(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136966
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】光ファイバ配線分岐部品、及び光ファイバ配線分岐構造
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G02B6/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042923
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】302040135
【氏名又は名称】日鉄溶接工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 豊
【テーマコード(参考)】
2H038
【Fターム(参考)】
2H038CA32
2H038CA36
(57)【要約】
【課題】本発明は上記した問題に着目して為されたものであって、テンションメンバと複数の光ファイバとが分岐部品の内部において接触せずに分岐することが可能な光ファイバ配線分岐部品、及び光ファイバ配線分岐構造を提供することを目的とする。
【解決手段】軸方向の一方側A1から他方側A2にテンションメンバ78及び複数の光ファイバ75を通す筒部58と、軸方向における筒部58の他方側A2の端部に設けられ、テンションメンバ78を通すテンションメンバ78通し部及び光ファイバ75を通す光ファイバ75通し部が軸方向の他方側A2から見て環状に並んで形成されている分岐部52と、を備えた光ファイバ配線分岐部品10。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方側から他方側にテンションメンバ及び複数の光ファイバを通す筒部と、
前記軸方向における前記筒部の他方側の端部に設けられ、前記テンションメンバを通すテンションメンバ通し部及び前記光ファイバを通す光ファイバ通し部が前記軸方向の他方側から見て環状に並んで形成されている分岐部と、
を備えた光ファイバ配線分岐部品。
【請求項2】
前記テンションメンバ通し部及び前記光ファイバ通し部は、前記軸方向から見て円環状に並んでいる、
請求項1に記載の光ファイバ配線分岐部品。
【請求項3】
複数の光ファイバのすべてが収納された1本の保護管、及び前記保護管の外側に配置されたテンションメンバを収納する光ケーブル主管と、
前記光ケーブル主管の端部に取り付けられた請求項1又は請求項2に記載の光ファイバ配線分岐部品と、
を備える、光ファイバ配線分岐構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ配線分岐部品、及び光ファイバ配線分岐構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、テンションメンバと複数の光ファイバ心線とを有する光ファイバケーブルをその端末にて分岐する分岐部であって、光ファイバケーブルの端末に分岐部品の端部を被嵌し、光ファイバケーブルの端末から導出されたテンションメンバを上記分岐部品に設けた通し穴に挿通させ、光ファイバケーブルの端末から導出された光ファイバ心線を上記分岐部品に設けた溝部に収容し、上記分岐部品とテンションメンバとを第1固定部材で固定し、上記分岐部品の端部と光ファイバケーブルの端末とを第2固定部材で固定したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の場合、テンションメンバが該分岐部品の軸方向中央に固定されるため、分岐部内で光ファイバ心線とテンションメンバとが擦れて損傷する可能性がある。
【0005】
本発明は上記した問題に着目して為されたものであって、テンションメンバと複数の光ファイバとが分岐部品の内部において互いに接触せずに分岐することが可能な光ファイバ配線分岐部品、及び光ファイバ配線分岐構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の発明は、軸方向の一方側から他方側にテンションメンバ及び複数の光ファイバを通す筒部と、前記軸方向における前記筒部の他方側の端部に設けられ、前記テンションメンバを通すテンションメンバ通し部及び前記光ファイバを通す光ファイバ通し部が前記軸方向の他方側から見て環状に並んで形成されている分岐部と、を備えた光ファイバ配線分岐部品である。
【0007】
この光ファイバ配線分岐部品によれば、テンションメンバ通し部及び光ファイバ通し部は、分岐部に軸方向から見て環状に並んでいるため、テンションメンバ及び複数の光ファイバは、軸方向の一方側から他方側に通される場合に、それぞれ互いに接触しない。したがって、この光ファイバ配線分岐部品によれば、テンションメンバ及び複数の光ファイバが互いに擦れて光ファイバが損傷する可能性を抑えることができる。
【0008】
第二態様の発明は、第一態様に記載の光ファイバ配線分岐部品において、前記テンションメンバ通し部及び前記光ファイバ通し部は、前記軸方向から見て円環状に並んでいる。
【0009】
この光ファイバ配線分岐部品によれば、テンションメンバ通し部及び光ファイバ通し部は、軸方向から見て円環状に並んでいるため、テンションメンバ通し部及び光ファイバ通し部が円環状に並んでいない場合と比して、筒部及び分岐部の径方向の大きさを小さくすることができる。
【0010】
第三態様の発明は、複数の光ファイバのすべてが収納された1本の保護管、及び前記保護管の外側に配置されたテンションメンバを収納する光ケーブル主管と、前記光ケーブル主管の端部に取り付けられた第一態様又は第二態様に記載の光ファイバ配線分岐部品と、を備える、光ファイバ配線分岐構造である。
【0011】
この光ファイバ配線分岐構造では、光ファイバ及びテンションメンバが互いに擦れ、光ファイバが損傷する可能性を抑えることができる光ファイバ配線分岐部品が用いられている。このため、1本の保護管から複数の光ファイバが分岐する構造であっても、テンションメンバ及び複数の光ファイバが互いに擦れて光ファイバが損傷する可能性を抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、テンションメンバと複数の光ファイバとが分岐部品の内部において接触せずに分岐することが可能な光ファイバ配線分岐部品、及び光ファイバ配線分岐構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の説明で用いられる光ケーブル主管を説明する図であり、
図1(A)は、光ケーブル主管の正面図、
図1(B)は、光ケーブル主管の側面図である。
【
図2】本開示に係る分岐部品の第一ケーブル固定部品と光ケーブル主管との接続方法を説明する縦断面図である。
【
図3】本開示に係る分岐部品の第二ケーブル固定部品と光ケーブル主管との接続方法を説明する平面図であり、
図3(A)は、正面図、
図3(B)は、側面図である。
【
図4】本開示に係る光ファイバ配線分岐部品と光ケーブル主管との接続方法を説明する平面図であり、
図4(A)は、正面図、
図4(B)は、側面図である。
【
図5】本開示に係る分岐部品を用いた、光ファイバ配線分岐構造を説明する斜視図である。
【
図6】従来の光ファイバ配線分岐部品と光ケーブル主管との接続方法を説明する平面図であり、
図6(A)は、正面図、
図6(B)は、側面図である。
【
図7】本開示に係る分岐部品の第一変形例を説明する斜視図である。
【
図8】本開示に係る分岐部品の第二変形例を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0015】
また、以下の説明において、「上側」、「下側」、「左側」、「右側」等の方向は、参照する図面の紙面における方向を示しており、実際の方向とは異なる場合がある。
【0016】
(光ケーブル主管70)
図1は、本開示の説明で用いられる光ケーブル主管70を説明する図である。
図1(A)に示されるように、本開示で用いられる光ケーブル主管70は、光ファイバ束74を収容する保護管72と、テンションメンバ78と、スペーサ76とを収納する。
【0017】
光ファイバ束74は、一例として樹脂で被覆された光ファイバ75が複数束ねられて構成されている。
【0018】
保護管72は、一例として直径が1.8mm、厚さが0.2mmの可撓性を有するステンレス製の管であり、光ケーブル主管70に圧力等が加えられた場合に光ファイバ75が破損しないように保護する部材である。
【0019】
テンションメンバ78は、一例として樹脂で被覆された鋼線であり、引張荷重に対して容易に変形しない強度を有しているため、光ケーブル主管70に引張荷重が加わった場合に引張荷重に耐えることで、光ケーブル主管70全体の破損を防止する。
【0020】
スペーサ76は、保護管72、及びテンションメンバ78と共に光ケーブル主管70に組み込まれることで、光ケーブル主管70の断面形状(本実施要形態においては円形)を保持する繊維体の部材である。
【0021】
なお、光ケーブル主管70は、どのような構造でもよいが、一例として、保護管72、スペーサ76及びテンションメンバ78を不織布で巻き、さらに不織布をポリエチレンで被覆することで管体とされている。
【0022】
光ケーブル主管70は、端部80で光ファイバ束74及びテンションメンバ78を露出させると共に保護管72を所定の長さで残した状態で、次に説明する光ファイバ配線分岐部品10と接続される。
【0023】
(光ファイバ配線分岐部品10)
本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10は、第一ケーブル固定部品20と、第二ケーブル固定部品30と、分岐部品50と、を有し、3分割構造とされている。それぞれの部品の形状および機能について、光ファイバ配線分岐部品10を光ケーブル主管70の端に取り付け、光ファイバ配線分岐部品10とする手順と共に説明する。
【0024】
(第一ケーブル固定部品20)
図2に示されるように、本開示に係る第一ケーブル固定部品20は、略円筒形状の一般部22と、一般部22の一端側が後述する第二ケーブル固定部品30とされている接続部28とを有する筒体である。
【0025】
一般部22の内径は、光ケーブル主管70の外径に対してわずかに大きく、一般部22が光ケーブル主管70に対して遊嵌する。
【0026】
また、一般部22は、一般部22の径方向内側と径方向の内外を連通する留め部24を有している。
【0027】
接続部28は、一例として一般部22に対して一端側が縮径されて延出している部分であり、後述する第二ケーブル固定部品30の第一接続部42が遊嵌される。また、接続部28は、接続部28を径方向の内外を連通する回り留め部29を有している。
【0028】
まず、
図2に示されるように、第一ケーブル固定部品20は、第一ケーブル固定部品20の一般部22には、軸方向の一方側A1から、光ケーブル主管70が挿入される。なお、一般部22に挿入される光ケーブル主管70には、外周面に接着剤が塗布されている。
【0029】
そして、光ケーブル主管70の被覆が剥かれた端部80と、第一ケーブル固定部品20における接続部28の端面26とが一致した状態で、留め部24に、一例としてネジ等の留め具F1が挿入される。
【0030】
そして、留め具F1及び光ケーブル主管70の外周面の接着剤によって、光ケーブル主管70と第一ケーブル固定部品20とが固定される。
【0031】
なお、第一ケーブル固定部品20は、一例として金属を切削加工することによって形成されるが、これに限らずに、硬質の樹脂を射出成型等によって加工することで形成されていてもよい。
【0032】
(第二ケーブル固定部品30)
図3に示されるように、本開示に係る第二ケーブル固定部品30は、仕切部32と、第一接続部42と、第二接続部44と、を有している。
【0033】
仕切部32は、
図3(A)に示されるように、貫通孔34と、複数の貫通孔36とを有している。
【0034】
貫通孔34は、
図3(B)に示されるように、径方向中央で軸方向の一方側A1から他方側A2へ連通している。
【0035】
貫通孔36は、
図3(B)に示されるように、貫通孔34に対して径方向外側で、互いに同心上で軸方向の一方側A1から他方側A2へ連通している。貫通孔36には、軸方向の一方側A1から保護管72が挿通される。また、保護管72が挿通された貫通孔36に対して、貫通孔34を挟んだ反対側の貫通孔36には、軸方向の一方側A1からテンションメンバ78が挿通される。
【0036】
なお、
図3(A)に示されるように、貫通孔36は、仕切部32に対して複数形成されているが、保護管72が挿通される貫通孔36の数は、光ケーブル主管70に収容されている保護管72と同数である。換言すれば、1つの貫通孔36に1つの保護管72が挿通される。本実施形態のように保護管72が1つの場合、1つの貫通孔36が使用される。保護管72が複数の場合、複数の貫通孔36が使用される。
【0037】
なお、貫通孔36の数と保護管72の数とが同数の場合、テンションメンバ78は、貫通孔34に挿通される。
【0038】
また、貫通孔36は、それぞれ径方向の内外を連通する留め部40を有している。
【0039】
第一接続部42は、仕切部32に対して軸方向の一方側A1で第一ケーブル固定部品20が接続される部分であり、内径が第一ケーブル固定部品20の接続部28よりもわずかに大きく、接続部28と嵌合する。
【0040】
また、第一接続部42は、径方向の内外を連通する留め部41を有している。なお、留め部41は、後述するように第一ケーブル固定部品20の接続部28と第一接続部42とが嵌合された状態で、接続部28の回り留め部29と、軸方向の位置が一致する。
【0041】
第二接続部44は、仕切部32に対して軸方向の他方側A2で分岐部品50が接続される部分であり、一例として仕切部32に対して他方側A2が、縮径されて延出している。
【0042】
なお、第二ケーブル固定部品30は、一例として金属を切削加工することによって形成されるが、これに限らずに、硬質の樹脂を射出成型等によって加工することで形成されていてもよい。
【0043】
また、
図3(B)に示されるように、第二ケーブル固定部品30の貫通孔36には、第一ケーブル固定部品20が固定された光ケーブル主管70から露出した保護管72及びテンションメンバ78が挿通される。
【0044】
また、テンションメンバ78及び保護管72がそれぞれ貫通孔36に挿通された状態で、第一ケーブル固定部品20の接続部28と、第一接続部42とが嵌合される。
【0045】
そして、第一ケーブル固定部品20の接続部28と、第一接続部42とが嵌合された状態で、第一接続部42の留め部41に一例としてネジ等の留め具F2が挿入される。
【0046】
上述のように、第一ケーブル固定部品20の回り留め部29と、第一接続部42の留め部41とは、軸方向の位置が一致しているため、留め具F2は、第一接続部42の外側から回り留め部29まで挿入される。
【0047】
このようにして、留め具F2によって、第二ケーブル固定部品30と第一ケーブル固定部品20とが軸方向及び径方向に固定される。
【0048】
また、留め部40において、仕切部32の径方向外側から一例としてネジ等の留め具F3によって、テンションメンバ78及び保護管72が固定される。
【0049】
続いて、
図4及び
図5を参照しながら、この実施形態で光ファイバ配線分岐部品10に相当する、分岐部品50を説明する。なお、
図5では、後述する留め部60及び留め部63の図示を省略している。
【0050】
(分岐部品50)
図4に示されるように、本開示に係る分岐部品50は、略円筒形状の筒部58と、筒部58に対して軸方向の一方側A1で第二ケーブル固定部品30が接続される接続部62と、筒部58に対して軸方向の他方側A2でテンションメンバ78及び光ファイバ束74の光ファイバ75を分岐する分岐部52と、を有している。
【0051】
接続部62は、第二ケーブル固定部品30の第二接続部44が接続される部分であり、第二ケーブル固定部品30の第二接続部44よりもわずかに大きく、第二接続部44と嵌合する。
【0052】
また、接続部62は、径方向の内外を連通する留め部61を有している。
【0053】
筒部58は、中空の筒体であり、第二ケーブル固定部品30の貫通孔36から通されたテンションメンバ78及び光ファイバ束74を、後述する分岐部52の軸方向の他方側A2に向けて通す。
【0054】
分岐部52は、
図4(B)に示されるように、テンションメンバ78を軸方向の一方側A1から軸方向の他方側A2へと通すテンションメンバ通し部56と、光ファイバ束74の光ファイバ75のそれぞれを軸方向の一方側A1から軸方向の他方側A2へと通す光ファイバ通し部54と、を有している。
【0055】
本説明におけるテンションメンバ通し部56は、分岐部52の一方側A1から他方側A2へ連通する円孔であり、分岐部52の径方向の内外を連通する留め部63を有している。
【0056】
また、本説明における光ファイバ通し部54のそれぞれは、分岐部52の一方側A1から他方側A2へ連通する円孔であり、分岐部52の径方向の内外を連通する留め部60を有している。
【0057】
ここで、本開示に係るテンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54のそれぞれは、
図4(A)に示されるように、分岐部52の径方向中心から同心上に形成されている。
【0058】
換言すれば、本開示に係るテンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54のそれぞれは、分岐部52において環状に並んだ状態で形成されている。
【0059】
なお、本開示において「環状」とは、分岐部52を軸方向から見た場合におけるテンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54のそれぞれの位置を、一つの多角形の頂点とした場合に、各頂点の内角の大きさが180°以下である図形となる並び形状を指す。
【0060】
なお、分岐部品50は、一例として金属を切削加工することによって形成されるが、これに限らずに、硬質の樹脂を射出成型等によって加工することで形成されていてもよい。
【0061】
また、本開示に係る分岐部品50では
図4(B)及び
図5に示すように、光ファイバ75は、第二ケーブル固定部品30の貫通孔36から、分岐部52の光ファイバ通し部54のそれぞれに挿通されて、分岐部品50の軸方向の他方側A2へと通される。
【0062】
ここで、本開示に係る分岐部品50では
図4(B)及び
図5に示すように、テンションメンバ78は、第二ケーブル固定部品30の保護管72が挿通された貫通孔36に対して、貫通孔34を挟んだ反対側の貫通孔36から、分岐部52のテンションメンバ通し部56を挿通されて、分岐部品50の軸方向の他方側A2へと通される。
【0063】
また、テンションメンバ78及び光ファイバ75がそれぞれテンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54に挿通された状態で、第二ケーブル固定部品30の第二接続部44と、分岐部品50の接続部62とが嵌合される。
【0064】
そして、第二ケーブル固定部品30の第二接続部44と、分岐部品50の接続部62とが嵌合された状態で、留め部61に一例としてネジ等の留め具F4が挿入されることによって、分岐部品50と第二ケーブル固定部品30とが固定される。
【0065】
また、この状態で、図示しない軸方向の他方側A2から管状に形成された他の接続部品が、テンションメンバ78及び光ファイバ75を収容した状態で、分岐部52におけるテンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54のそれぞれに挿入される。
【0066】
そして、他の接続部品のそれぞれは、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54のそれぞれに挿入された状態で、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54の外側から一例としてネジ等の留め具F6及び一例としてネジ等の留め具F5によって、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54に固定される。
【0067】
このようにして、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10と光ケーブル主管70とを組み合わせた光ファイバ配線分岐構造90が得られる。
【0068】
(従来の光ファイバ配線分岐部品110)
ここで、
図6に従来の光ファイバ配線分岐部品110を示す。なお、従来の光ファイバ配線分岐部品110の構成要素において、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10と同様の構成要素については同一の参照符号に100を足した参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0069】
図6(A)及び
図6(B)に示されるように、従来の光ファイバ配線分岐部品110では、分岐部152において、テンションメンバ通し部156が径方向の中央に設けられている。
【0070】
この場合、光ファイバ75のそれぞれは、第二ケーブル固定部品30における貫通孔36、換言すれば第二ケーブル固定部品30の仕切部32の径方向中央に対して径方向に外れた位置から、分岐部152の光ファイバ通し部154、換言すれば分岐部152の径方向中央から径方向に外れた位置で、軸方向の一方側A1から軸方向の他方側A2へと挿通される。
【0071】
また、この場合、テンションメンバ78は、第二ケーブル固定部品30における保護管72が挿通された貫通孔36に対して、貫通孔34を挟んだ反対側の貫通孔36から、分岐部152のテンションメンバ通し部156、換言すれば分岐部152の径方向中央で、軸方向の一方側A1から軸方向の他方側A2へと挿通される。
【0072】
すなわち、
図6(B)に示されるように、光ファイバ75は、分岐部品150の筒部158の内部において、貫通孔36から光ファイバ通し部154へ、最大で周方向に180°離れた位置へと通されることになる。
【0073】
これに対し、テンションメンバ78は、
図6(B)に示されるように、分岐部品150の筒部158の内部において、保護管72が挿通された貫通孔36に対して、貫通孔34を挟んだ反対側の貫通孔36からテンションメンバ通し部156へ、径方向中央とされた位置へと通されることになる。
【0074】
したがって、従来の光ファイバ配線分岐部品110においては、テンションメンバ78と、光ファイバ75とは、分岐部品150の筒部158の内部で互いに接触して通される可能性がある。
【0075】
このため、従来の光ファイバ配線分岐部品110においては、分岐部品150の筒部158の内部で、テンションメンバ78と光ファイバ75とが接触し、光ファイバ75が損傷する可能性があった。
【0076】
(作用及び効果)
ここで、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10は、分岐部品50に、軸方向の一方側A1から他方側A2にテンションメンバ78及び複数の光ファイバ75を通す筒部58と、軸方向における筒部58の他方側A2の端部に設けられ、テンションメンバ78を通すテンションメンバ通し部56及び光ファイバ75を通す光ファイバ通し部54が軸方向の他方側A2から見て環状に並んで形成されている分岐部52と、を備えている。
【0077】
これにより、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10によれば、
図4(B)及び
図5に示されるように、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54は、分岐部52に軸方向から見て環状に並んでいるため、テンションメンバ78及び複数の光ファイバ75は、軸方向の一方側A1から他方側A2に通される場合に、それぞれ接触しない。
【0078】
したがって、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10によれば、テンションメンバ78及び複数の光ファイバ75が互いに擦れて光ファイバ75が損傷する可能性を抑えることができる。
【0079】
また、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10において、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54は、軸方向から見て円環状に並んでいる。
【0080】
これにより、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10によれば、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54は、軸方向から見て円環状に並んでいるため、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54が円環状に並んでいない場合と比して、筒部58及び分岐部52の径方向の大きさを小さくすることができる。
【0081】
したがって、この光ファイバ配線分岐部品10によれば、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54が円環状に並んでいない場合と比して、軸方向から見て径方向の大きさを小さくすることができる。
【0082】
また、本開示に係る光ファイバ配線分岐構造90は、複数の光ファイバ75のすべてが収納された1本の保護管72、及び保護管72の外側に配置されたテンションメンバ78を収納する光ケーブル主管70と、光ケーブル主管70の端部80に取り付けられた第一態様又は第二態様に記載の光ファイバ配線分岐部品10と、を備える。
【0083】
これにより、本開示に係る光ファイバ配線分岐構造90では、光ファイバ75及びテンションメンバ78が互いに擦れ、光ファイバ75が損傷する可能性を抑えることができる光ファイバ配線分岐部品10が用いられている。
【0084】
したがって、この本開示に係る光ファイバ配線分岐構造90によれば、1本の保護管72から複数の光ファイバ75が分岐する構造であっても、テンションメンバ78及び複数の光ファイバ75が互いに擦れて光ファイバ75が損傷する可能性を抑えることができる。
【0085】
続いて、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10及び光ファイバ配線分岐構造90における変形例を説明する。
【0086】
(第一変形例)
図7は、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10の第一変形例の図である。第一変形例では、本開示の実施形態から、分岐部52に形成されたテンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54は、円孔に変えて、円孔の一部に分岐部52の径方向外側まで切り込みを有する溝とされている。
【0087】
図7に示すように、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54が溝とされている場合においても、テンションメンバ78及び光ファイバ75のそれぞれは、筒部58の内側で、互いに接触することが無くなる。
【0088】
したがって、本変形例においても、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第二変形例)
図8は、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10の第二変形例の図である。第二変形例では、本開示の実施形態で二部品とされている第二ケーブル固定部品30及び第一ケーブル固定部品20が一体化され、ケーブル固定部品25へと変更されている。これにより、光ファイバ配線分岐部品10は、ケーブル固定部品25と分岐部品50を有する二分割構造とされている。
【0090】
図8に示すケーブル固定部品25では、ケーブル固定部品25の軸方向の一方側A1から、光ケーブル主管70が挿入されることで、本開示に係る実施形態と同様に、貫通孔36に保護管72及びテンションメンバ78を固定することができる。
【0091】
このように、
図8に示すように、第二ケーブル固定部品30及び第一ケーブル固定部品20が一体化されたケーブル固定部品25とされている場合においても、分岐部品50に接続することで、テンションメンバ78及び光ファイバ75のそれぞれは、互いに接触することが無くなる。
【0092】
したがって、本変形例においても、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10と同様の効果を得ることができる。
【0093】
(その他の変形例)
なお、上述の説明において、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54は、円環状に並んでいるとしたが、本開示に係る分岐部品50の分岐部52の形状は、これに限らない。
【0094】
上述の説明の様に、本開示に係る分岐部品50では、テンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54が環状に並んでいるため、筒部58の内側で接触せず、光ファイバ75が損傷する可能性を抑えることができる。
【0095】
そして、上記の作用及び効果は、円環状のみならず、円環状だけではなく、楕円環状、多角形環状等、ハート形状の様に軸方向から見て内側に向かって凹む形を除く形状においても同様に得ることができる。
【0096】
したがって、本開示に係る「環状」とは、上述の説明における円環状だけではなく、楕円環状、多角形環状等、ハート形状の様に軸方向から見て内側に向かって凹む形を除く形状を含んでいる。
【0097】
また、上述の説明において、光ファイバ配線分岐部品10は、分岐部52において軸方向の一方側A1から他の配線部品がテンションメンバ通し部56及び光ファイバ通し部54に挿入されて接続されるとしたが、これに限らない。
【0098】
一例として、所謂コネクタ等の様に、分岐部52において軸方向の一方側A1から他の配線部品が挿入されない部品とされていてもよい。
【0099】
また、上述の説明において、光ケーブル主管70は、光ファイバ75を収容する保護管72を有しているとされていたが、これに限らず、保護管72を有していない光ケーブル主管70においても同様に適用される。
【0100】
なお、上述の説明では、光ケーブル主管70は、1本の保護管72を有している例において説明したが、これに限らず、本開示に係る光ファイバ配線分岐部品10は、光ケーブル主管70が2本以上の保護管72を有していてもよい。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0102】
10 光ファイバ配線分岐部品
20 第一ケーブル固定部品
22 一般部
24 留め部
25 ケーブル固定部品
26 端面
28 接続部
30 第二ケーブル固定部品
32 仕切部
34 貫通孔
36 貫通孔
40 留め部
41 留め部
42 第一接続部
44 第二接続部
50 分岐部品
52 分岐部
54 光ファイバ通し部
56 テンションメンバ通し部
58 筒部
60 留め部
61 留め部
62 接続部
70 光ケーブル主管
72 保護管
74 光ファイバ束
75 光ファイバ
76 スペーサ
78 テンションメンバ
80 端部
150 分岐部品
152 分岐部
154 光ファイバ通し部
156 テンションメンバ通し部
158 筒部