に形成することができれば、開口1aとつながっていなくてもよい。また、挿通孔1bは3つ設けられるが、その数は3つに限定されない。
【0021】
外面11においてコネクタ2が固定される領域には、開口1aおよび挿通孔1bを囲むように溝11aが形成されている。溝11aは、途切れることなく連続的に形成されている。溝11aは、後述するように、コネクタ2の突起26および封止材9とともに封止構造10を形成している。封止構造10については、後に詳しく説明する。
【0022】
図5および
図6に示すように、コネクタ2は、ハウジング20と、電源端子30(端子)および信号端子40,50(端子)とを有している。
【0023】
電源端子30および信号端子40,50は、接触子とも呼ばれる。電源端子30および信号端子40,50は、相手方のコネクタの端子と接触する接触部分と、コネクタ2の内部に保持される保持部分と、駆動基板6および制御基板7の側に配置される配置部分とで構成されている。電源端子30および信号端子40,50の接触部分は、外郭部22~24に囲まれている。電源端子30は、電力を伝達するために設けられ、信号端子40,50は信号を伝達するために設けられている。本実施形態において、電源端子30および信号端子40,50の各々は、それぞれ2以上設けられるとする。
【0024】
ハウジング20は、コネクタ2の外装体を構成しており、電気的絶縁性を確保するために、合成樹脂によって形成されている。ハウジング20は、ベース21と、外郭部22~24とを有している。
【0025】
ベース21は、間隔をおいて電源端子30および信号端子40,50を保持する。ベース21により、電源端子30の各々、信号端子40の各々、信号端子50の各々は、互いに電気的に絶縁された状態で固定される。すなわち、ベース21は、間隔をおいて電源端子30および信号端子40,50を保持することにより、電源端子30および信号端子40,50と、電源端子30同士と、信号端子40同士と、信号端子50同士とを相互に電気的に絶縁する。ベース21は、所定の厚みを有する板状の部分であり、接続面21aと、固定面21bとを有している。
【0026】
接続面21aには、相手方のコネクタと接続されるように、外郭部22~24が設けられている。コネクタ2は、外郭部22~24を有することにより、プラグコネクタとしての機能を備える。外郭部22~24は、それぞれ、相手方のコネクタに嵌合し、かつ電源端子30および信号端子40,50を囲むように筒状に形成されている。
【0027】
固定面21bには、蓋体1の挿通孔1bにそれぞれ対応する位置に3つのボス25(ネジ保持部)が突出するように形成されている。ボス25の内部には、ネジ8が挿入されてネジ8と嵌め合うネジ孔25aが形成されている。固定面21bにおける蓋体1の開口1aに対向する位置には、電源端子30および信号端子40,50が、固定面21bと垂直の方向に伸びるように突き出している。
【0028】
上記の構成によれば、コネクタ2を蓋体1へ固定するときに、ボス25を挿通孔1bに嵌合させる。これにより、ネジ8を用いずとも、コネクタ2の蓋体1へのおおよその位置合わせを容易にすることができる。
【0029】
コネクタ2は、挿通孔1bに内面12から外面11へ挿通されるネジ8をボス25のネジ孔25aに締め付けることにより、外面11に固定されている。ネジ孔25aは、接続面21a側に貫通していない。上記の構成により、ネジ8が接続面21a側に露出することはない。これにより、ネジ8が接続面21aから露出する部分と接続面21aとの隙間から水分が進入することはない。
【0030】
固定面21bの外周部分には、突起26が、ボス25と、電源端子30および信号端子40,50とを囲むように形成されている。突起26は、固定面21bから蓋体1に向かう方向に突出した部分である。突起26は、溝11aに対応するように形成されている。突起26は、溝11aとほぼ同じの形状およびサイズに形成されている。突起26は、溝11aの幅より狭い幅を有するように形成されている。突起26は、溝11aと同じく、途切れることなく連続的に形成されている。なお、突起26の一部分が途切れるように形成されていてもよい。この場合は、後述する封止材9によって、溝11aと突起26の途切れた部分との間を封止する。
【0031】
図4、
図6および
図7に示すように、封止構造10は、蓋体1の外面11に、開口1aおよび挿通孔1bを囲むように形成された溝11aと、コネクタ2の固定面21bに、溝11aと嵌合するように形成された突起26とを有している。
【0032】
また、封止構造10は、溝11aと突起26との間を封止する封止材9を有している。封止材9は、Oリングのような固形部材であってもよいし、溝11aに流し込んだ封止剤、接着剤などが固化したものであってもよい。封止材9を設けることにより、溝11aと突起26との間をより密に封止することができる。これにより、蓋体1とコネクタ2との封止性をより一層向上させることができる。
【0033】
なお、封止構造10は、蓋体1の外面11に形成された溝11aと、コネクタ2の固定面21bに形成された突起26とを有するが、この構造に限定されない。図示はしないが、封止構造10は、蓋体1の外面11に形成された突起と、コネクタ2の固定面21bに形成された溝とを有していてもよい。すなわち、封止構造10における蓋体1とコネクタ2との凹凸の関係性が上述した構成と逆転していてもよい。この場合、蓋体1の突起は、コネクタ2の溝に対応する構造を有している。例えば、蓋体1の突起は突起26と同じ構造を有し、コネクタ2の溝は溝11aと同じ構造を有している。また、蓋体1およびコネクタ2の対応する位置に蓋体1およびコネクタ2のそれぞれが溝を有し、蓋体1およびコネクタ2の溝の間にOリングなどの封止部材を挟んで固定することによって、封止構造10を構成するものであってもよい。上記のように封止構造10を構成することにより、蓋体1とコネクタ2との封止性を向上させることができる。
【0034】
続いて、駆動基板6および制御基板7について詳しく説明する。
図8は、蓋体1の内面12側から見た制御ユニット31を示す斜視図である。
図9は、内面12側から見た制御基板7が固定されていない状態の制御ユニット31を示す斜視図である。
図10は、制御ユニット31を示す側面図である。
【0035】
図8および
図9に示すように、駆動基板6は、方形を成しており、蓋体1の内面12において開口1aが設けられていない領域に、ネジ61によって四隅で固定されている。また、駆動基板6には、モータ5に駆動信号を伝達するためのモータ接続端子6aが実装されている。モータ接続端子6aは、蓋体1の開口1aが設けられた端部とは反対側の端部付近の、駆動基板6の端部に配置されている。
【0036】
駆動基板6は、モータ5に供給する駆動信号を生成する回路が実装されている。具体的には、駆動基板6には、当該回路を構成するパワーFET(Field Effect Transistor)、コンデンサなどが実装されている。また、駆動基板6には、制御基板7と電力や信号の授受を行うための各種の導電ピンが実装されている。駆動基板6は、制御基板7から伝達される電力および制御信号に基づいて、モータ5の動作(始動、停止、回転速度など)を制御する駆動信号を生成し、モータ接続端子6aに出力する。
【0037】
駆動基板6は、蓋体1の内面12に熱的に接触するように固定され、上述の回路によって発生した熱が蓋体1を介して放熱される。すなわち、蓋体1が駆動基板6のヒートシンクとして機能する。駆動基板6は蓋体1の内面12に直接接触してもよく、もしくは、熱伝導率の高い熱伝導部材を介して接触してもよい。熱伝導部材は、いわゆる熱伝導グリースやペースト、接着剤など、公知の部材を用いることが可能である。
【0038】
蓋体1は、一対の台座部13と、一対の台座部14とを内面12に有している。一対の台座部13は、内面12の一方側の端部に、開口1aを間において配置されている。一対の台座部14は、内面12の他方側の端部に、駆動基板6のモータ接続端子6aを間において配置されている。
【0039】
台座部13は、頂部において、座面13aと、位置決め面13bとを有している。座面13aは、制御基板7が載置される面である。座面13aには、ネジ71が嵌め合うネジ孔(図示せず)が形成されている。位置決め面13bは、座面13aよりやや低く、かつ座面13aと隣接する位置に形成されている。位置決め面13bには、制御基板7の位置決め孔(図示しない)に挿通されるピン13cが設けられている。
【0040】
台座部14は、頂部において、座面14aと、突出部14bとを有している。座面14aは、制御基板7が載置される面であり、座面13aと同じ高さを有するように形成されている。座面14aには、ネジ71が嵌め合うネジ孔(図示せず)が形成されている。突出部14bは、座面14aより高く突出するように形成されている。突出部14bは、座面14aより台座部13から遠く、かつ座面14aと隣接する位置に形成されている。上記の構成によれば、制御基板7が台座部13,14上に配置されるとき、制御基板7の端部を突出部14bに付き当てることにより、制御基板7の位置が突出部14bによって定められる。これにより、制御基板7を台座部14に固定するときに、制御基板7の位置決めを容易にすることができる。
【0041】
制御基板7は、台座部13の座面13aおよび台座部14の座面14a上にネジ71によって固定されている。制御基板7は、台座部13,14上に固定されることにより、蓋体1の内面12上に駆動基板6と間隔をおいて配置されている。これにより、制御基板7が受ける駆動基板6の熱の影響を軽減することができる。
【0042】
また、制御基板7は、モータ接続端子6aを避ける位置に配置されている。また、制御基板7は、蓋体1の開口1aから突き出た電源端子30および信号端子40,50と、駆動基板6に設けられた導電ピンとが接続されている。
【0043】
制御基板7は、電源端子30から伝達される電力を駆動基板6に伝達する。また、制御基板7は、信号端子40,50から伝達される信号に基づいてモータ5を制御する制御信号を生成する回路が実装されている。具体的には、制御基板7には、当該回路を構成する半導体、コンデンサなどが実装されている。制御信号は、駆動基板6と制御基板7とを接続する導電ピン6bを介して駆動基板6に伝達される。
【0044】
なお、駆動基板6および制御基板7が上記のように配置されるのはあくまでも一例であって、駆動基板6および制御基板7の配置については上記の例に限定されない。例えば、駆動基板6および制御基板7の配置位置が入れ替わっていてもよい。また、駆動基板6および制御基板7が一体に構成されていてもよい。
【0045】
図7に示すように、電源端子30は、外郭部22内の配置位置から、コネクタ2のベース21の内部において、開口1aに達するように折り曲げられている。また、
図10に示すように、信号端子50は、外郭部24内の配置位置から、コネクタ2のベース21の内部において、開口1aに達するように折り曲げられている。また、図示はしないが、信号端子40も、外郭部23内の配置位置から、コネクタ2のベース21の内部において、開口1aに達するように折り曲げられている。
【0046】
コネクタ2において外郭部22~24が配置される面積が広くなると、外郭部22~24内に配置される電源端子30および信号端子40,50が蓋体1の開口1aを介して真っ直ぐ内面12側に伸びるように構成された場合、開口1aを広く確保する必要がある。このため、内面12において駆動基板6を固定するための領域の面積が狭くなる。
【0047】
これに対し、上記の構成によれば、電源端子30および信号端子40,50がコネクタ2の内部で上記のように折り曲げられるので、開口1aを狭く形成することができる。これにより、内面12において駆動基板6を固定するための領域の面積を広く確保することができる。したがって、内面12を有効に活用することができる。
【0048】
なお、電源端子30および信号端子40,50は、上記のようにコネクタ2の内部で折り曲げられているが、外郭部22~24内の配置位置から真っ直ぐ伸びた状態で開口1aに達する位置に配置されている場合、上記のように折り曲げられる必要はない。
【0049】
以上のように、本実施形態に係るモータ装置100において、コネクタ2の固定面21bおよび蓋体1の外面11には、固定面21bおよび外面11の間を封止する封止構造10が、蓋体1の開口1aおよび挿通孔1bを囲むように形成されている。
【0050】
上記の構成では、コネクタ2の固定面21bと蓋体1の外面11との間に外部から進入する水分を封止構造10により阻止することができる。それゆえ、封止構造10により囲まれた開口1aおよび挿通孔1bには、水分の侵入を抑制することが可能となる。したがって、水分によるネジ8の錆を構造的に防止することができる。よって、ネジ8に錆防止剤の塗布などの処理を施す必要がなくなる。そして、モータ装置100の製造を簡素化することが可能になる。
【0051】
上記の構成によれば、防水性の高いモータ装置100を構成することができる。
【0052】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 蓋体(金属部材)
1a 開口
1b 挿通孔(孔)
2 コネクタ
5 モータ
6 駆動基板(第1回路基板)
7 制御基板(第2回路基板)
8 ネジ
9 封止材
10 封止構造
11 外面(第1面)
11a 溝
12 内面(第2面)
13,14 台座部
14a 座面
14b 突出部
21a 接続面
21b 固定面
22~24 外郭部
25 ボス(ネジ保持部)
26 突起
30 電源端子(端子)
40,50 信号端子(端子)
100 モータ装置(電子機器)